7.3. オーバークラウドの設定およびデプロイ

オーバークラウドのネットワークリソースとベアメタルノードをプロビジョニングしたら、director のインストールで提供される未編集の heat テンプレートファイルと、作成したカスタム環境ファイルを使用して、オーバークラウドを設定できます。オーバークラウドの設定が完了したら、オーバークラウド環境をデプロイできます。

重要

基本的なオーバークラウドでは、Block Storage にローカルの LVM ストレージを使用しますが、この設定はサポートされません。Red Hat では、Block Storage に Red Hat Ceph Storage などの外部ストレージソリューションを使用することを推奨しています。

7.3.1. 前提条件

  • オーバークラウドに必要なネットワークリソースとベアメタルノードをプロビジョニングしている。

7.3.2. 環境ファイルを使用したオーバークラウドの設定

アンダークラウドには、オーバークラウドの作成プランを形作るさまざまな heat テンプレートが含まれます。YAML フォーマットの環境ファイルを使用して、オーバークラウドの特性をカスタマイズすることができます。このファイルで、コア heat テンプレートコレクションのパラメーターおよびリソースを上書きします。必要に応じていくつでも環境ファイルを追加することができます。環境ファイルの拡張子は .yaml または .template にする必要があります。

Red Hat では、カスタム環境ファイルを別のディレクトリーで管理することを推奨します (たとえば、templates ディレクトリー)。

-e オプションを使用して、環境ファイルをオーバークラウドデプロイメントに含めます。-e オプションを使用してオーバークラウドに追加した環境ファイルはいずれも、オーバークラウドのスタック定義の一部となります。後で指定する環境ファイルで定義されるパラメーターとリソースが優先されることになるため、環境ファイルの順番は重要です。

初回のデプロイメント後にオーバークラウド設定を変更するには、以下のアクションを実行します。

  1. カスタムの環境ファイルおよび heat テンプレートのパラメーターを変更します。
  2. 同じ環境ファイルを指定して openstack overcloud deploy コマンドを再度実行します。

オーバークラウドの設定は直接編集しないでください。手動で設定しても、オーバークラウドスタックの更新時に、director が設定を上書きするためです。

注記

Open Virtual Networking (OVN) は、Red Hat OpenStack Platform 17.1 におけるデフォルトのネットワークメカニズムドライバーです。分散仮想ルーター (DVR) で OVN を使用する場合には、openstack overcloud deploy コマンドに environments/services/neutron-ovn-dvr-ha.yaml ファイルを追加する必要があります。DVR なしで OVN を使用する場合には、openstack overcloud deploy コマンドに environments/services/neutron-ovn-ha.yaml ファイルを追加する必要があります。

7.3.3. アンダークラウド CA を信頼するための環境ファイルの作成

アンダークラウドで TLS を使用され認証局 (CA) が一般に信頼できない場合には、SSL エンドポイント暗号化にアンダークラウドが運用する CA を使用することができます。デプロイメントの他の要素からアンダークラウドのエンドポイントにアクセスできるようにするには、アンダークラウドの CA を信頼するようにオーバークラウドノードを設定します。

注記

この手法が機能するためには、オーバークラウドノードにアンダークラウドの公開エンドポイントへのネットワークルートが必要です。スパイン/リーフ型ネットワークに依存するデプロイメントでは、この設定を適用する必要があります。

アンダークラウドで使用することのできるカスタム証明書には、2 つのタイプがあります。

  • ユーザーの提供する証明書: 自己の証明書を提供している場合がこれに該当します。自己の CA からの証明書、または自己署名の証明書がその例です。この証明書は undercloud_service_certificate オプションを使用して渡されます。この場合、自己署名の証明書または CA のどちらかを信頼する必要があります (デプロイメントによります)。
  • 自動生成される証明書: certmonger により自己のローカル CA を使用して証明書を生成する場合がこれに該当します。undercloud.conf ファイルの generate_service_certificate オプションを使用して、証明書の自動生成を有効にします。この場合、director は CA 証明書 /etc/pki/ca-trust/source/anchors/cm-local-ca.pem を生成し、アンダークラウドの HAProxy インスタンスがサーバー証明書を使用するように設定します。この CA 証明書を OpenStack Platform に配置するには、証明書を inject-trust-anchor-hiera.yaml ファイルに追加します。

