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8.2. Cisco Catalyst スイッチの設定

8.2.1. トランクポートについて

OpenStack Networking により、インスタンスを物理ネットワーク上にすでに存在する VLAN に接続することができます。トランク という用語は、単一のポートで複数 VLAN の通過を許可することを意味します。これらのポートを使用することで、VLAN は仮想スイッチを含む複数のスイッチ間にまたがることができます。たとえば、物理ネットワークで VLAN110 のタグが付いたトラフィックがコンピュートノードに到達すると、タグの付いたトラフィックが 8021q モジュールによって vSwitch 上の適切な VLAN に転送されます。

8.2.2. Cisco Catalyst スイッチでのトランクポートの設定

  • Cisco IOS を実行する Cisco Catalyst スイッチを使用する場合には、以下の設定構文を使用して、VLAN 110 と 111 のトラフィックがインスタンスに到達できるように設定することが可能です。

    この設定では、物理ノードの NIC がイーサネットケーブルにより物理スイッチポート (インターフェイス GigabitEthernet1/0/12) に接続されていることを前提としています。

    重要

    以下に示す値は、例として提示しています。この例で使用している値を、実際の環境に合わせて変更する必要があります。これらの値を調整せずにコピーしてご自分のスイッチ設定に貼り付けると、予期せぬ機能停止を招く可能性があります。

    interface GigabitEthernet1/0/12
      description Trunk to Compute Node
      spanning-tree portfast trunk
      switchport trunk encapsulation dot1q
      switchport mode trunk
      switchport trunk native vlan 2
      switchport trunk allowed vlan 2,110,111

    以下の一覧を使用して、上記のパラメーターについて説明します。

    フィールド説明

    interface GigabitEthernet1/0/12

    X ノードの NIC の接続先となるスイッチポート。GigabitEthernet1/0/12 の値を、実際の環境の正しいポートの値で置き換えるようにしてください。ポートの一覧を表示するには、show interface コマンドを使用します。

    description Trunk to Compute Node

    このインターフェイスを識別するのに使用する一意の説明的な値。

    spanning-tree portfast trunk

    環境で STP が使用される場合には、この値を設定して Port Fast に対してこのポートがトランクトラフィックに使用されることを指示します。

    switchport trunk encapsulation dot1q

    802.1q のトランク標準 (ISL ではなく) を有効にします。この値は、スイッチがサポートする設定によって異なります。

    switchport mode trunk

    このポートは、アクセスポートではなく、トランクポートとして設定します。これで VLAN トラフィックが仮想スイッチに到達できるようになります。

    switchport trunk native vlan 2

    ネイティブ VLAN を設定して、タグの付いていない (VLAN 以外の) トラフィックの送信先をスイッチに指示します。

    switchport trunk allowed vlan 2,110,111

    トランクを通過できる VLAN を定義します。

8.2.3. アクセスポートについて

コンピュートノード上の全 NIC がインスタンスのトラフィックを伝送する訳ではないので、すべての NIC で複数の VLAN が通過できるように設定する必要はありません。アクセスポートに必要なのは 1 つの VLAN だけで、管理トラフィックやブロックストレージデータの転送などの、他の運用上の要件を満たす可能性があります。これらのポートは一般的にアクセスポートと呼ばれ、必要な設定は通常、トランクポートよりも簡単です。

8.2.4. Cisco Catalyst スイッチでのアクセスポートの設定

  • 図8.1「ネットワークレイアウト例」の図に示した例を使用して、GigabitEthernet1/0/13 (Cisco Catalyst スイッチ上) を eth1 のアクセスポートとして設定します。

    この設定では、物理ノードの NIC がイーサネットケーブルにより物理スイッチポート (インターフェイス GigabitEthernet1/0/12) に接続されています。

    重要

    以下に示す値は、例として提示しています。この例で使用している値を、実際の環境に合わせて変更する必要があります。これらの値を調整せずにコピーしてご自分のスイッチ設定に貼り付けると、予期せぬ機能停止を招く可能性があります。

    interface GigabitEthernet1/0/13
     description Access port for Compute Node
     switchport mode access
     switchport access vlan 200
     spanning-tree portfast

    これらの設定についての説明を以下に記載します。

    フィールド説明

    interface GigabitEthernet1/0/13

    X ノードの NIC の接続先となるスイッチポート。GigabitEthernet1/0/12 の値を、実際の環境の正しいポートの値で置き換えるようにしてください。ポートの一覧を表示するには、show interface コマンドを使用します。

    description Access port for Compute Node

    このインターフェイスを識別するのに使用する一意の説明的な値。

    switchport mode access

    このポートは、トランクポートとしてではなく、アクセスポートとして設定します。

    switchport access vlan 200

    VLAN 200 上でトラフィックを許可するポートを設定します。コンピュートノードには、この VLAN からの IP アドレスを設定する必要があります。

    spanning-tree portfast

    STP を使用する場合には、この値を設定し、STP がこのポートをトランクとして初期化を試みないように指示します。これにより、初回接続時 (例: サーバーのリブート時など) のポートハンドシェイクをより迅速に行うことができます。

8.2.5. LACP ポートアグリゲーションについて

LACP を使用して、複数の物理 NIC をバンドルして単一の論理チャネルを形成することができます。LACP は 802.3ad (または、Linux ではボンディングモード 4) としても知られており、負荷分散と耐障害性のための動的なボンディングを作成します。LACP は、物理 NIC と物理スイッチポートの両方の物理エンドで設定する必要があります。

