2.7. アップグレードを妨げる可能性のある既知の問題
アップグレードの正常な完了に影響を及ぼす可能性のある、以下の既知の問題を確認してください。
- BZ#2228414 - Missing service_user for nova_compute causes nova hybrid state to fail
OpenStack Compute (nova) サービスと OpenStack Block (cinder) サービスには、サービストークンが必要になりました。Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 13 から 16.2 へのアップグレード中に、サービストークンが設定されていない場合、ライブマイグレーションは失敗し、
nova-compute.log
に次のエラーが記録されます。"2023-xx-xx xx:xx:xx.xxx 8 ERROR oslo_messaging.rpc.server […] Exception during message handling: cinderclient.exceptions.ClientException: ConflictNovaUsingAttachment: Detach volume from instance XXXXXX using the Compute API (HTTP 409) (Request-ID: req-XXXXXX)"
この問題を回避するには、RHBA-2023:5163 - バグ修正アドバイザリー の修正を適用します。この修正は、アンダークラウドのアップグレード後、そしてオーバークラウドの導入開始前に適用する必要があります。
- BZ#1902849 - 以前に osp8、osp10 からアップグレードしたクラスターで osp13-osp16.1 ffu が失敗する
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以前にバージョン RHOSP 10 からアップグレードした Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境には、BZ#1902849 を避けるために
python-docker
パッケージが必要です。詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション osp13-osp16.1 ffu fails on older environments missing python-docker package を参照してください。 - BZ#1925078 - RHOSP13-16.1 FFU: 間違った ceph イメージを参照して失敗した後、オーバークラウドのアップグレードがコントローラーで停止する
OSP13 で UEFI ブートおよび UEFI ブートローダーを使用するシステムは、UEFI の問題が発生し以下のような状況に陥る可能性があります。
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/etc/fstab
が更新されない - EFI システムで grub-install が誤って使用される
詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション FFU 13 to 16.1: Leapp fails to update the kernel on UEFI based systems and /etc/fstab does not contain the EFI partition を参照してください。
システムで UEFI が使用されている場合は、Red Hat Technical Support にお問い合わせください。
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- BZ#1895887 - [FFWD] ovs+dpdk fail to attach device OvsDpdkHCI
Leapp ユーティリティーを使用してアップグレードした後、OVS-DPDK 負荷を持つ Compute ノードが正しく機能しません。この問題を解決するには、次のいずれかの操作を行います。
Compute ノードをアップグレードする前に、
/etc/modules-load.d/vfio-pci.conf
ファイルを削除します。または、以下を実行します。
Compute ノードのアップグレード後に、Compute ノードで
ovs-vswitchd
サービスを再起動します。この問題は RHOSP 16.1.3 に影響を及ぼします。詳細については、Red Hat ナレッジベースのソリューション OVS-DPDK errors after Framework Upgrade from OSP 13 to 16.1 on HCI compute node を参照してください。
- BZ#1923165 - OSP-16.2 (Upgrades)(TripleO) Add a config to disable Intel "TSX" on RHEL-8.3 kernel
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) バージョン 8.3 以降、Intel Transactional Synchronization Extensions (TSX) 機能のサポートはデフォルトで無効になっています。これにより、以下の移行シナリオにおけるホスト間でのインスタンスのライブマイグレーションで問題が発生します。
- TSX カーネル引数が有効なホストから TSX カーネル引数が無効なホストへの移行。
TSX 機能をサポートする Intel ホストでは、ライブマイグレーションに失敗する場合があります。この問題の影響を受ける CPU の詳細は、Affected Configurations を参照してください。
詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション Guidance on Intel TSX impact on OpenStack guests を参照してください。
- BZ#2016144 - FFU 13-16.1: Leapp アップグレードの再起動時に openvswitch が
Starting ovsdb-server ovsdb-server: /var/run/openvswitch/ovsdb-server.pid.tmp: create failed (Permission denied)
とのエラーで起動に失敗する -
以前のバージョンからアップグレードされた Red Hat Open Stack Platform (RHOSP) 環境には、
/etc/systemd/system/ovs*
に不要なファイルが含まれている可能性があります。RHOSP 13 から RHOSP 16.2 へのオーバークラウドのアップグレードプロセスを開始する前に、これらのファイルを削除する必要があります。 - BZ#2021525 - openstack overcloud upgrade run times out / HAProxy container fails to start
- Red Hat Open Stack Platform (RHOSP) 13 から RHOSP 16.2 へのアップグレードは、無効な SELinux ラベルが原因でデプロイメントステップ中に失敗することがあります。解決策や詳細については、Red Hat ナレッジベースのソリューションPacemaker managed services might not restart during an OSP13 - OSP16.x FFUを参照してください。
- BZ#2027787 - Undercloud upgrade to 16.2 fails because of missing dependencies of swtpm
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advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpm
