第4章 アンダークラウドのインストール

Red Hat OpenStack Platform 環境の構築では、最初にアンダークラウドシステムに director をインストールします。これには、必要なサブスクリプションやリポジトリーを有効化するために複数の手順を実行する必要があります。

4.1. stack ユーザーの作成

director のインストールプロセスでは、root 以外のユーザーがコマンドを実行する必要があります。以下のコマンドを使用して、stack という名前のユーザーを作成して、パスワードを設定します。

手順

  1. アンダークラウドに root ユーザーとしてログインします。
  2. stack ユーザーを作成します。

    [root@director ~]# useradd stack
  3. そのユーザーのパスワードを設定します。

    [root@director ~]# passwd stack
  4. sudo を使用する場合にパスワードを要求されないようにします。

    [root@director ~]# echo "stack ALL=(root) NOPASSWD:ALL" | tee -a /etc/sudoers.d/stack
    [root@director ~]# chmod 0440 /etc/sudoers.d/stack
  5. 新規作成した stack ユーザーに切り替えます。

    [root@director ~]# su - stack
    [stack@director ~]$

stack ユーザーで director のインストールを続行します。

4.2. アンダークラウドのホスト名の設定

アンダークラウドでは、インストールと設定プロセスにおいて完全修飾ドメイン名が必要です。使用する DNS サーバーは、完全修飾ドメイン名を解決できる必要があります。たとえば、内部またはプライベートの DNS サーバーを使用することができます。これは、アンダークラウドのホスト名を設定する必要がある場合があることを意味します。

手順

  1. アンダークラウドのベースおよび完全なホスト名を確認します。

    [stack@director ~]$ hostname
    [stack@director ~]$ hostname -f
  2. 上記のコマンドのいずれかで正しいホスト名が出力されなかったり、エラーが表示される場合には、hostnamectl でホスト名を設定します。

    [stack@director ~]$ sudo hostnamectl set-hostname manager.example.com
    [stack@director ~]$ sudo hostnamectl set-hostname --transient manager.example.com
  3. director では、/etc/hosts にシステムのホスト名とベース名も入力する必要があります。/etc/hosts の IP アドレスは、アンダークラウドのパブリック API に使用する予定のアドレスと一致する必要があります。たとえば、システムの名前が manager.example.com で、IP アドレスに 10.0.0.1 を使用する場合には、/etc/hosts に以下のように入力する必要があります。

    10.0.0.1  manager.example.com manager

4.3. アンダークラウドの登録と更新

director をインストールする前に以下の準備作業を操作を行います。

  • Red Hat Subscription Manager を使用してアンダークラウドを登録します。
  • 関連するリポジトリーをサブスクライブして有効化します。
  • Red Hat Enterprise Linux パッケージの更新を実行します。

手順

  1. コンテンツ配信ネットワークにシステムを登録します。プロンプトが表示されたら、カスタマーポータルのユーザー名とパスワードを入力します。

    [stack@director ~]$ sudo subscription-manager register
  2. Red Hat OpenStack Platform director のエンタイトルメントプール ID を検索します。以下に例を示します。

    [stack@director ~]$ sudo subscription-manager list --available --all --matches="Red Hat OpenStack"
    Subscription Name:   Name of SKU
    Provides:            Red Hat Single Sign-On
                         Red Hat Enterprise Linux Workstation
                         Red Hat CloudForms
                         Red Hat OpenStack
                         Red Hat Software Collections (for RHEL Workstation)
                         Red Hat Virtualization
    SKU:                 SKU-Number
    Contract:            Contract-Number
    Pool ID:             Valid-Pool-Number-123456
    Provides Management: Yes
    Available:           1
    Suggested:           1
    Service Level:       Support-level
    Service Type:        Service-Type
    Subscription Type:   Sub-type
    Ends:                End-date
    System Type:         Physical
  3. Pool ID の値を特定して、Red Hat OpenStack Platform 13 のエンタイトルメントをアタッチします。

