OpenStack Dashboard の概要
Red Hat OpenStack Platform Dashboard グラフィカルユーザーインターフェイスの概要
OpenStack Documentation Team
rhos-docs@redhat.com
概要
多様性を受け入れるオープンソースの強化
Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、Red Hat CTO である Chris Wright のメッセージ をご覧ください。
Red Hat ドキュメントへのフィードバック (英語のみ)
Red Hat ドキュメントに対するご意見をお聞かせください。ドキュメントの改善点があればお知らせください。
Jira でドキュメントのフィードバックを提供する
ドキュメントに関するフィードバックを提供するには、Create Issue フォームを使用します。Red Hat OpenStack Platform Jira プロジェクトで Jira Issue が作成され、フィードバックの進行状況を追跡できます。
- Jira にログインしていることを確認してください。Jira アカウントをお持ちでない場合は、アカウントを作成してフィードバックを送信してください。
- Create Issue をクリックして、Create Issue ページを開きます。
- Summary フィールドと Description フィールドに入力します。Description フィールドに、ドキュメントの URL、章またはセクション番号、および問題の詳しい説明を入力します。フォーム内の他のフィールドは変更しないでください。
- Create をクリックします。
第1章 Red Hat OpenStack Platform Dashboard サービス (horizon)
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) は、RHOSP サービスの管理に使用できる Web ベースのグラフィカルユーザーインターフェイスです。
ブラウザーで Dashboard にアクセスするには、Dashboard Service がインストール済みで、かつその Dashboard のホスト名または IP アドレス、およびログインパスワードが必要です。Dashboard の URL は、以下のような形式です。
http://HOSTNAME/dashboard/
1.1. Admin タブ
Admin タブでは、使用状況の確認や、インスタンス、ボリューム、フレーバー、イメージ、プロジェクト、ユーザー、サービス、クォータを管理できます。
Admin タブは、管理ユーザーとしてログインしている場合にメインウィンドウに表示されます。
以下のオプションは Admin タブから利用できます。
表1.1 システムパネル
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
Overview | 基本的なレポートを表示します。 |
Resource Usage | 以下のタブを使用して、それぞれの使用状況を表示します。
|
Hypervisors | ハイパーバイザーの概要を表示します。 |
Host Aggregates | ホストアグリゲートを表示、作成、編集します。アベイラビリティーゾーンのリストを表示します。 |
Instances | 全プロジェクトではなく、一部のプロジェクトのユーザーに属する実行中のインスタンスを表示、一時停止、再開、休止、移行、ソフトリブート/ハードリブート、削除します。また、インスタンスのログを表示したり、コンソールを使用してインスタンスにアクセスしたりします。 |
Volumes | ボリュームおよびボリュームタイプを表示、作成、編集、削除します。 |
Flavors | フレーバーを表示、作成、編集、削除したり、その追加スペックを表示したりします。フレーバーとは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 内の仮想ハードウェアのテンプレートです。 |
Images | カスタムイメージを表示、作成、削除し、イメージのプロパティーを編集します。 |
Networks | ネットワークを表示、作成、削除し、ネットワークのプロパティーを編集します。 |
Routers | ルーターを表示、作成、削除し、ルーターのプロパティーを編集します。 |
Floating IP | すべてのプロジェクトについて、割り当てられた Floating IP アドレスを表示します。 |
Defaults | 環境内のリソースのデフォルトクォータ (上限) を表示、編集します。 |
Metadata Definitions | メタデータ定義の名前空間をインポート、表示、編集して、メタデータ定義を特定のリソースタイプと関連付けます。 |
System Information | 次のタブがあります。
|
1.1.1. 割り当てられた Floating IP アドレスの表示
Floating IP
パネルを使用して、割り当てられた Floating IP アドレスの一覧を表示できます。nova list --all-projects
コマンドを使用して、コマンドラインから同じ情報にアクセスできます。
1.2. Project タブ
Project タブでは、プロジェクトリソースを表示および管理できます。Identity > Projects でプロジェクトを有効な状態に設定し、対象プロジェクトのリソースを表示、管理します。
以下のオプションは Project タブから利用できます。
表1.2 Compute タブ
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
Overview | プロジェクトのレポートを表示します。 |
Instances | インスタンスの表示、起動、停止、一時停止、リブートや、インスタンスからのスナップショットの作成、コンソールからインスタンスへの接続を実行します。 |
Volumes | 以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。
|
Images | プロジェクトユーザーが作成したイメージ、インスタンスのスナップショット、ボリュームのスナップショット、および公開されているイメージを表示します。イメージを作成、編集、削除したり、イメージやスナップショットからインスタンスを起動します。 |
Access & Security | 以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。
|
表1.3 Network タブ
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
Network Topology | 対話型のネットワークトポロジーを表示します。 |
Networks | パブリックネットワークおよびプライベートネットワークとサブネットを作成、管理します。 |
Routers | ルーターを作成、管理します。 |
Trunks |
