ネイティブ CephFS を使用する Shared File Systems サービスのデプロイ

Red Hat OpenStack Platform 16.2

Red Hat OpenStack Platform における、ネイティブ CephFS を使用する Shared File Systems サービスの理解、使用および管理

概要

Red Hat OpenStack Platform 環境におけるネイティブ Red Hat Ceph File System (CephFS) バックエンドを使用する Shared File Systems サービス (manila) のインストール、設定、および検証について

前書き

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、弊社 の CTO、Chris Wright のメッセージ を参照してください。

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第1章 ネイティブ CephFS を使用する Shared File Systems サービス

CephFS は、高度にスケーラブルな Ceph のオープンソース分散ファイルシステムのコンポーネントで、統一された分散ストレージプラットフォームです。Ceph Storage は、Reliable Autonomic Distributed Object Store (RADOS) を使用してオブジェクトストレージ、ブロックストレージ、およびファイルストレージを実装します。POSIX に対応した CephFS は、Ceph Storage クラスターへのファイルアクセスを提供します。

Shared File Systems サービスでは、ユーザーは CephFS にファイル共有を作成し、ネイティブ Ceph File System プロトコルを使用してそのファイル共有にアクセスすることができます。Shared File Systems サービスは、OpenStack 内からこれらのファイル共有のライフサイクルを管理します。

今回のリリースでは、director はネイティブ CephFS バックエンドを使用する Shared File Systems をオーバークラウドにデプロイすることができます。

重要

本書では、ネイティブ CephFS NAS プロトコルを通じて、Red Hat OpenStack Platform Cloud にセルフサービスの Shared File Systems サービス (manila) を提供するためのネイティブ CephFS のデプロイメントおよび使用方法について説明します。このタイプのデプロイメントでは、ゲスト仮想マシンが Ceph パブリックネットワークおよびインフラストラクチャーにアクセスできる必要があります。汎用の OpenStack Platform デプロイメントには適していない許容信頼モデルが必要なため、信頼済み OpenStack Platform テナントでのみネイティブ CephFS をデプロイしてください。

重要

従来のテナント信頼モデルを使用する汎用の OpenStack Platform デプロイメントでは、NFS プロトコルを介して CephFS をデプロイすることができます。信頼モデルの詳細は、「ネイティブ CephFS バックエンドのセキュリティー」を参照してください。NFS バックエンドに CephFS を使用する構成についての詳細は、『Deploying the Shared File Systems service with CephFS through NFS』を参照してください。

1.1. ネイティブドライバーを使用する CephFS

CephFS ネイティブドライバーは、OpenStack Shared File Systems サービス (manila) と Red Hat Ceph Storage を結び付けます。Red Hat OpenStack (RHOSP) director を使用する場合、コントローラーノードはマネージャー、メタデータサーバー (MDS)、および モニター (MON) 等の Ceph デーモンならびに Shared File Systems サービスをホストします。

コンピュートノードは 1 つまたは複数のプロジェクトをホストすることができます。以前はテナントと呼ばれていたプロジェクトは、以下の図では白い長方形で表示されます。プロジェクトには、ユーザー管理の仮想マシンが含まれています。これは、2 つの NIC を持つグレーのボックスで表されます。ceph および manila デーモンプロジェクトにアクセスするには、パブリック Ceph ストレージネットワーク経由でデーモンに接続します。

このネットワーク上で、Ceph オブジェクトストレージデーモン (OSD) の提供するストレージノードに保管されたデータにアクセスすることができます。プロジェクトがホストするインスタンスまたは仮想マシン (VM) は、2 つの NIC と共に起動します。1 つの NIC はストレージプロバイダーネットワーク専用で、2 つ目の NIC は外部プロバイダーネットワークに接続するためのプロジェクト所有のルーター専用です。

ストレージプロバイダーネットワークは、プロジェクト上で動作する仮想マシンをパブリック Ceph ストレージネットワークに接続します。Ceph パブリックネットワークは、Ceph オブジェクトストレージノード、メタデータサーバー (MDS)、およびコントローラーノードへのバックエンドアクセスを提供します。

