Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat Satellite
第8章 Satellite Server のメンテナンス
本章では、関連するログファイルに関する情報、デバッグロギングを有効にする方法、サポートケースを開き、関連するログ tar ファイルを添付する方法、Red Hat Insight を使用してシステムを積極的に診断する方法を含む Red Hat Satellite Server のメンテナンス方法について説明します。
8.1. ログとレポート機能
Red Hat Satellite は、システム情報を通知とログファイルの形式で提供します。
表8.1 報告およびトラブルシューティング向けのログファイル
ログファイル | ログファイルの内容の説明 |
---|---|
|
サブスクリプションの管理 |
|
Foreman |
|
Foreman プロキシー |
|
Apache HTTP サーバー |
|
Satellite インストーラー |
|
Capsule Server インストーラー |
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仮想化 API |
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Satellite データベース |
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Celerybeat および Celery 起動要求メッセージ。起動が完了したら、メッセージは |
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設定管理 |
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サブスクリプションの管理 |
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それぞれ Red Hat Enterprise Linux 6 と Red Hat Enterprise Linux 7 向けの Apache Web サーバーメッセージ |
|
pulp、rhsm、および goferd に関連する他のさまざまなログメッセージ |
foreman-tail
コマンドを使用して、Satellite に関連する多くのログファイルを追跡することもできます。foreman-tail -l
を実行すると、追跡するプロセスとサービスがリストされます。
Red Hat Enterprise Linux 7 の場合は、journal を使用してより広範なロギング情報を得ることができます。詳細については、Using the Journal[1] を参照してください。
8.2. デバッグロギングの有効化
本セクションでは、デバッグロギングを有効にして Satellite 6.3 の詳細なデバッグ情報を提供する方法について説明します。デバッグロギングにより、最も詳細なログ情報が提供され、Satellite 6.3 とそのコンポーネントで発生する可能性がある問題のトラブルシューティングが簡単になります。また、特定のロギングのために個別ロガーを有効または無効にすることもできます。
デバッグロギングを有効にするには、/etc/foreman/settings.yaml
ファイルを変更します。
ロギングレベルを "debug" に設定する
デフォルトでは、ロギングレベルは以下のように
info
に設定されます。:logging: :level: info
これらの行を以下のように変更します。
:logging: :level: debug
個別ロギングタイプを選択する
デフォルトでは、
/etc/foreman/settings.yaml
の最後は以下のようになります。# Individual logging types can be toggled on/off here :loggers:
/etc/foreman/settings.yaml
ファイルを以下のように変更します。:loggers: :ldap: :enabled: true :permissions: :enabled: true :sql: :enabled: true
Katello サービスを再起動します。
# katello-service restart
ロガーとそのデフォルト値の完全なリスト
:app: :enabled: true :ldap: :enabled: false :permissions: :enabled: false :sql: :enabled: false
8.3. ログファイルからの情報の収集
ログファイルから情報を収集するには以下の 2 つのユーティリティーがあります。
表8.2 ログ収集ユーティリティー
コマンド | 説明 |
---|---|
|
また、
詳細情報については、 このコマンドの実行時にはタイムアウトがありません。 |
|
デフォルトでは、出力 tar ファイルは
|
foreman-debug
と sosreport
では、情報を収集する間にパスワード、トークン、キーなどのセキュリティー情報が削除されます。ただし、tar ファイルには依然として Red Hat Satellite Server についての機密情報が含まれる可能性があります。Red Hat では、この情報をパブリックではなく特定の受信者に直接送信することを推奨します。
8.4. サポートケースでのログファイルの使用
本章で説明されたログファイルと他の情報を使用して独自にトラブルシューティングを行ったり、サポートが必要な場合は、これらの情報と他の多くのファイルとともに診断および設定情報を取得して Red Hat サポートに送信することができます。