トランクを作成、管理します。OpenStack Networking (neutron) で |
表1.4 Object Store タブ
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
Containers | ストレージコンテナーを作成および管理します。コンテナーとは、データ用のストレージコンパートメントで、データの整理に使用できます。Linux のファイルディレクトリーと概念が似ていますが、ネストできません。 |
表1.5 Orchestration タブ
パラメーター名 | 説明 |
---|---|
Stacks | OpenStack ネイティブの REST API と CloudFormation 互換の Query API の両方を介し、テンプレートを使用して、複数の複合クラウドプラットフォームをオーケストレーションします。 |
1.3. Identity タブ
Identity タブでは、プロジェクトおよびユーザーを表示、管理できます。
以下のオプションは Identity タブから利用できます。
- Projects: プロジェクトの表示、作成、編集、削除、プロジェクト使用状況の表示、プロジェクトメンバーとしてのユーザーの追加や削除、クォータの変更、有効なプロジェクトの設定を行います。
- Users: ユーザーの表示、作成、編集、無効化、削除とユーザーパスワードの変更を行います。Users タブは、管理ユーザーとしてログインしている場合に利用できます。
Red Hat OpenStack Platform Dashboard を使用したクラウド管理について、詳細は以下のガイドを参照してください。
第2章 Dashboard のカスタマイズ
Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) Dashboard (horizon) では、horizon コンテナー内に保管されるデフォルトのテーマ (RCUE) が使用されます。独自のテーマをコンテナーイメージに追加し、特定のパラメーターをカスタマイズして Dashboard の以下の要素の外観と操作感を変更できます。
- ロゴ
- サイトの色
- スタイルシート
- HTML タイトル
- サイトのブランディングリンク
- ヘルプの URL
変更後の RHOSP コンテナーイメージが Red Hat コンテナーのサポートポリシー に準拠していなければサポートは継続されません。
2.1. horizon コンテナーイメージの取得
horizon コンテナーイメージのコピーを取得するには、イメージをアンダークラウドまたは podman を実行する別のクライアントシステムのいずれかにプルします。
手順
horizon コンテナーイメージをプルします。
$ sudo podman pull registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.2
イメージ変更のベースとして、このイメージを使用できます。
2.2. RCUE テーマの取得
デフォルトでは、horizon コンテナーイメージは Red Hat ブランドの RCUE テーマを使用します。コンテナーイメージからテーマのコピーを抽出して、自分専用のテーマのベースとして使用できます。
手順
自分専用テーマのディレクトリーを作成します。
$ mkdir ~/horizon-themes $ cd ~/horizon-themes
null ループを実行するコンテナーを起動します。たとえば、以下のコマンドを実行します。
$ sudo podman run --rm -d --name horizon-temp registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.2 /usr/bin/sleep infinity
RCUE テーマをコンテナーからローカルディレクトリーにコピーします。
$ sudo podman cp horizon-temp:/usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/rcue .
次のコマンドで、コンテナーを終了します。
$ sudo podman kill horizon-temp
結果: これで、RCUE テーマのローカルコピーができました。
2.3. RCUE をベースにした自分専用テーマの作成
RCUE をベースとして使用するには、RCUE テーマのディレクトリー rcue 全体を新しい場所にコピーします。以下の手順では、名前の例として mytheme
を使用しています。
手順
テーマをコピーします。
$ cp -r rcue mytheme
テーマの色、グラフィックス、フォント、およびその他の要素を変更するには、mytheme 内のファイルを編集します。このテーマを編集する場合は、パス、ファイル、ディレクトリーを含む rcue のすべてのインスタンスを確認し、それらを新しい mytheme の名前に変更してください。
2.4. 自分専用テーマを有効にして dashboard をカスタマイズするためのファイルの作成
dashboard コンテナー内の自分専用テーマを有効にするには、AVAILABLE_THEMES
パラメーターを上書きするファイルを作成する必要があります。以下の手順では、名前の例として mytheme
を使用しています。
手順
horizon-themes
ディレクトリー内に_12_mytheme_theme.py
という名前の新たなファイルを作成し、以下の内容を追加します。AVAILABLE_THEMES = [('mytheme', 'My Custom Theme', 'themes/mytheme')]
ファイル名の
12
により、このファイルが11
を使用する RCUE ファイルの後に読み込まれ、AVAILABLE_THEMES
パラメーターが上書きされます。オプション:
_12_mytheme_theme.py
ファイルで、カスタムパラメーターを設定することもできます。以下の例を参考にしてください。- SITE_BRANDING
ブラウザーウィンドウの上部に表示される HTML タイトルを設定します。
SITE_BRANDING = "Example, Inc. Cloud"
- SITE_BRANDING_LINK
デフォルトでは、テーマのロゴのハイパーリンクは
horizon:user_home
にリダイレクトします。SITE_BRANDING_LINK = "http://example.com"
2.5. 変更した horizon イメージの生成
カスタムテーマの作成が完了したら、自分専用テーマを使用する新たなコンテナーイメージを作成できます。以下の手順では、名前の例として mytheme
を使用しています。
手順
以下の例に示すように、
Dockerfile
を使用して、元のhorizon