以下の例では、/home/stack/ca.crt.pem に保存された自己署名の証明書が使われています。自動生成される証明書を使用する場合には、代わりに /etc/pki/ca-trust/source/anchors/cm-local-ca.pem を使用してください。

手順

  1. 証明書ファイルを開き、証明書部分だけをコピーします。鍵を含めないでください。

    $ vi /home/stack/ca.crt.pem

    必要となる証明書部分の例を、以下に示します。

    -----BEGIN CERTIFICATE-----
    MIIDlTCCAn2gAwIBAgIJAOnPtx2hHEhrMA0GCSqGSIb3DQEBCwUAMGExCzAJBgNV
    BAYTAlVTMQswCQYDVQQIDAJOQzEQMA4GA1UEBwwHUmFsZWlnaDEQMA4GA1UECgwH
    UmVkIEhhdDELMAkGA1UECwwCUUUxFDASBgNVBAMMCzE5Mi4xNjguMC4yMB4XDTE3
    -----END CERTIFICATE-----
  2. 以下に示す内容で /home/stack/inject-trust-anchor-hiera.yaml という名称の新たな YAML ファイルを作成し、PEM ファイルからコピーした証明書を追加します。

    parameter_defaults:
      CAMap:
        undercloud-ca:
          content: |
            -----BEGIN CERTIFICATE-----
            MIIDlTCCAn2gAwIBAgIJAOnPtx2hHEhrMA0GCSqGSIb3DQEBCwUAMGExCzAJBgNV
            BAYTAlVTMQswCQYDVQQIDAJOQzEQMA4GA1UEBwwHUmFsZWlnaDEQMA4GA1UECgwH
            UmVkIEhhdDELMAkGA1UECwwCUUUxFDASBgNVBAMMCzE5Mi4xNjguMC4yMB4XDTE3
            -----END CERTIFICATE-----
    注記
    • 証明書の文字列は、PEM の形式に従う必要があります。
    • CAMap パラメーターには、SSL/TLS 設定に関連する他の証明書が含まれる場合があります。
  3. /home/stack/inject-trust-anchor-hiera.yaml ファイルをデプロイコマンドに追加します。director は、オーバークラウドのデプロイメント時に CA 証明書をそれぞれのオーバークラウドノードにコピーします。これにより、それぞれのノードはアンダークラウドの SSL エンドポイントが提示する暗号化を信頼するようになります。

7.3.4. 新規デプロイメントでの TSX の無効化

Red Hat Enterprise Linux 8.3 以降、カーネルは、デフォルトで Intel Transactional Synchronization Extensions (TSX) 機能のサポートを無効にします。

ワークロードまたはサードパーティーベンダー用に厳密に要求しない限り、新しいオーバークラウドで TSX を明示的に無効にする必要があります。

環境ファイルで KernelArgs heat パラメーターを設定します。

parameter_defaults:
    ComputeParameters:
       KernelArgs: "tsx=off"

openstack overcloud deploy コマンドを実行する際に、環境ファイルを指定します。

7.3.5. オーバークラウド設定の検証

オーバークラウドをデプロイする前に、heat テンプレートと環境ファイルを検証します。

重要
  • 17.0 で API が変更されたため、現在、次の検証は不安定になっています。

    • switch-vlans
    • network-environment
    • dhcp-provisioning
  • 検証結果が FAILED であっても、Red Hat OpenStack Platform のデプロイや実行が妨げられることはありません。ただし、FAILED の検証結果は、実稼働環境で問題が発生する可能性があることを意味します。
  • validation run --group pre-deployment コマンドには、default-node-count 検証が含まれます。既知の問題により、この検証は現在失敗します。この問題を回避するには、default-node-count 検証を含む yaml ファイルを使用して、--skip list 引数を validation run --group pre-deployment コマンドに追加します。

