Red Hat Training

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2.4. オーバークラウドの要件

以下の項では、オーバークラウドのインストール内の個別システムおよびノードの要件について詳しく説明します。

2.4.1. コンピュートノードの要件

コンピュートノードは、仮想マシンインスタンスが起動した後にそれらを稼働させるロールを果たします。コンピュートノードは、ハードウェアの仮想化をサポートしている必要があります。また、ホストする仮想マシンインスタンスの要件をサポートするのに十分なメモリーとディスク容量も必要です。

プロセッサー
  • Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能をサポートする 64 ビット x86 プロセッサーで、Intel VT または AMD-V のハードウェア仮想化拡張機能が有効化されていること。このプロセッサーには最小でも 4 つのコアが搭載されていることを推奨しています。
  • IBM POWER 8 プロセッサー
メモリー
最小で 6 GB のメモリー。仮想マシンインスタンスに割り当てるメモリー容量に基づいて、この最低要求に追加の RAM を加算します。
ディスク領域
最小 50 GB の空きディスク領域
ネットワークインターフェイスカード
最小 1 枚の 1 Gbps ネットワークインターフェイスカード (実稼働環境では最低でも NIC を 2 枚使用することを推奨)。タグ付けされた VLAN トラフィックを委譲する場合や、ボンディングインターフェイス向けの場合には、追加のネットワークインターフェイスを使用します。
電源管理
各コンピュートノードには、Intelligent Platform Management Interface (IPMI) 機能などのサポート対象の電源管理インターフェイスがサーバーのマザーボードに搭載されている必要があります。

2.4.2. コントローラーノードの要件

コントローラーノードは、Red Hat OpenStack Platform 環境の中核となるサービス (例: Horizon Dashboard、バックエンドのデータベースサーバー、Keystone 認証、高可用性サービスなど) をホストするロールを果たします。

プロセッサー
Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能をサポートする 64 ビット x86 プロセッサー。
メモリー

最小のメモリー容量は 32 GB です。ただし、推奨のメモリー容量は、仮想 CPU の数によって異なります (CPU コアをハイパースレッディングの値で乗算した数値に基づいています)。以下の計算を参考にしてください。

  • コントローラーの最小メモリー容量の算出:

    • 1 仮想 CPU あたり 1.5 GB のメモリーを使用します。たとえば、仮想 CPU が 48 個あるマシンにはメモリーは 72 GB 必要です。
  • コントローラーの推奨メモリー容量の算出:

    • 1 仮想 CPU あたり 3 GB のメモリーを使用します。たとえば、仮想 CPU が 48 個あるマシンにはメモリーは 144 GB 必要です。

メモリーの要件に関する詳しい情報は、Red Hat カスタマーポータルで Red Hat OpenStack Platform Hardware Requirements for Highly Available Controllers のアーティクルを参照してください。

ディスクストレージとレイアウト

Object Storage サービス (swift) がコントローラーノード上で実行されていない場合には、最小で 50 GB のストレージが必要です。ただし、Telemetry (gnocchi) および Object Storage サービスはいずれもコントローラーにインストールされ、ルートディスクを使用するように設定されます。これらのデフォルトは、コモディティーハードウェア上に構築される小型のオーバークラウドのデプロイに適しています。これは、概念検証およびテストの標準的な環境です。これらのデフォルトにより、最小限のプランニングでオーバークラウドをデプロイすることができますが、ワークロードキャパシティーとパフォーマンスの面ではあまり優れていません。

ただし、Telemetry がストレージに絶えずアクセスするため、エンタープライズ環境では、これによって大きなボトルネックが生じる可能性があります。これにより、ディスク I/O が過度に使用されて、その他すべてのコントローラーサービスに深刻な影響をもたらします。このタイプの環境では、オーバークラウドのプランニングを行って、適切に設定する必要があります。

Red Hat は、Telemetry と Object Storage の両方の推奨設定をいくつか提供しています。詳しくは、Deployment Recommendations for Specific Red Hat OpenStack Platform Services を参照してください。

ネットワークインターフェイスカード
最小 2 枚の 1 Gbps ネットワークインターフェイスカード。タグ付けされた VLAN トラフィックを委譲する場合や、ボンディングインターフェイス向けの場合には、追加のネットワークインターフェイスを使用します。
電源管理
各コントローラーノードには、Intelligent Platform Management Interface (IPMI) 機能などのサポート対象の電源管理インターフェイスがサーバーのマザーボードに搭載されている必要があります。

2.4.2.1. 仮想化サポート

Red Hat では、Red Hat Virtualization プラットフォーム上の仮想コントローラーノードのみをサポートします。詳細は、仮想コントロールプレーンの作成 を参照してください。

