3.4. Red Hat OpenStack Platform 16.1.3 メンテナンスリリース (2020 年 12 月 15 日)

本リリースノートには主に、今回リリースされた Red Hat OpenStack Platform のデプロイメント時に考慮すべきテクノロジープレビューの項目、推奨事項、既知の問題、非推奨になった機能について記載します。

3.4.1. アドバイザリーの一覧

本リリースには、以下のアドバイザリーが含まれています。

RHSA-2020:5411
中程度: python-django-horizon に関するセキュリティー更新
RHSA-2020:5412
中程度: python-XStatic-jQuery224 に関するセキュリティー更新
RHEA-2020:5413
Red Hat OpenStack Platform 16.1.3 のバグ修正および機能拡張アドバイザリー
RHEA-2020:5414
Red Hat OpenStack Platform 16.1.3 director イメージのバグ修正アドバイザリー
RHEA-2020:5415
Red Hat OpenStack Platform 16.1.3 コンテナーのバグ修正アドバイザリー

3.4.2. バグ修正

以下のバグは、Red Hat OpenStack Platform の本リリースで修正されています。

BZ#1878492
今回の更新以前は、Block Storage サービス (cinder) の非推奨 v1 API ボリュームサービスに関して、director は Identity サービス (keystone) のカタログエントリーを維持していました。従来の Identity サービスエンドポイントは、director のエンドポイント検証に対する最新の機能拡張と互換性がありませんでした。その結果、従来のボリュームサービスが Identity サービスのカタログに存在していると、スタックの更新に失敗していました。今回の更新により、director は従来のボリュームサービスおよびその関連エンドポイントを自動的に削除するようになりました。スタック更新で、Identity サービスのエンドポイント検証に失敗しなくなりました。

3.4.3. 機能拡張

Red Hat OpenStack Platform の今回のリリースでは、以下の機能拡張が提供されています。

(BZ#2098594)

今回の更新で、階層化ポリシーに対応したボリューム作成がサポートされるようになりました。サポートされる値は以下の 4 つです。

  • StartHighThenAuto (デフォルト)
  • Auto
  • HighestAvailable
  • LowestAvailable
BZ#1862541

今回の機能拡張により、Dell EMC PowerStore 用の新しいドライバーが追加され、Block Storage サービスのバックエンドサーバーがサポートされるようになりました。新しいドライバーは FC プロトコルおよび iSCSI プロトコルをサポートし、以下の機能を備えています。

  • ボリュームの作成および削除
  • ボリュームの接続および切断
  • スナップショットの作成および削除
  • スナップショットからのボリュームの作成
  • ボリュームに関する統計値の取得
  • ボリュームへのイメージのコピー
  • イメージへのボリュームのコピー
  • ボリュームのクローン作成
  • ボリュームの拡張
  • スナップショットへのボリュームの復帰
BZ#1809930
今回の機能拡張により、OvsDpdkCoreList パラメーターがオプションになりました。OvsDpdkCoreList を設定すると、ovs-vswitchd の非 pmd スレッドがパラメーターで指定した最初のコアに固定されます。OvsDpdkCoreList を除外すると、ovs-vswitchd の非 pmd スレッドは分離していない任意のコアを使用することができます。

3.4.4. リリースノート

本項では、Red Hat OpenStack Platform の注目すべき変更点や推奨プラクティスなど、今回のリリースに関する重要な情報を記載しています。お使いのデプロイメントに最大限の効果をもたらすために、以下の情報を考慮する必要があります。

(BZ#2098594)
本リリースで、collectd-libpod-stats プラグインが、オーバークラウドで実行されているコンテナーの CPU およびメモリーメトリックを収集するようになりました。
BZ#1867222
今回のリリースで、VxFlex OS ドライバーの名前が PowerFlex に変更されました。設定オプションの名前が変更および削除されています。ScaleIO の名前および関連する sio_ 設定オプションが非推奨になっています。
BZ#1867225
本リリースでは、VxFlex OS ドライバーのブランド名が PowerFlex に変更されています。