    [stack@director ~]$ sudo subscription-manager attach --pool=Valid-Pool-Number-123456
  4. デフォルトのリポジトリーをすべて無効にしてから、必要な Red Hat Enterprise Linux リポジトリーを有効にします。

    [stack@director ~]$ sudo subscription-manager repos --disable=*
    [stack@director ~]$ sudo subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rpms --enable=rhel-7-server-extras-rpms --enable=rhel-7-server-rh-common-rpms --enable=rhel-ha-for-rhel-7-server-rpms --enable=rhel-7-server-openstack-13-rpms

    これらのリポジトリーには、director のインストールに必要なパッケージが含まれます。

    重要

    「リポジトリーの要件」でリストしたリポジトリーのみを有効にします。追加のリポジトリーを使用すると、パッケージとソフトウェアの競合が発生する場合があります。他のリポジトリーは有効にしないでください。

  5. システムで更新を実行して、ベースシステムパッケージを最新の状態にします。

    [stack@director ~]$ sudo yum update -y
    [stack@director ~]$ sudo reboot

    システムは、director をインストールできる状態になりました。

4.4. director パッケージのインストール

以下の手順に従って、Red hat OpenStack Platform director に関連したパッケージをインストールします。

手順

  1. director のインストールと設定を行うためのコマンドラインツールをインストールします。

    [stack@director ~]$ sudo yum install -y python-tripleoclient
  2. Ceph Storage ノードを使ってオーバークラウドを作成する場合は、さらに ceph-ansible パッケージをインストールします。

    [stack@director ~]$ sudo yum install -y ceph-ansible

4.5. director の設定

director のインストールプロセスには、ネットワーク設定を判断する特定の設定が必要です。この設定は、stack ユーザーのホームディレクトリーに undercloud.conf として配置されているテンプレートに保存されています。以下の手順では、デフォルトのテンプレートをベースに使用して設定を行う方法についてを説明します。

手順

  1. Red Hat は、インストールに必要な設定を判断しやすいように、基本テンプレートを提供しています。このテンプレートは、stack ユーザーのホームディレクトリーにコピーします。

    [stack@director ~]$ cp /usr/share/instack-undercloud/undercloud.conf.sample ~/undercloud.conf
  2. undercloud.conf ファイルを編集します。このファイルには、アンダークラウドを設定するための設定値が含まれています。パラメーターを省略したり、コメントアウトした場合には、アンダークラウドのインストールでデフォルト値が使用されます。

4.6. director の設定パラメーター

undercloud.conf ファイルで設定するパラメーターの一覧を以下に示します。

デフォルト

undercloud.conf ファイルの [DEFAULT] セクションで定義されているパラメーターを以下に示します。

undercloud_hostname
アンダークラウドの完全修飾ホスト名を定義します。設定されている場合には、アンダークラウドのインストールで全システムのホスト名が設定されます。設定されていない場合には、アンダークラウドは現在のホスト名を使用しますが、ユーザーは適切に全システムのホスト名の設定を行う必要があります。
local_ip
director のプロビジョニング NIC 用に定義する IP アドレス。これは、director が DHCP および PXE ブートサービスに使用する IP アドレスでもあります。環境内の既存の IP アドレスまたはサブネットと競合するなど、プロビジョニングネットワークに別のサブネットを使用する場合以外は、この値はデフォルトの 192.168.24.1/24 のままにします。
undercloud_public_host
SSL/TLS を使用する際に、director のパブリック API 用に定義する IP アドレス。これは、SSL/TLS で外部の director エンドポイントにアクセスするための IP アドレスです。director の設定により、この IP アドレスは /32 ネットマスクを使用するルーティングされた IP アドレスとしてソフトウェアブリッジに接続されます。
undercloud_admin_host
SSL/TLS を使用する際に、director の管理 API 用に定義する IP アドレス。これは、SSL/TLS で管理エンドポイントにアクセスするための IP アドレスです。director の設定により、この IP アドレスは /32 ネットマスクを使用するルーティングされた IP アドレスとしてソフトウェアブリッジに接続されます。
undercloud_nameservers
アンダークラウドのホスト名解決に使用する DNS ネームサーバーの一覧
undercloud_ntp_servers
アンダークラウドの日付と時間を同期できるようにする Network Time Protocol サーバーの一覧
overcloud_domain_name

