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第3章 一般的な管理タスク

OpenStack Networking (neutron) は、Red Hat OpenStack Platform のソフトウェア定義ネットワークのコンポーネントです。仮想ネットワークインフラストラクチャーにより、インスタンスと外部の物理ネットワークとの間の接続が可能になります。

本項では、お使いの Red Hat OpenStack Platform デプロイメントに合わせてサブネットやルーターを追加/削除するなど、一般的な管理タスクについて説明します。

3.1. ネットワークの作成

インスタンスが相互に通信する場所を提供し、DHCP を使用して IP アドレスを受け取るためにネットワークを作成します。ネットワークは、Red Hat OpenStack Platform デプロイメントまたは別の場所にある物理ネットワークなどの外部ネットワークと統合することも可能です。このような統合を行うと、インスタンスは外部のシステムと通信できるようになります。詳しい情報は、「物理ネットワークのブリッジ」を参照してください。

ネットワークの作成時には、ネットワークで複数のサブネットをホスト可能である点を認識しておくことが重要です。これは、明らかに異なるシステムを同じネットワークでホストする場合やそれらのシステムを分離する手段を希望する場合に役立ちます。たとえば、Web サーバーのトラフィックが 1 つのサブネット上のみで伝送される一方で、データベースのトラフィックは別のサブネット上を通過するように指定することができます。サブネットは相互に分離され、別のサブネットと通信する必要のあるインスタンスのトラフィックは、ルーターによって転送される必要があります。大量のトラフィックを必要とする複数のシステムを、同じサブネットに配置すると、ルーティングの必要がなく、それに伴うレイテンシーや負荷を回避することができます。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択します。

2. +ネットワークの作成 をクリックして、以下を指定します。

フィールド説明

ネットワーク名

そのネットワークが果たす役割に基づいた説明的な名前。外部の VLAN を使用するネットワークを統合する場合には、名前に VLAN ID 番号を追記することを検討してください。たとえば、このサブネットで HTTP Web サーバーをホストし、VLAN タグが 122 の場合には webservers_122 とします。また、ネットワークトラフィックをプライベートにして、外部ネットワークと統合しない場合には internal-only とします。

管理状態

このオプションにより、ネットワークを即時に利用可能にするかどうかを制御することができます。ネットワークを作成して、Down の状態に維持することが可能です。この場合、そのネットワークは論理的には存在しますが、アクティブではありません。このような設定は、そのネットワークを直ちに稼働させない場合に有用です。

3. 次へ ボタンをクリックして サブネット タブで以下を指定します。

フィールド説明

サブネットの作成

サブネットを作成するかどうかを決定します。たとえば、ネットワーク接続性のないプレースホルダーとしてこのネットワークを維持する場合には、サブネットを作成しない方がよいでしょう。

サブネット名

サブネットの説明的な名前を入力します。

ネットワークアドレス

IP アドレス範囲とサブネットマスクが 1 つの値としてまとめられた CIDR 形式でアドレスを入力します。アドレスを判断するには、サブネットマスクでマスキングされたビット数を算出して、IP アドレス範囲の値に追記します。たとえば、サブネットマスク 255.255.255.0 のマスクビットは 24 で、このマスクを IPv4 アドレス範囲 192.168.122.0 で使用するには、アドレスは 192.168.122.0/24 に指定します。

IP バージョン

インターネットプロトコルバージョンを指定します (有効なタイプは IPv4 または IPv6)。ネットワークアドレス フィールドの IP アドレス範囲は、選択したバージョンと一致する必要があります。

ゲートウェイ IP

デフォルトのゲートウェイに指定したルーターのインターフェースの IP アドレス。このアドレスは、外部ロケーションを宛先とするトラフィックのルーティングのネクストホップとなり、ネットワークアドレスの値で指定した範囲内でなければなりません。たとえば、CIDR ネットワークアドレスが 192.168.122.0/24 の場合には、デフォルトのゲートウェイは 192.168.122.1 となる可能性が高くなります。

