OpenStack Dashboard の概要

Red Hat OpenStack Platform 16.2

Red Hat OpenStack Platform Dashboard グラフィカルユーザーインターフェイスの概要

OpenStack Documentation Team

概要

このガイドでは、Red Hat OpenStack Platform Dashboard のユーザーインターフェイスで利用可能なオプションについて説明します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。

Red Hat ドキュメントへのフィードバック (英語のみ)

Red Hat ドキュメントに対するご意見をお聞かせください。ドキュメントの改善点があればお知らせください。

Jira でドキュメントのフィードバックを提供する

ドキュメントに関するフィードバックを提供するには、Create Issue フォームを使用します。Red Hat OpenStack Platform Jira プロジェクトで Jira Issue が作成され、フィードバックの進行状況を追跡できます。

  1. Jira にログインしていることを確認してください。Jira アカウントをお持ちでない場合は、アカウントを作成してフィードバックを送信してください。
  2. Create Issue をクリックして、Create Issue ページを開きます。
  3. Summary フィールドと Description フィールドに入力します。Description フィールドに、ドキュメントの URL、章またはセクション番号、および問題の詳しい説明を入力します。フォーム内の他のフィールドは変更しないでください。
  4. Create をクリックします。

第1章 Red Hat OpenStack Platform Dashboard サービス (horizon)

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) は、RHOSP サービスの管理に使用できる Web ベースのグラフィカルユーザーインターフェイスです。

ブラウザーで Dashboard にアクセスするには、Dashboard Service がインストール済みで、かつその Dashboard のホスト名または IP アドレス、およびログインパスワードが必要です。Dashboard の URL は、以下のような形式です。

http://HOSTNAME/dashboard/

1.1. Admin タブ

Admin タブでは、使用状況の確認や、インスタンス、ボリューム、フレーバー、イメージ、プロジェクト、ユーザー、サービス、クォータを管理できます。

注記

Admin タブは、管理ユーザーとしてログインしている場合にメインウィンドウに表示されます。

以下のオプションは Admin タブから利用できます。

表1.1 システムパネル

パラメーター名説明

Overview

基本的なレポートを表示します。

Resource Usage

以下のタブを使用して、それぞれの使用状況を表示します。

  • Usage Report: 使用状況のレポートを表示します。
  • Stats: 全リソースの統計情報を表示します。

Hypervisors

ハイパーバイザーの概要を表示します。

Host Aggregates

ホストアグリゲートを表示、作成、編集します。アベイラビリティーゾーンのリストを表示します。

Instances

全プロジェクトではなく、一部のプロジェクトのユーザーに属する実行中のインスタンスを表示、一時停止、再開、休止、移行、ソフトリブート/ハードリブート、削除します。また、インスタンスのログを表示したり、コンソールを使用してインスタンスにアクセスしたりします。

Volumes

ボリュームおよびボリュームタイプを表示、作成、編集、削除します。

Flavors

フレーバーを表示、作成、編集、削除したり、その追加スペックを表示したりします。フレーバーとは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 内の仮想ハードウェアのテンプレートです。

Images

カスタムイメージを表示、作成、削除し、イメージのプロパティーを編集します。

Networks

ネットワークを表示、作成、削除し、ネットワークのプロパティーを編集します。

Routers

ルーターを表示、作成、削除し、ルーターのプロパティーを編集します。

Floating IP

すべてのプロジェクトについて、割り当てられた Floating IP アドレスを表示します。

Defaults

環境内のリソースのデフォルトクォータ (上限) を表示、編集します。

Metadata Definitions

メタデータ定義の名前空間をインポート、表示、編集して、メタデータ定義を特定のリソースタイプと関連付けます。

System Information

次のタブがあります。

  • Services: サービス一覧を表示します。
  • Compute Services: すべてのコンピュートサービスを一覧表示します。
  • Network Agents: ネットワークエージェントを表示します。
  • Block Storage Services: すべての Block Storage サービスを一覧表示します。
  • Orchestration Services: すべての Orchestration サービスを一覧表示します。

1.1.1. 割り当てられた Floating IP アドレスの表示

Floating IP パネルを使用して、割り当てられた Floating IP アドレスの一覧を表示できます。nova list --all-projects コマンドを使用して、コマンドラインから同じ情報にアクセスできます。