オーバークラウドのデプロイ時に使用する DNS ドメイン名

注記

オーバークラウドのパラメーター CloudDomain は対応する一致する値に設定する必要があります。

サブネット
プロビジョニングおよびイントロスペクション用のルーティングネットワークのサブネットの一覧。詳しくは、「サブネット」を参照してください。デフォルト値に含まれるのは、ctlplane-subnet サブネットのみです。
local_subnet
PXE ブートと DHCP インターフェースに使用するローカルサブネット。local_ip アドレスがこのサブネットに含まれている必要があります。デフォルトは ctlplane-subnet です。
undercloud_service_certificate
OpenStack SSL/TLS 通信の証明書の場所とファイル名。理想的には、信頼できる認証局から、この証明書を取得します。それ以外の場合は、「付録A SSL/TLS 証明書の設定」のガイドラインを使用して独自の自己署名の証明書を作成します。これらのガイドラインには、自己署名の証明書か認証局からの証明書に拘らず、証明書の SELinux コンテキストを設定する方法が含まれています。
generate_service_certificate
アンダークラウドのインストール時に SSL/TLS 証明書を生成するかを定義します。これは undercloud_service_certificate パラメーターに使用します。アンダークラウドのインストールで、作成された証明書 /etc/pki/tls/certs/undercloud-[undercloud_public_vip].pem を保存します。certificate_generation_ca パラメーターで定義される CA はこの証明書を署名します。
certificate_generation_ca
要求した証明書を署名する CA の certmonger のニックネーム。generate_service_certificate パラメーターを設定した場合のみこのオプションを使用します。local CA を選択する場合は、certmonger はローカルの CA 証明書を /etc/pki/ca-trust/source/anchors/cm-local-ca.pem に抽出して、トラストチェーンに追加します。
service_principal
この証明書を使用するサービスの Kerberos プリンシパル。CA で FreeIPA などの Kerberos プリンシパルが必要な場合にのみ使用します。
local_interface

director のプロビジョニング NIC 用に選択するインターフェース。これは、director が DHCP および PXE ブートサービスに使用するデバイスでもあります。どのデバイスが接続されているかを確認するには、ip addr コマンドを使用します。以下に ip addr コマンドの出力結果の例を示します。

2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc pfifo_fast state UP qlen 1000
    link/ether 52:54:00:75:24:09 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
    inet 192.168.122.178/24 brd 192.168.122.255 scope global dynamic eth0
       valid_lft 3462sec preferred_lft 3462sec
    inet6 fe80::5054:ff:fe75:2409/64 scope link
       valid_lft forever preferred_lft forever
3: eth1: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc noop state DOWN
    link/ether 42:0b:c2:a5:c1:26 brd ff:ff:ff:ff:ff:ff

この例では、外部 NIC は eth0 を、プロビジョニング NIC は未設定の eth1 を使用します。今回は、local_interfaceeth1 に設定します。この設定スクリプトにより、このインターフェースが inspection_interface パラメーターで定義したカスタムのブリッジにアタッチされます。

