KIE Server の管理とモニターリング

Red Hat Process Automation Manager 7.8

ガイド

概要

本書では、Red Hat Process Automation Manager 7.8 をインストール、設定し、パフォーマンスのチューニングをする方法について説明します。

前書き

システム管理者として、Red Hat Process Automation Manager を実稼働環境にインストール、設定、アップグレードし、システム障害にすばやくかつ容易に対応できるようになり、システムが最適に稼働するようにできます。

前提条件

第1章 Red Hat Process Automation Manager コンポーネント

Red Hat Process Automation Manager は、Business Central および KIE Server で設定されます。

  • Business Central は、ビジネスルールを作成して管理するグラフィカルユーザーインターフェイスです。Business Central は、Red Hat JBoss EAP インスタンスまたは Red Hat OpenShift Container Platform (OpenShift) にインストールできます。

    Business Central は、スタンドアロンの JAR ファイルとしても使用できます。Business Central スタンドアロンの JAR ファイルとして使用して、アプリケーションサーバーにデプロイせずに Business Central を実行できます。

  • KIE Server では、ルール、およびその他のアーティファクトが実行されます。これは、ルールをインスタンス化して実行し、計画の問題を解決するために使用されます。KIE Server は、Red Hat JBoss EAP インスタンス、OpenShift、Oracle WebLogic Server インスタンス、IBM WebSphere Application Server インスタンスに、または Spring Boot アプリケーションの一部としてインストールできます。

    KIE Server は、管理モードまたは非管理モードで動作するように設定できます。KIE Server が非管理モードの場合は、手動で KIE コンテナー (デプロイメントユニット) を作成および維持する必要があります。KIE コンテナーは、プロジェクトの特定のバージョンです。KIE Server が管理されている場合は、Process Automation Manager コントローラーが KIE Server の設定を管理し、ユーザーはコントローラーと対話形式で KIE コンテナーを作成、維持します。

第2章 Maven を使用したシステム統合

Red Hat Process Automation Manager は、Red Hat JBoss Middleware Maven Repository と Maven Central リポジトリーを依存関係ソースとして使用するように作られています。これら両方の依存関係がプロセスビルドに利用可能になるようにしてください。

ご自分のプロジェクトがアーティファクトの特定バージョンに依存していることを確認してください。LATEST または RELEASE は、一般的に、アプリケーションの依存関係バージョンの特定と管理に使用されます。

  • LATEST は、アーティファクトの最新デプロイ (スナップショット) バージョンになります。
  • RELEASE は、リポジトリー内の最新の非スナップショットバージョンリリースになります。

LATEST または RELEASE を使用することで、サードパーティーのライブラリーの新リリース時にバージョン番号を更新する必要がなくなります。ただし、ソフトウェアリリースに影響を受けるビルドに対するコントロールができなくなることになります。

2.1. ローカルプロジェクトの Preemptive (先行) 認証

お使いの環境にインターネットアクセスがない場合には、Maven Central や他のパブリックリポジトリーの代わりに社内リポジトリーを設定します。Red Hat Process Automation Manager サーバーのリモート Maven リポジトリーからローカル Mave プロジェクトに JAR をインポートするには、リポジトリーサーバーの先行認証をオンにします。pom.xml ファイルの guvnor-m2-repo 用の認証を設定することでこれが実行できます。以下に例を示します。

<server>
  <id>guvnor-m2-repo</id>
  <username>admin</username>
  <password>admin</password>
  <configuration>
    <wagonProvider>httpclient</wagonProvider>
    	<httpConfiguration>
      	<all>
      	   <usePreemptive>true</usePreemptive>
      	</all>
    	</httpConfiguration>
  </configuration>
</server>

別の方法では、Authorization HTTP ヘッダーを Base64 でエンコードされた認証情報で設定できます。

<server>
  <id>guvnor-m2-repo</id>
  <configuration>
  	<httpHeaders>
  	   <property>
    	    <name>Authorization</name>
    	    <!-- Base64-encoded "admin:admin" -->
    	    <value>Basic YWRtaW46YWRtaW4=</value>
  	   </property>
    </httpHeaders>
  </configuration>
</server>

2.2. Business Central における重複した GAV の検出

Business Central のすべての Maven リポジトリーで、プロジェクトの GroupIdArtifactId、および Version (GAV) の各値が重複しているかどうかが確認されます。GAV が重複していると、実行された操作が取り消されます。

注記

重複する GAV の検出は、Development Mode のプロジェクトでは無効になっています。Business Central で重複する GAV 検出を有効にするには、プロジェクトの SettingsGeneral SettingsVersion に移動して、Development Mode オプションを OFF (該当する場合) に切り替えます。

重複した GAV の検出は、以下の操作を実行するたびに実行されます。

  • プロジェクトのプロジェクト定義の保存。
  • pom.xml ファイルの保存。
  • プロジェクトのインストール、ビルド、またはデプロイメント。

以下の Maven リポジトリーで重複の GAV が確認されます。

  • pom.xml ファイルの <repositories> 要素および <distributionManagement> 要素で指定されたリポジトリー。
  • Maven の settings.xml 設定ファイルに指定されたリポジトリー。

2.3. Business Central における重複した GAV 検出設定の管理

admin ロールを持つ Business Central ユーザーは、プロジェクトで GroupId 値、ArtifactId 値、および Version 値 (GAV) が重複しているかどうかを確認するリポジトリーの一覧を修正できます。

注記

重複する GAV の検出は、Development Mode のプロジェクトでは無効になっています。Business Central で重複する GAV 検出を有効にするには、プロジェクトの SettingsGeneral SettingsVersion に移動して、Development Mode オプションを OFF (該当する場合) に切り替えます。

手順

  1. Business Central で、MenuDesignProjects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
  2. プロジェクトの Settings タブをクリックし、Validation をクリックしてリポジトリーの一覧を開きます。
  3. 一覧表示したリポジトリーオプションの中から選択するか選択を解除して、重複した GAV の検出を有効または無効にします。

    今後、重複した GAV の報告は、検証を有効にしたリポジトリーに対してのみ行われます。

    注記

    この機能を無効にするには、システムの起動時に Business Central の org.guvnor.project.gav.check.disabled システムプロパティーを true に設定します。

    $ ~/EAP_HOME/bin/standalone.sh -c standalone-full.xml
    -Dorg.guvnor.project.gav.check.disabled=true

第3章 Red Hat Process Automation Manager へのパッチ更新およびマイナーリリースアップグレードの適用

大抵の場合は、Business Central、KIE Server、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーなど、Red Hat Process Automation Manager の特定コンポーネントの更新を容易にする自動更新ツールが Red Hat Process Automation Manager のパッチ更新と新規マイナーバージョンで提供されます。デシジョンエンジンやスタンドアロンの Business Central など、その他の Red Hat Process Automation Manager アーティファクトは、各マイナーリリースが含まれる新しいアーティファクトとしてリリースされるため、再インストールして更新を適用する必要があります。

この自動更新ツールを使ってパッチ更新とマイナーリリースアップグレードの両方を Red Hat Process Automation Manager 7.8 に適用することができます。バージョン 7.8 から 7.8.1 への更新といった Red Hat Process Automation Manager のパッチ更新には、最新のセキュリティー更新とバグ修正が含まれます。バージョン 7.7.x から 7.8 へのアップグレードといった Red Hat Process Automation Manager のマイナーリリースアップグレードには、機能強化、セキュリティー更新、バグ修正が含まれます。

重要

Red Hat Process Automation Manager 7.9 は、適合レベル 3 で DMN 1.2 モデルの設計およびランタイムをサポートし、適合レベル 3 で DMN 1.1 モデルおよび 1.3 モデルはランタイムのみサポートします。Business Central で直接 DMN モデルを設計したり、既存の DMN モデルをご自分の Red Hat Process Automation Manager プロジェクトにインポートしたりしてデプロイし、実行することもできます。Business Central の DMN デザイナーでは、DMN 1.1 モデルおよび DMN 1.3 モデルは現在サポートされていません。

注記

Red Hat Process Automation Manager への更新だけが、Red Hat Process Automation Manager パッチ更新に含まれます。Red Hat JBoss EAP への更新は、Red Hat JBoss EAP パッチ配信を使用して適用する必要があります。詳細は Red Hat JBoss EAP パッチおよびアップグレードガイド を参照してください。

前提条件

  • Red Hat Process Automation Manager インスタンスおよび KIE Server インスタンスを実行していない。Red Hat Process Automation Manager または KIE Server のインスタンスを実行している間は更新を適用しないでください。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから選択およびバージョンを選択します。

    バージョン 7.7.x から 7.8 などのように、Red Hat Process Automation Manager の新たなマイナーリリースにアップグレードする場合は、お使いの Red Hat Process Automation Manager に最新のパッチ更新を適用してから、以下の手順にしたがって新たなマイナーリリースにアップグレードしてください。

  2. Patches をクリックし、Red Hat Process Automation Manager [VERSION] Patch Update をダウンロードし、ダウンロードした rhpam-$VERSION-update.zip ファイルを一時ディレクトリーに展開します。

    この更新ツールは、Business Central、KIE Server、およびヘッドレス Process Automation Manager コントローラーなど、Red Hat Process Automation Manager の一定のコンポーネントの更新を自動化します。この更新ツールを使用して最初に更新を適用し、Red Hat Process Automation Manager ディストリビューションに関連するその他の更新、または新しいリリースアーティファクトをインストールします。

  3. 更新ツールにファイルが更新されないようにするには、展開した rhpam-$VERSION-update フォルダーに移動し、blacklist.txt ファイルを開き、更新しないファイルの相対パスを追加します。

    ファイルが blacklist.txt ファイルの一覧に追加されていると、更新スクリプトは、そのファイルを新しいバージョンに置き換えずにそのまま残し、新しいバージョンのファイルに .new 接尾辞を付けて追加します。ブラックリストのファイルが配布されなくなると、更新ツールは、.removed 接尾辞の付いた、空のマーカーファイルを作成します。次に、これらの新しいファイルを手動で保持、マージ、または削除することを選択できます。

    blacklist.txt ファイルで除外されるファイルの例:

    WEB-INF/web.xml  // Custom file
    styles/base.css  // Obsolete custom file kept for record

    更新後の、ブラックリストに指定されたファイルディレクトリー内のコンテンツ:

    $ ls WEB-INF
    web.xml web.xml.new
    $ ls styles
    base.css base.css.removed
  4. コマンドの端末で、rhpam-$VERSION-update.zip ファイルから展開した一時ディレクトリーに移動し、以下の形式で apply-updates スクリプトを実行します。

    重要

    更新を行う前に、Red Hat Process Automation Manager インスタンスおよび KIE Server インスタンスが実行していないことを確認します。Red Hat Process Automation Manager または KIE Server のインスタンスを実行している間は更新を適用しないでください。

    Linux システムまたは Unix ベースのシステムの場合:

    $ ./apply-updates.sh $DISTRO_PATH $DISTRO_TYPE

    Windows の場合:

    $ .\apply-updates.bat $DISTRO_PATH $DISTRO_TYPE

    $DISTRO_PATH の部分は、関連するディストリビューションディレクトリーへのパスで、$DISTRO_TYPE の部分は、更新しているディストリビューションの種類となります。

    Red Hat Process Automation Manager 更新ツールでは、以下のディストリビューションの種類がサポートされます。

    • rhpam-business-central-eap7-deployable: Business Central (business-central.war) を更新します。
    • rhpam-kie-server-ee8: KIE Server (kie-server.war) を更新します。

      注記

      この更新ツールで、Red Hat JBoss EAP EE7 から Red Hat JBoss EAP EE8 に更新されます。

    • rhpam-kie-server-jws: Red Hat JBoss Web Server で KIE Server を更新します (kie-server.war)。
    • rhpam-controller-ee7: ヘッドレス Process Automation Manager controller (controller.war) を更新します。
    • rhpam-controller-jws: Red Hat JBoss Web Server でヘッドレスの Process Automation Manager コントローラーを更新します (controller.war)。

      Red Hat JBoss EAP で、Red Hat Process Automation Manager の完全ディストリビューションに対する Business Central および KIE Server への更新の例:

      ./apply-updates.sh ~EAP_HOME/standalone/deployments/business-central.war rhpam-business-central-eap7-deployable
      
      ./apply-updates.sh ~EAP_HOME/standalone/deployments/kie-server.war rhpam-kie-server-ee8

      ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーへの更新例 (使用している場合):

      ./apply-updates.sh ~EAP_HOME/standalone/deployments/controller.war rhpam-controller-ee7

      この更新スクリプトは、展開した rhpam-$VERSION-update ディレクトリーに、指定したディストリビューションのコピーを含む backup ディレクトリーを作成してから、更新を行います。

  5. 更新ツールが完了したら、更新ツールをダウンロードした、Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに戻り、Red Hat Process Automation Manager ディストリビューションに関するその他の更新または新しいリリースアーティファクトをインストールします。

    デシジョンエンジンまたはその他のアドオンに関する .jar ファイルなど、Red Hat Process Automation Manager ディストリビューションにすでに存在しているファイルについては、ファイルの既存のバージョンを Red Hat カスタマーポータルから取得した新しいバージョンに置き換えます。

  6. エアギャップ環境など、スタンドアロンの Red Hat Process Automation Manager 7.8.0 Maven Repository アーティファクト (rhpam-7.8.0-maven-repository.zip) を使用する場合は、Red Hat Process Automation Manager 7.8.x Maven Repository をダウンロードして、ダウンロードした rhpam-7.8.x-maven-repository.zip ファイルを既存の ~/maven-repository ディレクトリーに展開して、関連するコンテンツを更新します。

    Maven リポジトリーの更新例:

    $ unzip -o rhpam-7.8.x-maven-repository.zip 'rhba-7.8.1.GA-maven-repository/maven-repository/*' -d /tmp/rhbaMavenRepoUpdate
    
    $ mv /tmp/rhbaMavenRepoUpdate/rhba-7.8.0.GA-maven-repository/maven-repository/ $REPO_PATH/
    注記

    更新が完了したら /tmp/rhbaMavenRepoUpdate ディレクトリーを削除してください。

  7. 関連する更新をすべて適用したら、Red Hat Process Automation Manager および KIE Server を起動して、Business Central にログインします。
  8. Business Central 内のすべてのプロジェクトデータが存在して正確であることを確認し、Business Central ウィンドウの右上隅でプロファイル名をクリックし、About をクリックして、更新した製品バージョン番号を確認します。

    Business Central でエラーが発生したり、データが不足していることが通知されたら、rhpam-$VERSION-update ディレクトリーの backup ディレクトリーにコンテンツを復元し、更新ツールへの変更を戻します。Red Hat カスタマーポータルで Red Hat Process Automation Manager の以前のバージョンから、関連するリリースアーティファクトを再インストールできます。以前のディストリビューションを復元したら、更新を再実行してください。

第4章 KIE Server の設定と起動

KIE Server の場所、ユーザー名、パスワード、その他の関連プロパティーは、KIE Server の起動時に必要な設定を定義することで設定できます。

手順

Red Hat Process Automation Manager 7.8 の bin ディレクトリーに移動し、以下のプロパティーを使用して、新しい KIE Server を起動します。お使いの環境に応じて特定のプロパティーを調整します。

$ ~/EAP_HOME/bin/standalone.sh --server-config=standalone-full.xml 1
-Dorg.kie.server.id=myserver 2
-Dorg.kie.server.user=kie_server_username 3
-Dorg.kie.server.pwd=kie_server_password 4
-Dorg.kie.server.controller=http://localhost:8080/business-central/rest/controller 5
-Dorg.kie.server.controller.user=controller_username 6
-Dorg.kie.server.controller.pwd=controller_password 7
-Dorg.kie.server.location=http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server 8
-Dorg.kie.server.persistence.dialect=org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect 9
-Dorg.kie.server.persistence.ds=java:jboss/datasources/psjbpmDS 10
1
standalone-full.xml サーバープロファイルの開始コマンド
2
サーバー ID (Business Central で定義したサーバー設定名に一致させる必要がある)
3
Process Automation Manager コントローラーから KIE Server に接続する際のユーザー名
4
Process Automation Manager コントローラーから KIE Server に接続する際のパスワード
5
Process Automation Manager コントローラーの場所 (/rest/controller 接尾辞が付いた Business Central URL)
6
Process Automation Manager コントローラー REST API に接続するユーザー名
7
Process Automation Manager コントローラー REST API に接続するパスワード
8
KIE Server の場所 (この例では Business Central と同じ場所)
9
使用する Hibernate の方言
10
以前の Red Hat JBoss BPM Suite データベースに使用されるデータソースの JNDI 名
注記

Business Central と KIE Server が別々のアプリケーションサーバーインスタンス (Red Hat JBoss EAP など) にインストールされている場合は、Business Central とポートが競合しないように、KIE Server の場所には別のポートを使用します。別の KIE Server ポートが設定されていない場合は、ポートオフセットを追加して、KIE Server プロパティーに従って KIE Server のポート値を調整します。

以下に例を示します。

-Djboss.socket.binding.port-offset=150
-Dorg.kie.server.location=http://localhost:8230/kie-server/services/rest/server

この例のように、Business Central ポートが 8080 で、オフセットを 150 に定義した場合、KIE Server ポートは 8230 になります。

KIE Server は、新しい Business Central に接続し、デプロイするデプロイメントユニット (KIE コンテナー) の一覧を収集します。

注記

依存関係の JAR ファイルでクラスを使用して KIE Server クライアントから KIE Server にアクセスすると、Business Central では ConversionException および ForbiddenClassException が発生します。Business Central でこれらの例外を発生させないようにするには、次のいずれかを実行します。

  • クライアント側で例外が発生する場合は、kie-server クライアントに次のシステムプロパティーを追加します。
System.setProperty("org.kie.server.xstream.enabled.packages", "org.example.**");
  • サーバー側で例外が発生する場合は、Red Hat Process Automation Manager インストールディレクトリーから standalone-full.xml を開き、<system-properties> タグに以下のプロパティーを設定します。
<property name="org.kie.server.xstream.enabled.packages" value="org.example.**"/>
  • 以下の JVM プロパティーを設定します。
-Dorg.kie.server.xstream.enabled.packages=org.example.**

KJAR に存在するクラスは、これらのシステムプロパティーを使用して設定しないように想定されています。システムプロパティーでは既知のクラスのみを使用し、脆弱性を回避するようにしてください。

org.example はパッケージ例で、使用するパッケージを何でも定義できます。org.example1.* * , org.example2.* * , org.example3.* * などのように、コンマ区切りで、複数のパッケージを指定できます。

org.example1.Mydata1, org.example2.Mydata2 など、特定のクラスも追加できます。

第5章 KIE Server への JDBC データソースの設定

データソースは、アプリケーションサーバーなど、Java Database Connectivity (JDBC) クライアントを有効にするオブジェクトで、データベースへの接続を確立します。アプリケーションは、JNDI (Java Naming and Directory Interface) ツリーまたはローカルのアプリケーションコンテキストでデータソースを検索し、データベース接続を要求してデータを取得します。KIE Server にデータソースを設定して、サーバーと、指定したデータベースとの間で適切なデータ交換を行う必要があります。

注記

実稼働環境の場合は、実際のデータソースを指定します。実稼働環境で、データソースの例は使用しないでください。

前提条件

  • Red Hat JBoss Enterprise Application Platform 設定ガイド のデータソースの作成と JDBC ドライバーのセクションで説明されているように、データベース接続の作成に使用する JDBC プロバイダーが、KIE Server をデプロイするすべてのサーバーに設定されている。
  • Red Hat Process Automation Manager 7.8.0 Add Ons(rhpam-7.8.0-add-ons.zip)ファイルは、Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページからダウンロードされている。

手順

  1. 以下の手順を実行して、データベースを準備します。

    1. TEMP_DIR などの一時ディレクトリーに rhpam-7.8.0-add-ons.zip を展開します。
    2. TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-migration-tool.zip を展開します。
    3. 現在のディレクトリーから、TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-migration-tool/ddl-scripts ディレクトリーに移動します。このディレクトリーには、複数のデータベースタイプの DDL スクリプトが含まれています。
    4. 使用するデータベースに、お使いのデータベースタイプの DDL スクリプトをインポートします。以下に例を示します。

      psql jbpm < /ddl-scripts/postgresql/postgresql-jbpm-schema.sql
      注記

      PostgreSQL または Oracle を Spring Boot と併用する場合は、対応する Spring Boot の DDL スクリプト (/ddl-scripts/oracle/oracle-springboot-jbpm-schema.sql または /ddl-scripts/postgresql/postgresql-springboot-jbpm-schema.sql) をインポートする必要があります。

  2. テキストエディターで EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml を開き、<system-properties> タグの場所を特定します。
  3. 以下のプロパティーを <system-properties> タグに追加します。<DATASOURCE> はデータソースの JNDI 名で、<HIBERNATE_DIALECT> はデータベースの Hibernate 方言です。

    注記

    org.kie.server.persistence.ds プロパティーのデフォルト値は java:jboss/datasources/ExampleDS です。org.kie.server.persistence.dialect プロパティーのデフォルト値は org.hibernate.dialect.H2Dialect です。

