4.2. RHBA-2020:3542: Red Hat OpenStack Platform 16.1.1 の一般提供アドバイザリー

本項に記載するバグは、アドバイザリー RHBA-2020:3542 で対応しています。このアドバイザリーについての詳しい情報は、RHBA-2020:3542 - Bug Fix Advisory を参照してください。

openstack-tripleo コンポーネントに対する変更:

  • オーバークラウドのデプロイメントステップには、tripleo-bootstrap および tripleo-ssh-known-hosts ロールを common_roles としてタグ付けする古い Ansible 構文が含まれていました。この古い構文により、Ansible が common_roles タグを使用しない場合に common_roles にタグ付けされたタスクが実行されました。この構文が原因で、13 から 16.1 への system_upgrade プロセス中にエラーが発生していました。

    今回の更新により、新しい構文を使用して tripleo-bootstrap および tripleo-ssh-known-hosts ロールを common_roles としてタグ付けできるようになりました。13 から 16.1 の system_upgrade プロセス中にエラーが発生しなくなり、回避策として --playbook upgrade_steps_playbook.yaml オプションを system_upgrade プロセスに追加する必要がなくなりました。(BZ#1851914)

openstack-tripleo-heat-templates コンポーネントに対する変更:

  • 今回の更新により、leapp によるアップグレード時にコンピュートノードが予期せぬ挙動を示す原因となっていた GRUB パラメーターの命名規則が修正されました。

    従来は、GRUB パラメーターに廃止された TRIPELO 接頭辞が存在することが原因で問題が生じていました。

    GRUB の /etc/default/grub ファイルの tripleo kernel 引数パラメーターが更新され、これにより leapp が正しくアップグレードできるようになりました。そのために、roles_data.yaml ファイルのすべてのロールに追加された新規サービスの OS::TripleO::Services::BootParams サービスに upgrade_tasks を追加しました。(BZ#1858673)

  • 今回の更新で、Leapp によるアップグレード時にベアメタルノードが応答しなくなる問題が修正されました。

    以前のリリースでは、Leapp は移行時に SR-IOV Virtual Function (VF) 等の一時的なインターフェイスを処理しませんでした。そのため、Leapp はアップグレード時に VF インターフェイスを検出せず、ノードがリカバリー不能な状態になっていました。

    サービス OS::TripleO::Services::NeutronSriovAgent は、すべての VF を削除するように Physical Function (PF) を設定し、アップグレードの前にワークロードを移行するようになりました。Leapp によるアップグレードが正常に完了したら、--no-activate フラグを設定して os-net-config を再度実行し、VF を確立し直します。(BZ#1866372)

  • director のこの拡張機能により、OpenStack のアップグレード準備を行うために、オーバークラウドノードに Leapp ユーティリティーが自動的にインストールされます。今回の機能拡張には、2 つの新たな Heat パラメーター (LeappRepoInitCommand および LeappInitCommand) が含まれます。また、以下のデフォルトのリポジトリーがある場合は、UpgradeLeappCommandOptions の値を渡す必要はありません。

    --enablerepo rhel-8-for-x86_64-baseos-eus-rpms --enablerepo rhel-8-for-x86_64-appstream-eus-rpms --enablerepo rhel-8-for-x86_64-highavailability-eus-rpms --enablerepo advanced-virt-for-rhel-8-x86_64-rpms --enablerepo ansible-2.9-for-rhel-8-x86_64-rpms --enablerepo fast-datapath-for-rhel-8-x86_64-rpms

    (BZ#1845726)

  • UpgradeLevelNovaCompute パラメーターを '' に設定しない場合、RHOSP 13 から RHOSP 16 にアップグレードするとライブマイグレーションを行うことができません。(BZ#1849235)
  • 今回の更新で、パブリック TLS 証明書を使用した Transport Layer Security (TLS) Everywhere の正常なデプロイメントを阻害していたバグが修正されました。(BZ#1852620)
  • 今回の更新以前は、Leapp のアップグレードを実行する前に、director は Red Hat Ceph Storage OSD に noout フラグを設定していませんでした。その結果、アップグレード後に OSD がバランスをとり直すのに追加の時間が必要でした。

    今回の更新により、ディレクターは Leapp のアップグレード前に noout フラグを設定するようになり、これによりアップグレードプロセスが迅速化されました。また、director は Leapp のアップグレード後に noout フラグの設定を解除します。(BZ#1853275)

  • 今回の更新以前は、NFS 共有がマウントされていると、Leapp のアップグレードに失敗する場合がありました。特に、Compute サービス (nova) または Image サービス (glance) を実行するノードで NFS マウントが使用されている場合、これらのノードがハングアップしていました。

    今回の更新により、Leapp のアップグレード前に、director は /var/lib/nova/instances/var/lib/glance/images、および GlanceNodeStagingUri パラメーターで定義する Image サービスのステージングエリアをアンマウントするようになりました。(BZ#1853433)

openstack-tripleo-validations コンポーネントに対する変更:

  • 今回の更新により、Red Hat OpenStack Platform 13 から 16.1 へのアップグレード失敗の原因となっていた Red Hat Ceph Storage (RHCS) バージョンの互換性の問題が修正されました。今回の修正以前は、アップグレード中に実行される検証が、RHCS3 クラスターでは機能しましたが RHCS4 クラスターでは機能しませんでした。検証が RHCS3 および RHCS4 クラスターの両方で機能するようになりました。(BZ#1852868)

puppet-tripleo コンポーネントに対する変更:

  • 今回の更新以前は、Red Hat Ceph Storage ダッシュボードが無効であっても、ダッシュボードリスナーが HA Proxy 設定に作成されていました。その結果、Ceph を使用する OpenStack のアップグレードに失敗する可能性がありました。

    今回の更新によりサービス定義が更新され、Ceph MGR サービスをダッシュボードサービスと区別し、ダッシュボードサービスが有効でなければ設定されないようになりました。これにより、アップグレードが正常に実行されます。(BZ#1850991)