製品ガイド

Red Hat OpenStack Platform 16.2-Beta

Red Hat OpenStack Platform の概要

OpenStack Documentation Team

概要

本ガイドは、Red Hat OpenStack Platform 環境の俯瞰的な概要を提供します。

多様性を受け入れるオープンソースの強化

Red Hat では、コード、ドキュメント、Web プロパティーにおける配慮に欠ける用語の置き換えに取り組んでいます。まずは、マスター (master)、スレーブ (slave)、ブラックリスト (blacklist)、ホワイトリスト (whitelist) の 4 つの用語の置き換えから始めます。この取り組みは膨大な作業を要するため、今後の複数のリリースで段階的に用語の置き換えを実施して参ります。詳細は、弊社の CTO、Chris Wright のメッセージ を参照してください。

ドキュメントへののダイレクトフィードバック (DDF) 機能は、本ベータ版リリースではご利用いただけません

DDF (Direct Documentation Feedback) 機能を使用すると、完全にサポートされている Red Hat 製品のドキュメントのページ (英語版のみ) に直接フィードバックを入力できます。DDF 機能は、Red Hat OpenStack Platform 16.2 ベータ版のドキュメントではご利用いただけません。

第1章 Red Hat OpenStack Platform についての理解

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) は、Red Hat Enterprise Linux 上にプライベートまたはパブリックの Infrastructure-as-a-Service (IaaS) クラウドを構築するための基盤を提供します。RHOSP は、クラウド対応のワークロード開発向けのスケーラビリティーおよび耐障害性に優れたプラットフォームです。

RHOSP により、セキュアで信頼性の高いパブリックまたはプライベートの OpenStack クラウドを作成、デプロイ、スケーリングするための統合された基盤が提供されます。

RHOSP は、利用可能な物理ハードウェアからプライベート、パブリック、またはハイブリッドのクラウドプラットフォームを作成できるようにパッケージされています。RHOSP クラウドには、以下のコンポーネントが含まれます。

  • 完全に分散されたオブジェクトストレージ
  • 永続的なブロックレベルのストレージ
  • 仮想マシンのプロビジョニングエンジンおよびイメージストレージ
  • 認証および承認メカニズム
  • 統合されたネットワーク
  • ユーザーおよび管理者がアクセス可能な Web ブラウザーベースのインターフェース

RHOSP IaaS クラウドは、コンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースを制御する連結されたサービスのコレクションにより実装されます。Web ベースのインターフェースでクラウドを管理し、RHOSP リソースを制御、プロビジョニング、および自動化することができます。また、RHOSP のインフラストラクチャーは豊富な API で管理されますが、クラウドのエンドユーザーもこの API を利用することができます。

1.1. Red Hat OpenStack Platform を使用する利点

Red Hat OpenStack Platform を使用することで、要件に応じて仮想化、ネットワーク、およびストレージを統合することができます。以下の機能が、Red Hat OpenStack Platform の利点として挙げられます。

  • 要件に合わせてスケールアップ/スケールダウンできるパブリック、プライベート、またはハイブリッドクラウドを作成することができる。
  • ニーズに合わせてクラウド化されたワークロードをデプロイすることができる。
  • セキュリティーやパフォーマンス、コストを犠牲にせず、週/日単位ではなく、時間/分単位で顧客のニーズに対応することができる。
  • ハイブリッドクラウド管理を使用し、Red Hat CloudForms と連携して監視およびレポートすることで、クラウド環境に安定性および俊敏性を提供することができる。

1.2. RDO と OpenStack Foundation の関係

OpenStack Foundation は、世界全体で OpenStack クラウドオペレーティングシステムを開発、配信、採用しています。OpenStack Foundation の目的は、共有リソースのセットを提供することでパブリックおよびプライベートの OpenStack クラウドのフットプリントを成長させ、技術ベンダーが OpenStack プラットフォームをターゲットにできるようにし、業界一のクラウドソフトウェアを創りだせるように開発者を支援し、世界中の開発者、ユーザー、全体的なエコシステムにサービスを提供することです。

RPM Distribution of OpenStack (RDO) は、無料のコミュニティーサポート版のディストリビューションで、Red Hat Enterprise Linux (RHEL) や CentOS などの派生オペレーティングシステム上で稼働する OpenStack の Red Hat バージョンです。また RDO は Fedora 向けにも最新の OpenStack 開発リリースを提供しています。RDO は、ソフトウェアパッケージのセットを提供する以外に、Red Hat ベースのオペレーティングシステム上でクラウドコンピューティングを使用するユーザーのコミュニティーでもあり、OpenStack を運用する際のサポートや情報交換の場を提供しています。エンタープライズレベルのサポートやパートナー認定についての情報が必要な場合のために、Red Hat では Red Hat OpenStack Platform を提供しています。詳しくは、「Red Hat OpenStack Platform」を参照してください。

