Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat Process Automation Manager
Red Hat Process Automation Manager プロジェクトのパッケージ化およびデプロイ
Red Hat Customer Content Services
brms-docs@redhat.com
概要
前書き
ビジネスルール開発者は、Red Hat Process Automation Manager に作成したサービスの使用を開始するために、開発した Red Hat Process Automation Manager プロジェクトを Process Server にビルドしてデプロイする必要があります。プロジェクトの開発およびデプロイメントには、Business Central、独立した Maven プロジェクト、Java アプリケーション、もしくは複数のプラットフォームを組み合わせて使用できます。たとえば、Business Central のプロジェクトを開発して、Process Server REST API を使用してデプロイしたり、Business Central で設定した Maven にプロジェクトを開発して、Business Central を使用してデプロイしたりできます。
前提条件/事前作業
デプロイするプロジェクトを開発してテストしている。Business Central プロジェクトの場合は、テストシナリオを使用してプロジェクトのアセットをテストすることを検討してください。『テストシナリオを使用したデシジョンサービスのテスト』などを参照してください。
第1章 Red Hat Process Automation Manager プロジェクトパッケージ
Red Hat Process Automation Manager プロジェクトには、Red Hat Process Automation Manager で開発するビジネスアセットが含まれます。Red Hat Process Automation Manager の各プロジェクトは、ナレッジ JAR (KJAR) ファイルとしてパッケージングされますが、その際には プロジェクトのビルド、環境などの情報が含まれる Maven プロジェクトオブジェクトモデルファイル (pom.xml
)、プロジェクトのアセットに対する KIE ベースおよび KIE セッションの設定が含まれる KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) などの設定ファイルが使用されます。KJAR ファイルから、パッケージ化した KJAR ファイルを、デシジョンサービス、プロセスアプリケーション、その他のデプロイ可能なアセット (総称して サービス) を実行する Process Server にデプロイします。このようなサービスは、ランタイム時に、インスタンス化した KIE コンテナー、または デプロイメントユニット を介して使用されます。プロジェクトの KJAR ファイルは Maven リポジトリーに保存され、GroupId
、ArtifactId
、および Version
(GAV) の 3 つの値で識別されます。この Version
値は、デプロイする可能性がある新しい全バージョンに対して一意である必要があります。(KJAR ファイルを含む) アーティファクトを識別するには、3 つの GAV 値がすべて必要になります。
Business Central のプロジェクトは、プロジェクトをビルドしてデプロイする際に自動的にパッケージ化されます。Business Central 以外のプロジェクト (独立した Maven プロジェクト、Java アプリケーションのプロジェクトなど) をビルドしてデプロイする場合は、追加した kmodule.xml
ファイルに KIE モジュール記述子設定を追加するか、Java アプリケーションに直接指定する必要があります。
第2章 Business Central でのプロジェクトデプロイメント
Business Central を使用してビジネスアセットおよびサービスを開発し、プロジェクトデプロイメントに設定した Process Server を管理できます。プロジェクトを開発する際に、Business Central にプロジェクトをビルドして、Process Server に自動的にデプロイできます。自動デプロイメントを有効にするために、Business Central には Maven リポジトリーが組み込まれています。Business Central から、ビルドしてデプロイしておいたサービスおよびプロジェクトバージョンを含むデプロイメントユニット (KIE コンテナー) を起動、停止、または削除できます。
(Menu → Deploy → Execution Servers で) 複数の Process Server を同じ Business Central インスタンスに接続して、複数のサーバー設定にグループ分けすることもできます。同じサーバー設定に属するサーバーは同じサービスを実行しますが、別のサーバー設定の別のプロジェクト、または別のバージョンのプロジェクトをデプロイすることもできます。
たとえば、Test
設定のテストサーバーと、Production
設定の実稼働サーバーを使用できます。ビジネスアセットとサービスをプロジェクトに開発し、Test
サーバー設定にプロジェクトをデプロイしてから、十分にテストしたプロジェクトのバージョンを Production
サーバー設定にデプロイできます。このとき、プロジェクトの開発を継続するには、プロジェクト設定でバージョンを変更します。これにより、組み込み Maven リポジトリーで、新しいバージョンと古いバージョンが別のアーティファクトと見なされるため、Test
サーバー設定に新しいバージョンをデプロイし、Production
サーバー設定で古いバージョンを実行し続けることができます。このデプロイメントプロセスは単純ですが、重要な制約があります。とりわけ、アクセス制御は十分ではなく、プロジェクトを実稼働環境に直接デプロイできてしまいます。
Business Central を使用して、Process Server を別のサーバー設定に移動することはできません。サーバーの設定名を変更するには、サーバーの設定ファイルを変更する必要があります。
2.1. Business Central に接続するように Process Server の設定
Process Server を Red Hat Process Automation Manager 環境に設定していない場合、または Red Hat Process Automation Manager 環境に Process Server を追加する必要がある場合は、Process Server を設定して Business Central に接続する必要があります。
Red Hat OpenShift Container Platform に Process Server をデプロイする場合は、『Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager 管理サーバー環境のデプロイメント』で、Business Central に接続する設定手順を参照してください。
前提条件/事前作業
Process Server がインストールされている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
-
Red Hat Process Automation Manager インストールディレクトリーで、
standalone-full.xml
ファイルに移動します。たとえば、Red Hat Process Automation Manager に Red Hat JBoss EAP インストールを使用する場合は$EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml
に移動します。 standalone-full.xml
を開き、<system-properties>
タグの下に、以下のプロパティーを設定します。- org.kie.server.controller.user: Business Central にログインするユーザーのユーザー名。
- org.kie.server.controller.pwd: Business Central にログインするユーザーのパスワード。
-
org.kie.server.controller: Business Central の API に接続する URL。通常、URL は
http://<centralhost>:<centralport>/business-central/rest/controller
です。<centralhost>
と<centralport>
はそれぞれ Business Central のホスト名とポートになります。Business Central を OpenShift にデプロイしている場合は、URL からbusiness-central/
を削除します。 -
org.kie.server.location: Process Server の API に接続する URL。通常、URL は
http://<serverhost>:<serverport>/kie-server/services/rest/server
(<serverhost>
および<serverport>
