第16章 ルーティング対応プロバイダーネットワークのデプロイ

16.1. ルーティング対応プロバイダーネットワークのメリット

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) では、Operator はルーティング対応プロバイダーネットワーク (RPN) を作成することができます。ルーティング対応プロバイダーネットワークは通常エッジデプロイメントで使用され、1 つのセグメントしか持たない従来のネットワークとは異なり、複数のレイヤー 2 ネットワークセグメントに基づきます。

エンドユーザー向けには 1 つのネットワークしか表示されないので、ルーティング対応プロバイダーネットワークによりクラウドが単純化されます。クラウドオペレーター向けには、ルーティング対応プロバイダーネットワークによりスケーラビリティーおよび耐障害性が提供されます。たとえば、重大なエラーが発生した場合でも、1 つのセグメントしか影響を受けず、ネットワーク全体で障害が発生することはありません。

ルーティングプロバイダーネットワークが導入される前、Operator は通常、次のアーキテクチャーのいずれかを選択する必要がありました。

  • 単一の大規模レイヤー 2 ネットワーク
  • 複数の小規模レイヤー 2 ネットワーク

単一の大規模レイヤー 2 ネットワークの場合、スケーリングによりネットワークが複雑になり、耐障害性が低下します (障害ドメインの数が増えます)。

複数の小規模レイヤー 2 ネットワークの場合、スケーリングへの対応は良好で障害ドメインの数は減りますが、エンドユーザーにとっては複雑になる可能性があります。

RHOSP 16.2 以降、Modular Layer 2 プラグインと Open Virtual Network メカニズムドライバーの組み合わせ(ML2/OVN)を使用して、ルーティング対応プロバイダーネットワークをデプロイできます。(ML2/Open vSwitch (OVS) および SR-IOV メカニズムドライバーに対するルーティング対応プロバイダーネットワークのサポートは、RHOSP 16.1.1 で導入されました。)