手順

  1. アンダークラウドホストに stack ユーザーとしてログインします。
  2. stackrc アンダークラウド認証情報ファイルを入手します。

    $ source ~/stackrc
  3. デプロイメントに必要なすべての環境ファイルを使用してオーバークラウドスタックを更新します。

    $ openstack overcloud deploy --templates \
      -e environment-file1.yaml \
      -e environment-file2.yaml \
      ...
      --stack-only
  4. オーバークラウドスタックを検証します。

    $ validation run \
      --group pre-deployment \
      --inventory <inventory_file>
    • <inventory_file> ファイルを Ansible インベントリーファイルの名前および場所に置き換えます (例: ~/tripleo-deploy/undercloud/tripleo-ansible-inventory.yaml)。
    注記

    検証を実行すると、出力の Reasons 列は 79 文字に制限されます。検証結果を完全に表示するには、検証ログファイルを表示します。

  5. 検証レポートの結果を確認します。

    $ validation history get [--full] [--validation-log-dir <log_dir>] <uuid>
    • オプション: --full オプションを使用して、検証実行からの詳細な出力を表示します。
    • オプション: --validation-log-dir オプションを使用して、検証実行の出力を検証ログに書き込みます。
    • <uuid> は、検証実行の UUID に置き換えます。

7.3.6. オーバークラウドの作成

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) オーバークラウド環境を作成する最後の段階は、openstack overcloud deploy コマンドを実行してオーバークラウドを作成することです。openstack overcloud deploy コマンドで使用できるオプションについては、デプロイメントコマンドのオプション を参照してください。

手順

  1. オーバークラウド環境に必要な環境ファイルと設定ファイル (director のインストールで提供される未編集の heat テンプレートファイルと作成したカスタム環境ファイルの両方) を照合します。これには、次のファイルが含まれている必要があります。

    • overcloud-baremetal-deployed.yaml ノード定義ファイル。
    • overcloud-networks-deployed.yaml ネットワーク定義ファイル。
    • overcloud-vip-deployed.yaml ネットワーク VIP 定義ファイル。
    • コンテナー化された OpenStack サービスのコンテナーイメージの場所。
    • Red Hat CDN または Satellite 登録用の環境ファイル
    • その他のカスタム環境ファイル
  2. 環境ファイルと設定ファイルを優先順位に従って整理し、編集されていない Heat テンプレートファイル、その次にデフォルトプロパティーのオーバーライドなどのカスタム設定を含む環境ファイルをリストします。
  3. 以下の例のように、設定ファイルとテンプレートを必要な順序で指定して、openstack overcloud deploy コマンドを作成します。

    (undercloud) $ openstack overcloud deploy --templates \
     [-n /home/stack/templates/network_data.yaml \ ]
      -e /home/stack/templates/overcloud-baremetal-deployed.yaml\
      -e /home/stack/templates/overcloud-networks-deployed.yaml\
      -e /home/stack/templates/overcloud-vip-deployed.yaml \
      -e /home/stack/containers-prepare-parameter.yaml \
      -e /home/stack/inject-trust-anchor-hiera.yaml \
     [-r /home/stack/templates/roles_data.yaml ]
    -n /home/stack/templates/network_data.yaml
    カスタムネットワーク設定を指定します。ネットワーク分離またはカスタム設定可能なネットワークを使用する場合に必要です。オーバークラウドネットワークの設定は、オーバークラウドネットワークの設定 を参照してください。
    -e /home/stack/containers-prepare-parameter.yaml
    コンテナーイメージ準備の環境ファイルを追加します。このファイルはアンダークラウドのインストール時に生成したもので、オーバークラウドの作成に同じファイルを使用することができます。
    -e /home/stack/inject-trust-anchor-hiera.yaml
    アンダークラウドにカスタム証明書をインストールする環境ファイルを追加します。
    -r /home/stack/templates/roles_data.yaml
    カスタムロールを使用する、またはマルチアーキテクチャークラウドを有効にする場合に生成されるロールデータ。
  4. オーバークラウドの作成が完了すると、オーバークラウドを設定するために実施された Ansible のプレイの概要が director により提示されます。

    PLAY RECAP *************************************************************
    overcloud-compute-0     : ok=160  changed=67   unreachable=0    failed=0
    overcloud-controller-0  : ok=210  changed=93   unreachable=0    failed=0
    undercloud              : ok=10   changed=7    unreachable=0    failed=0
    