2.4.3. Ceph Storage ノードの要件

Ceph Storage ノードは、Red Hat OpenStack Platform 環境でオブジェクトストレージを提供するロールを果たします。

配置グループ
デプロイメントの規模によらず、動的で効率的なオブジェクトの追跡を容易に実施するために、Ceph では配置グループが使用されています。OSD の障害やクラスターのリバランスの際には、Ceph は配置グループおよびその内容を移動または複製することができるので、Ceph クラスターは効率的にリバランスおよび復旧を行うことができます。director が作成するデフォルトの配置グループ数が常に最適とは限らないので、実際の要件に応じて正しい配置グループ数を計算することが重要です。配置グループの計算ツールを使用して、正しい数を計算することができます (Ceph Placement Groups (PGs) per Pool Calculator を参照)。
プロセッサー
Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能をサポートする 64 ビット x86 プロセッサー。
メモリー
Red Hat では、OSD ホスト 1 台につき 16 GB の RAM をベースラインとし、これに OSD デーモンごとに 2 GB の RAM を追加する設定を推奨します。
ディスクのレイアウト

ディスクサイズは、ストレージのニーズに依存します。推奨される Red Hat Ceph Storage ノードの設定には、少なくとも以下のようなレイアウトの 3 つのディスクが必要です。

  • /dev/sda: ルートディスク。director は、主なオーバークラウドイメージをディスクにコピーします。このディスクには、少なくとも 50 GB の空きディスク領域が必要です。
  • /dev/sdb: ジャーナルディスク。このディスクは、Ceph OSD ジャーナル向けにパーティションに分割されます。たとえば、/dev/sdb1/dev/sdb2/dev/sdb3 (以下同様) のように分割されます。ジャーナルディスクは、通常システムパフォーマンスの向上に役立つソリッドステートドライブ (SSD) です。
  • /dev/sdc 以降: OSD ディスク。ストレージ要件で必要な数のディスクを使用します。

    注記

    Red Hat OpenStack Platform director は ceph-ansible を使用しますが、Ceph Storage ノードのルートディスクへの OSD インストールには対応しません。したがって、サポートされる Ceph Storage ノードには少なくとも 2 つのディスクが必要になります。

ネットワークインターフェイスカード
最小 1 枚の 1 Gbps ネットワークインターフェイスカード (実稼働環境では最低でも NIC を 2 枚使用することを推奨)。タグ付けされた VLAN トラフィックを委譲する場合や、ボンディングインターフェイス向けの場合には、追加のネットワークインターフェイスを使用します。特に大量のトラフィックにサービスを提供する OpenStack Platform 環境を構築する場合には、ストレージノードには 10 Gbps インターフェイスを使用することを推奨します。
電源管理
各コントローラーノードには、Intelligent Platform Management Interface (IPMI) 機能などのサポート対象の電源管理インターフェイスがサーバーのマザーボードに搭載されている必要があります。
イメージ属性
Red Hat Ceph Storage ブロックデバイスのパフォーマンスを向上させるために、virtio-scsi ドライバーを使用するように Glance イメージを設定することができます。イメージの推奨イメージ属性に関する詳細は、Red Hat Ceph Storage ドキュメントの Congfiguring Glance を参照してください。

Ceph Storage クラスターを使用するオーバークラウドのインストールについての詳しい情報は、コンテナー化された Red Hat Ceph を持つオーバークラウドのデプロイ を参照してください。

2.4.4. Object Storage ノードの要件

オブジェクトストレージノードは、オーバークラウドのオブジェクトストレージ層を提供します。オブジェクトストレージプロキシーは、コントローラーノードにインストールされます。ストレージ層には、ノードごとに複数のディスクを持つベアメタルノードが必要です。

プロセッサー
Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能をサポートする 64 ビット x86 プロセッサー。
メモリー
メモリー要件はストレージ容量によって異なります。ハードディスク容量 1 TB あたり最小で 1 GB のメモリーを使用するのが理想的です。最適なパフォーマンスを得るには、特にワークロードが小さいファイル (100 GB 未満) の場合にはハードディスク容量 1 TB あたり 2 GB のメモリーを使用することを推奨します。
ディスク容量

ストレージ要件は、ワークロードに必要とされる容量により異なります。アカウントとコンテナーのデータを保存するには SSD ドライブを使用することを推奨します。アカウントおよびコンテナーデータとオブジェクトの容量比率は、約 1 % です。たとえば、ハードドライブの容量 100 TB ごとに、アカウントおよびコンテナーデータの SSD 容量は 1 TB 用意するようにします。

ただし、これは保存したデータの種類により異なります。保存するオブジェクトサイズの大半が小さい場合には、SSD の容量がさらに必要です。オブジェクトが大きい場合には (ビデオ、バックアップなど)、SSD の容量を減らします。

ディスクのレイアウト

推奨のノード設定には、以下のようなディスクレイアウトが必要です。

  • /dev/sda: ルートディスク。director は、主なオーバークラウドイメージをディスクにコピーします。
  • /dev/sdb: アカウントデータに使用します。
  • /dev/sdc: コンテナーデータに使用します。
  • /dev/sdd 以降: オブジェクトサーバーディスク。ストレージ要件で必要な数のディスクを使用します。
ネットワークインターフェイスカード
最小 2 枚の 1 Gbps ネットワークインターフェイスカード。タグ付けされた VLAN トラフィックを委譲する場合や、ボンディングインターフェイス向けの場合には、追加のネットワークインターフェイスを使用します。
電源管理
各コントローラーノードには、Intelligent Platform Management Interface (IPMI) 機能などのサポート対象の電源管理インターフェイスがサーバーのマザーボードに搭載されている必要があります。