第2章 ソフトウェア

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) IaaS クラウドは、コンピューティング、ストレージ、ネットワークのリソースを制御するために相互に対話するサービスのコレクションとして実装されます。クラウドを管理するために、管理者は Web ベースの Dashboard またはコマンドラインクライアントを使用して、OpenStack リソースの制御、プロビジョニング、自動化を行うことができます。RHOSP は、クラウドの全ユーザーが利用できる豊富な API も提供しています。

以下の図は、RHOSP のコアサービスとそれらの相互関係の俯瞰的な概要を示しています。

以下の表には、上図に示した各コンポーネントについての簡単な説明と、それぞれのセクションへのリンクをまとめています。

表2.1 コアサービス

 サービスコード説明

1

Dashboard

horizon

OpenStack の各サービスの管理に使用する Web ブラウザーベースのダッシュボード

2

Identity

keystone

OpenStack サービスを認証および承認し、ユーザー/プロジェクト/ロールを管理する一元化されたサービス

3

Networking

neutron

OpenStack サービスのインターフェース間の接続性を提供します。

4

Block Storage

cinder

仮想マシン用の永続的な Block Storage ボリュームを管理します。

5

Compute

nova

ハイパーバイザーノードで実行されている仮想マシンの管理とプロビジョニングを行います。

6

Shared File Systems

manila

複数のコンピュートインスタンス、ベアメタルノード、またはコンテナーで消費可能な共有ファイルシステムのプロビジョニングを行います。

7

Image

glance

仮想マシンイメージやボリュームのスナップショットなどのリソースの保管に使用するレジストリーサービス

8

Object Storage

swift

ユーザーによるファイルおよび任意のデータの保管/取得を可能にします。

9

Telemetry

ceilometer

クラウドリソースの計測値を提供します。

10

Load-balancing

octavia

クラウドの負荷分散サービスを提供します。

11

Orchestration

heat

リソーススタックの自動作成をサポートする、テンプレートベースのオーケストレーションエンジン

各 OpenStack サービスには、Linux サービスおよびその他のコンポーネントの機能グループが含まれています。

2.1. コンポーネント

このセクションは、各 OpenStack コンポーネントについて説明します。

  • OpenStack Dashboard サービス (horizon)

    OpenStack Dashboard サービスは、ユーザーおよび管理者がインスタンスの作成/起動やネットワークの管理、アクセス制御の設定を行うためのグラフィカルユーザーインターフェースを提供します。

    Dashboard サービスは、プロジェクト、管理、設定のデフォルトダッシュボードを提供します。Dashboard は、モジュール型設計により、課金、モニタリング、追加の管理ツールなどの他の製品と連結することができます。

  • OpenStack Identity サービス (keystone)

    OpenStack Identity サービスは、全 OpenStack コンポーネントに対してユーザーの認証と承認を提供します。Identity サービスは、ユーザー名/パスワード認証情報、トークンベースのシステム、AWS 式のログインなど複数の認証メカニズムをサポートしています。

  • OpenStack Networking サービス (neutron)

    OpenStack Networking サービスは、OpenStack クラウド内の仮想ネットワークインフラストラクチャーの作成と管理を処理します。インフラストラクチャー要素にはネットワーク、サブネット、ルーターなどが含まれます。

  • OpenStack Block Storage サービス (cinder)

    OpenStack Block Storage サービスは、仮想ハードドライブの永続的なブロックストレージ管理機能を提供します。Block Storage により、ユーザーはブロックデバイスを作成/削除することや、サーバーへのブロックデバイスの接続を管理することができます。

  • OpenStack Compute サービス (nova)

    OpenStack Compute サービスは、オンデマンドで仮想マシンインスタンスを提供および管理する、RHOSP クラウドの中核です。Compute サービスはベースのハードウェアを抽象化し、他の RHOSP サービスと対話して RHOSP クラウドにインスタンスを作成してプロビジョニングします。

  • OpenStack Shared File Systems サービス (manila)

    OpenStack Shared File Systems サービスは、コンピュートインスタンスが使用可能な共有ファイルシステムを提供します。Shared File Systems が提供する基本的なリソースは、共有、スナップショット、共有ネットワークです。

  • OpenStack Image サービス (glance)