    Tuesday 15 October 2018  18:30:57 +1000 (0:00:00.107) 1:06:37.514 ******
    ========================================================================
  5. オーバークラウドの作成が完了すると、director はオーバークラウドにアクセスするための詳細を提供します。

    Ansible passed.
    Overcloud configuration completed.
    Overcloud Endpoint: http://192.168.24.113:5000
    Overcloud Horizon Dashboard URL: http://192.168.24.113:80/dashboard
    Overcloud rc file: /home/stack/overcloudrc
    Overcloud Deployed
ヒント

新しい環境ファイルで設定を更新するたびに追加するファイルに、デプロイメントコマンドを格納できます。

7.3.7. デプロイメントコマンドのオプション

以下の表には、openstack overcloud deploy コマンドの追加パラメーターをまとめています。

重要

一部のオプションは、本リリースでは テクノロジープレビュー として提供されているため、Red Hat では全面的にはサポートしていません。これらはテスト目的にのみご利用いただく機能で、実稼働環境で使用すべきではありません。テクノロジープレビュー機能についての詳しい情報は、対象範囲の詳細 を参照してください。

表7.8 デプロイメントコマンドのオプション

パラメーター説明

--templates [TEMPLATES]

デプロイする heat テンプレートが含まれるディレクトリー。空欄にした場合には、デプロイメントコマンドはデフォルトのテンプレートの場所である /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/ を使用します。

--stack STACK

作成または更新するスタックの名前

-t [TIMEOUT]--timeout [TIMEOUT]

デプロイメントのタイムアウト時間 (分単位)

--libvirt-type [LIBVIRT_TYPE]

ハイパーバイザーに使用する仮想化タイプ

--ntp-server [NTP_SERVER]

時刻の同期に使用する Network Time Protocol (NTP) サーバー。コンマ区切りリストで複数の NTP サーバーを指定することも可能です (例: --ntp-server 0.centos.pool.org,1.centos.pool.org)。高可用性クラスターのデプロイメントの場合には、Controller ノードが一貫して同じ時刻ソースを参照することが重要です。標準的な環境には、確立された慣行によって、NTP タイムソースがすでに指定されている可能性がある点に注意してください。

--no-proxy [NO_PROXY]

環境変数 no_proxy のカスタム値を定義します。これにより、プロキシー通信から特定のホスト名は除外されます。

--overcloud-ssh-user OVERCLOUD_SSH_USER

オーバークラウドノードにアクセスする SSH ユーザーを定義します。通常、SSH アクセスは tripleo-admin ユーザーを介して行われます。

--overcloud-ssh-key OVERCLOUD_SSH_KEY

オーバークラウドノードへの SSH アクセスに使用する鍵のパスを定義します。

--overcloud-ssh-network OVERCLOUD_SSH_NETWORK

オーバークラウドノードへの SSH アクセスに使用するネットワーク名を定義します。

-e [EXTRA HEAT TEMPLATE]--environment-file [ENVIRONMENT FILE]

オーバークラウドのデプロイメントに渡す追加の環境ファイル。このオプションは複数回指定することができます。openstack overcloud deploy コマンドに渡す環境ファイルの順序が重要である点に注意してください。たとえば、逐次的に渡される各環境ファイルは、前の環境ファイルのパラメーターを上書きします。

--environment-directory

デプロイメントに追加する環境ファイルが含まれるディレクトリー。デプロイメントコマンドでは、これらの環境ファイルは最初に番号順、その後にアルファベット順で処理されます。

-r ROLES_FILE

ロールファイルを定義し、--templates ディレクトリーのデフォルトの roles_data.yaml を上書きします。ファイルの場所は、絶対パスまたは --templates に対する相対パスになります。

-n NETWORKS_FILE

ネットワークファイルを定義し、--templates ディレクトリーのデフォルトの network_data.yaml を上書きします。ファイルの場所は、絶対パスまたは --templates に対する相対パスになります。

-p PLAN_ENVIRONMENT_FILE

プラン環境ファイルを定義し、--templates ディレクトリーのデフォルトの plan-environment.yaml を上書きします。ファイルの場所は、絶対パスまたは --templates に対する相対パスになります。