    <property name="org.kie.server.persistence.ds" value="<DATASOURCE>"/>
    <property name="org.kie.server.persistence.dialect" value="<HIBERNATE_DIALECT>"/>

    以下の例では、PostgreSQL hibernate 方言のデータソースの設定方法を紹介しています。

    <system-properties>
        <property name="org.kie.server.repo" value="${jboss.server.data.dir}"/>
        <property name="org.kie.example" value="true"/>
        <property name="org.jbpm.designer.perspective" value="full"/>
        <property name="designerdataobjects" value="false"/>
        <property name="org.kie.server.user" value="rhpamUser"/>
        <property name="org.kie.server.pwd" value="rhpam123!"/>
        <property name="org.kie.server.location" value="http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server"/>
        <property name="org.kie.server.controller" value="http://localhost:8080/business-central/rest/controller"/>
        <property name="org.kie.server.controller.user" value="kieserver"/>
        <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="kieserver1!"/>
        <property name="org.kie.server.id" value="local-server-123"/>
    
        <!-- Data source properties. -->
        <property name="org.kie.server.persistence.ds" value="java:jboss/datasources/KieServerDS"/>
        <property name="org.kie.server.persistence.dialect" value="org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect"/>
    </system-properties>

以下の方言がサポートされます。

  • DB2: org.hibernate.dialect.DB2Dialect
  • MSSQL: org.hibernate.dialect.SQLServer2012Dialect
  • MySQL: org.hibernate.dialect.MySQL5InnoDBDialect
  • MariaDB: org.hibernate.dialect.MySQL5InnoDBDialect
  • Oracle: org.hibernate.dialect.Oracle10gDialect
  • PostgreSQL: org.hibernate.dialect.PostgreSQL82Dialect
  • PostgreSQL plus: org.hibernate.dialect.PostgresPlusDialect
  • Sybase: org.hibernate.dialect.SybaseASE157Dialect

第6章 統合 Process Automation Manager コントローラーを使用する KIE Server の設定

注記

本セクションで説明されている変更は、KIE Server を Business Central で管理し、Red Hat Process Automation Manager を ZIP ファイルからインストールしている場合にのみ、実行してください。Business Central をインストールしていない場合は、「 7章ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールおよび実行 」の記載通りに、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを使用して KIE Server を管理することができます。

KIE Server は管理モードにすることも、非管理モードにすることもできます。非管理モードの場合は、手動で KIE コンテナー (デプロイメントユニット) を作成および維持する必要があります。KIE Server が管理されている場合は、Process Automation Manager コントローラーが KIE Server の設定を管理し、ユーザーはコントローラーと対話形式で KIE コンテナーを作成、維持します。

Process Automation Manager コントローラーは Business Central と統合します。Business Central をインストールしている場合は、Business Central の Execution Server ページを使用して Process Automation Manager コントローラーと対話します。

ZIP ファイルから Red Hat Process Automation Manager をインストールした場合は、KIE Server および Business Central のインストールの standalone-full.xml ファイルを編集して、統合 Process Automation Manager コントローラーを持つ KIE Server を設定する必要があります。

前提条件

  • Business Central と KIE Server が Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされている。

    注記

    実稼働環境では、Business Central と KIE Server は異なるサーバーにインストールすることが推奨されます。ただし、開発環境などで、KIE Server と Business Central を同じサーバーにインストールする場合は、本セクションの説明に従って、共有の standalone-full.xml ファイルを変更します。

  • Business Central サーバーノードに、rest-all ロールを持つユーザーが作成されている。

    手順

    1. Business Central の EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルで、<system-properties> セクションの以下のプロパティーのコメントを解除し、<USERNAME> および <USER_PWD> を、kie-server ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。

         <property name="org.kie.server.user" value="<USERNAME>"/>
         <property name="org.kie.server.pwd" value="<USER_PWD>"/>
    2. KIE Server の EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルで、<system-properties> セクションの以下のプロパティーのコメントを解除します。

        <property name="org.kie.server.controller.user" value="<CONTROLLER_USER>"/>
        <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="<CONTROLLER_PWD>"/>
        <property name="org.kie.server.id" value="<KIE_SERVER_ID>"/>
        <property name="org.kie.server.location" value="http://<HOST>:<PORT>/kie-server/services/rest/server"/>
        <property name="org.kie.server.controller" value="<CONTROLLER_URL>"/>
    3. 以下の値を置き換えてください。
  • <CONTROLLER_USER> および <CONTROLLER_PWD>rest-all ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。
  • <KIE_SERVER_ID> を KIE Server システムの ID または名前に置き換えます (例: rhpam-7.8.0-kie_server-1)。
  • <HOST> を KIE Server ホストの ID または名前に置き換えます (例: localhost または 192.7.8.9)。
  • <PORT> を KIE Server ホストのポートに置き換えます (例: 8080)。

    注記

    org.kie.server.location プロパティーで KIE Server の場所を指定します。

  • <CONTROLLER_URL> を Business Central の URL に置き換えます。起動中に KIE Server がこの URL に接続します。

    • インストーラーまたは Red Hat JBoss EAP zip ファイルを使用して Business Central をインストールした場合、<CONTROLLER_URL> は以下のようになります。

      http://<HOST>:<PORT>/business-central/rest/controller

    • standalone.jar ファイルを使用して Business Central を実行している場合、<CONTROLLER_URL> は以下のようになります。

      http://<HOST>:<PORT>/rest/controller

第7章 ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールおよび実行

KIE Server は、管理モードまたは非管理モードで動作するように設定できます。KIE Server が非管理モードの場合は、手動で KIE コンテナー (デプロイメントユニット) を作成および維持する必要があります。KIE Server が管理されている場合は、Process Automation Manager コントローラーが KIE Server の設定を管理し、ユーザーはコントローラーと対話形式で KIE コンテナーを作成、維持します。

Business Central には Process Automation Manager コントローラーが組み込まれています。Business Central をインストールしている場合は、Execution Server ページを使用して KIE コンテナーを作成および維持します。Business Central なしで KIE Server の管理を自動化するには、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを使用することで可能になります。

7.1. インストーラーでの Process Automation Manager コントローラーを使用する KIE Server の設定

KIE Server は、Process Automation Manager コントローラーで管理することも、非管理モードにすることも可能です。KIE Server が非管理モードの場合は、手動で KIE コンテナー (デプロイメントユニット) を作成および維持する必要があります。KIE Server が管理されている場合は、Process Automation Manager コントローラーが KIE Server の設定を管理し、ユーザーはコントローラーと対話形式で KIE コンテナーを作成、維持します。

Process Automation Manager コントローラーは Business Central と統合します。Business Central をインストールしている場合は、Business Central の Execution Server ページを使用して Process Automation Manager コントローラーと対話します。

インストーラーは対話モードまたは CLI モードで使用し、Business Central と KIE Server をインストールして、Process Automation Manager コントローラーで KIE Server を設定します。

注記

Business Central をインストールしない場合は、「 7章ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールおよび実行 」でヘッドレス Process Automation Manager の使用方法を参照してください。

前提条件

  • バックアップを作成済みの Red Hat JBoss EAP 7.3 サーバーインストールが設定された 2 台のコンピューターが利用できる。
  • インストールを完了するのに必要なユーザーパーミッションが付与されている。

手順

  1. 1 台目のコンピューターで、インタラクティブモードまたは CLI モードでインストーラーを実行します。詳細は 『Red Hat JBoss EAP 7.3 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定 』を参照してください。
  2. Component Selection ページで、KIE Server チェックボックスを外します。
  3. Business Central インストールを完了します。
  4. 2 台目のコンピューターで、インタラクティブモードまたは CLI モードでインストーラーを実行します。
  5. Component Selection ページで Business Central チェックボックスを外します。
  6. Configure Runtime Environment ページで Perform Advanced Configuration を選択します。
  7. Customize KIE Server properties を選択し、Next をクリックします。
  8. Business Central のコントローラー URL を入力し、KIE Server に追加のプロパティーを設定します。コントローラー URL は、以下の形式を取ります。<HOST:PORT> は、2 台目のコンピューターの Business Central のアドレスに置き換えます。

    <HOST:PORT>/business-central/rest/controller
  9. インストールを完了します。
  10. Process Automation Manager コントローラーが Business Central と統合されていることを確認するには、Business Central の Execution Servers ページに移動して、設定した KIE Server が REMOTE SERVERS に表示されていることを確認します。

7.2. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストール

ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーをインストールして、REST API または KIE Server Java Client API を使用して対話します。

前提条件

  • バックアップを作成済みの Red Hat JBoss EAP システム (バージョン 7.3) が利用できる。Red Hat JBoss EAP システムのベースディレクトリーを EAP_HOME とします。
  • インストールを完了するのに必要なユーザーパーミッションが付与されている。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。

    • 製品: Process Automation Manager
    • バージョン: 7.8
  2. Red Hat Process Automation Manager 7.8.0 Add Ons (the rhpam-7.8.0-add-ons.zip file) をダウンロードします。
  3. rhpam-7.8.0-add-ons.zip ファイルを展開します。rhpam-7.8.0-controller-ee7.zip ファイルは展開したディレクトリーにあります。
  4. rhpam-7.8.0-controller-ee7 アーカイブを一時ディレクトリーに展開します。以下の例では、この名前を TEMP_DIR とします。
  5. TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-controller-ee7/controller.war ディレクトリーを EAP_HOME/standalone/deployments/ にコピーします。

    警告

    コピーするヘッドレス Process Automation Manager コントローラーデプロイメントの名前が、Red Hat JBoss EAP インスタンスの既存デプロイメントと競合しないことを確認します。

  6. TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-controller-ee7/SecurityPolicy/ ディレクトリーの内容を EAP_HOME/bin にコピーします。ファイルの上書きを確認するメッセージが表示されたら、Yes を選択します。
  7. EAP_HOME/standalone/deployments/ ディレクトリーに、controller.war.dodeploy という名前で空のファイルを作成します。このファイルにより、サーバーが起動するとヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが自動的にデプロイされます。

7.2.1. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのユーザー作成

ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを使用する前に、kie-server ロールを持つユーザーを作成する必要があります。

前提条件

  • ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされている。

手順

  1. 端末アプリケーションで EAP_HOME/bin ディレクトリーに移動します。
  2. 以下のコマンドを入力し、<USER_NAME> および <PASSWORD> を、作成するユーザー名およびパスワードに置き換えます。

    $ ./add-user.sh -a --user <USER_NAME> --password <PASSWORD> --role kie-server
    注記

    必ず、既存のユーザー、ロール、またはグループとは異なるユーザー名を指定してください。たとえば、admin という名前のユーザーは作成しないでください。

    パスワードは 8 文字以上で、数字と、英数字以外の文字をそれぞれ 1 文字以上使用する必要があります。ただし & の文字は使用できません。

  3. ユーザー名とパスワードを書き留めておきます。

7.2.2. KIE Server およびヘッドレス Process Automation Manager コントローラーの設定

KIE Server をヘッドレス Process Automation Manager コントローラーから管理する場合は、本セクションの説明通りに、KIE Server インストールの standalone-full.xml ファイルと、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーインストールの standalone.xml ファイルを編集する必要があります。

前提条件

  • KIE Server が Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされている。
  • ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが EAP_HOME にインストールされている。

    注記

    実稼働環境では KIE Server およびヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを異なるサーバーにインストールすることを推奨します。ただし、開発環境など、KIE Server およびヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを同じサーバーにインストールする場合は、併せて共有の standalone-full.xml ファイルを変更します。

  • KIE Server ノードに、kie-server ロールのあるユーザーが作成されている。
  • サーバーノードに、kie-server ロールのあるユーザーが作成されている。

    手順

    1. EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルの <system-properties> セクションに以下のプロパティーを追加し、<USERNAME> および <USER_PWD> を、kie-server ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。

         <property name="org.kie.server.user" value="<USERNAME>"/>
         <property name="org.kie.server.pwd" value="<USER_PWD>"/>
    2. KIE Server の EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルの <system-properties> セクションに以下のプロパティーを追加します。

        <property name="org.kie.server.controller.user" value="<CONTROLLER_USER>"/>
        <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="<CONTROLLER_PWD>"/>
        <property name="org.kie.server.id" value="<KIE_SERVER_ID>"/>
        <property name="org.kie.server.location" value="http://<HOST>:<PORT>/kie-server/services/rest/server"/>
        <property name="org.kie.server.controller" value="<CONTROLLER_URL>"/>
    3. このファイルで、以下の値を置き換えます。
  • <CONTROLLER_USER> および <CONTROLLER_PWD>kie-server ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。
  • <KIE_SERVER_ID> を KIE Server システムの ID または名前に置き換えます (例: rhpam-7.8.0-kie_server-1)。
  • <HOST> を KIE Server ホストの ID または名前に置き換えます (例: localhost または 192.7.8.9)。
  • <PORT> を KIE Server ホストのポートに置き換えます (例: 8080)。

    注記

    org.kie.server.location プロパティーで KIE Server の場所を指定します。

  • <CONTROLLER_URL> をヘッドレス Process Automation Manager コントローラー の URL で置き換えます。

    1. 起動中に KIE Server がこの URL に接続します。

7.3. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーの実行

ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを Red Hat JBoss EAP にインストールしたら、以下の手順に従ってヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを実行します。

前提条件

  • ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされ設定されている。

手順

  1. ターミナルアプリケーションで EAP_HOME/bin に移動します。
  2. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを、KIE Server をインストールした Red Hat JBoss EAP インスタンスと同じ Red Hat JBoss EAP インスタンスにインストールしている場合は、以下のいずれかのコマンドを実行します。

    • Linux または UNIX ベースのシステムの場合:

      $ ./standalone.sh -c standalone-full.xml
    • Windows の場合:

      standalone.bat -c standalone-full.xml
  3. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを、KIE Server をインストールした Red Hat JBoss EAP インスタンスとは別の Red Hat JBoss EAP インスタンスにインストールしている場合は、standalone.sh スクリプトで Process Automation Manager コントローラーを開始できます。

    注記

    この場合は、standalone.xml ファイルに必要な設定変更を加えます。

    • Linux または UNIX ベースのシステムの場合:

      $ ./standalone.sh
    • Windows の場合:

      standalone.bat
  4. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが Red Hat JBoss EAP 上で動作していることを確認するには、以下のコマンドを入力します。<CONTROLLER> はユーザー名で、<CONTROLLER_PWD> はパスワードになります。このコマンドにより、KIE Server インスタンスに関する情報が出力されます。

    curl -X GET "http://<HOST>:<PORT>/controller/rest/controller/management/servers" -H  "accept: application/xml" -u '<CONTROLLER>:<CONTROLLER_PWD>'
注記

あるいは、KIE Server Java API Client を使用して、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーにアクセスすることもできます。

7.4. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを使用した KIE Server のクラスターリング

Process Automation Manager コントローラーは Business Central と統合します。ただし、Business Central をインストールしない場合は、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーをインストールし、REST API または KIE Server Java Client API を使用してそのコントローラーと対話します。

前提条件

  • バックアップを作成してある Red Hat JBoss EAP システム (バージョン 7.3 またはそれ以降) が利用できる。Red Hat JBoss EAP システムのベースディレクトリーを EAP_HOME とします。
  • インストールを完了するのに必要なユーザーパーミッションが付与されている。
  • 『Red Hat JBoss EAP クラスター環境への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定 』に記載されているように、パーティションがマウントされた NFS サーバーを利用できる。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。

    • Product: Process Automation Manager
    • バージョン: 7.8
  2. Red Hat Process Automation Manager 7.8.0 Add Ons (the rhpam-7.8.0-add-ons.zip file) をダウンロードします。
  3. rhpam-7.8.0-add-ons.zip ファイルを展開します。rhpam-7.8.0-controller-ee7.zip ファイルは展開したディレクトリーにあります。
  4. rhpam-7.8.0-controller-ee7 アーカイブを一時ディレクトリーに展開します。以下の例では、この名前を TEMP_DIR とします。
  5. TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-controller-ee7/controller.war ディレクトリーを EAP_HOME/standalone/deployments/ にコピーします。

    警告

    コピーするヘッドレス Process Automation Manager コントローラーデプロイメントの名前が、Red Hat JBoss EAP インスタンスの既存デプロイメントと競合しないことを確認します。

  6. TEMP_DIR/rhpam-7.8.0-controller-ee7/SecurityPolicy/ ディレクトリーの内容を EAP_HOME/bin にコピーします。ファイルの上書きを確認するメッセージが表示されたら、Yes を選択します。
  7. EAP_HOME/standalone/deployments/ ディレクトリーに、controller.war.dodeploy という名前で空のファイルを作成します。このファイルにより、サーバーが起動するとヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが自動的にデプロイされます。
  8. テキストエディターで EAP_HOME/standalone/configuration/standalone.xml ファイルを開きます。
  9. 以下のプロパティーを <system-properties> 要素に追加し、<NFS_STORAGE> を、テンプレート設定が保存されている NFS ストレージへの絶対パスに置き換えます。

    <system-properties>
      <property name="org.kie.server.controller.templatefile.watcher.enabled" value="true"/>
      <property name="org.kie.server.controller.templatefile" value="<NFS_STORAGE>"/>
    </system-properties>

    テンプレートファイルには、特定のデプロイメントシナリオのデフォルト設定が含まれます。

    org.kie.server.controller.templatefile.watcher.enabled プロパティーの値を true に設定すると、別のスレッドが開始してテンプレートファイルの修正を監視します。この確認の間隔はデフォルトで 30000 ミリ秒になり、org.kie.server.controller.templatefile.watcher.interval システムプロパティーで制御できます。このプロパティーの値を false に設定すると、テンプレートファイルへの変更の検出が、サーバーの再起動時に制限されます。

  10. ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを開始するには、EAP_HOME/bin に移動して、以下のコマンドを実行します。

    • Linux または UNIX ベースのシステムの場合:

      $ ./standalone.sh
    • Windows の場合:

      standalone.bat

Red Hat JBoss Enterprise Application Platform のクラスター環境で Red Hat Process Automation Manager を稼働する方法の詳細情報は、『Red Hat JBoss EAP クラスター環境での Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』 を参照してください。

第8章 Business Central に接続する KIE Server の設定

KIE Server を Red Hat Process Automation Manager 環境に設定していない場合、または Red Hat Process Automation Manager 環境に KIE Server を追加する必要がある場合は、KIE Server を設定して Business Central に接続する必要があります。

注記

Red Hat OpenShift Container Platform に KIE Server をデプロイする場合は、『Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager フリーフォーム管理サーバー環境のデプロイ』で、Business Central に接続する設定手順を参照してください。

前提条件

手順

  1. Red Hat Process Automation Manager インストールディレクトリーで、standalone-full.xml ファイルに移動します。たとえば、Red Hat Process Automation Manager に Red Hat JBoss EAP インストールを使用する場合は $EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml に移動します。
  2. standalone-full.xml を開き、<system-properties> タグの下に、以下のプロパティーを設定します。

    • org.kie.server.controller.user: Business Central にログインするユーザーのユーザー名。
    • org.kie.server.controller.pwd: Business Central にログインするユーザーのパスワード。
    • org.kie.server.controller: Business Central の API に接続する URL。通常、URL は http://<centralhost>:<centralport>/business-central/rest/controller です。<centralhost><centralport> はそれぞれ Business Central のホスト名とポートになります。Business Central を OpenShift にデプロイしている場合は、URL から business-central/ を削除します。
    • org.kie.server.location: KIE Server の API に接続する URL。通常、URL は http://<serverhost>:<serverport>/kie-server/services/rest/server (<serverhost> および <serverport> はそれぞれ KIE Server のホスト名およびポート) になります。
    • org.kie.server.id: サーバー設定の名前。このサーバー設定が Business Central に存在しない場合は、KIE Server が Business Central に接続する場合に自動的に作成されます。

    以下に例を示します。

    <property name="org.kie.server.controller.user" value="central_user"/>
    <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="central_password"/>
    <property name="org.kie.server.controller" value="http://central.example.com:8080/business-central/rest/controller"/>
    <property name="org.kie.server.location" value="http://kieserver.example.com:8080/kie-server/services/rest/server"/>
    <property name="org.kie.server.id" value="production-servers"/>
  3. KIE Server を起動または再起動します。

第9章 KIE Server および Business Central での環境モードの設定

KIE Server は、production (実稼働) モードと development (開発) モードでの実行が設定可能です。開発モードでは、柔軟な開発ポリシーが提供され、小規模な変更の場合はアクティブなプロセスインスタンスを維持しながら、既存のデプロイメントユニット (KIE コンテナー) を更新できます。また、大規模な変更の場合は、アクティブなプロセスインスタンスを更新する前に、デプロイメントユニットの状態をリセットすることも可能です。実稼働モードは、各デプロイメントで新規デプロイメントユニットが作成される実稼働環境に最適です。