Red Hat サポートでサポートケースを作成するには 2 つの方法があります。サポートケースは、Satellite Web UI またはカスタマーポータルから直接作成できます。
- 「Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの作成」: Satellite Web UI からのサポートケースの作成方法
- https://access.redhat.com/articles/38363: カスタマーポータルでのサポートケースの作成および管理方法
8.5. 未使用タスクのクリーニング
未使用タスクをクリーンアップすると、データベース内のディスクスペースを削減し、ディスク増加率を制限することができます。クリーニングを定期的に実行すると、 Satellite のバックアップがより短時間で完了し、全体的なパフォーマンスも上がります。
未使用タスクのクリーニング
インストーラーには、cron ジョブが自動で古いタスクを削除するようにする機能があります。意図しないタスクのクリーンアップを避けるために、この機能はデフォルトでは有効になっていません。
cron ジョブを有効にします。
# satellite-installer --foreman-plugin-tasks-automatic-cleanup true
デフォルトでは、cron ジョブは毎日午後 7 時 45 分に実行するようにスケジュールされています。この時間を変更するには、
--foreman-plugin-tasks-cron-line
パラメーターの値を変更します。# satellite-installer --foreman-plugin-tasks-cron-line "00 15 * * *"
上記のコマンドでは、cron ジョブが毎日午後 3 時に実行されるようになります。cron のフォーマットについての詳細は、
man 5 crontab
を参照してください。
全タスクが削除される頻度の変更と、cron ジョブの詳細な設定は、/etc/foreman/plugins/foreman-tasks.yaml
ファイルのコンテンツを変更して行います。
8.6. 完全なディスクからのリカバリー
以下の手順では、Pulp データベースのある論理ボリューム (LV) に空きスペースがない場合の解決方法について説明します。
完全なディスクからのリカバリー
- 実行中の Pulp タスクを完了させます。新たなタスクは開始しないでください。ディスクに空きスペースがないため、失敗することになります。
/var/lib/pulp
ディレクトリーのある LV に十分な空きスペースがあることを確認します。以下のような方法があります。孤立したコンテンツを削除します:
# foreman-rake katello:delete_orphaned_content RAILS_ENV=production
これは 1 週間ごとに実行されるので、多くのスペースが解放されるわけではありません。
- できるだけ多くのリポートのダウンロードポリシーを 即時 から オンデマンド に変更し、ダウンロード済みパッケージを削除します。手順については、カスタマーポータルの Red Hat ナレッジソリューション How to change syncing policy for Repositories on Satellite 6.2 from "Immediate" to "On-Demand" を参照してください。
/var/lib/pulp
ディレクトリーのある LV 上のファイルシステムを拡張します。詳細は、論理ボリュームマネージャーの管理 の 論理ボリュームのファイルシステムの拡張 を参照してください。注記(ext3、ext4、または xfs などの) 通常外のファイルシステムを使用している場合は、そのファイルシステムをアンマウントして使用されていない状態にする必要があります。その場合、以下を実行します。
- Katello を停止します。
# katello-service stop
- LV 上のファイルシステムを拡張します。
- Katello サービスを再起動します。
# katello-service start
- ディスクに空きスペースがないために Pulp タスクが失敗していた場合は、それらのタスクを再実行します。
8.7. MongoDB からのディスク領域の確保
MongoDB データベースは、特に負荷の高いデプロイメントにおいて、ディスク領域を大幅に使用できます。以下の手順では、このディスク領域の一部を確保する方法を説明しています。
前提条件
- MongoDB データベースのバックアップ。バックアップ作成の説明については 「Pulp コンテンツなしでのバックアップの実行」 を参照してください。
Pulp サービスの停止。
# systemctl stop goferd httpd pulp_workers pulp_celerybeat \ pulp_resource_manager pulp_streamer
MongoDB からのディスク領域の確保
MongoDB シェルにアクセスします。
# mongo pulp_database
修復前の MongoDB のディスク領域の使用量を確認します。
> db.stats()
- 現在の MongoDB データベースに 2 GB を足したサイズに相当する空のディスク領域があることを確認します。MongoDB データベースを含むボリュームに十分な領域がない場合、別のボリュームをマウントし、これを修復に使用することができます。
修復コマンドを入力します。
> db.repairDatabase()