--no-cleanup

デプロイメント後に一時ファイルを削除せず、それらの場所をログに記録するには、このオプションを使用します。

--update-plan-only

実際のデプロイメントを実行せずにプランを更新するには、このオプションを使用します。

--validation-errors-nonfatal

オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかの致命的でないエラーが発生した場合に終了します。どのようなエラーが発生してもデプロイメントが失敗するので、このオプションを使用することを推奨します。

--validation-warnings-fatal

オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかのクリティカルではない警告が発生した場合に終了します。

--dry-run

オーバークラウドを作成せずにオーバークラウドで検証チェックを実行するには、このオプションを使用します。

--run-validations

openstack-tripleo-validations パッケージで提供される外部検証を実行するには、このオプションを使用します。

--skip-postconfig

オーバークラウドデプロイ後の設定を省略するには、このオプションを使用します。

--force-postconfig

オーバークラウドデプロイ後の設定を強制的に行うには、このオプションを使用します。

--skip-deploy-identifier

デプロイメントコマンドで DeployIdentifier パラメーターの一意の ID を生成するのを希望しない場合は、このオプションを使用します。ソフトウェア設定のデプロイメントステップは、実際に設定が変更された場合にしか実行されません。このオプションの使用には注意が必要です。特定のロールをスケールアウトする時など、ソフトウェア設定の実行が明らかに不要な場合にしか使用しないでください。

--answers-file ANSWERS_FILE

引数とパラメーターが記載された YAML ファイルへのパス

--disable-password-generation

オーバークラウドサービスのパスワード生成を無効にする場合は、このオプションを使用します。

--deployed-server

事前にプロビジョニングされたオーバークラウドノードをデプロイする場合は、このオプションを使用します。--disable-validations と併用されます。

--no-config-download, --stack-only

config-download ワークフローを無効にして、スタックおよび関連する OpenStack リソースだけを作成する場合は、このオプションを使用します。このコマンドによってオーバークラウドにソフトウェア設定が適用されることはありません。

--config-download-only

オーバークラウドスタックの作成を無効にして、ソフトウェア設定を適用する config-download ワークフローだけを実行する場合は、このオプションを使用します。

--output-dir OUTPUT_DIR

保存した config-download の出力に使用するディレクトリー。ディレクトリーは mistral ユーザーが書き込み可能でなければなりません。指定しない場合、director はデフォルトの /var/lib/mistral/overcloud を使用します。

--override-ansible-cfg OVERRIDE_ANSIBLE_CFG

Ansible 設定ファイルへのパス。このファイルの設定は、config-download がデフォルトで生成する設定を上書きします。

--config-download-timeout CONFIG_DOWNLOAD_TIMEOUT

config-download のステップに使用するタイムアウト時間 (分単位)。設定しなければ、スタックデプロイメント操作後の --timeout パラメーターの残り時間にかかわらず、director はデフォルトをその時間に設定します。

--limit NODE1,NODE2

(テクノロジープレビュー) config-download Playbook の実行を特定のノードまたはノードセットに制限する場合は、このオプションを使用してノードのコンマ区切りリストを指定します。たとえば、--limit オプションは、スケールアップ操作時に新規ノード上でのみ config-download を実行する場合に役立ちます。この引数により、ホスト間のインスタンスのライブマイグレーションが失敗する可能性があります。ansible-playbook-command.sh スクリプトを使用した config-download の実行 を参照してください。

--tags TAG1,TAG2

(テクノロジープレビュー) config-download の特定のタスクセットでデプロイメントを実施する場合は、このオプションを使用して config-download Playbook からのタグのコンマ区切りリストを指定します。

--skip-tags TAG1,TAG2

(テクノロジープレビュー) config-download Playbook のタグの一部を省略する場合は、このオプションを使用して省略するタグのコンマ区切りリストを指定します。

オプションの全リストを表示するには、以下のコマンドを実行します。

(undercloud) $ openstack help overcloud deploy

環境ファイルの parameter_defaults セクションに追加する heat テンプレートのパラメーターの使用が優先されるため、一部のコマンドラインパラメーターは古いか非推奨となっています。以下の表では、非推奨となったパラメーターと、それに相当する heat テンプレートのパラメーターを対比しています。