ゲートウェイなし

転送を無効にして、サブネットを分離した状態を保ちます。

4. 次へ をクリックして DHCP オプションを指定します。

  • DHCP 有効: そのサブネットの DHCP サービスを有効にします。DHCP により、インスタンスへの IP 設定の割り当てを自動化することができます。
  • IPv6 アドレス: IPv6 ネットワークを作成する際の設定モード。IPv6 アドレスと追加の情報をどのように割り当てるかを指定します。

    • オプション指定なし: IP アドレスを手動で設定する場合またはアドレスの割り当てに OpenStack 非対応の手法を使用する場合にはこのオプションを選択します。
    • SLAAC (Stateless Address Autoconfiguration): インスタンスは、OpenStack Networking ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。この設定を使用すると、ra_mode で作成された OpenStack Networking サブネットは slaac に、address_mode で作成されたサブネットは slaac に設定されます。
    • DHCPv6 stateful: インスタンスは、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから、IPv6 アドレスや追加のオプション (例: DNS) を受信します。この設定を使用すると、ra_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateful に、address_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateful に設定されます。
    • DHCPv6 stateless: インスタンスは、OpenStack Networking ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。追加のオプション (例: DNS) は、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから割り当てられます。この設定を使用すると、ra_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateless に、address_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateless に設定されます。
  • 割り当てプール: DHCP によって割り当てられる IP アドレスの範囲。たとえば、192.168.22.100,192.168.22.100 という値を指定すると、その範囲内で使用可能なアドレスはすべて 割り当ての対象 として考慮されます。
  • DNS 名前サーバー: ネットワーク上で利用可能な DNS サーバーの IP アドレス。DHCP はこれらの IP アドレスをインスタンスに割り当てて名前解決します。
  • 追加のルート設定: 静的ホストルート。最初に CIDR 形式の宛先ネットワークを指定し、その後にルーティングに使用する必要のあるネクストホップを指定します (例: 192.168.23.0/24, 10.1.31.1)。静的ルートをインスタンスに分散する必要がある場合には、この値を指定します。

5. 作成 をクリックします。

作成が完了したネットワークは、ネットワーク タブに表示されます。必要に応じて、 編集 をクリックしてオプションを変更することができます。これで、インスタンスの作成時には、このサブネットを使用できるようになりました。作成後には、指定した DHCP オプションがインスタンスに適用されます。

3.2. 高度なネットワークの作成

管理者は、管理 の画面からネットワークを作成する際に高度なネットワークオプションを使用することができます。これらのオプションは、使用するネットワークタイプを定義し、テナントの指定を可能にします。

1. Dashboard で、管理 > ネットワーク > ネットワークの作成 > プロジェクト を選択します。プロジェクト から新規ネットワークをホストする先のプロジェクトを選択します。

2. プロバイダーネットワーク種別 でオプションを確認します。

  • ローカル: トラフィックはローカルの Compute ホストに残り、実質的には外部のネットワークから分離されます。
  • フラット: トラフィックは単一のネットワーク上に残り、ホストと共有することも可能となります。 VLAN タグ付けやその他のネットワーク分離は行われません。
  • VLAN: 物理ネットワークに存在する VLAN に対応した VLAN ID を使用してネットワークを作成します。インスタンスは、同じレイヤー 2 VLAN 上のシステムと通信することが可能となります。
  • GRE: 複数のノードにまたがるネットワークオーバーレイを使用して、インスタンス間のプライベート通信を行います。オーバーレイの外部に送信されるトラフィックは、ルーティングする必要があります。
  • VXLAN: GRE と同様に、複数のノードにまたがるネットワークオーバーレイを使用して、インスタンス間のプライベート通信を行います。オーバーレイの外部に送信されるトラフィックは、ルーティングする必要があります。

ネットワークの作成 をクリックし、プロジェクトのネットワークトポロジーをチェックして、ネットワークが適切に作成されたことを確認します。

3.3. ネットワークルーティングの追加

新規ネットワークからのトラフィックのルーティングを許可するには、そのサブネットを既存の仮想ルーターへのインターフェースとして追加する必要があります。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ルーター を選択します。

2. ルーター 一覧で仮想ルーターの名前をクリックしてから、+インターフェースの追加 をクリックします。サブネット一覧では、新規サブネットの名前を選択します。このフィールドでインターフェースの IP アドレスを任意で指定することができます。