local_mtu
local_interface に使用する MTU
hieradata_override
hieradata オーバーライドファイルへのパス。設定されている場合は、アンダークラウドのインストールでこのファイルが /etc/puppet/hieradata にコピーされ、この階層の最初のファイルとして設定されます。サービスに対して、undercloud.conf パラメーター以外に、サービスに対するカスタム設定を行うには、これを使用します。
net_config_override
ネットワーク設定のオーバーライドテンプレートへのパス。これが設定されている場合にはアンダークラウドは JSON 形式のテンプレートを使用して os-net-config でネットワークを設定します。これは、undercloud.conf に設定されているネットワークパラメーターを無視します。/usr/share/instack-undercloud/templates/net-config.json.template の例を参照してください。
inspection_interface
ノードのイントロスペクションに director が使用するブリッジ。これは、director の設定により作成されるカスタムのブリッジです。LOCAL_INTERFACE でこのブリッジをアタッチします。これは、デフォルトの br-ctlplane のままにします。
inspection_iprange
director のイントロスペクションサービスが PXE ブートとプロビジョニングプロセスの際に使用する IP アドレス範囲。開始アドレスと終了アドレスの定義には、192.168.24.100,192.168.24.120 などのように、コンマ区切りの値を使用します。この範囲には、使用するノードに十分な数の IP アドレスが含まれるようにし、dhcp_startdhcp_end の範囲とは競合しないように設定してください。
inspection_extras
イントロスペクション時に追加のハードウェアコレクションを有効化するかどうかを定義します。イントロスペクションイメージでは python-hardware または python-hardware-detect パッケージが必要です。
inspection_runbench
ノードイントロスペクション時に一連のベンチマークを実行します。有効にするには、true に設定します。このオプションは、登録ノードのハードウェアを検査する際にベンチマーク分析を実行する場合に必要です。詳細は、「ノードのハードウェアの検査」を参照してください。
inspection_enable_uefi
UEFI のみのファームウェアを使用するノードのイントロスペクションをサポートするかどうかを定義します。詳しくは、「付録D 代替ブートモード」を参照してください。
enable_node_discovery
イントロスペクションの ramdisk を PXE ブートする不明なノードを自動的に登録します。新規ノードは、fake_pxe ドライバーをデフォルトとして使用しますが、discovery_default_driver を設定して上書きすることもできます。また、イントロスペクションルールを使用して、新しく登録したノードにドライバーの情報を指定することもできます。
discovery_default_driver
自動的に登録されるノード用のデフォルトドライバーを設定します。enable_node_discovery を有効化して、enabled_drivers 一覧にそのドライバーを追加する必要があります。サポート対象のドライバー一覧は、「付録B 電源管理ドライバー」を参照してください。
undercloud_debug
アンダークラウドサービスのログレベルを DEBUG に設定します。この値は true に設定して有効化します。
undercloud_update_packages
アンダークラウドのインストール時にパッケージを更新するかどうかを定義します。
enable_tempest
検証ツールをインストールするかどうかを定義します。デフォルトは、false に設定されていますが、true で有効化することができます。
enable_telemetry
アンダークラウドに OpenStack Telemetry サービス (ceilometer、aodh、panko、gnocchi) をインストールするかどうかを定義します。Red Hat OpenStack Platform では、Telemetry のメトリックバックエンドは gnocchi によって提供されます。enable_telemetry パラメーターを true に設定すると、Telemetry サービスが自動的にインストール/設定されます。このノードで Telemetry サービスを使用しない場合には、この値は false に指定してください。
enable_ui
director の Web UI をインストールするかどうかを定義します。これにより、グラフィカル Web インターフェースを使用して、オーバークラウドのプランニングやデプロイメントが可能になります。詳しい情報は「7章WEB UI を使用した基本的なオーバークラウドの設定」を参照してください。UI は、undercloud_service_certificate または generate_service_certificate のいずれかを使用して SSL/TLS を有効化している場合にのみ使用できる点にご注意ください。
enable_validations
検証の実行に必要なアイテムをインストールするかどうかを定義します。
enable_novajoin
アンダークラウドの novajoin メタデータサービスをインストールするかどうかを定義します。
ipa_otp
IPA サーバーにアンダークラウドノードを登録するためのワンタイムパスワードを定義します。これは、enable_novajoin が有効な場合に必要です。
ipxe_enabled
iPXE か標準の PXE のいずれを使用するか定義します。デフォルトは true で iPXE を有効化します。false に指定すると、標準の PXE に設定されます。詳しい情報は、「付録D 代替ブートモード」を参照してください。
scheduler_max_attempts
スケジューラーがインスタンスのデプロイを試行する最大回数。これは、スケジューリング時に競合状態にならないように、1 度にデプロイする予定のベアメタルノードの数以上に指定するようにしてください。
clean_nodes
デプロイメントを再実行する前とイントロスペクションの後にハードドライブを消去するかどうかを定義します。
enabled_hardware_types
アンダークラウドを有効にするためのハードウェア種別の一覧。サポートされているドライバーの一覧は、「付録B 電源管理ドライバー」を参照してください。