ネイティブドライバーを使用する場合、CephFS では、クォータの適用、確実なプロジェクト間の分離、およびセキュリティー確保のために、クライアントおよびサーバーとの協調が必要になります。ネイティブドライバーを使用する CephFS は、プライベートクラウド上の信頼済みエンドユーザーが定義された環境で適切に機能します。この構成での協調および適切な動作のためには、ソフトウェアはユーザーの管理下で動作している必要があります。

cephfs nfs topology native driver

1.2. ネイティブ CephFS バックエンドのセキュリティー

ネイティブ CephFS バックエンドには、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) テナントに許容信頼モデルが必要です。この信頼モデルは、OpenStack Platform が提供するサービスの背後にあるインフラストラクチャーにユーザーが直接アクセスするのを意図的にブロックする汎用の OpenStack Platform クラウドには適切ではありません。

ネイティブ CephFS を使用する場合、ユーザーコンピュートインスタンスは Ceph サービスのデーモンが公開される Ceph パブリックネットワークに直接接続されます。ユーザー仮想マシンで実行される CephFS クライアントは Ceph サービスデーモンと連携し、ファイルデータブロックの読み取りおよび書き込みのために RADOS と直接対話します。

Shared File Systems (manila) 共有サイズを適用する CephFS クォータは、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) ユーザーが所有する仮想マシンなど、クライアント側で適用されます。ユーザー仮想マシンのクライアント側ソフトウェアは最新ではない可能性があるため、重要なクラウドインフラストラクチャーが Ceph サービスポートをターゲットにする悪意のあるまたは意図的ではないが有害なソフトウェアに対して脆弱になる可能性があります。

信頼できるユーザーがクライアント側ソフトウェアを最新の状態に維持する環境でのみ、ネイティブ CephFS をバックエンドとしてデプロイします。Ceph Storage インフラストラクチャーに影響を与える可能性のあるソフトウェアが仮想マシンで実行されないようにしてください。

数多くの信頼できないユーザーに対応する汎用 Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) デプロイメントについては、NFS バックエンドに CephFS を使用してください。NFS バックエンドに CephFS を使用する構成についての詳細は、『Deploying the Shared File Systems service with CephFS through NFS』を参照してください。

ユーザーがクライアント側のソフトウェアを最新版に維持できはない、また仮想マシンから有害なソフトウェアを除外できない状況でも、NFS バックエンドに CephFS を使用する構成を使用すると、ユーザーは NFS サーバーの公開側にだけアクセスでき、Ceph インフラストラクチャー自体にはアクセスできません。NFS は同様の協調的なクライアントを必要としないので、最悪の場合でも、ユーザー仮想マシンからの攻撃により、NFS ゲートウェイはダメージを受ける可能性がありますが、それの背後にある Ceph ストレージインフラストラクチャーはダメージを受けません。

ネイティブ CephFS バックエンドを信頼できる全ユーザーに公開できますが、以下のセキュリティー対策を実施する必要があります。

  • ストレージネットワークをプロバイダーネットワークとして設定する。
  • ロールベースのアクセス制御 (RBAC) ポリシーを適用して、Storage プロバイダーネットワークのセキュリティーを保護する。
  • プライベートファイル共有種別を作成します。

第2章 ネイティブ CephFS デプロイメント

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境への一般的なネイティブ Ceph ファイルシステム (CephFS) インストールには、以下のコンポーネントが含まれます。

  • コンテナー化された Ceph メタデータサーバー (MDS)、Ceph モニター (MON)、および Shared File Systems (manila) サービスを実行する RHOSP コントローラーノード。これらのサービスのいくつかは、同じノードに共存する場合や、1 つまたは複数の専用のノードを持つ場合があります。
  • Ceph Storage ノードで実行されるコンテナー化されたオブジェクトストレージデーモン (OSD) を持つ Ceph Storage クラスター。
  • クライアントが Ceph サービスデーモンと通信できる Ceph パブリックネットワークとして機能する分離ストレージネットワーク。これを容易にするため、ユーザーはストレージネットワークをプロバイダーネットワークとして使用し、仮想マシンを接続して CephFS 共有をマウントします。
重要

CephFS ネイティブドライバーと共に Shared File Systems サービス (manila) を使用して、Manila CSI で OpenShift Container Platform にファイル共有を提供することはできません。Red Hat ではこのタイプのデプロイメントをサポートしないためです。詳細は、Red Hat のサポートにお問い合わせください。

