Red Hat Process Automation Manager と Red Hat シングルサインオンの統合
Red Hat Customer Content Services
brms-docs@redhat.com
概要
前書き
システム管理者は、Red Hat シングルサインオンを Red Hat Process Automation Manager に統合し、単一の認証メソッドを使用することで Red Hat Process Automation Manager ブラウザーアプリケーションを保護できます。
前提条件
- Red Hat Process Automation Manager が Red Hat JBoss EAP 7.2 にインストールされている。詳細は、『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』を参照してください。
第1章 統合オプション
Red Hat シングルサインオン (RH-SSO) は、ブラウザーアプリケーションと REST Web サービス、および Git へのアクセスのセキュリティーを確保するために使用できるシングルサインオンソリューションです。
Red Hat Process Automation Manager と RH-SSO を統合する際に、Red Hat Process Automation Manager 向けに SSO と IDM (アイデンティティ管理) を作成します。RH-SSO のセッション管理機能により、一度認証するだけで、Web 上でさまざまな Red Hat Process Automation Manager 環境を使用できます。
以下の章では、 Red Hat Process Automation Manager と RH-SSO を統合する方法を説明します。
4章RH-SSO を使用した Business Central の認証
RH-SSO サーバーを使用して Red Hat Process Automation Manager を認証するには、Red Hat Process Automation Manager Web クライアント (Business Central) とリモートサービスの両方を RH-SSO で保護する必要があります。この統合により、Business Central またはリモートサービスコンシューマーのいずれかから RH-SSO を介して Red Hat Process Automation Manager に接続できます。
5章RH-SSO を使用した Process Server の認証
RH-SSO サーバーを使用して Process Server を認証するには、Process Server が提供するリモートサービスを保護する必要があります。これを行うことで、リモートの Red Hat Process Automation Manager サービスコンシューマー (ユーザーまたはサービス) を有効にし、RH-SSO を経由して認証します。Process Server には Web インターフェースがありません。
6章RH-SSO を使用したサードパーティークライアントの認証
Business Central または Process Server が RH-SSO を使用している場合、サードパーティークライアントは RH-SSO を使用して自己認証する必要があります。認証後は、Business Central および Process Server が提供するリモートサービスのエンドポイント (REST API、リモートファイルシステムサービスなど) を使用できます。
Red Hat Process Automation Manager を使用して、LDAP の統合をスムーズに行うには、LDAP が含まれる RH-SSO の使用を検討してください。詳細は『Red Hat Single Sign-On Server Administration Guide』の「LDAP and Active Directory」の章を参照してください。
第2章 RH-SSO のインストールおよび設定
レルムは、Web またはアプリケーションサーバーに定義するセキュリティーポリシードメインです。セキュリティーレルムは、異なるアプリケーションリソースのアクセスを制限するのに使用します。レルムは、RH-SSO インスタンスが非公開か、他の製品と共有されているかにかかわらず、新たに作成する必要があります。マスターレルムは、スーパー管理者がお使いのシステム内でレルムを作成して管理する場所として確保できます。他の製品システムと共有している RH-SSO インスタンスと統合して、これらのアプリケーションでシングルサインオンを行うには、これらの全アプリケーションで同じレルムを使用する必要があります。RH-SSO レルムを作成するには、RH-SSO 7.3 をダウンロードしてインストールし、設定します。
Business Central および Process Server が異なるサーバーにインストールされている場合は、両サーバーでこの手順を行ってください。
手順
Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。
- 製品: Red Hat Single Sign-On
- Version: 7.3
-
Red Hat Single Sign-on 7.3.0 Server (
rh-sso-7.3.0.zip
) をダウンロードします。 基本的な RH-SSO スタンドアロンサーバーをインストールして設定するには、『 Red Hat Single Sign On Getting Started Guide』の「Installing and Booting」の章に記載の手順に従ってください。実稼働環境への高度な設定は『Red Hat Single Sign On Server Administration Guide』を参照してください。
注記RH-SSO サーバーと Red Hat Process Automation Manager サーバーの両方を同じシステムで実行する場合は、以下のいずれかを行って、ポートが競合しないようにする必要があります。
以下のように、