開発環境では、Business Central で Deploy をクリックすると、(該当する場合に) 実行中のインスタンスを中止することなくビルドした KJAR ファイルを KIE Server にデプロイすることができます。または、Redeploy をクリックすると、ビルドされた KJAR ファイルをデプロイしてすべてのインスタンスを置き換えることができます。次回、ビルドされた KJAR ファイルをデプロイまたは再デプロイすると、以前のデプロイメントユニット (KIE コンテナー) が同じターゲット KIE Server で自動的に更新されます。

実稼働環境では、Business Central の Redeploy オプションが無効になり、Deploy をクリックして、ビルドした KJAR ファイルを KIE Server 上の新規デプロイメントユニット (KIE コンテナー) にデプロイすることのみが可能です。

手順

  1. KIE Server の環境モードを設定するには、org.kie.server.mode システムプロパティーを org.kie.server.mode=development または org.kie.server.mode=production に設定します。
  2. Business Central のプロジェクトにデプロイメントの動作を設定するには、プロジェクトの SettingsGeneral SettingsVersion に移動して、Development Mode オプションを切り替えます。

    注記

    デフォルトでは、KIE Server および Business Central のすべての新規プロジェクトは開発モードになっています。

    Development Mode をオンにしたプロジェクト、または実稼働モードになっている KIE Server に手動で SNAPSHOT バージョンの接尾辞を追加したプロジェクトをデプロイすることはできません。

第10章 Business Central で管理する KIE Server の設定

警告

このセクションでは、テスト目的で使用可能なサンプルの設定を紹介します。一部の値は、実稼働環境には適しておらず、その旨を記載しています。

以下の手順を使用して、KIE Server インスタンスを管理するように Business Central を設定します。

前提条件

  • 以下のロールを持つユーザーが存在している

    • Business Central: rest-all ロールを持つユーザー
    • KIE Server: kie-server ロールを持つユーザー
注記

実稼働環境では、2 人の異なるユーザーを使用し、それぞれロールを 1 つ割り当ててください。このサンプルでは、rest-allkie-server の両ロールを持つ controllerUser という名前のユーザー 1 人のみを使用します。

手順

  1. 以下の JVM プロパティーを設定します。

    Business Central と KIE Server の場所は異なる可能性があります。このような場合、正しいサーバーインスタンスのプロパティーを設定するようにしてください。

    • Red Hat JBoss EAP で、以下のファイルの <system-properties> セクションを変更します。

      • スタンドアロンモードの場合: EAP_HOME/standalone/configuration/standalone*.xml
      • ドメインモードの場合: EAP_HOME/domain/configuration/domain.xml

    表10.1 KIE Server インスタンスの JVM プロパティー

    プロパティー注記

    org.kie.server.id

    default-kie-server

    KIE Server ID。

    org.kie.server.controller

    http://localhost:8080/business-central/rest/controller

    Business Central の場所

    org.kie.server.controller.user

    controllerUser

    前のステップで説明した rest-all ロールを持つユーザーの名前

    org.kie.server.controller.pwd

    controllerUser1234;

    前のステップで説明したユーザーのパスワード

    org.kie.server.location

    http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server

    KIE Server の場所

    表10.2 Business Central インスタンスの JVM プロパティー

    プロパティー注記

    org.kie.server.user

    controllerUser

    前のステップで説明した kie-server ロールを持つユーザーの名前

    org.kie.server.pwd

    controllerUser1234;

    前のステップで説明したユーザーのパスワード

  2. http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server/ に GET 要求を送信して KIE Server が正常に起動したことを確認します。認証が終わると、以下のような XML 応答が返されます。

    <response type="SUCCESS" msg="Kie Server info">
        <kie-server-info>
            <capabilities>KieServer</capabilities>
            <capabilities>BRM</capabilities>
            <capabilities>BPM</capabilities>
            <capabilities>CaseMgmt</capabilities>
            <capabilities>BPM-UI</capabilities>
            <capabilities>BRP</capabilities>
            <capabilities>DMN</capabilities>
            <capabilities>Swagger</capabilities>
            <location>http://localhost:8230/kie-server/services/rest/server</location>
            <messages>
                <content>Server KieServerInfo{serverId='first-kie-server', version='7.5.1.Final-redhat-1', location='http://localhost:8230/kie-server/services/rest/server', capabilities=[KieServer, BRM, BPM, CaseMgmt, BPM-UI, BRP, DMN, Swagger]}started successfully at Mon Feb 05 15:44:35 AEST 2018</content>
                <severity>INFO</severity>
                <timestamp>2018-02-05T15:44:35.355+10:00</timestamp>
            </messages>
            <name>first-kie-server</name>
            <id>first-kie-server</id>
            <version>7.5.1.Final-redhat-1</version>
        </kie-server-info>
    </response>
  3. 登録が正常に完了したことを確認します。

    1. Business Central にログインします。
    2. MenuDeployExecution Servers の順にクリックします。

      正常に登録されている場合には、登録されたサーバーの ID が表示されます。

第11章 TLS 対応の Smart Router の設定

TLS 対応の Smart Router (KIE Server Router) を設定して、HTTPS トラフィックを許可することができます。

前提条件

手順

  • TLS サポートと HTTPS を有効にして Smart Router を起動するには、以下の例のように TLS キーストアプロパティーを使用します。

    java  -Dorg.kie.server.router.tls.keystore = <KEYSTORE_PATH>
          -Dorg.kie.server.router.tls.keystore.password = <KEYSTORE_PWD>
          -Dorg.kie.server.router.tls.keystore.keyalias = <KEYSTORE_ALIAS>
          -Dorg.kie.server.router.tls.port = <HTTPS_PORT>
          -jar rhpam-7.8.0-smart-router.jar

    org.kie.server.router.tls.port は、HTTPS ポートの設定に使用されるプロパティーです。デフォルトの HTTPS ポート値は 9443 です。

第12章 管理対象の KIE Server

管理対象インスタンスには、KIE Server を起動するのに利用可能な Process Automation Manager コントローラーが必要です。

Process Automation Manager コントローラーは、KIE Server の設定を一元的に管理します。各 Process Automation Manager コントローラーは複数の設定を一度に管理でき、環境内に複数の Process Automation Manager コントローラーを配置できます。管理対象の KIE Server に複数の Process Automation Manager コントローラーを設定できますが、一度に接続できるのは 1 台だけです。

重要

どの Process Automation Manager コントローラーに接続されても同じ設定セットがサーバーに提供されるように、Process Automation Manager コントローラーはすべて同期する必要があります。

KIE Server に複数の Process Automation Manager コントローラーが設定されている場合は、いずれかのコントローラーとの接続が正常に確立されるまで、起動時に各コントローラーに対して接続を試みます。接続を確立できない場合は、設定でローカルのストレージが利用可能な場合でもサーバーは起動しません。こうすることで、整合性を保ち、冗長設定でサーバーが実行されるのを回避します。

注記

Process Automation Manager コントローラーに接続せずにスタンドアロンモードで KIE Server を実行する方法については、13章管理対象外の KIE Server を参照してください。

第13章 管理対象外の KIE Server

管理対象外の KIE Server はスタンドアロンインスタンスであるため、KIE Server 自体から REST/JMS API を使用して個別に設定する必要があります。再起動時には、サーバーが自動的に設定をファイルに永続化し、そのファイルが内部のサーバーの状態として使用されます。

以下の操作を実行中に、設定が更新されます。

  • KIE コンテナーのデプロイ
  • KIE コンテナーのデプロイ解除
  • KIE コンテナーの起動
  • KIE コンテナーの停止
注記

KIE Server が再起動すると、シャットダウン前に永続化された状態を再度確立しようと試みます。そのため、実行していた KIE コンテナー (デプロイメントユニット) は起動しますが、停止していたコンテナーは起動しません。

第14章 KIE Server での KIE コンテナーのアクティブ化および非アクティブ化

特定のコンテナーを非アクティブにすることで、既存のプロセスインスタンスおよびタスクの作業を継続したまま、新規プロセスインスタンスの作成を停止できます。非アクティブ化が一時的な場合は、後でコンテナーを再度アクティブにできます。KIE コンテナーのアクティブ化および非アクティブ化には、KIE Server の再起動は必要ありません。

前提条件

  • Business Central で Kie コンテナーが作成および設定されている。

手順

  1. Business Central にログインします。
  2. メインメニューで、MenuDeployExecution Servers の順にクリックします。
  3. パージの左側にある Server Configurations ペインからサーバーを選択します。
  4. Deployment Units ペインから、アクティブ化または非アクティブ化するデプロイメントユニットを選択します。
  5. デプロイメントユニットペインの右上にある Activate または Deactivate をクリックします。

    非アクティブ化されたら、KIE コンテナーからプロセスインスタンスを作成できません。

第15章 デプロイメント記述子

プロセスとルールは Apache Maven ベースのパッケージに保存され、ナレッジアーカイブ、または KJAR と呼ばれます。ルール、プロセス、アセット、およびその他のプロジェクトアーティファクトは、Maven がビルドおよび管理する JAR ファイルの一部です。kmodule.xml と呼ばれる、KJAR の META-INF ディレクトリー内に保存されるファイルを使用して、KIE ベースとセッションを定義できます。デフォルトでは、この kmodule.xml ファイルは空です。

KIE Server のようなランタイムコンポーネントが KJAR の処理を開始するタイミングで常に kmodule.xml を検索して、ランタイム表記を構築します。

デプロイメント記述子は kmodule.xml ファイルを補い、デプロイメントにおいてより詳細な制御を提供します。このような記述子は任意で、記述子がなくてもデプロイメントは正常に行われます。記述子を使用して、persistence、auditing、runtime strategy といったメタ値を含む技術的属性を設定することができます。

記述子を使用すると、(サーバーレベルのデフォルト、KJAR ごとに異なるデプロイメント記述子、その他のサーバー設定など) 複数レベルで KIE Server を設定できるようになります。記述子を使用して、デフォルトの KIE Server 設定にシンプルなカスタマイズが可能になります (KJAR ごとなど)。

記述子は kie-deployment-descriptor.xml と呼ばれるファイルで定義し、META-INF ディレクトリーの kmodule.xml ファイルの隣に置くことができます。このデフォルトの場所とファイル名は、システムパラメーターとして指定すると変更できます。

-Dorg.kie.deployment.desc.location=file:/path/to/file/company-deployment-descriptor.xml

15.1. デプロイメント記述子の設定

デプロイメント記述子を使用すると、ユーザーは以下の複数レベルで実行サーバーを設定することができるようになります。

  • サーバーレベル: メインのレベルで、サーバーにデプロイされているすべての KJAR に適用されます。
  • KJAR レベル: このレベルでは、KJAR ベースで記述子を設定できます。
  • デプロイ時レベル: KJAR のデプロイ時に適用される記述子です。

デプロイメント記述子で指定されたより詳細な設定アイテムは、マージされるコレクションベースの設定アイテムを除いて、サーバーレベルのものよりも優先されます。優先順位は、デプロイ時設定 > KJAR 設定 > サーバー設定 となります。

注記

デプロイ時の設定は、REST API によるデプロイメントに適用されます。

たとえば、サーバーレベルで定義された (設定可能なアイテムの 1 つである) persistence mode が NONE で、同じモードが KJAR レベルでは JPA と指定されている場合、その KJAR の実際のモードは JPA になります。その KJAR についてデプロイメント記述子で persistence mode に何も指定されていない場合 (またはデプロイメント記述子がない場合) は、サーバーレベルの設定にフォールバックします。このケースでは、NONE (またはサーバーレベルのデプロイメント記述子がない場合は JPA) になります。

設定内容

デプロイメント記述子では、高度な技術的設定が可能です。以下の表では、設定可能な詳細と、それぞれの許容値とデフォルト値を掲載しています。

表15.1 デプロイメント記述子

設定XML エントリー許容値デフォルト値

ランタイムデータの永続ユニット名

persistence-unit

有効な永続パッケージ名

org.jbpm.domain

監査データの永続ユニット名

audit-persistence-unit

有効な永続パッケージ名

org.jbpm.domain

永続モード

persistence-mode

JPA, NONE

JPA

監査モード

audit-mode

JPA、JMS、または NONE

JPA

ランタイムストラテジー

runtime-strategy

SINGLETON、PER_REQUEST、または PER_PROCESS_INSTANCE

SINGLETON

登録するイベントリスナー一覧

event-listeners

ObjectModel のような有効なリスナークラス名

デフォルト値なし

登録するタスクイベントリスナー一覧

task-event-listeners

ObjectModel のような有効なリスナークラス名

デフォルト値なし

登録する作業アイテムハンドラー一覧

work-item-handlers

NamedObjectHandler のような有効な作業アイテムハンドラークラス

デフォルト値なし

登録するグローバル一覧

globals

NamedObjectModel のような有効なグローバル変数

デフォルト値なし

登録するマーシャリングストラテジー (プラグ可能変数永続)

marshalling-strategies

有効な ObjectModel クラス

デフォルト値なし

KJAR のリソースにアクセス可能となるために必要なロール

required-roles

文字列のロール名

デフォルト値なし

KIE セッションの追加の環境エントリー

environment-entries

有効な NamedObjectModel

デフォルト値なし

KIE セッションの追加の設定オプション

configurations

有効な NamedObjectModel

デフォルト値なし

リモートサービスのシリアル化に使用するクラス

remoteable-class

有効な CustomClass

デフォルト値なし

警告

実稼働環境では、EJB Timer スケジューラー (KIE Server のデフォルトのスケジューラー) を使用した Singleton ランタイムストラテジーを使用しないでください。この組み合わせを使用すると、負荷がかかると、Hibernate で問題が発生する可能性があります。具体的に他のストラテジーを使用する理由がない限り、プロセスインスタンス別のランタイムストラテジーの使用を推奨します。この制約に関する詳細情報は、Hibernate issues with Singleton strategy and EJBTimerScheduler を参照してください。

15.2. デプロイメント記述子の管理

デプロイメント記述子を設定するには、Business Central で MenuDesign$PROJECT_NAMESettingsDeployments と移動します。

プロジェクトが作成されるたびに、ストックの kie-deployment-descriptor.xml ファイルがデフォルト値で生成されます。

すべての KJAR で完全なデプロイメント記述子を提供する必要はありません。部分的なデプロイメント記述子の提供は可能で、かつ推奨されるものです。たとえば、異なる監査モードを使用する必要がある場合は、その KJAR のみにそれを指定し、残りの属性はサーバーレベルのデフォルト値で定義します。

OVERRIDE_ALL マージモードの使用時には、すべての設定アイテムを指定する必要があります。関連する KJAR は常に指定された設定を使用し、階層内の他のデプロイメント記述子とマージしないためです。

15.3. ランタイムエンジンへのアクセス制限

required-roles 設定アイテムは、デプロイメント記述子で編集できます。このプロパティーが定義するグループに属するユーザーにのみ特定プロセスへのアクセスを付与することで、KJAR ごとまたはサーバーレベルごとにランタイムエンジンへのアクセスを制限します。

セキュリティーロールを使用してプロセス定義へのアクセスを制限したり、ランタイムでのアクセスを制限することができます。

リポジトリーの制限に基づいてこのプロパティーに必要なロールを追加するのがデフォルトの動作になります。必要な場合は、セキュリティーレルムで定義されている実際のロールに合致するロールを提供することで、このプロパティーを手動で変更できます。

手順

  1. プロジェクトのデプロイメント記述子設定を開くには、Business Central で MenuDesign$PROJECT_NAMESettingsDeployments の順に選択します。
  2. 設定一覧から、Required Roles をクリックし、次に Add Required Role をクリックします。
  3. Add Required Role ウィンドウで、このデプロイメントにアクセスをするパーミッションのロール名を入力し、Add をクリックします。
  4. デプロイメントにアクセスする権限を持つロールをさらに追加するには、前の手順を繰り返します。
  5. すべてのロールを追加したら、Save をクリックします。

第16章 Business Central からのランタイムデータへのアクセス

Business Central の以下のページでは、KIE Server のランタイムデータを表示できます。

  • プロセスレポート
  • タスクレポート
  • プロセス定義
  • プロセスインスタンス
  • 実行エラー
  • ジョブ
  • タスク

これらのページは、現在ログインしているユーザーの認証情報を使用して、KIE Server からデータを読み込みます。したがって、Business Central でランタイムデータを表示できるようにするには、以下の条件を満たしていることを確認してください。

  • Business Central アプリケーションを実行している KIE コンテナー (デプロイメントユニット) にユーザーが存在している。このユーザーはランタイムデータへのフルアクセスと kie-server ロールのほかに、adminanalystdeveloper のいずれかのロールが必要です。manager および process_admin のロールでも、Business Central のランタイムデータページにアクセスできます。
  • KIE Server を実行している KIE コンテナー (デプロイメントユニット) にユーザーが存在し、kie-server ロールがある。
  • Business Central と KIE Server の通信が確立されている。つまり、Business Central の一部である Process Automation Manager コントローラーに KIE Server が登録されている。
  • Business Central を実行しているサーバーの standalone.xml 設定に以下の deployment.business-central.war ログインモジュールが存在する。

     <login-module code="org.kie.security.jaas.KieLoginModule" flag="optional" module="deployment.business-central.war"/>

第17章 実行エラー管理

ビジネスプロセスの実行エラーが発生すると、プロセスが停止し、直近の安定した状態 (直近の安全なポイント) に戻り、実行を継続します。プロセスがエラーを処理していない場合は、トランザクション全体がロールバックされ、プロセスインスタンスを 1 つ前の待ち状態のままにします。この痕跡はログにのみ表示され、通常は、プロセスエンジンに要求を送信した人にしか表示されません。

プロセスの管理者 (process-admin)、または管理者 (admin) のロールが割り当てられているユーザーが、Business Central のエラーメッセージにアクセスできます。実行エラーメッセージ機能では、主に以下の利点があります。

  • より優れたトレーサビリティー
  • 重大なプロセスの表示
  • エラー状態に基づいたレポートおよび解析
  • 外部システムエラー処理および補正

設定可能なエラー処理は、プロセスエンジンの実行 (タスクサービスを含む) 時に発生した技術エラーに対応します。以下の技術例外が適用されます。

  • java.lang.Throwable を拡張するすべてのもの
  • プロセスレベルのエラー処理およびその他の例外が事前に処理されていない

エラー処理メカニズムを設定し、その機能を拡張するプラグ可能なアプローチが可能なコンポーネントが複数あります。

エラー処理を行うプロセスエンジンのエントリーポイントは ExecutionErrorManager です。これは、RuntimeManager と統合され、基盤となる KieSession および TaskService に渡します。

API の観点からすると、ExecutionErrorManager で次のコンポーネントにアクセスできます。

  • ExecutionErrorHandler: エラー処理の主なメカニズム
  • ExecutionErrorStorage: 実行エラー情報のための、プラグ可能なストレージ

17.1. 実行エラーの管理

定義上、検出および保存されたプロセスエラーは何も確認されておらず、何らかの形 (エラーからの自動回復の場合) で処理する必要があります。エラーは、確認されたかどうかに基づいてフィルターリングされます。エラーを承認すると、追跡のために、ユーザー情報およびタイムスタンプが保存されます。いつでも、Error Management ビューにアクセスできます。

手順

  1. Business Central で、MenuManageExecution Errors の順に移動します。
  2. 一覧からエラーを選択し、Details タブを開きます。これにより、エラーに関する情報が表示されます。
  3. Acknowledge ボタンをクリックして、エラーを承認して削除します。Manage Execution Errors ページの Acknowledged フィルターで Yes を選択すれば、後からそのエラーを表示できます。

    エラーがタスクに関連する場合は、Go to Task ボタンが表示されます。

  4. 該当する場合は、Go to Task ボタンをクリックして、Manage Tasks ページに、関連するジョブ情報を表示します。

    Manage Tasks ページでは、対応するタスクの再起動、再スケジュール、または再試行を行うことができます。

17.2. ExecutionErrorHandler

ExecutionErrorHandler は、すべてのプロセスエラー処理の主要メカニズムです。これは RuntimeEngine に結びついているため、新規 RuntimeEngine が作成されるとこれも作成され、RuntimeEngine が破棄されるとこれも破棄されます。ある実行コンテキストもしくはトランザクションでは、単一インスタンスの ExecutionErrorHandler が使用されます。KieSessionTaskService の両方がそのインスタンスを使用して、処理されたノード/タスクに関するエラー処理を通知します。ExecutionErrorHandler には、以下の情報について通知されます。

  • 特定のノードインスタンスの処理の開始。
  • 特定のノードインスタンスの処理の完了。
  • 特定のタスクインスタンスの処理の開始。
  • 特定のタスクインスタンスの処理の完了。

この情報は主に、未知のタイプのエラーに使用されます。つまり、プロセスコンテキストに関する情報を提供しないエラーです。たとえば、コミット時にデータベース例外にはプロセス情報がありません。

17.3. 実行エラーの保存

ExecutionErrorStorage はプラグ可能な戦略で、実行エラーに関する情報の永続化を各種の方法で可能にします。ストレージは、ストアのインスタンス作成時 (RuntimeEngine の作成時) にこれを取得するハンドラーが直接使用します。デフォルトのストレージ実装はデータベーステーブルをベースにしており、これはすべてのエラーを保存し、利用可能な全情報を含めるものです。エラーによっては詳細を含まないものもあります。これは、エラーのタイプや特定情報を抽出可能かどうかによって異なるためです。