Shared File Systems (manila) サービスの提供する API により、テナントはファイルシステムの共有を要求することができます。これは、ドライバーモジュールにより実施されます。Red Hat CephFS のドライバー (manila.share.drivers.cephfs.driver.CephFSDriver) により、Shared File System サービスはネイティブ CephFS をバックエンドとして使用することができます。director の管理する統合デプロイメントにおいて、ネイティブ CephFS をインストールすることができます。

director がオーバークラウドに CephFS バックエンドを持つ Shared File Systems サービスをデプロイする場合、これにより必要なデータセンターのストレージネットワークが自動的に作成されます。ただし、オーバークラウド上に対応するストレージプロバイダーネットワークを作成する必要があります。詳細は、「デプロイメント後の設定」を参照してください。

ネットワークプランニングに関する詳しい情報は、『Director Installation and Usage』「Overcloud networks」を参照してください。

ノードの /var/lib/config-data/puppet-generated/manila/etc/manila/manila.conf ファイルを編集して Shared File Systems サービスを手動で設定することができますが、今後のオーバークラウド更新時に、Red Hat OpenStack Platform director を使用して任意の設定を上書きすることができます。Red Hat は、director が管理する Shared File Systems サービスのデプロイメントのみをサポートします。

2.1. 要件

以下の要件を満たす場合には、新規または既存の Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) 環境と共にネイティブ CephFS バックエンドをデプロイすることができます。

  • Red Hat OpenStack Platform バージョン 16.1 以降を使用する。
  • ネイティブ CephFS バックエンドと同時に、新しい Red Hat Ceph Storage クラスターを設定する。Ceph Storage のデプロイ方法に関する情報は、『Deploying an overcloud with containerized Red Hat Ceph』を参照してください。
重要

RHOSP Shared File Systems サービス (manila) とネイティブ CephFS バックエンドの組み合わせは、Red Hat Ceph Storage バージョン 4.1 以降との使用でサポートされます。システムにインストールされている Ceph Storage のバージョンを確認する方法についての詳細は、「What are the Red Hat Ceph Storage releases and corresponding Ceph package versions?」を参照してください。

  • Shared File Systems サービスをコントローラーノードにインストールします。これがデフォルトの動作です。
  • Shared File Systems サービスには、CephFS バックエンドのインスタンスを 1 つだけ使用してください。

2.2. ファイル共有

Shared File Systems サービス (manila)、Ceph File System (CephFS)、および NFS バックエンドに CephFS を使用する構成では、ファイル共有の取り扱いが異なります。

Shared File Systems サービスが提供するそれぞれのファイル共有は、個別のファイルシステムの名前空間であり、また特定のサイズを持つストレージのユニットです。元来、共有ファイルシステムのストレージでは、複数のクライアントが任意のファイル共有に接続してデータの読み取りおよび書き込みが可能ですが、クライアントが接続できるためには、Shared File Systems サービスのアクセス制御 API を通じて各クライアントにファイル共有へのアクセス権限を付与する必要があります。

CephFS では、ファイル共有は、特定のストレージプールまたは名前空間をポイントする、クォータおよびレイアウトが定義されたディレクトリーとして扱われます。CephFS のクォータは、ディレクトリーのサイズを Shared File Systems サービスが作成するファイル共有のサイズに制限します。Ceph ファイル共有へのアクセス可否は、MDS の認証機能により決定されます。

ネイティブ CephFS では、ファイル共有のプロビジョニングおよびアクセスに CephFS プロトコルが使用されます。アクセス制御は、CephFS ユーザー名を使用する CephX 認証スキームで実行されます。

2.3. ネイティブ CephFS で使用される分離ネットワーク

ネイティブ CephFS デプロイメントでは、director が Ceph パブリックネットワークとしてデプロイする分離ストレージネットワークを使用されます。クライアントはこのネットワークを使用して、さまざまな Ceph インフラストラクチャーサービスデーモンと通信します。ネットワークの分離に関する補足情報は、『Director Installation and Usage』「Basic network isolation」を参照してください。

2.4. ceph-ansible パッケージのインストール

コンテナー化された Ceph をデプロイするには、アンダークラウドノードに ceph-ansible パッケージをインストールします。

手順

  1. アンダークラウドノードに stack ユーザーとしてログインします。
  2. ceph-ansible パッケージをインストールします。

    [stack@undercloud-0 ~]$ sudo dnf install -y ceph-ansible
    [stack@undercloud-0 ~]$ sudo dnf list ceph-ansible
    ...
    Installed Packages
    ceph-ansible.noarch    4.0.23-1.el8cp      @rhelosp-ceph-4-tools