RHSSO_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml
ファイルを更新して、ポートのオフセットを 100 に設定してください。<socket-binding-group name="standard-sockets" default-interface="public" port-offset="${jboss.socket.binding.port-offset:100}">
環境変数を使用してサーバーを実行する。
bin/standalone.sh -Djboss.socket.binding.port-offset=100
第3章 Red Hat Process Automation Manager ロールおよびユーザー
Business Central または Process Server にアクセスするには、サーバーを起動する前にユーザーを作成して適切なロールを割り当てます。本セクションは、利用可能な Red Hat Process Automation Manager ユーザーロールを説明します。
admin
、analyst
、developer
、manager
、process-admin
、user
、および rest-all
のロールは Business Central に予約されており、kie-server
ロールは Process Server に予約されています。このため、利用可能なロールは、インストールされているシステムが、Business Central、Process Server、またはその両方かによって異なります。
-
admin
:admin
ロールを持つユーザーは Business Central 管理者です。管理者は、ユーザーの管理や、リポジトリーの作成、クローン作成、および管理ができます。アプリケーションで必要な変更にすべてアクセスできます。admin
ロールを持つユーザーは、Red Hat Process Automation Manager の全領域にアクセスできます。 -
analyst
:analyst
ロールを持つユーザーには、すべてのハイレベル機能へのアクセスがあり、プロジェクトのモデル化および実行が可能です。ただし、このユーザーは、Design → Projects ビューでスペースにコントリビューターを追加したり、スペースを削除したりできません。Deploy → Execution Servers ビューへのアクセスは管理者を対象にしており、analyst
ロールを持つユーザーは利用できません。ただし、Deploy ボタンは、このユーザーが Library パースペクティブにアクセスする時に利用できます。 -
developer
:developer
ロールを持つユーザーは、ほぼすべての機能にアクセスでき、ルール、モデル、プロセスフロー、フォーム、およびダッシュボードを管理できます。アセットリポジトリーを管理し、プロジェクトを作成、ビルド、およびデプロイでき、Red Hat CodeReady Studio を使用してプロセスを表示できます。developer
ロールが割り当てられているユーザーには、新規リポジトリーの作成やクローン作成などの、特定の管理機能は表示されません。 -
manager
:manager
ロールを持つユーザーはレポートを表示できます。このユーザーは通常、ビジネスプロセス、そのパフォーマンス、ビジネスインジケーター、その他のビジネス関連のレポートに関する統計に関心があります。このルールを持つユーザーがアクセスできるのはプロセスおよびタスクのレポートに限られます。 -
process-admin
:process-admin
ロールを持つユーザーは、ビジネスプロセス管理者です。ビジネスプロセス、ビジネスタスク、および実行エラーへの完全アクセスがあります。このユーザーは、ビジネスレポートを表示でき、タスク受信箱リストにアクセスできます。 -
user
: Users with theuser
role can work on the Task Inbox list, which contains business tasks that are part of currently running processes. Users with this role can view process and task reports and manage processes. -
rest-all
:rest-all
ロールを持つユーザーは、Business Central REST 機能にアクセスできます。 -
kie-server
:kie-server
ロールを持つユーザーは Process Server (KIE Server) REST 機能へのアクセスがあります。このロールは、Business Central で Manage ビューおよび Track ビューにアクセスするユーザーにとって必須となります。
3.1. Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加
Business Central または Process Server の認証に RH-SSO を使用する前に、作成したレルムにユーザーを追加する必要があります。新しいユーザーを追加して、Red Hat Process Automation Manager にアクセスするためのロールを追加するには、以下の手順を行います。
- RH-SSO 管理コンソールにログインして、ユーザーを追加するレルムを開きます。
Manage セクションで Users メニューアイテムをクリックします。
Users ページに空のユーザー一覧が表示されます。
空のユーザー一覧で Add User ボタンをクリックして、新規ユーザーの作成を開始します。
Add User ページが開きます。
- Add User ページで、ユーザー情報を入力して Save をクリックします。
- Credentials タブをクリックして、パスワードを作成します。
新規ユーザーに、Red Hat Process Automation Manager へのアクセスが可能なロール (Business Central にアクセスできる
admin