17.4. エラータイプとフィルター

エラー処理ではどのような種類のエラーも捕まえて処理しようとするため、エラーをカテゴリー分けする方法が必要になります。こうすることで、エラーから適切に情報を抽出し、プラグ可能とすることができます。これは、ユーザーによっては、デフォルトとは違う方法で特定タイプのエラーの出力と処理方法を必要とするためです。

エラーのカテゴリー分けとフィルターリングは、ExecutionErrorFilters をベースにしています。このインターフェイスは ExecutionError のインスタンス構築を担っており、これは後で ExecutionErrorStorage 戦略で保存されます。これには以下のメソッドがあります。

  • accept: エラーがフィルターで処理可能かどうかを示します。
  • filter: 実際のフィルターリング、処理などが発生する場所です。
  • getPriority: フィルター呼び出し時に使用される優先度を示します。

フィルターは、一度に処理するエラーは 1 つで、優先順位の仕組みを使用して、複数のフィルターで、別のビューで同じエラーが返されないようにします。優先順位を使用すると、より特化したフィルターで、エラーが受け入れられるかどうか、または別のフィルターで処理可能かが判断されます。

ExecutionErrorFilterServiceLoader メカニズムを使用することで提供され、これによりエラー処理の機能が容易に拡張できます。

Red Hat Process Automation Manager には以下の ExecutionErrorFilters が同梱されています。

表17.1 ExecutionErrorFilters

クラス名タイプ優先順位

org.jbpm.runtime.manager.impl.error.filters.ProcessExecutionErrorFilter

Process

100

org.jbpm.runtime.manager.impl.error.filters.TaskExecutionErrorFilter

タスク

80

org.jbpm.runtime.manager.impl.error.filters.DBExecutionErrorFilter

DB

200

org.jbpm.executor.impl.error.JobExecutionErrorFilter

Job

100

フィルターには、優先度の値の低いものが実行順序の高いものとして与えられます。上記のテーブルでは、以下の順序でフィルターが実行されます。

  1. タスク
  2. Process
  3. Job
  4. DB

17.5. 実行エラーの自動承認

実行エラーが発生すると、デフォルトでは承認されず、承認されるには手動での作業が必要になります。承認が行われてないと、実行エラーは注意が必要な情報としてみなされます。ボリュームが大きい場合は、手動作業には時間がかかるため、状況によっては適当ではありません。

自動承認によりこの問題が解消されます。これは jbpm-executor を使用したスケジュールジョブをベースとするため、以下の 3 つのタイプのジョブが利用できます。

org.jbpm.executor.commands.error.JobAutoAckErrorCommand
1 回失敗したものの、別の実行でキャンセル、完了、もしくは再スケジュールされたジョブを探します。このジョブは Job タイプの実行エラーのみを承認します。
org.jbpm.executor.commands.error.TaskAutoAckErrorCommand
1 回失敗したものの、いずれかの終了状態 (completed、failed、exited、obsolete) にあるタスクのユーザータスク実行エラーを自動承認します。このジョブは、Task タイプの実行エラーのみを承認します。
org.jbpm.executor.commands.error.ProcessAutoAckErrorCommand
エラーがアタッチされたプロセスインスタンスを自動承認します。プロセスインスタンスが既に終了してる (completed または aborted) エラー、もしくはエラーの発生元であるタスクがすでに終了しているエラーを承認します。これは init_activity_id 値をベースにしています。このジョブは、これらの条件に合致する実行エラーのタイプすべてを承認します。

ジョブは KIE Server で登録できます。Business Central では、以下のようにしてエラーに対する自動承認ジョブを設定できます。

前提条件

  • プロセス実行中に 1 つ以上のタイプの実行エラーが発生したが、さらなる注意を必要としていない。

手順

  1. Business Central で、MenuManageJobs の順にクリックします。
  2. 画面右上の New Job をクリックします。
  3. Business Key フィールドにプロセス相関キーを入力します。
  4. Type フィールドに上記のリストから自動承認ジョブタイプを追加します。
  5. Due On でジョブの完了時間を選択します。

    1. ジョブをすぐに実行する場合は、Run now オプションを選択します。
    2. 特定の時間にジョブを実行する場合は、Run later を選択します。Run later オプションの横に日時フィールドが表示されます。フィールドをクリックしてカレンダーを開き、ジョブの特定の日時をスケジュールします。

      auto acknowledge error job1
  6. Create をクリックしてジョブを作成し、Manage Jobs ページに戻ります。

以下のステップは任意となり、自動承認ジョブを 1 回のみ (SingleRun) または特定の間隔 (NextRun) で実行するか、承認するジョブの検索にエンティティーマネジャーファクトリーのカスタム名を使用 (EmfName) して実行するように設定できます。

  1. Advanced タブをクリックします。
  2. Add Parameter ボタンをクリックします。
  3. ジョブに適用する設定パラメーターを入力します。

    1. SingleRun: true または false
    2. NextRun: 2h、5d、1m などの時間表示。
    3. EmfName: カスタムのエンティティーマネージャーファクトリーの名前。

      auto acknowledge error job2

17.6. エラー一覧のクリーンアップ

ExecutionErrorInfo エラーリストテーブルは、クリーンアップして冗長情報を削除できます。プロセスのライフサイクルによっては、エラーがリストにしばらく残る場合があり、そのリストをクリーンアップするための直接的な API はありません。代わりに、ExecutionErrorCleanupCommand コマンドをスケジュールして、エラーを定期的にクリーンアップできます。

クリーンアップコマンドには、次のパラメーターを設定できます。このコマンドは、すでに完了または中断済みのプロセスインスタンスの実行エラーしか削除できません。

  • DateFormat

    • 日付関連パラメーター用の日付形式 - 指定しない場合は、yyyy-MM-dd が使用されます (SimpleDateFormat クラスのパターン)。
  • EmfName

    • クエリーに使用するエンティティーマネジャーファクトリーの名前 (有効な永続的ユニット名)。
  • SingleRun

    • 実行が 1 回のみかどうかを指定します (true|false)。
  • NextRun

    • 次回の実行時間を指定します (有効な時間表記。例: 1d、5h など)。
  • OlderThan

    • 削除するエラーを指定します。指定した日付より古いものが削除されます。
  • OlderThanPeriod

    • 指定した時間表記よりも古いエラーを削除することを指定します (有効な時間表記。例: 1d、5h など)
  • ForProcess

    • 指定したプロセス定義のみのエラーを削除します。
  • ForProcessInstance

    • 特定のプロセスインスタンスに対してのみ削除されるエラーを示します。
  • ForDeployment

    • 指定したデプロイメント ID から削除されるエラーを示します。

第18章 Red Hat Process Automation Manager の Prometheus メトリクスの監視

Prometheus は、オープンソースのシステム監視ツールキットで、Red Hat Process Automation Manager と連携して、ビジネスルール、プロセス、Decision Model and Notation (DMN) モデル、その他の Red Hat Process Automation Manager アセットの実行に関するメトリクスを収集して保存できます。KIE Server への REST API 呼び出しや、Prometheus expression browser、Grafana などのデータグラフツールを使用して、保存したメトリクスにアクセスできます。

オンプレミスの KIE Server、Spring Boot の KIE Server、Red Hat OpenShift Container Platform の KIE Server デプロイメントに、Prometheus メトリクス監視を設定できます。

KIE Server が Prometheus を使用して公開するメトリクスで、利用可能なものの一覧については、Red Hat カスタマーポータル から Red Hat Process Automation Manager 7. 8.0 Source Distribution をダウンロードし、~/rhpam-7.8.0-sources/src/droolsjbpm-integration-$VERSION/kie-server-parent/kie-server-services/kie-server-services-prometheus/src/main/java/org/kie/server/services/prometheus に移動してください。

重要

Prometheus に対する Red Hat の サポートは、Red Hat 製品ドキュメントに記載の設定および設定の推奨事項に限定されます。

18.1. KIE Server のモニターリングを行う Prometheus メトリクスの設定

KIE Server インスタンスが Prometheus を使用し、Red Hat Process Automation Manager でのビジネスアセットアクティビティーに関連するメトリックスを収集して保存するように設定できます。KIE Server が Prometheus を使用して公開するメトリクスで、利用可能なものの一覧については、Red Hat カスタマーポータル から Red Hat Process Automation Manager 7. 8.0 Source Distribution をダウンロードし、~/rhpam-7.8.0-sources/src/droolsjbpm-integration-$VERSION/kie-server-parent/kie-server-services/kie-server-services-prometheus/src/main/java/org/kie/server/services/prometheus に移動してください。

前提条件

  • KIE Server がインストールされている。
  • kie-server ユーザーロールで KIE Server にアクセスできる。
  • Prometheus がインストールされている。Prometheus のダウンロードおよび使用に関する情報は、Prometheus ドキュメントページ を参照してください。

手順

  1. KIE Server インスタンスで、org.kie.prometheus.server.ext.disabled システムプロパティーを false に設定して、Prometheus 拡張機能を有効にします。このプロパティーは、KIE Server の起動時、または Red Hat Process Automation Manager ディストリビューションの standalone.xml ファイルまたは standalone-full.xml ファイルで定義できます。
  2. Spring Boot で Red Hat Process Automation Manager を実行する場合は、application.properties システムプロパティーで必要なキーを設定します。

    Red Hat Process Automation Manager および Prometheus の Spring Boot application.properties キー

    kieserver.jbpm.enabled=true
    kieserver.drools.enabled=true
    kieserver.dmn.enabled=true
    kieserver.prometheus.enabled=true

  3. Prometheus ディストリビューションの prometheus.yaml ファイルで、scrape_configs セクションに以下の設定を追加して、Prometheus が KIE Server からメトリクスを収集 (scrape) するように設定します。

    prometheus.yaml ファイルの Scrape 設定

    scrape_configs:
      - job_name: 'kie-server'
        metrics_path: /SERVER_PATH/services/rest/metrics
        basicAuth:
          username: USER_NAME
          password: PASSWORD
        static_configs:
          - targets: ["HOST:PORT"]

    Spring Boot の prometheus.yaml ファイルでの Scrape 設定 (該当する場合)

    scrape_configs:
      - job_name: 'kie'
        metrics_path: /rest/metrics
        static_configs:
          - targets: ["HOST:PORT"]

    KIE Server の場所と設定に合わせて、値を置き換えます。

  4. KIE Server インスタンスを起動します。

    Red Hat JBoss EAP での Red Hat Process Automation Manager の起動コマンド例

    $ cd ~/EAP_HOME/bin
    $ ./standalone.sh --c standalone-full.xml

    設定済みの KIE Server インスタンスを起動すると、Prometheus はメトリクスの収集を開始し、KIE Server はメトリクスを REST API エンドポイント http://HOST:PORT/SERVER/services/rest/metrics (または Spring Boot では http://HOST:PORT/rest/metrics) に公開します。

  5. REST クライアントまたは curl ユーティリティーで、以下のコンポーネントを含む REST API 要求を送信し、KIE Server がメトリクスを公開していることを確認します。

    REST クライアントの場合:

    • Authentication: kie-server ロールを持つ KIE Server ユーザーのユーザー名とパスワードを入力します。
    • HTTP Headers: 以下のヘッダーを設定します。

      • Accept: application/json
    • HTTP method: GET に設定します。
    • URL: KIE Server REST API ベース URL とメトリクスエンドポイントを入力します。たとえば、http://localhost:8080/kie-server/services/rest/metrics (または Spring Boot では http://localhost:8080/rest/metrics) となります。

    curl ユーティリティーの場合:

    • -u: kie-server ロールを持つ KIE Server ユーザーのユーザー名とパスワードを入力します。
    • -H: 以下のヘッダーを設定します。

      • accept: application/json
    • -X: GET に設定します。
    • URL: KIE Server REST API ベース URL とメトリクスエンドポイントを入力します。たとえば、http://localhost:8080/kie-server/services/rest/metrics (または Spring Boot では http://localhost:8080/rest/metrics) となります。

    Red Hat JBoss EAP での Red Hat Process Automation Manager の curl コマンド例

    curl -u 'baAdmin:password@1' -X GET "http://localhost:8080/kie-server/services/rest/metrics"

    Spring Boot での Red Hat Process Automation Manager の curl コマンド例

    curl -u 'baAdmin:password@1' -X GET "http://localhost:8080/rest/metrics"

    サーバーの応答例

    # HELP kie_server_container_started_total Kie Server Started Containers
    # TYPE kie_server_container_started_total counter
    kie_server_container_started_total{container_id="task-assignment-kjar-1.0",} 1.0
    # HELP solvers_running Number of solvers currently running
    # TYPE solvers_running gauge
    solvers_running 0.0
    # HELP dmn_evaluate_decision_nanosecond DMN Evaluation Time
    # TYPE dmn_evaluate_decision_nanosecond histogram
    # HELP solver_duration_seconds Time in seconds it took solver to solve the constraint problem
    # TYPE solver_duration_seconds summary
    solver_duration_seconds_count{solver_id="100tasks-5employees.xml",} 1.0
    solver_duration_seconds_sum{solver_id="100tasks-5employees.xml",} 179.828255925
    solver_duration_seconds_count{solver_id="24tasks-8employees.xml",} 1.0
    solver_duration_seconds_sum{solver_id="24tasks-8employees.xml",} 179.995759653
    # HELP drl_match_fired_nanosecond Drools Firing Time
    # TYPE drl_match_fired_nanosecond histogram
    # HELP dmn_evaluate_failed_count DMN Evaluation Failed
    # TYPE dmn_evaluate_failed_count counter
    # HELP kie_server_start_time Kie Server Start Time
    # TYPE kie_server_start_time gauge
    kie_server_start_time{name="myapp-kieserver",server_id="myapp-kieserver",location="http://myapp-kieserver-demo-monitoring.127.0.0.1.nip.io:80/services/rest/server",version="7.4.0.redhat-20190428",} 1.557221271502E12
    # HELP kie_server_container_running_total Kie Server Running Containers
    # TYPE kie_server_container_running_total gauge
    kie_server_container_running_total{container_id="task-assignment-kjar-1.0",} 1.0
    # HELP solver_score_calculation_speed Number of moves per second for a particular solver solving the constraint problem
    # TYPE solver_score_calculation_speed summary
    solver_score_calculation_speed_count{solver_id="100tasks-5employees.xml",} 1.0
    solver_score_calculation_speed_sum{solver_id="100tasks-5employees.xml",} 6997.0
    solver_score_calculation_speed_count{solver_id="24tasks-8employees.xml",} 1.0
    solver_score_calculation_speed_sum{solver_id="24tasks-8employees.xml",} 19772.0
    # HELP kie_server_case_started_total Kie Server Started Cases
    # TYPE kie_server_case_started_total counter
    kie_server_case_started_total{case_definition_id="itorders.orderhardware",} 1.0
    # HELP kie_server_case_running_total Kie Server Running Cases
    # TYPE kie_server_case_running_total gauge
    kie_server_case_running_total{case_definition_id="itorders.orderhardware",} 2.0
    # HELP kie_server_data_set_registered_total Kie Server Data Set Registered
    # TYPE kie_server_data_set_registered_total gauge
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmProcessInstanceLogs::CUSTOM",uuid="jbpmProcessInstanceLogs",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmRequestList::CUSTOM",uuid="jbpmRequestList",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="tasksMonitoring::CUSTOM",uuid="tasksMonitoring",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmHumanTasks::CUSTOM",uuid="jbpmHumanTasks",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmHumanTasksWithUser::FILTERED_PO_TASK",uuid="jbpmHumanTasksWithUser",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmHumanTasksWithVariables::CUSTOM",uuid="jbpmHumanTasksWithVariables",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmProcessInstancesWithVariables::CUSTOM",uuid="jbpmProcessInstancesWithVariables",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmProcessInstances::CUSTOM",uuid="jbpmProcessInstances",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmExecutionErrorList::CUSTOM",uuid="jbpmExecutionErrorList",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="processesMonitoring::CUSTOM",uuid="processesMonitoring",} 1.0
    kie_server_data_set_registered_total{name="jbpmHumanTasksWithAdmin::FILTERED_BA_TASK",uuid="jbpmHumanTasksWithAdmin",} 1.0
    # HELP kie_server_execution_error_total Kie Server Execution Errors
    # TYPE kie_server_execution_error_total counter
    # HELP kie_server_task_completed_total Kie Server Completed Tasks
    # TYPE kie_server_task_completed_total counter
    # HELP kie_server_container_running_total Kie Server Running Containers
    # TYPE kie_server_container_running_total gauge
    kie_server_container_running_total{container_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",} 1.0
    # HELP kie_server_job_cancelled_total Kie Server Cancelled Jobs
    # TYPE kie_server_job_cancelled_total counter
    # HELP kie_server_process_instance_started_total Kie Server Started Process Instances
    # TYPE kie_server_process_instance_started_total counter
    kie_server_process_instance_started_total{container_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",process_id="itorders.orderhardware",} 1.0
    # HELP solver_duration_seconds Time in seconds it took solver to solve the constraint problem
    # TYPE solver_duration_seconds summary
    # HELP kie_server_task_skipped_total Kie Server Skipped Tasks
    # TYPE kie_server_task_skipped_total counter
    # HELP kie_server_data_set_execution_time_seconds Kie Server Data Set Execution Time
    # TYPE kie_server_data_set_execution_time_seconds summary
    kie_server_data_set_execution_time_seconds_count{uuid="jbpmProcessInstances",} 8.0
    kie_server_data_set_execution_time_seconds_sum{uuid="jbpmProcessInstances",} 0.05600000000000001
    # HELP kie_server_job_scheduled_total Kie Server Started Jobs
    # TYPE kie_server_job_scheduled_total counter
    # HELP kie_server_data_set_execution_total Kie Server Data Set Execution
    # TYPE kie_server_data_set_execution_total counter
    kie_server_data_set_execution_total{uuid="jbpmProcessInstances",} 8.0
    # HELP kie_server_process_instance_completed_total Kie Server Completed Process Instances
    # TYPE kie_server_process_instance_completed_total counter
    # HELP kie_server_job_running_total Kie Server Running Jobs
    # TYPE kie_server_job_running_total gauge
    # HELP kie_server_task_failed_total Kie Server Failed Tasks
    # TYPE kie_server_task_failed_total counter
    # HELP kie_server_task_exited_total Kie Server Exited Tasks
    # TYPE kie_server_task_exited_total counter
    # HELP dmn_evaluate_decision_nanosecond DMN Evaluation Time
    # TYPE dmn_evaluate_decision_nanosecond histogram
    # HELP kie_server_data_set_lookups_total Kie Server Data Set Running Lookups
    # TYPE kie_server_data_set_lookups_total gauge
    kie_server_data_set_lookups_total{uuid="jbpmProcessInstances",} 0.0
    # HELP kie_server_process_instance_duration_seconds Kie Server Process Instances Duration
    # TYPE kie_server_process_instance_duration_seconds summary
    # HELP kie_server_case_duration_seconds Kie Server Case Duration
    # TYPE kie_server_case_duration_seconds summary
    # HELP dmn_evaluate_failed_count DMN Evaluation Failed
    # TYPE dmn_evaluate_failed_count counter
    # HELP kie_server_task_added_total Kie Server Added Tasks
    # TYPE kie_server_task_added_total counter
    kie_server_task_added_total{deployment_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",process_id="itorders.orderhardware",task_name="Prepare hardware spec",} 1.0
    # HELP drl_match_fired_nanosecond Drools Firing Time
    # TYPE drl_match_fired_nanosecond histogram
    # HELP kie_server_container_started_total Kie Server Started Containers
    # TYPE kie_server_container_started_total counter
    kie_server_container_started_total{container_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",} 1.0
    # HELP kie_server_process_instance_sla_violated_total Kie Server Process Instances SLA Violated
    # TYPE kie_server_process_instance_sla_violated_total counter
    # HELP kie_server_task_duration_seconds Kie Server Task Duration
    # TYPE kie_server_task_duration_seconds summary
    # HELP kie_server_job_executed_total Kie Server Executed Jobs
    # TYPE kie_server_job_executed_total counter
    # HELP kie_server_deployments_active_total Kie Server Active Deployments
    # TYPE kie_server_deployments_active_total gauge
    kie_server_deployments_active_total{deployment_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",} 1.0
    # HELP kie_server_process_instance_running_total Kie Server Running Process Instances
    # TYPE kie_server_process_instance_running_total gauge
    kie_server_process_instance_running_total{container_id="itorders_1.0.0-SNAPSHOT",process_id="itorders.orderhardware",} 2.0
    # HELP solvers_running Number of solvers currently running
    # TYPE solvers_running gauge
    solvers_running 0.0
    # HELP kie_server_work_item_duration_seconds Kie Server Work Items Duration
    # TYPE kie_server_work_item_duration_seconds summary
    # HELP kie_server_job_duration_seconds Kie Server Job Duration
    # TYPE kie_server_job_duration_seconds summary
    # HELP solver_score_calculation_speed Number of moves per second for a particular solver solving the constraint problem
    # TYPE solver_score_calculation_speed summary
    # HELP kie_server_start_time Kie Server Start Time
    # TYPE kie_server_start_time gauge
    kie_server_start_time{name="sample-server",server_id="sample-server",location="http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server",version="7.39.1-SNAPSHOT",} 1.557285486469E12