    OpenStack Image サービスは、仮想ディスクイメージのレジストリーです。ユーザーは、新規イメージを追加したり、既存のサーバーのスナップショットを作成して直ちに保存したりすることができます。スナップショットはバックアップ用、またはサーバーを新規作成するためのテンプレートとして使用できます。

  • OpenStack Object Storage サービス (swift)

    Object Storage サービスは、HTTP 経由でアクセス可能な、大量データ用のストレージシステムを提供します。ビデオ、イメージ、メールのメッセージ、ファイル、仮想マシンイメージなどの静的エンティティーをすべて保管することができます。オブジェクトは、各ファイルの拡張属性に保管されているメタデータとともに、下層のファイルシステムにバイナリーとして保管されます。

  • OpenStack Telemetry サービス (ceilometer)

    OpenStack Telemetry サービスは、RHOSP をベースとするクラウドのユーザーレベルの使用状況データを提供します。このデータを、顧客への請求、システムのモニタリング、またはアラートに使用することができます。Telemetry は既存の OpenStack コンポーネント (例: Compute の使用イベント) や libvirt などの RHOSP インフラストラクチャーリソースのポーリングにより送信される通知からデータを収集することができます。

  • OpenStack Load-balancing サービス (octavia)

    OpenStack Load-balancing サービスは、複数のプロバイダードライバーをサポートする Load Balancing-as-a-Service (LBaaS) の実装を提供します。参照プロバイダードライバー (Amphora プロバイダードライバー) は、オープンソースのスケーラビリティーに優れた高可用性負荷分散プロバイダーです。オンデマンドで作成した仮想マシン群 (amphora と総称される) を管理することで、負荷分散サービスを提供します。

  • OpenStack Orchestration サービス (heat)

    OpenStack Orchestration サービスは、ストレージ、ネットワーク、インスタンス、アプリケーションなどのクラウドリソースを作成および管理するためのテンプレートを提供します。このテンプレートを使用して、リソースのコレクションであるスタックを作成します。

  • OpenStack Bare Metal Provisioning サービス (ironic)

    OpenStack Bare Metal Provisioning サービスは、ハードウェア固有のドライバーを使用するさまざまなハードウェアベンダーの物理マシンをサポートします。Bare Metal Provisioning は Compute サービスと統合して、仮想マシンのプロビジョニングと同じ方法で、物理マシンのプロビジョニングを行い、bare-metal-to-trusted-project のユースケースの解決策を提供します。

  • OpenStack DNS-as-a-Service (designate)

    注記

    この機能は、本リリースではテクノロジープレビューとして提供しているため、Red Hat では全面的にはサポートしていません。これは、テスト用途にのみご利用いただく機能で、実稼働環境にデプロイすべきではありません。テクノロジープレビューについての詳しい情報は「対象範囲の詳細」を参照してください。

    DNSaaS には、ドメインおよびレコードを管理するための REST API が実装されてます。マルチテナントに対応し、OpenStack Identity サービス (keystone) と統合して認証を行います。DNSaaS には Compute (nova) および OpenStack Networking (neutron) の通知と統合するフレームワークが実装されており、DNS レコードの自動生成が可能です。DNSaaS は PowerDNS および Bind9 の統合もサポートしています。

  • OpenStack Key Manager サービス (barbican)

    OpenStack Key Manager サービスは、パスワード、暗号化鍵、X.509 などのシークレットのセキュアなストレージ、プロビジョニング、管理のために設計された REST API です。これには、対称キー、非対称キー、証明書、RAW バイナリーデータなどの鍵マテリアルが含まれます。

  • Red Hat OpenStack Platform director

    Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) director は、完全な RHOSP 環境のインストールおよび管理を行うためのツールセットです。director は、主に OpenStack プロジェクト TripleO (OpenStack-On-OpenStack の略語) をベースとしてます。このプロジェクトは、OpenStack のコンポーネントを使用して、完全に機能する RHOSP 環境をインストールします。これには、OpenStack ノードとして使用するベアメタルシステムのプロビジョニングや制御を行う新たな OpenStack のコンポーネントが含まれます。director により、完全な RHOSP 環境を簡単にインストールすることができます。RHOSP director は、アンダークラウドとオーバークラウドという 2 つの主要な概念を採用しています。アンダークラウドがオーバークラウドのインストールおよび設定を行います。

  • OpenStack High Availability

    Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) の環境が効率的に稼働する状態を維持するためには、RHOSP director を使用して、RHOSP の主要な全サービスにわたって高可用性および負荷分散を提供する構成を構築します。