2.5. 環境のデプロイ

環境をデプロイする準備が整ったら、ネイティブ CephFS バックエンドの設定に必要なカスタム環境およびロールを指定して openstack overcloud deploy コマンドを使用します。

openstack overcloud deploy コマンドでは、その他の必要なオプションに加えて以下のオプションを指定します。

アクションオプション追加情報

network_data.yaml を使用してネットワーク設定を指定します。

[filename] -n /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network_data.yaml

カスタム環境ファイルを使用して、このネットワークデータ環境ファイルで指定したデフォルトネットワークの値を上書きすることができます。これは、分離ネットワークを使用する際に利用可能なデフォルトのネットワークデータファイルです。このファイルは、簡潔にするために openstack overcloud deploy コマンドから省略することができます。

ceph-ansible.yaml を使用して Ceph デーモンをデプロイする

-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-ansible.yaml

『Deploying an Overcloud with Containerized Red Hat Ceph』「Initiating Overcloud Deployment」

ceph-mds.yaml を使用して Ceph メタデータサーバーをデプロイする

-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-mds.yaml

『Deploying an Overcloud with Containerized Red Hat Ceph』「Initiating Overcloud Deployment」

ネイティブ CephFS バックエンドを使用する manila サービスをデプロイする

-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml

環境ファイル

以下の例は、Ceph クラスター、Ceph MDS、ネイティブ CephFS バックエンド、および Ceph クラスターに必要なネットワークをデプロイするオプションが含まれる openstack overcloud deploy command コマンドを示しています。

[stack@undercloud ~]$ openstack overcloud deploy \
...
-n /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network_data.yaml \
-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/network-isolation.yaml   \
-e /home/stack/network-environment.yaml  \
-e/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-ansible.yaml  \
-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-ansible/ceph-mds.yaml  \
-e /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml

openstack overcloud deploy コマンドについての詳しい情報は、『Director Installation and Usage』「Deployment command」を参照してください。

2.5.1. 環境ファイル

ネイティブ CephFS バックエンドを定義する統合環境ファイルは、アンダークラウドノードのパス (/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml) に置かれます。

manila-cephfsnative-config.yaml 環境ファイルには、Shared File Systems サービスのデプロイに関する設定が含まれます。バックエンドのデフォルト設定は、ほとんどの環境で機能するはずです。

Shared File Systems サービスをデプロイする際に director が使用するデフォルト値を例で示します。

[stack@undercloud ~]$ cat /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/manila-cephfsnative-config.yaml

# A Heat environment file which can be used to enable a
# a Manila CephFS Native driver backend.
resource_registry:
  OS::TripleO::Services::ManilaApi: ../deployment/manila/manila-api-container-puppet.yaml
  OS::TripleO::Services::ManilaScheduler: ../deployment/manila/manila-scheduler-container-puppet.yaml
  # Only manila-share is pacemaker managed:
  OS::TripleO::Services::ManilaShare: ../deployment/manila/manila-share-pacemaker-puppet.yaml
  OS::TripleO::Services::ManilaBackendCephFs: ../deployment/manila/manila-backend-cephfs.yaml

parameter_defaults:
  ManilaCephFSBackendName: cephfs 1
  ManilaCephFSDriverHandlesShareServers: false 2
  ManilaCephFSCephFSAuthId: 'manila' 3
  ManilaCephFSCephFSEnableSnapshots: true 4
  ManilaCephFSCephVolumeMode: '0755'  5
  # manila cephfs driver supports either native cephfs backend - 'CEPHFS'
  # (users mount shares directly from ceph cluster), or nfs-ganesha backend -
  # 'NFS' (users mount shares through nfs-ganesha server)
  ManilaCephFSCephFSProtocolHelperType: 'CEPHFS'  6

parameter_defaults ヘッダーから設定が始まります。具体的には、このヘッダーからの設定により、resource_registry で設定したデフォルト値を上書きすることができます。これには、CephFS バックエンドのデフォルトを設定する OS::Tripleo::Services::ManilaBackendCephFs で定義した値も含まれます。