    KIE Server でメトリクスが利用できない場合は、このセクションで説明されている KIE Server および Prometheus の設定を確認します。

    また、http://HOST:PORT/graph の Prometheus の expression browser で収集したメトリクスと対話したり、Prometheus データソースを Grafana などのデータグラフ作成ツールと統合したりすることもできます。

    図18.1 Prometheus expression browser と KIE Server メトリクス

    prometheus expression browser data

    図18.2 Prometheus expression browser と KIE Server ターゲット

    prometheus expression browser targets

    図18.3 Grafana ダッシュボードと DMN モデルの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data dmn

    図18.4 Grafana ダッシュボードとソルバーの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data optimizer

    図18.5 Grafana ダッシュボードとプロセス、ケースおよびタスクの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data jbpm

18.2. Red Hat OpenShift Container Platform の KIE Server の Prometheus メトリクスモニターリングの設定

Prometheus を使用して Red Hat Process Automation Manger でのビジネスアセットアクティビティーに関連するメトリクスを収集して保存するように、Red Hat OpenShift Container Platform で KIE Server デプロイメントを設定できます。KIE Server が Prometheus を使用して公開するメトリクスで、利用可能なものの一覧については、Red Hat カスタマーポータル から Red Hat Process Automation Manager 7. 8.0 Source Distribution をダウンロードし、~/rhpam-7.8.0-sources/src/droolsjbpm-integration-$VERSION/kie-server-parent/kie-server-services/kie-server-services-prometheus/src/main/java/org/kie/server/services/prometheus に移動してください。

前提条件

手順

  1. OpenShift 上の KIE Server デプロイメントの DeploymentConfig オブジェクトで、PROMETHEUS_SERVER_EXT_DISABLED 環境変数を false に設定して、Prometheus 拡張機能を有効にします。この変数は、OpenShift Web コンソールを使用するか、コマンド端末で oc コマンドを使用してこの変数を設定してください。

    oc set env dc/<dc_name> PROMETHEUS_SERVER_EXT_DISABLED=false -n <namespace>

    OpenShift に KIE Server をまだデプロイしていない場合には、OpenShift デプロイメントに使用予定の OpenShift テンプレートで (例: rhpam78-prod-immutable-kieserver.yaml)、PROMETHEUS_SERVER_EXT_DISABLED テンプレートパラメーターを false に設定して、Prometheus 拡張機能を有効にします。

    OpenShift Operator を使用して KIE Server を OpenShift にデプロイする場合は、KIE Server の設定で、PROMETHEUS_SERVER_EXT_DISABLED 環境変数を false に設定して、Prometheus 拡張機能を有効にします。

    apiVersion: app.kiegroup.org/v1
    kind: KieApp
    metadata:
      name: enable-prometheus
    spec:
      environment: rhpam-trial
      objects:
        servers:
        - env:
          - name: PROMETHEUS_SERVER_EXT_DISABLED
            value: "false"
  2. service-metrics.yaml ファイルを作成して、KIE Server から Prometheus にメトリクスを公開するサービスを追加します。

    apiVersion: v1
    kind: Service
    metadata:
      annotations:
        description: RHPAM Prometheus metrics exposed
      labels:
        app: myapp-kieserver
        application: myapp-kieserver
        template: myapp-kieserver
        metrics: rhpam
      name: rhpam-app-metrics
    spec:
      ports:
        - name: web
          port: 8080
          protocol: TCP
          targetPort: 8080
      selector:
        deploymentConfig: myapp-kieserver
      sessionAffinity: None
      type: ClusterIP
  3. コマンドターミナルで、oc コマンドを使用して、service-metrics.yaml ファイルを OpenShift デプロイメントに適用します。

    oc apply -f service-metrics.yaml
  4. metrics-secret など、OpenShift シークレットを作成して、KIE Server の Prometheus メトリクスにアクセスします。シークレットには username 要素および password 要素と、KIE Server ユーザー資格情報が含まれている必要があります。OpenShift シークレットの詳細は、OpenShift 開発者ガイドシークレット の章を参照してください。
  5. ServiceMonitor オブジェクトを定義する service-monitor.yaml ファイルを作成します。サービスモニターにより Prometheus を KIE Server メトリクスサービスに接続できます。

    apiVersion: monitoring.coreos.com/v1
    kind: ServiceMonitor
    metadata:
      name: rhpam-service-monitor
      labels:
        team: frontend
    spec:
      selector:
        matchLabels:
          metrics: rhpam
      endpoints:
        - port: web
          path: /services/rest/metrics
          basicAuth:
            password:
              name: metrics-secret
              key: password
            username:
              name: metrics-secret
              key: username
  6. コマンド端末で、oc コマンドを使用して、service-monitor.yaml ファイルを OpenShift デプロイメントに適用します。

    oc apply -f service-monitor.yaml

    上記の設定を完了すると、Prometheus はメトリクスの収集を開始し、KIE Server は REST API エンドポイント http://HOST:PORT/kie-server/services/rest/metrics にメトリクスを公開します。

    http://HOST:PORT/graph の Prometheus expression browser で収集したメトリクスと対話したり、Prometheus データソースを Grafana などのデータグラフ作成ツールと統合したりすることができます。

    Prometheus expression browser の場所のホストとポートである http://HOST:PORT/graph は、Prometheus Operator をインストールしたときに Prometheus Web コンソールを公開したルートで定義されています。OpenShift ルートの詳細は、OpenShift アーキテクチャードキュメントの ルート の章を参照してください。

    図18.6 Prometheus expression browser と KIE Server メトリクス

    prometheus expression browser data

    図18.7 Prometheus expression browser と KIE Server ターゲット

    prometheus expression browser targets ocp

    図18.8 Grafana ダッシュボードと DMN モデルの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data dmn

    図18.9 Grafana ダッシュボードとソルバーの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data optimizer

    図18.10 Grafana ダッシュボードとプロセス、ケースおよびタスクの KIE Server メトリクス

    prometheus grafana data jbpm

18.3. カスタムのメトリクスを使用した KIE Server の Prometheus メトリクスモニターリングの拡張

KIE Server インスタンスが Prometheus メトリクスモニターリングを使用するように設定後に、ビジネス要件に合わせてカスタムのメトリクスを使用するように、KIE Server の Prometheus 機能を拡張できます。Prometheus は、KIE Server が Prometheus に公開するデフォルトのメトリクスと、カスタムのメトリクスを収集して、保存します。

たとえば、以下の手順では、Prometheus で収集して保存するように、カスタムの Decision Model and Notation (DMN) メトリックを定義します。

前提条件

手順

  1. 空の Maven プロジェクトを作成して、以下のパッケージタイプと依存関係を、プロジェクトの pom.xml ファイルに定義します。

    サンプルプロジェクトの pom.xml ファイルの例

    <packaging>jar</packaging>
    
    <properties>
      <version.org.kie>7.39.0.Final-redhat-00005</version.org.kie>
    </properties>
    
    <dependencies>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-common</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-drools</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-prometheus</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-dmn-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-dmn-core</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.jbpm</groupId>
        <artifactId>jbpm-services-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.jbpm</groupId>
        <artifactId>jbpm-executor</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.optaplanner</groupId>
        <artifactId>optaplanner-core</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>io.prometheus</groupId>
        <artifactId>simpleclient</artifactId>
        <version>0.5.0</version>
      </dependency>
    </dependencies>

  2. 以下の例にあるように、カスタムの Prometheus メトリクスを定義する、カスタムのリスナークラスの一部として、org.kie.server.services.prometheus.PrometheusMetricsProvider インターフェイスを実装します。

    カスタムのリスナークラス内の DMNRuntimeEventListener リスナーの実装例

    package org.kie.server.ext.prometheus;
    
    import io.prometheus.client.Gauge;
    import org.kie.dmn.api.core.ast.DecisionNode;
    import org.kie.dmn.api.core.event.AfterEvaluateBKMEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.AfterEvaluateContextEntryEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.AfterEvaluateDecisionEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.AfterEvaluateDecisionServiceEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.AfterEvaluateDecisionTableEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.BeforeEvaluateBKMEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.BeforeEvaluateContextEntryEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.BeforeEvaluateDecisionEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.BeforeEvaluateDecisionServiceEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.BeforeEvaluateDecisionTableEvent;
    import org.kie.dmn.api.core.event.DMNRuntimeEventListener;
    import org.kie.server.api.model.ReleaseId;
    import org.kie.server.services.api.KieContainerInstance;
    
    public class ExampleCustomPrometheusMetricListener implements DMNRuntimeEventListener {
    
        private final KieContainerInstance kieContainer;
    
        private final Gauge randomGauge = Gauge.build()
                .name("random_gauge_nanosecond")
                .help("Random gauge as an example of custom KIE Prometheus metric")
                .labelNames("container_id", "group_id", "artifact_id", "version", "decision_namespace", "decision_name")
                .register();
    
        public ExampleCustomPrometheusMetricListener(KieContainerInstance containerInstance) {
            kieContainer = containerInstance;
        }
    
        public void beforeEvaluateDecision(BeforeEvaluateDecisionEvent e) {
        }
    
        public void afterEvaluateDecision(AfterEvaluateDecisionEvent e) {
            DecisionNode decisionNode = e.getDecision();
            ReleaseId releaseId = kieContainer.getResource().getReleaseId();
            randomGauge.labels(kieContainer.getContainerId(), releaseId.getGroupId(),
                               releaseId.getArtifactId(), releaseId.getVersion(),
                               decisionNode.getModelName(), decisionNode.getModelNamespace())
                    .set((int) (Math.random() * 100));
        }
    
        public void beforeEvaluateBKM(BeforeEvaluateBKMEvent event) {
        }
    
        public void afterEvaluateBKM(AfterEvaluateBKMEvent event) {
        }
    
        public void beforeEvaluateContextEntry(BeforeEvaluateContextEntryEvent event) {
        }
    
        public void afterEvaluateContextEntry(AfterEvaluateContextEntryEvent event) {
        }
    
        public void beforeEvaluateDecisionTable(BeforeEvaluateDecisionTableEvent event) {
        }
    
        public void afterEvaluateDecisionTable(AfterEvaluateDecisionTableEvent event) {
        }
    
        public void beforeEvaluateDecisionService(BeforeEvaluateDecisionServiceEvent event) {
        }
    
        public void afterEvaluateDecisionService(AfterEvaluateDecisionServiceEvent event) {
        }
    }

    PrometheusMetricsProvider インターフェイスには、Prometheus メトリクス収集に必要なリスナーが含まれます。このインターフェイスは、プロジェクトの pom.xml ファイルで宣言した kie-server-services-prometheus 依存関係に組み込まれます。

    以下の例では、ExampleCustomPrometheusMetricListener クラスは、(PrometheusMetricsProvider インターフェイスからの) DMNRuntimeEventListener リスナーを実装し、Prometheus で収集、保存するカスタムの DMN メトリクスを定義します。

  3. 以下の例にあるように、PrometheusMetricsProvider インターフェイスとカスタムのリスナーを関連付ける、カスタムのメトリクスプロバイダーの一部として PrometheusMetricsProvider インターフェイスを実装します。

    カスタムメトリクスプロバイダークラスの PrometheusMetricsProvider インターフェイスの実装例

    package org.kie.server.ext.prometheus;
    
    import org.jbpm.executor.AsynchronousJobListener;
    import org.jbpm.services.api.DeploymentEventListener;
    import org.kie.api.event.rule.AgendaEventListener;
    import org.kie.api.event.rule.DefaultAgendaEventListener;
    import org.kie.dmn.api.core.event.DMNRuntimeEventListener;
    import org.kie.server.services.api.KieContainerInstance;
    import org.kie.server.services.prometheus.PrometheusMetricsProvider;
    import org.optaplanner.core.impl.phase.event.PhaseLifecycleListener;
    import org.optaplanner.core.impl.phase.event.PhaseLifecycleListenerAdapter;
    
    public class MyPrometheusMetricsProvider implements PrometheusMetricsProvider {
    
        public DMNRuntimeEventListener createDMNRuntimeEventListener(KieContainerInstance kContainer) {
            return new ExampleCustomPrometheusMetricListener(kContainer);
        }
    
        public AgendaEventListener createAgendaEventListener(String kieSessionId, KieContainerInstance kContainer) {
            return new DefaultAgendaEventListener();
        }
    
        public PhaseLifecycleListener createPhaseLifecycleListener(String solverId) {
            return new PhaseLifecycleListenerAdapter() {
            };
        }
    
        public AsynchronousJobListener createAsynchronousJobListener() {
            return null;
        }
    
        public DeploymentEventListener createDeploymentEventListener() {
            return null;
        }
    }

    以下の例では、MyPrometheusMetricsProvider クラスは PrometheusMetricsProvider インターフェイスを実装し、このクラスには、カスタムの ExampleCustomPrometheusMetricListener リスナークラスが含まれます。

  4. 新規メトリクスプロバイダーを KIE Server で検出できるようにするには、Maven プロジェクトに META-INF/services/org.kie.server.services.prometheus.PrometheusMetricsProvider ファイルを作成して、このファイル内に PrometheusMetricsProvider 実装クラスの完全修飾クラス名を追加します。以下の例では、このファイルに org.kie.server.ext.prometheus.MyPrometheusMetricsProvider の 1 行が含まれています。
  5. プロジェクトを構築して、作成された JAR ファイルをプロジェクトの ~/kie-server.war/WEB-INF/lib ディレクトリーにコピーします。たとえば、Red Hat JBoss EAP ではこのディレクトリーへのパスは EAP_HOME/standalone/deployments/kie-server.war/WEB-INF/lib です。

    Red Hat OpenShift Container Platform に Red Hat Process Automation Manager をデプロイする場合は、カスタムの KIE Server イメージを作成して、この JAR ファイルをイメージに追加します。追加の JAR ファイルを使用してカスタムの KIE Server イメージを作成する方法の詳細は、「Operator を使用した Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager 環境のデプロイ」を参照してください

  6. KIE Server を起動して、実行中の KIE Server に構築したプロジェクトをデプロイします。プロジェクトは、Business Central インターフェイスまたは KIE Server REST API (http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server/containers/{containerId} への PUT 要求) を使用してデプロイできます。

    実行中の KIE Server にプロジェクトをデプロイした後に、Prometheus はメトリクスの収集を開始し、KIE Server はメトリクスを REST API エンドポイント http://HOST:PORT/SERVER/services/rest/metrics (または Spring Boot では http://HOST:PORT/rest/metrics) に公開します。

第19章 OpenShift 接続タイムアウトの設定

デフォルトでは、OpenShift のルートは 30 秒を超えた HTTP リクエストをタイムアウトするように設定されています。これにより Business Central でセッションタイムアウト問題が発生し、以下の動作につながるおそれがあります。

  • "Unable to complete your request.The following exception occurred: (TypeError) : Cannot read property 'indexOf' of null."
  • "Unable to complete your request.The following exception occurred: (TypeError) : b is null."
  • Business Central で Project リンクまたは Server リンクをクリックすると、空白ページが表示される。

すべての Business Central テンプレートには拡張タイムアウト設定が含まれています。

Business Central OpenShift ルートのタイムアウトを長く設定するには、ターゲットルートに haproxy.router.openshift.io/timeout: 60s の注釈を追加します。

  - kind: Route
    apiVersion: v1
    id: "$APPLICATION_NAME-rhpamcentr-http"
    metadata:
      name: "$APPLICATION_NAME-rhpamcentr"
      labels:
        application: "$APPLICATION_NAME"
      annotations:
        description: Route for Business Central's http service.
        haproxy.router.openshift.io/timeout: 60s
    spec:
      host: "$BUSINESS_CENTRAL_HOSTNAME_HTTP"
      to:
        name: "$APPLICATION_NAME-rhpamcentr"

グローバルのルート固有のタイムアウト注釈の完全一覧は、OpenShift ドキュメント を参照してください。

第20章 永続性

バイナリーの永続性、もしくはマーシャリングは、プロセスインスタンスのステータスをバイナリーのデータセットに変換します。バイナリーの永続性は、情報を永続的に保存、取得する際に使用するメカニズムです。同じメカニズムがセッションステータスや作業アイテムのステータスにも適用されています。

プロセスインスタンスの永続性を有効にすると、以下のようになります。

  • Red Hat Process Automation Manager はプロセスインスタンス情報をバイナリーデータに変換します。パフォーマンスの理由から、Java の直列化ではなくカスタムの直列化が使用されます。
  • バイナリーデータはプロセスインスタンスに関する他のメタデータと併せて保存されます。このメタデータには、プロセスインスタンス ID、プロセス ID、プロセスの開始日が含まれます。

セッションには、タイマージョブのステータスや、ビジネスルールの評価に必要なデータなど、他の形式のステータスを格納することもできます。セッション状態は、セッションの ID およびメタデータとともにバイナリーデータセットとして別途保存されます。指定された ID でセッションを再読み込みすることにより、セッション状態を復元できます。セッション ID は、ksession.getId() を使用して取得します。

永続性が設定されていれば、Red Hat Process Automation Manager は以下を維持します。

  • Session state: セッション ID、最終変更日、ビジネスルールによる評価に必要なセッションデータ、タイマージョブのステータス。
  • Process instance state: プロセスインスタンス ID、プロセス ID、最終変更日、最終読み取りアクセス日、プロセスインスタンスの開始日、ランタイムデータ (実行されているノード、変数値、その他のプロセスインスタンスデータを含む実行ステータス)、およびイベントタイプ。
  • Work item runtime state: ワークアイテム ID、作成日、名前、プロセスインスタンス ID、およびワークアイテムステータス。

永続化したデータを基に、障害発生時にはすべての実行中のプロセスインスタンスの実行ステータスを復元したり、メモリーから実行中のインスタンスを一時的に削除し、それらを後で復元することができます。

20.1. KIE Server の永続性設定

Hibernate または JPA パラメーターをシステムプロパティーとして渡すと、KIE Server の永続性を設定できます。

KIE Server は以下の接頭辞でシステムプロパティーを確認でき、これらの接頭辞を持つ Hibernate または JPA パラメーターをすべて使用できます。

  • javax.persistence
  • hibernate

手順

  1. KIE Server の永続性を設定するには、以下のタスクのいずれかを実行します。

    Red Hat JBoss EAP 設定ファイルを使用して KIE Server の永続性を設定する場合は、以下のタスクを実行します。

    1. Red Hat Process Automation Manager インストールディレクトリーで、standalone-full.xml ファイルに移動します。たとえば、Red Hat Process Automation Manager に Red Hat JBoss EAP インストールを使用する場合は $EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml に移動します。
    2. standalone-full.xml ファイルを開き、<system-properties> タグの下に、システムプロパティーとして、Hibernate または JPA パラメーターを設定します。

      Hibernate パラメーターを使用して KIE サーバーの永続性を設定する例

      <system-properties>
          ...
              <property name="hibernate.hbm2ddl.auto" value="create-drop"/>
          ...
      <system-properties>

      JPA パラメーターを使用して KIE サーバーの永続性を設定する例

      <system-properties>
          ...
              <property name="javax.persistence.jdbc.url" value="jdbc:mysql://mysql.db.server:3306/my_database?useSSL=false&serverTimezone=UTC"/>
          ...
      <system-properties>

    コマンドラインを使用して KIE Server の永続性を設定する場合は、以下のタスクを実行します。

    1. 以下のように -Dkey=value を使用してコマンドラインからパラメーターを直接渡します。

      Hibernate パラメーターを使用して KIE サーバーの永続性を設定する例:

      $EAP_HOME/bin/standalone.sh -Dhibernate.hbm2ddl.auto=create-drop

      JPA パラメーターを使用して KIE サーバーの永続性を設定する例:

      $EAP_HOME/bin/standalone.sh -Djavax.persistence.jdbc.url=jdbc:mysql://mysql.db.server:3306/my_database?useSSL=false&serverTimezone=UTC

20.2. セーフポイントの設定

永続化を有効にするには、jbpm-persistence JAR ファイルをアプリケーションのクラスパスに追加し、プロセスエンジンが永続化を使用するように設定します。プロセスエンジンはセーフポイントに到達すると、自動的にランタイムステータスをストレージに保存します。

セーフポイントとは、プロセスインスタンスが一時停止するポイントです。プロセスエンジンでプロセスインスタンスの呼び出しがセーフポイントに到達すると、プロセスエンジンはプロセスインスタンスの変更をプロセスランタイムデータのスナップショットとして保存します。ただし、プロセスインスタンスが完了すると、永続化されたプロセスインスタンスランタイムデータのスナップショットが自動的に削除されます。

BPMN2 セーフポイントノードを使用すると、プロセスエンジンにより、実行が停止してトランザクションがコミットされた時点のプロセス定義の状態が保存されます。以下の BPMN2 ノードがセーフポイントとみなされます。

