第1章 Red Hat OpenStack Platform Block Storage バックアップサービスの概要

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) は、Red Hat Enterprise Linux 上にプライベートまたはパブリックの Infrastructure-as-a-Service (IaaS) クラウドを構築するための基盤を提供します。RHOSP は、クラウド対応のワークロード開発向けのスケーラビリティーおよび耐障害性に優れたプラットフォームです。

RHOSP Dashboard またはコマンドラインクライアントメソッドのどちらかを使用して、バックアップサービスのほとんど機能を管することができます。ただし、一部のより高度な手順を実施するには、コマンドラインを使用する必要があります。

注記

Red Hat OpenStack Platform の全ドキュメントスイートは Red Hat OpenStack Platform の製品ドキュメント で参照してください。

Block Storage Service (cinder) には、cinder ボリュームのバックアップをさまざまなストレージバックエンドに提供するために使用できる、水平方向にスケーラブルなバックアップサービスが同梱されています。Block Storage バックアップサービスを使用して、完全バックアップまたは増分バックアップを作成および復元できます。このサービスはボリュームアレイに依存しません。

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) ディレクターは、オーバークラウドと呼ばれる完全な RHOSP 環境をインストールして管理するツールセットです。director の詳細は、Director のインストールと使用 ガイドを参照してください。オーバークラウドには、Block Storage など、エンドユーザーにサービスを提供するコンポーネントが含まれています。Block Storage バックアップサービスは、Controller ノードにデプロイするオプションのサービスです。

1.1. バックアップおよびスナップショット

ボリュームバックアップは、ボリュームのコンテンツの永続コピーです。ボリュームのバックアップは通常、オブジェクトストアとして作成され、デフォルトでは OpenStack Object Storage サービス (swift) で管理されます。Red Hat Ceph および NFS をバックアップの代替バックエンドとして使用できます。

ボリュームバックアップを作成すると、バックアップメタデータはすべて Block Storage サービスデータベースに保存されます。cinder-backup サービスは、バックアップからボリュームを復元する際にこのメタデータを使用します。つまり、致命的なデータベース損失からの復旧を実行する場合、Block Storage サービスデータベースの元のボリュームバックアップメタデータがそのままの状態であれば、バックアップからボリュームを復旧する前に、Block Storage サービスデータベースを復旧する必要があります。致命的なデータベースの損失に備えて、ボリュームバックアップのサブセットのみを設定する場合は、バックアップメタデータもエクスポートできます。その後、REST API または cinder クライアントを使用して、Block Storage データベースにメタデータを再インポートし、通常どおりボリュームバックアップを復元できます。

ボリュームのバックアップはスナップショットとは異なります。バックアップではボリュームに含まれるデータが保持され、スナップショットでは、指定した時点でボリュームの状態が保持されます。スナップショットが存在している場合にはボリュームを削除することはできません。ボリュームのバックアップはデータ損失を防ぎます。一方、スナップショットはクローン作成を円滑化します。このため、スナップショットのバックエンドは通常、クローン作成時の待ち時間を最小限にとどめるため、ボリュームバックエンドにコロケーションを設定します。一方、バックアップリポジトリーは、通常、別のノードまたは別の物理ストレージにあり、バックエンドとは別の場所にあります。これにより、ボリュームバックエンドに発生する可能性がある損傷からバックアップリポジトリーを保護します。

ボリュームスナップショットの詳細は、ストレージガイドボリュームスナップショットの作成、使用、または削除 を参照してください。