Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat OpenStack Platform
付録B 電源管理ドライバー
IPMI は、director が電源管理制御に使用する主要な手法ですが、director は他の電源管理タイプもサポートします。この付録では、サポートされる電源管理機能の一覧を提供します。「オーバークラウドへのノードの登録」には、以下の電源管理設定を使用します。
B.1. Redfish
Distributed Management Task Force (DMTF) の開発した、IT インフラストラクチャー向け標準 RESTful API。
- pm_type
-
このオプションを
redfish
に設定します。 - pm_user; pm_password
- Redfish のユーザー名およびパスワード
- pm_addr
- Redfish コントローラーの IP アドレス
- pm_system_id
-
システムリソースの正規のパス。このパスには、そのシステムの root サービス、バージョン、パス/一意 ID が含まれる必要があります (例:
/redfish/v1/Systems/CX34R87
)。
B.2. Dell Remote Access Controller (DRAC)
DRAC は、電源管理やサーバー監視などの帯域外 (OOB) リモート管理機能を提供するインターフェースです。
- pm_type
-
このオプションを
idrac
に設定します。 - pm_user; pm_password
- DRAC のユーザー名およびパスワード
- pm_addr
- DRAC ホストの IP アドレス
B.3. Integrated Lights-Out (iLO)
Hewlett-Packard の iLO は、電源管理やサーバー監視などの帯域外 (OOB) リモート管理機能を提供するインターフェースです。
- pm_type
-
このオプションを
ilo
に設定します。 - pm_user; pm_password
- iLO のユーザー名およびパスワード
- pm_addr
iLO インターフェースの IP アドレス
-
このドライバーを有効化するには、
undercloud.conf
のenabled_hardware_types
オプションにilo
を追加してから、openstack undercloud install
を再実行します。 また director では、iLO 向けに追加のユーティリティーセットが必要です。
python-proliantutils
パッケージをインストールしてopenstack-ironic-conductor
サービスを再起動します。$ sudo yum install python-proliantutils $ sudo systemctl restart openstack-ironic-conductor.service
- HP ノードは、正常にイントロスペクションするには 2015 年のファームウェアバージョンが必要です。ファームウェアバージョン 1.85 (2015 年 5 月 13 日) を使用したノードで、director は正常にテストされています。
- 共有 iLO ポートの使用はサポートされません。
-
このドライバーを有効化するには、
B.4. Cisco Unified Computing System (UCS)
Cisco の UCS は、コンピュート、ネットワーク、ストレージのアクセス、仮想化リソースを統合するデータセンタープラットフォームです。このドライバーは、UCS に接続されたベアメタルシステムの電源管理を重視しています。
- pm_type
-
このオプションを
cisco-ucs-managed
に設定します。 - pm_user; pm_password
- UCS のユーザー名およびパスワード
- pm_addr
- UCS インターフェースの IP アドレス
- pm_service_profile
使用する UCS サービスプロファイル。通常
org-root/ls-[service_profile_name]
の形式を取ります。以下に例を示します。"pm_service_profile": "org-root/ls-Nova-1"
-
このドライバーを有効化するには、
undercloud.conf
のenabled_hardware_types
オプションにcisco-ucs-managed
を追加してから、openstack undercloud install
を再実行します。 また director では、iLO 向けに追加のユーティリティーセットが必要です。
python-UcsSdk
パッケージをインストールしてopenstack-ironic-conductor
サービスを再起動します。$ sudo yum install python-UcsSdk $ sudo systemctl restart openstack-ironic-conductor.service
-
このドライバーを有効化するには、
B.5. Fujitsu Integrated Remote Management Controller (iRMC)
Fujitsu の iRMC は、LAN 接続と拡張された機能を統合した Baseboard Management Controller (BMC) です。このドライバーは、iRMC に接続されたベアメタルシステムの電源管理にフォーカスしています。
iRMC S4 以降のバージョンが必要です。
- pm_type
-
このオプションを
irmc
に設定します。 - pm_user; pm_password
- iRMC インターフェースのユーザー名とパスワード
- pm_addr
- iRMC インターフェースの IP アドレス
- pm_port (オプション)
- iRMC の操作に使用するポート。デフォルトは 443 です。
- pm_auth_method (オプション)
-
iRMC 操作の認証方法。
basic
またはdigest
を使用します。デフォルトはbasic
です。 - pm_client_timeout (オプション)
- iRMC 操作のタイムアウト (秒単位)。デフォルトは 60 秒です。
- pm_sensor_method (オプション)
センサーデータの取得方法。
ipmitool
またはscci
です。デフォルトはipmitool
です。-
このドライバーを有効化するには、
undercloud.conf
のenabled_hardware_types
オプションにirmc
を追加してから、openstack undercloud install
を再実行します。 センサーの方法として SCCI を有効にした場合には、director には、追加のユーティリティーセットも必要です。
python-scciclient
パッケージをインストールして、openstack-ironic-conductor
サービスを再起動します。$ yum install python-scciclient $ sudo systemctl restart openstack-ironic-conductor.service
-
このドライバーを有効化するには、
B.6. Virtual Baseboard Management Controller (VBMC)
director は仮想マシンを KVM ホスト上のノードとして使用することができます。エミュレーションされた IPMI デバイスを使用して電源管理を制御します。これにより、「オーバークラウドへのノードの登録」からの標準の IPMI パラメーターを使用することができますが、仮想ノードに対して使用することになります。
このオプションでは、ベアメタルノードの代わりに仮想マシンを使用するので、テストおよび評価の目的でのみ利用することができます。Red Hat OpenStack Platform のエンタープライズ環境には推奨しません。
KVM ホストの設定
KVM ホスト上で、OpenStack Platform リポジトリーを有効化して python-virtualbmc
パッケージをインストールします。
$ sudo subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-openstack-14-rpms $ sudo yum install -y python-virtualbmc
vbmc
コマンドを使用して、各仮想マシン用に仮想 Baseboard Management Controller (BMC) を作成します。たとえば、Node01
および Node02
という名前の仮想マシンに BMC を作成する場合は、以下のコマンドを実行します。
$ vbmc add Node01 --port 6230 --username admin --password p455w0rd! $ vbmc add Node02 --port 6231 --username admin --password p455w0rd!