1.2. Project タブ

Project タブでは、プロジェクトリソースを表示および管理できます。Identity > Projects でプロジェクトを有効な状態に設定し、対象プロジェクトのリソースを表示、管理します。

以下のオプションは Project タブから利用できます。

表1.2 Compute タブ

パラメーター名説明

Overview

プロジェクトのレポートを表示します。

Instances

インスタンスの表示、起動、停止、一時停止、リブートや、インスタンスからのスナップショットの作成、コンソールからインスタンスへの接続を実行します。

Volumes

以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。

  • Volumes: ボリュームを表示、作成、編集、削除します。
  • Volume Snapshots: ボリュームのスナップショットを表示、作成、編集、削除します。

Images

プロジェクトユーザーが作成したイメージ、インスタンスのスナップショット、ボリュームのスナップショット、および公開されているイメージを表示します。イメージを作成、編集、削除したり、イメージやスナップショットからインスタンスを起動します。

Access & Security

以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。

  • Security Groups: セキュリティーグループおよびセキュリティーグループのルールを表示、作成、編集、削除します。
  • Key Pairs: キーペアを表示、作成、編集、インポート、削除します。
  • Floating IP: IP アドレスをプロジェクトに割り当てたり、プロジェクトから割り当てを解除したりします。
  • API Access: API エンドポイントの表示、OpenStack RC ファイルのダウンロード、EC2 認証情報のダウンロード、現在のプロジェクトユーザーの認証情報の表示を行います。

表1.3 Network タブ

パラメーター名説明

Network Topology

対話型のネットワークトポロジーを表示します。

Networks

パブリックネットワークおよびプライベートネットワークとサブネットを作成、管理します。

Routers

ルーターを作成、管理します。

Trunks

トランクを作成、管理します。OpenStack Networking (neutron) で trunk 拡張機能を有効にする必要があります。

表1.4 Object Store タブ

パラメーター名説明

Containers

ストレージコンテナーを作成および管理します。コンテナーとは、データ用のストレージコンパートメントで、データの整理に使用できます。Linux のファイルディレクトリーと概念が似ていますが、ネストできません。

表1.5 Orchestration タブ

パラメーター名説明

Stacks

OpenStack ネイティブの REST API と CloudFormation 互換の Query API の両方を介し、テンプレートを使用して、複数の複合クラウドプラットフォームをオーケストレーションします。

1.3. Identity タブ

Identity タブでは、プロジェクトおよびユーザーを表示、管理できます。

以下のオプションは Identity タブから利用できます。

  • Projects: プロジェクトの表示、作成、編集、削除、プロジェクト使用状況の表示、プロジェクトメンバーとしてのユーザーの追加や削除、クォータの変更、有効なプロジェクトの設定を行います。
  • Users: ユーザーの表示、作成、編集、無効化、削除とユーザーパスワードの変更を行います。Users タブは、管理ユーザーとしてログインしている場合に利用できます。

Red Hat OpenStack Platform Dashboard を使用したクラウド管理について、詳細は以下のガイドを参照してください。

第2章 Dashboard のカスタマイズ

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) では、horizon コンテナー内に保管されるデフォルトのテーマ (RCUE) が使用されます。独自のテーマをコンテナーイメージに追加し、特定のパラメーターをカスタマイズして Dashboard の以下の要素の外観と操作感を変更できます。

  • ロゴ
  • サイトの色
  • スタイルシート
  • HTML タイトル
  • サイトのブランディングリンク
  • ヘルプの URL
注記

変更後の RHOSP コンテナーイメージが Red Hat コンテナーのサポートポリシー に準拠していなければサポートは継続されません。

2.1. horizon コンテナーイメージの取得

horizon コンテナーイメージのコピーを取得するには、イメージをアンダークラウドまたは podman を実行する別のクライアントシステムのいずれかにプルします。

手順

  • horizon コンテナーイメージをプルします。

    $ sudo podman pull registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.2

    イメージ変更のベースとして、このイメージを使用できます。

2.2. RCUE テーマの取得

デフォルトでは、horizon コンテナーイメージは Red Hat ブランドの RCUE テーマを使用します。コンテナーイメージからテーマのコピーを抽出して、自分専用のテーマのベースとして使用できます。