ロールや、Process Server にアクセスできるkie-server
ロールなど) を 1 つ割り当てます。注記Business Central から OpenShift にデプロイするプロジェクトの場合は、ロールを割り当てずに
mavenuser
という RH-SSO ユーザーを作成し、OpenShift テンプレートのBUSINESS_CENTRAL_MAVEN_USERNAME
およびBUSINESS_CENTRAL_MAVEN_PASSWORD
に、このユーザーを追加します。- Roles セクションの Realm Roles タブで、このロールをレルムロールとして定義します。
- Users ページの Role Mappings タブをクリックして、ロールを割り当てます。
第4章 RH-SSO を使用した Business Central の認証
本章では、RH-SSO を介して Business Central を認証する方法を説明します。この章には以下のセクションが含まれます。
前提条件
- 『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』の記載通りに、Business Central が Red Hat JBoss EAP 7.2 サーバーにインストールされている。
- 「2章RH-SSO のインストールおよび設定」の記載通りに、RH-SSO がインストールされている。
- 「「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」」の記載通りに、Business Central ユーザーが RH-SSO に追加されている。
このセクションは、「RH-SSO への Business Central クライアントの作成」 を除き、スタンドアロンのインストールが対象です。Red Hat OpenShift Container Platform で RH-SSO と Red Hat Process Automation Manager を統合する場合には、「RH-SSO への Business Central クライアントの作成」 の手順のみを実行して、Red Hat OpenShift Container Platform に Red Hat Process Automation Manager 環境をデプロイしてください。Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager のデプロイの手順は、Red Hat カスタマーポータル の適切なドキュメントを参照してください。
4.1. RH-SSO への Business Central クライアントの作成
RH-SSO サーバーの起動後、RH-SSO 管理コンソールを使用して RH-SSO 向けに Business Central クライアントを作成します。
手順
Web ブラウザーに
http://localhost:8180/auth/admin
と入力して、RH-SSO 管理コンソールを開き、RH-SSO のインストール時に作成した管理者の認証情報を使用してログインします。注記Red Hat OpenShift Container Platform で RH-SSO を設定している場合には、RH-SSO ルートに公開されている URL を入力します。OpenShift 管理者は、必要に応じてこの URL を提供してください。
初回ログイン時に、新規ユーザー登録で最初のユーザーを設定できます。
- RH-SSO 管理コンソールで、Realm Settings メニューアイテムをクリックします。
Realm Settings ページで Add Realm をクリックします。
Add realm ページが表示されます。
- Add realm ページで、レルムの名前を指定して Create をクリックします。
Clients メニューアイテムをクリックし、Create をクリックします。
Add Client ページが表示されます。
Add Client ページで、以下のようにレルムにクライアントを新規作成するのに必要な情報を指定します。
- Client ID: kie
- Client protocol: openid-connect
Root URL:
http://localhost:8080/business-central
注記Red Hat OpenShift Container Platform で RH-SSO を設定している場合には、Process Server ルートに公開されている URL を入力します。OpenShift 管理者は、必要に応じてこの URL を提供してください。
Save をクリックして変更を保存します。
作成した新規クライアントの Access Type は、デフォルトでは
public
に設定されています。この設定をconfidential
に変更します。これで、Business Central アプリケーションのクライアントが含まれるレルムに RH-SSO サーバーが設定され、
localhost:8180
で HTTP 接続をリッスンした状態で実行しています。このレルムは、Business Central アプリケーションに異なるユーザー、ロール、セッションを提供します。
4.2. Business Central への RH-SSO クライアントアダプターのインストール
RH-SSO をインストールしたら、Red Hat JBoss EAP に RH-SSO クライアントアダプターをインストールして、Business Central に対して設定する必要があります。
前提条件
- 『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』の記載通りに、Business Central が Red Hat JBoss EAP 7.2 インスタンスにインストールされている。
- 「2章RH-SSO のインストールおよび設定」の記載通りに、RH-SSO がインストールされている。
-
「「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」」の記載通りに、
admin
ロールが割り当てられたユーザーが RH-SSO に追加されている。