はそれぞれ Process Server のホスト名およびポート) になります。 - org.kie.server.id: サーバー設定の名前。このサーバー設定が Business Central に存在しない場合は、Process Server が Business Central に接続する時に自動的に作成されます。
例:
<property name="org.kie.server.controller.user" value="central_user"/> <property name="org.kie.server.controller.password" value="central_password"/> <property name="org.kie.server.controller" value="http://central.example.com:8080/business-central/rest/controller"/> <property name="org.kie.server.location" value="http://kieserver.example.com:8080/kie-server/services/rest/server"/> <property name="org.kie.server.id" value="production-servers"/>
- Process Server を起動または再起動します。
2.2. Business Central および Process Server への外部 Maven リポジトリーの設定
組み込みリポジトリーの代わりに、Nexus などの外部 Maven リポジトリーを使用するように Business Central および Process Server を設定できます。この場合、Business Central でプロジェクトをビルドする際に、ビルドしたプロジェクトの全 KJAR ファイルがこの外部リポジトリーにプッシュされます。統合プロセスを実装する場合に、必要に応じてリポジトリーからこのファイルを処理し、Business Central または Process Server REST API を使用して KJAR ファイルをデプロイできます。
前提条件/事前作業
Business Central および Process Server がインストールされている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
-
外部リポジトリーの接続およびアクセスの詳細が含まれる Maven
settings.xml
ファイルを作成します。settings.xml
ファイルの詳細は Maven の 「Settings Reference」を参照してください。 -
既知の場所 (例:
/opt/custom-config/settings.xml
) にファイルを保存します。 -
Red Hat Process Automation Manager インストールディレクトリーで、
standalone-full.xml
ファイルに移動します。たとえば、Red Hat Process Automation Manager に Red Hat JBoss EAP インストールを使用する場合は$EAP_HOME/standalone/configuration/standalone-full.xml
に移動します。 standalone-full.xml
の<system-properties>
タグで、kie.maven.settings.custom
プロパティーにsettings.xml
ファイルのフルパス名を設定します。以下に例を示します。
<property name="kie.maven.settings.custom" value="/opt/custom-config/settings.xml"/>
- Business Central および Process Server を起動または再起動します。
2.3. Business Central へのプロジェクトのビルドおよびデプロイメント
プロジェクトを作成したら、Business Central でプロジェクトをビルドして、設定した Process Server にデプロイできます。プロジェクトをビルドしてデプロイする際に、Business Central のプロジェクトは、必要なすべてのコンポーネントとともに KJAR として自動的にパッケージ化されます。
手順
- Business Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
右上にある Deploy をクリックして、プロジェクトをビルドしてデプロイします。
注記Process Server にプロジェクトをデプロイせずにコンパイルするには、Build をクリックします。
Business Central に Process Server を 1 つだけ接続する場合、または接続したすべての Process Server が同じサーバー設定にある場合は、デプロイメントユニット (KIE コンテナー) にあるプロジェクトのサービスが自動的に起動します。
複数のサーバー設定が利用できる場合は、サーバーとデプロイメントの詳細の入力を求めるデプロイメントダイアログが Business Central に表示されます。
デプロイメントダイアログが表示されたら、以下の値を確認または設定します。
- Deployment Unit Id / Deployment Unit Alias: Process Server でサービスを実行しているデプロイメントユニット (KIE コンテナー) の名前およびエイリアスを確認します。通常は、この設定を変更する必要はありません。
- Server Configuration: このプロジェクトをデプロイするサーバー設定を選択します。後で、プロジェクトを再ビルドしなくても、設定したその他のサーバーにデプロイできます。
- Start Deployment Unit?: このボックスを選択してデプロイメントユニット (KIE コンテナー) を起動するか、選択を解除して、サービスがサーバーにデプロイしても起動しないようにします。
2.4. Business Central のデプロイメントユニット
プロジェクトのサービスが、設定した Process Server のインスタンス化された KIE コンテナー、または デプロイメントユニット を介してランタイム時に使用されます。Business Central にプロジェクトをビルドおよびデプロイすると、設定されたサーバーにデプロイメントユニットが自動的に作成されます。必要に応じて、Business Central にデプロイメントユニットを起動、停止、または削除できます。ビルドされているプロジェクトから追加デプロイメントユニットを作成したり、Business Central に設定した既存または新しい Process Server のデプロイメントユニットを起動したりすることもできます。
2.4.1. Business Central でのデプロイメントユニットの作成
お使いの Red Hat Process Automation Manager にはすでにデプロイメントユニットが 1 つ以上あるはずですが、ない場合は、Business Central にビルドされているプロジェクトからデプロイメントユニットを作成できます。
前提条件/事前作業
新しいデプロイメントユニットを作成するプロジェクトが Business Central にビルドされている。
手順
- Business Central で Menu → Deploy → Execution servers に移動します。
- Server Configurations の下で既存の設定を選択するか、New Server Configuration をクリックして新しい設定を作成します。
- Deployment Units の下で Add Deployment Unit をクリックします。
- ウィンドウのテーブルで GAV を選択し、GAV の横にある Select を選択して、デプロイメントユニットのデータフィールドを追加します。
- Start Deployment Unit? ボックスを選択してサービスを直ちに起動するか、選択を解除して後で起動します。
Finish をクリックします。
サービスに新しいデプロイメントユニットが作成され、このサーバー設定で指定した Process Server に置かれました。Start Deployment Unit? を選択した場合は、サービスが起動します。
2.4.2. Business Central のデプロイメントユニットの起動、停止、および削除
デプロイメントユニットを起動したら、デプロイメントユニットのサービスが利用できるようになります。Business Central に Process Server を 1 つだけ接続する場合、または接続したすべての Process Server が同じサーバー設定にある場合は、デプロイメントユニットでサービスが自動的に起動します。複数のサーバー設定が利用可能な場合は、デプロイメント時に、サーバーとデプロイメントの詳細を指定して、デプロイメントユニットを起動するように求められます。ただし、必要に応じていつでも手動で Business Central でデプロイメントユニットを起動、停止、または削除して、デプロイしたサービスを管理できます。
手順
- Business Central で Menu → Deploy → Execution servers に移動します。
- Server Configurations の下で、設定を選択します。
- Deployment Units の下で、デプロイメントユニットを選択します。