1
ManilaCephFSBackendName: CephFS バックエンドの manila 設定の名前を定義します。ここでは、デフォルトのバックエンド名は cephfs です。
2
ManilaCephFSDriverHandlesShareServers: 共有用サーバーのライフサイクルをコントロールします。false に設定すると、ドライバーはライフサイクルを処理しません。CephFS バックエンドでサポートされるオプションはこれだけです。
3
ManilaCephFSCephFSAuthId: Ceph クラスターにアクセスするために director が manila サービスに作成する Ceph 認証 ID を定義します。
4
ManilaCephFSCephFSEnableSnapshots: スナップショットのアクティブ化をコントロールします。Ceph Storage 4.1 以降ではスナップショットがサポートされますが、このパラメーターのデフォルト値は false です。この値を true に設定すると、ドライバーは snapshot_support 機能を manila スケジューラーに報告します。
5
ManilaCephFSCephVolumeMode は、ネイティブ CephFS バックエンド上に作成される manila 共有に設定する UNIX パーミッションを制御します。デフォルト値は 755 です。
6
ネイティブ CephFS ドライバーを使用するには、ManilaCephFSCephFSProtocolHelperTypeCEPHFS に設定する必要があります。

環境ファイルについての詳細は、『Director Installation and Usage』「Environment Files」を参照してください。

第3章 デプロイメント後の設定

NFS 共有を作成し、ユーザーにアクセス権限を付与し、NFS 共有をマウントする前に、いくつかのデプロイメント後設定タスクを完了する必要があります。

  • Networking サービス (neutron) ストレージネットワークを分散データセンターストレージネットワークにマッピングします。
  • カスタムロールベースアクセス制御 (RBAC) でのみ、ストレージプロバイダーネットワークを信頼済みテナントで利用できるようにします。ストレージプロバイダーネットワークはグローバルに共有しないでください。
  • プライベートファイル共有種別を作成します。
  • 特定の信頼済みテナントにアクセス権限を付与します。

これらのステップを完了したら、テナントコンピュートインスタンスはネイティブ CephFS 共有を作成し、そのアクセスを許可し、マウントすることができます。

3.1. ストレージプロバイダーネットワークの作成

新しい分離ストレージネットワークを Networking (neutron) プロバイダーネットワークにマッピングする必要があります。ネイティブ CephFS 共有のエクスポート場所にアクセスするために、コンピュートノードの仮想マシンをネットワークにアタッチします。

Shared File Systems サービスのネットワークセキュリティーに関する情報は、『Security and Hardening Guide』「Hardening the Shared File Systems Service」を参照してください。

手順

openstack network create コマンドにより、ストレージ neutron ネットワークの設定を定義します。

  1. アンダークラウドノードから、以下のコマンドを入力します。

    [stack@undercloud ~]$ source ~/overcloudrc
  2. アンダークラウドノードで、ストレージネットワークを作成します。

    (overcloud) [stack@undercloud-0 ~]$ openstack network create Storage --provider-network-type vlan --provider-physical-network datacentre --provider-segment 30

    以下のオプションを設定してこのコマンドを入力することができます。

    • --provider-physical-network オプション: tripleo-heat-templates の NeutronBridgeMappings で別途 br-isolated ブリッジのタグを設定していない限り、デフォルト値 datacentre を使用します。
    • --provider-segment オプション: ネットワーク環境ファイルで Storage 分離ネットワークに設定した値を使用します。これがカスタマイズされない場合、デフォルトの環境ファイルは /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network_data.yaml になります。分離ネットワークの定義を変更していない限り、Storage ネットワークに関連付けられた VLAN の値は 30 です。
    • --provider-network-type オプション: 値 vlan を使用します。

3.2. ストレージプロバイダーネットワークの設定

neutron プロバイダーネットワーク上に対応する StorageSubnet を作成します。アンダークラウドの storage_subnet と同じサブネットを設定します。また、ストレージサブネットと対応するアンダークラウドのサブネットの割り当て範囲が重複しないようにしてください。

要件

  • 割り当てプールの IP 範囲 (開始および終了アドレス)
  • サブネットの IP 範囲

手順

  1. オーバークラウドノードにログインします。
  2. 下記のコマンド例を使用して、ネットワークをプロビジョニングします。値を実際の環境に応じて更新します。

    [stack@undercloud-0 ~]$ openstack subnet create \
    --allocation-pool start=172.17.3.10,end=172.17.3.149 \
    --dhcp \
    --network Storage \
    --subnet-range 172.17.3.0/24 \
    --gateway none StorageSubnet
    • --allocation-pool オプションの場合は、start=172.17.3.10,end=172.17.3.149 IP の値を、実際のネットワークの IP の値に置き換えます。
    • --subnet-range オプション: 172.17.3.0/24 のサブネット範囲を実際のネットワークのサブネット範囲に置き換えます。

