第17章 アップグレードコマンドの概要

アップグレードプロセスでは、プロセスの特定の段階で異なるコマンドを実行します。

重要

本セクションでは、それぞれのコマンドについてのみ説明します。これらのコマンドは特定の順序で実行し、オーバークラウドに固有のオプションを指定する必要があります。適切なステップでこれらのコマンドを実行するよう指示されるまで待ちます。

17.1. openstack overcloud upgrade prepare

このコマンドにより、オーバークラウドのアップグレードの初期準備のステップが実行されます。これには、アンダークラウド上の現在のオーバークラウドプランを新しい OpenStack Platform 16.1 オーバークラウドプランおよび更新された環境ファイルに置き換えることが含まれます。このコマンドは、openstack overcloud deploy コマンドと同じように機能し、多くの同一オプションが使用されます。

17.2. openstack overcloud upgrade run

このコマンドにより、アップグレードプロセスが実施されます。director は、新しい OpenStack Platform 16.1 オーバークラウドプランに基づいて Ansible Playbook のセットを作成し、オーバークラウド全体で Fast Forward タスクを実行します。これには、OpenStack Platform の 13 から 16.1 までの各バージョンでアップグレードプロセスを実行することが含まれます。

標準のアップグレードプロセスに加えて、このコマンドによりオーバークラウドノード上のオペレーティングシステムの Leapp アップグレードを実施することができます。--tags オプションを使用して、これらのタスクを実行します。

Leapp のアップグレードタスクタグ

system_upgrade
system_upgrade_preparesystem_upgrade_run、および system_upgrade_reboot のタスクを組み合わせるタスク
system_upgrade_prepare
Leapp を使用したオペレーティングシステムのアップグレードに向けた準備を行うタスク
system_upgrade_run
Leapp を実行し、オペレーティングシステムをアップグレードするタスク
system_upgrade_reboot
システムをリブートし、オペレーティングシステムのアップグレードを完了するタスク

ワークロード移行のアップグレードタスクタグ

nova_hybrid_state
アップグレード中のワークロードの移行を円滑に行うために、コンピュートノード上に一時的な OpenStack Platform 16.1 コンテナーをセットアップするタスク

17.3. openstack overcloud external-upgrade run

このコマンドにより、標準のアップグレードプロセス以外のアップグレードタスクが実行されます。director は新しい OpenStack Platform 16.1 オーバークラウドプランに基づいて Ansible Playbook のセットを作成するので、--tags オプションを使用して特定のタスクを実行します。

コンテナー管理の外部タスクタグ

container_image_prepare
アンダークラウドレジストリーにコンテナーイメージをプルし、オーバークラウドが使用するようにイメージを準備するタスク

Ceph Storage アップグレードの外部タスクタグ

  • director を使用してデプロイされた Red Hat Ceph Storage クラスターがデプロイメントで使用される場合は、以下のタグを使用することができます。

    ceph
    ceph-ansible Playbook を使用して Red Hat Ceph Storage をインストールするタスク
    ceph_systemd
    podman 管理を使用するために、Red Hat Ceph Storage の systemd ユニットファイルを変換するタスク
  • 外部の Ceph デプロイメントと共にアップグレードする場合は、ceph および ceph_systemd タグを使用するタスクを省略することができます。

データベース移行の外部タスクタグ

system_upgrade_cleanup
system_upgrade_transfer_data タスクに関連するストレージディレクトリーを消去するタスク
system_upgrade_stop_services
すべてのサービスをシャットダウンするタスク
system_upgrade_transfer_data
すべてのサービスをシャットダウンし、ブートストラップノードへのデータベース移行を実施するタスク

17.4. openstack overcloud upgrade converge

このコマンドにより、オーバークラウドのアップグレードの最終ステップが実施されます。この最終ステップでは、オーバークラウドの heat スタックを OpenStack Platform 16.1 のオーバークラウドプランおよび更新された環境ファイルと同期します。このプロセスにより、作成されるオーバークラウドが新しい OpenStack Platform 16.1 オーバークラウドの設定と一致するようになります。このコマンドは openstack overcloud deploy コマンドと類似していて、多くの同一オプションが使用されます。

17.5. オーバークラウドノードのアップグレードワークフロー

各オーバークラウドノードでアップグレードを実施する場合、以下の要素を考慮して、アップグレードの各段階で実行する正しいコマンドを判断する必要があります。

コントローラーサービス

  • ノードに Pacemaker サービスが含まれているか? まず、ブートストラップノードをアップグレードする必要があります。これには、Red Hat OpenStack 13 から 16.1 へのアップグレード時の移行を円滑に行うためのデータベース移行および一時コンテナーの起動が含まれます。ブートストラップノードをアップグレードしたら、Pacemaker サービスが含まれるその他のノードをアップグレードし、各ノードがブートストラップノードで開始した新しい Pacemaker クラスターに参加するようにします。Pacamaker が含まれない split-service コントローラーノードをアップグレードするプロセスでは、これらの追加手順は必要ありません。

Compute サービス

  • ノードがコンピュートノードか? ノードに Compute サービスが含まれる場合、そのノードから仮想マシンを移行して最大限の可用性を確保する必要があります。ここで言うコンピュートノードには、仮想マシンをホストするためのあらゆるノードが含まれます。この定義には、以下のコンピュートノード種別が含まれます。

    • 通常のコンピュートノード
    • ハイパーコンバージドインフラストラクチャー (HCI) を持つコンピュートノード
    • Data Plane Development Kit (DPDK) または Single Root Input/Output Virtualization (SR-IOV) 等のネットワーク機能仮想化技術を使用するコンピュートノード
    • リアルタイムコンピュートノード

Ceph Storage サービス

  • ノードに Ceph Storage サービスが含まれているか? docker ではなく podman を使用するために、ノード上のコンテナー化された Ceph Storage サービスの systemd ユニットファイルを変換する必要があります。以下のノード種別がこれに該当します。

    • Ceph Storage OSD ノード
    • Ceph MON サービスが含まれるコントローラーノード
    • Split-Controller Ceph MON ノード
    • ハイパーコンバージドインフラストラクチャー (HCI) を持つコンピュートノード

ワークフロー

以下のワークフロー図を使用して、特定ノードの正しい更新パスを特定します。