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第6章 オーバークラウドのアップグレード

本項ではオーバークラウドをアップグレードします。これには、以下のワークフローが含まれます。

  • Fast Forward Upgrade の prepare コマンドの実行
  • fast forward upgrade コマンドの実行
  • コントローラーノードのアップグレード
  • コンピュートノードのアップグレード
  • Ceph Storage ノードのアップグレード
  • Fast Forward Upgrade の最終処理

このワークフローを一旦開始すると、全ステップを完了するまでオーバークラウドの OpenStack サービスは完全には制御できなくなることを認識しておいてください。これは、全ノードが OpenStack Platform 13 に正常にアップグレードされるまで、ワークロードは管理できないことを意味します。ワークロード自体は影響を受けず、稼働を続けます。オーバークラウドのワークロードへの変更または追加は、Fast Forward Upgrade が完了するまで待つ必要があります。

6.1. Fast Forward Upgrade の コマンド

Fast Forward Upgrade プロセスには、プロセスの特定の段階で実行するさまざまなコマンドが含まれます。以下の一覧は、各コマンドに関する基本的な情報の一部を示しています。

重要

この一覧には、各コマンドに関する情報のみが含まれます。これらのコマンドは特定の順序で実行し、オーバークラウドに固有のオプションを指定する必要があります。適切なステップでこれらのコマンドを実行する手順を受け取るまで待ちます。

openstack overcloud ffwd-upgrade prepare
このコマンドにより、オーバークラウドのアップグレードの初期準備のステップが実行されます。これには、アンダークラウド上の現在のオーバークラウドプランを新しい OpenStack Platform 13 オーバークラウドプランおよび更新された環境ファイルに置き換えることが含まれます。このコマンドは、openstack overcloud deploy コマンドと同じように機能し、同じオプションを多用します。
openstack overcloud ffwd-upgrade run
このコマンドは、Fast Forward Upgrade プロセスを実行します。director は、新しい OpenStack Platform 13 オーバークラウドプランに基づいて Ansible Playbook のセットを作成し、オーバークラウド全体で Fast Forward タスクを実行します。これには、OpenStack Platform の 10 から 13 までの各バージョンでアップグレードプロセスを実行することが含まれます。
openstack overcloud upgrade run
このコマンドは、ロールの単一ノードまたは複数のノードに対して、ノード固有のアップグレード設定を実行します。director は、オーバークラウドのプランに基づいて Ansible Playbook のセットを作成し、選択したノードに対してタスクを実行します。これにより、OpenStack Platform 13 の適切な設定でノードが設定されます。このコマンドは、ロールごとに更新を実施する方法も提供します。たとえば、以下のコマンドを実行してコントローラーノードを最初にアップグレードしてから、再度コマンドを実行してコンピュートノードと Ceph Storage ノードをアップグレードします。
openstack overcloud ceph-upgrade run
このコマンドにより、Ceph Storage バージョンのアップグレードが実行されます。Ceph Storage ノードに対して openstack overcloud upgrade run を実行した後に、このコマンドを実行します。director は ceph-ansible を使用して Ceph Storage バージョンのアップグレードを実行します。
openstack overcloud ffwd-upgrade converge
このコマンドにより、オーバークラウドのアップグレードの最終ステップが実行されます。この最終ステップでは、オーバークラウドの Heat スタックを OpenStack Platform 13 のオーバークラウドプランおよび更新された環境ファイルと同期します。これにより、作成されるオーバークラウドが新規の OpenStack Platform 13 オーバークラウドの設定と一致します。このコマンドは、openstack overcloud deploy コマンドと同じように機能し、同じオプションを多用します。

これらのコマンドは、特定の順序で実行する必要があります。本章の残りの項に従って、これらのコマンドを使用して Fast Forward Upgrade を実行します。

注記

オーバークラウドにカスタム名を使用する場合には、各コマンドに --stack オプションを使用してカスタム名を設定します。