Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat OpenStack Platform
第1章 はじめに
本ガイドは、Red Hat OpenStack Platform を最新の状態に保つためのプロセスについて説明します。アップグレードおよび更新は、Red Hat OpenStack Platform 8 (Liberty) をターゲットとします。
Red Hat は、Red Hat Enterprise Linux 7 をベースとする Red Hat OpenStack Platform 8 へのアップグレードのみをサポートしており、以下のいずれかの条件に基づいた異なるシナリオを推奨しています。
- director ベースのオーバークラウドまたは手動で作成した環境を使用している。
- 1 クラスター内で複数のコントローラーノードを管理する高可用性ツールを使用している。
「アップグレードシナリオの比較」には、すべてのアップグレードシナリオについての説明を記載しています。これらのシナリオにより、正常に機能する Red Hat OpenStack Platform 8 へのアップグレードと、バージョン 8 内でのマイナーな更新が可能となります。
1.1. アップグレードシナリオの比較
Red Hat では、Red Hat OpenStack Platform 8 には以下のアップグレードシナリオを推奨しています。以下の表には、各シナリオについての説明をまとめています。
表1.1 アップグレードシナリオ
メソッド | 説明 |
---|---|
director ベースの環境: マイナーバージョンへの更新の実行 |
このシナリオでは、Red Hat OpenStack Platform 8 のマイナーバージョン間の更新を行います。これには、director パッケージを更新してから、director を使用してオーバークラウド内の全ノードでパッケージの更新を起動するステップを伴います。 |
director ベースの環境: メジャーバージョンへのアップグレードの実行 |
このシナリオでは、Red Hat OpenStack Platform のメジャーバージョン間のアップグレードを行います。この場合は、バージョン 7 から 8 にアップグレードする手順です。これには、director のパッケージを更新してから、director を使用して各ノードにアップグレードスクリプトのセットを提供して、オーバークラウドスタックのアップグレードを実行するステップを伴います。 |
director を使用しない環境: OpenStack サービスの同時アップグレード |
このシナリオでは、director を使用せずに管理している Red Hat OpenStack Platform 8 環境 (手動で作成した環境) の全パッケージをアップグレードします。このシナリオでは、全パッケージを同時にアップグレードします。 |
director を使用しない環境: 標準的な環境内の個別の OpenStack サービス (稼働中の Compute) のアップグレード |
このシナリオでは、director を使用せずに管理している Red Hat OpenStack Platform 8 環境 (手動で作成した環境) の全パッケージをアップグレードします。このシナリオでは、各 OpenStack サービスを個別に更新します。 |
director を使用しない環境: 高可用性環境における個別の OpenStack サービス (稼働中の Compute) のアップグレード |
このシナリオでは、director を使用せずに管理し、コントローラーベースの OpenStack サービス向けに高可用性ツールを使用している Red Hat OpenStack Platform 8 環境 (手動で作成した環境) の全パッケージをアップグレードします。このシナリオでは、各 OpenStack サービスを個別に更新します。 |
すべての方法に共通する注意事項
- 全ホスト上でこのリリースの正しいリポジトリーが有効化されていることを確認します。
- アップグレード時には、一部のサービスを停止する必要があります。
- コンピュートノードを再起動したり、インスタンスを明示的にシャットダウンしたりしない限りは、アップグレードプロセスは、実行中のインスタンスには影響を及ぼしません。
Red Hat は、Red Hat OpenStack Platform のベータリリースからサポート対象リリースへのアップグレードは一切サポートしていません。
1.2. リポジトリーの要件
アンダークラウドおよびオーバークラウドにはいずれも、Red Hat コンテンツ配信ネットワーク (CDN) か Red Hat Satellite 5 または 6 を使用した Red Hat リポジトリーへのアクセスが必要です。Red Hat Satellite サーバーを使用する場合は、必要なリポジトリーをお使いの OpenStack Platform 環境に同期します。以下の CDN チャネル名一覧を参考にしてください。
表1.2 OpenStack Platform リポジトリー
名前 |
リポジトリー |
説明 |
Red Hat Enterprise Linux 7 Server (RPMS) |
|
ベースオペレーティングシステムのリポジトリー |
Red Hat Enterprise Linux 7 Server - Extras (RPMs) |
|
Red Hat OpenStack Platform の依存関係が含まれます。 |
Red Hat Enterprise Linux 7 Server - RH Common (RPMs) |
|
Red Hat OpenStack Platform のデプロイと設定ツールが含まれます。 |
Red Hat Satellite Tools for RHEL 7 Server RPMs x86_64 |
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Red Hat Satellite 6 でのホスト管理ツール |
Red Hat Enterprise Linux High Availability (for RHEL 7 Server) (RPMs) |
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Red Hat Enterprise Linux の高可用性ツール。コントローラーノードの高可用性に使用します。 |
Red Hat OpenStack Platform 8 director for RHEL 7 (RPMs) |
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Red Hat OpenStack Platform director のリポジトリー。director でデプロイしたオーバークラウド用のツールも一部提供します。 |
Red Hat OpenStack Platform 8 for RHEL 7 (RPMs) |
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Red Hat OpenStack Platform のコアリポジトリー |
Ceph クラスターを使用している場合には、以下のリポジトリーも必要となります。
Red Hat Ceph Storage OSD 1.3 for Red Hat Enterprise Linux 7 Server (RPMs) |
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(Ceph Storage ノード向け) Ceph Storage Object Storage デーモンのリポジトリー。Ceph Storage ノードにインストールします。 |
Red Hat Ceph Storage MON 1.3 for Red Hat Enterprise Linux 7 Server (RPMs) |
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(Ceph Storage ノード向け) Ceph Storage Monitor デーモンのリポジトリー。Ceph Storage ノードを使用して OpenStack 環境にあるコントローラーノードにインストールします。 |
ネットワークがオフラインの Red Hat OpenStack Platform 環境向けにリポジトリーを設定するには、「オフライン環境で Red Hat OpenStack Platform Director を設定する」の記事を参照してください。