3. インターフェースの追加 をクリックします。

ネットワーク上のインスタンスで、サブネットの外部のシステムとの通信ができるようになりました。

3.4. ネットワークの削除

以前に作成したネットワークを削除する必要がある場合があります (例: ハウスキーピングやデコミッションプロセスの一環としての処理など)。ネットワークを正常に削除するには、まず使用中のインターフェースを削除または切断する必要があります。以下の手順では、プロジェクト内でネットワークを削除するステップ、そのステップで利用するインターフェースについて説明します。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択します。対象のネットワークのサブネットに関連付けられたルーターインターフェースをすべて削除します。インターフェースを削除するには、ネットワーク 一覧にある対象のネットワークをクリックして ID フィールドを確認し、削除するネットワークの ID 番号を特定します。そのネットワークの割り当て済みサブネットにはすべて、この値が ネットワーク ID フィールドに示されます。

2. プロジェクト > ネットワーク > ルーター を選択して、ルーター の一覧から対象の仮想ルーターの名前をクリックし、削除するサブネットに接続されているインターフェースを特定します。ゲートウェイ IP として機能していた IP アドレスで他のインターフェースと区別することができます。また、以前のステップで書き留めた ID とインターフェースのネットワーク ID が一致するかどうかを確認することによってさらに識別することができます。

3. 対象のインターフェースの インターフェースの削除 ボタンをクリックします。

プロジェクト > ネットワーク > ネットワークを選択して、対象のネットワークの名前をクリックします。対象のサブネットのサブネットの削除ボタンをクリックします。

注記

この時点でサブネットをまだ削除できない場合には、インスタンスがすでにそのサブネットを使用していないかどうかを確認してください。

4. プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択し、削除するネットワークを選択します。

5. ネットワークの削除 をクリックします。

3.5. サブネットの作成

サブネットは、インスタンスにネットワーク接続を許可する手段です。インスタンスの作成プロセスの一環として、各インスタンスはサブネットに割り当てられるため、最適なインスタンスの配置を考慮してインスタンスの接続性の要件に対応することが重要です。サブネットは既存のネットワークで作成されます。OpenStack Networking のテナントネットワークでは、複数のサブネットをホストできることを念頭に入れておいてください。これは、明らかに異なるシステムを同じネットワークでホストする場合やそれらのシステムを分離する手段を希望する場合に役立ちます。たとえば、Web サーバーのトラフィックが 1 つのサブネット上のみで伝送される一方で、データベースのトラフィックは別のサブネット上を通過するように指定することができます。サブネットは相互に分離され、別のサブネットと通信する必要のあるインスタンスのトラフィックは、ルーターによって転送される必要があります。大量のトラフィックを必要とする複数のシステムを、同じサブネットに配置すると、ルーティングの必要がなく、それに伴うレイテンシーや負荷を回避することができます。

3.5.1. 新規サブネットの作成

Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択して、ネットワーク ビューで使用するネットワーク名をクリックします。

1. サブネットの作成 をクリックして、以下を指定します。

フィールド説明

サブネット名

サブネットの説明的な名前

ネットワークアドレス

IP アドレス範囲とサブネットマスクが 1 つの値に含まれた CIDR 形式のアドレス。アドレスを決定するには、サブネットマスクでマスクされるビット数を計算して、その値を IP アドレス範囲に追記します。たとえば、サブネットマスク 255.255.255.0 でマスクされるビット数は 24 です。このマスクを IPv4 アドレス範囲 192.168.122.0 に使用するには、アドレスを 192.168.122.0/24 と指定します。

IP バージョン

インターネットプロトコルのバージョン。有効な値は IPv4 または IPv6 です。ネットワークアドレスフィールドの IP アドレスの範囲は、選択したバージョンと一致する必要があります。

ゲートウェイ IP

デフォルトのゲートウェイに指定したルーターのインターフェースの IP アドレス。このアドレスは、外部ロケーションを宛先とするトラフィックのルーティングのネクストホップとなり、ネットワークアドレスの値で指定した範囲内でなければなりません。たとえば、CIDR ネットワークアドレスが 192.168.122.0/24 の場合には、デフォルトのゲートウェイは 192.168.122.1 となる可能性が高くなります。

