第15章 プロジェクトのデータのプライバシー
OpenStack は、異なるデータ要件を持つプロジェクト間のマルチテナンシーをサポートするように設計されています。クラウドオペレーターは、適用可能なデータのプライバシーに関する懸念点と規制を考慮する必要があります。本章では、OpenStack デプロイメントにおけるデータ保持および破棄の要素に対応しています。
15.1. データ保持
データのプライバシーと分離は、過去数年にクラウド導入に対する主要なバリアとして、一貫して引用されています。クラウド内で誰がデータを所有するのか、クラウドオペレーターが究極的にこのデータの管理者として信頼できるかどうかの懸念が、これまで重大な問題となっていました。
特定の OpenStack サービスは、プロジェクトに属するデータおよびメタデータ、または参考プロジェクト情報にアクセスできます。たとえば、OpenStack クラウドに保存されるプロジェクトデータには、以下の項目が含まれます。
- Object Storage オブジェクト
- コンピュートインスタンスの一時ファイルシステムのストレージ
- コンピュートインスタンスのメモリー
- Block Storage ボリュームデータ
- Compute アクセス用の公開鍵
- Image サービスの仮想マシンイメージ
- インスタンスのスナップショット
- Compute の configuration-drive 拡張に渡されるデータ
OpenStack クラウドにより保存されるメタデータには、以下の項目が含まれます (このリストがすべてを網羅している訳ではありません)。
- 組織名
- ユーザーの本名
- 実行中のインスタンス、バケット、オブジェクト、ボリューム、およびその他のクォータ関連項目の数またはサイズ
- インスタンスの実行時間またはデータの保存時間
- ユーザーの IP アドレス
- コンピュートイメージのバンドル用に内部的に生成された秘密鍵