11.4. インスタンスの移行

OpenStack と基礎となる仮想化層は、OpenStack ノード間のイメージのライブマイグレーションを提供するため、インスタンスのダウンタイムなしに、コンピュートノードのローリングアップグレードをシームレスに実行できます。ただし、ライブマイグレーションでは、大きなリスクも伴います。リスクを理解するため、ライブマイグレーション中に実行される手順の概要を以下に示します。

  1. 移行先ホストでインスタンスを起動する
  2. メモリーを転送する
  3. ゲストを停止してディスクの同期する
  4. 状態を遷移する
  5. ゲストを起動する
注記

コールドマイグレーション、サイズ変更、退避などの特定の操作により、インスタンスのデータをネットワークを通じて他のサービスに転送することになります。

11.4.1. ライブマイグレーションのリスク

ライブマイグレーションプロセスのさまざまな段階では、インスタンスのランタイムメモリーとディスクの内容は、ネットワークを通じてプレーンテキストで送信されます。したがって、ライブマイグレーションの使用時には、対応する必要があるリスクが複数含まれています。以下は、これらのリスクについて詳しく説明します (すべてを網羅している訳ではありません。)。

  • サービス妨害 (DoS): 移行プロセス中に何らかの障害が発生した場合、インスタンスは失われる可能性があります。
  • データ漏えい: メモリーまたはディスク転送は安全に処理する必要があります。
  • データ操作: メモリーまたはディスク転送が安全に処理されない場合、攻撃者は移行中にユーザーデータを操作できます。
  • コード挿入: メモリーまたはディスク転送が安全に処理されない場合、攻撃者は移行中にディスクまたはメモリーいずれかの実行ファイルを操作できます。