Red Hat Training

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第1章 Open Virtual Network (OVN)

Open Virtual Network (OVN) は、インスタンスにネットワークサービスを提供する、Open vSwitch をベースとするソフトウェア定義ネットワーク (SDN) ソリューションです。OVN はプラットフォームに依存しない、OpenStack Networking API の完全なサポートを提供します。OVN により、ゲストインスタンスのグループを L2 または L3 プライベートネットワークにプログラムで接続することができます。OVN は、Red Hat の他のプラットフォームやソリューションを拡張することのできる仮想ネットワークの標準的な方法を採用しています。

Red Hat OpenStack Platform (RHOSP) の本リリースでは、ML2/OVS メカニズムドライバーから ML2/OVN メカニズムドライバーへの移行はサポートされません。RHOSP の本リリースでは、OpenStack コミュニティーの移行ストラテジーはサポートされません。移行サポートは、RHOSP の今後のリリースで予定されています。

注記

OVS の必要な最小バージョンは OVS 2.9 です。

本項では、director を使用した OVN のデプロイに必要なステップを説明します。

注記

OVN は、少なくとも 3 つのコントローラーノードを持ち分散仮想ルーター (DVR) が有効な RHOSP 高可用性 (HA) 環境でのみサポートされます。

1.1. RHOSP OVN アーキテクチャーのコンポーネント一覧

RHOSP OVN アーキテクチャーでは、Networking API をサポートするために OVS Modular Layer 2 (ML2) メカニズムドライバーが OVN ML2 メカニズムドライバーに置き換えられます。OVN は、Red Hat OpenStack Platform のネットワークサービスを提供します。

OVN アーキテクチャーは、以下のコンポーネントとサービスで設定されます。

OVN メカニズムドライバーを使用する ML2 プラグイン
ML2 プラグインは、OpenStack 固有のネットワーク設定を、プラットフォーム非依存の OVN 論理ネットワーク設定に変換します。通常、コントローラーノード上で実行されます。
OVN Northbound (NB) データベース (ovn-nb)
このデータベースは、OVN ML2 プラグインからの論理 OVN ネットワーク設定を保管します。通常コントローラーノードで実行され、TCP ポート 6641 をリッスンします。
OVN Northbound サービス (ovn-northd)
このサービスは OVN NB データベースからの論理ネットワーク設定を論理データパスフローに変換して、それらを OVN Southbound データベースに投入します。通常、コントローラーノード上で実行されます。
OVN Southbound (SB) データベース (ovn-sb)
このデータベースは、変換された論理データパスフローを保管します。通常コントローラーノードで実行され、TCP ポート 6642 をリッスンします。
OVN コントローラー (ovn-controller)
このコントローラーは OVN SB データベースに接続して Open vSwitch コントローラーとして機能し、ネットワークトラフィックの制御とモニターリングを行います。これにより、OS::Tripleo::Services::OVNController が定義されているすべてのコンピュートおよびゲートウェイノードで実行されます。
OVN メタデータエージェント (ovn-metadata-agent)
このエージェントは、OVS インターフェイス、ネットワーク名前空間、メタデータ API 要求のプロキシーに使用される HAProxy プロセスを管理するための haproxy インスタンスを作成します。このエージェントは、OS::TripleO::Services::OVNMetadataAgent が定義されているすべてのコンピュートおよびゲートウェイノードで実行されます。
OVS データベースサーバー (OVSDB)
OVN の Northbound および Southbound データベースをホストします。また、ovs-vswitchd と連携して OVS データベース conf.db をホストします。
注記

NB データベースのスキーマファイルは /usr/share/ovn/ovn-nb.ovsschema にあり、SB データベースのスキーマファイルは /usr/share/ovn/ovn-sb.ovsschema にあります。

ovn components