表7.9 非推奨の CLI パラメーターと heat テンプレートのパラメーターの対照表

パラメーター説明heat テンプレートのパラメーター

--validation-errors-fatal

オーバークラウドの作成プロセスでは、デプロイメントの前に一連のチェックが行われます。このオプションは、デプロイメント前のチェックで何らかの致命的なエラーが発生した場合に終了します。どのようなエラーが発生してもデプロイメントが失敗するので、このオプションを使用することを推奨します。

パラメーターのマッピングなし

--disable-validations

デプロイメント前の検証を完全に無効にします。これらの検証は、デプロイメント前の検証として組み込まれていましたが、openstack-tripleo-validations パッケージで提供される外部検証に置き換えられています。

パラメーターのマッピングなし

--config-download

config-download のメカニズムを使用してデプロイメントを実行します。これは現在のデフォルトであり、この CLI のオプションは今後廃止される可能性があります。

パラメーターのマッピングなし

--rhel-reg

カスタマーポータルまたは Satellite 6 にオーバークラウドノードを登録する場合は、このオプションを使用します。

RhsmVars

--reg-method

このオプションを使用して、オーバークラウドノードの登録方法を定義します。Red Hat Satellite 6 または Red Hat Satellite 5 の場合は satellite、カスタマーポータルの場合は portal に設定します。

RhsmVars

--reg-org [REG_ORG]

登録に使用する組織。

RhsmVars

--reg-force

すでに登録済みでもシステムを登録する場合は、このオプションを使用します。

RhsmVars

--reg-sat-url [REG_SAT_URL]

オーバークラウドノードを登録する Satellite サーバーのベース URL。このパラメーターには、HTTPS URL ではなく、Satellite の HTTP URL を使用します。たとえば、https://satellite.example.com ではなく http://satellite.example.com を使用します。オーバークラウドの作成プロセスではこの URL を使用して、どのサーバーが Red Hat Satellite 5 または Red Hat Satellite 6 サーバーであるかを判断します。サーバーが Red Hat Satellite 6 サーバーの場合は、オーバークラウドは katello-ca-consumer-latest.noarch.rpm ファイルを取得して subscription-manager に登録し、katello-agent をインストールします。サーバーが Red Hat Satellite 5 サーバーの場合にはオーバークラウドは RHN-ORG-TRUSTED-SSL-CERT ファイルを取得して rhnreg_ks に登録します。

RhsmVars

--reg-activation-key [REG_ACTIVATION_KEY]

登録に使用するアクティベーションキーを定義する場合は、このオプションを使用します。

RhsmVars

これらのパラメーターは、Red Hat OpenStack Platform の今後のリリースで廃止される予定です。

7.3.8. デフォルトのオーバークラウドディレクトリーの内容

RHOSP 17 では、すべての設定ファイルが 1 つのディレクトリーにあります。ディレクトリーの名前は、使用した openstack コマンドとスタックの名前を組み合わせたものです。ディレクトリーにはデフォルトの場所がありますが、--working-dir オプションを使用してデフォルトの場所を変更できます。このオプションは、デプロイメントで使用されるファイルの読み取りまたは作成を行う任意の tripleoclient コマンドで使用できます。

デフォルトのロケーションコマンド

$HOME/tripleo-deploy/undercloud

tripleo deploy に基づく undercloud install

$HOME/tripleo-deploy/<stack>

tripleo deploy、<stack> はデフォルトでは standalone です

$HOME/overcloud-deploy/<stack>

overcloud deploy、<stack> はデフォルトではオーバークラウドです

次の表は、~/overcloud-deploy/overcloud ディレクトリーに含まれるファイルとディレクトリーの詳細を示しています。

表7.10 オーバークラウドディレクトリーの内容

ディレクトリー説明

cli-*`

ansible-runner が CLI ansible ベースのワークフローに使用するディレクトリー。

cli-config-download
cli-enable-ssh-admin
cli-grant-local-access
cli-undercloud-get-horizon-url