手順
Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。
- 製品: Red Hat Single Sign-On
- Version: 7.3
-
Red Hat Single Sign-on 7.3. Client Adaptor for JBoss EAP 7 (
rh-sso-7.3-eap7-adapter.zip
) をダウンロードします。 rh-sso-7.3-eap7-adapter.zip
を展開してインストールします。インストール手順は『Red Hat Single Sign On Securing Applications and Services Guide』の「JBoss EAP Adapter」セクションを参照してください。注記-Dserver.config=standalone-full.xml
プロパティーでアダプターをインストールします。-
EAP_HOME/standalone/configuration
に移動して、standalone-full.xml
ファイルを開きます。 -
両方のファイルから、
<single-sign-on/>
要素を削除します。 -
Red Hat JBoss EAP インストールの
EAP_HOME/standalone/configuration
ディレクトリーに移動し、テキストエディターでstandalone-full.xml
ファイルを開きます。 以下の例に表示されているシステムプロパティーを
<system-properties>;
に追加します。<system-properties> <property name="org.jbpm.workbench.kie_server.keycloak" value="true"/> <property name="org.uberfire.ext.security.management.api.userManagementServices" value="KCAdapterUserManagementService"/> <property name="org.uberfire.ext.security.management.keycloak.authServer" value="http://localhost:8180/auth"/> </system-properties>
以下のように、RH-SSO サブシステム設定を追加します。
<subsystem xmlns="urn:jboss:domain:keycloak:1.1"> <secure-deployment name="business-central.war"> <realm>demo</realm> <realm-public-key>MIGfMA0GCSqGSIb3DQEBAQUAA4GNADCBiQKBgQCrVrCuTtArbgaZzL1hvh0xtL5mc7o0NqPVnYXkLvgcwiC3BjLGw1tGEGoJaXDuSaRllobm53JBhjx33UNv+5z/UMG4kytBWxheNVKnL6GgqlNabMaFfPLPCF8kAgKnsi79NMo+n6KnSY8YeUmec/p2vjO2NjsSAVcWEQMVhJ31LwIDAQAB</realm-public-key> <auth-server-url>http://localhost:8180/auth</auth-server-url> <ssl-required>external</ssl-required> <enable-basic-auth>true</enable-basic-auth> <resource>kie</resource> <credential name="secret">759514d0-dbb1-46ba-b7e7-ff76e63c6891</credential> <principal-attribute>preferred_username</principal-attribute> </secure-deployment> </subsystem>
この例で、
-
secure-deployment name
は、アプリケーションの WAR ファイルの名前です。 -
realm
は、使用するアプリケーション用に作成したレルムの名前です。 -
realm-public-key
は、作成したレルムの公開鍵です。この鍵は、RH-SSO 管理コンソールで作成したレルムの Realm settings ページの Keys タブで確認できます。realm-public-key
の値を指定しない場合は、サーバーが自動的に取得します。 -
auth-server-url
は、RH-SSO 認証サーバーの URL です。 -
enable-basic-auth
は、クライアントがトークンベースと Basic 認証アプローチの両方を使用して要求を実行できるように、Basic 認証メカニズムを有効にする設定です。 -
resource
は、作成したクライアントの名前です。 -
credential name
は、作成したクライアントの秘密鍵です。この鍵は、RH-SSO 管理コンソールの Clients ページの Credentials タブで確認できます。 principal-attribute
は、ユーザーのログイン名です。この値を指定しないと、ユーザー名ではなくユーザー ID がアプリケーションに表示されます。注記RH-SSO サーバーは、ユーザー名を小文字に変換します。したがって、RH-SSO と統合すると、ユーザー名が Red Hat Process Automation Manager では小文字で表示されます。ユーザー名が、ビジネスプロセスに大文字でハードコードされている場合は、アプリケーションが大文字のユーザー名を識別できない場合があります。
-
Red Hat JBoss EAP インストールの
EAP_HOME/standalone/configuration
ディレクトリーに移動し、standalone.xml
ファイルおよびstandalone-full.xml
