7.5.2. セキュリティーサービスの管理

セキュリティーサービス は、Active Directory ドメインや Kerberos ドメインなど、特定の共有ファイルシステムプロトコルのセキュリティゾーンを定義するオプションのセットを抽象化する manila エンティティーです。セキュリティーサービスには、manila が指定のドメインに参加させるサーバーを作成するために必要な全情報が含まれます。

ユーザーは、API を使用してセキュリティーサービスの作成、更新、表示、および削除を行うことができます。セキュリティーサービスは、以下の前提条件に基づいて設計されています。

  • プロジェクトが、セキュリティーサービスの詳細を提供する。
  • 管理者がセキュリティーサービスに対応する (このようなセキュリティーサービスのサーバー側を設定する)。
  • manila API 内で、security_serviceshare_networks に関連付けられる。
  • 共有ドライバーは、セキュリティーサービスのデータを使用して、新規に作成された共有用サーバーを設定する。

セキュリティーサービスの作成時に、以下のいずれかの認証サービスを選択できます。

  • LDAP: Lightweight Directory Access Protocol。IP ネットワークを通じて分散ディレクトリー情報サービスにアクセスし、維持するためのアプリケーションプロトコル。
  • Kerberos: セキュアでないネットワーク上で通信するノードが、安全な方法で互いに ID を証明できるように、チケットベースで機能するコンピューターネットワーク認証プロトコル
  • Active Directory: Windows ドメインネットワーク向けに Microsoft が開発したディレクトリーサービス。LDAP、Microsoft バージョンの Kerberos、および DNS を使用します。

manila では、以下のオプションを使用してセキュリティーサービスを設定することができます。

  • プロジェクトネットワーク内で使用される DNS IP アドレス
  • セキュリティーサービスの IP アドレスまたはホスト名
  • セキュリティーサービスのドメイン
  • プロジェクトが使用するユーザーまたはグループ名
  • ユーザー名を指定した場合は、ユーザーのパスワード

既存のセキュリティーサービスエンティティーには、ファイル共有ネットワークエンティティーを関連付けることができます。このエンティティーは、manila に、ファイル共有グループのセキュリティーおよびネットワーク設定を通知します。指定したファイル共有ネットワークに対するセキュリティーサービスの一覧を確認し、ファイル共有ネットワークから関連付けを解除することもできます。

ファイル共有の所有者として、管理者およびユーザーは、IP アドレス、ユーザー、グループ、または TLS 証明書を使用した認証でアクセスルールを作成することにより、ファイル共有へのアクセスを管理できます。認証方法は、設定して使用する共有ドライバーやセキュリティーサービスによって異なります。その後、特定の認証サービスを使用するようにバックエンドを設定することができます。これにより、manila および keystone を使用せずにクライアントと機能することができます。

注記

さまざまな認証サービスが、さまざまな共有ドライバーによりサポートされます。さまざまなドライバーによりサポートされる機能に関する詳細は、https://docs.openstack.org/manila/latest/admin/share_back_ends_feature_support_mapping.html を参照してください。

あるドライバーが特定の認証サービスをサポートするからと言って、任意の共有ファイルシステムプロトコルで設定できるという訳ではありません。サポート対象の共有ファイルシステムプロトコルは、NFS、CEPHFS、CIFS、GlusterFS、および HDFS です。特定のドライバーおよびそのセキュリティーサービスの設定に関する情報は、ドライバーベンダーのドキュメントを参照してください。

一部のドライバーは、セキュリティーサービスをサポートしますが、上記のセキュリティーサービスをサポートしないドライバーもあります。たとえば、NFS または CIFS 共有ファイルシステムプロトコルを使用する汎用ドライバーは、IP アドレスによる認証方法のみをサポートします。

注記

ほとんどの場合、CIFS 共有ファイルシステムプロトコルをサポートするドライバーは、Active Directory を使用して、ユーザー認証でアクセスを管理するように設定できます。

  • GlusterFS プロトコルをサポートするドライバーは、TLS 証明書を使用する認証で使用できます。
  • IP アドレスを使用した NFS プロトコル認証をサポートするドライバーは、唯一のサポートされているオプションです。
  • HDFS 共有ファイルシステムプロトコルは、NFS アクセスを使用するので、IP アドレスを使用して認証するように設定することもできます。

実稼働環境用の manila デプロイメントの推奨設定は、CIFS 共有プロトコルを使用してファイル共有を作成し、それを Microsoft Active Directory ディレクトリーサービスに追加することです。この設定では、集中データベースと、Kerberos および LDAP アプローチを統合するサービスが提供されます。