- 右上の Start、Stop、または Remove をクリックします。実行中のデプロイメントユニットを削除する場合は、停止してから削除します。
2.5. Business Central プロジェクトの GAV 値の編集
GroupId
、ArtifactId
、および Version
(GAV) 値は、Maven リポジトリーのプロジェクトを識別します。Business Central と Process Server が同じファイルシステムにあり、同じ Maven リポジトリーを使用する場合は、新しいバージョンのプロジェクトをビルドするたびに、リポジトリーでプロジェクトが自動的に更新されます。ただし、Business Central と Process Server が別のファイルシステムにあり、ローカルの Maven リポジトリーをそれぞれ使用している場合は、新しいバージョンのプロジェクトでプロジェクトの GAV 値 (通常はバージョン) を更新し、古いバージョンと新しいバージョンのプロジェクトが別のアーティファクトとして表示されるようにします。
開発目的の場合に限り、プロジェクトバージョンに SNAPSHOT
接尾辞を追加して、Maven ポリシーに従って新しいスナップショットの更新を取得できるようにすることもできます。実稼働環境に SNAPSHOT
接尾辞を使用しないでください。
プロジェクトの Settings 画面に GAV 値を設定できます。
手順
- Business Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- プロジェクトの Settings タブをクリックします。
必要に応じて、General Settings の Group ID フィールド、 Artifact IDフィールド、Version フィールドを修正します。プロジェクトをデプロイし、新しいバージョンを開発中の場合は、通常はバージョン番号を変更する必要があります。
注記開発目的の場合に限り、プロジェクトバージョンに
SNAPSHOT
接尾辞を追加して、Maven ポリシーに従って新しいスナップショットの更新を取得できるようにすることもできます。実稼働環境にSNAPSHOT
接尾辞を使用しないでください。- Save をクリックして終了します。
2.6. Business Central における重複した GAV の検出
Business Central のすべての Maven リポジトリーで、GroupId
、ArtifactId
、Version
(GAV) の各値が重複しているかどうかが確認されます。GAV が重複していると、実行された操作が取り消されます。
重複した GAV の検出は、以下の操作を実行するたびに実行されます。
- プロジェクトのプロジェクト定義の保存。
-
pom.xml
ファイルの保存。 - プロジェクトのインストール、ビルド、またはデプロイメント。
以下の Maven リポジトリーで重複の GAV が確認されます。
-
pom.xml
ファイルの<repositories>
要素および<distributionManagement>
要素で指定されたリポジトリー。 -
Maven の
settings.xml
設定ファイルに指定されたリポジトリー。
2.6.1. Business Central における重複した GAV 検出設定の管理
admin
ロールを持つ Business Central ユーザーは、プロジェクトで GroupId
値、ArtifactId
値、Version
値 (GAV) が重複しているかどうかを確認するリポジトリーの一覧を修正できます。
手順
- Business Central で、Menu → Design → Projects に移動して、プロジェクト名をクリックします。
- プロジェクトの Settings タブをクリックし、Validation をクリックしてリポジトリーの一覧を開きます。
一覧表示したリポジトリーオプションの中から選択するか選択を解除して、重複した GAV の検出を有効または無効にします。
今後、重複した GAV の報告は、検証を有効にしたリポジトリーに対してのみ行われます。
注記この機能を無効にするには、システムの起動時に Business Central の
org.guvnor.project.gav.check.disabled
システムプロパティーをtrue
に設定します。$ ~/EAP_HOME/bin/standalone.sh -c standalone-full.xml -Dorg.guvnor.project.gav.check.disabled=true
第3章 Business Central を使用しないプロジェクトデプロイメント
Business Central インターフェースにプロジェクトを開発およびデプロイする代わりに、独立した Maven プロジェクトまたは独自の Java アプリケーションを使用して、Red Hat Process Automation Manager プロジェクトを開発し、KIE コンテナー (デプロイメントユニット) のプロジェクトを、設定した Process Server にデプロイします。Process Server REST API を使用して、ビルドおよびデプロイしたサービスおよびプロジェクトバージョンを含む KIE コンテナーを起動、停止、または削除できます。このような柔軟性により、引き続き既存のアプリケーションのワークフローを使用して、Red Hat Process Automation Manager 機能を使用するビジネスアセットを開発できます。
Business Central のプロジェクトは、プロジェクトをビルドしてデプロイする際に自動的にパッケージ化されます。Business Central 以外のプロジェクト (独立した Maven プロジェクト、Java アプリケーションのプロジェクトなど) をビルドしてデプロイする場合は、追加した kmodule.xml
ファイルに KIE モジュール記述子設定を追加するか、Java アプリケーションに直接指定する必要があります。
3.1. KIE モジュール記述子ファイルの設定
KIE モジュールは、追加メタデータファイル META-INF/kmodule.xml
を持つ Maven プロジェクトまたはモジュールです。Red Hat Process Automation Manager プロジェクトを適切にパッケージングしてデプロイするには kmodule.xml
ファイルが必要になります。この kmodule.xml
ファイルは、プロジェクトのアセットの KIE ベースおよび KIE セッション設定を定義する KIE モジュール記述子ファイルです。KIE ベースには、Red Hat Process Automation Manager のルール、プロセス、その他のビジネスアセットのすべてが含まれるリポジトリーですが、ランタイムデータは含まれません。KIE セッションは、ランタイムデータを保存および実行し、 kmodule.xml
ファイルに KIE セッションを定義した場合は KIE ベース、または KIE コンテナーから直接作成されます。
Business Central 以外のプロジェクト (独立した Maven プロジェクト、Java アプリケーションのプロジェクトなど) を作成する場合は、追加した kmodule.xml
ファイルに KIE モジュール記述子設定を指定するか、Java アプリケーションに直接指定することでプロジェクトをビルドしてデプロイします。
手順
プロジェクトの
~/resources/META-INF
ディレクトリーに、最低でも以下の内容を含むkmodule.xml
メタデータを作成します。<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <kmodule xmlns="http://www.drools.org/xsd/kmodule"> </kmodule>
プロジェクトの
resources
パスで見つかったすべてのファイルを含むデフォルトの KIE ベースを 1 つ作成するには、この空のkmodule.xml
ファイルで十分です。デフォルトの KIE ベースには、ビルド時にアプリケーションに KIE コンテナーを作成する際に発生するデフォルト KIE セッションも 1 つ含まれます。以下は、より高度な
kmodule.xml