ファイルで Elytron と undertow サブシステム設定の場所を特定して JACC を有効化します。以下に例を示します。<subsystem xmlns="urn:wildfly:elytron:4.0" ...> ...... <policy><jacc-policy/></policy> </subsystem>
<subsystem xmlns="urn:jboss:domain:undertow:7.0" ...> ...... <application-security-domains> <application-security-domain name="other" http-authentication-factory="keycloak-http-authentication" enable-jacc="true"/> </application-security-domains> </subsystem>
EAP_HOME/bin/
に移動し、以下のコマンドを実行して Red Hat JBoss EAP サーバーを起動します。./standalone.sh -c standalone-full.xml
RH-SSO セキュリティーサブシステムを使用するようにアプリケーションの WAR ファイルを更新して、Business Central の RH-SSO アダプターを設定することもできます。ただし Red Hat では、RH-SSO サブシステムからアダプターを設定することを推奨します。つまり、設定を各 WAR ファイルに適用するのではなく、Red Hat JBoss EAP の設定を更新します。
4.3. RH-SSO を使用した Business Central ファイルシステムサービスのセキュリティー
ファイルシステムなど、他のリモートサービス (例: リモート GIT サービス) を使用するには、正しい RH-SSO ログインモジュールを指定する必要があります。
手順
JSON 設定ファイルを生成します。
- http://localhost:8180/auth/admin から RH-SSO 管理コンソール に移動します。
- Clients をクリックします。
以下の設定で新規クライアントを作成します。
-
Client ID は
kie-git
に設定します。 -
Access Type は
confidential
に設定します。 - Standard Flow Enabled オプションを無効にします。
- Direct Access Grants Enabled オプションを有効にします。
-
Client ID は
- 保存 をクリックします。
- クライアント設定画面の上部にある Installation タブをクリックして、Format Option に Keycloak OIDC JSON を選択します。
- Download をクリックします。
- ダウンロードした JSON ファイルを、サーバーのファイルシステム内でアクセス可能なディレクトリーに移動するか、アプリケーションクラスパスに追加します。
EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml
ファイルに、正しい RH-SSO ログインモジュールを指定します。デフォルトでは、Red Hat Process Automation Manager のセキュリティードメインはother
に設定されます。このセキュリティードメインのlogin-module
のデフォルト値を、以下の例で示す値に置き換えます。<security-domain name="other" cache-type="default"> <authentication> <login-module code="org.keycloak.adapters.jaas.DirectAccessGrantsLoginModule" flag="required"> <module-option name="keycloak-config-file" value="$EAP_HOME/kie-git.json"/> </login-module> </authentication> </security-domain>
module-option
要素で指定した JSON ファイルには、リモートサービスのセキュリティーを確保するために使用するクライアントが含まれます。module-option
要素の$EAP_HOME/kie-git.json
の値を、この JSON 設定ファイルの絶対パスまたはクラスパス (classpath:/EXAMPLE_PATH/kie-git.json
) に置き換えます。これで、RH-SSO サーバーで認証されたすべてのユーザーは、内部 GIT リポジトリーのクローンを作成できます。以下のコマンドで、
USER_NAME
を RH-SSO ユーザー (admin
など) に変更します。git clone ssh://USER_NAME@localhost:8001/system
第5章 RH-SSO を使用した Process Server の認証
Process Server は、サードパーティークライアントの REST API を提供します。Process Server と RH-SSO を統合した場合は、サードパーティークライアントのアイデンティティー管理を RH-SSO サーバーに委譲できます。
Red Hat Process Automation Manager のレルムクライアントを作成して、Red Hat JBoss EAP に RH-SSO クライアントアダプターを設定したら、Process Server に RH-SSO 認証を設定できます。
前提条件
- 「2章RH-SSO のインストールおよび設定」の記載通りに、RH-SSO がインストールされている。
-
「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」の記載通りに、
kie-server
ロールが割り当てられたユーザーが 1 つ以上 RH-SSO に追加されている。 - 『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』の記載通りに、Process Server が Red Hat JBoss EAP 7.2 インスタンスにインストールされている。
