第5章 ZIP からの Red Hat Process Automation Manager のインストール

Red Hat Process Automation Manager の ZIP ファイル (Business Central 用および KIE Server 用) ではグラフィカルユーザーインターフェースが必要ないため、SSH を使用して Red Hat Process Automation Manager をインストールできます。

注記

Business Central と KIE Server は、実稼働環境では異なるサーバーにインストールすることが推奨されます。

ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールは「10章ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールおよび実行」を参照してください。

5.1. ZIP ファイルからの Business Central のインストール

Business Central の Web コンソールにより、個々のコンポーネントに対する以下のタスクを一元化された Web ベースの環境で実行できます。

  • ルール、プロセス、および関連アセットを作成、管理、および編集します。
  • 接続された KIE Server インスタンスおよびその KIE コンテナーを管理します (デプロイメントユニット)。
  • Business Central に接続した KIE Server インスタンスのプロセスおよびタスクに対してランタイム操作を実行します。

前提条件

  • バックアップを作成済みの Red Hat JBoss EAP システム (バージョン 7.2 ) が利用できる。Red Hat JBoss EAP システムのベースディレクトリーを EAP_HOME とします。
  • インストールを完了するのに必要なユーザーパーミッションが付与されている。
  • 3章Red Hat Process Automation Manager インストールファイルのダウンロード」に従って以下のファイルがダウンロードされている。

    rhpam-7.7.0-business-central-eap7-deployable.zip

手順

  1. rhpam-7.7.0-business-central-eap7-deployable.zip ファイルを一時ディレクトリーに展開します。以下の例では、このディレクトリーを TEMP_DIR とします。
  2. TEMP_DIR/rhpam-7.7.0-business-central-eap7-deployable/jboss-eap-7.2 ディレクトリーの内容を EAP_HOME にコピーします。プロンプトが表示されたら、ファイルをマージまたは置き換えます。

    警告

    コピーする Red Hat Process Automation Manager デプロイメントの名前が、Red Hat JBoss EAP インスタンスの既存デプロイメントと競合しないことを確認します。

5.2. ZIP ファイルからの KIE Server のインストール

KIE Server はビジネスアセットのランタイム環境を提供し、アセットリポジトリー (ナレッジストア) に保存されたデータにアクセスします。

前提条件

  • バックアップを作成済みの Red Hat JBoss EAP システム (バージョン 7.2 ) が利用できる。Red Hat JBoss EAP システムのベースディレクトリーを EAP_HOME とします。
  • インストールを完了するのに必要なユーザーパーミッションが付与されている。
  • 3章Red Hat Process Automation Manager インストールファイルのダウンロード」に従って以下のファイルがダウンロードされている。

    rhpam-7.7.0-kie-server-ee8.zip

手順

  1. rhpam-7.7.0-kie-server-ee8.zip アーカイブを一時ディレクトリーに展開します。以下の例では、このディレクトリーを TEMP_DIR とします。
  2. TEMP_DIR/rhpam-7.7.0-kie-server-ee8/kie-server.war ディレクトリーを EAP_HOME/standalone/deployments/ にコピーします。

    警告

    コピーする Red Hat Process Automation Manager デプロイメントの名前が、Red Hat JBoss EAP インスタンスの既存デプロイメントと競合しないことを確認します。

  3. TEMP_DIR/rhpam-7.7.0-kie-server-ee8/rhpam-7.7.0-kie-server-ee8/SecurityPolicy/ の内容を EAP_HOME/bin にコピーします。ファイルの上書きを確認するメッセージが表示されたら、Replace をクリックします。
  4. EAP_HOME/standalone/deployments/ ディレクトリーに、kie-server.war.dodeploy という名前で空のファイルを作成します。このファイルにより、サーバーが起動すると KIE Server が自動的にデプロイされます。
注記

Microsoft SQL Server を使用する場合は、データベースに適した正しいトランザクションの分離を設定されていることを確認してください。設定されていない場合には、デッドロックが発生する可能性があります。推奨の設定は、以下のステートメントを入力して、ALLOW_SNAPSHOT_ISOLATION と READ_COMMITTED_SNAPSHOT を ON にします。

ALTER DATABASE <DBNAME> SET ALLOW_SNAPSHOT_ISOLATION ON
ALTER DATABASE <DBNAME> SET READ_COMMITTED_SNAPSHOT ON

5.3. KIE Server への JDBC データソースの設定

データソースは、アプリケーションサーバーなど、Java Database Connectivity (JDBC) クライアントを有効にするオブジェクトで、データベースへの接続を確立します。アプリケーションは、JNDI (Java Naming and Directory Interface) ツリーまたはローカルのアプリケーションコンテキストでデータソースを検索し、データベース接続を要求してデータを取得します。KIE Server にデータソースを設定して、サーバーと、指定したデータベースとの間で適切なデータ交換を行う必要があります。