  • すべての中間キャッチイベント

    • タイマー中間イベント
    • エラー中間イベント
    • 条件中間イベント
    • 補償中間イベント
    • シグナル中間イベント
    • エスカレーション中間イベント
    • メッセージ中間イベント
  • ユーザータスク
  • ハンドラーでタスクが完了されないカスタム (ユーザーが定義) のサービスタスク。

障害が発生し、ストレージからプロセスエンジンのランタイムを復元する必要がある場合は、プロセスインスタンスは自動的に復元され、それらの実行が再開されるので、手動でプロセスインスタンスを再読み込みしたり、開始したりする必要はありません。

ランタイムの永続データはプロセスエンジン内にあるとみなします。永続的なランタイムデータにアクセスしたり、直接変更したりしないでください。予期しない結果になる場合があります。

現在の実行ステータスについての詳細は、履歴ログを確認してください。本当に必要な場合にのみ、ランタイムデータのデータベースにクエリーしてください。

20.3. セッション永続化エンティティー

セッションは、SessionInfo エンティティーとして維持されます。これらはランタイム KIE セッションのステータスを維持し、以下のデータを保存します。

表20.1 SessionInfo

フィールド説明Null 許容型

id

プライマリーキー

Null 不可

lastModificationDate

エンティティーがデータベースに最後に保存された時間

 

rulesByteArray

セッションのステータス。

Null 不可

startDate

セッションの開始時間。

 

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

20.4. プロセスインスタンス永続化エンティティー

プロセスインスタンスは、ProcessInstanceInfo エンティティーとして維持されます。これはランタイムのプロセスインスタンスのステータスを維持し、以下のデータを保存します。

表20.2 ProcessInstanceInfo

フィールド説明Null 許容型

instanceId

プライマリーキー

Null 不可

lastModificationDate

エンティティーがデータベースに最後に保存された時間

 

lastReadDate

エンティティーがデータベースから最後に取得された時間。

 

processId

プロセス ID

 

processInstanceByteArray

バイナリーデータセット形式のプロセスインスタンスのステータス

Null 不可

startDate

プロセスの開始時間

 

state

プロセスインスタンスのステータスを示す整数。

Null 不可

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

ProcessInstanceInfo には 1:N の関係が EventTypes エンティティーとあります。

EventTypes エンティティーには以下のデータが含まれます。

表20.3 EventTypes

フィールド説明Null 許容型

instanceId

ProcessInstanceInfo プライマリーキーおよびこのコラムの外部キー制約への参照。

Null 不可

element

プロセスで終了したイベント

 

20.5. ワークアイテム永続エンティティー

ワークアイテムは workiteminfo エンティティーとして維持され、ランタイムのワークアイテムインスタンスのステータスを維持し、以下のデータを保存します。

表20.4 WorkItemInfo

フィールド説明Null 許容型

workItemId

プライマリーキー

Null 不可

name

ワークアイテムの名前。

 

processInstanceId

プロセスの (プライマリーキー) ID。このフィールドには外部キーの制約はありません。

Null 不可

state

ワークアイテムのステータス。

Null 不可

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

workitembytearay

バイナリーデータセットとしてのワークアイテムのステータス。

Null 不可

20.6. 相関キーエンティティー

CorrelationKeyInfo エンティティーには、指定したプロセスインスタンスに割り当てた相関キーに関する情報が含まれます。以下のテーブルはオプションになります。相関機能が必要な場合にのみ、使用してください。

表20.5 CorrelationKeyInfo

フィールド説明Null 許容型

keyId

プライマリーキー

Null 不可

name

割り当てられた相関キーの名前。

 

processInstanceId

相関キーに割り当てられたプロセスインスタンスの ID

Null 不可

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

CorrelationPropertyInfo エンティティーには、プロセスインスタンスに割り当てられた相関キーの相関プロパティーに関する情報が含まれます。

表20.6 CorrelationPropertyInfo

フィールド説明Null 許容型

propertyId

プライマリーキー

Null 不可

name

プロパティー名。

 

value

プロパティーの値。

Null 不可

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

correlationKey_keyId

相関キーにマッピングされた外部キー。

Null 不可

20.7. コンテキストマッピングエンティティー

ContextMappingInfo エンティティーには、KieSession にマッピングされたコンテキスト情報に関する情報が含まれます。これは RuntimeManager の内部の部分となり、RuntimeManager を使用しない場合は任意となります。

表20.7 ContextMappingInfo

フィールド説明Null 許容型

mappingId

プライマリーキー

Null 不可

CONTEXT_ID

コンテキスト識別子。

Null 不可

KSESSION_ID

KieSession 識別子。

Null 不可

OPTLOCK

ロック値を含むバージョンフィールド

 

OWNER_ID

マッピングが関連付けられているデプロイメントユニットの識別子を保持

 

20.8. Pessimistic ロックのサポート

プロセスの永続性に関するデフォルトのロックメカニズムは、optimistic です。同一プロセスインスタンスにマルチスレッドの同時実行が行われると、このロック戦略はパフォーマンスに悪影響を与えます。

これについては、プロセスベースでユーザーがロックをランタイムで設定できるように変更可能で、pessimistic (この変更はプロセスレベルだけでなく、KIE Session レベルやランタイムマネジャーレベルでも可能です) にします。

プロセスが pessimistic ロックを使用するようにするには、ランタイム環境で以下の設定を使用します。

import org.kie.api.runtime.Environment;
import org.kie.api.runtime.EnvironmentName;
import org.kie.api.runtime.manager.RuntimeManager;
import org.kie.api.runtime.manager.RuntimeManagerFactory;

...

env.set(EnvironmentName.USE_PESSIMISTIC_LOCKING, true);  1

RuntimeManager manager = RuntimeManagerFactory.Factory.get().newPerRequestRuntimeManager(environment);  2
1
envorg.kie.api.runtime.Environment のインスタンスです。
2
この環境を使用してランタイムマネジャーを作成します。

20.9. Red Hat Process Automation Manager の個別のデータベーススキーマにおけるプロセス変数の永続化

Red Hat Process Automation Manager でプロセス変数を作成して、定義したプロセス内で使用する場合に、Red Hat Process Automation Manager はこれらのプロセス変数を、デフォルトのデータベーススキーマにバイナリーデータとして保存します。別のデータベーススキーマでプロセス変数を永続化して、プロセスデータの管理と実装に柔軟性をもたせることができます。

たとえば、別のデータベーススキーマで、プロセス変数を永続化すると、以下のタスクを行うのに役立ちます。

  • 人間が解読可能な形式でのプロセス変数を管理する
  • Red Hat Process Automation Manager 外のサービスに対して変数を使用可能にする
  • プロセス変数データを損失せずに Red Hat Process Automation Manager のデフォルトのデータベーステーブルのログを消去する
注記

この手順は、プロセス変数にのみ適用されます。この手順では、ケース変数には適用されません。

前提条件

  • 変数の実装先の Red Hat Process Automation Manager でプロセスを定義している。
  • Red Hat Process Automation Manager 外部のデータベーススキーマで変数を永続化する場合は、データソースと、使用するデータベーススキーマを別に作成している。データソース作成 の詳細は、『Business Central 設定およびプロパティーの設定 』を参照してください。

手順

  1. プロセス変数として使用するデータオブジェクトファイルで、以下の要素を追加して変数の永続性を設定します。

    変数を永続化するように設定した Person.java オブジェクトの例

    @javax.persistence.Entity  1
    @javax.persistence.Table(name = "Person")  2
    public class Person extends org.drools.persistence.jpa.marshaller.VariableEntity  3
    implements java.io.Serializable {  4
    
    	static final long serialVersionUID = 1L;
    
    	@javax.persistence.GeneratedValue(strategy = javax.persistence.GenerationType.AUTO, generator = "PERSON_ID_GENERATOR")
    	@javax.persistence.Id  5
    	@javax.persistence.SequenceGenerator(name = "PERSON_ID_GENERATOR", sequenceName = "PERSON_ID_SEQ")
    	private java.lang.Long id;
    
    	private java.lang.String name;
    
    	private java.lang.Integer age;
    
    	public Person() {
    	}
    
    	public java.lang.Long getId() {
    		return this.id;
    	}
    
    	public void setId(java.lang.Long id) {
    		this.id = id;
    	}
    
    	public java.lang.String getName() {
    		return this.name;
    	}
    
    	public void setName(java.lang.String name) {
    		this.name = name;
    	}
    
    	public java.lang.Integer getAge() {
    		return this.age;
    	}
    
    	public void setAge(java.lang.Integer age) {
    		this.age = age;
    	}
    
    	public Person(java.lang.Long id, java.lang.String name,
    			java.lang.Integer age) {
    		this.id = id;
    		this.name = name;
    		this.age = age;
    	}
    
    }

    1
    データオブジェクトを永続エンティティーとして設定します。
    2
    データオブジェクトに使用するデータベーステーブル名を定義します。
    3
    このデータオブジェクトと関連のあるプロセスインスタンスの関係を管理する MappedVariable マッピングテーブルを別に作成します。関係の管理が必要ない場合は、VariableEntity クラスを継承する必要はありません。この継承がない場合、データオブジェクトは永続化されますが、追加のデータは含まれません。
    4
    並列化可能なオブジェクトとしてデータオブジェクトを設定します。
    5
    オブジェクトの永続 ID を設定します。

    Business Central を使用して、データオブジェクトを永続化するには、プロジェクトのデータオブジェクトファイルに移動し、ウィンドウの右上隅の Persistence アイコンをクリックして、永続性の動作を設定します。

    図20.1 Business Central での永続性設定

    persistence in central
  2. プロジェクトの pom.xml ファイルで、永続性のサポートを提供するために、以下の依存関係を追加します。この依存関係には、データオブジェクトで設定した VariableEntity クラスが含まれます。

    永続性のプロジェクトの依存関係

    <dependency>
      <groupId>org.drools</groupId>
      <artifactId>drools-persistence-jpa</artifactId>
      <version>${rhpam.version}</version>
      <scope>provided</scope>
    </dependency>

  3. プロジェクトの ~/META-INF/kie-deployment-descriptor.xml ファイルで、JPA マーシャリングストラテジーと、マーシャラーで使用する永続ユニットを設定します。オブジェクトをエンティティーとして定義するには、JPA マーシャリングストラテジーと永続ユニットが必要です。

    kie-deployment-descriptor.xml ファイルで設定する JPA マーシャラーと永続ユニット

    <marshalling-strategy>
      <resolver>mvel</resolver>
      <identifier>new org.drools.persistence.jpa.marshaller.JPAPlaceholderResolverStrategy("myPersistenceUnit", classLoader)</identifier>
      <parameters/>
    </marshalling-strategy>

  4. プロジェクトの ~/META-INF ディレクトリーで、persistence.xml ファイルを作成し、プロセス変数を永続化するデータソースを指定します。

    データソース設定を含む persistence.xml ファイルの例

    <persistence xmlns="http://java.sun.com/xml/ns/persistence" xmlns:orm="http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm" xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" version="2.0" xsi:schemaLocation="http://java.sun.com/xml/ns/persistence http://java.sun.com/xml/ns/persistence/persistence_2_0.xsd http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm http://java.sun.com/xml/ns/persistence/orm_2_0.xsd">
        <persistence-unit name="myPersistenceUnit" transaction-type="JTA">
            <provider>org.hibernate.jpa.HibernatePersistenceProvider</provider>
            <jta-data-source>java:jboss/datasources/ExampleDS</jta-data-source>  1
            <class>org.space.example.Person</class>
            <exclude-unlisted-classes>true</exclude-unlisted-classes>
            <properties>
                <property name="hibernate.dialect" value="org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect"/>
                <property name="hibernate.max_fetch_depth" value="3"/>
                <property name="hibernate.hbm2ddl.auto" value="update"/>
                <property name="hibernate.show_sql" value="true"/>
                <property name="hibernate.id.new_generator_mappings" value="false"/>
                <property name="hibernate.transaction.jta.platform" value="org.hibernate.service.jta.platform.internal.JBossAppServerJtaPlatform"/>
            </properties>
        </persistence-unit>
    </persistence>

    1
    データソースを設定して、プロセス変数を永続化します。

    Business Central を使用してマーシャリングストラテジー、永続ユニット、データソースを設定するには、プロジェクトの SettingsDeploymentsMarshalling Strategies に移動し、プロジェクトの SettingsPersistence に移動します。

    図20.2 Business Central での JPA マーシャラー設定

    jpa marhsalling strategy

    図20.3 Business Central での永続ユニットとデータソース設定

    persistence unit

第21章 LDAP ログインドメインの定義

Red Hat Process Automation Manager が認証と承認に LDAP を使用するように設定するには、LDAP ログインドメインを定義します。これは、Git SSH 認証が別のセキュリティードメインを使用する可能性があるためです。

LDAP ログインドメインを定義するには、org.uberfire.domain システムプロパティーを使用します。たとえば、Red Hat JBoss Enterprise Application Platform 上でこのプロパティーを以下のように standalone.xml ファイルに追加します。

 <system-properties>
   <!-- other system properties -->
   <property name="org.uberfire.domain" value="LDAPAuth"/>
 </system-properties>

認証されたユーザーが、LDAP で適切なロール (adminanalystreviewer) に関連付けられているようにしてください。

第22章 RH-SSO を使用したサードパーティークライアントの認証

Business Central または KIE Server が提供するさまざまなリモートサービスを使用するには、curl、wget、Web ブラウザー、カスタムの REST クライアントなどのクライアントが、RH-SSO サーバー経由で認証を受け、要求を実行するために有効なトークンを取得する必要があります。リモートのサービスを使用するには、認証済みのユーザーに以下のロールを割り当てる必要があります。

  • rest-all: Business Central リモートサービスを使用する場合
  • kie-server: KIE Server のリモートサービスを使用する場合

RH-SSO 管理コンソールを使用してこれらのロールを作成し、リモートサービスを使用するユーザーに割り当てます。

クライアントは、以下のオプションのいずれかを使用して RH-SSO 経由で認証できます。

  • クライアントでサポートされている場合は Basic 認証
  • トークンベースの認証

22.1. Basic 認証

Business Central と KIE Server の両方に対して RH-SSO クライアントアダプターの設定で Basic 認証を有効にした場合は、以下の例のようにトークンの付与/更新の呼び出しをせずにサービスを呼び出すことができます。

  • Web ベースのリモートリポジトリーエンドポイントの場合:

    curl http://admin:password@localhost:8080/business-central/rest/repositories
  • KIE Server の場合:

    curl http://admin:password@localhost:8080/kie-server/services/rest/server/

第23章 KIE Server のシステムプロパティー

KIE Server では、以下のシステムプロパティー (ブートストラップスイッチ) を使用してサーバーの動作を設定できます。

表23.1 KIE Server の拡張機能を無効にするシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

org.drools.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、(ルールのサポートなど) Business Rule Management (BRM) のサポートが無効になります。

org.jbpm.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、(プロセスのサポートなど) Red Hat Process Automation Manager のサポートが無効になります。

org.jbpm.ui.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合には、Red Hat Process Automation Manager UI 拡張が無効になります。

org.jbpm.case.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定すると、Red Hat Process Automation Manager ケース管理の拡張が無効になります。

org.optaplanner.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、Red Hat Business Optimizer のサポートが無効になります。

org.kie.prometheus.server.ext.disabled

truefalse

true

true に設定した場合は、Prometheus Server 拡張が無効になります。

org.kie.scenariosimulation.server.ext.disabled

truefalse

true

true に設定した場合は、テストシナリオサーバー拡張が無効になります。

org.kie.dmn.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、KIE Server DMN サポートが無効になります。

org.kie.swagger.server.ext.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、KIE Server swagger のドキュメントサポートが無効になります。

注記

以下の表に記載した Process Automation Manager コントローラーのプロパティーの中で、必須と印がついているものがあります。Business Central で KIE Server コンテナーを作成または削除する場合は、このプロパティーを設定してください。Business Central との対話なしに KIE Server を別個で使用する場合は、必須のプロパティーを設定する必要はありません。

表23.2 Process Automation Manager コントローラーに必要なシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

org.kie.server.id

String

該当なし

サーバーに割り当てる任意の ID。ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーが Business Central 外に設定されている場合は、この ID を使用して、サーバーはヘッドレス Process Automation Manager コントローラーと接続し、KIE コンテナー設定をフェッチします。指定されていない場合、ID は自動で生成されます。

org.kie.server.user

String

kieserver

管理モードで実行する場合に必要な、Process Automation Manager コントローラーから KIE Server への接続に使用するユーザー名。このプロパティーは、Business Central のシステムプロパティーで設定します。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーを設定します。

org.kie.server.pwd

String

kieserver1!

管理モードで実行する場合に必要な、Process Automation Manager コントローラーから KIE Server への接続に使用するパスワード。このプロパティーは、Business Central のシステムプロパティーで設定します。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーを設定します。

org.kie.server.token

String

該当なし

このプロパティーにより、Process Automation Manager コントローラーと KIE Server 間の認証に、ユーザー名/パスワードを使用する Basic 認証ではなく、トークンベースの認証を使用できます。Process Automation Manager コントローラーは、要求ヘッダーのパラメーターとしてトークンを送信します。トークンは更新されないため、サーバーには有効期限の長いアクセストークンが必要です。

org.kie.server.location

URL

該当なし

Process Automation Manager コントローラーがこのサーバーでコールバックするのに使用する KIE Server インスタンスの URL (例: http://localhost:8230/kie-server/services/rest/server)。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーの設定が必須です。

org.kie.server.controller

コンマ区切りのリスト

該当なし

Process Automation Manager コントローラー REST エンドポイントへの URL のコンマ区切りリスト (例: http://localhost:8080/business-central/rest/controller)。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーの設定が必須です。

org.kie.server.controller.user

String

kieserver

Process Automation Manager コントローラー REST API に接続するユーザー名。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーの設定が必須です。

org.kie.server.controller.pwd

String

kieserver1!

Process Automation Manager コントローラー REST API に接続するためのパスワード。Process Automation Manager コントローラーを使用する場合は、このプロパティーの設定が必須です。

org.kie.server.controller.token

String

該当なし

このプロパティーにより、Process Automation Manager コントローラーと KIE Server との間の認証に、ユーザー名/パスワードを使用する Basic 認証ではなく、トークンベースの認証を使用できます。このサーバーは、要求ヘッダーのパラメーターとしてトークンを送信します。トークンは更新されないため、サーバーには有効期限の長いアクセストークンが必要です。

org.kie.server.controller.connect

Long

10000

サーバーの起動時に KIE Server を Process Automation Manager コントローラーに接続することを試み、次に試行するまでの待機時間 (ミリ秒)。

表23.3 永続システムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

org.kie.server.persistence.ds

String

該当なし

デーソースの JNDI 名。このプロパティーは、BPM サポートを有効する場合に設定します。

org.kie.server.persistence.tm

String

該当なし

Hibernate プロパティーのトランザクションマネージャープラットフォーム。このプロパティーは、BPM サポートを有効する場合に設定します。

org.kie.server.persistence.dialect

String

該当なし

使用する Hibernate 方言。このプロパティーは、BPM サポートを有効する場合に設定します。

org.kie.server.persistence.schema

String

該当なし

使用するデータベーススキーマ

表23.4 エグゼキューターのシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

org.kie.executor.interval

Integer

0

Red Hat Process Automation Manager エグゼキューターがジョブを完了してから、新しいジョブを開始するまでの時間。時間の単位は org.kie.executor.timeunit プロパティーで指定します。

org.kie.executor.timeunit

java.util.concurrent.TimeUnit 定数

SECONDS

org.kie.executor.interval プロパティーで指定する時間の単位。

org.kie.executor.pool.size

Integer

1

Red Hat Process Automation Manager エグゼキューターで使用するスレッド数。

org.kie.executor.retry.count

Integer

3

Red Hat Process Automation Manager エグゼキューターが失敗したジョブをリトライする回数。

org.kie.executor.jms.queue

String

queue/KIE.SERVER.EXECUTOR

KIE Server へのジョブエグゼキューターの JMS キュー。

org.kie.executor.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、KIE Server エグゼキューターが無効になります。

表23.5 ヒューマンタスクのシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

org.jbpm.ht.callback

mvel

ldap

db

jaas

props

custom

jaas

使用するユーザーグループコールバックの実装を指定するプロパティー

  • mvel: デフォルト。主にテストで使用します。
  • ldap: LDAP。jbpm.usergroup.callback.properties ファイルで追加の設定が必要です。
  • db: データベース。jbpm.usergroup.callback.properties ファイルで追加の設定が必要です。
  • jaas: JAAS。コンテナーにユーザーデータの情報をフェッチするように委譲します。
  • props: 単純なプロパティーファイル。全情報を格納する追加のファイルが必要がです (ユーザーおよびグループ)。
  • custom: カスタムの実装。org.jbpm.ht.custom.callback プロパティーでクラスの完全修飾名を指定します。

org.jbpm.ht.custom.callback

完全修飾名

該当なし

org.jbpm.ht.callback プロパティーが custom に設定されている場合の UserGroupCallback インターフェイスのカスタム実装

org.jbpm.task.cleanup.enabled

truefalse

true

タスク消去のジョブリスナーを有効にして、プロセスインスタンスが完了した時点でタスクを削除します。

org.jbpm.task.bam.enabled

truefalse

true

タスクの BAM モジュールを有効にして、タスク関連の情報を保存します。

org.jbpm.ht.admin.user

String

管理者

KIE Server からの全タスクにアクセスできるユーザー。

org.jbpm.ht.admin.group

String

管理者

KIE Server からの全タスクを表示するためにユーザーが所属するグループ。

表23.6 キーストアを読み込むためのシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

kie.keystore.keyStoreURL

URL

該当なし

Java Cryptography Extension KeyStore (JCEKS) の読み込みに使用する URL。例: file:///home/kie/keystores/keystore.jceks

kie.keystore.keyStorePwd

String

該当なし

JCEKS に使用するパスワード

kie.keystore.key.server.alias

String

該当なし

パスワードの保存先となる REST サービスのキーのエイリアス名

kie.keystore.key.server.pwd

String

該当なし

REST サービスのエイリアスのパスワード

kie.keystore.key.ctrl.alias

String

該当なし

デフォルトの REST Process Automation Manager コントローラー用のキーのエイリアス。

kie.keystore.key.ctrl.pwd

String

該当なし

デフォルトの REST Process Automation Manager コントローラー用のエイリアスのパスワード。

表23.7 その他のシステムプロパティー

プロパティーデフォルト説明

kie.maven.settings.custom

パス

該当なし

Maven 設定のカスタム settings.xml ファイルの場所。

kie.server.jms.queues.response

String

queue/KIE.SERVER.RESPONSE

JMS に対する応答キューの JNDI 名。

org.drools.server.filter.classes

truefalse

false

true に設定した場合に、Drools KIE Server の拡張機能が受け入れるのは XmlRootElement または Remotable のアノテーションが付いたカスタムクラスのみです。

org.kie.server.bypass.auth.user

truefalse

false

クエリーなど、タスク関連の操作では認証済みユーザーをバイパスできるようにするプロパティー

org.jbpm.rule.task.firelimit

Integer

10000

このプロパティーは、実行ルールの最大数を指定して、ルールが無限ループに陥って、サーバーが完全に応答不能な状態にならないようにします。

org.jbpm.ejb.timer.local.cache

truefalse

true

このプロパティーでは、EJB タイマーのローカルキャッシュをオフにします。

org.kie.server.domain

String

該当なし

JMS を使用する場合にユーザーの認証に使う JAAS LoginContext ドメイン。

org.kie.server.repo

パス

.