本章は以下のセクションで構成されます。
このセクションは、「RH-SSO で Process Server クライアントの作成」 を除き、スタンドアロンのインストールが対象です。Red Hat OpenShift Container Platform で RH-SSO と Red Hat Process Automation Manager を統合する場合には、「RH-SSO で Process Server クライアントの作成」 の手順のみを実行して、Red Hat OpenShift Container Platform に Red Hat Process Automation Manager 環境をデプロイしてください。Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager のデプロイの手順は、Red Hat カスタマーポータル の適切なドキュメントを参照してください。
5.1. RH-SSO で Process Server クライアントの作成
RH-SSO 管理コンソールを使用して、既存のレルムに Process Server クライアントを作成します。
前提条件
- 『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』の記載通りに、Process Server が Red Hat JBoss EAP 7.2 サーバーにインストールされている。
- 「2章RH-SSO のインストールおよび設定」の記載通りに、RH-SSO がインストールされている。
-
「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」の記載通りに、
kie-server
ロールが割り当てられたユーザーが 1 つ以上 RH-SSO に追加されている。
手順
- RH-SSO 管理コンソールで、「2章RH-SSO のインストールおよび設定」で作成したセキュリティーレルムを開きます。
Clients をクリックし、Create をクリックします。
Add Client ページが表示されます。
Add Client ページで、レルムに Process Server クライアントを作成するのに必要な情報を入力し、Save をクリックします。以下は例になります。
-
クライアント ID:
kie-execution-server
-
Root URL:
http://localhost:8080/kie-server
クライアントのプロトコル:
openid-connect
注記Red Hat OpenShift Container Platform で RH-SSO を設定している場合には、Process Server ルートに公開されている URL を入力します。OpenShift 管理者は、必要に応じてこの URL を提供してください。
-
クライアント ID:
-
新規クライアントの Access Type は、デフォルトでは
public
に設定されています。この設定をconfidential
に変更して、もう一度 Save をクリックします。 -
Credentials タブに移動して秘密鍵をコピーします。秘密鍵は、
kie-execution-server
クライアントを設定するのに必要になります。
5.2. クライアントアダプターを使用する Process Server のインストールおよび設定
RH-SSO をインストールしたら、Red Hat JBoss EAP に RH-SSO クライアントアダプターをインストールして、Process Server に対して設定する必要があります。
前提条件
- 『Red Hat JBoss EAP 7.2 への Red Hat Process Automation Manager のインストールおよび設定』の記載通りに、Process Server が Red Hat JBoss EAP 7.2 サーバーにインストールされている。
- 「2章RH-SSO のインストールおよび設定」の記載通りに、RH-SSO がインストールされている。
-
「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」の記載通りに、
kie-server
ロールが割り当てられたユーザーが 1 つ以上 RH-SSO に追加されている。
Process Server を Business Central 以外のアプリケーションにデプロイする場合には、2 番目のサーバーに RH-SSO をインストールして設定します。
手順
Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。
- 製品: Red Hat Single Sign-On
- Version: 7.3
-
Red Hat Single Sign-on 7.3.0 Client Adaptor for JBoss EAP 7 (
rh-sso-7.3.0-eap7-adapter.zip
) をダウンロードします。 -
rh-sso-7.3.0-eap7-adapter.zip
を展開してインストールします。インストール手順は『Red Hat Single Sign On Securing Applications and Services Guide』の「JBoss EAP Adapter」セクションを参照してください。 -
EAP_HOME/standalone/configuration
に移動して、standalone-full.xml
ファイルを開きます。 -
両方のファイルから、
<single-sign-on/>
要素を削除します。 -
Red Hat JBoss EAP システムの
EAP_HOME/standalone/configuration
ディレクトリーに移動し、standalone-full.xml
ファイルを編集して RH-SSO サブシステム設定を追加します。以下は例になります。 Red Hat JBoss EAP システムの
EAP_HOME/standalone/configuration
に移動し、standalone-full.xml
