Red Hat Quay の管理

Red Hat Quay 3.6

Red Hat Quay の管理

概要

Red Hat Quay の管理

はじめに

Red Hat Quay レジストリーを展開した後、その展開をさらに設定、管理する方法は数多くあります。ここでは、以下のようなトピックを取り上げています。

  • Red Hat Quay の高度な設定
  • Red Hat Quay の新リリースを知らせる通知の設定
  • SSL および TLS 証明書による接続の保護
  • アクションログのストレージの Elasticsearch へのダイレクト
  • Clair によるイメージセキュリティースキャンの設定
  • コンテナーセキュリティー Operator での Pod イメージのスキャン
  • Quay Bridge Operator を使用した Red Hat Quay の OpenShift への統合
  • リポジトリーミラーリングによるイメージの反映
  • BitTorrent サービスによる Quay イメージの共有
  • LDAP によるユーザーの認証
  • Prometheus および Grafana メトリクスの Quay の有効化
  • Geo レプリケーションの設定
  • Quay のトラブルシューティング

第1章 Red Hat Quay の高度な設定

初期導入後の Red Hat Quay は、いくつかの異なるインターフェイスを使用して設定できます。

  • Red Hat Quay Config Tool: config モードで Quay コンテナーを実行すると、Red Hat Quay クラスターを設定するための Web ベースのインターフェイスが表示されます。この方法は、Red Hat Quay サービス自体のほとんどの設定に推奨される方法です。
  • config.yaml の編集: config.yaml ファイルには、Red Hat Quay クラスターの設定情報のほとんどが格納されています。このファイルを直接編集することは可能ですが、Config Tool では利用できない高度なチューニングやパフォーマンス機能を利用する場合にのみお勧めします。
  • Red Hat Quay の API: 一部の Red Hat Quay の設定は API を通じて行うことができます。

特定の機能のための設定は別のセクションで説明しますが、このセクションでは、それぞれのインターフェイスを使用して、より高度な設定を行う方法を説明します。

1.1. Red Hat Quay Config Tool を使用した Red Hat Quay の変更

Red Hat Quay Config Tool は、通常の Red Hat Quay サービスと共に config モードで Quay コンテナーを実行して利用できます。Config Tool の実行は、OpenShift 上で動作する Red Hat Quay クラスターの場合は、ホストシステム上で直接動作する場合とは異なります。

1.1.1. Red Hat Quay Operator からの Config Tool の実行

OpenShift から Red Hat Quay Operator を実行している場合は、おそらく Config Tool がすでに利用可能になっています。Config Tool にアクセスするには、次のようにします。

  1. OpenShift コンソールから、Red Hat Quay が実行されているプロジェクトを選択します。たとえば、quay-enterprise です。
  2. 左の列からネットワーク→ルートを選択します。次のイメージに示すように、Red Hat Quay アプリケーションと Config Tool の両方へのルートが表示されます。

    View the route to the Red Hat Quay Config Tool

  3. Config Tool へのルート (例: example-quayecosystem-quay-config) を選択し、選択します。ブラウザーに Config tool Web UI が表示されます。
  4. Modify configuration for this cluster を選択します。次のイメージに示すように、Config Tool が表示され、Red Hat Quay クラスターの機能を変更する準備ができています。

    Modify Red Hat Quay cluster settings from the Config Tool

  5. 必要な変更を行った後、Save Configuration Changes を選択します。Config Tool が変更内容を検証します。
  6. 必要に応じて、Continue Editing を選択して修正するか、Next を選択して次に進みます。
  7. プロンプトが表示されたら、Download Configuration を選択することをお勧めします。これにより、新しい config.yaml と、Red Hat Quay のセットアップで使用された証明書や鍵を含む tarball がダウンロードされます。
  8. Go to deployment rollout を選択し、Populate the configuration to deployments を選択します。Red Hat Quay の Pd が再起動となり、変更が有効になります。

保存された config.yaml ファイルは、設定の高度な変更を行うために使用することも、今後の参考のために保存しておくこともできます。

1.1.2. コマンドラインからの Config Tool の実行

podman コマンドや docker コマンドなどのツールを使用してホストシステムから直接 Red Hat Quay を実行している場合は、最初の Red Hat Quay の展開後に Config Tool を再起動して Red Hat Quay クラスターを変更することができます。以下に、実行する方法を説明します。

  1. quay をコンフィグモードで起動: 最初の quay ノードで以下を実行し、my-secret-password をあなたのパスワードに置き換えます。既存の設定バンドルを変更する場合は、レジストリーモードの場合と同様に、設定ディレクトリーを Quay コンテナーに簡単にマウントすることができます。

    # podman run --rm -it --name quay_config -p 8080:8080 \
        -v path/to/config-bundle:/conf/stack \
        registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 config my-secret-password
  2. ブラウザーを開く: Quay のコンフィグレーションツールが起動したら、コンフィグレーションツールを実行しているシステムの URL およびポート 8080 に向けてブラウザーを開きます (例: https://myquay.example.com:8080)。ユーザー名とパスワードの入力を求められます。

この時点で、前述のように Red Hat Quay クラスターの変更を開始することができます。

1.2. API を使用した Red Hat Quay の変更

Red Hat Quay API へのアクセス方法については、Red Hat Quay API ガイド を参照してください。

1.3. config.yaml ファイルを編集して Red Hat Quay の変更

Config Tool では利用できない高度な Red Hat Quay の設定は、config.yaml ファイルを直接編集することで実現できます。利用可能な設定は、Red Hat Quay 設定のスキーマ に記載されています。以下は、config.yaml ファイルで直接変更できる設定の例です。

1.3.1. Red Hat Quay のサインインに名前と会社を追加

以下のように設定すると、ユーザーが最初にサインインしたときに、名前と会社名を入力するプロンプトが表示されます。任意ですが、Red Hat Quay のユーザーに関する追加データを提供することができます。

+ FEATURE_USER_METADATA: true

1.3.2. TLS プロトコルの無効化

SSL_PROTOCOLS 設定を変更して、Red Hat Quay インスタンスでサポートしたくない SSL プロトコルを削除することができます。たとえば、デフォルトの SSL_PROTOCOLS : ['TLSv1','TLSv1.1','TLSv1.2'] から TLS v1 のサポートを削除するには、以下のように変更します。

+ SSL_PROTOCOLS : ['TLSv1.1','TLSv1.2']

1.3.3. API コールのレート制限

config.yaml に FEATURE_RATE_LIMITS パラメーターを追加すると、nginx は特定の API コールを 1 秒あたり 30 回に制限します。この機能が設定されていない場合、API コールは 1 秒間に 300 回に制限されます (事実上無制限)。利用可能なリソースがトラフィックで圧迫されないようにする必要がある場合、レート制限は重要な機能となります。

名前空間の中には、無制限のアクセスを必要とするものもあります (たとえば、CI/CD にとって重要であり、優先順位が高いなど)。この場合、それらの名前空間は、config.yaml の NON_RATE_LIMITED_NAMESPACES のリストに配置することができます。

1.3.4. データベースのコネクションプールの調整

Red Hat Quay は、すべてが同じコンテナー内で実行する多くの異なるプロセスで設定されています。これらのプロセスの多くは、データベースと連動しています。

有効にすると、データベースと対話する各プロセスには、コネクションプールが含まれます。これらのプロセスごとのコネクションプールは、最大 20 個の接続を維持するように設定されています。高負荷時には、Red Hat Quay コンテナー内のすべてのプロセスの接続プールを満たすことが可能です。特定の展開や負荷の下では、Red Hat Quay がデータベースの設定された最大接続数を超えないようにするための分析が必要になる場合があります。

時間が経つと、接続プールはアイドル接続を解放します。すべての接続をすぐに解除するには、Red Hat Quay の再起動が必要です。

データベース接続プールは、環境変数 DB_CONNECTION_POOLING={true|false} を設定して切り替えることができます。

データベース接続プーリングが有効な場合は、接続プールの最大サイズを変更することができます。これは、以下の config.yaml オプションを使用して実行できます。

DB_CONNECTION_ARGS:
  max_connections: 10

1.3.4.1. データベース接続引数

Red Hat Quay のデータベース接続設定は config.yaml ファイル内でカスタマイズすることができます。これらは、Postgres 用の psycopg2 や MySQL 用の pymysql のように、基礎となるデータベースドライバーに完全に依存しています。また、以下のように、Peewee のコネクションプーリング機構が使用する引数を渡すことも可能です。

DB_CONNECTION_ARGS:
  max_connections: n  # Max Connection Pool size. (Connection Pooling only)
  timeout: n  # Time to hold on to connections. (Connection Pooling only)
  stale_timeout: n  # Number of seconds to block when the pool is full. (Connection Pooling only)

1.3.4.2. データベース SSL 設定

DB_CONNECTION_ARGS で定義されたキーと値のペアは汎用的なものも、データベース固有のものもあります。特に、SSL 設定は、デプロイするデータベースによって異なります。

1.3.4.2.1. PostgreSQL SSL 接続引数

PostgreSQL SSL の設定例は以下のようになります。

DB_CONNECTION_ARGS:
  sslmode: verify-ca
  sslrootcert: /path/to/cacert

sslmode オプションは、セキュアな SSL/IP 接続がサーバーにネゴシエートされるかどうか、またはその優先度を決定します。モードは 6 つあります。

  • Disable: SSL 以外の接続のみを試行する。
  • allow: 初回は SSL 以外の接続を試行して、それに失敗すると SSL 接続を試行する。
  • preferred: (デフォルト) 初回は SSL を試行して、それに失敗すると SSL 以外の接続を試行する。
  • require: SSL 接続のみを試行する。ルート CA ファイルが存在する場合は、verify-ca が指定されているときと同じように、証明書を確認します。
  • verify-ca: SSL 接続のみを試行し、信頼された認証局 (CA) によりサーバー証明書が発行されていることを確認します。
  • verify-full: SSL 接続のみを試行します。信頼された CA によりサーバー証明書が発行され、要求されたサーバーのホスト名が証明書と一致することを確認します。

PostgreSQL の有効な引数び詳細は、https://www.postgresql.org/docs/current/libpq-connect.html を参照してください。

1.3.4.2.2. MySQL SSL 接続引数

MySQL SSL の設定例:

DB_CONNECTION_ARGS:
  ssl:
    ca: /path/to/cacert

MySQL の有効な接続引数の詳細は、https://dev.mysql.com/doc/refman/8.0/en/connecting-using-uri-or-key-value-pairs.html を参照してください。

1.3.4.3. HTTP 接続回数

環境変数を使用して、HTTP の同時接続数を指定することができます。これらは、全体として、または特定のコンポーネントに対して指定することができます。それぞれのデフォルトは、1 プロセスあたり 50 並列接続です。

環境変数:

WORKER_CONNECTION_COUNT_REGISTRY=n
WORKER_CONNECTION_COUNT_WEB=n
WORKER_CONNECTION_COUNT_SECSCAN=n
WORKER_CONNECTION_COUNT=n

特定のコンポーネントのカウントを指定すると、WORKER_CONNECTION_COUNT で設定された値が上書きされます。

1.3.4.4. ダイナミックなプロセスカウント

ダイナミックサイズのプロセスの量を推定するために、デフォルトでは以下の計算が行われます。

注記

Red Hat Quay は、マシン全体から利用可能な CPU 数を照会します。kubernetes やその他の非仮想化メカニズムを使用して適用された制限は、この動作に影響しません。Red Hat Quay はノード上のプロセッサーの合計数に基づいて計算します。記載されているデフォルト値は単なる目標値であり、最大値を超えてはならず、最小値を下回ってはならない。

以下の各プロセス量は、以下の環境変数を使ってオーバーライドすることができます。

  • registry - レジストリーアクションを処理するための HTTP エンドポイントを提供します。

    • 最小値: 8
    • 最大値: 64
    • デフォルト: $CPU_COUNT x 4
    • 環境変数: WORKER_COUNT_REGISTRY
  • web - ウェブベースのインターフェイス用の HTTP エンドポイントを提供します

    • 最小値: 2
    • 最大値: 32
    • デフォルト: $CPU_COUNT x 2
    • 環境変数: WORKER_COUNT_WEB
  • secscan - Clair と相互作用します。

    • 最小値: 2
    • 最大値: 4
    • デフォルト: $CPU_COUNT x 2
    • 環境変数: WORKER_COUNT_SECSCAN

1.3.4.5. 環境変数

Red Hat Quay では、環境変数を使用してデフォルトの動作をオーバーライドすることができます。この表では、各変数と、使用できる値を一覧にして説明しています。

表1.1 ワーカー数の環境変数

変数説明

WORKER_COUNT_REGISTRY

Quay コンテナー内のレジストリー要求を処理するプロセス数を指定します。

8 ~ 64 の整数

WORKER_COUNT_WEB

コンテナー内で UI/Web リクエストを処理するプロセスの数を指定します。

2 ~ 32 の整数

WORKER_COUNT_SECSCAN

コンテナー内でセキュリティースキャン (Clair など) の統合を処理するプロセス数を指定します。

2 ~ 4 の整数

DB_CONNECTION_POOLING

データベースのコネクションプーリングを切り替えます。3.4 では、デフォルトで無効になっています。

true または false

1.3.4.6. コネクションプーリングの停止

大量のユーザーアクティビティーを伴う Red Hat Quay の展開では、定期的に最大 2k のデータベース接続制限に達することがあります。このような場合、Red Hat Quay でデフォルトで有効になっているコネクションプーリングは、データベース接続数が指数関数的に増加する原因となるため、コネクションプーリングをオフにする必要があります。

コネクションプーリングをオフにしてもデータベース接続数が 2k に制限されるのを防ぐのに十分でない場合は、追加の対策を講じる必要があります。この場合、ワークロードに合わせてデータベースの最大接続数を増やす必要があるかもしれません。

第2章 コンフィグレーション API の利用

コンフィグレーションツールは、設定の構築、検証、バンドル、およびデプロイに使用できる 4 つのエンドポイントを示します。config-tool の API は、https://github.com/quay/config-tool/blob/master/pkg/lib/editor/API.md に記載されています。ここでは、API を使用して現在の設定を取得する方法と、変更した内容を検証する方法について説明します。