3.4.5. 既知の問題

現時点における Red Hat OpenStack Platform の既知の問題は以下のとおりです。

BZ#1261083

現在、少なくとも 1 つのデバイスが LVMFilterAllowlist パラメーターに設定されていない限り、LVM フィルターは設定されません。

回避策: LVMFilterAllowdisk パラメーターに少なくとも 1 つのデバイス (ルートディスクなど) を設定します。LVM フィルターは /etc/lvm/lvm.conf に設定されます。

BZ#1852541

Object Storage サービス (swift) には既知の問題があります。事前にデプロイされたノードを使用する場合、/var/log/containers/stdouts/swift_rsync.log に以下のエラーメッセージが記録される場合があります。

failed to create pid file /var/run/rsyncd.pid: File exists

回避策: 事前にデプロイされているすべてのコントローラーノードで以下のコマンドを入力します。

for d in $(podman inspect swift_rsync | jq '.[].GraphDriver.Data.UpperDir') /var/lib/config-data/puppet-generated/swift; do sed -i -e '/pid file/d' $d/etc/rsyncd.conf; done
BZ#1856999

dashboard_protocol パラメーターがヒートテンプレートから不適切に削除されたため、現在 Ceph Dashboard は TLS Everywhere のフレームワークでは機能しません。その結果、HAproxy の起動時にバックエンドが表示されません。

一時的なソリューションとしては、Dashboard_protocol パラメーターが含まれる新しい環境ファイルを作成し、-e オプションを使用してその環境ファイルをオーバークラウドデプロイメントに追加します。

parameter_defaults:
  CephAnsibleExtraConfig:
    dashboard_protocol: 'https'

このソリューションにより、ceph-ansible のバグが生じます。詳細は、BZ#1860815 を参照してください。

BZ#1879418
複数のスタックが存在する場合に、openstack overcloud status コマンドが指定したスタックの正しいステータスを返さないという既知の問題があります。この場合、スタック名に関係なく、必ず直近にデプロイされたスタックのステータスが返されます。これにより、障害が発生しているのが直近にデプロイされたスタックだけであっても、すべてのスタックで障害が報告される可能性があります。回避策: デプロイメントの正しいステータスを明確にする必要があります。たとえば、openstack stack list により heat ステージのオーバークラウドデプロイメントのエラーが表示され、ansible デプロイメントログには config ダウンロードステージのエラーが表示されます。
BZ#1880979

現在、OSP13 の Puppet モジュール kmod に加えた変更により、systemd-modules-load.service のモジュール設定に誤りが生じています。これは OSP13 の問題ではありませんが、OSP16.1 での Fast Forward Upgrade のデプロイメント時にエラーが生じます。

回避策: 以下のコマンドを入力します。

rm -f /etc/modules-load.d/nf_conntrack_proto_sctp.conf
BZ#1789822

オーバークラウドのコントローラーノードを置き換えると、ノード間で swift リングの一貫性が失われる可能性があります。これにより、Object Storage サービスの可用性が低下します。

回避策: SSH を使用してそれまで存在していたコントローラーノードにログインして更新されたリングをデプロイし、Object Storage コンテナーを再起動します。

(undercloud) [stack@undercloud-0 ~]$ source stackrc
(undercloud) [stack@undercloud-0 ~]$ nova list
...
| 3fab687e-99c2-4e66-805f-3106fb41d868 | controller-1 | ACTIVE | -          | Running     | ctlplane=192.168.24.17 |
| a87276ea-8682-4f27-9426-6b272955b486 | controller-2 | ACTIVE | -          | Running     | ctlplane=192.168.24.38 |
| a000b156-9adc-4d37-8169-c1af7800788b | controller-3 | ACTIVE | -          | Running     | ctlplane=192.168.24.35
+
(undercloud) [stack@undercloud-0 ~]$ for ip in 192.168.24.17 192.168.24.38 192.168.24.35; do ssh $ip 'sudo podman restart swift_copy_rings ; sudo podman restart $(sudo podman ps -a --format="{{.Names}}" --filter="name=swift_*")'; done

Leapp ユーティリティーを使用してアップグレードした後、OVS-DPDK 負荷を持つコンピュートノードが正しく機能しません。この問題を回避するには、次のいずれかの操作を行います。

  • Compute をアップグレードする前に、/etc/modules-load.d/vfio-pci.conf ファイルを削除します。

または

  • アップグレード後に、コンピュートノードで ovs-vswitchd サービスを再起動します。