5.2. PCI パススルー用コンピュートノードの設定

クラウドユーザーが PCI デバイスがアタッチされたインスタンスを作成できるようにするには、PCI デバイスを持つコンピュートノードとコントローラーノードの両方を設定する必要があります。

手順

  1. PCI パススルー用にオーバークラウド上のコントローラーノードを設定するには、環境ファイル (例: pci_passthru_controller.yaml) を作成します。
  2. pci_passthrough_controller.yamlNovaSchedulerDefaultFilters パラメーターに PciPassthroughFilter を追加します。

    parameter_defaults:
      NovaSchedulerDefaultFilters: ['AvailabilityZoneFilter','ComputeFilter','ComputeCapabilitiesFilter','ImagePropertiesFilter','ServerGroupAntiAffinityFilter','ServerGroupAffinityFilter','PciPassthroughFilter','NUMATopologyFilter']
  3. コントローラーノード上のデバイスの PCI エイリアスを指定するには、以下の設定を pci_passthrough_controller.yaml に追加します。

    parameter_defaults:
      ...
      ControllerExtraConfig:
        nova::pci::aliases:
          - name: "a1"
            product_id: "1572"
            vendor_id: "8086"
            device_type: "type-PF"

    device_type フィールドの設定に関する詳細は、PCI パススルーデバイス種別フィールド を参照してください。

    注記

    nova-api サービスが Controller 以外のロールで実行されている場合は、ControllerExtraConfig<Role>ExtraConfig の形式でユーザーロールに置き換えます。

  4. (オプション): PCI パススルーデバイスにデフォルトの NUMA アフィニティーポリシーを設定するには、ステップ 3 の numa_policy 設定に nova::pci::aliases: を追加します。

    parameter_defaults:
      ...
      ControllerExtraConfig:
        nova::pci::aliases:
          - name: "a1"
            product_id: "1572"
            vendor_id: "8086"
            device_type: "type-PF"
            numa_policy: "preferred"
  5. PCI パススルー用にオーバークラウド上のコンピュートノードを設定するには、環境ファイル (例: pci_passthrough_compute.yaml) を作成します。
  6. コンピュートノード上のデバイスの利用可能な PCI を指定するには、vendor_id および product_id オプションを使用して、インスタンスへのパススルーに使用できる PCI デバイスのプールに、一致するすべての PCI デバイスを追加します。たとえば、すべての Intel® Ethernet Controller X710 デバイスをインスタンスへのパススルーに使用できる PCI デバイスのプールに追加するには、以下の設定を pci_passthrough_compute.yaml に追加します。

    parameter_defaults:
      ...
      ComputePCIParameters:
        NovaPCIPassthrough:
          - vendor_id: "8086"
            product_id: "1572"

    NovaPCIPassthrough の設定方法の詳細は、NovaPCIPassthrough 設定のガイドライン を参照してください。

  7. インスタンスの移行およびサイズ変更の操作を行うために、コンピュートノードの PCI エイリアスのコピーを作成する必要があります。PCI パススルー用コンピュートノード上のデバイスの PCI エイリアスを指定するには、以下の設定を pci_passthrough_compute.yaml に追加します。

    parameter_defaults:
      ...
      ComputePCIExtraConfig:
        nova::pci::aliases:
          - name: "a1"
            product_id: "1572"
            vendor_id: "8086"
            device_type: "type-PF"
    注記

    コンピュートノードのエイリアスは、コントローラーノードのエイリアスと同じでなければなりません。したがって、pci_passthrough_controller.yamlnova::pci::aliasesnuma_affinity を追加した場合は、pci_passthrough_compute.yamlnova::pci::aliases にも追加する必要があります。

  8. PCI パススルーをサポートするためにコンピュートノードのサーバー BIOS で IOMMU を有効にするには、pci_passthrough_compute.yamlKernelArgs パラメーターを追加します。たとえば、Intel IOMMU を有効にするには、以下の KernalArgs 設定を使用します。

    parameter_defaults:
      ...
      ComputePCIParameters:
        KernelArgs: "intel_iommu=on iommu=pt"

    AMD IOMMU を有効にするには、KernelArgs"amd_iommu=on iommu=pt" に設定します。

  9. その他の環境ファイルと共にこれらのカスタム環境ファイルをスタックに追加して、オーバークラウドをデプロイします。

    (undercloud)$ openstack overcloud deploy --templates \
      -e [your environment files] \
      -e /home/stack/templates/pci_passthrough_controller.yaml \
      -e /home/stack/templates/pci_passthrough_compute.yaml \
  10. クラウドユーザーが PCI デバイスを要求するのに使用できるフレーバーを作成および設定します。以下の例では、ステップ 7 で定義したエイリアスを使用して、それぞれベンダー ID および製品 ID が 8086 および 1572 の 2 つのデバイスを要求します。

    (overcloud)# openstack flavor set \
     --property "pci_passthrough:alias"="a1:2" device_passthrough
  11. (オプション) フレーバーまたはイメージに NUMA アフィニティーポリシーの属性キーを追加して、PCI パススルーデバイスのデフォルト NUMA アフィニティーポリシーをオーバーライドすることができます。

    • フレーバーを使用してデフォルトの NUMA アフィニティーポリシーをオーバーライドするには、hw:pci_numa_affinity_policy 属性キーを追加します。

      (overcloud)# openstack flavor set \
       --property "hw:pci_numa_affinity_policy"="required" \
       device_passthrough

      hw:pci_numa_affinity_policy の有効な値についての詳しい情報は、フレーバーのメタデータ を参照してください。

    • イメージを使用してデフォルトの NUMA アフィニティーポリシーをオーバーライドするには、hw_pci_numa_affinity_policy 属性キーを追加します。

      (overcloud)# openstack image set \
       --property hw_pci_numa_affinity_policy=required \
       device_passthrough_image
      注記

      イメージとフレーバーの両方で NUMA アフィニティーポリシーを設定する場合には、属性の値が一致している必要があります。フレーバーの設定は、イメージおよびデフォルトの設定よりも優先されます。したがって、イメージの NUMA アフィニティーポリシーの設定は、フレーバーで属性が設定されていない場合に限り効果を持ちます。

検証

  1. PCI パススルーデバイスを設定してインスタンスを作成します。

    # openstack server create --flavor device_passthrough \
     --image <image> --wait test-pci
  2. クラウドユーザーとしてインスタンスにログインします。詳細は、Connecting to an instance を参照してください。
  3. インスタンスが PCI デバイスにアクセスできることを確認するには、インスタンスから以下のコマンドを入力します。

    $ lspci -nn | grep <device_name>