KIE Server の状態ファイルが保存される場所

org.kie.server.sync.deploy

truefalse

false

KIE Server に対して、Process Automation Manager コントローラーがコンテナーのデプロイメント設定を提供するまでデプロイメントを保持するように指示します。このプロパティーは、管理モードで実行するサーバーのみが対象です。以下のオプションが利用できます。

* false: Process Automation Manager コントローラーへの接続は非同期です。アプリケーションが起動して、Process Automation Manager コントローラーに接続し、成功すると、コンテナーをデプロイします。アプリケーションはコンテナーが利用可能になる前でもリクエストを受け付けます。* true: サーバーアプリケーションのデプロイメントは、Process Automation Manager コントローラーの接続スレッドと、メインのデプロイメントを結合し、完了するまで待機します。このオプションを使用すると、複数のアプリケーションが同じサーバー上にある場合に、デッドロックになる可能性があります。1 台のサーバーで使用するアプリケーションは 1 つだけにしてください。

org.kie.server.startup.strategy

ControllerBasedStartupStrategyLocalContainersStartupStrategy

ControllerBasedStartupStrategy

デプロイした KIE コンテナーの制御に使用する KIE Server の起動ストラテジー、およびデプロイする順番

org.kie.server.mgmt.api.disabled

truefalse

false

true に設定した場合は、KIE Server 管理 API が無効になります。

org.kie.server.xstream.enabled.packages

org.kie.example などの Java パッケージ。org.kie.example.* のようにワイルドカード表現を指定することも可能です。

該当なし

XStream を使用してマーシャリングのホワイトリスト化を行うための追加パッケージを指定するプロパティー

org.kie.store.services.class

String

org.drools.persistence.jpa.KnowledgeStoreServiceImpl

KieSession インスタンスのブートストラップを行う KieStoreServices を実装する完全修飾クラス名

org.kie.server.strict.id.format

truefalse

false

JSON のマーシャリングを使用する際に、プロパティーが true に設定されている場合は、適切な JSON 形式で応答を常に返します。たとえば、元の応答に含まれる数値が 1 つだけの場合、応答は JSON 形式でラップされます。たとえば、{"value" : 1} です。

第24章 KIE Server の機能と拡張

KIE Server の機能は、ビジネスニーズに合わせて有効化、無効化、または拡張可能なプラグインにより決まります。KIE Server は以下の機能および拡張をサポートします。

表24.1 KIE Server の機能と拡張

機能名拡張名説明

KieServer

KieServer

サーバーインスタンスでの KIE コンテナーの作成や削除など、KIE Server のコア機能を提供します。

BRM

Drools

ファクトの挿入やビジネスルールの実行など、ビジネスルール管理 (BRM) 機能を提供します。

BPM

jBPM

ユーザータスクの管理や、ビジネスプロセスの実行など、Business Process Management (BPM) 機能を提供します。

BPM-UI

jBPM-UI

XML フォームや SVG イメージをプロセスダイアグラムにレンダリングするなど、ビジネスプロセスに関連するユーザーインターフェイス機能を提供します。

CaseMgmt

Case-Mgmt

ケースの定義やマイルストーン管理など、ビジネスプロセスのケース管理機能を提供します。

BRP

OptaPlanner

ソルバーの実装など、ビジネスリソースプランニング (BRP) 機能を提供します。

DMN

DMN

DMN データ型の管理や DMN モデルの実行など、Decision Model and Notation (DMN) 機能を提供します。

Swagger

Swagger

KIE Server REST API と対話するための Swagger の Web インターフェイス機能を提供します。

実行中の KIE Server インスタンスに対応する拡張を表示するには、以下の REST API エンドポイントに GET 要求を送信して、XML または JSON サーバーの要求を確認します。

KIE Server の情報に対する GET 要求のベース URL

http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server

KIE Server の情報を含む JSON 応答の例

{
  "type": "SUCCESS",
  "msg": "Kie Server info",
  "result": {
    "kie-server-info": {
      "id": "test-kie-server",
      "version": "7.26.0.20190818-050814",
      "name": "test-kie-server",
      "location": "http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server",
      "capabilities": [
        "KieServer",
        "BRM",
        "BPM",
        "CaseMgmt",
        "BPM-UI",
        "BRP",
        "DMN",
        "Swagger"
      ],
      "messages": [
        {
          "severity": "INFO",
          "timestamp": {
            "java.util.Date": 1566169865791
          },
          "content": [
            "Server KieServerInfo{serverId='test-kie-server', version='7.26.0.20190818-050814', name='test-kie-server', location='http:/localhost:8080/kie-server/services/rest/server', capabilities=[KieServer, BRM, BPM, CaseMgmt, BPM-UI, BRP, DMN, Swagger]', messages=null', mode=DEVELOPMENT}started successfully at Sun Aug 18 23:11:05 UTC 2019"
          ]
        }
      ],
      "mode": "DEVELOPMENT"
    }
  }
}

KIE Server 拡張機能を有効または無効にするには、関連する KIE Server システムプロパティー (*.server.ext.disabled) を設定します。たとえば、BRM 機能を無効にするには、org.drools.server.ext.disabled=true システムプロパティーを設定します。全 KIE Server システムプロパティーについては、23章KIE Server のシステムプロパティー を参照してください。

KIE Server 拡張機能は、デフォルトでは REST または JMS データトランスポートで公開され、事前定義済みのクライアント API を使用します。追加の REST エンドポイントで既存の KIE Server 機能を拡張するか、REST または JMS 以外の対応のトランスポートメソッドを拡張するか、KIE Server クライアントの機能を拡張できます。

KIE Server 機能は柔軟であるため、デフォルトの KIE Server 機能にビジネスニーズを合わせるのではなく、KIE Server インスタンスをビジネスニーズに合わせることができます。

重要

KIE Server 機能を拡張した場合、Red Hat では、カスタムの実装や拡張の一部として使用したカスタムコードをサポートしません。

24.1. カスタム REST API エンドポイントを使用した既存の KIE Server 機能の拡張

KIE Server REST API を使用すると、Business Central ユーザーインターフェイスを使わずに Red Hat Process Automation Manager の KIE コンテナーやビジネスアセット (ビジネスルール、プロセス、ソルバーなど) を操作することができます。利用可能な REST エンドポイントは、KIE Server システムプロパティーで有効にした機能により決まります (例: BRM 機能は org.drools.server.ext.disabled=false)。既存の KIE Server 機能は、カスタムの REST API エンドポイントで拡張し、ビジネスニーズに合わせて KIE Server REST API を適合できます。

たとえば、この手順では、以下のカスタム REST API エンドポイントで Drools KIE Server 機能 (BRM 機能向け) を拡張します。

カスタム REST API エンドポイントの例

/server/containers/instances/{containerId}/ksession/{ksessionId}

このカスタムのエンドポイントの例では、デシジョンエンジンの作業メモリーに挿入するファクト一覧を受け入れ、自動的に全ルールを実行して、指定の KIE コンテナーで KIE セッションからのオブジェクトをすべて取得します。

手順

  1. 空の Maven プロジェクトを作成して、以下のパッケージタイプと依存関係を、プロジェクトの pom.xml ファイルに定義します。

    サンプルプロジェクトの pom.xml ファイルの例

    <packaging>jar</packaging>
    
    <properties>
      <version.org.kie>7.39.0.Final-redhat-00005</version.org.kie>
    </properties>
    
    <dependencies>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-internal</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-common</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-drools</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-rest-common</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.drools</groupId>
        <artifactId>drools-core</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.drools</groupId>
        <artifactId>drools-compiler</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.slf4j</groupId>
        <artifactId>slf4j-api</artifactId>
        <version>1.7.25</version>
      </dependency>
    </dependencies>

  2. 以下の例のように、プロジェクトの Java クラスに org.kie.server.services.api.KieServerApplicationComponentsService インターフェイスを実装します。

    KieServerApplicationComponentsService インターフェイスの実装例

    public class CusomtDroolsKieServerApplicationComponentsService implements KieServerApplicationComponentsService {  1
    
        private static final String OWNER_EXTENSION = "Drools";  2
    
        public Collection<Object> getAppComponents(String extension, SupportedTransports type, Object... services) {  3
            // Do not accept calls from extensions other than the owner extension:
            if ( !OWNER_EXTENSION.equals(extension) ) {
                return Collections.emptyList();
            }
    
            RulesExecutionService rulesExecutionService = null;  4
            KieServerRegistry context = null;
    
            for( Object object : services ) {
                if( RulesExecutionService.class.isAssignableFrom(object.getClass()) ) {
                    rulesExecutionService = (RulesExecutionService) object;
                    continue;
                } else if( KieServerRegistry.class.isAssignableFrom(object.getClass()) ) {
                    context = (KieServerRegistry) object;
                    continue;
                }
            }
    
            List<Object> components = new ArrayList<Object>(1);
            if( SupportedTransports.REST.equals(type) ) {
                components.add(new CustomResource(rulesExecutionService, context));  5
            }
    
            return components;
        }
    
    }

    1
    アプリケーションの起動時にデプロイされる KIE Server インフラストラクチャーに REST エンドポイントを提供します。
    2
    この例の Drools 拡張など、拡張する機能を指定します。
    3
    REST コンテナーがデプロイする必要のある全リソースを返します。KIE Server インスタンスで有効化した各拡張で、getAppComponents メソッドを呼び出して、指定した OWNER_EXTENSION 以外の拡張の空のコレクションを、if ( !OWNER_EXTENSION.equals(extension) ) の呼び出しで返します。
    4
    この例の Drools 拡張の RulesExecutionServiceKieServerRegistry サービスなど、指定の拡張から使用するサービスを表示します。
    5
    components リストの一部としてリソースを返す CustomResource クラスと、拡張のトランスポートタイプを REST または JMS に指定します (この例では REST)。
  3. 以下の例のように、KIE Server を使用して新規の REST リソースの機能を追加する CustomResource クラスを実装します。

    CustomResource クラスの実装例

    // Custom base endpoint:
    @Path("server/containers/instances/{containerId}/ksession")
    public class CustomResource {
    
        private static final Logger logger = LoggerFactory.getLogger(CustomResource.class);
    
        private KieCommands commandsFactory = KieServices.Factory.get().getCommands();
    
        private RulesExecutionService rulesExecutionService;
        private KieServerRegistry registry;
    
        public CustomResource() {
    
        }
    
        public CustomResource(RulesExecutionService rulesExecutionService, KieServerRegistry registry) {
            this.rulesExecutionService = rulesExecutionService;
            this.registry = registry;
        }
    
        // Supported HTTP method, path parameters, and data formats:
        @POST
        @Path("/{ksessionId}")
        @Consumes({MediaType.APPLICATION_XML, MediaType.APPLICATION_JSON})
        @Produces({MediaType.APPLICATION_XML, MediaType.APPLICATION_JSON})
        public Response insertFireReturn(@Context HttpHeaders headers,
                @PathParam("containerId") String id,
                @PathParam("ksessionId") String ksessionId,
                String cmdPayload) {
    
            Variant v = getVariant(headers);
            String contentType = getContentType(headers);
    
            // Marshalling behavior and supported actions:
            MarshallingFormat format = MarshallingFormat.fromType(contentType);
            if (format == null) {
                format = MarshallingFormat.valueOf(contentType);
            }
            try {
                KieContainerInstance kci = registry.getContainer(id);
    
                Marshaller marshaller = kci.getMarshaller(format);
    
                List<?> listOfFacts = marshaller.unmarshall(cmdPayload, List.class);
    
                List<Command<?>> commands = new ArrayList<Command<?>>();
                BatchExecutionCommand executionCommand = commandsFactory.newBatchExecution(commands, ksessionId);
    
                for (Object fact : listOfFacts) {
                    commands.add(commandsFactory.newInsert(fact, fact.toString()));
                }
                commands.add(commandsFactory.newFireAllRules());
                commands.add(commandsFactory.newGetObjects());
    
                ExecutionResults results = rulesExecutionService.call(kci, executionCommand);
    
                String result = marshaller.marshall(results);
    
    
                logger.debug("Returning OK response with content '{}'", result);
                return createResponse(result, v, Response.Status.OK);
            } catch (Exception e) {
                // If marshalling fails, return the `call-container` response to maintain backward compatibility:
                String response = "Execution failed with error : " + e.getMessage();
                logger.debug("Returning Failure response with content '{}'", response);
                return createResponse(response, v, Response.Status.INTERNAL_SERVER_ERROR);
            }
    
        }
    }

    この例では、カスタムエンドポイントの CustomResource クラスで、以下のデータと動作を指定します。

    • server/containers/instances/{containerId}/ksession のベースポイントを使用します。
    • POST HTTP メソッドを使用します。
    • REST 要求で以下のデータを指定する必要があります。

      • パスの引数として containerId
      • パスの引数として ksessionId
      • メッセージペイロードとしてファクトの一覧
    • 全 KIE Server データ形式をサポートします。

      • XML (JAXB、XStream)
      • JSON
    • List<?> コレクションにペイロードをアンマーシャリングして、リスト内のアイテムごとに、InsertCommand インスタンスを作成し、その後に FireAllRulesGetObject コマンドを追加します。
    • デシジョンエンジンを呼び出す BatchExecutionCommand インスタンスに全コマンドを追加します。
  4. 新規エンドポイントを KIE Server で検出できるようにするには、Maven プロジェクト内に META-INF/services/org.kie.server.services.api.KieServerApplicationComponentsService ファイルを作成して、このファイルに KieServerApplicationComponentsService 実装クラスの完全修飾名を追加します。たとえば、このファイルには、org.kie.server.ext.drools.rest.CusomtDroolsKieServerApplicationComponentsService の 1 行が含まれます。
  5. プロジェクトを構築して、作成された JAR ファイルをプロジェクトの ~/kie-server.war/WEB-INF/lib ディレクトリーにコピーします。たとえば、Red Hat JBoss EAP ではこのディレクトリーへのパスは EAP_HOME/standalone/deployments/kie-server.war/WEB-INF/lib です。
  6. KIE Server を起動して、実行中の KIE Server に構築したプロジェクトをデプロイします。プロジェクトは、Business Central インターフェイスまたは KIE Server REST API (http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server/containers/{containerId} への PUT 要求) を使用してデプロイできます。

    実行中の KIE Server にプロジェクトを追加した後に、新しい REST エンドポイントとの対話を開始します。

    今回の例では、以下の情報を使用して新規エンドポイントを呼び出すことができます。

    • 要求 URL 例: http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server/containers/instances/demo/ksession/defaultKieSession
    • HTTP メソッド: POST
    • HTTP ヘッダー:

      • Content-Type: application/json
      • Accept: application/json
    • メッセージペイロードの例:

      [
        {
          "org.jbpm.test.Person": {
            "name": "john",
            "age": 25
          }
        },
        {
          "org.jbpm.test.Person": {
            "name": "mary",
            "age": 22
          }
        }
      ]
    • サーバーの応答例: 200 (success)
    • サーバーのログ出力例:

      13:37:20,347 INFO  [stdout] (default task-24) Hello mary
      13:37:20,348 INFO  [stdout] (default task-24) Hello john

24.2. カスタムデータトランスポートを使用するための KIE Server の拡張

デフォルトでは、KIE Server の拡張が REST または JMS データトランスポートを使用して公開されます。KIE Server を拡張して、カスタムのデータトランスポートのサポートを追加し、KIE Server トランスポートプロトコルをビジネスニーズに合わせます。

たとえば、以下の手順では、Drools 拡張を使用し、Apache MINA (オープンソースの Java ネットワークアプリケーションフレームワーク) をベースとする KIE Server にカスタムのデータトランスポートを追加します。カスタムの MINA トランスポートの例では、既存のマーシャリング操作に依存し、JSON 形式のみをサポートする文字列ベースのデータを変換します。

手順

  1. 空の Maven プロジェクトを作成して、以下のパッケージタイプと依存関係を、プロジェクトの pom.xml ファイルに定義します。

    サンプルプロジェクトの pom.xml ファイルの例

    <packaging>jar</packaging>
    
    <properties>
      <version.org.kie>7.39.0.Final-redhat-00005</version.org.kie>
    </properties>
    
    <dependencies>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie</groupId>
        <artifactId>kie-internal</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-api</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-common</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.kie.server</groupId>
        <artifactId>kie-server-services-drools</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.drools</groupId>
        <artifactId>drools-core</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.drools</groupId>
        <artifactId>drools-compiler</artifactId>
        <version>${version.org.kie}</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.slf4j</groupId>
        <artifactId>slf4j-api</artifactId>
        <version>1.7.25</version>
      </dependency>
      <dependency>
        <groupId>org.apache.mina</groupId>
        <artifactId>mina-core</artifactId>
        <version>2.1.3</version>
      </dependency>
    </dependencies>

  2. 以下の例のように、プロジェクトの Java クラスに org.kie.server.services.api.KieServerExtension インターフェイスを実装します。

    KieServerExtension インターフェイスの実装例

    public class MinaDroolsKieServerExtension implements KieServerExtension {
    
        private static final Logger logger = LoggerFactory.getLogger(MinaDroolsKieServerExtension.class);
    
        public static final String EXTENSION_NAME = "Drools-Mina";
    
        private static final Boolean disabled = Boolean.parseBoolean(System.getProperty("org.kie.server.drools-mina.ext.disabled", "false"));
        private static final String MINA_HOST = System.getProperty("org.kie.server.drools-mina.ext.port", "localhost");
        private static final int MINA_PORT = Integer.parseInt(System.getProperty("org.kie.server.drools-mina.ext.port", "9123"));
    
        // Taken from dependency on the `Drools` extension:
        private KieContainerCommandService batchCommandService;
    
        // Specific to MINA:
        private IoAcceptor acceptor;
    
        public boolean isActive() {
            return disabled == false;
        }
    
        public void init(KieServerImpl kieServer, KieServerRegistry registry) {
    
            KieServerExtension droolsExtension = registry.getServerExtension("Drools");
            if (droolsExtension == null) {
                logger.warn("No Drools extension available, quitting...");
                return;
            }
    