ファイルを編集して RH-SSO サブシステム設定を追加します。以下に例を示します。<subsystem xmlns="urn:jboss:domain:keycloak:1.1"> <secure-deployment name="kie-execution-server.war"> <realm>demo</realm> <realm-public-key>MIGfMA0GCSqGSIb3DQEBAQUAA4GNADCBiQKBgQCrVrCuTtArbgaZzL1hvh0xtL5mc7o0NqPVnYXkLvgcwiC3BjLGw1tGEGoJaXDuSaRllobm53JBhjx33UNv+5z/UMG4kytBWxheNVKnL6GgqlNabMaFfPLPCF8kAgKnsi79NMo+n6KnSY8YeUmec/p2vjO2NjsSAVcWEQMVhJ31LwIDAQAB</realm-public-key> <auth-server-url>http://localhost:8180/auth</auth-server-url> <ssl-required>external</ssl-required> <resource>kie-execution-server</resource> <enable-basic-auth>true</enable-basic-auth> <credential name="secret">03c2b267-7f64-4647-8566-572be673f5fa</credential> <principal-attribute>preferred_username</principal-attribute> </secure-deployment> </subsystem> <system-properties> <property name="org.kie.server.sync.deploy" value="false"/> </system-properties>
この例で、
-
secure-deployment name
は、アプリケーションの WAR ファイルの名前です。 -
realm
は、使用するアプリケーション用に作成したレルムの名前です。 -
realm-public-key
は、作成したレルムの公開鍵です。この鍵は、RH-SSO 管理コンソールで作成したレルムの Realm settings ページの Keys タブで確認できます。この公開鍵の値を指定しない場合は、サーバーが自動的に取得します。 -
auth-server-url
は、RH-SSO 認証サーバーの URL です。 -
resource
は、作成したサーバークライアントの名前です。 -
enable-basic-auth
は、クライアントがトークンベースと Basic 認証アプローチの両方を使用して要求を実行できるように、Basic 認証メカニズムを有効にする設定です。 -
credential name
は、作成したサーバークライアントの秘密鍵です。この鍵は、RH-SSO 管理コンソールの Clients ページの Credentials タブで確認できます。 -
principal-attribute
は、ユーザーのログイン名です。この値を指定しないと、ユーザー名ではなくユーザー ID がアプリケーションに表示されます。
-
- 設定変更を保存します。
以下のコマンドを使用して Red Hat JBoss EAP サーバーを再起動し、Process Server を実行します。
EXEC_SERVER_HOME/bin/standalone.sh -c standalone-full.xml -Dorg.kie.server.id=<ID> -Dorg.kie.server.user=<USER> -Dorg.kie.server.pwd=<PWD> -Dorg.kie.server.location=<LOCATION_URL> -Dorg.kie.server.controller=<CONTROLLER_URL> -Dorg.kie.server.controller.user=<CONTROLLER_USER> -Dorg.kie.server.controller.pwd=<CONTOLLER_PASSWORD>
以下は例になります。
EXEC_SERVER_HOME/bin/standalone.sh -c standalone-full.xml -Dorg.kie.server.id=kieserver1 -Dorg.kie.server.user=kieserver -Dorg.kie.server.pwd=password -Dorg.kie.server.location=http://localhost:8080/kie-execution-server/services/rest/server -Dorg.kie.server.controller=http://localhost:8080/business-central/rest/controller -Dorg.kie.server.controller.user=kiecontroller -Dorg.kie.server.controller.pwd=password
Process Server の実行中に、以下のコマンドを実行してサーバーの状態を確認します。
<KIE_SERVER_USER>
はkie-server
ロールが割り当てられているユーザー名で、そのパスワードは<PASSWORD>
です。curl http://<KIE_SERVER_USER>:<PASSWORD>@localhost:8080/kie-execution-server/services/rest/server/
5.3. Process Server のトークンベースの認証
Red Hat Process Automation Manager と Process Server 間の通信に、トークンベースの認証を使用することもできます。アプリケーションにおいて、ユーザー名とパスワードの代わりに、完全なトークンをアプリケーションサーバーのシステムプロパティーとして使用できます。ただし、トークンは自動的に更新されないため、アプリケーションの通信が行われている間にトークンが失効しないようにする必要があります。トークンを取得する方法は「トークンベースの認証」を参照してください。
