OpenStack Dashboard の概要

Red Hat OpenStack Platform 16.0

OpenStack Dashboard グラフィカルユーザーインターフェースの概要

概要

本書では、OpenStack Dashboard のユーザーインターフェースで利用可能なオプションについて説明します。

前書き

本書では、OpenStack Dashboard のグラフィカルユーザーインターフェースで利用可能なオプションについて説明します。

第1章 OpenStack Dashboard

OpenStack Dashboard は、OpenStack サービスを管理するための Web ベースのグラフィカルユーザーインターフェースです。

ブラウザーで Dashboard にアクセスするには、Dashboard Service がインストール済みで、かつその Dashboard のホスト名 (または IP アドレス) とログインパスワードが必要となります。Dashboard の URL は、以下のような形式です。

http://HOSTNAME/dashboard/

Dashboard Login Screen

第2章 管理タブ

管理 タブは、管理者が使用状況の確認や、インスタンス、ボリューム、フレーバー、イメージ、プロジェクト、ユーザー、サービス、クォータの管理を行うことができるインターフェースを提供します。

注記

管理 タブは、管理者権限のあるユーザーとしてログインしている場合にのみメインウィンドウに表示されます。

Admin Tab

以下のオプションは 管理 タブから利用できます。

表2.1 システムパネル

パラメーター名説明

概要

基本的なレポートを表示します。

リソース使用状況

以下のタブを使用して、下に示す使用状況を表示します。

  • 使用状況レポート: 使用状況のレポートを表示します。
  • 統計情報: 全リソースの統計情報を表示します。

ハイパーバイザー

ハイパーバイザーの概要を表示します。

ホストアグリゲート

ホストアグリゲートを表示、作成、編集します。アベイラビリティーゾーンの一覧を表示します。

インスタンス

全プロジェクトではなく、一部のプロジェクトのユーザーに属する実行中のインスタンスを表示、一時停止、再開、休止、移行、ソフトリブート/ハードリブート、削除します。また、インスタンスのログを表示したり、コンソールを使用してインスタンスへアクセスしたりします。

ボリューム

ボリュームおよびボリューム種別を表示、作成、編集、削除します。

フレーバー

フレーバーを表示、作成、編集、削除したり、その追加スペックを表示したりします。フレーバーとは、OpenStack 内の仮想ハードウェアのテンプレートです。

イメージ

カスタムのイメージを表示、作成、削除し、イメージのプロパティーを編集します。

ネットワーク

ネットワークを表示、作成、削除し、ネットワークのプロパティーを編集します。

ルーター

ルーターを表示、作成、削除し、ルーターのプロパティーを編集します。

Floating IP

すべてのプロジェクトについて、割り当てられた Floating IP アドレスを表示します。

デフォルト値

環境内のリソースのデフォルトクォータ (上限) を表示、編集します。

メタデータ定義

メタデータ定義の名前空間をインポート、表示、編集して、メタデータ定義を特定のリソース種別と関連付けます。

システム情報

以下のようなタブがあります。

  • サービス: サービスの一覧を表示します。
  • コンピュートサービス: 全コンピュートサービスの一覧を表示します。
  • ネットワークエージェント: ネットワークエージェントを表示します。
  • ブロックストレージサービス: 全 Block Storage サービスの一覧を表示します。
  • オーケストレーションサービス: 全 Orchestration サービスの一覧を表示します。

2.1. 割り当てられた Floating IP アドレスの表示

Floating IP パネルを使用して、割り当てられた Floating IP アドレスの一覧を表示することができます。コマンドラインを使用して、この情報にアクセスすることもできます。

$ nova list --all-tenants

第3章 プロジェクトタブ

プロジェクト タブは、プロジェクトのリソースを表示および管理するためのインターフェースを提供します。ユーザー管理 > プロジェクト でプロジェクトを有効な状態に設定して、対象プロジェクトのリソースを表示、管理します。

Dashboard Tab

以下のオプションは プロジェクト タブから利用できます。

表3.1 コンピュートタブ

パラメーター名説明

概要

プロジェクトのレポートを表示します。

インスタンス

インスタンスの表示、起動、スナップショットの作成、停止、一時停止、リブート、または コンソールからインスタンスに接続します。

ボリューム

以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。

  • ボリューム: ボリュームを表示、作成、編集、削除します。
  • ボリュームスナップショット: ボリュームのスナップショットを表示、作成、編集、削除します。

イメージ

プロジェクトユーザーが作成したイメージ、インスタンスのスナップショット、ボリュームのスナップショット、および公開されているイメージを表示します。イメージを作成、編集、削除したり、イメージやスナップショットからインスタンスを起動します。