ファイルの例です。<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <kmodule xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance" xmlns="http://www.drools.org/xsd/kmodule"> <configuration> <property key="drools.evaluator.supersetOf" value="org.mycompany.SupersetOfEvaluatorDefinition"/> </configuration> <kbase name="KBase1" default="true" eventProcessingMode="cloud" equalsBehavior="equality" declarativeAgenda="enabled" packages="org.domain.pkg1"> <ksession name="KSession1_1" type="stateful" default="true" /> <ksession name="KSession1_2" type="stateful" default="true" beliefSystem="jtms" /> </kbase> <kbase name="KBase2" default="false" eventProcessingMode="stream" equalsBehavior="equality" declarativeAgenda="enabled" packages="org.domain.pkg2, org.domain.pkg3" includes="KBase1"> <ksession name="KSession2_1" type="stateless" default="true" clockType="realtime"> <fileLogger file="debugInfo" threaded="true" interval="10" /> <workItemHandlers> <workItemHandler name="name" type="new org.domain.WorkItemHandler()" /> </workItemHandlers> <listeners> <ruleRuntimeEventListener type="org.domain.RuleRuntimeListener" /> <agendaEventListener type="org.domain.FirstAgendaListener" /> <agendaEventListener type="org.domain.SecondAgendaListener" /> <processEventListener type="org.domain.ProcessListener" /> </listeners> </ksession> </kbase> </kmodule>
この例は、KIE ベースを 2 つ定義します。ルールアセットの特定の
パッケージ
は両方 KIE ベースに含まれます。このようにパッケージを指定した場合は、指定したパッケージを反映するディレクトリー構造にルールファイルを整理する必要があります。KIE ベースKBase1
から 2 つの KIE セッションをインスタンス化し、KBase2
から KIE セッションを 1 つインスタンス化します。KBase2
の KIE セッションはステートレス
な KIE セッションですが、これは 1 つ前の KIE セッションで呼び出されたデータ (1 つ前のセッションの状態) が、セッションの呼び出しと呼び出しの間で破棄されることを示しています。また、その KIE セッションには、ファイル (またはコンソール) ロガー、WorkItemHandler
、サポートされる 3 種類のリスナー (ruleRuntimeEventListener
、agendaEventListener
、およびprocessEventListener
) も指定されます。<configuration>
要素は、kmodule.xml
ファイルをさらにカスタマイズするのに使用できる任意のプロパティーを定義します。プロジェクトに
kmodule.xml
ファイルを手動で追加する代わりに、Java アプリケーションのKieModuleModel
インスタンスを使用するか、プログラムでkmodule.xml
ファイルを作成し、KIE ベースおよび KIE セッションを定義し、KIE 仮想ファイルシステムKieFileSystem
に、プロジェクトのリソースをすべて追加します。プログラムを使用して
kmodule.xml
を作成し、KieFileSystem
に追加import org.kie.api.KieServices; import org.kie.api.builder.model.KieModuleModel; import org.kie.api.builder.model.KieBaseModel; import org.kie.api.builder.model.KieSessionModel; import org.kie.api.builder.KieFileSystem; KieServices kieServices = KieServices.Factory.get(); KieModuleModel kieModuleModel = kieServices.newKieModuleModel(); KieBaseModel kieBaseModel1 = kieModuleModel.newKieBaseModel("KBase1") .setDefault(true) .setEqualsBehavior(EqualityBehaviorOption.EQUALITY) .setEventProcessingMode(EventProcessingOption.STREAM); KieSessionModel ksessionModel1 = kieBaseModel1.newKieSessionModel("KSession1_1") .setDefault(true) .setType(KieSessionModel.KieSessionType.STATEFUL) .setClockType(ClockTypeOption.get("realtime")); KieFileSystem kfs = kieServices.newKieFileSystem(); kfs.writeKModuleXML(kieModuleModel.toXML());
手動またはプログラムで
kmodule.xml
ファイルをプロジェクトに設定したら、設定を検証する KIE コンテナーから KIE ベースおよび KIE セッションを取得します。KieServices kieServices = KieServices.Factory.get(); KieContainer kContainer = kieServices.getKieClasspathContainer(); KieBase kBase1 = kContainer.getKieBase("KBase1"); KieSession kieSession1 = kContainer.newKieSession("KSession1_1"), kieSession2 = kContainer.newKieSession("KSession1_2"); KieBase kBase2 = kContainer.getKieBase("KBase2"); StatelessKieSession kieSession3 = kContainer.newStatelessKieSession("KSession2_1");
kmodule.xml
ファイルに、KieBase
またはKieSession
をdefault="true"
と設定している場合は、先ほどのkmodule.xml
例のように、名前を渡さずに KIE コンテナーから取得できます。KieContainer kContainer = ... KieBase kBase1 = kContainer.getKieBase(); KieSession kieSession1 = kContainer.newKieSession(), kieSession2 = kContainer.newKieSession(); KieBase kBase2 = kContainer.getKieBase(); StatelessKieSession kieSession3 = kContainer.newStatelessKieSession();
kmodule.xml
ファイルの詳細は、Red Hat Process Automation Manager [VERSION] Source Distribution ZIP ファイルを Red Hat カスタマーポータル から取得し、$FILE_HOME/rhpam-$VERSION-sources/kie-api-parent-$VERSION/kie-api/src/main/resources/org/kie/api/
に保存してある XML スキーマ kmodule.xsd
を参照してください。
3.1.1. KIE モジュール設定のプロパティー
プロジェクトにおいて、KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) の任意の <configuration>
要素は、プロパティーの キー
および 値
ペアを定義し、kmodule.xml
ファイルをさらにカスタマイズするのに使用できます。
kmodule.xml
ファイルの設定プロパティーの例
<kmodule> ... <configuration> <property key="drools.dialect.default" value="java"/> ... </configuration> ... </kmodule>
以下は、プロジェクトの KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) でサポートされる <configuration>
プロパティーのキーおよび値です。
- drools.dialect.default
デフォルトの Drools 方言を設定します。
サポートされる値:
java
、mvel
<property key="drools.dialect.default" value="java"/>
- drools.accumulate.function.$FUNCTION
指定した関数名に累積関数を実装するクラスのリンク。プロセスエンジンにカスタムの累積関数を追加できます。
<property key="drools.accumulate.function.hyperMax" value="org.drools.custom.HyperMaxAccumulate"/>