ゲートウェイなし

転送を無効にして、サブネットを分離した状態を保ちます。

2. 次へ をクリックして DHCP オプションを指定します。

  • DHCP 有効: そのサブネットの DHCP サービスを有効にします。DHCP により、インスタンスへの IP 設定の割り当てを自動化することができます。
  • IPv6 アドレス: IPv6 ネットワークを作成する際の設定モード。IPv6 アドレスと追加の情報をどのように割り当てるかを指定します。

    • オプション指定なし: IP アドレスを手動で設定する場合またはアドレスの割り当てに OpenStack 非対応の手法を使用する場合にはこのオプションを選択します。
    • SLAAC (Stateless Address Autoconfiguration): インスタンスは、OpenStack Networking ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。この設定を使用すると、ra_mode で作成された OpenStack Networking サブネットは slaac に、address_mode で作成されたサブネットは slaac に設定されます。
    • DHCPv6 stateful: インスタンスは、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから、IPv6 アドレスや追加のオプション (例: DNS) を受信します。この設定を使用すると、ra_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateful に、address_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateful に設定されます。
    • DHCPv6 stateless: インスタンスは、OpenStack Networking ルーターから送信されるルーター広告 (RA) メッセージに基づいて IPv6 アドレスを生成します。追加のオプション (例: DNS) は、OpenStack Networking DHCPv6 サービスから割り当てられます。この設定を使用すると、ra_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateless に、address_mode で作成されたサブネットは dhcpv6-stateless に設定されます。
  • 割り当てプール: DHCP によって割り当てられる IP アドレスの範囲。たとえば、192.168.22.100,192.168.22.100 という値を指定すると、その範囲内で使用可能なアドレスはすべて 割り当ての対象 として考慮されます。
  • DNS 名前サーバー: ネットワーク上で利用可能な DNS サーバーの IP アドレス。DHCP はこれらの IP アドレスをインスタンスに割り当てて名前解決します。
  • 追加のルート設定: 静的ホストルート。最初に CIDR 形式の宛先ネットワークを指定し、その後にルーティングに使用する必要のあるネクストホップを指定します (例: 192.168.23.0/24, 10.1.31.1)。静的ルートをインスタンスに分散する必要がある場合には、この値を指定します。

3. 作成 をクリックします。

作成した新規サブネットは、ネットワークのサブネット一覧に表示されます。必要に応じて編集をクリックしてオプションを変更することができます。インスタンスの作成時には、このサブネットを使用するよう設定できるようになりました。作成後には、指定した DHCP オプションがインスタンスに適用されます。

3.6. サブネットの削除

使用しなくなったサブネットは削除することができます。ただし、インスタンスがまだそのサブネットを使用するように設定されている場合には、削除を試みても失敗し、Dashboard にエラーメッセージが表示されます。以下の手順では、ネットワーク内にある特定のサブネットを削除する方法を説明します。

Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワーク を選択して、使用するネットワーク名をクリックします。対象のサブネットを選択して、サブネットの削除 をクリックします。

3.7. ルーターの追加

OpenStack Networking は、SDN をベースとする仮想ルーターを使用したルーティングサービスを提供します。インスタンスが外部のサブネット (物理ネットワーク内のサブネットを含む) と通信するには、ルーターは必須です。ルーターとサブネットはインターフェースを使用して接続します。各サブネットにはルーターに接続するための独自のインターフェースが必要です。ルーターのデフォルトゲートウェイは、そのルーターが受信するトラフィックのネクストホップを定義します。そのネットワークは通常、仮想ブリッジを使用して、外部の物理ネットワークにトラフィックをルーティングするように設定されます。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ルーター を選択し、+ルーターの作成 をクリックします。

2. 新規ルーターの説明的な名前を入力し、ルーターの作成 をクリックします。

3. ルーター 一覧に新たに追加されたルーターのエントリーの横にある ゲートウェイの設定 をクリックします。

4. 外部ネットワーク の一覧で、外部ロケーション宛のトラフィックを受信するネットワークを指定します。

5. ゲートウェイの設定 をクリックします。ルーターを追加した後に行う次のステップでは、作成済みのサブネットがこのルーターを使用してトラフィックを受信できるように設定します。これは、サブネットとルーター間のインターフェースを作成することによって行います。