2.1. 初期設定値の取得

初めてコンフィグレーションツールを実行するときに、既存のコンフィグレーションがない場合は、デフォルトのコンフィグレーションを取得することができます。コンテナーをコンフィグモードで起動します。

$ sudo podman run --rm -it --name quay_config \
  -p 8080:8080 \
  registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 config secret

デフォルトを取得するには、コンフィグレーション API の config エンドポイントを使用します。

$ curl -X GET -u quayconfig:secret http://quay-server:8080/api/v1/config  | jq

返される値は、JSON 形式によるデフォルト設定です。

{
  "config.yaml": {
    "AUTHENTICATION_TYPE": "Database",
    "AVATAR_KIND": "local",
    "DB_CONNECTION_ARGS": {
      "autorollback": true,
      "threadlocals": true
    },
    "DEFAULT_TAG_EXPIRATION": "2w",
    "EXTERNAL_TLS_TERMINATION": false,
    "FEATURE_ACTION_LOG_ROTATION": false,
    "FEATURE_ANONYMOUS_ACCESS": true,
    "FEATURE_APP_SPECIFIC_TOKENS": true,
    ....
  }

}

2.2. 現在の設定の取得

すでに Quay レジストリーを設定してデプロイしている場合は、コンテナーを停止してコンフィグレーションモードで再起動し、既存のコンフィグレーションをボリュームとして読み込みます。

$ sudo podman run --rm -it --name quay_config \
  -p 8080:8080 \
  -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
  registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 config secret

現在の設定を取得するには、API の config エンドポイントを使用します。

$ curl -X GET -u quayconfig:secret http://quay-server:8080/api/v1/config  | jq

返される値は、データベースと Redis の設定データを含む、JSON 形式の現在の設定です。

{
  "config.yaml": {
    ....
    "BROWSER_API_CALLS_XHR_ONLY": false,
    "BUILDLOGS_REDIS": {
      "host": "quay-server",
      "password": "strongpassword",
      "port": 6379
    },
    "DATABASE_SECRET_KEY": "4b1c5663-88c6-47ac-b4a8-bb594660f08b",
    "DB_CONNECTION_ARGS": {
      "autorollback": true,
      "threadlocals": true
    },
    "DB_URI": "postgresql://quayuser:quaypass@quay-server:5432/quay",
    "DEFAULT_TAG_EXPIRATION": "2w",
    ....


  }

}

2.3. API による設定の検証

設定を検証するには、config/validate エンドポイントに設定を投稿します。

curl -u quayconfig:secret --header 'Content-Type: application/json' --request POST --data '
{
  "config.yaml": {
    ....
    "BROWSER_API_CALLS_XHR_ONLY": false,
    "BUILDLOGS_REDIS": {
      "host": "quay-server",
      "password": "strongpassword",
      "port": 6379
    },
    "DATABASE_SECRET_KEY": "4b1c5663-88c6-47ac-b4a8-bb594660f08b",
    "DB_CONNECTION_ARGS": {
      "autorollback": true,
      "threadlocals": true
    },
    "DB_URI": "postgresql://quayuser:quaypass@quay-server:5432/quay",
    "DEFAULT_TAG_EXPIRATION": "2w",
    ....

  }

} http://quay-server:8080/api/v1/config/validate | jq

返される値は、設定で見つかったエラーを含む配列です。設定が有効であれば、空の配列 [] が返されます。

2.4. 必須項目の決定

空の設定構造を config/validate エンドポイントに投稿することで、必須フィールドを決定することができます。

curl -u quayconfig:secret --header 'Content-Type: application/json' --request POST --data '
{
  "config.yaml": {
  }

} http://quay-server:8080/api/v1/config/validate | jq

返される値は、どのフィールドが必須であるかを示す配列です。

[
  {
    "FieldGroup": "Database",
    "Tags": [
      "DB_URI"
    ],
    "Message": "DB_URI is required."
  },
  {
    "FieldGroup": "DistributedStorage",
    "Tags": [
      "DISTRIBUTED_STORAGE_CONFIG"
    ],
    "Message": "DISTRIBUTED_STORAGE_CONFIG must contain at least one storage location."
  },
  {
    "FieldGroup": "HostSettings",
    "Tags": [
      "SERVER_HOSTNAME"
    ],
    "Message": "SERVER_HOSTNAME is required"
  },
  {
    "FieldGroup": "HostSettings",
    "Tags": [
      "SERVER_HOSTNAME"
    ],
    "Message": "SERVER_HOSTNAME must be of type Hostname"
  },
  {
    "FieldGroup": "Redis",
    "Tags": [
      "BUILDLOGS_REDIS"
    ],
    "Message": "BUILDLOGS_REDIS is required"
  }
]

第3章 Red Hat Quay のリリース通知の取得

Red Hat Quay の最新リリースや Red Hat Quay に関連するその他の変更を確認するには、Red Hat Customer Portal で更新通知に登録してください。通知に登録すると、Red Hat Quay の新しいバージョン、ドキュメントの更新、その他の Red Hat Quay のニュースをお知らせする通知を受け取ることができます。

  1. Red Hat カスタマーアカウントの認証情報を使用して Red Hat カスタマーポータル にログインします。
  2. ユーザー名 (右上隅) を選択すると、Red Hat Account とカスタマーポータルの選択項目が表示されます。 View account and portal selections
  3. Notifications を選択します。あなたのプロフィール活動ページが表示されます。
  4. Notifications タブを選択します。
  5. Manage Notifications を選択します。
  6. Follow を選択し、ドロップダウンボックスから Product を選択します。
  7. 製品の横にあるドロップダウンボックスで、Red Hat Quay を検索して選択します。 Select Products from notifications box
  8. SAVE NOTIFICATION ボタンを選択します。今後、Red Hat Quay 製品に新しいリリースなどの変更があった場合には、通知が届きます。

第4章 SSL を使用した Red Hat Quay への接続の保護

4.1. SSL の使用について

自己署名証明書 で Red Hat Quay を設定するには、認証局 (CA) を作成し、必要なキーおよび証明書ファイルを生成する必要があります。

以下の例では、/etc/hosts ファイルにエントリーを追加するなど、DNS または別の命名メカニズムを使用してサーバーホスト名 quay-server.example.com を設定していることを前提としています。

$ cat /etc/hosts
...
192.168.1.112   quay-server.example.com

4.2. 認証局を作成して証明書に署名

この手順の最後に、証明書ファイルと、ssl.cert および ssl.key という名前のプライマリーキーファイルがあります。

4.2.1. 認証局の作成

  1. ルート CA キーを生成します。

    $ openssl genrsa -out rootCA.key 2048
  2. ルート CA 証明書を生成します。

    $ openssl req -x509 -new -nodes -key rootCA.key -sha256 -days 1024 -out rootCA.pem
  3. サーバーのホスト名など、証明書の要求に組み込まれる情報を入力します。以下に例を示します。

    Country Name (2 letter code) [XX]:IE
    State or Province Name (full name) []:GALWAY
    Locality Name (eg, city) [Default City]:GALWAY
    Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:QUAY
    Organizational Unit Name (eg, section) []:DOCS
    Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:quay-server.example.com

4.2.2. 証明書に署名

  1. サーバーキーを生成します。

    $ openssl genrsa -out ssl.key 2048
  2. 署名要求を生成します。

    $ openssl req -new -key ssl.key -out ssl.csr
  3. サーバーのホスト名など、証明書の要求に組み込まれる情報を入力します。以下に例を示します。

    Country Name (2 letter code) [XX]:IE
    State or Province Name (full name) []:GALWAY
    Locality Name (eg, city) [Default City]:GALWAY
    Organization Name (eg, company) [Default Company Ltd]:QUAY
    Organizational Unit Name (eg, section) []:DOCS
    Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:quay-server.example.com
  4. 以下のようにサーバーのホスト名を指定して、設定ファイルの openssl.cnf を作成します。

    openssl.cnf

    [req]
    req_extensions = v3_req
    distinguished_name = req_distinguished_name
    [req_distinguished_name]
    [ v3_req ]
    basicConstraints = CA:FALSE
    keyUsage = nonRepudiation, digitalSignature, keyEncipherment
    subjectAltName = @alt_names
    [alt_names]
    DNS.1 = quay-server.example.com
    IP.1 = 192.168.1.112

  5. 設定ファイルを使用して、証明書 ssl.cert を生成します。

    $ openssl x509 -req -in ssl.csr -CA rootCA.pem -CAkey rootCA.key -CAcreateserial -out ssl.cert -days 356 -extensions v3_req -extfile openssl.cnf

4.3. コマンドラインを使用した SSL の設定

別の方法として、コマンドラインインターフェイスを使用できます。

  1. 証明書ファイルとプライマリーキーファイルを設定ディレクトリーにコピーして、それぞれ ssl.certssl.key という名前が付けられていることを確認します。

    $ cp ~/ssl.cert $QUAY/config
    $ cp ~/ssl.key $QUAY/config
    $ cd $QUAY/config
  2. config.yaml ファイルを編集し、Quay で TLS を処理できるように指定します。

    config.yaml

    ...
    SERVER_HOSTNAME: quay-server.example.com
    ...
    PREFERRED_URL_SCHEME: https
    ...

  3. Quay コンテナーを停止し、レジストリーを再起動します。

    $ sudo podman rm -f quay
    $ sudo podman run -d --rm -p 80:8080 -p 443:8443 \
      --name=quay \
      -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
      -v $QUAY/storage:/datastorage:Z \
      registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8

4.4. UI を使用した SSL の設定

このセクションでは、Quay UI を使用して SSL を設定します。コマンドラインインターフェイスを使用して SSL を設定するには、以下のセクションを参照してください。

  1. Quay コンテナーを設定モードで起動します。

    $ sudo podman run --rm -it --name quay_config -p 80:8080 -p 443:8443 registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 config secret
  2. Server Configuration セクションで、TLS に Red Hat Quay handle TLS を選択します。先に作成した証明書ファイルとプライベートキーファイルをアップロードし、証明書の作成時に Server Hostname が使用された値と一致することを確認します。更新された設定を検証およびダウンロードします。
  3. Quay コンテナーを停止し、レジストリーを再起動します。

    $ sudo podman rm -f quay
    $ sudo podman run -d --rm -p 80:8080 -p 443:8443 \
    --name=quay \
    -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
    -v $QUAY/storage:/datastorage:Z \
    registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8

4.5. コマンドラインを使用した SSL 設定のテスト

  • podman login コマンドを使用して、SSL が有効になっている Quay レジストリーへのログインを試みます。

    $ sudo podman login quay-server.example.com
    Username: quayadmin
    Password:
    
    Error: error authenticating creds for "quay-server.example.com": error pinging docker registry quay-server.example.com: Get "https://quay-server.example.com/v2/": x509: certificate signed by unknown authority
  • Podman は自己署名証明書を信頼しません。回避策として、--tls-verify オプションを使用します。

    $ sudo podman login --tls-verify=false quay-server.example.com
    Username: quayadmin
    Password:
    
    Login Succeeded!

ルート認証局 (CA) を信頼するように Podman を設定する方法は、後続のセクションで説明します。

4.6. ブラウザーを使用した SSL 設定のテスト

Quay レジストリーへのアクセスを試みると (この場合は https://quay-server.example.com)、ブラウザーは潜在的なリスクについて警告します。

Potential risk

画面にログインすると、ブラウザーは接続が安全ではないことを通知します。

Connection not secure

ルート認証局 (CA) を信頼するようにシステムを設定する方法は、後続のセクションで説明します。

4.7. 認証局を信頼するように podman を設定する

Podman は、/etc/containers/certs.d/ および /etc/docker/certs.d/ の 2 つのパスを使用して CA ファイルを見つけます。

  • ルート CA ファイルをこれらの場所のいずれかにコピーし、サーバーのホスト名によって判別されるパスを使用して、ca.crt ファイルに名前を付けます。

    $ sudo cp rootCA.pem /etc/containers/certs.d/quay-server.example.com/ca.crt
  • または、Docker を使用している場合は、ルート CA ファイルを同等の Docker ディレクトリーにコピーします。

    $ sudo cp rootCA.pem /etc/docker/certs.d/quay-server.example.com/ca.crt

レジストリーにログインする際に、--tls-verify=false オプションを使用する必要がなくなります。

$ sudo podman login quay-server.example.com

Username: quayadmin
Password:
Login Succeeded!

