第1章 マルチセルオーバークラウドのデプロイメント
セルを使用して、大規模なデプロイメントのコンピュートノードをグループに分割することができます。それぞれのグループは、メッセージキューおよびインスタンス情報が含まれる専用のデータベースを持ちます。
デフォルトでは、director はすべてのコンピュートノードを単一のセルとしてオーバークラウドをインストールします。このセルには、すべての Compute サービスおよびデータベースならびにすべてのインスタンスおよびインスタンスのメタデータが含まれます。大規模なデプロイメントでは、複数のセルでオーバークラウドをデプロイし、多数のコンピュートノードに対応することができます。新しいオーバークラウドをインストールする際に、またはその後の任意の時に、セルを環境に追加することができます。
マルチセルのデプロイメントでは、それぞれのセルはセル固有の Compute サービスおよびデータベースのスタンドアロンコピーを実行し、そのセル内のインスタンスに関するメタデータだけを保管します。グローバルな情報とセルのマッピングは、グローバルなコントローラーセルに保管されます。このセルは、いずれかのセルに障害が発生した場合のセキュリティーとリカバリーを提供します。
既存のオーバークラウドにセルを追加する場合、デフォルトセルのコンダクターはスーパーコンダクターのロールも果たします。これは、デプロイメント内のセルとのコンダクターの通信およびオーバークラウドのパフォーマンスに悪影響を及ぼします。さらに、デフォルトのセルをオフラインにするとスーパーコンダクターもオフラインになり、オーバークラウドのデプロイメント全体が停止します。したがって、既存のオーバークラウドをスケーリングする場合は、デフォルトのセルにコンピュートノードを追加しないでください。その代わりに、作成する新しいセルにコンピュートノードを追加して、デフォルトのセルをスーパーコンダクターとして機能させます。
マルチセルオーバークラウドを作成するには、以下のタスクを実行する必要があります。
- 複数のセルを処理するようにオーバークラウドを設定およびデプロイします。
- デプロイメントに必要な新しいセルを作成およびプロビジョニングする。
- それぞれのセルにコンピュートノードを追加する。
- 各コンピュートセルをアベイラビリティーゾーンに追加します。
1.1. 前提条件
- 必要な数のコントローラーノードと共に基本的なオーバークラウドをデプロイしている。