アクセスとセキュリティー

以下のタブを使用して、以下に示すタスクを完了します。

  • セキュリティーグループ: セキュリティーグループおよびセキュリティーグループのルールを表示、作成、編集、削除します。
  • キーペア: キーペアを表示、作成、編集、インポート、削除します。
  • Floating IP: IP アドレスをプロジェクトに確保したり、プロジェクトから解放したりします。
  • API アクセス: API エンドポイントの表示、OpenStack RC ファイルのダウンロード、EC2 認証情報のダウンロード、ログイン中のプロジェクトユーザーの認証情報の表示を行います。

表3.2 ネットワークタブ

パラメーター名説明

ネットワークトポロジー

対話型のネットワークトポロジーを表示します。

ネットワーク

パブリックネットワークおよびプライベートネットワークとサブネットを作成、管理します。

ルーター

ルーターを作成、管理します。

トランク

トランクを作成および管理します。OpenStack Networking (neutron) で trunk 拡張機能を有効にする必要があります。

表3.3 オブジェクトストアタブ

パラメーター名説明

コンテナー

ストレージコンテナーを作成および管理します。コンテナーとは、データ用のストレージコンパートメントで、データを整理する手段を提供します。これは、Linux のファイルディレクトリーと概念が似ていますが、入れ子状にはできません。

表3.4 オーケストレーションタブ

パラメーター名説明

スタック

OpenStack ネイティブの REST API と CloudFormation 互換の Query API の両方を介し、テンプレートを使用して、複数の複合クラウドプラットフォームをオーケストレーションします。

第4章 ユーザー管理タブ

ユーザー管理 タブでは、プロジェクトおよびユーザーの表示、管理を行うインターフェースが提供されます。

Identity Tab

以下のオプションは ユーザー管理 タブから利用できます。

  • プロジェクト: プロジェクトの表示、作成、編集、削除、プロジェクト使用状況の表示、プロジェクトメンバーとしてのユーザーの追加や削除、クォータの変更、有効なプロジェクトの設定を行います。
  • ユーザー: ユーザーの表示、作成、編集、無効化、削除とユーザーパスワードの変更を行います。ユーザー タブは、管理者権限のあるユーザーとしてログインしている場合にのみ表示されます。

OpenStack Dashboard を使用してクラウドを管理する手順についての詳細は、以下のガイドを参照してください。

第5章 Dashboard のカスタマイズ

Red Hat OpenStack Platform の OpenStack dashboard では、horizon コンテナー内に保管されるデフォルトのテーマ (RCUE) が使用されます。コンテナーイメージに自分専用のテーマを追加して特定の dashboard パラメーターをカスタマイズすることで、OpenStack dashboard の外観および操作感をカスタマイズすることができます。このカスタマイズにより、以下の項目を変更することができます。

  • ロゴ
  • サイトの色
  • スタイルシート
  • HTML タイトル
  • サイトのブランディングリンク
  • ヘルプの URL
注記

変更した Red Hat OpenStack Platform コンテナーイメージが継続的にサポートされるには、変更後のイメージが「Red Hat コンテナーのサポートポリシー」を順守する必要があります。

5.1. horizon コンテナーイメージの取得

horizon コンテナーイメージのコピーを取得する必要があります。このイメージを、アンダークラウドまたは podman を実行する別のクライアントシステムのいずれかにプルすることができます。horizon コンテナーイメージをプルするには、以下のコマンドを実行します。

$ sudo podman pull registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon

イメージ変更のベースとして、このイメージを使用できるようになりました。

5.2. RCUE テーマの取得

デフォルトでは、horizon コンテナーイメージは Red Hat ブランドの RCUE テーマを使用するように設定されています。コンテナーイメージからテーマのコピーを抽出して、自分専用のテーマのベースとして使用することができます。

手順

  1. 自分専用のテーマ用のディレクトリーを作成します。

    $ mkdir ~/horizon-themes
    $ cd ~/horizon-themes
  2. ヌルループを実行するコンテナーを起動します。たとえば、以下のコマンドを実行します。

    $ sudo podman run --rm -d --name horizon-temp registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon /usr/bin/sleep infinity
  3. RCUE テーマをコンテナーからローカルディレクトリーにコピーします。

    $ sudo podman cp -a horizon-temp:/usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/rcue .
  4. コンテナーを強制終了します。

    $ sudo podman kill horizon-temp

    これで、RCUE テーマのローカルコピーができたはずです。

5.3. RCUE をベースにした自分専用のテーマの作成

RCUE をベースとして使用するには、RCUE テーマのディレクトリー rcue 全体を新しい場所 (たとえば mytheme) にコピーします。

$ cp -r rcue mytheme

テーマの色、グラフィックス、フォント、その他を変更するには、mytheme 内のファイルを編集します。このテーマを編集する場合は、rcue 内のすべてのインスタンスを確認して、それらを新しい mytheme の名前に変更してください。これには、パス、ファイル、およびディレクトリーが含まれます。