            List<Object> droolsServices = droolsExtension.getServices();
            for( Object object : droolsServices ) {
                // If the given service is null (not configured), continue to the next service:
                if (object == null) {
                    continue;
                }
                if( KieContainerCommandService.class.isAssignableFrom(object.getClass()) ) {
                    batchCommandService = (KieContainerCommandService) object;
                    continue;
                }
            }
            if (batchCommandService != null) {
                acceptor = new NioSocketAcceptor();
                acceptor.getFilterChain().addLast( "codec", new ProtocolCodecFilter( new TextLineCodecFactory( Charset.forName( "UTF-8" ))));
    
                acceptor.setHandler( new TextBasedIoHandlerAdapter(batchCommandService) );
                acceptor.getSessionConfig().setReadBufferSize( 2048 );
                acceptor.getSessionConfig().setIdleTime( IdleStatus.BOTH_IDLE, 10 );
                try {
                    acceptor.bind( new InetSocketAddress(MINA_HOST, MINA_PORT) );
    
                    logger.info("{} -- Mina server started at {} and port {}", toString(), MINA_HOST, MINA_PORT);
                } catch (IOException e) {
                    logger.error("Unable to start Mina acceptor due to {}", e.getMessage(), e);
                }
    
            }
        }
    
        public void destroy(KieServerImpl kieServer, KieServerRegistry registry) {
            if (acceptor != null) {
                acceptor.dispose();
                acceptor = null;
            }
            logger.info("{} -- Mina server stopped", toString());
        }
    
        public void createContainer(String id, KieContainerInstance kieContainerInstance, Map<String, Object> parameters) {
            // Empty, already handled by the `Drools` extension
    
        }
    
        public void disposeContainer(String id, KieContainerInstance kieContainerInstance, Map<String, Object> parameters) {
          // Empty, already handled by the `Drools` extension
    
        }
    
        public List<Object> getAppComponents(SupportedTransports type) {
            // Nothing for supported transports (REST or JMS)
            return Collections.emptyList();
        }
    
        public <T> T getAppComponents(Class<T> serviceType) {
    
            return null;
        }
    
        public String getImplementedCapability() {
            return "BRM-Mina";
        }
    
        public List<Object> getServices() {
            return Collections.emptyList();
        }
    
        public String getExtensionName() {
            return EXTENSION_NAME;
        }
    
        public Integer getStartOrder() {
            return 20;
        }
    
        @Override
        public String toString() {
            return EXTENSION_NAME + " KIE Server extension";
        }
    }

    KieServerExtension インターフェイスは、新規の MINA トランスポートの機能を追加する時に KIE Server が使用する主要な拡張インターフェイスです。このインターフェイスには、以下のコンポーネントが含まれます。

    KieServerExtension インターフェイスの概要

    public interface KieServerExtension {
    
        boolean isActive();
    
        void init(KieServerImpl kieServer, KieServerRegistry registry);
    
        void destroy(KieServerImpl kieServer, KieServerRegistry registry);
    
        void createContainer(String id, KieContainerInstance kieContainerInstance, Map<String, Object> parameters);
    
        void disposeContainer(String id, KieContainerInstance kieContainerInstance, Map<String, Object> parameters);
    
        List<Object> getAppComponents(SupportedTransports type);
    
        <T> T getAppComponents(Class<T> serviceType);
    
        String getImplementedCapability();  1
    
        List<Object> getServices();
    
        String getExtensionName();  2
    
        Integer getStartOrder();  3
    }

    1
    この拡張で対応している機能を指定します。この機能は、KIE Server 内で一意でなければなりません。
    2
    拡張は、人間が解読可能な名前に定義します。
    3
    指定した拡張の起動のタイミングを決定します。他の拡張と依存関係がある拡張の場合、この設定は親の設定と競合しないようにしてください。たとえば、今回の場合、このカスタムの拡張は Drools 拡張に依存しており、Drool 拡張の StartOrder0 に設定されているため、このカスタムのアドオン拡張は 0 を超える値でなければなりません (サンプルの実装では 20 に設定)。

    このインターフェイスの先程の MinaDroolsKieServerExtension 実装例では、init メソッドが主に、Drools 拡張からサービスを収集して、MINA サーバーをブートストラップ化する要素となっています。KieServerExtension インターフェイスの他のメソッドは、標準の実装のままで、インターフェイスの要件を満たします。

    TextBasedIoHandlerAdapter クラスは、受信要求に対応する MINA サーバーにあるハンドラーです。

  3. 以下の例のように、MINA サーバーの TextBasedIoHandlerAdapter ハンドラーを実装します。

    TextBasedIoHandlerAdapter ハンドラーの実装例

    public class TextBasedIoHandlerAdapter extends IoHandlerAdapter {
    
        private static final Logger logger = LoggerFactory.getLogger(TextBasedIoHandlerAdapter.class);
    
        private KieContainerCommandService batchCommandService;
    
        public TextBasedIoHandlerAdapter(KieContainerCommandService batchCommandService) {
            this.batchCommandService = batchCommandService;
        }
    
        @Override
        public void messageReceived( IoSession session, Object message ) throws Exception {
            String completeMessage = message.toString();
            logger.debug("Received message '{}'", completeMessage);
            if( completeMessage.trim().equalsIgnoreCase("quit") || completeMessage.trim().equalsIgnoreCase("exit") ) {
                session.close(false);
                return;
            }
    
            String[] elements = completeMessage.split("\\|");
            logger.debug("Container id {}", elements[0]);
            try {
                ServiceResponse<String> result = batchCommandService.callContainer(elements[0], elements[1], MarshallingFormat.JSON, null);
    
                if (result.getType().equals(ServiceResponse.ResponseType.SUCCESS)) {
                    session.write(result.getResult());
                    logger.debug("Successful message written with content '{}'", result.getResult());
                } else {
                    session.write(result.getMsg());
                    logger.debug("Failure message written with content '{}'", result.getMsg());
                }
            } catch (Exception e) {
    
            }
        }
    }

    この例では、ハンドラークラスはテキストメッセージを受信して、Drools サービスでこのメッセージを実行します。

    TextBasedIoHandlerAdapter ハンドラー実装を使用する場合は、以下のハンドラー要件と動作を考慮してください。

    • 各受信トランスポート要求が 1 行であるため、ハンドラーに送信する内容は、1 行でなければなりません。
    • ハンドラーで containerID|payload の形式が想定されるように、この 1 行に KIE コンテナー ID を渡す必要があります。
    • マーシャラーで生成される方法で応答を設定できます。応答は複数行にすることができます。
    • このハンドラーは stream mode をサポートし、KIE Server セッションを切断せずにコマンドを送信できます。ストリームモードで KIE Server セッションを終了するには、サーバーに exit コマンドまたは quit コマンドを送信してください。
  4. 新規のデータトランスポートを KIE Server で検出できるようにするには、Maven プロジェクトで META-INF/services/org.kie.server.services.api.KieServerExtension ファイルを作成し、このファイルに KieServerExtension 実装クラスの完全修飾名を追加します。たとえば、このファイルには org.kie.server.ext.mina.MinaDroolsKieServerExtension の 1 行が含まれます。
  5. プロジェクトを構築して、作成された JAR ファイルと mina-core-2.0.9.jar ファイル (今回の例でこの拡張が依存) をプロジェクトの ~/kie-server.war/WEB-INF/lib ディレクトリーにコピーします。たとえば、Red Hat JBoss EAP ではこのディレクトリーへのパスは EAP_HOME/standalone/deployments/kie-server.war/WEB-INF/lib です。
  6. KIE Server を起動して、実行中の KIE Server に構築したプロジェクトをデプロイします。プロジェクトは、Business Central インターフェイスまたは KIE Server REST API (http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server/containers/{containerId} への PUT 要求) を使用してデプロイできます。

    プロジェクトを実行中の KIE Server にデプロイした後に、KIE Server ログで新規データトランスポートのステータスを表示して、新規データトランスポートの使用を開始できます。

    サーバーログの新規データトランスポート

    Drools-Mina KIE Server extension -- Mina server started at localhost and port 9123
    Drools-Mina KIE Server extension has been successfully registered as server extension

    この例では、Telnet を使用して KIE Server の 新しい MINA ベースのデータトランスポートと対話できます。

    コマンド端末での Telnet の開始およびポート 9123 での KIE Server の接続

    telnet 127.0.0.1 9123

    コマンド端末での KIE Server との対話例

    Trying 127.0.0.1...
    Connected to localhost.
    Escape character is '^]'.
    
    # Request body:
    demo|{"lookup":"defaultKieSession","commands":[{"insert":{"object":{"org.jbpm.test.Person":{"name":"john","age":25}}}},{"fire-all-rules":""}]}
    
    # Server response:
    {
      "results" : [ {
        "key" : "",
        "value" : 1
      } ],
      "facts" : [ ]
    }
    
    demo|{"lookup":"defaultKieSession","commands":[{"insert":{"object":{"org.jbpm.test.Person":{"name":"mary","age":22}}}},{"fire-all-rules":""}]}
    {
      "results" : [ {
        "key" : "",
        "value" : 1
      } ],
      "facts" : [ ]
    }
    
    demo|{"lookup":"defaultKieSession","commands":[{"insert":{"object":{"org.jbpm.test.Person":{"name":"james","age":25}}}},{"fire-all-rules":""}]}
    {
      "results" : [ {
        "key" : "",
        "value" : 1
      } ],
      "facts" : [ ]
    }
    exit
    Connection closed by foreign host.

    サーバーログの出力例

    16:33:40,206 INFO  [stdout] (NioProcessor-2) Hello john
    16:34:03,877 INFO  [stdout] (NioProcessor-2) Hello mary
    16:34:19,800 INFO  [stdout] (NioProcessor-2) Hello james

24.3. カスタムクライアント API を使用した KIE Server のクライアント拡張

KIE Server は、KIE Server サービスの使用時に対話可能な、事前定義済みのクライアント API を使用します。カスタムのクライアント API で KIE Server クライアントを拡張して、ビジネスのニーズに KIE Server サービスを適合させます。

たとえば、以下の手順では、カスタムのクライアント API を KIE Server に追加して、Apache MINA (オープンソースの Java ネットワークアプリケーションフレームワーク) をもとにした、カスタムのデータトランスポートに対応します (このシナリオ向けにすでに設定済み)。

手順

  1. 空の Maven プロジェクトを作成して、以下のパッケージタイプと依存関係を、プロジェクトの pom.xml ファイルに定義します。

    サンプルプロジェクトの pom.xml ファイルの例

    <packaging>jar</packaging>
    
    <properties>
       <version.org.kie>7.39.0.Final-redhat-00005</version.org.kie>
     </properties>
    
     <dependencies>
       <dependency>
         <groupId>org.kie.server</groupId>
         <artifactId>kie-server-api</artifactId>
         <version>${version.org.kie}</version>
       </dependency>
       <dependency>
          <groupId>org.kie.server</groupId>
          <artifactId>kie-server-client</artifactId>
          <version>${version.org.kie}</version>
        </dependency>
       <dependency>
         <groupId>org.drools</groupId>
         <artifactId>drools-compiler</artifactId>
         <version>${version.org.kie}</version>
       </dependency>
     </dependencies>

  2. 以下の例のように、プロジェクトの Java クラスに、関連する ServicesClient インターフェイスを実装します。

    RulesMinaServicesClient インターフェイスの例

    public interface RulesMinaServicesClient extends RuleServicesClient {
    
    }

    インターフェイスをもとにクライアントの実装を登録する必要があるため、特定のインターフェイスが必要です。また、指定のインターフェイスには実装は 1 つしか指定できません。

    この例では、カスタムの MINA ベースのデータトランスポートが Drools 拡張を使用し、この RulesMinaServicesClient インターフェイスの例は、Drools 拡張から、既存の RuleServicesClient クライアント API を拡張します。

  3. 以下の例のように、新規の MINA トランスポートのクライアント機能を追加するのに KIE Server が使用可能な RulesMinaServicesClient インターフェイスを実装します。

    RulesMinaServicesClient インターフェイスの実装例

    public class RulesMinaServicesClientImpl implements RulesMinaServicesClient {
    
        private String host;
        private Integer port;
    
        private Marshaller marshaller;
    
        public RulesMinaServicesClientImpl(KieServicesConfiguration configuration, ClassLoader classloader) {
            String[] serverDetails = configuration.getServerUrl().split(":");
    
            this.host = serverDetails[0];
            this.port = Integer.parseInt(serverDetails[1]);
    
            this.marshaller = MarshallerFactory.getMarshaller(configuration.getExtraJaxbClasses(), MarshallingFormat.JSON, classloader);
        }
    
        public ServiceResponse<String> executeCommands(String id, String payload) {
    
            try {
                String response = sendReceive(id, payload);
                if (response.startsWith("{")) {
                    return new ServiceResponse<String>(ResponseType.SUCCESS, null, response);
                } else {
                    return new ServiceResponse<String>(ResponseType.FAILURE, response);
                }
            } catch (Exception e) {
                throw new KieServicesException("Unable to send request to KIE Server", e);
            }
        }
    
        public ServiceResponse<String> executeCommands(String id, Command<?> cmd) {
            try {
                String response = sendReceive(id, marshaller.marshall(cmd));
                if (response.startsWith("{")) {
                    return new ServiceResponse<String>(ResponseType.SUCCESS, null, response);
                } else {
                    return new ServiceResponse<String>(ResponseType.FAILURE, response);
                }
            } catch (Exception e) {
                throw new KieServicesException("Unable to send request to KIE Server", e);
            }
        }
    
        protected String sendReceive(String containerId, String content) throws Exception {
    
            // Flatten the content to be single line:
            content = content.replaceAll("\\n", "");
    
            Socket minaSocket = null;
            PrintWriter out = null;
            BufferedReader in = null;
    
            StringBuffer data = new StringBuffer();
            try {
                minaSocket = new Socket(host, port);
                out = new PrintWriter(minaSocket.getOutputStream(), true);
                in = new BufferedReader(new InputStreamReader(minaSocket.getInputStream()));
    
                // Prepare and send data:
                out.println(containerId + "|" + content);
                // Wait for the first line:
                data.append(in.readLine());
                // Continue as long as data is available:
                while (in.ready()) {
                    data.append(in.readLine());
                }
    
                return data.toString();
            } finally {
                out.close();
                in.close();
                minaSocket.close();
            }
        }
    }

    この実装例は、以下のデータおよび動作を指定します。

    • ソケットベースの通信を使用して簡素化します。
    • KIE Server クライアントのデフォルト設定に依存し、ServerUrl を使用して MINA サーバーのホストとポートを提供します。
    • マーシャリング形式で JSON を指定します。
    • 受信メッセージは左波括弧 { で始まる JSON オブジェクトでなければなりません。
    • 応答の最初の行を待機中に、ブロッキング API と直接、ソケット通信を使用してから、利用可能なすべての行を読み取ります。
    • ストリームモード を使用しないため、コマンドの呼び出し後に KIE Server セッションを切断します。
  4. 以下の例のように、プロジェクトの Java クラスに org.kie.server.client.helper.KieServicesClientBuilder インターフェイスを実装します。

    KieServicesClientBuilder インターフェイスの実装例

    public class MinaClientBuilderImpl implements KieServicesClientBuilder {  1
    
        public String getImplementedCapability() {  2
            return "BRM-Mina";
        }
    
        public Map<Class<?>, Object> build(KieServicesConfiguration configuration, ClassLoader classLoader) {  3
            Map<Class<?>, Object> services = new HashMap<Class<?>, Object>();
    
            services.put(RulesMinaServicesClient.class, new RulesMinaServicesClientImpl(configuration, classLoader));
    
            return services;
        }
    
    }

    1
    一般の KIE Server クライアントインフラストラクチャーにクライアント API を追加できます。
    2
    クライアントが使用する KIE Server 機能 (拡張) を定義します。
    3
    クライアントの実装のマッピングを提供します。キーはインターフェイス、値は完全な初期実装です。
  5. 新規のクライアント API を KIE Server クライアントで検出できるようにするには、Maven プロジェクトで META-INF/services/org.kie.server.client.helper.KieServicesClientBuilder ファイルを作成し、このファイルに KieServicesClientBuilder 実装クラスの完全修飾名を追加します。たとえば、このファイルには org.kie.server.ext.mina.client.MinaClientBuilderImpl の 1 行が含まれます。
  6. プロジェクトを構築して、作成された JAR ファイルをプロジェクトの ~/kie-server.war/WEB-INF/lib ディレクトリーにコピーします。たとえば、Red Hat JBoss EAP ではこのディレクトリーへのパスは EAP_HOME/standalone/deployments/kie-server.war/WEB-INF/lib です。
  7. KIE Server を起動して、実行中の KIE Server に構築したプロジェクトをデプロイします。プロジェクトは、Business Central インターフェイスまたは KIE Server REST API (http://SERVER:PORT/kie-server/services/rest/server/containers/{containerId} への PUT 要求) を使用してデプロイできます。

    実行中の KIE Server にプロジェクトをデプロイしたあとに、新規の KIE Server クライアントと対話を開始できます。標準の KIE Server クライアントと同じ方法で、クライアント設定とクライアントインスタンスを作成して、タイプ別にサービスクライアントを取得し、クライアントメソッドを呼び出して、新しいクライアントを使用します。

    たとえば、RulesMinaServiceClient クライアントインスタンスを作成して、MINA トランスポートを使用して KIE Server で操作を呼び出すことができます。

    RulesMinaServiceClient クライアント作成の実装例

    protected RulesMinaServicesClient buildClient() {
        KieServicesConfiguration configuration = KieServicesFactory.newRestConfiguration("localhost:9123", null, null);
        List<String> capabilities = new ArrayList<String>();
        // Explicitly add capabilities (the MINA client does not respond to `get-server-info` requests):
        capabilities.add("BRM-Mina");
    
        configuration.setCapabilities(capabilities);
        configuration.setMarshallingFormat(MarshallingFormat.JSON);
    
        configuration.addJaxbClasses(extraClasses);
    
        KieServicesClient kieServicesClient =  KieServicesFactory.newKieServicesClient(configuration);
    
        RulesMinaServicesClient rulesClient = kieServicesClient.getServicesClient(RulesMinaServicesClient.class);
    
        return rulesClient;
    }

    MINA トランスポートを使用して KIE Server 上で操作を呼び出す設定例

    RulesMinaServicesClient rulesClient = buildClient();
    
    List<Command<?>> commands = new ArrayList<Command<?>>();
    BatchExecutionCommand executionCommand = commandsFactory.newBatchExecution(commands, "defaultKieSession");
    
    Person person = new Person();
    person.setName("mary");
    commands.add(commandsFactory.newInsert(person, "person"));
    commands.add(commandsFactory.newFireAllRules("fired"));
    
    ServiceResponse<String> response = rulesClient.executeCommands(containerId, executionCommand);
    Assert.assertNotNull(response);
    
    Assert.assertEquals(ResponseType.SUCCESS, response.getType());
    
    String data = response.getResult();
    
    Marshaller marshaller = MarshallerFactory.getMarshaller(extraClasses, MarshallingFormat.JSON, this.getClass().getClassLoader());
    
    ExecutionResultImpl results = marshaller.unmarshall(data, ExecutionResultImpl.class);
    Assert.assertNotNull(results);
    
    Object personResult = results.getValue("person");
    Assert.assertTrue(personResult instanceof Person);
    
    Assert.assertEquals("mary", ((Person) personResult).getName());
    Assert.assertEquals("JBoss Community", ((Person) personResult).getAddress());
    Assert.assertEquals(true, ((Person) personResult).isRegistered());

第25章 KIE Server の使用時のパフォーマンスチューニングに関する考慮点

以下の主要な概念または推奨のプラクティスを使用すると、KIE Server のパフォーマンスの最適化に役立ちます。本セクションではこの概念についてまとめており、随時、他のドキュメントを相互参照して詳細を説明します。本セクションは、Red Hat Process Automation Manager の新しいリリースで、必要に応じて拡張または変更します。

開発時には、必ず開発モードを有効にする

KIE Server または特定のプロジェクトを Business Central に設定して、production モードまたは development モードを使用できます。デフォルトでは、KIE Server および Business Central のすべての新規プロジェクトは開発モードになっています。このモードには、プロジェクトの開発ポリシーに柔軟性をもたせるなど、開発が容易にすすむ機能や、重複した GAV の検出を無効化するなど、開発中の KIE Server のパフォーマンスを最適化する機能が含まれます。Red Hat Process Automation Manager 環境が確立し、実稼働モードを実行できる準備が完全に整うまで、開発モードを使用してください。

環境モードの設定または重複する GAV の検出の詳細は、以下の資料を参照してください。

KIE Server 機能と拡張を特定のニーズに適合すること

KIE Server の機能は、ビジネスニーズに合わせて有効化、無効化、または拡張可能なプラグインにより決まります。KIE Server 拡張機能は、デフォルトでは REST または JMS データトランスポートで公開され、事前定義済みのクライアント API を使用します。追加の REST エンドポイントで既存の KIE Server 機能を拡張するか、REST または JMS 以外の対応のトランスポートメソッドを拡張するか、KIE Server クライアントの機能を拡張できます。

KIE Server 機能は柔軟であるため、デフォルトの KIE Server 機能にビジネスニーズを合わせるのではなく、KIE Server インスタンスをビジネスニーズに合わせることができます。

KIE Server の機能の有効化、無効化、または拡張に関する詳細は、24章KIE Server の機能と拡張 を参照してください。

第26章 関連情報

付録A バージョン情報

本書の最終更新日: 2022 年 3 月 8 日(火)