- drools.evaluator.$EVALUATION
プロセスエンジンにカスタムのエバリュエーターを追加できるように、指定したエバリュエーター名にエバリュエーター定義を実装するクラスをリンクします。エバリュエーターは、カスタムオペレーターと類似しています。
<property key="drools.evaluator.soundslike" value="org.drools.core.base.evaluators.SoundslikeEvaluatorsDefinition"/>
- drools.dump.dir
Red Hat Process Automation Manager の
dump/log
ディレクトリーにパスを設定します。<property key="drools.dump.dir" value="$DIR_PATH/dump/log"/>
- drools.defaultPackageName
プロジェクトのビジネスアセットにデフォルトパッケージを設定します。
<property key="drools.defaultPackageName" value="org.domain.pkg1"/>
- drools.parser.processStringEscapes
文字列のエスケープ機能を設定します。このプロパティーを
false
に設定すると、\n
文字が改行文字として解釈されません。サポートされる値:
true
(デフォルト)、false
<property key="drools.parser.processStringEscapes" value="true"/>
- drools.kbuilder.severity.$DUPLICATE
KIE ベースがビルドされたときに報告される重複したルール、プロセス、または関数のインスタンスの重大度を設定します。たとえば、
duplicateRule
をERROR
に設定すると、KIE ベースのビルド時に検出された重複ルールに対してエラーが生成されます。サポートされるキー接尾辞:
duplicateRule
、duplicateProcess
、duplicateFunction
サポートされる値:
INFO
、WARNING
、ERROR
<property key="drools.kbuilder.severity.duplicateRule" value="ERROR"/>
- drools.propertySpecific
プロセスエンジンのプロパティー反応を設定します。
サポートされる値:
DISABLED
、ALLOWED
、ALWAYS
<property key="drools.propertySpecific" value="ALLOWED"/>
- drools.lang.level
DRL 言語レベルを設定します。
サポートされる値:
DRL5
、DRL6
、DRL6_STRICT
(デフォルト)<property key="drools.lang.level" value="DRL_STRICT"/>
3.1.2. KIE モジュールでサポートされる KIE ベース属性
KIE ベースは、プロジェクトの KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) を定義するリポジトリーで、Red Hat Process Automation Manager のルール、プロセス、その他のビジネスアセットが含まれます。kmodule.xml
ファイルで KIE ベースを定義した場合は、特定の属性および値を指定して、KIE ベース設定をさらにカスタマイズできます。
kmodule.xml
ファイルの KIE ベース設定例
<kmodule> ... <kbase name="KBase2" default="false" eventProcessingMode="stream" equalsBehavior="equality" declarativeAgenda="enabled" packages="org.domain.pkg2, org.domain.pkg3" includes="KBase1"> ... </kbase> ... </kmodule>
以下は、プロジェクトの KIE モジュール記述ファイル (kmodule.xml
) でサポートされる kbase
属性および値です。
表3.1 KIE モジュールでサポートされる KIE ベース属性
属性 | サポートされている値 | 説明 |
---|---|---|
|
すべての名前 |
|
|
KIE モジュールのその他の KIE ベースオブジェクトのコンマ区切り一覧 |
この KIE ベースに追加するその他の KIE ベースオブジェクトとアーティファクトを定義します。モジュールの |
|
KIE ベースに追加するパッケージのコンマ区切りの一覧
デフォルト値: |
(ルールやプロセスなど) この KIE ベースに追加するアーティファクトのパッケージを定義します。デフォルトでは、 |
|
デフォルト値: |
KIE ベースは、モジュールのデフォルトの KIE ベースで、名前を渡さずに KIE コンテナーから作成できます。各モジュールにはデフォルトの KIE ベースを 1 つだけ指定できます。 |
|
デフォルト値: |
新しいファクトが作業メモリーに挿入された場合の Red Hat Process Automation Manager の動作を定義します。 |
|
デフォルト値: |
イベントが KIE ベースで処理される方法を指定します。このプロパティーを |
|
デフォルト値: |
宣言型アジェンダが有効かどうかを指定します。 |
3.1.3. KIE モジュールでサポートされる KIE セッション属性
KIE セッションがランタイムデータを保存および実行し、プロジェクトの KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) で KIE セッションを定義した場合は KIE ベース、または KIE コンテナーから直接作成されます。KIE ベースおよび KIE セッションを kmodule.xml
ファイルに定義すると、特定の属性および値を指定して、KIE セッション設定をさらにカスタマイズできます。
kmodule.xml
ファイルの KIE セッション設定例
<kmodule> ... <kbase> ... <ksession name="KSession2_1" type="stateless" default="true" clockType="realtime"> ... </kbase> ... </kmodule>
以下は、プロジェクトの KIE モジュール記述子ファイル (kmodule.xml
) でサポートされている ksession
属性および値です。
表3.2 KIE モジュールでサポートされる KIE セッション属性
属性 | サポートされている値 | 説明 |
---|---|---|
|
すべての名前 |
|
|
デフォルト値: |
KIE セッションの呼び出しと呼び出しの間にデータを保持 ( |
|
デフォルト値: |
KIE セッションをモジュールのデフォルトセッションにし、名前を渡さずに KIE コンテナーから作成できるようにするかどうかを指定します。各モジュールにはデフォルトの KIE セッションを 1 つだけ指定できます。 |
|
デフォルト値: |
イベントのタイムスタンプをシステムクロック、または疑似クロックから割り当てられるかどうかを指定します。このクロックは、一時的なルールをテストするユニットで特に便利です。 |
|
デフォルト値: |
KIE セッションが使用する信念システムの種類を定義します。信念システムは、ナレッジ (ファクト) から事実を推測します。たとえば、後ほどプロセスエンジンから削除される別のファクトに基づいて新しいファクトが挿入されると、システムは、新たに挿入されたファクトも削除する必要があると判断します。 |
3.2. Red Hat Process Automation Manager プロジェクトの Maven でのパッケージ化およびデプロイ
Business Central 以外の Maven プロジェクトを、設定した Process Server にデプロイする場合は、プロジェクトの pom.xml
ファイルを編集して、プロジェクトを KJAR ファイルとしてパッケージ化し、プロジェクトのアセットに対する KIE ベースおよび KIE セッションの設定が含まれる kmodule.xml
ファイルを追加します。
前提条件/事前作業
- Red Hat Process Automation Manager ビジネスアセットを含む Maven 化したプロジェクトがある。
-
Process Server がインストールされており、
kie-server
ユーザーアクセスが設定されている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
Maven プロジェクトの
pom.xml
ファイルで、パッケージタイプをkjar
に設定し、kie-maven-plugin
ビルドコンポーネントを追加します。<packaging>kjar</packaging> ... <build> <plugins> <plugin> <groupId>org.kie</groupId> <artifactId>kie-maven-plugin</artifactId> <version>${rhpam.version}</version> <extensions>true</extensions> </plugin> </plugins> </build>
kjar
パッケージングタイプは、kie-maven-plugin