データベースのサイズによっては、修復コマンドは、その他すべての操作をブロックし、完了までに長い時間がかかる場合があることに注意してください。
修復後の MongoDB のディスク領域の使用量を確認します。
> db.stats()
Pulp サービスを開始します。
# systemctl start goferd httpd pulp_workers pulp_celerybeat \ pulp_resource_manager pulp_streamer
8.8. Red Hat Satellite からのカスタマーポータルサービスへのアクセス
Red Hat Access の事前インストール済みプラグインを使用すると、Satellite Web UI 内から複数の Red Hat カスタマーポータルサービスにアクセスできます。
Red Hat Access プラグインは以下のサービスを提供します。
- Search: Satellite Web UI 内からカスタマーポータルのソリューションを検索します。
- Logs: 問題解決に役に立つログファイルの特定の部分 (スニペット) を送信します。これらのログスニペットは Red Hat カスタマーポータルの診断ツールチェーンに送信します。
- Support: Satellite Web UI 内で、作成されたサポートケースにアクセスしたり、作成されたサポートケースを変更したり、新しいサポートケースを作成したりします。
Red Hat カスタマーポータルのリソースにアクセスするには、Red Hat カスタマーポータルのユーザー ID とパスワードを使ってログインする必要があります。
8.8.1. Red Hat Access プラグインでのソリューションの検索
Red Hat Access プラグインは、Red Hat カスタマーポータルで利用できるソリューションデータベースを参照する検索機能を提供します。
Red Hat Satellite Server からのソリューション検索:
- 画面右上で、Red Hat Access > 検索 をクリックします。
必要に応じて、Red Hat カスタマーポータルにログインします。右上のメインパネルで Log In (ログイン) をクリックします。
注記Red Hat カスタマーポータルのリソースにアクセスするには、Red Hat カスタマーポータルのユーザー ID とパスワードを使ってログインする必要があります。
- Red Hat Search フィールドに検索クエリーを入力します。検索結果が左側の 推奨項目 リストに表示されます。
- 推奨項目 リストでソリューションをクリックします。ソリューションの記事がメインパネルに表示されます。
8.8.2. Red Hat Access プラグインでのログの使用
ログファイルビューアーを使用すると、ログファイルを表示し、ログの一部を分離できます。また、カスタマーポータルの診断ツールでログの一部を送信して、問題解決のサポートを受けることもできます。
Red Hat Satellite Server からのログ診断ツールの使用:
- 画面右上で、Red Hat Access > ログ をクリックします。
必要に応じて、Red Hat カスタマーポータルにログインします。右上のメインパネルで ログイン をクリックします。
注記Red Hat カスタマーポータルのリソースにアクセスするには、Red Hat カスタマーポータルのユーザー ID とパスワードを使ってログインする必要があります。
- 左側にあるファイルツリーで、ログファイルを選択し、ファイル名をクリックします。
- ファイルの選択 をクリックします。ポップアップウィンドウに、ログファイルの内容が表示されます。
- ログファイルで、診断するテキストセクションを強調表示すると、Red Hat 診断 ボタンが有効になります。
- Red Hat 診断 をクリックします。これにより、強調表示された情報が Red Hat カスタマーポータルに送信され、提供されたログ情報に近似するソリューションが提供されます。
ソリューションの結果によって、以下のいずれかに従います。
- ソリューションが問題に一致する場合は、ソリューションをクリックし、必要な手順を実行して問題のトラブルシューティングを行います。
- ソリューションが問題に一致しない場合は、サポートケースを新規作成 をクリックします。サポートケースには、ログファイルの強調表示されたテキストが入力されます。「Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの作成」 を参照してください。
8.8.3. Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの表示
Red Hat Access プラグインを使用すると、Red Hat Satellite Server から既存のサポートケースを表示できます。
Red Hat Satellite Server から既存サポートケースを表示:
- 画面右上で、Red Hat Access > サポート > マイケース をクリックします。
必要に応じて、Red Hat カスタマーポータルにログインします。右上のメインパネルで ログイン をクリックします。
注記Red Hat カスタマーポータルのリソースにアクセスするには、Red Hat カスタマーポータルのユーザー ID とパスワードを使ってログインする必要があります。
以下のいずれかを実行し、既存のケースの中から特定のサポートケースを検索します。
- 検索 フィールドにキーワードまたはフレーズを入力します。
- ドロップダウンリストから、特定の ケースグループ を選択します。ケースグループ は、ユーザーの組織により Red Hat カスタマーポータル内で定義されています。