8.2.6. 物理 NIC 上での LACP の設定

  1. /home/stack/network-environment.yaml ファイルを編集します。

    - type: linux_bond
      name: bond1
      mtu: 9000
      bonding_options:{get_param: BondInterfaceOvsOptions};
      members:
        - type: interface
          name: nic3
          mtu: 9000
          primary: true
        - type: interface
          name: nic4
          mtu: 9000
  2. Open vSwitch ブリッジが LACP を使用するように設定します。

    BondInterfaceOvsOptions:
        "mode=802.3ad"

ネットワークボンディングの設定方法についての説明は、オーバークラウドの高度なカスタマイズの ネットワークインターフェイスボンディング の章を参照してください。

8.2.7. Cisco Catalyst スイッチでの LACP の設定

以下の例では、コンピュートノードに VLAN 100 を使用する NIC が 2 つあります。

手順

  1. コンピュートノードの NIC を共に物理的にスイッチ (例: ポート 12 と 13) に接続します。
  2. LACP ポートチャネルを作成します。

    interface port-channel1
      switchport access vlan 100
      switchport mode access
      spanning-tree guard root
  3. スイッチポート 12 (Gi1/0/12) および 13 (Gi1/0/13) を設定します。

    sw01# config t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    
    sw01(config) interface GigabitEthernet1/0/12
       switchport access vlan 100
       switchport mode access
       speed 1000
       duplex full
       channel-group 10 mode active
       channel-protocol lacp
    
    interface GigabitEthernet1/0/13
      switchport access vlan 100
      switchport mode access
      speed 1000
      duplex full
      channel-group 10 mode active
      channel-protocol lacp
  4. 新しいポートチャネルを確認します。出力には、新規ポートチャネル Po1 と、メンバーポートの Gi1/0/12 および Gi1/0/13 が表示されます。

    sw01# show etherchannel summary
    <snip>
    
    Number of channel-groups in use: 1
    Number of aggregators:           1
    
    Group  Port-channel  Protocol    Ports
    ------+-------------+-----------+-----------------------------------------------
    1      Po1(SD)         LACP      Gi1/0/12(D)  Gi1/0/13(D)
    注記

    copy running-config startup-config コマンドを実行して running-config を startup-config にコピーし、変更を適用するのを忘れないようにしてください。

8.2.8. MTU 設定について

特定のネットワークトラフィック種別に対して、MTU サイズを調整する必要があります。たとえば、特定の NFS または iSCSI のトラフィックでは、ジャンボフレーム (9000 バイト) が必要になります。

注記

MTU の設定は、エンドツーエンド (トラフィックが通過すると想定される全ホップ) で変更する必要があります。これには、仮想スイッチが含まれます。

8.2.9. Cisco Catalyst スイッチでの MTU の設定

Cisco Catalyst 3750 スイッチでジャンボフレームを有効にするには、以下の例に示す手順を実施します。

  1. 現在の MTU 設定を確認します。

    sw01# show system mtu
    
    System MTU size is 1600 bytes
    System Jumbo MTU size is 1600 bytes
    System Alternate MTU size is 1600 bytes
    Routing MTU size is 1600 bytes
  2. 3750 のスイッチでは、MTU 設定はインターフェイスごとではなく、スイッチ全体で変更されます。以下のコマンドを実行して、スイッチが 9000 バイトのジャンボフレームを使用するように設定します。お使いのスイッチがインターフェイスごとの MTU 設定をサポートしていれば、この機能を使用する方が望ましい場合があります。

    sw01# config t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    
    sw01(config)# system mtu jumbo 9000
    Changes to the system jumbo MTU will not take effect until the next reload is done
    注記

    copy running-config startup-config コマンドを実行して running-config を startup-config にコピーし、変更を保存するのを忘れないようにしてください。

  3. スイッチを再読み込みして変更を適用します。

    重要

    スイッチを再読み込みすると、そのスイッチに依存しているデバイスでネットワークが停止することになります。したがって、計画的なメンテナーンス期間中にのみスイッチの再読込みを行ってください。

    sw01# reload
    Proceed with reload? [confirm]
  4. スイッチが再読み込みされたら、新しいジャンボ MTU のサイズを確認します。

    スイッチのモデルによって実際の出力は異なる場合があります。たとえば、System MTU がギガビット非対応のインターフェイスに適用され、Jumbo MTU は全ギガビット対応インターフェイスを記述する可能性があります。

    sw01# show system mtu
    
    System MTU size is 1600 bytes
    System Jumbo MTU size is 9000 bytes
    System Alternate MTU size is 1600 bytes
    Routing MTU size is 1600 bytes

8.2.10. LLDP ディスカバリーについて

ironic-python-agent サービスは、接続されたスイッチからの LLDP パケットをリッスンします。収集される情報には、スイッチ名、ポートの詳細、利用可能な VLAN を含めることができます。Cisco Discovery Protocol (CDP) と同様に、LLDP は、director のイントロスペクションプロセス中の物理ハードウェア検出を補助します。

8.2.11. Cisco Catalyst スイッチでの LLDP の設定

手順

  1. lldp run コマンドを実行して、Cisco Catalyst スイッチで LLDP をグローバルに有効にします。

    sw01# config t
    Enter configuration commands, one per line.  End with CNTL/Z.
    
    sw01(config)# lldp run
  2. 隣接する LLDP 対応デバイスを表示します。

    sw01# show lldp neighbor
    Capability codes:
        (R) Router, (B) Bridge, (T) Telephone, (C) DOCSIS Cable Device
        (W) WLAN Access Point, (P) Repeater, (S) Station, (O) Other
    
    Device ID           Local Intf     Hold-time  Capability      Port ID
    DEP42037061562G3     Gi1/0/11       180        B,T             422037061562G3:P1
    
    Total entries displayed: 1
注記

copy running-config startup-config コマンドを実行して running-config を startup-config にコピーし、変更を保存するのを忘れないようにしてください。