4.8. 認証局を信頼するようにシステムを設定

  1. ルート CA ファイルを統合されたシステム全体のトラストストアにコピーします。

    $ sudo cp rootCA.pem /etc/pki/ca-trust/source/anchors/
  2. システム全体のトラストストア設定を更新します。

    $ sudo update-ca-trust extract
  3. trust list コマンドを使用して、Quay サーバーが設定されていることを確認できます。

    $ trust list | grep quay
        label: quay-server.example.com

    https://quay-server.example.com でレジストリーを参照すると、接続が安全であることを示すロックアイコンが表示されます。

    Connection not secure

  4. システム全体の信頼からルート CA を削除するには、ファイルを削除し、設定を更新します。

    $ sudo rm /etc/pki/ca-trust/source/anchors/rootCA.pem
    $ sudo update-ca-trust extract
    $ trust list | grep quay
    $

詳細は、RHEL 8 のドキュメントの 共有システム証明書の使用 について参照してください。

第5章 Red Hat Quay コンテナーへの TLS 証明書の追加

カスタム TLS 証明書を Red Hat Quay に追加するには、Red Hat Quay の config ディレクトリーの下に extra_ca_certs/ という名前の新しいディレクトリーを作成します。必要なサイト固有の TLS 証明書をこの新しいディレクトリーにコピーします。

5.1. TLS 証明書を Red Hat Quay に追加

  1. コンテナーに追加される証明書を表示します。

    $ cat storage.crt
    -----BEGIN CERTIFICATE-----
    MIIDTTCCAjWgAwIBAgIJAMVr9ngjJhzbMA0GCSqGSIb3DQEBCwUAMD0xCzAJBgNV
    [...]
    -----END CERTIFICATE-----
  2. certs ディレクトリーを作成し、そこに証明書をコピーします。

    $ mkdir -p quay/config/extra_ca_certs
    $ cp storage.crt quay/config/extra_ca_certs/
    $ tree quay/config/
    ├── config.yaml
    ├── extra_ca_certs
    │   ├── storage.crt
  3. Quay コンテナーの CONTAINER IDpodman ps で取得します。

    $ sudo podman ps
    CONTAINER ID        IMAGE                                COMMAND                  CREATED             STATUS              PORTS
    5a3e82c4a75f        <registry>/<repo>/quay:v3.6.8 "/sbin/my_init"          24 hours ago        Up 18 hours         0.0.0.0:80->80/tcp, 0.0.0.0:443->443/tcp, 443/tcp   grave_keller
  4. その ID でコンテナーを再起動します。

    $ sudo podman restart 5a3e82c4a75f
  5. コンテナーの名前空間にコピーされた証明書を調べます。

    $ sudo podman exec -it 5a3e82c4a75f cat /etc/ssl/certs/storage.pem
    -----BEGIN CERTIFICATE-----
    MIIDTTCCAjWgAwIBAgIJAMVr9ngjJhzbMA0GCSqGSIb3DQEBCwUAMD0xCzAJBgNV

5.2. Kubernetes へのデプロイ時に証明書を追加

Kubernetes にデプロイすると、Red Hat Quay は config アセットを保存するボリュームとしてシークレットにマウントします。残念ながら、これは現在、スーパーユーザーパネルの証明書のアップロード機能に干渉します。

このエラーを回避するには、Red Hat Quay が展開された 後に base64 エンコードされた証明書をシークレットに追加します。以下に、実行する方法を説明します。

  1. まず、証明書の内容を Base64 エンコードします。

    $ cat ca.crt
    -----BEGIN CERTIFICATE-----
    MIIDljCCAn6gAwIBAgIBATANBgkqhkiG9w0BAQsFADA5MRcwFQYDVQQKDA5MQUIu
    TElCQ09SRS5TTzEeMBwGA1UEAwwVQ2VydGlmaWNhdGUgQXV0aG9yaXR5MB4XDTE2
    MDExMjA2NTkxMFoXDTM2MDExMjA2NTkxMFowOTEXMBUGA1UECgwOTEFCLkxJQkNP
    UkUuU08xHjAcBgNVBAMMFUNlcnRpZmljYXRlIEF1dGhvcml0eTCCASIwDQYJKoZI
    [...]
    -----END CERTIFICATE-----
    
    $ cat ca.crt | base64 -w 0
    [...]
    c1psWGpqeGlPQmNEWkJPMjJ5d0pDemVnR2QNCnRsbW9JdEF4YnFSdVd3PT0KLS0tLS1FTkQgQ0VSVElGSUNBVEUtLS0tLQo=
  2. kubectl ツールを使用して、quay-enterprise-config-secret を編集します。

    $ kubectl --namespace quay-enterprise edit secret/quay-enterprise-config-secret
  3. 証明書のエントリーを追加し、エントリーの下に base64 エンコードされた文字列を完全に貼り付けます。

      custom-cert.crt:
    c1psWGpqeGlPQmNEWkJPMjJ5d0pDemVnR2QNCnRsbW9JdEF4YnFSdVd3PT0KLS0tLS1FTkQgQ0VSVElGSUNBVEUtLS0tLQo=
  4. 最後に、すべての Red Hat Quay Pod をリサイクルします。kubectl delete を使用して、すべての Red Hat Quay Pod を削除します。Red Hat Quay Deployment は、新しい証明書データを使用して交換用 Pod を自動的にスケジュールします。

第6章 Elasticsearch のアクションログストレージの設定

デフォルトでは、過去 3ヶ月分の使用ログが Red Hat Quay データベースに保存され、組織レベルとリポジトリーレベルで Web UI を介して公開されます。ログエントリーを見るには、適切な管理者権限が必要です。大量の操作ログが記録されるデプロイメントでは、Red Hat Quay データベースバックエンドの代わりに Elasticsearch に使用ログを保存できるようになりました。これを行うには、独自の Elasticsearch スタックを用意する必要があります。これは、カスタマイズ可能なコンポーネントとして Red Hat Quay に含まれていないためです。

Elasticsearch のロギングを有効にするには、Red Hat Quay のデプロイ中、またはデプロイ後に Red Hat Quay Config Tool を使用して行うことができます。出来上がった設定は、config.yaml ファイルに格納されます。一度設定すれば、使用ログへのアクセスは、これまでと同様に、リポジトリーや組織の Web UI を介して提供されます。

ここでは、アクションログストレージをデフォルトの Red Hat Quay データベースから Elasticsearch を使用するように変更するための設定方法を説明します。

  1. Elasticsearch のアカウントを取得します。
  2. Red Hat Quay Config Tool を開きます (Red Hat Quay のデプロイ中またはデプロイ後)。
  3. Action Log Storage Configuration 設定までスクロールし、Database の代わりに Elasticsearch を選択します。次の図は、表示される Elasticsearch の設定です。

    Choose Elasticsearch to view settings to store logs

  4. 使用する Elasticsearch インスタンスの以下の情報を入力します。

    • Elasticsearch hostname: Elasticsearch サービスを提供するシステムのホスト名または IP アドレス。
    • Elasticsearch port: 上で入力したホストで Elasticsearch サービスを提供しているポート番号。ポートが、Red Hat Quay レジストリーを実行しているすべてのシステムからアクセス可能でなければならないことに注意してください。デフォルトは TCP ポート 9200 です。
    • Elasticsearch access key: 必要に応じて、Elasticsearch サービスにアクセスするために必要なアクセスキーです。
    • Elasticsearch secret key: 必要に応じて、Elasticsearch サービスにアクセスするために必要な秘密鍵。
    • AWS region: AWS 上で運用している場合は、AWS リージョンを設定します (そうでない場合は、空欄のままです)。
    • Index prefix: ログエントリーに付ける接頭辞を選択します。
    • Logs Producer: Elasticsearch (デフォルト) または Kinesis のいずれかを選択し、ログを AWS 上の中間的な Kinesis ストリームに導きます。Kinesis から Elasticsearch (Logstash など) にログを送るには、独自のパイプラインを設定する必要があります。次の図は、Kinesis に必要な追加フィールドを示しています。

      On AWS optionally set up an intermediate Kinesis stream

  5. Logs Producer として Elasticsearch を選択した場合、これ以上の設定は必要ありません。Kinesis を選択した場合、以下を記入してください。

    • ストリーム名: Kinesis のストリームの名前。
    • AWS access key: Kinesis ストリームへのアクセスを得るために必要な AWS アクセスキーの名前 (必要な場合)。
    • AWS secret key: Kinesis ストリームにアクセスするために必要な AWS シークレットキーの名前 (必要な場合)。
    • AWS region: AWS のリージョン。
  6. 完了したら、設定を保存します。Config Tool が設定内容を検証します。Elasticsearch または Kinesis サービスへの接続に問題がある場合は、エラーが表示され、編集を続ける機会が与えられます。そうしないと、新しい設定に伴いでクラスターが再起動した後に、ロギングがあなたの Elasticsearch 設定に対して開始されます。

第7章 Clair セキュリティースキャン

Clair は、Red Hat Quay と共に使用できるマイクロサービスのセットで、一連の Linux オペレーティングシステムに関連付けられたコンテナーイメージの脆弱性スキャンを実行します。Clair のマイクロサービス設計は、エンタープライズ環境に合わせてコンポーネントを個別に拡張できるような、高いスケーラビリティーを持った設定で実行するのに適しています。

クレアは、以下の脆弱性データベースを利用して、お客様のイメージの問題点をスキャンします。

  • アルパイン SecDB データベース
  • AWS UpdateInfo
  • Debian Oval データベース
  • Oracle Oval データベース
  • RHEL Oval データベース
  • SUSE Oval データベース
  • Ubuntu Oval データベース
  • Pyup.io (python) データベース

Clair が異なるデータベースとのセキュリティーマッピングを行う方法については、ClairCore Severity Mapping を参照してください。

注記

Red Hat Quay 3.4 のリリースに伴い、以前の Clair V2 (image quay.io/redhat/clair-jwt) が新しい Clair V4 (image registry.redhat.io/quay/clair-rhel8) に完全に置き換わりました。V4 の更新中に V2 をリードオンリーモードで動作させる方法は以下を参照してください。

7.1. Red Hat Quay OpenShift デプロイメントでの Clair の設定

7.1.1. Quay Operator によるデプロイ

OpenShift 上の新しい Red Hat Quay デプロイメントに Clair V4 をセットアップするには、Quay Operator を使用することを強くお勧めします。デフォルトでは、Quay Operator は、Red Hat Quay のデプロイとともに Clair のデプロイメントをインストールまたはアップグレードし、Clair のセキュリティースキャンを自動的に設定します。

7.1.2. 手動で Clair をデプロイ

Clair V2 を実行している既存の Red Hat Quay OpenShift デプロイメントに Clair V4 を設定するには、まず Red Hat Quay が少なくともバージョン 3.4.0 にアップグレードされていることを確認します。その後、以下の手順で Clair V4 を Clair V2 と一緒に手動で設定します。

  1. 現在のプロジェクトを、Red Hat Quay が実行されているプロジェクトの名前に設定します。以下に例を示します。

    $ oc project quay-enterprise
  2. Clair v4 用の Postgres デプロイファイル (例: clairv4-postgres.yaml) を以下のように作成します。

    clairv4-postgres.yaml

    ---
    apiVersion: apps/v1
    kind: Deployment
    metadata:
      name: clairv4-postgres
      namespace: quay-enterprise
      labels:
        quay-component: clairv4-postgres
    spec:
      replicas: 1
      selector:
        matchLabels:
          quay-component: clairv4-postgres
      template:
        metadata:
          labels:
            quay-component: clairv4-postgres
        spec:
          volumes:
            - name: postgres-data
              persistentVolumeClaim:
                claimName: clairv4-postgres
          containers:
            - name: postgres
              image: postgres:11.5
              imagePullPolicy: "IfNotPresent"
              ports:
                - containerPort: 5432
              env:
                - name: POSTGRES_USER
                  value: "postgres"
                - name: POSTGRES_DB
                  value: "clair"
                - name: POSTGRES_PASSWORD
                  value: "postgres"
                - name: PGDATA
                  value: "/etc/postgres/data"
              volumeMounts:
                - name: postgres-data
                  mountPath: "/etc/postgres"
    ---
    apiVersion: v1
    kind: PersistentVolumeClaim
    metadata:
      name: clairv4-postgres
      labels:
        quay-component: clairv4-postgres
    spec:
      accessModes:
        - "ReadWriteOnce"
      resources:
        requests:
          storage: "5Gi"
        volumeName: "clairv4-postgres"
    ---
    apiVersion: v1
    kind: Service
    metadata:
      name: clairv4-postgres
      labels:
        quay-component: clairv4-postgres
    spec:
      type: ClusterIP
      ports:
        - port: 5432
          protocol: TCP
          name: postgres
          targetPort: 5432
      selector:
        quay-component: clairv4-postgres

  3. 以下のように、postgres データベースをデプロイします。

    $ oc create -f ./clairv4-postgres.yaml
  4. Clair v4 で使用する Clair config.yaml ファイルを作成します。以下に例を示します。

    config.yaml

    introspection_addr: :8089
    http_listen_addr: :8080
    log_level: debug
    indexer:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      scanlock_retry: 10
      layer_scan_concurrency: 5
      migrations: true
    matcher:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      max_conn_pool: 100
      run: ""
      migrations: true
      indexer_addr: clair-indexer
    notifier:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      delivery: 1m
      poll_interval: 5m
      migrations: true
    auth:
      psk:
        key: MTU5YzA4Y2ZkNzJoMQ== 1
        iss: ["quay"]
    # tracing and metrics
    trace:
      name: "jaeger"
      probability: 1
      jaeger:
        agent_endpoint: "localhost:6831"
        service_name: "clair"
    metrics:
      name: "prometheus"

    1
    Clair の PSK (pre-shared key) を生成するには、ユーザーインターフェイスの Security Scanner セクションで scanning を有効にし、Generate PSK をクリックします。

Clair の設定フォーマットの詳細は、アップストリームの Clair ドキュメント に記載されています。

  1. Clair の config.yaml からシークレットを作成します。

    $ oc create secret generic clairv4-config-secret --from-file=./config.yaml
  2. Clair v4 のデプロイメントファイル (例: clair-combo.yaml) を作成し、必要に応じて修正します。

    clair-combo.yaml

    ---
    apiVersion: extensions/v1beta1
    kind: Deployment
    metadata:
      labels:
        quay-component: clair-combo
      name: clair-combo
    spec:
      replicas: 1
      selector:
        matchLabels:
          quay-component: clair-combo
      template:
        metadata:
          labels:
            quay-component: clair-combo
        spec:
          containers:
            - image: registry.redhat.io/quay/clair-rhel8:v3.6.8  1
              imagePullPolicy: IfNotPresent
              name: clair-combo
              env:
                - name: CLAIR_CONF
                  value: /clair/config.yaml
                - name: CLAIR_MODE
                  value: combo
              ports:
                - containerPort: 8080
                  name: clair-http
                  protocol: TCP
                - containerPort: 8089
                  name: clair-intro
                  protocol: TCP
              volumeMounts:
                - mountPath: /clair/
                  name: config
          imagePullSecrets:
            - name: redhat-pull-secret
          restartPolicy: Always
          volumes:
            - name: config
              secret:
                secretName: clairv4-config-secret
    ---
    apiVersion: v1
    kind: Service
    metadata:
      name: clairv4 2
      labels:
        quay-component: clair-combo
    spec:
      ports:
        - name: clair-http
          port: 80
          protocol: TCP
          targetPort: 8080
        - name: clair-introspection
          port: 8089
          protocol: TCP
          targetPort: 8089
      selector:
        quay-component: clair-combo
      type: ClusterIP

    1
    イメージを最新のクレアのイメージ名とバージョンに変更します。
    2
    サービスを clairv4 に設定すると、Clair v4 のスキャナーエンドポイントは、Red Hat Quay の config.yaml の SECURITY_SCANNER_V4_ENDPOINThttp://clairv4 と入力します。
  3. 以下のように Clair v4 の配置を作成します。