  • OpenStack Operational Tools

    Red Hat OpenStack Platform には、集中ロギング、可用性の監視、パフォーマンスの監視などのオプションのツールスイートが同梱されています。これらのツールは、OpenStack 環境の維持管理に役立ちます。

2.2. 統合

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) と統合可能なサードパーティー製ソフトウェアについては、「Tested. Certified. Trusted.」を参照してください。

2.3. インストールの概要

Red Hat では、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) をインストールする以下の方法をサポートしています。

  • Red Hat OpenStack Platform director: エンタープライズのデプロイメントには、RHOSP director が推奨されます。RHOSP director は、完全な RHOSP 環境のインストールおよび管理を行うためのツールセットです。director は、主に OpenStack プロジェクト TripleO (「OpenStack-On-OpenStack」の略語) をベースとしてます。このプロジェクトは、OpenStack のコンポーネントを活用して、完全に機能する RHOSP 環境をインストールします。これには、OpenStack ノードとして使用するベアメタルシステムのプロビジョニングや制御を行う新たな OpenStack のコンポーネントが含まれます。director により、完全な RHOSP 環境を簡単にインストールすることができます。RHOSP director は、アンダークラウドとオーバークラウドという 2 つの主要な概念を採用しています。アンダークラウドがオーバークラウドのインストールおよび設定を行います。詳しくは、『Red Hat OpenStack Platform Director Installation and Usage』を参照してください。
  • packstack: packstack は、1 台のマシン上のパブリックネットワークとプライベートネットワークから構成され、CirrOS イメージを 1 つホストし、ストレージボリュームが接続される OpenStack デプロイメントです。インストールされる OpenStack サービスには Block Storage、Compute、Dashboard、Identity、Image、Networking、Object Storage、および Telemetry が含まれます。packstack は OpenStack を迅速にデプロイするコマンドラインユーティリティーです。

    注記

    packstack によるデプロイメントは、概念実証タイプのテスト環境を対象としており、実稼動環境には適切ではありません。デフォルトでは、パブリックネットワークは OpenStack ホストからのみルーティング可能です。

    詳しい情報は、「Evaluating OpenStack: Single-Node Deployment」を参照してください。

これらのインストールオプションを比較するは、「Installing and Managing Red Hat OpenStack Platform」を参照してください。

2.4. サブスクリプション

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) をインストールするには、OpenStack 環境にある全システムを Red Hat サブスクリプションマネージャーで登録して、必要なチャンネルをサブスクライブします。RHOSP をデプロイするためのチャンネルおよびリポジトリーについての詳しい情報は、以下のガイドを参照してください。

第3章 ハードウェア

Red Hat OpenStack Platform は、信頼済みのクラウドプロバイダーでデプロイすることができます。認定済みの製品一覧については、「Tested. Certified. Trusted.」を参照してください。

第4章 その他の参考資料

以下の表には、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) コンポーネントのデプロイメントの参照をまとめています。

その他の RHOSP ドキュメントについては、Product Documentation for Red Hat OpenStack Platform 16.2-beta の製品ドキュメント を参照してください。

コンポーネント参考情報

Red Hat Enterprise Linux

Red Hat OpenStack Platform 16.2-beta は、Red Hat Enterprise Linux 8.2 上でサポートされます。Red Hat Enterprise Linux のインストールについての情報は、「Product Documentation for Red Hat Enterprise Linux 8」を参照してください。

Red Hat OpenStack Platform

OpenStack のコンポーネントとそれらの依存関係をインストールするには、RHOSP director を使用します。director は基本的な OpenStack アンダークラウドを使用して、最終的なオーバークラウドの OpenStack ノードのプロビジョニングと管理を行います。

アンダークラウドのインストールには、デプロイするオーバークラウドに必要な環境に加えて、追加のホストマシンが 1 台必要となる点に注意してください。詳しくは、『Director Installation and Usage』を参照してください。

高可用性

追加の高可用性コンポーネント (例: HAProxy) の設定については、『High Availability Deployment and Usage』を参照してください。

ライブマイグレーションの設定に関する情報は、『Configuring the Compute Service for Instance Creation』「Migrating virtual machine instances between Compute nodes」を参照してください。

Load-balancing

OpenStack Load-balancing サービス (octavia) は、RHOSP director のインストール環境で、Load Balancing-as-a-Service (LBaaS) バージョン 2 の実装を提供します。詳細は、『Using Octavia for Load Balancing-as-a-Service』を参照してください。

Pacemaker

Pacemaker は Red Hat Enterprise Linux にアドオンとして統合されています。高可用性用の Red Hat Enterprise Linux を設定するには、『Configuring and managing high availability clusters』を参照してください。

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