- ケースのステータスを選択します。
- 検索結果から特定のサポートケースを選択し、ケース ID をクリックすると、サポートケースが表示されます。
8.8.4. Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの編集
Red Hat Access プラグインを使用して、Red Hat Satellite Server から既存のサポートケースを編集することができます。
Red Hat Satellite Server Web UI からのサポートケースの更新:
- 「Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの表示」 の手順を完了します。
サポートケースで、マークされたセクションにスクロールダウンし、以下のことを行います。
添付ファイル: システムからローカルファイルを添付します。分かりやすくするために、ファイル名を追加してください。
注記ファイル名は 80 文字未満にしてください。Web UI を使用してアップロードする添付ファイルの最大サイズは 250 MBです。ファイルのサイズがそれよりも大きい場合は、FTP を使用します。
- ケースコメント: グローバルサポートサービスに相談するケースに関する更新情報を追加します。情報の追加後に コメントの追加 をクリックします。
8.8.5. Red Hat Access プラグインを使用した既存サポートケースの作成
Red Hat Access プラグインを使用して、Red Hat Satellite Server から新規サポートケースを作成できます。
Red Hat Satellite Server を使用した新規サポートケースの作成:
- 画面右上で、Red Hat Access > サポート > 新規ケース をクリックします。
必要に応じて、Red Hat カスタマーポータルにログインします。右上のメインパネルで Log In (ログイン) をクリックします。
注記Red Hat カスタマーポータルのリソースにアクセスするには、Red Hat カスタマーポータルのユーザー ID とパスワードを使ってログインする必要があります。
製品 および 製品バージョン フィールドは、自動入力されます。以下のフィールドに入力します。
- 概要 — 問題の簡単な概要を記載します。
詳細 — 問題の詳細を記載します。
提供した概要に基づいて、推奨されるソリューションがメインパネルに表示されます。
- 次へ をクリックします。
以下のように適切なオプションを選択します。
- 重大度 — チケットの緊急度に応じて 4 (低)、3 (通常), 2 (高)、または 1 (緊急) を選択します。
- ケースグループ — 通知する必要があるメンバーに応じて、サポートケースに関連付けられたケースグループを作成します。Red Hat Satellite でケースグループを選択します。カスタマーポータル内でケースグループを作成します。
sosreport
の出力と必要なファイルを添付します。ファイルの詳細を追加し、ローカルファイルの添付 をクリックします。注記-
大規模なログファイルまたは多くの Satellite タスクがある場合は、
foreman-debug
の出力も添付することが推奨されます。 - ファイル名は 80 文字未満にしてください。Web UI を使用してアップロードする添付ファイルの最大サイズは 250 MBです。ファイルのサイズがそれよりも大きい場合は、FTP を使用します。
-
大規模なログファイルまたは多くの Satellite タスクがある場合は、
- 送信 をクリックします。システムによりケースがカスタマーポータルにアップロードされ、ケース番号が提供されます。
Red Hat ナレッジベースの https://access.redhat.com/articles/445443: Red Hat Access の Red Hat Support Tool の記事には、追加情報、例、および動画チュートリアルが含まれます。
8.9. Satellite Server での Red Hat Insights の使用
Red Hat Insights を使用すると、セキュリティー違反、パフォーマンスの低下、および安定性の消失に関連するシステムとダウンタイムを積極的に診断できます。ダッシュボードを使用して、安定性、セキュリティー、またはパフォーマンスの主要なリスクを素早く特定できます。また、カテゴリー別に分類したり、影響度および解決方法の詳細を表示したり、影響を受けたシステムを調べたりすることができます。
Red Hat Insights は、デフォルトで Satellite Server にインストールされます。Insights を Satellite Server で使用する前に、Red Hat Insights に移動して、Satellite 6 をクリックし、事前インストールチェックや Satellite Server の登録を行います。
8.10. Web UI での Satellite Server の監視
Satellite Server Web UI の 概要 ページで、以下の概要情報が確認できます。
- システムステータス (Capsule、利用可能なプロバイダー、コンピュートリソース、およびプラグインを含む)
- サポート情報
- システム情報
- バックエンドシステムの状態
- インストールされたパッケージ
概要 ページに移動するには:
- Satellite Server web UI の右上で 管理 > 概要 をクリックします。
Pulp の失敗後は、同期の遅延のため、最大 10 分間 Pulp のステータスが エラー ではなく、OK と表示される場合があります。