コンポーネントをアクティブにして、アーティファクトリソースを検証してプリコンパイルします。<version>
は、プロジェクトで現在使用される Red Hat Process Automation Manager の Maven アーティファクトのバージョン (例: 7.14.0.Final-redhat-00004) で、デプロイメントに Maven プロジェクトを適切にパッケージがするのに必要です。注記個別の依存関係に対して Red Hat Process Automation Manager
<version>
を指定するのではなく、Red Hat Business Automation 部品表 (BOM) の依存関係をプロジェクトのpom.xml
ファイルに追加することを検討してください。Red Hat Business Automation BOM は、Red Hat Decision Manager と Red Hat Process Automation Manager の両方に適用します。BOM ファイルを追加すると、指定の Maven リポジトリーからの一時的な依存関係の内、正しいバージョンが、このプロジェクトに追加されます。BOM 依存関係の例:
<dependency> <groupId>com.redhat.ba</groupId> <artifactId>ba-platform-bom</artifactId> <version>7.2.0.GA-redhat-00004</version> <scope>import</scope> <type>pom</type> </dependency>
Red Hat Business Automation BOM (Bill of Materials) についての詳細情報は、「What is the mapping between Red Hat Process Automation Manager and the Maven library version?」を参照してください。
以下の依存関係を
pom.xml
ファイルに追加して、ルールアセットから実行可能なルールモデルを生成します。-
drools-canonical-model
: Red Hat Process Automation Manager から独立するルールセットモデルの実行可能な正規表現を有効にします。 -
drools-model-compiler
: デシジョンエンジンで Red Hat Process Automation Manager の内部データ構造に実行可能なモデルをコンパイルします。
<dependency> <groupId>org.drools</groupId> <artifactId>drools-canonical-model</artifactId> <version>${rhpam.version}</version> </dependency> <dependency> <groupId>org.drools</groupId> <artifactId>drools-model-compiler</artifactId> <version>${rhpam.version}</version> </dependency>
実行可能ルールモデルは埋め込み可能なモデルで、ビルド時に実行するルールセットの Java ベース表記を提供します。実行可能モデルは Red Hat Process Automation Manager の標準アセットパッケージングの代わりとなるもので、より効率的です。KIE コンテナーと KIE ベースの作成がより迅速にでき、DRL (Drools Rule Language) ファイルリストや他の Red Hat Process Automation Manager アセットが多い場合は、特に有効です。
実行可能なルールモデルの詳細は、『DRL ルールを使用したデシジョンサービスの作成』を参照してください。
プロジェクト内にある DMN アセットの Decision Model and Notation (DMN) 実行可能モデルを有効にするには (該当する場合)、
pom.xml
ファイルにkie-dmn-core
の依存関係も追加します。<dependency> <groupId>org.kie</groupId> <artifactId>kie-dmn-core</artifactId> <scope>provided</scope> <version>${rhpam.version}</version> </dependency>
-
Maven プロジェクトの
~/resources
ディレクトリーに、最低でも以下の内容を含むMETA-INF/kmodule.xml
メタデータファイルを作成します。<?xml version="1.0" encoding="UTF-8"?> <kmodule xmlns="http://www.drools.org/xsd/kmodule"> </kmodule>
この
kmodule.xml
ファイルは、すべての Red Hat Process Automation Manager プロジェクトに必要な KIE モジュール記述子です。KIE モジュールを使用して、1 つ以上の KIE ベースを定義し、各 KIE ベースに 1 つ以上の KIE セッションを定義します。kmodule.xml
設定の詳細は「KIE モジュール記述子ファイルの設定」を参照してください。Maven プロジェクトの関連リソースで、
.java
クラスを設定して KIE コンテナーおよび KIE セッションを作成して、KIE ベースをロードします。import org.kie.api.KieServices; import org.kie.api.runtime.KieContainer; import org.kie.api.runtime.KieSession; public void testApp() { // Load the KIE base: KieServices ks = KieServices.Factory.get(); KieContainer kContainer = ks.getKieClasspathContainer(); KieSession kSession = kContainer.newKieSession(); }
この例では、KIE コンテナーは、
testApp
プロジェクトのクラスパスからビルドしたファイルを読み込みます。KieServices
API を使用すれば、KIE ビルド設定およびランタイム設定のすべてにアクセスできます。プロジェクトの
ReleaseId
をKieServices
API に渡して KIE コンテナーを作成することもできます。ReleaseId
は、プロジェクトのpom.xml
ファイルのGroupId
値、ArtifactId
値、Version
値 (GAV) から生成します。import org.kie.api.KieServices; import org.kie.api.runtime.KieContainer; import org.kie.api.runtime.KieSession; public void testApp() { // Identify the project in the local repository: ReleaseId rid = new ReleaseId(); rid.setGroupId("com.sample"); rid.setArtifactId("my-app"); rid.setVersion("1.0.0"); // Load the KIE base: KieServices ks = KieServices.Factory.get(); KieContainer kContainer = ks.newKieContainer(rid); KieSession kSession = kContainer.newKieSession(); }
コマンドターミナルで Maven プロジェクトディレクトリーに移動して、以下のコマンドを実行し、実行可能なモデルからプロジェクトをビルドします。
mvn clean install -DgenerateModel=<VALUE>
ルールアセットが実行可能なルールでビルドされるように、
-DgenerateModel=<VALUE>
プロパティーで、プロジェクトが DRL ベースの KJAR ではなく、モデルベースの KJAR としてビルドできるようにします。<VALUE>
は、3 つの値のいずれかに置き換えます。-
YES
: オリジナルプロジェクトの DRL ファイルに対応する実行可能なモデルを生成し、生成した KJAR から DRL ファイルを除外します。 -
WITHDRL
: オリジナルプロジェクトの DRL ファイルに対応する実行可能なモデルを生成し、文書化の目的で、生成した KJAR に DRL ファイルを追加します (KIE ベースはいずれの場合でも実行可能なモデルからビルドされます)。 -
NO
: 実行可能なモデルは生成されません。
ビルドコマンドの例:
mvn clean install -DgenerateModel=YES
DMN 実行可能なモデルの場合には、以下のコマンドを実行します。
mvn clean install -DgenerateDMNModel=YES
ビルドに失敗したら、コマンドラインのエラーメッセージに記載されている問題に対応し、ビルドに成功するまでファイルの妥当性確認を行います。
-
プロジェクトをローカルで正常にビルドしてテストした後に、プロジェクトをリモートの Maven リポジトリーにデプロイします。
mvn deploy
