2.6. Block Storage サービス (cinder) の Quality-of-Service
複数のパフォーマンス設定を単一の Quality-of-Service の仕様 (QoS スペック) にマッピングすることができます。これにより、ユーザータイプ別のパフォーマンス階層を提供することができます。
パフォーマンス設定はキーと値のペアとして QoS スペックにマッピングされます。これは、ボリュームの設定がボリューム種別に関連付けられる方法と似ています。ただし、QoS スペックの場合は以下の面でボリューム種別の場合とは異なります。
QoS スペックは、ディスクの読み取り/書き込み操作を制限するなどのパフォーマンス設定を適用するのに使用されます。利用可能かつサポートされているパフォーマンス設定はストレージドライバーによって異なります。
バックエンドがサポートしている QoS スペックを確認するには、そのバックエンドデバイスのボリュームドライバーのマニュアルを参照してください。
- QoS スペックとは異なり、ボリューム種別はボリュームに直接適用されます。QoS スペックは、ボリューム種別に関連付けられます。また、ボリュームの作成時にボリューム種別を指定すると、そのボリューム種別に関連付けられた QoS スペックにマッピングされたパフォーマンス設定も適用されます。
ボリュームの基本 QoS 値を使用して、ボリュームごとにボリュームのパフォーマンス制限を定義することができます。Block Storage サービスでは、以下のオプションがサポートされます。
-
read_iops_sec
-
write_iops_sec
-
total_iops_sec
-
read_bytes_sec
-
write_bytes_sec
-
total_bytes_sec
-
read_iops_sec_max
-
write_iops_sec_max
-
total_iops_sec_max
-
read_bytes_sec_max
-
write_bytes_sec_max
-
total_bytes_sec_max
-
size_iops_sec
2.6.1. Quality-of-Service 仕様の作成および設定
管理者は、QoS スペックの表で QoS スペックの作成および設定を行うことができます。同じ QoS スペックには、複数のキー/値のペアを関連付けることができます。
前提条件
- アンダークラウドの正常なインストール。詳細は、Installing director on the undercloud を参照してください。
- オーバークラウドの正常なデプロイメント。詳細は、Creating a basic overcloud with CLI tools を参照してください。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、Overcloud deployment output を参照してください。
手順
- Dashboard に管理ユーザーとしてログインして 管理 > ボリューム > ボリューム種別 を選択します。
- QoS スペック の表で QoS スペックの作成 をクリックします。
- QoS スペック の名前を入力します。
使用者 フィールドで、QoS ポリシーを適用する対象を指定します。
表2.1 使用者の種別
型 説明 back-end
QoS ポリシーが Block Storage バックエンドに適用されます。
front-end
QoS ポリシーが Compute に適用されます。
both
QoS ポリシーが Block Storage と Compute の両方に適用されます。
- Create をクリックします。新規 QoS スペックが QoS スペック の表に表示されるはずです。
- QoS スペック の表で、新規スペックの スペックの管理 アクションを選択します。
作成 をクリックして キー と 値 を指定します。キーと値のペアは有効である必要があります。有効でない場合には、ボリュームの作成時に、この QoS スペックに関連付けられたボリューム種別を指定するとエラーが発生してしまいます。
たとえば、読み取りの IOPS 上限を
500
に設定するには、以下のキー/値のペアを使用します。read_iops_sec=500
- Create をクリックします。関連付けられた設定 (キー/値のペア) が キーと値のペア の表に表示されます。
2.6.2. 容量ベースの Quality-of-Service 上限の設定
ボリュームの種別を使用して、容量ベースの Quality-of-Service (QoS) 上限をボリュームに実装することができます。これにより、プロビジョニングされるボリュームのサイズに基づいて、確定的な IOPS スループットを設定することができます。このように設定すると、ストレージリソースがユーザーにプロビジョニングされる方法が簡素化され、プロビジョニングされるボリュームのサイズに基づいて、事前に決定された (最終的には高度に予測可能な) スループット速度が提供されます。
特に、Block Storage サービスでは、実際にプロビジョニングされるサイズに基づいてボリュームに割り当てる IOPS を設定することができます。このスループットは、以下の QoS キーを使用して、1 GB あたりの IOPS で設定されます。
read_iops_sec_per_gb write_iops_sec_per_gb total_iops_sec_per_gb
これらのキーにより、プロビジョニングされるボリュームのサイズに応じてスケーリングするための読み取り、書き込み、IOPS 合計を設定することができます。たとえば、ボリューム種別に read_iops_sec_per_gb=500
を指定した場合には、プロビジョニングされる 3 GB のボリュームには、読み取り IOPS が 1500 に自動設定されます。
容量ベースの QoS 上限はボリューム種別ごとに設定され、通常の QoS スペックと同様に設定されます。また、これらの上限は配下の Block Storage サービスにより直接サポートされており、特定のドライバーに依存しません。
ボリューム種別に関する詳しい情報は、「ボリューム種別によるボリューム設定のグループ化」および「ボリューム種別の作成および設定」を参照してください。QoS スペックの設定方法については、「Block Storage サービス (cinder) の Quality-of-Service」を参照してください。
容量ベースの QoS 上限を使用して、接続済みのボリュームにボリューム種別を適用した場合 (またはボリューム種別を変更した場合) には、上限は適用されません。この上限は、そのボリュームをインスタンスから接続解除した後にのみ適用されます。
ボリューム種別の変更に関する情報は、「Block Storage のボリューム種別の変更」を参照してください。
2.6.3. Quality-of-Service 仕様とボリューム種別の関連付け
管理者は、ボリューム種別 の表で QoS スペックを既存のボリューム種別に関連付ける事ができます。
前提条件
- アンダークラウドの正常なインストール。詳細は、Installing director on the undercloud を参照してください。
- オーバークラウドの正常なデプロイメント。詳細は、Creating a basic overcloud with CLI tools を参照してください。
- Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) へのアクセス。詳細は、Overcloud deployment output を参照してください。
手順
- Dashboard に管理者としてログインして 管理 > ボリューム > ボリューム種別 を選択します。
- ボリューム種別 の表で、その種別の QoS スペックの関連付けの管理 のアクションを選択します。
- 関連付ける QoS スペック のリストから QoS スペックを選択します。既存のボリューム種別から QoS 仕様の関連付けを解除するには、None を選択します。
- 割り当て をクリックします。選択した QoS スペックが、編集したボリューム種別の Associated QOS Spec のコラムに表示されるようになります。