手順

  1. 自分専用テーマのディレクトリーを作成します。

    $ mkdir ~/horizon-themes
    $ cd ~/horizon-themes
  2. null ループを実行するコンテナーを起動します。たとえば、以下のコマンドを実行します。

    $ sudo podman run --rm -d --name horizon-temp registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.2 /usr/bin/sleep infinity
  3. RCUE テーマをコンテナーからローカルディレクトリーにコピーします。

    $ sudo podman cp horizon-temp:/usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/rcue .
  4. 次のコマンドで、コンテナーを終了します。

    $ sudo podman kill horizon-temp

    結果: これで、RCUE テーマのローカルコピーができました。

2.3. RCUE をベースにした自分専用テーマの作成

RCUE をベースとして使用するには、RCUE テーマのディレクトリー rcue 全体を新しい場所にコピーします。以下の手順では、名前の例として mytheme を使用しています。

手順

  • テーマをコピーします。

    $ cp -r rcue mytheme

テーマの色、グラフィックス、フォント、およびその他の要素を変更するには、mytheme 内のファイルを編集します。このテーマを編集する場合は、パス、ファイル、ディレクトリーを含む rcue のすべてのインスタンスを確認し、それらを新しい mytheme の名前に変更してください。

2.4. 自分専用テーマを有効にして dashboard をカスタマイズするためのファイルの作成

dashboard コンテナー内の自分専用テーマを有効にするには、AVAILABLE_THEMES パラメーターを上書きするファイルを作成する必要があります。以下の手順では、名前の例として mytheme を使用しています。

手順

  1. horizon-themes ディレクトリー内に _12_mytheme_theme.py という名前の新たなファイルを作成し、以下の内容を追加します。

    AVAILABLE_THEMES = [('mytheme', 'My Custom Theme', 'themes/mytheme')]

    ファイル名の 12 により、このファイルが 11 を使用する RCUE ファイルの後に読み込まれ、AVAILABLE_THEMES パラメーターが上書きされます。

  2. オプション: _12_mytheme_theme.py ファイルで、カスタムパラメーターを設定することもできます。以下の例を参考にしてください。

    SITE_BRANDING

    ブラウザーウィンドウの上部に表示される HTML タイトルを設定します。

    SITE_BRANDING = "Example, Inc. Cloud"
    SITE_BRANDING_LINK

    デフォルトでは、テーマのロゴのハイパーリンクは horizon:user_home にリダイレクトします。

    SITE_BRANDING_LINK = "http://example.com"

2.5. 変更した horizon イメージの生成

カスタムテーマの作成が完了したら、自分専用テーマを使用する新たなコンテナーイメージを作成できます。以下の手順では、名前の例として mytheme を使用しています。

手順

  1. 以下の例に示すように、Dockerfile を使用して、元の horizon イメージをベースにコンテナーイメージを生成します。

    FROM registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon
    MAINTAINER Acme
    LABEL name="rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme" vendor="Acme" version="0" release="1"
    COPY mytheme /usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/mytheme
    COPY _12_mytheme_theme.py /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py
    RUN sudo chown apache:apache /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py
  2. このファイルを Dockerfile という名前で horizon-themes ディレクトリーに保存します。
  3. Dockerfile を使用して新しいイメージを生成します。

    $ sudo podman build . -t "172.24.10.10:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5" --log-level debug

    -t オプションで、生成されるイメージに名前およびタグを付けます。このオプションには、以下の構文を使用します。

    [LOCATION]/[NAME]:[TAG]
    LOCATION
    最終的にオーバークラウドがイメージをプルするために通常使用するコンテナーレジストリーの場所です。ここでは、このイメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュするので、この項目をアンダークラウドの IP アドレスおよびポートに設定します。
    名前
    一貫性を保つため、通常は元のコンテナーイメージと同じ名前で、その後はユーザー独自のテーマの名前になります。ここでは、rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme になります。
    TAG
    イメージのタグです。Red Hat では、このタグのベースとして version および release ラベルを使用します。このイメージの新しいバージョンを生成する場合は、release の数字を増やします (例: 0-2)。
  4. イメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュします。