手順
トークンを使用して Process Server を管理するように Business Central を設定するには、以下を実行します。
-
org.kie.server.token
プロパティーを設定します。 org.kie.server.user
プロパティーとorg.kie.server.pwd
プロパティーは設定しないでください。これで、Red Hat Process Automation Manager は
Authorization: Bearer $TOKEN
認証メソッドを使用します。
-
トークンベースの認証を使用して REST API を使用する場合は、以下を行います。
-
org.kie.server.controller.token
プロパティーを設定します。 -
org.kie.server.controller.user
プロパティーおよびorg.kie.server.controller.pwd
プロパティーは設定しないでください。
-
Process Server はトークンを更新できないため、有効期限が長いトークンを使用してください。トークンの有効期限は、2038 年 1 月 19 日以降にならないようにしてください。セキュリティーのベストプラクティスで、お使いの環境に適したソリューションかどうかを確認してください。
第6章 RH-SSO を使用したサードパーティークライアントの認証
Business Central または Process Server が提供するさまざまなリモートサービスを使用するには、curl、wget、Web ブラウザー、カスタムの REST クライアントなどのクライアントが、RH-SSO サーバー経由で認証を受け、要求を実行するために有効なトークンを取得する必要があります。リモートのサービスを使用するには、認証済みのユーザーに以下のロールを割り当てる必要があります。
-
rest-all
Business Central リモートサービスを使用する場合 -
kie-server
Process Server リモートサービスを使用する場合
RH-SSO 管理コンソールを使用してこれらのロールを作成し、リモートサービスを使用するユーザーに割り当てます。
クライアントは、以下のオプションのいずれかを使用して RH-SSO 経由で認証できます。
- クライアントでサポートされている場合は Basic 認証
- トークンベースの認証
6.1. Basic 認証
Business Central および Process Server の両方に対して RH-SSO クライアントアダプターの設定で Basic 認証を有効にした場合には、以下の例のようにトークンの付与/更新の呼び出しをせずにサービスを呼び出すことができます。
Web ベースのリモートリポジトリーエンドポイントの場合:
curl http://admin:password@localhost:8080/business-central/rest/repositories
Process Server の場合:
curl http://admin:password@localhost:8080/kie-execution-server/services/rest/server/
6.2. トークンベースの認証
よりセキュアな認証オプションを希望される場合には、RH-SSO から付与されたトークンを使用することで Business Central および Process Server の両方からリモートサービスを使用できます。
手順
RH-SSO 管理コンソールで Clients メニューアイテムをクリックし、Create をクリックして新規クライアントを作成します。
Add Client ページが表示されます。
Add Client ページで、以下のようにレルムにクライアントを新規作成するのに必要な情報を指定します。
- Client ID: kie-remote
- Client protocol: openid-connect
- Save をクリックして変更を保存します。
Realm Settings でトークンの設定を変更します。
- RH-SSO 管理コンソールで、Realm Settings メニューアイテムをクリックします。
- Tokens タブをクリックします。
Access Token Lifespan の値を
15
分に変更します。このように設定すると、トークンを取得してから失効するまでに余裕をもってサービスを呼び出すことができます。
- Save をクリックして変更を保存します。
リモートクライアントの公開クライアントを作成したら、以下のコマンドを使用して、RH-SSO サーバーのトークンエンドポイントに対して HTTP 要求を行ってトークンを取得できます。
RESULT=`curl --data "grant_type=password&client_id=kie-remote&username=admin&password=password" http://localhost:8180/auth/realms/demo/protocol/openid-connect/token`
このコマンドのユーザーは Business Central RH-SSO ユーザーです。詳細は「Red Hat Process Automation Manager ユーザーの追加」を参照してください。
RH-SSO サーバーから取得したトークンを表示するには、以下のコマンドを使用します。
TOKEN=`echo $RESULT | sed 's/.*access_token":"//g' | sed 's/".*//g'`
このトークンを使用してリモートの呼び出しを認証できるようになります。たとえば、Red Hat Process Automation Manager の内部リポジトリーを確認するには、以下のようにトークンを使用します。
curl -H "Authorization: bearer $TOKEN" http://localhost:8080/business-central/rest/repositories
付録A バージョン情報
本書の最終更新日: 2019 年 10 月 31 日 (木)