およびadvanced-virt-for-rhel-8-x86_64-eus-rpm
リポジトリーには、アップグレードが正常に行われないという既知の問題があります。アップグレード前にこれらのリポジトリーを無効にするには、Red Hat ナレッジベースのソリューション advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms are no longer required in OSP 16.2 を参照してください。 - BZ#2024447 - FFU RHOSP 13 から 16 の FFU 実行中に、配置ユーザーの ID サービス (keystone) パスワードが NovaPassword によって上書きされていた
Red Hat OpenStack Platform 13 から 16.2 へのアップグレード中に、
NovaPassword
パラメーターの値を定義し、PlacementPassword
パラメーターの値を定義しない場合、NovaPassword
パラメーターは配置ユーザーの OpenStack Identity サービス (keystone) パスワードをオーバーライドします。Identity サービスのパスワードを保存するには、parameter_defaults
セクションにNovaPassword
またはPlacementPassword
を設定しないでください。parameter_defaults
セクションで両方のパスワードを設定すると、Compute ノードはアップグレードされるまでコントロールプレーンと通信できなくなる可能性があります。Compute ノードのアップグレードの詳細は、Compute ノードのアップグレード を参照してください。また、
NovaPassword
、PlacementPassword
のいずれか、またはその両方を使用してオーバークラウドを RHOSP 13 にデプロイしている場合、これらのパスワードをテンプレートから削除し、RHOSP 16.2 にアップグレードする前に RHOSP 13 でopenstack overcloud deploy
コマンドを実行する必要があります。- BZ#2141186 - インプレースアップグレード中の qemu エラーが原因でライブマイグレーションが失敗する
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 13 から RHOSP 16.2 へのインプレースアップグレード中またはアップグレード後に、次の設定のインスタンスで 16.2 Compute ノード間のライブマイグレーションが失敗します。
- マルチキューが有効になっています。
- 割り当てられた vcps の数は 9 つ以上です。
- インスタンスは RHOSP 13 で実行されています。
アップグレード中に Compute ノードを正常に移行するには、次のパラメーターをカスタム環境ファイルに追加します。
parameter_defaults: ComputeExtraConfig: nova::compute::libvirt::max_queues: 8
アップグレード中に次のコマンドを実行するときに、更新されたカスタム環境ファイルを含めます。
-
openstack overcloud upgrade prepare
-
openstack overcloud upgrade converge
オプションで、アップグレードの完了後、
openstack overcloud deploy
コマンドを実行するときに、カスタム環境ファイルをパラメーターとともに含めます。詳細は、Red Hat ナレッジベースのソリューション Live migration fails due to qemu error in in-place upgrades environment 参照してください。
- BZ#2141393 - cephvolumescan アクターが失敗する
環境に Ceph コンテナーと非 Ceph コンテナーの両方が含まれている場合、
cephvolumescan
アクターが ceph ボリュームリストを取得できないため、Leapp のアップグレードは失敗します。cephvolumescan
アクターを無効にして Leapp のアップグレードを完了するには、次のパラメーターをテンプレートに追加します。parameter_defaults: LeappActorsToRemove: ['cephvolumescan']
- BZ#2164396 - FFU: Redhat satellite tools repository to be enabled for FFU (13 to 16.2)
- Satellite バージョン 6.7 を使用している場合、Red Hat Satellite Tools for RHEL 8 Server RPMs x86_64 リポジトリーを有効にすると、アップグレードが失敗します。この失敗は、適切なパッケージをインストールできないために発生します。Red Hat エンジニアリングチームは現在、この問題を調査しています。
- BZ#2245602 - Upgrade (OSP16.2 →OSP17.1) controller-0 does not perform leapp upgrade due to packages missing ovn2.15 openvswitch2.15
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 13 から 16.1 または 16.2 にアップグレードする場合、または RHOSP 16.2 から 17.1 にアップグレードする場合は、
--answers-fileanswer-upgrade.yaml
ファイルにsystem_upgrade.yaml
ファイルを含めないでください。そのファイルにsystem_upgrade.yaml
ファイルが含まれていると、environments/lifecycle/upgrade-prepare.yaml
ファイルによってsystem_upgrade.yaml
ファイル内のパラメーターが上書きされます。この問題を回避するには、system_upgrade.yaml
ファイルをopenstack overcloud upgrade prepare
コマンドに追加します。以下に例を示します。$ openstack overcloud upgrade prepare --answers-file answer-upgrade.yaml / -r roles-data.yaml / -n networking-data.yaml / -e system_upgrade.yaml / -e upgrade_environment.yaml /
この回避策を使用すると、
system_upgrade.yaml
ファイルで設定されているパラメーターによって、environments/lifecycle/upgrade-prepare.yaml
ファイルのデフォルトのパラメーターが上書きされます。
Red Hat Ceph Storage の問題
- BZ#1855813 - Ceph ツールのリポジトリーは外部アップグレードを実行する前かつコンバージ後のみに RHCS3 から RHCS4 に切り替える必要がある
-
アンダークラウド上の
ceph-ansible
Playbook コレクションにより、オーバークラウド上に Red Hat Ceph Storage コンテナーがデプロイされます。環境をアップグレードするには、アップグレードプロセス中 Ceph Storage 3 コンテナーを維持するために、Red Hat Ceph Storage 3 バージョンのceph-ansible
が必要です。本ガイドには、Ceph Storage 4 へのアップグレード準備が整うまで、アップグレードプロセス中ceph-ansible
バージョン 3 を維持する手順が含まれています。13 から 16.2 へのアップグレードを実施する前に、Red Hat OpenStack Platform 13 環境のマイナーバージョン更新を実施し、ceph-ansible
のバージョンが 3.2.46 以降になるようにしてください。