第8章 オーバークラウドのデプロイ前に行うベアメタルノードのプロビジョニング

重要

この機能は、本リリースでは テクノロジープレビュー として提供しているため、Red Hat では全面的にはサポートしていません。これは、テスト用途にのみご利用いただく機能です。実稼働環境にはデプロイしないでください。テクノロジープレビュー機能についての詳しい情報は、対象範囲の詳細 を参照してください。

オーバークラウドのデプロイメントプロセスには、2 つの主要な操作があります。

  • ノードのプロビジョニング
  • オーバークラウドのデプロイ

これらの操作を別個のプロセスに分割すると、このプロセスに伴うリスクの一部を軽減し、より効率的に障害点を特定することができます。

  1. ベアメタルノードをプロビジョニングする。

    1. ノード定義ファイルを yaml 形式で作成します。
    2. ノード定義ファイルを指定して、プロビジョニングコマンドを実行します。
  2. オーバークラウドをデプロイする。

    1. プロビジョニングコマンドにより生成される heat 環境ファイルを指定して、デプロイメントコマンドを実行します。

プロビジョニングプロセスにより、ノードがプロビジョニングされ、ノード数、予測可能なノード配置、カスタムイメージ、カスタム NIC 等のさまざまなノード仕様が含まれる heat 環境ファイルが生成されます。オーバークラウドをデプロイする際に、このファイルをデプロイメントコマンドに追加します。

重要

事前にプロビジョニングされたノードと director がプロビジョニングしたノードを組み合わせることはできません。

8.1. オーバークラウドノードの登録

ディレクターには、ノードのハードウェアと電源管理の詳細を指定するノード定義テンプレートが必要です。このテンプレートは、JSON 形式の nodes.json または YAML 形式の nodes.yaml で作成できます。

手順

  1. ノードをリスト表示する nodes.json または nodes.yaml という名前のテンプレートを作成します。以下の例に示す JSON および YAML テンプレートを使用して、ノード定義のテンプレートを設定する方法を説明します。

    JSON テンプレートの例

    {
      "nodes": [{
        "name": "node01",
        "ports": [{
          "address": "aa:aa:aa:aa:aa:aa",
          "physical_network": "ctlplane",
          "local_link_connection": {
            "switch_id": "52:54:00:00:00:00",
            "port_id": "p0"
          }
        }],
        "cpu": "4",
        "memory": "6144",
        "disk": "40",
        "arch": "x86_64",
        "pm_type": "ipmi",
        "pm_user": "admin",
        "pm_password": "p@55w0rd!",
        "pm_addr": "192.168.24.205"
      },
      {
        "name": "node02",
        "ports": [{
          "address": "bb:bb:bb:bb:bb:bb",
          "physical_network": "ctlplane",
          "local_link_connection": {
            "switch_id": "52:54:00:00:00:00",
            "port_id": "p0"
          }
        }],
        "cpu": "4",
        "memory": "6144",
        "disk": "40",
        "arch": "x86_64",
        "pm_type": "ipmi",
        "pm_user": "admin",
        "pm_password": "p@55w0rd!",
        "pm_addr": "192.168.24.206"
      }]
    }

    YAML テンプレートの例

    nodes:
      - name: "node01"
        ports:
          - address: "aa:aa:aa:aa:aa:aa"
            physical_network: ctlplane
            local_link_connection:
              switch_id: 52:54:00:00:00:00
              port_id: p0
        cpu: 4
        memory: 6144
        disk: 40
        arch: "x86_64"
        pm_type: "ipmi"
        pm_user: "admin"
        pm_password: "p@55w0rd!"
        pm_addr: "192.168.24.205"
      - name: "node02"
        ports:
          - address: "bb:bb:bb:bb:bb:bb"
            physical_network: ctlplane
            local_link_connection:
              switch_id: 52:54:00:00:00:00
              port_id: p0
        cpu: 4
        memory: 6144
        disk: 40
        arch: "x86_64"
        pm_type: "ipmi"
        pm_user: "admin"
        pm_password: "p@55w0rd!"
        pm_addr: "192.168.24.206"

    このテンプレートには、以下の属性が含まれます。

    name
    ノードの論理名
    ポート

    特定の IPMI デバイスにアクセスするためのポート次の任意のポート属性を定義できます。

    • address: ノード上のネットワークインターフェイスの MAC アドレス。各システムのプロビジョニング NIC の MAC アドレスのみを使用します。
    • physical_network: プロビジョニング NIC に接続されている物理ネットワーク。
    • local_link_connection: IPv6 プロビジョニングを使用し、イントロスペクション中に LLDP がローカルリンク接続を正しく反映しない場合は、local_link_connection パラメーターの switch_id および port_id フィールドにダミーのデータを含める必要があります。偽のデータを含める方法の詳細は、Using director introspection to collect bare metal node hardware information を参照してください。
    cpu
    (オプション) ノード上の CPU 数
    memory
    (オプション) メモリーサイズ (MB 単位)
    disk
    (オプション) ハードディスクのサイズ (GB 単位)
    arch

    (オプション) システムアーキテクチャー

    重要

    マルチアーキテクチャークラウドをビルドする場合には、x86_64 アーキテクチャーを使用するノードと ppc64le アーキテクチャーを使用するノードを区別するために arch キーが必須です。

    pm_type

    使用する電源管理ドライバー。この例では IPMI ドライバー (ipmi) を使用しています。

    注記

    IPMI が推奨されるサポート対象電源管理ドライバーです。サポートされている電源管理の種類とそのオプションの詳細は、電源管理ドライバー を参照してください。それらの電源管理ドライバーが想定どおりに機能しない場合には、電源管理に IPMI を使用してください。

    pm_user、pm_password
    IPMI のユーザー名およびパスワード
    pm_addr
    IPMI デバイスの IP アドレス
  2. テンプレートを作成したら、以下のコマンドを実行してフォーマットおよび構文を検証します。

    $ source ~/stackrc
    (undercloud)$ openstack overcloud node import --validate-only ~/nodes.json
    重要

    マルチアーキテクチャーノードの場合は、--http-boot /var/lib/ironic/tftpboot/ オプションも追加する必要があります。

  3. ファイルをstack ユーザーのホームディレクトリー (/home/stack/nodes.json) に保存します。
  4. テンプレートを director にインポートして、各ノードをテンプレートから director に登録します。

    (undercloud)$ openstack overcloud node import ~/nodes.json
    注記

    UEFI ブートモードを使用する場合は、各ノードでブートモードも設定する必要があります。UEFI ブートモードを設定せずにノードをイントロスペクトすると、ノードはレガシーモードでブートします。詳細は、Setting the boot mode to UEFI boot mode を参照してください。

  5. ノードの登録および設定が完了するまで待ちます。完了したら、ノードが director に正しく登録されていることを確認します。

    (undercloud)$ openstack baremetal node list