3.3. ストレージプロバイダーネットワークにおけるロールベースアクセス制御の設定

ストレージネットワークを使用することができる信頼済みテナントまたはプロジェクトを特定した後に、Networking サービス (neutron) を使用してそれらのロールベースアクセス制御 (RBAC) ルールを設定します。

要件

ストレージネットワークへのアクセスを必要とするプロジェクトの名前

手順

  1. オーバークラウドノードにログインします。
  2. アクセスが必要なプロジェクトを特定します。

    [stack@undercloud-0 ~]$ openstack project list
    +----------------------------------+---------+
    | ID                               | Name    |
    +----------------------------------+---------+
    | 06f1068f79d2400b88d1c2c33eacea87 | demo    |
    | 5038dde12dfb44fdaa0b3ee4bfe487ce | service |
    | 820e2d9c956644c2b1530b514127fd0d | admin   |
    +----------------------------------+---------+
  3. 必要なプロジェクトでネットワーク RBAC ルールを作成します。

    [stack@undercloud-0 ~]$ openstack network rbac create \
    --action access_as_shared Storage \
    --type network \
    --target-project demo

    ストレージネットワークへのアクセスを必要とするすべてのプロジェクトについて、このステップを繰り返します。

3.4. デフォルトのファイル共有種別の設定

Shared File Systems サービスを使用して、ファイル共有の種別を定義することができます。これを使用して、特定の設定のファイル共有を作成することができます。ファイル共有の種別は、Block Storage のボリューム種別に類似した機能を持ちます。それぞれの種別には、追加の仕様などの関連する設定があります。ファイル共有の作成時に種別を呼び出すと、その設定が共有ファイルシステムに適用されます。

信頼できないユーザーからネイティブ CephFS バックエンドを保護するために、Red Hat ではデフォルトの共有種別を作成しないことを推奨します。デフォルトの共有種別が存在しない場合、ユーザーは共有種別を指定することを強制され、信頼できるユーザーは排他的アクセス権限を持つカスタムのプライベート共有種別を使用できます。

信頼されていないテナントのデフォルトの共有種別を作成する必要がある場合、ネイティブ CephFS バックエンドからプロビジョニングを分離することができます。

手順

  1. 共有種別に追加の仕様を設定します。

    manila type-create default False
    manila type-key default set share_backend_name=’s!= cephfs’
  2. プライベートの共有種別を作成して、信頼済みテナントにこの共有種別へのアクセス権限を付与します。

    $ manila type-create --is-public false nativecephfstype false
    $ <share_backend_name>=cephfs 1
    $ manila type-key nativecephfstype set share_backend_name=$<share_backend_name>
    $ manila type-access-add nativecephfstype <trusted_tenant_project_id>__
1
<share_backend_name>: オーバークラウドの heat テンプレートオプション ManilaCephFSBackendName として設定します。

ファイル共有種別に関する詳しい情報は、『Storage Guide』「Creating a share type」を参照してください。

第4章 ネイティブ CephFS バックエンドがデプロイされたことの検証

Shared File Systems サービス (manila) のバックエンドとしてネイティブ CephFS をデプロイすると、オーバークラウド環境に以下に示す新たな要素が追加されます。

  • ストレージプロバイダーネットワーク
  • コントローラーノード上の Ceph MDS サービス

ネイティブ CephFS を使用した Shared File Systems サービスの使用に関する詳細は、『Storage Guide』「Shared File Systems service」を参照してください。

ユーザーに利用を許可する前に、クラウド管理者はネイティブ CephFS 環境が安定して動作することを確認する必要があります。

前提条件

4.1. 分離ストレージネットワークが作成されていることの確認

Shared File Systems サービスのバックエンドとしてネイティブ CephFS をデプロイするのに使用する network_data.yaml ファイルにより、ストレージ VLAN が作成されます。以下の手順を使用して、ストレージ VLAN が正常に作成されていることを確認します。

手順

  1. オーバークラウドのコントローラーノードのいずれかにログインします。
  2. 接続されたネットワークを確認し、network_data.yaml ファイルにより設定したとおりの VLAN が存在することを確認します。