    $ oc create -f ./clair-combo.yaml
  4. Red Hat Quay 配置の config.yaml ファイルを変更して、最後に以下のエントリーを追加します。

    FEATURE_SECURITY_NOTIFICATIONS: true
    FEATURE_SECURITY_SCANNER: true
    SECURITY_SCANNER_V4_ENDPOINT: http://clairv4 1
    1
    Clair v4 サービスのエンドポイントの特定
  5. 修正した config.yaml を、そのファイルを含むシークレット (たとえば quay-enterprise-config-secret) に再デプロイします。

    $ oc delete secret quay-enterprise-config-secret
    $ oc create secret generic quay-enterprise-config-secret --from-file=./config.yaml
  6. 新しい config.yaml を有効にするには、Red Hat Quay の Pod を再起動する必要があります。quay-app の Pod を削除するだけで、更新された設定の Pod がデプロイされます。

この時点で、名前空間のホワイトリストで特定された組織のイメージは、Clair v4 によってスキャンされます。

7.2. OpenShift ではない Red Hat Quay のデプロイメントに Clair をセットアップ

OpenShift 上で稼働していない Red Hat Quay のデプロイメントでは、Clair のセキュリティースキャンを手動で設定することが可能です。すでに Clair V2 を実行している Red Hat Quay のデプロイメントは、以下の手順で Clair V4 をデプロイメントに追加することができます。

  1. (フォールトトレラントが望ましい) Postgres データベースサーバーを導入します。なお、Clair は Postgres データベースに uuid-ossp エクステンションを追加する必要があります。Clair の config.yaml で指定されたユーザーが、拡張機能を作成するのに必要な権限を持っている場合は、Clair 自身によって自動的に追加されます。そうでない場合は、Clair を起動する前に拡張機能を追加する必要があります。この拡張子がない場合は、Clair を起動しようとすると以下のエラーが表示されます。

    ERROR: Please load the "uuid-ossp" extension. (SQLSTATE 42501)
  2. 特定のフォルダーで Clair 設定ファイルを作成します (例: /etc/clairv4/config/config.yaml)。

    config.yaml

    introspection_addr: :8089
    http_listen_addr: :8080
    log_level: debug
    indexer:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      scanlock_retry: 10
      layer_scan_concurrency: 5
      migrations: true
    matcher:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      max_conn_pool: 100
      run: ""
      migrations: true
      indexer_addr: clair-indexer
    notifier:
      connstring: host=clairv4-postgres port=5432 dbname=clair user=postgres password=postgres sslmode=disable
      delivery_interval: 1m
      poll_interval: 5m
      migrations: true
    
    # tracing and metrics
    trace:
      name: "jaeger"
      probability: 1
      jaeger:
        agent_endpoint: "localhost:6831"
        service_name: "clair"
    metrics:
      name: "prometheus"

Clair の設定フォーマットの詳細は、アップストリームの Clair ドキュメント に記載されています。

  1. コンテナーイメージ経由で Clair を実行し、作成したファイルから設定をマウントします。

    $ podman run -p 8080:8080 -p 8089:8089 -e CLAIR_CONF=/clair/config.yaml -e CLAIR_MODE=combo -v /etc/clair4/config:/clair -d registry.redhat.io/quay/clair-rhel8:v3.6.8
  2. 新しい Clair V4 エンドポイントを使用するために Red Hat Quay を設定するには、前のセクションの残りの指示に従ってください。

この形で複数の Clair コンテナーを実行することも可能ですが、1 つのコンテナーを超えるデプロイメントシナリオでは、Kubernetes や OpenShift などのコンテナーオーケストレーターの使用を強く推奨します。

7.3. クレールの使用

  1. Red Hat Quay クラスターにログインし、Clair スキャンを設定した組織を選択します。
  2. その組織からいくつかのイメージを保持するリポジトリーを選択し、左のナビゲーションからタグを選択します。次の図は、2 枚のイメージがスキャンされたリポジトリーの例です。

    Security scan information appears for scanned repository images

  3. 脆弱性が発見された場合は、イメージのセキュリティースキャン欄を選択すると、すべての脆弱性または修正可能な脆弱性が表示されます。次の図は、見つかったすべての脆弱性の情報を示しています。

    See all vulnerabilities or only those that are fixable

7.4. 脆弱性情報データベース (NVD: National Vulnerability Database) の CVE 評価

Clair v4.2 では、エンリッチメントデータを Quay UI で表示できるようになりました。さらに、Clair v4.2 は、検出された脆弱性について National Vulnerability Database から CVSS スコアを追加します。

この変更により、脆弱性の CVSS スコアがディストリビューションのスコアの 2 レベル以内である場合は、デフォルトで Quay UI present が、ディストリビューションのスコアになります。以下に例を示します。

Clair v4.2 data display

これは以前のインターフェイスとは異なり、以下の情報のみを表示します。

Clair v4 data display

7.5. 切断された環境のための Clair の設定

Clair は、アップデータと呼ばれる一連のコンポーネントを利用して、様々な脆弱性データベースからのデータのフェッチとパースを処理します。これらのアップデータは、インターネットから直接脆弱性データを取得するようにデフォルトで設定されており、すぐに使用することができます。インターネットに直接アクセスできない切断された環境にいるお客様にとっては、これは問題となります。クレアは、ネットワークの分離を考慮した様々なタイプの更新ワークフローに対応することで、これらの環境をサポートします。clairctl コマンドラインユーティリティーを使用すると、どのプロセスでも、オープンホスト経由でインターネットからアップデータを取得し、そのデータを隔離されたホストに安全に転送し、隔離されたホスト上のアップデータを Clair 本体にインポートすることが簡単にできます。

その手順は以下の通りです。

  1. まず、Clair の設定で、自動化されたアップデータの実行が無効になっていることを確認してください。

    config.yaml

    matcher:
      disable_updaters: true

  2. 最新のアップデータをローカルのアーカイブに書き出します。このためには、バイナリーとして直接実行するか、Clair コンテナーイメージを介して実行できる clairctl ツールが必要です。Clair の設定が /etc/clairv4/config/config.yaml にあり、コンテナーイメージ経由で実行できるとします。

    $ podman run -it --rm -v /etc/clairv4/config:/cfg:Z -v /path/to/output/directory:/updaters:Z --entrypoint /bin/clairctl registry.redhat.io/quay/clair-rhel8:v3.6.8 --config /cfg/config.yaml export-updaters  /updaters/updaters.gz

    なお、Clair の設定を細かく参照する必要があります。これにより、/etc/clairv4/updaters/updaters.gz にアップデーターのアーカイブが作成されます。ソースデータベースからエラーなしにアーカイブが作成されたことを確認する場合は、--strict フラグを clairctl に指定できます。アーカイブファイルは、Clair を起動している切断されたホストからアクセス可能なボリュームにコピーしてください。切断されたホストから、今度は同じ手順で Clair にアーカイブをインポートします。

    $ podman run -it --rm -v /etc/clairv4/config:/cfg:Z -v /path/to/output/directory:/updaters:Z --entrypoint /bin/clairctl registry.redhat.io/quay/clair-rhel8:v3.6.8 --config /cfg/config.yaml import-updaters /updaters/updaters.gz

7.6. Clair アップデーター URL

以下は、Clair がデフォルト設定で対話を試みる HTTP ホストおよびパスです。一部のサーバーではリダイレクトが実行されたり、一部の要求 URL は動的に構築されるため、この一覧はすべてを網羅している訳ではありません。

  • https://secdb.alpinelinux.org/
  • http://repo.us-west-2.amazonaws.com/2018.03/updates/x86_64/mirror.list
  • https://cdn.amazonlinux.com/2/core/latest/x86_64/mirror.list
  • https://www.debian.org/security/oval/
  • https://linux.oracle.com/security/oval/
  • https://packages.vmware.com/photon/photon_oval_definitions/
  • https://github.com/pyupio/safety-db/archive/
  • https://catalog.redhat.com/api/containers/
  • https://www.redhat.com/security/data/
  • https://support.novell.com/security/oval/
  • https://people.canonical.com/~ubuntu-security/oval/

7.7. 追加情報

マイクロサービスがどのように設定されているかなど、Clair の内部に関する詳細なドキュメントは、Upstream Clair および ClairCore のドキュメントを参照してください。

第8章 コンテナーセキュリティー Operator での Pod イメージのスキャン

Container Security Operator (CSO) を使用すると、OpenShift (4.2 以降) やその他の Kubernetes プラットフォーム上で動作するアクティブな Pod に関連するコンテナーイメージをスキャンし、既知の脆弱性を確認することができます。CSO は、以下を行います。

  • すべての namespace または指定された namespace の Pod に関連付けられたコンテナーを監視します。
  • イメージのレジストリーがイメージスキャンをサポートしている場合 (Clair スキャンを備えた Quay レジストリーなど) は、コンテナーの元となったコンテナーレジストリーに脆弱性情報を問い合わせます。
  • Kubernetes API の ImageManifestVuln オブジェクトを使用して脆弱性を公開します。

この手順を使用すると、CSO は marketplace-operators namespace にインストールされ、OpenShift クラスターのすべての namespace で利用可能になります。

注記

CSO を Kubernetes にインストールする手順を見るには、Container Security OperatorHub.io のページから Install ボタンを選択します。

8.1. OpenShift での CSO の実行

OpenShift で CSO の使用を開始するには、次のようにします。

  1. Operators → OperatorHub (Security を選択) で、利用可能な Container Security Operator が表示されます。
  2. Container Security Operator を選択し、Install を選択して Create Operator Subscription ページに移動します。
  3. 設定 (デフォルトでは、全ネームスペースと自動承認戦略) を確認し、Subscribe を選択します。しばらくすると、Installed Operators 画面に Container Security が表示されます。
  4. 必要に応じて、カスタム証明書を CSO に追加できます。以下の例では、現在のディレクトリーに quay.crt という名前の証明書を作成します。その後、次のコマンドを実行して、CSO に証明書を追加します (新しい証明書を有効にするために、Operator Pod を再起動します)。

    $ oc create secret generic container-security-operator-extra-certs --from-file=quay.crt -n openshift-operators
  5. OpenShift Dashboard を開きます (Home → Dashboards)。Image Security へのリンクが status セクションに表示され、これまでに見つかった脆弱性の数の一覧が表示されます。リンクを選択すると、次の図のようにセキュリティーの内訳が表示されます。

    Access SCO scanning data from OpenShift dashboard

  6. この時点で、検出された脆弱性をフォローするために以下の 2 つのいずれかの操作を実行できます。

    • 脆弱性へのリンクを選択します。コンテナーのレジストリー、Red Hat Quay、またはコンテナーを取得したその他のレジストリーに移動し、脆弱性に関する情報が表示されます。以下の図は、Quay.io レジストリーから検出された脆弱性の例を示しています。

      The CSO points you to a registry containing the vulnerable image

    • namespaces のリンクを選択すると、ImageManifestVuln 画面が表示され、選択したイメージの名前と、そのイメージが実行されているすべてのネームスペースが表示されます。以下の図は、特定の脆弱なイメージが 2 つの namespace で実行されていることを示しています。

      View namespaces a vulnerable image is running in

この時点では、脆弱性のあるイメージや、イメージの脆弱性を解決するために必要なこと、およびイメージが実行されたすべての namespace を確認できます。以下を実行することができます。

  • 脆弱性を修正する必要のあるイメージを実行しているユーザーに警告します。
  • イメージが置かれている Pod を起動したデプロイメントまたは他のオブジェクトを削除して、イメージの実行を停止します。

なお、Pod を削除した場合は、ダッシュボード上で脆弱性がリセットされるまでに数分かかることがあります。

8.2. CLI からイメージの脆弱性を問い合わせ

コマンドラインからセキュリティーに関する情報を照会することができます。検出された脆弱性を照会するには、次のように入力します。

$ oc get vuln --all-namespaces
NAMESPACE     NAME              AGE
default       sha256.ca90...    6m56s
skynet        sha256.ca90...    9m37s

特定の脆弱性の詳細を表示するには、脆弱性の 1 つを特定し、その名前空間および describe オプションを指定します。以下の例は、イメージに脆弱性のある RPM パッケージが含まれるアクティブなコンテナーを示しています。

$ oc describe vuln --namespace mynamespace sha256.ac50e3752...
Name:         sha256.ac50e3752...
Namespace:    quay-enterprise
...
Spec:
  Features:
    Name:            nss-util
    Namespace Name:  centos:7
    Version:         3.44.0-3.el7
    Versionformat:   rpm
    Vulnerabilities:
      Description: Network Security Services (NSS) is a set of libraries...

