第26章 仮想コントロールプレーンの作成
仮想コントロールプレーンは、ベアメタルではなく仮想マシン (VM) 上にあるコントロールプレーンです。仮想コントロールプレーンを使用することで、コントロールプレーンに必要なベアメタルマシンの数を減らすことができます。
本章では、Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) および Red Hat Virtualization を使用して、オーバークラウドの RHOSP コントロールプレーンを仮想化する方法について説明します。
26.1. 仮想コントロールプレーンのアーキテクチャー
director を使用して、Red Hat Virtualization クラスターにデプロイされたコントローラーノードを使用するオーバークラウドをプロビジョニングします。その後、これらの仮想コントローラーを仮想コントロールプレーンノードとしてデプロイできます。
仮想コントローラーノードは、Red Hat Virtualization 上でのみサポートされます。
以下のアーキテクチャー図は、仮想コントロールプレーンのデプロイ方法を示しています。オーバークラウドを Red Hat Virtualization の仮想マシン上で実行中のコントローラーノードに分散し、コンピュートノードおよびストレージノードをベアメタル上で実行します。
OpenStack 仮想アンダークラウドは、Red Hat Virtualization 上で実行されます。
仮想コントロールプレーンのアーキテクチャー
OpenStack Bare Metal Provisioning サービス (ironic) には、Red Hat Virtualization の仮想マシン用ドライバー staging-ovirt
が含まれています。このドライバーを使用して、Red Hat Virtualization 環境内の仮想ノードを管理できます。このドライバーを使用して、Red Hat Virtualization 環境内の仮想マシンとしてオーバークラウドのコントローラーをデプロイすることもできます。
RHOSP オーバークラウドのコントロールプレーンを仮想化する際の利点と制限
RHOSP オーバークラウドのコントロールプレーンを仮想化する利点は数多くありますが、すべての設定に適用できる訳ではありません。
利点
オーバークラウドのコントロールプレーンを仮想化することには、ダウンタイムを回避し、パフォーマンスを向上させる数多くの利点があります。
- ホットプラグおよびホットアンプラグを使用して CPU およびメモリーを必要に応じてスケーリングし、リソースを仮想コントローラーに動的に割り当てることができます。これにより、ダウンタイムを防ぎ、プラットフォームの拡張に合わせて増大した能力を活用できます。
- 同じ Red Hat Virtualization クラスターに追加のインフラストラクチャー仮想マシンをデプロイすることができます。これにより、データセンターのサーバーフットプリントが最小限に抑えられ、物理ノードの効率が最大化されます。
- コンポーザブルロールを使用すると、より複雑な RHOSP コントロールプレーンを定義することができ、リソースをコントロールプレーンの特定のコンポーネントに割り当てることができます。
- 仮想マシンのライブマイグレーション機能により、サービスを中断せずにシステムをメンテナンスすることができます。
- Red Hat Virtualization がサポートするサードパーティーまたはカスタムツールを統合することができます。
制限
仮想コントロールプレーンには、使用できる設定の種類に制限があります。
- 仮想 Ceph Storage ノードおよびコンピュートノードはサポートされません。
- ファイバーチャネルを使用するバックエンドについては、Block Storage (cinder) のイメージからボリュームへの転送はサポートされません。Red Hat Virtualization は N_Port ID Virtualization (NPIV) をサポートしていません。したがって、ストレージのバックエンドからコントローラー (デフォルトで cinder-volume を実行) に LUN をマッピングする必要のある Block Storage (cinder) ドライバーは機能しません。仮想化されたコントローラーに含めるのではなく、cinder-volume 専用のロールを作成し、そのロールを使用して物理ノードを作成する必要があります。詳しい情報は、オーバークラウドの高度なカスタマイズの コンポーザブルサービスとカスタムロール を参照してください。