これにより、各 BMC にアクセスするポートが定義され、各 BMC の認証情報が設定されます。
仮想マシンごとに異なるポートを使用してください。1025 未満のポート番号には、システムの root 権限が必要です。
以下のコマンドで各 BMC を起動します。
$ vbmc start Node01 $ vbmc start Node02
KVM ホストのリブート後には、このステップを繰り返す必要があります。
ノードの登録
ノードの登録ファイル (/home/stack/instackenv.json
) で以下のパラメーターを使用します。
- pm_type
-
このオプションを
ipmi
に設定します。 - pm_user; pm_password
- ノードの仮想 BMC デバイスの IPMI ユーザー名とパスワード
- pm_addr
- ノードが含まれている KVM ホストの IP アドレス
- pm_port
- KVM ホスト上の特定のノードにアクセスするポート
- mac
- ノード上のネットワークインターフェースの MAC アドレス一覧。各システムのプロビジョニング NIC の MAC アドレスのみを使用します。
例:
{ "nodes": [ { "pm_type": "ipmi", "mac": [ "aa:aa:aa:aa:aa:aa" ], "pm_user": "admin", "pm_password": "p455w0rd!", "pm_addr": "192.168.0.1", "pm_port": "6230", "name": "Node01" }, { "pm_type": "ipmi", "mac": [ "bb:bb:bb:bb:bb:bb" ], "pm_user": "admin", "pm_password": "p455w0rd!", "pm_addr": "192.168.0.1", "pm_port": "6231", "name": "Node02" } ] }
既存のノードの移行
既存のノードは、非推奨の pxe_ssh
を使用する設定から新しい仮想 BMC の方法を使用するように移行することができます。以下のコマンドは、ノードが ipmi
ドライバーを使用するようにし、そのパラメーターを以下のように設定します。
openstack baremetal node set Node01 \ --driver ipmi \ --driver-info ipmi_address=192.168.0.1 \ --driver-info ipmi_port=6230 \ --driver-info ipmi_username="admin" \ --driver-info ipmi_password="p455w0rd!"
B.7. Red Hat Virtualization
このドライバーにより、RESTful API を介して、Red Hat Virtualization 内の仮想マシンを制御することができるようになります。
- pm_type
-
このオプションを
staging-ovirt
に設定します。 - pm_user; pm_password
-
Red Hat Virtualization 環境のユーザー名とパスワード。ユーザー名には認証プロバイダーも含まれます (例:
admin@internal
)。 - pm_addr
- Red Hat Virtualization REST API の IP アドレス
- pm_vm_name
- 制御する仮想マシンの名前
- mac
ノード上のネットワークインターフェースの MAC アドレス一覧。各システムのプロビジョニング NIC の MAC アドレスのみを使用します。
-
このドライバーを有効化するには、
undercloud.conf
のenabled_hardware_types
オプションにstaging-ovirt
を追加してから、openstack undercloud install
を再実行します。
-
このドライバーを有効化するには、
B.8. フェイクドライバー
このドライバーは、電源管理なしにベアメタルデバイスを使用する方法を提供します。これは、director が登録されたベアメタルデバイスを制御しないので、イントロスペクションとデプロイの特定の時点に手動で電源をコントロールする必要があることを意味します。
このオプションは、テストおよび評価の目的でのみ利用いただけます。Red Hat OpenStack Platform のエンタープライズ環境には推奨していません。
- pm_type
このオプションを
fake-hardware
に設定します。- このドライバーは、電源管理を制御しないので、認証情報は使用しません。
-
このドライバーを有効にするには、
undercloud.conf
のenabled_hardware_types
オプションにfake
を追加してから、openstack undercloud install
を再実行します。 -
ノードのイントロスペクションを実行する際には、
openstack overcloud node introspect
コマンドを実行した後にノードの電源を手動でオフにします。 -
オーバークラウドのデプロイ実行時には、
ironic node-list
コマンドでノードのステータスを確認します。ノードのステータスがdeploying
からdeploy wait-callback
に変わるまで待ってから、手動でノードの電源をオンにします。 -
オーバークラウドのプロビジョニングプロセスが完了したら、ノードをリブートします。プロビジョニングが完了したかどうかをチェックするには、
ironic node-list
コマンドでノードのステータスをチェックし、active
に変わるのを待ってから、すべてのオーバークラウドノードを手動でリブートします。