第9章 Bridge Operator で Red Hat Quay を OpenShift に統合

Quay Bridge Operator を使用すると、OpenShift の統合コンテナーレジストリーを Red Hat Quay レジストリーで置き換えることができます。これにより、統合された OpenShift レジストリーは、ロールベースのアクセスコントロール (RBAC) 機能が強化された、可用性の高いエンタープライズグレードの Red Hat Quay レジストリーになります。

Bridge Operator の主な目的は、統合された OpenShift レジストリーの機能を、新しい Red Hat Quay レジストリーに複製することです。この Operator で可能な機能は以下の通りです。

  • Red Hat Quay の組織として OpenShift の名前空間を同期させます。

    • デフォルトネームスペースのサービスアカウントごとのロボットアカウントの作成
    • 作成されたロボットアカウントごとにシークレットを作成 (各ロボットシークレットをサービスアカウントに Mountable と Image Pull Secret として関連付ける)。
    • OpenShift の ImageStream を Quay のリポジトリーとして同期させる
  • Red Hat Quay に出力するために ImageStream を使用して新しいビルドを自動的に書き換えます。
  • ビルドが完了すると自動的に ImageStream タグをインポートします。

Quay Bridge Operator でこの手順を使用すると、Red Hat Quay と OpenShift クラスター間の双方向通信が有効になります。

9.1. Quay Bridge Operator の実行

9.1.1. 前提条件

Bridge Operator をセットアップする前に、以下のものを用意してください。

  • スーパーユーザー権限を持つ既存の Red Hat Quay 環境
  • クラスター管理者権限を持つ Red Hat OpenShift Container Platform 環境 (4.2 以降を推奨)
  • OpenShift のコマンドラインツール (oc コマンド)

9.1.2. OpenShift および Red Hat Quay のセットアップおよび設定

Red Hat Quay と OpenShift の両方の設定が必要です。

9.1.3. Red Hat Quay のセットアップ

Red Hat Quay の専用組織を作成し、その組織内で作成した新規アプリケーションから、OpenShift の Quay Bridge Operator で使用する OAuth トークンを生成します。

  1. スーパーユーザー権限を持つユーザーとして Red Hat Quay にログインし、外部アプリケーションを設定する組織を選択します。
  2. 左のナビゲーションで Applications を選択します。
  3. Create New Application を選択し、新しいアプリケーションの名前を入力します (例: openshift)。
  4. 新しいアプリケーションが表示された状態で、それを選択します。
  5. 左側のナビゲーションで Generate Token を選択し、新しい OAuth2 トークンを作成します。
  6. すべてのチェックボックスを選択して、統合に必要なアクセスを許可します。
  7. 割り当てられた権限を確認し、Authorize Application を選択して確認します。
  8. 生成された Access Token は、次のセクションで使用するためにコピーして保存します。

9.1.4. OpenShift のセットアップ

Quay Bridge Operator に OpenShift をセットアップするには、以下のようないくつかのステップが必要です。

9.1.4.1. Operator のデプロイ

Operator をデプロイする最も高速な方法は、OperatorHub からデプロイすることです。OpenShift Web コンソールの Administrator パースペクティブで、Operators タブに移動し、OperatorHub を選択します。

Quay Bridge Operator を検索し、Install を選択します。

Approval Strategy を選択して、Install を選択すると、Operator をクラスターにデプロイします。

9.1.4.2. OAuth トークンの OpenShift シークレットの作成

Operator は以前に取得したアクセストークンを使用して Quay と通信します。このトークンをシークレットとして OpenShift に保存します。

以下のコマンドを実行して、アクセストークンが含まれる token というキーを使用して、openshift-operators namespace に quay-integration というシークレットを作成します。

$ oc create secret -n openshift-operators generic quay-integration --from-literal=token=<access_token>

9.1.4.3. QuayIntegration カスタムリソースの作成

最後に、OpenShift と Quay の間のインテグレーションを完了するには、QuayIntegration カスタムリソースを作成する必要があります。これは、Web コンソールまたはコマンドラインから実行できます。

quay-integration.yaml

apiVersion: quay.redhat.com/v1
kind: QuayIntegration
metadata:
  name: example-quayintegration
spec:
  clusterID: openshift  1
  credentialsSecret:
    namespace: openshift-operators
    name: quay-integration2
  quayHostname: https://<QUAY_URL>   3
  insecureRegistry: false 4

1
clusterID の値は、エコシステム全体で一意でなければなりません。この値はオプションで、デフォルトでは openshift が使用されます。
2
credentialsSecret プロパティーは、以前に作成されたトークンが含まれるシークレットの namespace および名前を参照します。
3
QUAY_URL を Red Hat Quay インスタンスのホスト名に置き換えてください。
4
Quay が自己署名証明書を使用している場合は、insecureRegistry: true プロパティーを設定します。

QuayIntegration カスタムリソースを作成します。

$ oc create -f quay-integration.yaml

この時点で Quay の統合リソースが作成され、OpenShift クラスターと Red Hat Quay インスタンスがリンクされます。Quay 内の組織は、OpenShift 環境の関連の namespace 用に作成する必要があります。

第10章 リポジトリーのミラーリング

10.1. リポジトリーのミラーリング

Red Hat Quay リポジトリーミラーリングを使用すると、外部コンテナーレジストリー (または別のローカルレジストリー) から Red Hat Quay クラスターにイメージをミラーリングできます。リポジトリーミラーリングを使用すると、リポジトリー名とタグに基づいてイメージを Red Hat Quay に同期できます。

リポジトリーミラーリングが有効にされた Red Hat Quay クラスターから、以下を実行できます。

  • 外部のレジストリーからミラーリングするリポジトリーを選択する。
  • 外部レジストリーにアクセスするための認証情報を追加する。
  • 同期する特定のコンテナーイメージリポジトリー名とタグを特定する。
  • リポジトリーが同期される間隔を設定する。
  • 同期の現在の状態を確認する。

ミラーリング機能を使用するには、以下を行う必要があります。

  • Red Hat Quay 設定で Repository Mirroring を有効にする。
  • リポジトリーミラーリングワーカーを実行する。
  • ミラーリングされたリポジトリーを作成する。

すべてのリポジトリーミラーリングの設定は、コンフィグレーションツールの UI または Quay API を使用して行うことができます。

10.2. リポジトリーのミラーリングと geo レプリケーションの比較

Quay の geo レプリケーションは、データベースが共有されている間に、2 つ以上の異なるストレージバックエンド間でイメージストレージのバックエンドデータ全体をミラーリングします (2 つの異なる blob ストレージエンドポイントを持つ 1 つの Quay レジストリー)。geo レプリケーションの主なユースケースは以下のとおりです。

  • 地理的に分散する設定向けのバイナリー Blob へのアクセス速度を上げる
  • イメージのコンテンツがリージョン全体で同じであることを保証する

リポジトリーのミラーリングは、選択されたリポジトリー (またはリポジトリーのサブセット) をあるレジストリーから別のレジストリーに同期します。レジストリーは固有であり、別個のデータベースおよびイメージストレージです。ミラーリングの主なユースケースは、以下のとおりです。

  • 異なるデータセンターまたはリージョンでの独立したレジストリーのデプロイメント。ここでは、すべてのコンテンツの特定のサブセットがデータセンター/リージョン間で共有されることになっています。
  • 外部レジストリーからローカル Quay デプロイメントへの選択された (ホワイトリスト化された) アップストリームリポジトリーの自動同期またはミラーリング
注記

リポジトリーのミラーリングと Geo レプリケーションを同時に使用できます。

表10.1 Red Hat Quay リポジトリーのミラーリングと Geo レプリケーションの比較

機能と性能Geo レプリケーションリポジトリーのミラーリング

設計されている機能

グローバルに共有されるレジストリー

独立した異なるレジストレーション

レプリケーションやミラーリングがまだ完了していない場合はどうなるか ?

リモートコピーを使用する (遅くなります)

イメージが表示されない

両地域のすべてのストレージバックエンドへのアクセスが必要か ?

はい (すべての Red Hat Quay ノード)。

いいえ (個別のストレージ)

ユーザーは両方のサイトのイメージを同じリポジトリーにプッシュできるか ?

はい

いいえ

すべてのレジストリーの内容と設定がすべての地域で同一であるか (共有データベース)

はい

いいえ

ユーザーはミラーリングする個別の namespace またはリポジトリーを選択できるか ?

デフォルトでは、いいえ。

はい

ユーザーは同期ルールにフィルターを適用できるか ?

いいえ

はい

10.3. リポジトリーミラーリングの使用

ここでは、Red Hat Quay リポジトリーミラーリングの機能と制限について説明します。

  • リポジトリーのミラーリングでは、リポジトリー全体をミラーリングしたり、同期するイメージを選択的に制限したりできます。フィルターは、タグのコンマ区切りの一覧、タグの範囲、または正規表現でタグを特定する他の方法によります。
  • ミラーリングされたリポジトリーとして設定されると、そのリポジトリーに他のイメージを手動で追加することはできません。
  • ミラーリングされたリポジトリーは、設定されたリポジトリーとタグに基づいているため、レポ/タグのペアで表されるコンテンツのみを保持します。つまり、リポジトリーの一部のイメージがこれ以上一致しないようにタグを変更すると、これらのイメージは削除されます。
  • 指定されたロボットだけが、ミラーリングされたリポジトリーにイメージをプッシュすることができ、リポジトリーに設定されたロールベースのアクセスコントロール権限に優先します。
  • ミラーリングされたリポジトリーでは、ユーザーは (読み取り権限を与えられて) リポジトリーからイメージを引き出すことはできますが、リポジトリーにイメージをプッシュすることはできません。
  • ミラーリングされたリポジトリーの設定の変更は、作成するミラーリングされたリポジトリーについての Repositories ページの Mirrors タブから行われます。
  • イメージは一定の間隔で同期されますが、必要に応じて同期することもできます。

10.4. 設定のミラーリング UI

  1. 設定モードで Quay コンテナーを起動し、Enable Repository Mirroring チェックボックスを選択します。HTTPS 通信を必要とし、ミラーリング時に証明書を検証する必要がある場合は、HTTPS を選択し、証明書の検証のチェックボックスを選択します。

    Enable mirroring and require HTTPS and verified certificates

  2. configuration を検証し、ダウンロードしてから、更新された設定ファイルを使用してレジストリーモードで Quay を再起動します。

10.5. 設定フィールドのミラーリング

表10.2 ミラーリング設定

フィールドタイプ説明

FEATURE_REPO_MIRROR

ブール値

リポジトリーミラーリングの有効化または無効化を行います。

デフォルト: false

 

 

 

REPO_MIRROR_INTERVAL

数値

次にリポジトリーミラー候補をチェックするまでの秒数
デフォルト: 30

REPO_MIRROR_SERVER_HOSTNAME

文字列

SERVER_HOSTNAME は、ミラーリングの宛先に置き換えます。

デフォルト: None

:
openshift-quay-service

REPO_MIRROR_TLS_VERIFY

ブール値

HTTPS を必要とし、ミラー時に Quay レジストリーの証明書を検証します。

デフォルト: false

10.6. ミラーリングワーカー

  • リポジトリーのミラーリングワーカーを実行するには、repomirror オプションを指定して Quay Pod を起動します。

    $ sudo podman run -d --name mirroring-worker \
      -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
      registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 repomirror
  • 証明書 /root/ca.crt を使用して TLS 通信を設定している場合、以下の例ではミラーリングワーカーの起動方法を示します。

    $ sudo podman run -d --name mirroring-worker \
      -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
      -v /root/ca.crt:/etc/pki/ca-trust/source/anchors/ca.crt \
      registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8 repomirror

10.7. ミラーリングされたリポジトリーの作成

以下のセクションで説明する手順は、Red Hat Quay クラスターの設定でリポジトリーのミラーリングが有効にされており、リポジトリーミラーリングワーカーをデプロイしていることを前提としています。

外部コンテナーレジストリーからリポジトリーをミラーリングする場合は、新しいプライベートリポジトリーを作成します。通常、ターゲットリポジトリーと同じ名前が使用されます (例: quay-rhel8)。

Create new Red Hat Quay repo

10.7.1. リポジトリーのミラーリングの設定

  1. Settings タブで、Repository State を Mirror に設定します。

    Create a new Red Hat Quay repo mirror

  2. Mirror タブで、タグ、スケジューリング、およびアクセス情報と共に外部レジストリーに接続するための情報を入力します。

    Repository mirroring

  3. 必要に応じて、以下のフィールドに詳細を入力します。

    • Registry Location: ミラーリングする外部リポジトリー (例: registry.redhat.io/quay/quay-rhel8)。
    • Tags: このフィールドは必須です。個別のタグまたはタグパターンのコンマ区切りの一覧を入力できます。(詳細は、タグパターン のセクションを参照してください。)

      注記

      Quay がリモートリポジトリーのタグの一覧を取得するには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。

      • latest タグのあるイメージがリモートリポジトリー OR に存在している必要があります
      • パターンの一致のない少なくとも 1 つの明示的なタグが、指定するタグの一覧に存在する必要があります。
    • Start Date: ミラーリングが開始する日付。現在の日時がデフォルトで使用されます。
    • Sync Interval: デフォルトで 24 時間ごとの同期に設定されます。これは時間または日に基づいて変更できます。
    • Robot User: 新しい robot アカウントを作成するか、または既存の robot アカウントを選択してミラーリングを実行します。
    • Username: ミラーリングするリポジトリーを保持する外部レジストリーにアクセスするためのユーザー名。
    • Password: ユーザー名に関連付けられたパスワード。パスワードにはエスケープ文字 (\) を必要とする文字を含めることができないことに注意してください。

10.7.2. 詳細設定

  • Advanced Settings セクションで、必要な場合は TLS およびプロキシーを設定します。
  • Verify TLS: ターゲットリモートレジストリーと通信する際に、HTTPS が必要であり、証明書を検証する必要がある場合にこのボックスにチェックを付けます。
  • HTTP Proxy: リモートサイトへのアクセスに必要な HTTP プロキシーサーバーを特定します (必要な場合)。
  • HTTP Proxy: リモートサイトへのアクセスに必要な HTTPS プロキシーサーバーを特定します (必要な場合)。
  • No Proxy: プロキシーを必要としない場所の一覧。

10.7.3. 今すぐ同期する

  • 即時にミラーリング操作を実行するには、リポジトリーの Mirroring タブで Sync Now ボタンを押します。ログは、Usage Logs タブで利用できます。

    Usage logs

    ミラーリングが完了すると、イメージは Tags タブに表示されます。

    Repository mirroring tags

    以下は、完了した Repository Mirroring 画面の例です。

    Repository mirroring details

10.8. ミラーリングのイベント通知

リポジトリーミラーリングには、3 つの通知イベントがあります。

  • リポジトリーミラーリングの開始
  • リポジトリーのミラーリングの成功
  • リポジトリーミラーリングの失敗

イベントの設定は、各リポジトリーの Settings タブ内で行うことができ、メール、slack、Quay UI、Web フックなど、既存のすべての通知方法に対応しています。

10.9. タグパターンのミラーリング

上述のように、少なくとも 1 つのタグが明示的に入力されている (つまりタグパターンではない)、または タグ latest がレポートリポジトリーに存在している必要があります。(タグ latest は、タグリストで指定されていないと同期されません。)これは Quay がリモートリポジトリーのタグリストを取得し、ミラーリングするために指定したリストと比較するために必要です。

10.9.1. パターン構文

パターン

説明

*

すべての文字に一致します。

?