config-download

config-download ディレクトリー。以前の Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) リリースでは、このディレクトリーの名前は ~/config-download または /var/lib/mistral/<stack> でした。

environment

openstack stack environment show <stack> コマンドで生成された保存済みスタック環境が含まれています。

heat-launcher

一時的な Heat 設定とデータベースのバックアップを含む一時的な Heat 作業ディレクトリー。

outputs

openstack stack output show <stack> <output> コマンドで生成された保存済みスタック出力が含まれます。

<stack>-deployment_status.yaml

保存されたスタックステータスが含まれます。overcloud がスタックの名前である場合、このファイルの名前は overcloud-deployment_status.yaml です。

<stack>-export.yaml

openstack overcloud export --stack <stack> コマンドで生成されたスタックのエクスポート情報が含まれます。overcloud がスタックの名前である場合、このファイルの名前は overcloud-export.yaml です。

<stack>-install-*.tar.bzip2

作業ディレクトリーの tarball (例: overcloud-install-20220823213643.tar.bzip2)

<stack>-passwords.yaml

スタックのパスワードが含まれています。overcloud がスタックの名前である場合、このファイルの名前は overcloud-passwords.yaml です。

<stack>rc

オーバークラウド API を使用するために必要な認証情報ファイル (例: overcloudrc)

tempest-deployer-input.conf

Tempest 設定が含まれています。

tripleo-ansible-inventory.yaml

オーバークラウドの Ansible インベントリー。

tripleo-heat-templates

レンダリングされた jinja2 テンプレートのコピーが含まれています。ソーステンプレートは /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates にあります。または、CLI で --templates オプションを使用してテンプレートを指定できます。

tripleo-overcloud-baremetal-deployment.yaml

オーバークラウドノードをプロビジョニングするためのベアメタルデプロイメントの入力。

tripleo-overcloud-network-data.yaml

オーバークラウドネットワークをプロビジョニングするためのネットワークデプロイメントの入力。

tripleo-overcloud-roles-data.yaml

CLI の -r オプションで指定されたロールデータ。

tripleo-overcloud-virtual-ips.yaml

オーバークラウドネットワーク VIP をプロビジョニングするための VIP デプロイメントの入力。

7.3.9. オーバークラウドのデプロイメントの検証

デプロイされたオーバークラウドを検証します。

前提条件

  • オーバークラウドをデプロイしている。

手順

  1. source コマンドで stackrc 認証情報ファイルを読み込みます。

    $ source ~/stackrc
  2. オーバークラウドのデプロイメントを検証します。

    $ validation run \
      --group post-deployment \
      [--inventory <inventory_file>]
    • <inventory_file> は ansible インベントリーファイルの名前に置き換えます。デフォルトでは、動的インベントリーは tripleo-ansible-inventory と呼ばれます。

      注記

      検証を実行すると、出力の Reasons 列は 79 文字に制限されます。検証結果を完全に表示するには、検証ログファイルを表示します。

  3. 検証レポートの結果を確認します。

    $ validation history get --full <UUID>
    • <UUID> は、検証実行の UUID に置き換えます。
    • オプション: --full オプションを使用して、検証実行からの詳細な出力を表示します。
重要

検証結果が FAILED であっても、Red Hat OpenStack Platform のデプロイや実行が妨げられることはありません。ただし、FAILED の検証結果は、実稼働環境で問題が発生する可能性があることを意味します。

7.3.10. オーバークラウドへのアクセス

director は、アンダークラウドからのオーバークラウドの操作に必要な認証情報を含めて認証情報ファイルを生成します。director は、このファイル overcloudrcstack ユーザーのホームディレクトリーに保存します。

手順

  1. source コマンドで overcloudrc ファイルを読み込みます。

    (undercloud)$ source ~/overcloudrc

    オーバークラウドにアクセスしていることを示すコマンドプロンプトに切り替わります。

    (overcloud)$
  2. アンダークラウドの操作に戻るには、stackrc ファイルを読み込みます。

    (overcloud)$ source ~/stackrc
    (undercloud)$

    アンダークラウドにアクセスしていることを示すコマンドプロンプトに切り替わります。

    (undercloud)$