第21章 コントローラーが分割されたオーバークラウドのアップグレード

このシナリオでは、コントローラーノードサービスが複数のノードに分割されているオーバークラウドのアップグレードプロセスの例を説明します。この環境には、以下のノード種別が含まれます。

  • Pacemaker を使用する複数に分割された高可用性サービス
  • 複数に分割されたコントローラーサービス
  • Ceph MON ノード 3 台
  • Ceph Storage ノード 3 台
  • 複数の Compute ノード

21.1. オーバークラウドアップグレード準備の実行

アップグレードを行うには、openstack overcloud upgrade prepare コマンドを実行する必要があります。このコマンドにより、以下のタスクが実行されます。

  • オーバークラウドのプランを OpenStack Platform 16.2 に更新する。
  • アップグレードに向けてノードを準備する。
注記

デフォルトのスタック名 (overcloud) を使用していない場合は、--stack STACK NAME オプションでスタック名を設定します。STACK NAME は実際のスタック名に置き換えます。

手順

  1. stackrc ファイルを取得します。

    $ source ~/stackrc
  2. upgrade prepare コマンドを実行します。

    $ openstack overcloud upgrade prepare \
        --stack STACK NAME \
        --templates \
        -e ENVIRONMENT FILE
        …​
        -e /home/stack/templates/upgrades-environment.yaml \
        -e /home/stack/templates/rhsm.yaml \
        -e /home/stack/containers-prepare-parameter.yaml \
        -e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/services/neutron-ovs.yaml \
        …​

    以下のオプションの中で、お使いの環境に適切なオプションを追加します。

    • アップグレード固有のパラメーターが含まれる環境ファイル (upgrades-environment.yaml) (-e)
    • 登録およびサブスクリプションに関するパラメーターが含まれる環境ファイル (rhsm.yaml) (-e)
    • 新しいコンテナーイメージの場所を定義した環境ファイル (containers-prepare-parameter.yaml) (-e)。多くの場合、アンダークラウドが使用する環境ファイルと同じファイルです。
    • OVS との互換性を維持するための環境ファイル (neutron-ovs.yaml)
    • デプロイメントに関連するカスタム設定環境ファイル (-e)
    • 該当する場合は、--roles-file でカスタムロール (roles_data) ファイルを指定します。
    • 該当する場合は、--networks-file でコンポーザブルネットワーク (network_data) ファイルを指定します。
    • カスタムのスタック名を使用する場合は、--stack オプションでその名前を渡します。
  3. アップグレードの準備が完了するまで待ちます。
  4. コンテナーイメージをダウンロードします。

    $ openstack overcloud external-upgrade run --stack STACK NAME --tags container_image_prepare