任意の単一文字に一致します。

[seq]

seq の任意の文字と一致します。

[!seq]

seq にない文字と一致します。

10.9.2. タグのパターン例

パターン例

マッチの例

v3*

v32、v3.1、v3.2、v3.2-4beta、v3.3

v3.*

v3.1、v3.2、v3.2-4beta

v3.?

v3.1、v3.2、v3.3

v3.[12]

v3.1、v3.2

v3.[12]*

v3.1、v3.2、v3.2-4beta

v3.[!1]*

v3.2、v3.2-4beta、v3.3

10.10. ミラーリングされたリポジトリーの使用

ミラーリングされたリポジトリーを作成した後、そのリポジトリーを操作する方法はいくつかあります。Repositories ページからミラーリングされたリポジトリーを選択し、以下のいずれかを行います。

  • リポジトリーの有効化/無効化: 左列の Mirroring ボタンを選択してから Enabled チェックボックスを切り替え、一時的にリポジトリーを有効または無効にします。
  • ミラーログの確認: ミラーリングされたリポジトリーが正常に動作していることを確認するために、ミラーログを確認することができます。そのためには、左カラムの Usage Logs ボタンを選択します。以下に例を示します。

    View logs for your Red Hat Quay repo mirror

  • 今すぐミラーを同期: リポジトリー内のイメージをすぐに同期するには、Sync Now ボタンを選択します。
  • クレデンシャルの変更: ユーザー名とパスワードを変更するには、Credentials の行から DELETE を選択します。その後、なしを選択し、プロンプトが表示されたら、外部レジストリーにログインするために必要なユーザー名とパスワードを追加します。
  • ミラーリングのキャンセル: ミラーリングを中止するには、CANCEL ボタンを選択します。これにより、現在のイメージはそのまま利用できますが、新しいイメージは同期されなくなります。
  • ロボットのパーミッション設定: Red Hat Quay のロボットアカウントは、外部のリポジトリーにアクセスするための認証情報を保持する名前付きのトークンです。ロボットに認証情報を割り当てることで、そのロボットは、同じ外部レジストリーにアクセスする必要のある複数のミラーリングされたリポジトリーで使用することができます。

    既存のロボットをリポジトリーに割り当てるには、Account Settings を開き、左カラムの Robot Accounts アイコンを選択します。ロボットアカウントの場合は、REPOSITORIES 欄のリンクを選択します。ポップアップウィンドウから、以下のことができます。

    • そのロボットにどのリポジトリーが割り当てられているかを確認します。
    • この図に示されている PERMISSION フィールドから対象のロボットに読み取り、書き込み、または管理者権限を割り当てます。 Assign a robot to mirrored repo
  • ロボット認証情報の変更: ロボットは、Kubernetes の秘密、Docker のログイン情報、Mesos のバンドルなどの認証情報を保持することができます。ロボットの認証情報を変更するには、Robot Accounts ウィンドウのロボットのアカウント行にある Options ギアを選択し、View Credentials を選択します。ロボットがアクセスする必要のある外部リポジトリーの適切な認証情報を追加します。

    Assign permission to a robot

  • 一般設定の確認と変更: ミラーリングされたリポジトリーのページの左カラムから設定ボタン (歯車のアイコン) を選択します。表示されるページでは、ミラーリングされたリポジトリーに関連する設定を変更できます。特に、ユーザーやロボットのパーミッションを変更して、どのユーザーやロボットがレポジトリーを読み書きできるかを正確に指定することができます。

10.11. リポジトリーのミラーリングの推奨事項

  • リポジトリーミラーリング Pod は、Quay がすでに稼働している他のノードを含め、どのノードでも実行できます。
  • リポジトリーのミラーリングは、データベースでスケジュールされ、一括して実行されます。その結果、ワーカーが増えれば、より多くのバッチが処理されるため、ミラーリングが速くなる可能性があります。
  • ミラーリング Pod の最適な数は、以下の要素により変わります。

    • ミラーリングされるリポジトリーの合計数
    • リポジトリー内のイメージやタグの数と変更の頻度
    • 並列バッチ
  • すべてのミラーリングされたリポジトリーが同時に起動しないように、ミラーリングのスケジュールをバランスよく設定する必要があります。
  • ユーザー数が約 1000 人、リポジトリー数が約 1000 個、ミラーリングされたリポジトリー数が約 100 個の中規模のデプロイメントでは、3 ~ 5 個のミラーリング Pod を使用し、必要に応じて 10 個にスケールアップすることを想定しています。

第11章 OpenShift Container Platform デプロイメントでの Red Hat Quay のバックアップおよび復元

このセクションの内容を使用して、OpenShift Container Platform デプロイメントで Red Hat Quay をバックアップおよび復元します。

11.1. Red Hat Quay のバックアップ

この手順は、OpenShift Container Platform および NooBaa デプロイメント専用です。

前提条件

  • OpenShift Container Platform での Red Hat Quay デプロイメント。

手順

  1. QuayRegistry カスタムリソースをエクスポートしてバックアップします。

    $ oc get quayregistry <quay-registry-name> -n <quay-namespace> -o yaml > quay-registry.yaml
  2. 作成される quayregistry.yaml を編集し、ステータスセクションおよび以下のメタデータフィールドを削除します。

      metadata.creationTimestamp
      metadata.finalizers
      metadata.generation
      metadata.resourceVersion
      metadata.uid
  3. 管理対象キーシークレットをバックアップします。

    注記

    Red Hat Quay 3.7.0 より前のバージョンを実行している場合は、この手順を省略できます。一部のシークレットは Quay の初回デプロイ時に自動的に生成されます。これらは QuayRegistry namespace の <quay-registry-name>-quay-registry-managed-secret-keys というシークレットに保存されます。

    $ oc get secret -n <quay-namespace> <quay-registry-name>-quay-registry-managed-secret-keys -o yaml > managed-secret-keys.yaml
  4. 作成される managed-secret-keys.yaml ファイルを編集し、すべての所有者の参照を削除します。managed-secret-keys.yaml ファイルは、以下のようになります。

    apiVersion: v1
    kind: Secret
    type: Opaque
    metadata:
      name: <quayname>-quay-registry-managed-secret-keys
      namespace: <quay-namespace>
    data:
      CONFIG_EDITOR_PW: <redacted>
      DATABASE_SECRET_KEY: <redacted>
      DB_ROOT_PW: <redacted>
      DB_URI: <redacted>
      SECRET_KEY: <redacted>
      SECURITY_SCANNER_V4_PSK: <redacted>

    data プロパティーの情報はすべて同じままにする必要があります。

  5. 現在の Quay 設定をバックアップします。

    $ oc get secret -n <quay-namespace>  $(oc get quayregistry <quay-registry-name> -n <quay-namespace>  -o jsonpath='{.spec.configBundleSecret}') -o yaml > config-bundle.yaml
  6. Quay Pod 内にマウントされた /conf/stack/config.yaml ファイルをバックアップします。

    $ oc exec -it quay-pod-name -- cat /conf/stack/config.yaml > quay-config.yaml
  7. Quay、Quay Operator をスケールダウンします。

    $  oc scale --replicas=0 deployment $(oc get deployment -n <quay-operator-namespace> |awk '/^quay-operator/ {print $1}') -n <quay-operator-namespace>
  8. Quay namespace をスケールダウンします。

    $ oc scale --replicas=0 deployment $(oc get deployment -n <quay-namespace> -l quay-component=quay -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}') -n <quay-namespace>
  9. registry-quay-app Pod が消えるのを待ちます。以下のコマンドを実行してステータスを確認できます。

    $ oc get pods -n <quay-namespace>

    出力例:

    registry-quay-config-editor-77847fc4f5-nsbbv   1/1     Running            0          9m1s
    registry-quay-database-66969cd859-n2ssm        1/1     Running            0          6d1h
    registry-quay-mirror-758fc68ff7-5wxlp          1/1     Running            0          8m29s
    registry-quay-mirror-758fc68ff7-lbl82          1/1     Running            0          8m29s
    registry-quay-redis-7cc5f6c977-956g8           1/1     Running            0          5d21h
  10. Quay PostgreSQL Pod 名を特定します。

    $ oc get pod -l quay-component=postgres -n <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}'

    テスト出力:

quayregistry-quay-database-59f54bb7-58xs7
  1. Quay データベース名を取得します。

    $ oc -n <quay-namespace> rsh $(oc get pod -l app=quay -o NAME -n <quay-namespace> |head -n 1) cat /conf/stack/config.yaml|awk -F"/" '/^DB_URI/ {print $4}'
    quayregistry-quay-database
  2. バックアップデータベースをダウンロードします。

    $ oc exec quayregistry-quay-database-59f54bb7-58xs7 -- /usr/bin/pg_dump -C quayregistry-quay-database  > backup.sql
  3. AWS_ACCESS_KEY_ID をデコードし、エクスポートします。

    $ export AWS_ACCESS_KEY_ID=$(oc get secret -l app=noobaa -n <quay-namespace>  -o jsonpath='{.items[0].data.AWS_ACCESS_KEY_ID}' |base64 -d)
  4. AWS_SECRET_ACCESS_KEY_ID をデコードし、エクスポートします。

    $ export AWS_SECRET_ACCESS_KEY=$(oc get secret -l app=noobaa -n <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].data.AWS_SECRET_ACCESS_KEY}' |base64 -d)
  5. 新しいディレクトリーを作成し、すべての Blob をそのディレクトリーにコピーします。

    $ mkdir blobs
    $ aws s3 sync --no-verify-ssl --endpoint https://$(oc get route s3 -n openshift-storage  -o jsonpath='{.spec.host}')  s3://$(oc get cm -l app=noobaa -n <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].data.BUCKET_NAME}') ./blobs
注記

AWS コマンドラインユーティリティーの代わりに、rclone または sc3md を使用することもできます。

  1. Quay、Quay Operator をスケールアップします。

    $  oc scale --replicas=1 deployment $(oc get deployment -n <quay-operator-namespace> |awk '/^quay-operator/ {print $1}') -n <quay-operator-namespace>
  2. Quay namespace をスケールアップします。

    $ oc scale --replicas=1 deployment $(oc get deployment -n <quay-namespace> -l quay-component=quay -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}') -n <quay-namespace>
  3. Operator のステータスを確認します。

    $ oc get quayregistry <quay-registry-name> -n <quay-namespace> -o yaml

    出力例:

    apiVersion: quay.redhat.com/v1
    kind: QuayRegistry
    metadata:
      ...
      name: example-registry
      namespace: <quay-namespace>
      ...
    spec:
      components:
      - kind: quay
        managed: true
      ...
      - kind: clairpostgres
        managed: true
      configBundleSecret: init-config-bundle-secret
    status:
      configEditorCredentialsSecret: example-registry-quay-config-editor-credentials-fg2gdgtm24
      configEditorEndpoint: https://example-registry-quay-config-editor-quay-enterprise.apps.docs.gcp.quaydev.org
      currentVersion: 3.7.0
      lastUpdated: 2022-05-11 13:28:38.199476938 +0000 UTC
      registryEndpoint: https://example-registry-quay-quay-enterprise.apps.docs.gcp.quaydev.org
         0          5d21h

11.2. Red Hat Quay の復元

この手順は、Red Hat Quay Operator がデータベースを管理する際に Red Hat Quay を復元するために使用されます。これは、Quay レジストリーのバックアップが実行された後に実行する必要があります。

前提条件

  • Red Hat Quay は、Quay Operator を使用して OpenShift Container Platform にデプロイされている。
  • Red Hat Quay データベースがバックアップされている。

手順

  1. バックアップされた Quay 設定とランダムに生成された鍵を復元します。

    $ oc create -f ./config-bundle.yaml
    $ oc create -f ./managed-secret-keys.yaml
    注記

    エラー Error from server (AlreadyExists): error when creating "./config-bundle.yaml": secrets "config-bundle-secret" already exists が発生した場合は、$ oc delete Secret config-bundle-secret -n <quay-namespace> を使用して既存リソースを削除し、$ oc create -f ./config-bundle.yaml で再作成する必要があります。

  2. QuayRegistry カスタムリソースを復元します。

    $ oc create -f ./quay-registry.yaml
  3. Quay、Quay Operator をスケールダウンします。

    $  oc scale --replicas=0 deployment $(oc get deployment -n <quay-operator-namespace> |awk '/^quay-operator/ {print $1}') -n <quay-operator-namespace>
  4. Quay namespace をスケールダウンします。

    $ oc scale --replicas=0 deployment $(oc get deployment -n <quay-namespace> -l quay-component=quay -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}') -n <quay-namespace>
  5. Quay データベース Pod を特定します。

    $ oc get pod -l quay-component=postgres -n  <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}'

    出力例:

    quayregistry-quay-database-59f54bb7-58xs7
  6. ローカル環境および Pod にコピーして、バックアップをアップロードします。

    $ oc cp ./backup.sql -n <quay-namespace> registry-quay-database-66969cd859-n2ssm:/tmp/backup.sql
  7. データベースに対してリモートターミナルを開きます。

    $ oc rsh -n <quay-namespace> registry-quay-database-66969cd859-n2ssm
  8. psql を入力します。

    bash-4.4$ psql
  9. 以下のコマンドを実行してデータベースを一覧表示できます。

    postgres=# \l

    出力例:

                                                      List of databases
               Name            |           Owner            | Encoding |  Collate   |   Ctype    |   Access privileges
    ----------------------------+----------------------------+----------+------------+------------+-----------------------
    postgres                   | postgres                   | UTF8     | en_US.utf8 | en_US.utf8 |
    quayregistry-quay-database | quayregistry-quay-database | UTF8     | en_US.utf8 | en_US.utf8 |
  10. データベースを削除します。

    postgres=# DROP DATABASE "quayregistry-quay-database";

    出力例:

    DROP DATABASE
  11. postgres CLI を終了して bash-4.4 を再入力します。

    \q
  12. PostgreSQL データベースをバックアップデータベースにリダイレクトします。

    sh-4.4$ psql < /tmp/backup.sql
  13. bash を終了します。

    sh-4.4$ exit
  14. AWS_ACCESS_KEY_ID をエクスポートします。

    $ export AWS_ACCESS_KEY_ID=$(oc get secret -l app=noobaa -n <quay-namespace>  -o jsonpath='{.items[0].data.AWS_ACCESS_KEY_ID}' |base64 -d)
  15. AWS_SECRET_ACCESS_KEY をエクスポートします。

    $ export AWS_SECRET_ACCESS_KEY=$(oc get secret -l app=noobaa -n <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].data.AWS_SECRET_ACCESS_KEY}' |base64 -d)
  16. 以下のコマンドを実行して、すべての Blob をバケットにアップロードします。

