第1章 Red Hat OpenShift Container Platform における Red Hat Process Automation Manager の概要

Red Hat Process Automation Manager は、Red Hat OpenShift Container Platform 環境にデプロイすることができます。

この場合に、Red Hat Process Automation Manager のコンポーネントは、別の OpenShift Pod としてデプロイされます。各 Pod のスケールアップおよびスケールダウンを個別に行い、特定のコンポーネントに必要な数だけコンテナーを提供できます。標準の OpenShift の手法を使用して Pod を管理し、負荷を分散できます。

以下の Red Hat Process Automation Manager の主要コンポーネントが OpenShift で利用できます。

  • KIE Server (実行サーバー (Execution Server) とも呼ばれる) は、デシジョンサービス、プロセスアプリケーションおよびその他のデプロイ可能なアセット (サービス と総称される) を実行するインフラストラクチャー要素です。サービスのすべてのロジックは実行サーバーで実行されます。

    通常、KIE Server にはデータベースサーバーが必要です。別の OpenShift Pod にデータベースサーバーを提供したり、別のデータベースサーバーを使用するように OpenShift で実行サーバーを設定したりできます。また、KIE Server では H2 データベースを使用できますが、使用する場合は、Pod をスケーリングできません。

    一部のテンプレートでは、KIE Server Pod をスケールアップして、同一または異なるホストで実行するコピーを必要な数だけ提供できます。Pod をスケールアップまたはスケールダウンすると、そのコピーはすべて同じデータベースサーバーサービスを使用し、同じサービスを実行します。OpenShift は負荷分散を提供しているため、要求はどの Pod でも処理できます。

    KIE Server Pod を個別にデプロイし、サービスの異なるグループを実行することができます。この Pod もスケールアップやスケールダウンが可能です。複製された個別の KIE Server Pod を必要な数だけ設定することができます。

  • Business Central は、オーサリングサービスに対する Web ベースのインタラクティブ環境で、管理および監視コンソールを提供します。Business Central を使用してサービスを開発して Process Server にそれらのサービスをデプロイできます。Business Central を使用してサービスを開発し、それらを KIE Server にデプロイできます。また、Business Central を使用してプロセスの実行を監視することもできます。

    Business Central は一元化アプリケーションですが、高可用性用に設定できます。複数の Pod を実行し、同じデータを共有する高可用性用に設定できます。

    Business Central には開発するサービスのソースを保管する Git リポジトリーが含まれます。また、ビルトインの Maven リポジトリーも含まれます。設定に応じて、Business Central はコンパイルしたサービス (KJAR ファイル) をビルドイン Maven リポジトリーに配置できます (設定した場合は外部 Maven リポジトリーにも可能)。

  • Business Central Monitoring は Web ベースの管理および監視コンソールです。KIE Server へのサービスのデプロイメントを管理し、監視情報を提供しますが、オーサリング機能は含まれません。このコンポーネントを使用して、ステージングおよび実稼働環境を管理できます。
  • Smart Router は、KIE Server と、KIE Server と対話するその他のコンポーネントとの間の任意のレイヤーです。環境に、複数の KIE Server で実行するサービスが多数含まれる場合、Smart Router はすべてのクライアントアプリケーションに対応するエンドポイントを 1 つ提供します。クライアントアプリケーションは、サービスを要求する REST API 呼び出しを実行できます。Smart Router は、特定の要求を処理できる KIE Server を自動的に呼び出します。

OpenShift 内でさまざまな環境設定にこのコンポーネントおよびその他のコンポーネントを配置できます。

以下の環境タイプが一般的です。

  • オーサリング: Business Central を使用してサービスを作成し、変更するために使用する環境です。これは、オーサリング作業用に Business Central を提供する Pod およびサービスのテスト実行用に KIE Server を提供する Pod で構成されます。この環境のデプロイメント手順については、『Red HatOpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager オーサリング環境のデプロイ 』を参照してください。
  • 管理対象のデプロイメント: ステージングおよび実稼働用として既存のサービスを実行するために使用する環境。この環境には、KIE Server Pod のいくつかのグループが含まれます。このようなすべてのグループに対してサービスのデプロイおよびデプロイ解除を実行します。必要に応じてこれらのグループのスケールアップおよびスケールダウンを実行できます。Business Central Monitoring を使用してサービスをデプロイし、実行し、停止し、またそれらの実行を監視します。

    2 種類の管理環境をデプロイすることができます。自由形式 のサーバー環境では、最初に Business Central Monitoring と KIE Server を 1 つデプロイします。自由形式 のサーバー環境では、最初に Business Central Monitoring と 1 つの KIE Server をデプロイします。Business Central Monitoring は、同じ名前空間内のすべてのサーバーに接続できます。この環境のデプロイメント手順については、『Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager フリーフォーム環境のデプロイ 』を参照してください。

    または、固定の 管理サーバー環境をデプロイすることもできます。単一デプロイメントには、Business Central Monitoring、 Smart Router、および事前に設定された数の KIE Server (デフォルトでは 2 サーバーですが、テンプレートを変更して数を変更することができます) が含まれます。サーバーの追加や削除は後のプロセスでは容易に行えなくなります。この環境のデプロイメント手順については、『Red HatOpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager 固定管理サーバー環境のデプロイ 』を参照してください。

  • イミュータブルサーバーを使用するデプロイメント: ステージングおよび実稼働目的で既存のサービスを実行するための代替の環境です。この環境では、KIE Server Pod のデプロイ時に、サービスまたはサービスのグループを読み込み、起動するイメージをビルドします。この Pod でサービスを停止したり、新しいサービスを追加したりすることはできません。サービスの別のバージョンを使用したり、別の方法で設定を変更する必要がある場合は、新規のサーバーイメージをデプロイして、古いサーバーと入れ替えます。このシステムでは、KIE Server は OpenShift 環境の Pod のように実行されるので、任意のコンテナーベースの統合ワークフローを使用することができ、他のツールを使用して Pod を管理する必要はありません。オプションとして、Business Central Monitoring を使用して環境のパフォーマンスを監視したり、サービスインスタンスの一部を停止および再起動したりできますが、追加のサービスを KIE Server にデプロイしたり、既存のサービスのデプロイを解除したりすることはできません (コンテナーの追加または削除はできません)。この環境のデプロイメント手順については、『Red HatOpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager イミュータブルサーバー環境のデプロイ 』を参照してください。

試用 または評価環境をデプロイすることも可能です。この環境には、Business Central と KIE Server が含まれます。この環境はすばやく設定でき、これを使用して、アセットの開発や実行を評価し、体験できます。ただし、この環境では永続ストレージを使用しないので、この環境で実行した作業内容は保存されません。この環境のデプロイメント手順については、『Red HatOpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager 試用環境のデプロイ 』を参照してください。

OpenShift に Red Hat Process Automation Manager 環境をデプロイするには、Red Hat Process Automation Manager で提供されるテンプレートを使用できます。設定が環境に適したものになるようにテンプレートを変更できます。