第28章 開発 (オーサリング) 環境における Red Hat Process Automation Manager クラスター

開発者は、Red Hat Process Automation Manager を使用して、ユーザーの意思決定をサポートするルールとプロセスを作成できます。

Red Hat Process Automation Manager をクラスター開発環境として設定すると、高可用性の利点が得られます。クラスター環境では、開発者がノードで作業していて、そのノードで障害が発生した場合、この開発者が作業した内容はクラスターの別のノードに保存され、そちらで確認できます。

多くの開発環境には、ルールとプロセスを作成する Business Central と、このルールとプロセスをテストする 1 台以上の KIE Server があります。

Red Hat Process Automation Manager のクラスター開発環境を構築するには、以下のタスクを実行する必要があります。

  1. クラスターのノードとなる各システムに以下のコンポーネントを設定します。

    • Red Hat JBoss EAP 7.4 with Red Hat Data Grid 8.1 を設定します。

      Red Hat Data Grid は Infinispan のオープンソースソフトウェアプロジェクトで構築されています。Red Hat Data Grid は、インデックス化の機能が含まれた、分散型インメモリーキー/値のデータストアで、大量のデータを素早くほぼリアルタイムに保存、検索、および解析できます。Red Hat Process Automation Manager のクラスター環境では、クラスターノード全体にわたる複雑な検索を効率的に実施できます。

    • Java メッセージングサーバー (JMS) ブローカーである、AMQ Broker を設定します。

      JMS ブローカーは、ローカルでメッセージを受信して保存し、そのメッセージを受信者に転送するソフトウェアコンポーネントです。AMQ Broker を使用すると、アプリケーションがメッセージングプロバイダーと通信できます。また、メッセージ駆動型 Bean、Enterprise JavaBean、servlet などのコンポーネントがどのようにメッセージを送受信するかを指定します。

    • NFS ファイルサーバーを設定します。
  2. Red Hat JBoss EAP 7.4 および Red Hat Process Automation Manager 7.12 をダウンロードして、各システムにインストールします。各システムがクラスターノードになります。
  3. クラスターの各ノードで Business Central を設定して起動します。

28.1. Red Hat Data Grid のインストールおよび設定

クラスターノード全体でより効率的な検索を行うために、Red Hat Process Automation Manager のクラスター化環境に Red Hat Data Grid をインストールして設定します。

Red Hat Data Grid の高度なインストールおよび設定オプション、ならびに Red Hat JBoss EAP の Red Hat Data Grid モジュールに関する情報は、Red Hat Data Grid Server Guide を参照してください。

注記

Business Central と同じノードに Red Hat Data Grid はインストールしないでください。

前提条件

  • Java 8.0 以降と互換性のある Java Virtual Machine (JVM) 環境がインストールされている。

手順

  1. Red Hat カスタマーポータルの Software Downloads ページに移動し (ログインが必要)、ドロップダウンオプションから製品およびバージョンを選択します。

    • Product: Data Grid
    • Version: 8.1
  2. Red Hat Data Grid 8.1.0 Server (redhat-datagrid-8.1.0-server.zip) のインストールファイルをダウンロードして、システム上の任意の場所に展開します。以下の例では、展開したディレクトリーは JDG_HOME と呼ばれます。
  3. Red Hat Data Grid を最新のバージョンに更新します。詳細は、Red Hat Data Grid User Guide を参照してください。
  4. Red Hat Data Grid のユーザーを追加するには、JDG_HOME/bin に移動し、以下のコマンドを入力します。

    $ ./cli.sh user create <DATAGRID_USER_NAME> -p <DATA_GRID_PASSWORD> -r default
  5. Red Hat Data Grid サーバーのメモリーパラメーターを変更するには、JDG_HOME/bin/server.conf ファイルを開き、以下の行を見つけます。

    -Xms64m -Xmx512m -XX:MetaspaceSize=64M
  6. この行を以下の内容に置き換えます。

    -Xms256m -Xmx2048m -XX:MetaspaceSize=256M
  7. JDG_HOME/server/conf/infinispan.xml ファイルを開き、以下の行を見つけます。

    <hotrod-connector name="hotrod"/>
  8. この行を以下の内容に置き換えます。

    <hotrod-connector name="hotrod">
        <authentication>
            <sasl mechanisms="SCRAM-SHA-512 SCRAM-SHA-384 SCRAM-SHA-256
                    SCRAM-SHA-1 DIGEST-SHA-512 DIGEST-SHA-384
                    DIGEST-SHA-256 DIGEST-SHA DIGEST-MD5 PLAIN"
                server-name="infinispan"
                qop="auth"/>
        </authentication>
    </hotrod-connector>
  9. Red Hat Data Grid を実行するには、JDG_HOME に移動して以下のコマンドを入力します。

    $ ./server.sh -b <HOST>

    <HOST> は、Red Hat Data Grid をインストールしたサーバーの IP アドレスまたはホスト名に置き換えます。