第11章 VLAN 対応のインスタンス

11.1. VLAN トランクおよび VLAN 透過ネットワーク

VM インスタンスは、単一の仮想 NIC を使用して、VLAN タグ付けされたトラフィックを送受信することができます。このことは、特に VLAN タグ付けされたトラフィックを想定する NFV アプリケーション (VNF) に役立ちます。単一の仮想 NIC で複数の顧客/サービスに対応することができるためです。

ML2/OVN のデプロイメントでは、VLAN 透過ネットワークを使用して VLAN 対応のインスタンスをサポートすることができます。これとは別に、ML2/OVN または ML2/OVS のデプロイメントでは、トランクを使用して VLAN 対応のインスタンスをサポートすることができます。

VLAN 透過ネットワークでは、仮想マシンインスタンスで VLAN タグ付けを設定します。VLAN タグはネットワークを通じて転送され、同じ VLAN のインスタンスにより消費され、他のインスタンスやデバイスでは無視されます。VLAN 透過ネットワークでは、VLAN はインスタンスで管理されます。OpenStack Networking サービス (neutron) で VLAN を設定する必要はありません。

VLAN トランクは、複数の VLAN を 1 つのトランクポートに結び付けて、VLAN 対応のインスタンスをサポートします。たとえば、プロジェクトのデータネットワークは VLAN またはトンネリング (VXLAN、GRE、または Geneve) の分割を使用できますが、インスタンスからは VLAN ID がタグ付けされたトラフィックが見えます。ネットワークパケットは、ネットワーク全体でタグ付けされる必要はなく、インスタンスに注入される直前にタグ付けされます。

特定の機能について、VLAN 透過ネットワークと VLAN トランクの比較を以下の表にまとめます。

 透過トランク

メカニズムドライバーのサポート

ML2/OVN

ML2/OVN、ML2/OVS

VLAN 設定の管理

仮想マシンインスタンスによる

OpenStack Networking サービス (neutron) による

IP 割り当て

仮想マシンインスタンスでの設定

DHCP による割り当て

VLAN ID

柔軟。インスタンスで VLAN ID を設定することが可能。

固定。インスタンスは、トランクで設定した VLAN ID を使用する必要がある。