3.3. Red Hat Process Automation Manager プロジェクトの Java アプリケーションでのパッケージ化およびデプロイ
お使いの Java アプリケーションから、設定した Process Server にプロジェクトをデプロイする場合は、KieModuleModel
インスタンスを使用して kmodule.xml
ファイルをプログラムで作成して KIE ベースおよび KIE セッションを定義し、プロジェクトのすべてのリソースを、KIE 仮想ファイルシステム KieFileSystem
に追加します。
前提条件/事前作業
- Red Hat Process Automation Manager ビジネスアセットを含む Java アプリケーションがある。
-
Process Server がインストールされており、
kie-server
ユーザーアクセスが設定されている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
クライアントアプリケーションで、Java プロジェクトの関連のクラスパスに、以下の依存関係を追加して、ルールアセットから実行可能なルールモデルを生成します。
-
drools-canonical-model
: Red Hat Process Automation Manager から独立するルールセットモデルの実行可能な正規表現を有効にします。 -
drools-model-compiler
: デシジョンエンジンで Red Hat Process Automation Manager の内部データ構造に実行可能なモデルをコンパイルします。
<dependency> <groupId>org.drools</groupId> <artifactId>drools-canonical-model</artifactId> <version>${rhpam.version}</version> </dependency> <dependency> <groupId>org.drools</groupId> <artifactId>drools-model-compiler</artifactId> <version>${rhpam.version}</version> </dependency>
実行可能ルールモデルは埋め込み可能なモデルで、ビルド時に実行するルールセットの Java ベース表記を提供します。実行可能モデルは Red Hat Process Automation Manager の標準アセットパッケージングの代わりとなるもので、より効率的です。KIE コンテナーと KIE ベースの作成がより迅速にでき、DRL (Drools Rule Language) ファイルリストや他の Red Hat Process Automation Manager アセットが多い場合は、特に有効です。
実行可能なルールモデルの詳細は、『DRL ルールを使用したデシジョンサービスの作成』を参照してください。
プロジェクト内にある DMN アセットの Decision Model and Notation (DMN) 実行可能モデルを有効にするには (該当する場合)、
pom.xml
ファイルにkie-dmn-core
の依存関係も追加します。<dependency> <groupId>org.kie</groupId> <artifactId>kie-dmn-core</artifactId> <scope>provided</scope> <version>${rhpam.version}</version> </dependency>
<version>
は、プロジェクトで現在使用する Red Hat Process Automation Manager の Maven アーティファクトバージョンです (例: 7.14.0.Final-redhat-00004)。注記個別の依存関係に対して Red Hat Process Automation Manager
<version>
を指定するのではなく、Red Hat Business Automation 部品表 (BOM) の依存関係をプロジェクトのpom.xml
ファイルに追加することを検討してください。Red Hat Business Automation BOM は、Red Hat Decision Manager と Red Hat Process Automation Manager の両方に適用します。BOM ファイルを追加すると、指定の Maven リポジトリーからの一時的な依存関係の内、正しいバージョンが、このプロジェクトに追加されます。BOM 依存関係の例:
<dependency> <groupId>com.redhat.ba</groupId> <artifactId>ba-platform-bom</artifactId> <version>7.2.0.GA-redhat-00004</version> <scope>import</scope> <type>pom</type> </dependency>
Red Hat Business Automation BOM (Bill of Materials) についての詳細情報は、「What is the mapping between Red Hat Process Automation Manager and the Maven library version?」を参照してください。
-
KieServices
API を使用して、必要な KIE ベースおよび KIE セッションを持つKieModuleModel
インスタンスを作成します。KieServices
API を使用して、KIE ビルド設定およびランタイム設定にアクセスできます。KieModuleModel
インスタンスは、プロジェクトのkmodule.xml
ファイルを生成します。kmodule.xml
設定の詳細は「KIE モジュール記述子ファイルの設定」を参照してください。KieModuleModel
インスタンスを XML に変換し、XML をKieFileSystem
に追加します。プログラムを使用して
kmodule.xml
を作成し、KieFileSystem
に追加import org.kie.api.KieServices; import org.kie.api.builder.model.KieModuleModel; import org.kie.api.builder.model.KieBaseModel; import org.kie.api.builder.model.KieSessionModel; import org.kie.api.builder.KieFileSystem; KieServices kieServices = KieServices.Factory.get(); KieModuleModel kieModuleModel = kieServices.newKieModuleModel(); KieBaseModel kieBaseModel1 = kieModuleModel.newKieBaseModel("KBase1") .setDefault(true) .setEqualsBehavior(EqualityBehaviorOption.EQUALITY) .setEventProcessingMode(EventProcessingOption.STREAM); KieSessionModel ksessionModel1 = kieBaseModel1.newKieSessionModel("KSession1") .setDefault(true) .setType(KieSessionModel.KieSessionType.STATEFUL) .setClockType(ClockTypeOption.get("realtime")); KieFileSystem kfs = kieServices.newKieFileSystem(); kfs.writeKModuleXML(kieModuleModel.toXML());
プロジェクトで使用する残りの Red Hat Process Automation Manager アセットをすべて
KieFileSystem
インスタンスに追加します。アーティファクトは、Maven プロジェクトファイル構造に含まれる必要があります。import org.kie.api.builder.KieFileSystem; KieFileSystem kfs = ... kfs.write("src/main/resources/KBase1/ruleSet1.drl", stringContainingAValidDRL) .write("src/main/resources/dtable.xls", kieServices.getResources().newInputStreamResource(dtableFileStream));
この例では、プロジェクトアセットは、
String
変数およびResource
インスタンスの両方として追加されます。Resource
インスタンスはKieResources
ファクトリーを使用して作成され、KieServices
インスタンスにより提供されます。KieResources
クラスは、InputStream
オブジェクト、URL
オブジェクト、およびFile
オブジェクト、またはファイルシステムのパスを示すString
を、KieFileSystem
が管理するResource
インスタンスに変換する factory メソッドを提供します。プロジェクトのアーティファクトを
KieFileSystem
に追加する際に、ResourceType