イメージをベースにコンテナーイメージを生成します。FROM registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon MAINTAINER Acme LABEL name="rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme" vendor="Acme" version="0" release="1" COPY mytheme /usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/mytheme COPY _12_mytheme_theme.py /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py RUN sudo chown apache:apache /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py
-
このファイルを
Dockerfile
という名前でhorizon-themes
ディレクトリーに保存します。 Dockerfile を使用して新しいイメージを生成します。
$ sudo podman build . -t "172.24.10.10:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5" --log-level debug
-t
オプションで、生成されるイメージに名前およびタグを付けます。このオプションには、以下の構文を使用します。[LOCATION]/[NAME]:[TAG]
- LOCATION
- 最終的にオーバークラウドがイメージをプルするために通常使用するコンテナーレジストリーの場所です。ここでは、このイメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュするので、この項目をアンダークラウドの IP アドレスおよびポートに設定します。
- 名前
-
一貫性を保つため、通常は元のコンテナーイメージと同じ名前で、その後はユーザー独自のテーマの名前になります。ここでは、
rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme
になります。 - TAG
-
イメージのタグです。Red Hat では、このタグのベースとして
version
およびrelease
ラベルを使用します。このイメージの新しいバージョンを生成する場合は、release
の数字を増やします (例:0-2
)。
イメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュします。
$ sudo openstack tripleo container image push --local 172.24.10.10:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5
イメージがローカルレジストリーにアップロードされたことを確認します。
[stack@director horizon-themes]$ curl http://172.24.10.10:8787/v2/_catalog | jq .repositories[] | grep -i hori "rhosp-rhel8/openstack-horizon" [stack@director horizon-themes]$ [stack@director ~]$ sudo openstack tripleo container image list | grep hor | docker://director.ctlplane.localdomain:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:16.0-84 | docker://director.ctlplane.localdomain:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon:0-5 <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<,Uploaded [stack@director ~]$
Red Hat OpenStack Platform を更新またはアップグレードする場合は、新しい horizon
イメージにテーマを再度適用し、変更したイメージの新しいバージョンをアンダークラウドにプッシュする必要があります。
2.6. 変更したコンテナーイメージのオーバークラウドでの使用
変更したコンテナーイメージをオーバークラウドのデプロイメントに使用するには、コンテナーイメージの場所のリストが含まれる環境ファイルを編集します。通常、この環境ファイルの名前は overcloud-images.yaml
です。以下の手順では、名前の例として mytheme
を使用しています。
手順
DockerHorizonConfigImage
およびDockerHorizonImage
パラメーターを編集して、変更したコンテナーイメージを指すようにします。parameter_defaults: ... ContainerHorizonConfigImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1 ContainerHorizonImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1 ...
-
この新しいバージョンの
overcloud-images.yaml
ファイルを保存します。
2.7. puppet パラメーターの編集
director には、環境ファイルを使用して変更できる Dashboard のパラメーターセットが用意されています。
手順
ExtraConfig
パラメーターを使用して Puppet hieradata を設定します。たとえば、デフォルトのヘルプ URL は Red Hat OpenStack Platform の製品ドキュメント を指しています。この URL を変更するには、以下の環境ファイルの内容を使用して、URL を置き換えます。parameter_defaults: ExtraConfig: horizon::help_url: "http://openstack.example.com"
関連情報
2.8. Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドのデプロイ
手順
Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドをデプロイするには、
openstack overcloud deploy
コマンドで以下の環境ファイルを指定します。- 変更したコンテナーイメージの場所を定義した環境ファイル
- 追加の dashboard 変更を定義した環境ファイル
ユーザーのオーバークラウド設定に関連するその他すべての環境ファイル
$ openstack overcloud deploy --templates \ -e /home/stack/templates/overcloud-images.yaml \ -e /home/stack/templates/help_url.yaml \ [OTHER OPTIONS]