5.4. 自分専用のテーマを有効にして dashboard をカスタマイズするファイルの作成

dashboard コンテナー内の自分専用のテーマを有効にするには、AVAILABLE_THEMES パラメーターを上書きするファイルを作成する必要があります。horizon-themes ディレクトリー内に _12_mytheme_theme.py という名前の新たなファイルを作成し、以下の内容を追加します。

AVAILABLE_THEMES = [('mytheme', 'My Custom Theme', 'themes/mytheme')]

ファイル名の 12 により、このファイルが 11 を使用する RCUE ファイルの後に読み込まれ、AVAILABLE_THEMES パラメーターが上書きされます。

_12_mytheme_theme.py ファイルで、カスタムパラメーターを設定することもできます。以下に例を示します。

SITE_BRANDING

ブラウザーウィンドウの上部に表示される HTML タイトルを設定します。以下に例を示します。

SITE_BRANDING = "Example, Inc. Cloud"
SITE_BRANDING_LINK

テーマのロゴのハイパーリンクを変更します。これは通常、デフォルトで、horizon:user_home にリダイレクトします。以下に例を示します。

SITE_BRANDING_LINK = "http://example.com"

5.5. 変更した horizon イメージの生成

カスタムテーマの作成が完了したら、自分専用のテーマを有効にして使用する新たなコンテナーイメージを作成することができます。dockerfile により、元の horizon イメージをベースとして使用し、新たなコンテナーイメージを生成します。dockerfile の例を以下に示します。

FROM registry.redhat.io/rhosp-rhel8/openstack-horizon
MAINTAINER Acme
LABEL name="rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme" vendor="Acme" version="0" release="1"
COPY mytheme /usr/share/openstack-dashboard/openstack_dashboard/themes/mytheme
COPY _12_mytheme_theme.py /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py
RUN sudo chown horizon:horizon /etc/openstack-dashboard/local_settings.d/_12_mytheme_theme.py

このファイルを dockerfileという名前でご自分の horizon-themes ディレクトリーに保存します。

dockerfile を使用して新たなイメージを生成するには、以下のコマンドを実行します。

sudo podman build . -t "192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1"

-t オプションで、生成されるイメージに名前およびタグを付けます。このオプションには、以下の構文を使用します。

[LOCATION]/[NAME]:[TAG]
LOCATION
これは通常、最終的にオーバークラウドがイメージをプルするのに使用するコンテナーレジストリーの場所です。ここでは、このイメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュするので、この項目をアンダークラウドの IP アドレスおよびポートに設定します。
NAME
一貫性を保つため、通常は元のコンテナーイメージと同じ名前で、その後はご自分のテーマの名前になります。この手順では、rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme になります。
TAG
イメージのタグです。Red Hat では、基本的にこのタグに version ラベルと release ラベルを使用し、この表記法に従うことを推奨します。このイメージの新しいバージョンを生成する場合には、release の数字を増やします (例: 0-2)。

生成されたイメージをアンダークラウドのコンテナーレジストリーにプッシュします。

$ podman push 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1
重要

Red Hat OpenStack Platform を更新またはアップグレードする場合には、新しい horizon イメージにテーマを再度適用し、変更したイメージの新しいバージョンをアンダークラウドにプッシュする必要があります。

5.6. 変更したコンテナーイメージのオーバークラウドでの使用

生成されたコンテナーイメージをオーバークラウドのデプロイメントに使用するには、コンテナーイメージの場所の一覧が含まれる環境ファイルを編集します。この環境ファイルの名前は、通常 overcloud-images.yaml です。

ContainerHorizonConfigImage および ContainerHorizonImage パラメーターを編集して、変更したコンテナーイメージをポイントします。以下に例を示します。

parameter_defaults:
  ...
  ContainerHorizonConfigImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1
  ContainerHorizonImage: 192.168.24.1:8787/rhosp-rhel8/openstack-horizon-mytheme:0-1
  ...

この新しいバージョンの overcloud-images.yaml ファイルを保存します。

5.7. puppet パラメーターの編集

Red Hat OpenStack Platform director には、環境ファイルを使用して変更することのできる horizon のパラメーターセットが用意されています。ExtraConfig フックを使用して Puppet hieradata を設定することもできます。たとえば、デフォルトのヘルプ URL は Red Hat OpenStack Platform の製品ドキュメント をポイントします。以下の環境ファイルの内容で、この URL を変更することができます。

parameter_defaults:
  ExtraConfig:
    horizon::help_url: "http://openstack.example.com"

5.8. Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドのデプロイ

Dashboard をカスタマイズしたオーバークラウドをデプロイするには、以下の環境ファイルを指定します。

  • 変更したコンテナーイメージの場所を定義した環境ファイル
  • 追加の dashboard 変更を定義した環境ファイル
  • オーバークラウドの設定に関連するその他すべての環境ファイル

以下に例を示します。

$ openstack overcloud deploy --templates \
    -e /home/stack/templates/overcloud-images.yaml \
    -e /home/stack/templates/help_url.yaml \
    [OTHER OPTIONS]