プロパティーをResource
オブジェクトに明示的に割り当てることもできます。import org.kie.api.builder.KieFileSystem; KieFileSystem kfs = ... kfs.write("src/main/resources/myDrl.txt", kieServices.getResources().newInputStreamResource(drlStream) .setResourceType(ResourceType.DRL));
実行可能なモデルから
KieFileSystem
のコンテンツをビルドするように、buildAll( ExecutableModelProject.class )
を指定してKieBuilder
を使用し、KIE コンテナーを作成して、デプロイします。2import org.kie.api.KieServices; import org.kie.api.KieServices.Factory; import org.kie.api.builder.KieFileSystem; import org.kie.api.builder.KieBuilder; import org.kie.api.runtime.KieContainer; KieServices kieServices = KieServices.Factory.get(); KieFileSystem kfs = ... KieBuilder kieBuilder = ks.newKieBuilder( kfs ); // Build from an executable model kieBuilder.buildAll( ExecutableModelProject.class ) assertEquals(0, kieBuilder.getResults().getMessages(Message.Level.ERROR).size()); KieContainer kieContainer = kieServices .newKieContainer(kieServices.getRepository().getDefaultReleaseId());
実行可能なモデルから
KieFileSystem
をビルドした後に、作成されたKieSession
は効率のあまりよくないmvel
式ではなく、lambda 式をもとにした制約を使用します。実行可能なモデルなしに、標準の手法でプロジェクトをビルドするには、buildAll()
で引数を指定しないでください。ERROR
ビルドは、プロジェクトのコンパイルに失敗し、KieModule
が作成されず、KieRepository
シングルトンに何も追加されないことを示しています。WARNING
またはINFO
の結果は、プロジェクトのコンパイルが成功したことと、ビルドプロセスの詳細を示しています。
3.4. Process Server のサービスの起動
Business Central 以外の Maven または Java プロジェクトから Red Hat Process Automation Manager アセットをデプロイした場合は、Process Server REST API コールを使用して、KIE コンテナー (デプロイメントユニット) およびそのサービスを起動できます。Process Server REST API を使用して、デプロイメントの種類 (Business Central からのデプロイメントを含む) にかかわらずサービスを起動できますが、Business Central からデプロイしたプロジェクトは自動的に起動するか、Business Central インターフェース内で起動できます。
前提条件/事前作業
Process Server がインストールされており、kie-server
ユーザーアクセスが設定されている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
コマンドターミナルで以下の API 要求を実行し、Process Server の KIE コンテナーにサービスをロードして起動します。
$ curl --user "<username>:<password>" -H "Content-Type: application/json" -X PUT -d '{"container-id" : "<containerID>","release-id" : {"group-id" : "<groupID>","artifact-id" : "<artifactID>","version" : "<version>"}}' http://<serverhost>:<serverport>/kie-server/services/rest/server/containers/<containerID>
以下の値を置き換えてください。
-
<username>、<password>:
kie-server
ロールを持つユーザーのユーザー名およびパスワード。 - <containerID>: KIE コンテナー (デプロイメントユニット) の識別子。ランダムの識別子を使用することもできますが、コマンドの URL およびデータの両方で同じものを使用する必要があります。
- <groupID>、<artifactID>、<version>: プロジェクトの GAV 値。
-
<serverhost>: Process Server のホスト名 (Process Server と同じホストでコマンドを実行する場合は
localhost
)。 - <serverport>: Process Server のポート番号。
例:
curl --user "rhpamAdmin:password@1" -H "Content-Type: application/json" -X PUT -d '{"container-id" : "kie1","release-id" : {"group-id" : "org.kie.server.testing","artifact-id" : "container-crud-tests1","version" : "2.1.0.GA"}}' http://localhost:39043/kie-server/services/rest/server/containers/kie1
3.5. Process Server のサービスの停止および削除
Business Central 以外の Maven または Java プロジェクトから Red Hat Process Automation Manager サービスを起動した場合は、Process Server REST API コールを使用して、サービスを含む KIE コンテナー (デプロイメントユニット) を停止して削除できます。Process Server REST API を使用して、デプロイメントの種類 (Business Central からのデプロイメントを含む) にかかわらずサービスを停止できますが、Business Central からのサービスは Business Central インターフェース内で停止できます。
前提条件/事前作業
Process Server がインストールされており、kie-server
ユーザーアクセスが設定されている。インストールオプションは『Red Hat Process Automation Manager インストールの計画』を参照してください。
手順
コマンドターミナルで、以下の API 要求を実行して、Process Server のサービスで KIE コンテナーを停止および削除します。
$ curl --user "<username>:<password>" -X DELETE http://<serverhost>:<serverport>/kie-server/services/rest/server/containers/<containerID>
以下の値を置き換えてください。
-
<username>、<password>:
kie-server
ロールを持つユーザーのユーザー名およびパスワード。 - <containerID>: KIE コンテナー (デプロイメントユニット) の識別子。ランダムの識別子を使用することもできますが、コマンドの URL およびデータの両方で同じものを使用する必要があります。
-
<serverhost>: Process Server のホスト名 (Process Server と同じホストでコマンドを実行する場合は
localhost
)。 - <serverport>: Process Server のポート番号。
例:
curl --user "rhpamAdmin:password@1" -X DELETE http://localhost:39043/kie-server/services/rest/server/containers/kie1
第4章 関連資料
- 『DRL ルールを使用したデシジョンサービスの作成』の「ルールの実行」
- Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager オーサリング環境のデプロイメント
- Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager 管理サーバー環境のデプロイメント
- Red Hat OpenShift Container Platform への Red Hat Process Automation Manager イミュータブルサーバー環境のデプロイメント
付録A バージョン情報
本ドキュメントの最終更新日: 2019 年 1 月 22 日 (火)