    $ sudo openstack tripleo container image push --local 172.24.10.10:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5
  5. イメージがローカルレジストリーにアップロードされたことを確認します。

      [stack@director horizon-themes]$ curl http://172.24.10.10:8787/v2/_catalog | jq .repositories[] | grep -i hori
      "rhosp-rhel8/openstack-horizon"
      [stack@director horizon-themes]$
    
      [stack@director ~]$ sudo openstack tripleo container image list | grep hor
      | docker://director.ctlplane.localdomain:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.0-84
      | docker://director.ctlplane.localdomain:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5  <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<,Uploaded
      [stack@director ~]$
重要

Red Hat OpenStack Platform を更新またはアップグレードする場合は、新しい horizon イメージにテーマを再度適用し、変更したイメージの新しいバージョンをアンダークラウドにプッシュする必要があります。

2.6. 変更したコンテナーイメージのオーバークラウドでの使用

変更したコンテナーイメージをオーバークラウドのデプロイメントに使用するには、コンテナーイメージの場所のリストが含まれる環境ファイルを編集します。通常、この環境ファイルの名前は overcloud-images.yaml です。以下の手順では、名前の例として mytheme を使用しています。

手順

  1. DockerHorizonConfigImage および DockerHorizonImage パラメーターを編集して、変更したコンテナーイメージを指すようにします。

    parameter_defaults:
      ...
      ContainerHorizonConfigImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1
      ContainerHorizonImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1
      ...
  2. この新しいバージョンの overcloud-images.yaml ファイルを保存します。

2.7. puppet パラメーターの編集

director には、環境ファイルを使用して変更できる Dashboard のパラメーターセットが用意されています。

手順

  • ExtraConfig パラメーターを使用して Puppet hieradata を設定します。たとえば、デフォルトのヘルプ URL は Red Hat OpenStack Platform の製品ドキュメント を指しています。この URL を変更するには、以下の環境ファイルの内容を使用して、URL を置き換えます。

    parameter_defaults:
      ExtraConfig:
        horizon::help_url: "http://openstack.example.com"

2.8. Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドのデプロイ

手順

  • Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドをデプロイするには、openstack overcloud deploy コマンドで以下の環境ファイルを指定します。

    • 変更したコンテナーイメージの場所を定義した環境ファイル
    • 追加の dashboard 変更を定義した環境ファイル
    • ユーザーのオーバークラウド設定に関連するその他すべての環境ファイル

      $ openstack overcloud deploy --templates \
          -e /home/stack/templates/overcloud-images.yaml \
          -e /home/stack/templates/help_url.yaml \
          [OTHER OPTIONS]

法律上の通知

Copyright © 2024 Red Hat, Inc.
The text of and illustrations in this document are licensed by Red Hat under a Creative Commons Attribution–Share Alike 3.0 Unported license ("CC-BY-SA"). An explanation of CC-BY-SA is available at http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/. In accordance with CC-BY-SA, if you distribute this document or an adaptation of it, you must provide the URL for the original version.
Red Hat, as the licensor of this document, waives the right to enforce, and agrees not to assert, Section 4d of CC-BY-SA to the fullest extent permitted by applicable law.
Red Hat, Red Hat Enterprise Linux, the Shadowman logo, the Red Hat logo, JBoss, OpenShift, Fedora, the Infinity logo, and RHCE are trademarks of Red Hat, Inc., registered in the United States and other countries.
Linux® is the registered trademark of Linus Torvalds in the United States and other countries.
Java® is a registered trademark of Oracle and/or its affiliates.
XFS® is a trademark of Silicon Graphics International Corp. or its subsidiaries in the United States and/or other countries.
MySQL® is a registered trademark of MySQL AB in the United States, the European Union and other countries.
Node.js® is an official trademark of Joyent. Red Hat is not formally related to or endorsed by the official Joyent Node.js open source or commercial project.
The OpenStack® Word Mark and OpenStack logo are either registered trademarks/service marks or trademarks/service marks of the OpenStack Foundation, in the United States and other countries and are used with the OpenStack Foundation's permission. We are not affiliated with, endorsed or sponsored by the OpenStack Foundation, or the OpenStack community.
All other trademarks are the property of their respective owners.