    $ aws s3 sync --no-verify-ssl --endpoint https://$(oc get route s3 -n openshift-storage  -o jsonpath='{.spec.host}') ./blobs  s3://$(oc get cm -l app=noobaa -n <quay-namespace> -o jsonpath='{.items[0].data.BUCKET_NAME}')
  17. Quay、Quay Operator をスケールアップします。

    $  oc scale --replicas=1 deployment $(oc get deployment -n <quay-operator-namespace> |awk '/^quay-operator/ {print $1}') -n <quay-operator-namespace>
  18. Quay namespace をスケールアップします。

    $ oc scale --replicas=1 deployment $(oc get deployment -n <quay-namespace> -l quay-component=quay -o jsonpath='{.items[0].metadata.name}') -n <quay-namespace>
  19. Operator のステータスをチェックして、オンラインに戻ることを確認します。

    $ oc get quayregistry -n <quay-namespace> <registry-name> -o yaml

    出力例:

    apiVersion: quay.redhat.com/v1
    kind: QuayRegistry
    metadata:
      ...
      name: example-registry
      namespace: quay-enterprise
      ...
    spec:
      components:
      - kind: quay
        managed: true
      ...
      - kind: clairpostgres
        managed: true
      configBundleSecret: init-config-bundle-secret
    status:
      configEditorCredentialsSecret: example-registry-quay-config-editor-credentials-fg2gdgtm24
      configEditorEndpoint: https://example-registry-quay-config-editor-quay-enterprise.apps.docs.gcp.quaydev.org
      currentVersion: 3.7.0
      lastUpdated: 2022-05-11 13:28:38.199476938 +0000 UTC
      registryEndpoint: https://example-registry-quay-quay-enterprise.apps.docs.gcp.quaydev.org
         0          5d21h

第12章 Red Hat Quay の LDAP 認証設定

LDAP (Lightweight Directory Access Protocol) は、IP ネットワークで分散ディレクトリー情報サービスにアクセスし、これを維持するために使用するオープンな、ベンダーに依存しない業界標準のアプリケーションプロトコルです。Red Hat Quay は ID プロバイダーとして LDAP の使用をサポートしています。

12.1. LDAP を有効にする前の考慮事項

12.1.1. 既存の Quay デプロイメント

ユーザーがすでに設定されている既存の Quay デプロイメントで LDAP を有効にすると、ユーザー名との競合が発生する可能性があります。LDAP を有効にする前に、Quay で特定のユーザー alice を手動作成したシナリオを考慮してください。ユーザー名 alice が LDAP ディレクトリーにも存在する場合に、alice が LDAP を使用して初回ログインしたときに、Quay は新規ユーザー alice-1 を作成し、LDAP 認証情報をこのアカウントにマップします。これは、整合性の理由から望ましくない可能性があり、LDAP を有効にする前に、Quay からローカルのアカウント名で競合する可能性のある名前を削除することを推奨します。

12.1.2. 手動ユーザーの作成と LDAP 認証

Quay が LDAP 用に設定されていて、設定オプション FEATURE_USER_CREATIONtrue に設定されている場合は、LDAP 認証ユーザーが最初のログイン時に Quay のデータベースに自動的に作成されます。このオプションを false に設定すると、LDAP ユーザーの自動ユーザー作成に失敗し、ユーザーはログインできません。このシナリオでは、スーパーユーザーが最初に必要なユーザーアカウントを作成する必要があります。一方、FEATURE_USER_CREATIONtrue に設定されている場合は、LDAP に同等のユーザーがある場合でも、ユーザーは Quay ログイン画面からもアカウントを作成できます。

12.2. LDAP の設定

設定ツールで認証の項目を探し、ドロップダウンメニューから LDAP を選択します。必要に応じて LDAP 設定項目を更新してください。

Fill in LDAP information

  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
AUTHENTICATION_TYPE: LDAP

12.2.1. 完全な LDAP URI

LDAP server URI LDAP server SSL

  • ldap:// または ldaps:// の接頭辞を含む、完全な LDAP URI。
  • ldaps:// で始まる URI は、提供された SSL 証明書を使用して TLS の設定を行います。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
LDAP_URI: ldaps://ldap.example.org

12.2.2. チームシンクロナイゼーション

Team synchronization

  • この機能を有効にすると、スーパーユーザーである組織管理者は、チームのメンバーシップを LDAP の下位グループと同期させるように設定できます。

Team synchronization

  • 再同期期間とは、チームを再同期させる必要がある期間のことです。継続時間を文字列形式で表現する必要があります (30m、1h、1d)。
  • オプションとして、管理者である組織の下で、スーパーユーザー以外の人がチームの同期を有効にして管理できるようにします。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
FEATURE_TEAM_SYNCING: true
TEAM_RESYNC_STALE_TIME: 60m
FEATURE_NONSUPERUSER_TEAM_SYNCING_SETUP: true

12.2.3. ベースおよび相対的な区別された名前

Distinguished Names

  • すべての LDAP レコードを検索するための基本パスとなる識別名のパス。たとえば、dc=my,dc=domain,dc=com です。
  • すべてのユーザーの LDAP レコードを検索するための第二のベースパスとなる、上記で定義したベース DN に相対する識別名パスのリスト (オプション)。これらのパスは、プライマリーの相対的な DN でユーザーを見つけられなかった場合に試行されます。
  • User Relative DN は BaseDN からの相対的なものです。たとえば、ou=NYC,dc=example,dc=org ではなく ou=NYC です。
  • ユーザーオブジェクトが配置されている Organizational Unit が複数ある場合は、Secondary User Relative DN を複数入力することができます。複数の RDN を追加するには、Organizational Unit を入力して Add ボタンをクリックします。たとえば、ou=Users,ou=NYC および ou=Users,ou=SFO です。
  • User Relative DN はサブツリーのスコープで検索します。たとえば、組織に Users OU 下に組織単位 NYC および SFO がある場合 (ou=SFO,ou=Users および ou=NYC,ou=Users)、Red Hat Quay は、ユーザー相対 DN がユーザーに設定されている場合 (ou=Users)、 NYC および SFO 組織単位のどちらのユーザーも認証できます。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
LDAP_BASE_DN:
- dc=example
- dc=com
LDAP_USER_RDN:
- ou=users
LDAP_SECONDARY_USER_RDNS:
- ou=bots
- ou=external

12.2.4. ユーザーフィルターの追加

User filters

  • 指定された場合は、すべてのユーザー検索クエリーで使用される追加フィルターとなります。なお、フィルターで使用する識別名はすべて 完全 パスでなければならず、ベース DN はここでは自動的に追加されません。括弧でくくる必要があります。たとえば、(&(someFirstField=someValue)(someOtherField=someOtherValue)) です。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
LDAP_USER_FILTER: (memberof=cn=developers,ou=groups,dc=example,dc=com)

12.2.5. 管理者 DN

Administrator DN

  • 管理者アカウントの Distinguished Name (識別名) と Password (パスワード)。このアカウントは、ログインしてすべてのユーザーアカウントの記録を閲覧できる必要があります。たとえば、uid=admin,ou=employees,dc=my,dc=domain,dc=com です。
  • パスワードは config.yaml 内に 平文 で保存されるため、専用のアカウントを設定するか、パスワードハッシュを使用することを強くお勧めします。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
LDAP_ADMIN_DN: cn=admin,dc=example,dc=com
LDAP_ADMIN_PASSWD: changeme

12.2.6. UID およびメール属性

UID and Mail

  • UID 属性は、ユーザー名 として使用する LDAP ユーザーレコードのプロパティーフィールドの名前です。一般的には、uid です。
  • Mail 属性は、LDAP ユーザーレコードのプロパティーフィールドの名前で、ユーザーの電子メールアドレスが格納されています。一般的には mail です。
  • いずれもログイン時に使用することができます。
  • ログインしたユーザー名が User Relative DN に存在している必要があります。
  • sAMAccountName は、Microsoft Active Directory の設定に対する UID 属性です。
  • 以下は、config.yaml ファイルの結果としてのエントリーの例です。
LDAP_UID_ATTR: uid
LDAP_EMAIL_ATTR: mail

12.2.7. 検証

設定が完了したら、Save Configuration Changes ボタンをクリックして設定を有効にします。

Fill in LDAP information

すべての検証が成功しないと先に進めません。また、編集を続けるボタンを選択して追加の設定を行うこともできます。

12.3. 共通の課題

無効な認証情報

Administrator DN または Administrator DN Password の値が正しくない

スーパーユーザー %USERNAME% の検証に失敗しました。ユーザー名が見つかりません。ユーザーがリモート認証システムに存在しないか、LDAP 認証の設定が間違っています。

Red Hat Quay は Administrator DN フィールドで指定された Username/Password で LDAP サーバーに接続できますが、User Relative DN Path の UID Attribute または Mail Attribute フィールドで現在ログインしているユーザーを見つけることができません。現在ログインしているユーザーが User Relative DN Path に存在しないか、または管理者 DN ユーザーにこの LDAP パスの検索/読み取り権限がありません。

12.4. LDAP ユーザーをスーパーユーザーとして設定

LDAP が設定されると、有効な LDAP ユーザー名とパスワードで Red Hat Quay インスタンスにログインできるようになります。次の図のように、Red Hat Quay のユーザー名を確認するプロンプトが表示されます。

Confirm LDAP username for Red Hat Quay

LDAP ユーザーにスーパーユーザー権限を付与するには、config.yaml ファイルのユーザー名を変更します。以下に例を示します。

SUPER_USERS:
- testadmin

更新された config.yaml ファイルを使用して Red Hat Quay コンテナーを再起動します。次回のログイン時には、そのユーザーはスーパーユーザーの権限を持つことになります。

第13章 Red Hat Quay の下での Prometheus および Grafana のメトリクス

Red Hat Quay は、各インスタンスに Prometheus と Grafana に対応したエンドポイントをエクスポートし、簡単にモニターリングとアラートを行うことができます。

13.1. Prometheus エンドポイントの公開

13.1.1. スタンドアロン Red Hat Quay

podman run を使用して Quay コンテナーを起動する場合は、メトリクスポート 9091 を公開します。

$ sudo podman run -d --rm -p 80:8080 -p 443:8443  -p 9091:9091\
   --name=quay \
   -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
   -v $QUAY/storage:/datastorage:Z \
   registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8

これでメトリクスが利用可能になります。

$ curl quay.example.com:9091/metrics

Quay のリポジトリーカウントを監視するための Prometheus および Grafana の設定については、Monitoring Quay with Prometheus and Grafana を参照してください。

13.1.2. Red Hat Quay Operator

quay-metrics サービスのクラスター IP を判別します。

$ oc get services -n quay-enterprise
NAME                                  TYPE        CLUSTER-IP       EXTERNAL-IP   PORT(S)                             AGE
example-registry-clair-app            ClusterIP   172.30.61.161    <none>        80/TCP,8089/TCP                     18h
example-registry-clair-postgres       ClusterIP   172.30.122.136   <none>        5432/TCP                            18h
example-registry-quay-app             ClusterIP   172.30.72.79     <none>        443/TCP,80/TCP,8081/TCP,55443/TCP   18h
example-registry-quay-config-editor   ClusterIP   172.30.185.61    <none>        80/TCP                              18h
example-registry-quay-database        ClusterIP   172.30.114.192   <none>        5432/TCP                            18h
example-registry-quay-metrics         ClusterIP   172.30.37.76     <none>        9091/TCP                            18h
example-registry-quay-redis           ClusterIP   172.30.157.248   <none>        6379/TCP                            18h

クラスターに接続し、quay-metrics サービスのクラスター IP およびポートを使用してメトリクスにアクセスします。

$ oc debug node/master-0

sh-4.4# curl 172.30.37.76:9091/metrics

# HELP go_gc_duration_seconds A summary of the pause duration of garbage collection cycles.
# TYPE go_gc_duration_seconds summary
go_gc_duration_seconds{quantile="0"} 4.0447e-05
go_gc_duration_seconds{quantile="0.25"} 6.2203e-05
...

13.1.3. Prometheus がメトリクスを消費するための設定

Prometheus は、クラスター内で実行されているすべての Red Hat Quay インスタンスにアクセスする方法が必要です。典型的なセットアップでは、すべての Red Hat Quay インスタンスを単一の名前付き DNS エントリーにリストアップし、それを Prometheus に渡すことで行われます。

13.1.4. Kubernetes での DNS 設定

シンプルな Kubernetes service を設定して、Prometheus の DNS エントリーを提供することができます。

13.1.5. 手動クラスターの DNS 設定

SkyDNS は、Kubernetes を使用していない場合に、この DNS レコードを管理するためのシンプルなソリューションです。SkyDNS は、etcd クラスター上で動作させることができます。クラスター内の各 Red Hat Quay インスタンスのエントリーを etcd ストアに追加、削除することができます。SkyDNS はそこから定期的に読み込んで、それに応じて DNS レコードの Quay インスタンスのリストを更新します。

13.2. メトリクスの概要

Red Hat Quay には、一般的なレジストリーの使用、アップロード、ダウンロード、ガベージコレクション、および認証についてのメトリクスなど、レジストリーの監視に役立つメトリクスが同梱されています。

13.2.1. 一般レジストリーの統計

一般的なレジストリー統計で、どの程度レジストリーが拡大しているかが分かります。

メトリクス名説明

quay_user_rows

データベースのユーザー数

quay_robot_rows

データベースのロボットアカウントの数

quay_org_rows

データベースの組織数

quay_repository_rows

データベースのリポジトリー数

quay_security_scanning_unscanned_images_remaining_total

最新のセキュリティースキャナーによってスキャンされないイメージの数

メトリクスの出力サンプル

# HELP quay_user_rows number of users in the database
# TYPE quay_user_rows gauge
quay_user_rows{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="65",process_name="globalpromstats.py"} 3

# HELP quay_robot_rows number of robot accounts in the database
# TYPE quay_robot_rows gauge
quay_robot_rows{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="65",process_name="globalpromstats.py"} 2

# HELP quay_org_rows number of organizations in the database
# TYPE quay_org_rows gauge
quay_org_rows{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="65",process_name="globalpromstats.py"} 2