注記

実稼働環境の場合は、実際のデータソースを指定します。実稼働環境で、データソースの例は使用しないでください。

前提条件

  • Red Hat JBoss Enterprise Application Server 設定ガイド 』の「データソースの作成」と「JDBC ドライバー」のセクションの説明のように、データベース接続の作成に使用する JDBC プロバイダーは、KIE Server をデプロイする全サーバー上で設定されている。
  • Red Hat Process Automation Manager 7.7.0 Add Ons (rhpam-7.7.0-add-ons.zip) ファイルは、Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページからダウンロードされている。

手順

  1. 以下の手順を実行して、データベースを準備します。

    1. TEMP_DIR などの一時ディレクトリーに rhpam-7.7.0-add-ons.zip を展開します。
    2. TEMP_DIR/rhpam-7.7.0-migration-tool.zip を展開します。
    3. 現在のディレクトリーから、TEMP_DIR/rhpam-7.7.0-migration-tool/ddl-scripts ディレクトリーに移動します。このディレクトリーには、複数のデータベースタイプの DDL スクリプトが含まれています。
    4. 使用するデータベースに、お使いのデータベースタイプの DDL スクリプトをインポートします。以下に例を示します。

      psql jbpm < /ddl-scripts/postgresql/postgresql-jbpm-schema.sql
  2. テキストエディターで EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml を開き、<system-properties> タグの場所を特定します。
  3. 以下のプロパティーを <system-properties> タグに追加します。<DATASOURCE> はデータソースの JNDI 名で、<HIBERNATE_DIALECT> はデータベースの Hibernate 方言です。

    注記

    org.kie.server.persistence.ds プロパティーのデフォルト値は java:jboss/datasources/ExampleDS です。org.kie.server.persistence.dialect プロパティーのデフォルト値は org.hibernate.dialect.H2Dialect です。

    <property name="org.kie.server.persistence.ds" value="<DATASOURCE>"/>
    <property name="org.kie.server.persistence.dialect" value="<HIBERNATE_DIALECT>"/>

    以下の例では、PostgreSQL hibernate 方言のデータソースの設定方法を紹介しています。

    <system-properties>
        <property name="org.kie.server.repo" value="${jboss.server.data.dir}"/>
        <property name="org.kie.example" value="true"/>
        <property name="org.jbpm.designer.perspective" value="full"/>
        <property name="designerdataobjects" value="false"/>
        <property name="org.kie.server.user" value="rhpamUser"/>
        <property name="org.kie.server.pwd" value="rhpam123!"/>
        <property name="org.kie.server.location" value="http://localhost:8080/kie-server/services/rest/server"/>
        <property name="org.kie.server.controller" value="http://localhost:8080/business-central/rest/controller"/>
        <property name="org.kie.server.controller.user" value="kieserver"/>
        <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="kieserver1!"/>
        <property name="org.kie.server.id" value="local-server-123"/>
    
        <!-- Data source properties. -->
        <property name="org.kie.server.persistence.ds" value="java:jboss/datasources/KieServerDS"/>
        <property name="org.kie.server.persistence.dialect" value="org.hibernate.dialect.PostgreSQLDialect"/>
    </system-properties>

以下の方言がサポートされます。

  • DB2: org.hibernate.dialect.DB2Dialect
  • MSSQL: org.hibernate.dialect.SQLServer2012Dialect
  • MySQL: org.hibernate.dialect.MySQL5InnoDBDialect
  • MariaDB: org.hibernate.dialect.MySQL5InnoDBDialect
  • Oracle: org.hibernate.dialect.Oracle10gDialect
  • PostgreSQL: org.hibernate.dialect.PostgreSQL82Dialect
  • PostgreSQL plus: org.hibernate.dialect.PostgresPlusDialect
  • Sybase: org.hibernate.dialect.SybaseASE157Dialect

5.4. ユーザーの作成

Business Central または KIE Server にログインする前に、ユーザーを作成する必要があります。本セクションでは、adminrest-all、および kie-server のロールを持つ Business Central ユーザーと、kie-server ロールを持つ KIE Server ユーザーを作成する方法を説明します。ロールの詳細は「2章Red Hat Process Automation Manager ロールおよびユーザー」を参照してください。

前提条件

  • Red Hat Process Automation Manager が Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされている。

手順

  1. ターミナルアプリケーションで EAP_HOME/bin ディレクトリーに移動します。
  2. adminrest-all、および kie-server ロールを持つユーザーを作成し、Business Central へのログインに使用します。

    注記

    admin ロールを持つユーザーは、Business Central の管理者です。rest-all ロールを持つユーザーは、Business Central REST 機能にアクセスできます。kie-server ロールを持つユーザーは、KIE Server REST 機能にアクセスできます。ユーザーが Business Central のManage ビューおよび Track ビューにアクセスするには、kie-server ロールが必須となります。