    $ ip a
    8: vlan30: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
        link/ether 52:9c:82:7a:d4:75 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
        inet 172.17.3.144/24 brd 172.17.3.255 scope global vlan30
           valid_lft forever preferred_lft forever
        inet6 fe80::509c:82ff:fe7a:d475/64 scope link
           valid_lft forever preferred_lft forever

4.2. Ceph MDS サービスの確認

Ceph MDS サービスのステータスを確認するには、systemctl status コマンドを使用します。

手順

  • すべてのコントローラーノードで以下のコマンドを入力して、MDS コンテナーのステータスを確認します。

    $ systemctl status ceph-mds<@CONTROLLER-HOST>

    以下に例を示します。

$ systemctl status ceph-mds@controller-0.service

ceph-mds@controller-0.service - Ceph MDS
   Loaded: loaded (/etc/systemd/system/ceph-mds@.service; enabled; vendor preset: disabled)
   Active: active (running) since Tue 2018-09-18 20:11:53 UTC; 6 days ago
 Main PID: 65066 (conmon)
   Tasks: 16 (limit: 204320)
   Memory: 38.2M
   CGroup: /system.slice/system-ceph\x2dmds.slice/ceph-mds@controller-0.service
         └─60921 /usr/bin/podman run --rm --net=host --memory=32000m --cpus=4 -v
/var/lib/ceph:/var/lib/ceph:z -v /etc/ceph:/etc/ceph:z -v
/var/run/ceph:/var/run/ceph:z -v /etc/localtime:/etc/localtime:ro>

4.3. Ceph クラスターのステータスの確認

Ceph クラスターのステータスを確認し、クラスターがアクティブであることを確認します。

手順

  1. 任意のコントローラーノードにログインします。
  2. Ceph monitor デーモンから、以下のコマンドを入力します。

    $ sudo podman exec ceph-mon-controller-0 ceph -s
      cluster:
        id:     670dc288-cd36-4772-a4fc-47287f8e2ebf
        health: HEALTH_OK
    
      services:
        mon: 3 daemons, quorum controller-1,controller-2,controller-0 (age 14h)
        mgr: controller-1(active, since 8w), standbys: controller-0, controller-2
        mds: cephfs:1 {0=controller-2=up:active} 2 up:standby
        osd: 15 osds: 15 up (since 8w), 15 in (since 8w)
    
      task status:
        scrub status:
            mds.controller-2: idle
    
      data:
        pools: 6 pools, 192 pgs
        objects: 309 objects, 1.6 GiB
        usage: 21 GiB used, 144 GiB / 165 GiB avail
        pgs: 192 active+clean
    注記

    1 つのアクティブな MDS と 2 つのスタンバイ状態の MDS があります。

  3. Ceph File System の詳細ステータスを表示するには、以下のコマンドを入力します。

    $ sudo ceph fs ls
    
    name: cephfs metadata pool: manila_metadata, data pools: [manila_data]
    注記

    以下の出力例では、cephfs は、ユーザーが Shared File Systems サービスを使用して作成する CephFS ファイル共有をホストするために director が作成する Ceph File System の名前です。

4.4. manila-share サービスのステータスの確認

manila-share サービスのステータスを確認します。

手順

  1. いずれかのコントローラーノードから、openstack-manila-share が起動していることを確認します。

    $ sudo pcs status resources | grep manila
    
    * Container bundle: openstack-manila-share [cluster.common.tag/rhosp16-openstack-manila-share:pcmklatest]:
    * openstack-manila-share-podman-0	(ocf::heartbeat:podman):	Started controller-0

4.5. manila-api サービスがスケジューラーおよびファイル共有サービスを認識していることの確認

以下の手順を実施して、manila-api サービスがスケジューラーおよびファイル共有サービスを認識していることを確認します。

手順

  1. アンダークラウドにログインします。
  2. 以下のコマンドを実行します。

    $ source /home/stack/overcloudrc
  3. 以下のコマンドを入力して、manila-scheduler および manila-share が有効であることを確認します。

    $ manila service-list
    
    | Id | Binary          | Host             | Zone | Status | State | Updated_at |
    
    | 2 | manila-scheduler | hostgroup        | nova | enabled | up | 2018-08-08T04:15:03.000000 |
    | 5 | manila-share | hostgroup@cephfs | nova | enabled | up | 2018-08-08T04:15:03.000000 |