# HELP quay_repository_rows number of repositories in the database
# TYPE quay_repository_rows gauge
quay_repository_rows{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="65",process_name="globalpromstats.py"} 4

# HELP quay_security_scanning_unscanned_images_remaining number of images that are not scanned by the latest security scanner
# TYPE quay_security_scanning_unscanned_images_remaining gauge
quay_security_scanning_unscanned_images_remaining{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 5

13.2.2. キューアイテム

キューアイテム メトリクスでは、作業管理用に Quay が使用する複数のキューに関する情報が分かります。

メトリクス名説明

quay_queue_items_available

特定のキュー内のアイテム数

quay_queue_items_locked

実行中のアイテム数

quay_queue_items_available_unlocked

処理を待機しているアイテム数

メトリックラベル

  • QUEUE_NAME: キューの名前。以下のいずれかになります。

    • exportactionlogs: アクションログをエクスポートするためのキューに追加されている要求。これらのログは処理され、ストレージに配置されます。その後、リンクがメールを介して要求元に送信されます。
    • namespacegc: キューに追加されてガベージコレクションされる namespace
    • notification: リポジトリー通知が送信されるキュー
    • repositorygc: ガベージコレクションを行うレポジトリーでキューに追加されているもの
    • secscanv4: Clair V4 に固有の通知キュー
    • dockerfilebuild: Quay docker ビルドのキュー
    • imagestoragereplication: 複数のストレージで複製されるようにキューに追加されている Blob
    • chunk_cleanup: 削除する必要があり、キューに追加されている Blog セグメント。これは、一部のストレージ実装 (Swift など) でのみ使用されます。

たとえば、キューラベルの repositorygc には、リポジトリーのガべージコレクションワーカーによって削除対象としてマークされたリポジトリーが含まれます。repositorygcqueue_name ラベル付きのメトリクスの場合は、以下のようになります。

  • quay_queue_items_locked は、現在削除されているリポジトリーの数です。
  • quay_queue_items_available_unlocked は、ワーカーが処理するのを待機するリポジトリーの数です。

メトリクスの出力サンプル

# HELP quay_queue_items_available number of queue items that have not expired
# TYPE quay_queue_items_available gauge
quay_queue_items_available{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="63",process_name="exportactionlogsworker.py",queue_name="exportactionlogs"} 0
...

# HELP quay_queue_items_available_unlocked number of queue items that have not expired and are not locked
# TYPE quay_queue_items_available_unlocked gauge
quay_queue_items_available_unlocked{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="63",process_name="exportactionlogsworker.py",queue_name="exportactionlogs"} 0
...

# HELP quay_queue_items_locked number of queue items that have been acquired
# TYPE quay_queue_items_locked gauge
quay_queue_items_locked{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="63",process_name="exportactionlogsworker.py",queue_name="exportactionlogs"} 0

13.2.3. ガベージコレクションメトリクス

これらのメトリクスは、ガベージコレクション (gc) から削除されたリソースの数を示します。ここでは、gc ワーカーが実行した回数と、削除された namespace、リポジトリー、および Blob の数が示されます。

メトリクス名説明

quay_gc_iterations_total

GCWorker による反復の数

quay_gc_namespaces_purged_total

NamespaceGCWorker によってパージされる namespace 数

quay_gc_repos_purged_total

RepositoryGCWorker または NamespaceGCWorker がパージするリポジトリーの数

quay_gc_storage_blobs_deleted_total

削除されたストレージ Blob の数

メトリクスの出力サンプル

# TYPE quay_gc_iterations_created gauge
quay_gc_iterations_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.6317823190189714e+09
...

# HELP quay_gc_iterations_total number of iterations by the GCWorker
# TYPE quay_gc_iterations_total counter
quay_gc_iterations_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0
...

# TYPE quay_gc_namespaces_purged_created gauge
quay_gc_namespaces_purged_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.6317823190189433e+09
...

# HELP quay_gc_namespaces_purged_total number of namespaces purged by the NamespaceGCWorker
# TYPE quay_gc_namespaces_purged_total counter
quay_gc_namespaces_purged_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0
....

# TYPE quay_gc_repos_purged_created gauge
quay_gc_repos_purged_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.631782319018925e+09
...

# HELP quay_gc_repos_purged_total number of repositories purged by the RepositoryGCWorker or NamespaceGCWorker
# TYPE quay_gc_repos_purged_total counter
quay_gc_repos_purged_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0
...

# TYPE quay_gc_storage_blobs_deleted_created gauge
quay_gc_storage_blobs_deleted_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.6317823190189059e+09
...

# HELP quay_gc_storage_blobs_deleted_total number of storage blobs deleted
# TYPE quay_gc_storage_blobs_deleted_total counter
quay_gc_storage_blobs_deleted_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0
...

13.2.3.1. マルチパートアップロードメトリクス

マルチパートアップロードメトリクスは、ストレージへの Blob アップロードの数 (S3、Raddos、GoogleCloudStorage、RHOCS) を表示します。これらは、Quay が Blob をストレージに正しくアップロードできない場合の問題を特定するのに役立ちます。

メトリクス名説明

quay_multipart_uploads_started_total

完了した Quay ストレージへのマルチパートアップロードの数

quay_multipart_uploads_completed_total

起動した Quay ストレージへのマルチパートアップロードの数

メトリクスの出力サンプル

# TYPE quay_multipart_uploads_completed_created gauge
quay_multipart_uploads_completed_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.6317823308284895e+09
...

# HELP quay_multipart_uploads_completed_total number of multipart uploads to Quay storage that completed
# TYPE quay_multipart_uploads_completed_total counter
quay_multipart_uploads_completed_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0

# TYPE quay_multipart_uploads_started_created gauge
quay_multipart_uploads_started_created{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 1.6317823308284352e+09
...

# HELP quay_multipart_uploads_started_total number of multipart uploads to Quay storage that started
# TYPE quay_multipart_uploads_started_total counter
quay_multipart_uploads_started_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="208",process_name="secscan:application"} 0
...

13.2.4. イメージのプッシュ/プルのメトリクス

イメージのプッシュおよびプルに関連する数多くのメトリクスを利用できます。

13.2.4.1. イメージプルの合計

メトリクス名説明

quay_registry_image_pulls_total

レジストリーからダウンロードされたイメージの数

メトリックラベル

  • プロトコル: 使用するレジストリープロトコル (常に v2 に指定する)
  • ref: -tag マニフェストのプルに使用する ref
  • status: 要求の http 戻りコード

13.2.4.2. プルしたイメージ (バイト)

メトリクス名説明

quay_registry_image_pulled_estimated_bytes_total

レジストリーからダウンロードされたバイト数

メトリックラベル

  • プロトコル: 使用するレジストリープロトコル (常に v2 に指定する)

13.2.4.3. イメージのプッシュ合計

メトリクス名説明

quay_registry_image_pushes_total

レジストリーからアップロードされたイメージの数

メトリックラベル

  • プロトコル: 使用するレジストリープロトコル (常に v2 に指定する)
  • pstatus: 要求の http 戻りコード
  • pmedia_type: アップロードしたマニフェストタイプ

13.2.4.4. プッシュされたイメージバイト

メトリクス名説明

quay_registry_image_pushed_bytes_total

レジストリーにアップロードされたバイト数

メトリクスの出力サンプル

# HELP quay_registry_image_pushed_bytes_total number of bytes pushed to the registry
# TYPE quay_registry_image_pushed_bytes_total counter
quay_registry_image_pushed_bytes_total{host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="221",process_name="registry:application"} 0
...

13.2.5. 認証メトリクス

認証メトリクスでは、タイプ別にラベルが付けられた認証要求の数と、成功したかどうかが分かります。たとえば、このメトリックを使用して、失敗した Basic 認証要求を監視できます。

メトリクス名説明

quay_authentication_attempts_total

レジストリーおよび API 全体で認証を試行する回数

メトリックラベル

  • auth_kind: 使用される認証のタイプ。以下が含まれます。

    • basic
    • oauth
    • credentials
  • 成功: true または false

メトリクスの出力サンプル

# TYPE quay_authentication_attempts_created gauge
quay_authentication_attempts_created{auth_kind="basic",host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="221",process_name="registry:application",success="True"} 1.6317843039374158e+09
...

# HELP quay_authentication_attempts_total number of authentication attempts across the registry and API
# TYPE quay_authentication_attempts_total counter
quay_authentication_attempts_total{auth_kind="basic",host="example-registry-quay-app-6df87f7b66-9tfn6",instance="",job="quay",pid="221",process_name="registry:application",success="True"} 2
...

第14章 Geo レプリケーション

Geo レプリケーションでは、地理的に分散した複数の Quay デプロイメントを、クライアントやユーザーの視点から、単一のレジストリーとして動作させることができます。グローバルに分散された Quay のセットアップにおいて、プッシュとプルのパフォーマンスが大幅に向上します。イメージデータはバックグラウンドで非同期的に複製され、クライアントには透過的なフェイルオーバー/リダイレクトが行われます。

注記

OpenShift での geo-replication を使用した Red Hat Quay のデプロイは Operator ではサポートされません。

14.1. Geo レプリケーション機能

  • Geo レプリケーションが設定されていると、コンテナーイメージのプッシュはその Red Hat Quay インスタンスの推奨ストレージエンジンに書き込まれます (通常はリージョン内の最も近いストレージバックエンド)。
  • 最初のプッシュの後、イメージデータはバックグランドで他のストレージエンジンに複製されます。
  • レプリケーションロケーションのリストは設定可能で、それらは異なるストレージバックエンドにすることができます。
  • イメージプルでは、プルのパフォーマンスを最大化するために、常に利用可能な最も近いストレージエンジンを使用します。
  • レプリケーションがまだ完了していない場合、プルは代わりにソースストレージのバックエンドを使用します。

14.2. Geo レプリケーションの要件と制約

  • 1 つのデータベース、つまりすべてのメタデータと Quay の設定がすべてのリージョンで共有されます。
  • 1 つの Redis キャッシュは Quay のセットアップ全体で共有され、すべての Quay Pod からアクセスできる必要があります。
  • ストレージバックエンド以外のすべてのリージョンで同じ設定を使用する必要があります。これは、QUAY_DISTRIBUTED_STORAGE_PREFERENCE 環境変数を使用して明示的に設定できます。
  • Geo レプリケーションでは、各リージョンにオブジェクトストレージが必要です。ローカルストレージや NFS では動作しません。
  • 各リージョンは、各リージョンのすべてのストレージエンジンにアクセスできる必要があります (ネットワークパスが必要)。
  • また、ストレージプロキシーオプションを使用することもできます。
  • ストレージのバックエンド全体 (すべての blob) が複製されます。これは、組織、リポジトリー、イメージに限定することができるリポジトリーミラーリングとは対照的です。
  • すべての Quay インスタンスは、ロードバランサーを介して同じエントリーポイントを共有する必要があります。
  • すべての Quay インスタンスは、共通の設定ファイルで定義された同じスーパーユーザーのセットを持つ必要があります。

上記の要件を満たすことができない場合は、代わりに 2 つ以上の異なる Quay のデプロイメントを使用し、リポジトリーミラーリング機能を利用する必要があります。

14.3. Geo レプリケーションのアーキテクチャー

Georeplication

上記の例では、Quay は共通のデータベースおよび共通の Redis インスタンスを持つ 2 つのリージョンで実行されます。ローカライズされたイメージストレージは各リージョンで提供され、最も近くにある利用可能なストレージエンジンからイメージプルが提供されます。コンテナーイメージのプッシュは、Quay インスタンスの推奨ストレージエンジンに書き込まれ、次にバックグラウンドで他のストレージエンジンに複製されます。

14.4. ストレージレプリケーションの有効化

  1. スクロールダウンして、Registry Storage というセクションに進みます。
  2. Enable Storage Replication をクリックします。
  3. データを複製するストレージエンジンをそれぞれ追加します。使用するすべてのストレージエンジンをリストに載せる必要があります。
  4. すべてのイメージをすべてのストレージエンジンに完全にレプリケートする必要がある場合は、各ストレージエンジンの設定の下で Replicate to storage engine by default をクリックします。これにより、すべてのイメージがそのストレージエンジンにレプリケートされます。代わりに名前空間ごとのレプリケーションを有効にするには、サポートにお問い合わせください。
  5. 完了したら、Save Configuration Changes をクリックします。設定変更は、Red Hat Quay が次回再起動したときに有効になります。
  6. ストレージを追加し、Geo レプリケーションの Replicate to storage engine by default を有効にした後、既存のイメージデータをすべてのストレージで同期する必要があります。そのためには、コンテナーに oc exec (または docker/kubectl exec) して実行する必要があります。

    # scl enable python27 bash
    # python -m util.backfillreplication

    この操作は、新しいストレージを追加した後にコンテンツを同期するための 1 回限りの操作です。

14.4.1. ストレージの環境設定による Red Hat Quay の実行

  1. config.yaml を Red Hat Quay を実行しているすべてのマシンにコピーします。
  2. 各リージョンの各マシンは、マシンが稼働しているリージョンの優先ストレージエンジンを持つ QUAY_DISTRIBUTED_STORAGE_PREFERENCE 環境変数を追加します。

    たとえば、ヨーロッパで稼働しているマシンで、ホスト上の config ディレクトリーが $QUAY/config から利用できる場合です。

    $ sudo podman run -d --rm -p 80:8080 -p 443:8443  \
       --name=quay \
       -v $QUAY/config:/conf/stack:Z \
       -e QUAY_DISTRIBUTED_STORAGE_PREFERENCE=europestorage \
       registry.redhat.io/quay/quay-rhel8:v3.6.8
    注記

    指定された環境変数の値は、コンフィグパネルで定義されたロケーション ID の名前と一致する必要があります。

  3. すべての Red Hat Quay コンテナーを再起動します。

第15章 Red Hat Quay のトラブルシューティング

一般的な故障モードと復旧のためのベストプラクティス

第16章 Red Hat Quay の設定用スキーマ

ほとんどの Red Hat Quay 設定情報は、Red Hat Quay が最初に展開されたときにブラウザーベースの config ツールを使用して作成される config.yaml ファイルに保存されます。

設定オプションは、Red Hat Quay 設定ガイドで説明しています。

関連情報