3.8. ルーターの削除

インターフェースが接続されていないルーターは削除することができます。以下の手順では、最初にルーターのインターフェースを削除してからルーター自体を削除するステップを説明します。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ルーター を選択し、削除するルーター名をクリックします。

2. 内部インターフェース タイプのインターフェースを選択します。インターフェースの削除 をクリックします。

3. ルーター 一覧から対象のルーターを選択して ルーターの削除 をクリックします。

3.9. インターフェースの追加

インターフェースにより、ルーターをサブネットと相互接続することができます。これにより、ルーターは、インスタンスを中継するサブネットの外部にある宛先にインスタンスが送信するトラフィックを転送することが可能となります。以下の手順では、ルーターのインターフェースを追加して、サブネットに接続します。以下の手順では、ネットワークトポロジー機能を使用します。この画面には、全仮想ルーターとネットワークを示した図が表示され、ネットワーク管理タスクを実行することができます。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ネットワークトポロジー を選択します。

2. 管理するルーターを特定して インターフェースの追加 をクリックします。

3. ルーターを接続するサブネットを指定します。オプションで IP アドレスを指定することができます。このアドレスを指定しておくと、インターフェースに対して ping を実行して成功した場合にはトラフィックのルーティングが想定通りに機能していることを確認できるので、テストやトラブルシューティングに役立ちます。

4. インターフェースの追加 をクリックします。

ネットワークトポロジー の図が自動的に更新され、ルーターとサブネットの間の新規インターフェース接続が反映されます。

3.10. インターフェースの削除

ルーターがトラフィックを転送する必要がなくなった場合には、サブネットへのインターフェースを削除することができます。以下の手順では、インターフェースの削除に必要なステップを説明します。

1. Dashboard で プロジェクト > ネットワーク > ルーター を選択します。

2. 削除するインターフェースをホストしているルーターの名前をクリックします。

3. (内部インターフェース タイプの) インターフェースを選択し、インターフェースの削除 をクリックします。

3.11. IP アドレスの設定

本項に記載する手順に従って OpenStack Networking における IP アドレスの確保を管理することができます。

3.11.1. Floating IP アドレスプールの作成

Floating IP アドレスにより、ネットワークの受信トラフィックを OpenStack インスタンスに転送することができます。最初に、有効でルーティング可能な外部 IP アドレスのプールを定義して、それらの IP アドレスをインスタンスに動的に割り当てられるようにすると、OpenStack Networking は、特定の Floating IP アドレス宛の受信トラフィックをすべて、その Floating IP アドレスが割り当てられたインスタンスにルーティングする必要があることを認識します。

注記

OpenStack Networking は、同じ IP 範囲/CIDR からの全プロジェクト (テナント) に、Floating IP アドレスを割り当てます。これは、Floating IP のサブネットはすべて、全プロジェクトまたはいずれかのプロジェクトで使用できることを意味します。この動作は、個別のプロジェクトごとのクォータを使用することで管理できます。たとえば、ProjectAProjectB のクォータのデフォルト値を 10 に設定して、ProjectC0 に設定することができます。

Floating IP アドレスを確保するプールは、外部サブネットの作成時に定義されます。サブネットが Floating IP アドレスのみをホストする場合には、enable_dhcp=False オプションを使用して DHCP の割り当てを無効にすることを検討してください。

# neutron subnet-create --name SUBNET_NAME --enable_dhcp=False --allocation_pool start=IP_ADDRESS,end=IP_ADDRESS --gateway=IP_ADDRESS NETWORK_NAME CIDR

例:

# neutron subnet-create --name public_subnet --enable_dhcp=False --allocation_pool start=192.168.100.20,end=192.168.100.100 --gateway=192.168.100.1 public 192.168.100.0/24
3.11.2. 特定の Floating IP アドレスの割り当て

nova コマンドを使用して、インスタンスに特定の Floating IP アドレスを割り当てることができます。

# nova floating-ip-associate INSTANCE_NAME IP_ADDRESS

以下の例では、Floating IP アドレスは corp-vm-01 という名前のインスタンスに割り当てられます。

# nova floating-ip-associate corp-vm-01 192.168.100.20
3.11.3. Floating IP アドレスの無作為な割り当て

Floating IP アドレスはインスタンスに動的に割り当てることができます。特定の IP アドレスを選択する代わりに、OpenStack Networking がプールからアドレスを 1 つ確保するように要求します。以前に作成したプールから Floating IP アドレスを確保します。