    以下のコマンドで、<username> はユーザー名に、<password> は任意のパスワードに置き換えます。

    $ ./add-user.sh -a --user <USERNAME> --password <PASSWORD> --role admin,rest-all,kie-server
    注記

    必ず、既存のユーザー、ロール、またはグループとは異なるユーザー名を指定してください。たとえば、admin という名前のユーザーは作成しないでください。

    パスワードは 8 文字以上で、数字と、英数字以外の文字をそれぞれ 1 文字以上使用する必要があります。ただし & の文字は使用できません。

  3. KIE Server へのログインに使用する、kie-server ロールのユーザーを作成します。

    $ ./add-user.sh -a --user <USERNAME> --password <PASSWORD> --role kie-server
  4. ユーザー名とパスワードを書き留めておきます。

    注記

    Business Central と KIE Server を同じサーバーにインストールした場合は、両方のロールを持つユーザーを 1 つ作成できます。

    $ ./add-user.sh -a --user <USERNAME>  --password <PASSWORD> --role admin,rest-all,kie-server

    Business Central と KIE Server は、実稼働環境では異なるサーバーにインストールすることが推奨されます。

5.5. 統合 Process Automation Manager コントローラーを使用する KIE Server の設定

注記

本セクションで説明されている変更は、KIE Server を Business Central で管理し、Red Hat Process Automation Manager を ZIP ファイルからインストールしている場合にのみ、実行してください。Business Central をインストールしていない場合は、「10章ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーのインストールおよび実行」の記載通りに、ヘッドレス Process Automation Manager コントローラーを使用して KIE Server を管理することができます。

KIE Server は管理モードにすることも、非管理モードにすることもできます。KIE Server が非管理モードにある場合は、手動で KIE コンテナーを作成および維持する必要があります (デプロイメントユニット)。KIE Server が管理モードにある場合は、Process Automation Manager コントローラーが KIE Server 設定を管理するため、Process Automation Manager コントローラーと対話して KIE コンテナーの作成と維持を行います。

Process Automation Manager コントローラーは Business Central と統合されており、Business Central をインストールする場合は、Business Central の Execution Server ページを使用して Process Automation Manager コントローラーと対話できます。

ZIP ファイルから Red Hat Process Automation Manager をインストールした場合は、KIE Server および Business Central のインストールの standalone-full.xml ファイルを編集して、統合 Process Automation Manager コントローラーを持つ KIE Server を設定する必要があります。

前提条件

  • 以下のセクションのとおりに、Business Central および KIE Server が Red Hat JBoss EAP インストールのベースディレクトリー (EAP_HOME) にインストールされている。

  • Business Central サーバーノードに、rest-all ロールを持つユーザーが作成されている。

    詳細は「ユーザーの作成」を参照してください。

手順

  1. Business Central の EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルで、<system-properties> セクションの以下のプロパティーのコメントを解除し、<USERNAME> および <USER_PWD> を、kie-server ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。

       <property name="org.kie.server.user" value="<USERNAME>"/>
       <property name="org.kie.server.pwd" value="<USER_PWD>"/>
  2. KIE Server の EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml ファイルで、<system-properties> セクションの以下のプロパティーのコメントを解除します。

      <property name="org.kie.server.controller.user" value="<CONTROLLER_USER>"/>
      <property name="org.kie.server.controller.pwd" value="<CONTROLLER_PWD>"/>
      <property name="org.kie.server.id" value="<KIE_SERVER_ID>"/>
      <property name="org.kie.server.location" value="http://<HOST>:<PORT>/kie-server/services/rest/server"/>
      <property name="org.kie.server.controller" value="<CONTROLLER_URL>"/>
  3. 以下の値を置き換えてください。

    • <CONTROLLER_USER> および <CONTROLLER_PWD>rest-all ロールを持つユーザーの認証情報に置き換えます。
    • <KIE_SERVER_ID> を KIE Server システムの ID または名前に置き換えます (例: rhpam-7.7.0-kie_server-1)。
    • <HOST> を KIE Server ホストの ID または名前に置き換える (例: localhost または 192.7.8.9)。
    • <PORT> を KIE Server ホストのポートに置き換える (例: 8080)。

      注記

      org.kie.server.location プロパティーで KIE Server の場所を指定します。

    • <CONTROLLER_URL> を Business Central の URL に置き換えます。KIE Server は、起動時にこの URL に接続します。

      • インストーラーまたは Red Hat JBoss EAP zip ファイルを使用して Business Central をインストールした場合、<CONTROLLER_URL> は以下のようになります。

        http://<HOST>:<PORT>/business-central/rest/controller

      • standalone.jar ファイルを使用して Business Central を実行している場合、<CONTROLLER_URL> は以下のようになります。

        http://<HOST>:<PORT>/rest/controller