# neutron floatingip-create public
+---------------------+--------------------------------------+
| Field               | Value                                |
+---------------------+--------------------------------------+
| fixed_ip_address    |                                      |
| floating_ip_address | 192.168.100.20                       |
| floating_network_id | 7a03e6bc-234d-402b-9fb2-0af06c85a8a3 |
| id                  | 9d7e2603482d                         |
| port_id             |                                      |
| router_id           |                                      |
| status              | ACTIVE                               |
| tenant_id           | 9e67d44eab334f07bf82fa1b17d824b6     |
+---------------------+--------------------------------------+

IP アドレスが確保されたら、特定のインスタンスに割り当てることができます。インスタンスに関連付けられているポートの ID を特定します (これは、インスタンスに確保されている Fixed IP と一致します)。このポート ID は、以下のステップでインスタンスのポート ID を Floating IP アドレスの ID に関連付けるのに使用します。3 番目のコラムの MAC アドレスがインスタンスの MAC アドレスと一致するようにすることで、正しいポート ID をさらに区別することが可能です。

# neutron port-list
+--------+------+-------------+--------------------------------------------------------+
| id     | name | mac_address | fixed_ips                                              |
+--------+------+-------------+--------------------------------------------------------+
| ce8320 |      | 3e:37:09:4b | {"subnet_id": "361f27", "ip_address": "192.168.100.2"} |
| d88926 |      | 3e:1d:ea:31 | {"subnet_id": "361f27", "ip_address": "192.168.100.5"} |
| 8190ab |      | 3e:a3:3d:2f | {"subnet_id": "b74dbb", "ip_address": "10.10.1.25"}|
+--------+------+-------------+--------------------------------------------------------+

neutron コマンドを使用して、対象となるインスタンスのポート ID に Floating IP アドレスを割り当てます。

# neutron floatingip-associate 9d7e2603482d 8190ab

3.12. 複数の Floating IP アドレスプールの作成

OpenStack Networking は 1 つの L3 エージェントあたり 3 つの Floating IP プールをサポートします。このため、L3 エージェントをスケールアウトすることによって追加の Floating IP プールを作成することができます。

注記

/etc/neutron/neutron.confhandle_internal_only_routers の値が環境内の 1 つの L3 に対してのみ True に設定されていることを確認してください。このオプションにより、L3 エージェントは、外部以外のルーターのみを管理するようになります。

3.13. 物理ネットワークのブリッジ

以下の手順では、仮想ネットワークを物理ネットワークにブリッジして仮想インスタンスとの間の接続を可能にします。例として示した物理 eth0 インターフェースは br-ex ブリッジにマップされます。この仮想ブリッジは、物理ネットワークと仮想ネットワークを中継する機能を果たします。これにより、eth0 を通過するトラフィックはすべて、設定した Open vSwitch を使用してインスタンスに到達します。物理 NIC を仮想 Open vSwitch ブリッジにマッピングします (詳しくは、「11章ブリッジマッピングの設定」を参照)。

注記

IPADDRNETMASK GATEWAYDNS1 (ネームサーバー) は対象のネットワークと一致するように更新する必要があります。

# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
DEVICE=eth0
TYPE=OVSPort
DEVICETYPE=ovs
OVS_BRIDGE=br-ex
ONBOOT=yes

eth0 に以前確保されていた IP アドレスの情報を使用して仮想ブリッジを設定します。

# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-br-ex
DEVICE=br-ex
DEVICETYPE=ovs
TYPE=OVSBridge
BOOTPROTO=static
IPADDR=192.168.120.10
NETMASK=255.255.255.0
GATEWAY=192.168.120.1
DNS1=192.168.120.1
ONBOOT=yes

インスタンスに Floating IP アドレスを割り当てて、物理ネットワークが利用できるようにすることができます。