パスワード

undercloud.conf ファイルの [auth] セクションで定義されているパラメーターを以下に示します。

undercloud_db_password、undercloud_admin_token、undercloud_admin_password、undercloud_glance_passwm など

残りのパラメーターは、全 director サービスのアクセス詳細を指定します。値を変更する必要はありません。undercloud.conf で空欄になっている場合には、これらの値は director の設定スクリプトによって自動的に生成されます。設定スクリプトの完了後には、すべての値を取得することができます。

重要

これらのパラメーターの設定ファイルの例では、プレースホルダーの値に <None> を使用しています。これらの値を <None> に設定すると、デプロイメントでエラーが発生します。

サブネット

undercloud.conf ファイルには、各プロビジョニングサブネットの名前が付いたセクションがあります。たとえば、ctlplane-subnet という名前のサブネットを作成するとセクションは以下のようになります。

[ctlplane-subnet]
cidr = 192.168.24.0/24
dhcp_start = 192.168.24.5
dhcp_end = 192.168.24.24
inspection_iprange = 192.168.24.100,192.168.24.120
gateway = 192.168.24.1
masquerade = true

プロビジョニングネットワークは、環境に応じて、必要なだけ指定することができます。

ゲートウェイ

オーバークラウドインスタンスのゲートウェイ。外部ネットワークにトラフィックを転送するアンダークラウドのホストです。director に別の IP アドレスを使用する場合または外部ゲートウェイを直接使用する場合以外は、この値はデフォルト (192.168.24.1) のままにします。

注記

director の設定スクリプトは、適切な sysctl カーネルパラメーターを使用して IP フォワーディングを自動的に有効にする操作も行います。

network_cidr
オーバークラウドインスタンスの管理に director が使用するネットワーク。これは、アンダークラウドの neutron が管理するプロビジョニングネットワークです。プロビジョニングネットワークに別のサブネットを使用しない限り、この値はデフォルト (192.168.24.0/24) のままにします。
マスカレード
外部アクセス向けにマスカレードするネットワークを定義します。これにより、プロビジョニングネットワークにネットワークアドレス変換 (NAT) の範囲が提供され、director 経由で外部アクセスが可能になります。プロビジョニングネットワークに別のサブネットを使用しない限り、この値はデフォルト (192.168.24.0/24) のままにします。
dhcp_start; dhcp_end
オーバークラウドノードの DHCP 割り当て範囲 (開始アドレスと終了アドレス)。ノードを割り当てるのに十分な IP アドレスがこの範囲に含まれるようにします。

これらのパラメーターの値は、構成に応じて変更してください。完了したら、ファイルを保存します。

4.7. director のインストール

以下の手順では、director をインストールしてインストール後の基本的なタスクを実行します。

手順

  1. 以下のコマンドを実行して、アンダークラウドに director をインストールします。

    [stack@director ~]$ openstack undercloud install

    このコマンドで、director の設定スクリプトを起動します。director により、追加のパッケージがインストールされ、undercloud.conf の設定に合わせてサービスを設定します。このスクリプトは、完了までに数分かかります。

    スクリプトにより、完了時には 2 つのファイルが生成されます。

    • undercloud-passwords.conf: director サービスの全パスワード一覧
    • stackrc: director のコマンドラインツールへアクセスできるようにする初期化変数セット
  2. このスクリプトは、全 OpenStack Platform のサービスを自動的に起動します。以下のコマンドを使用して、有効化されたサービスを確認してください。

    [stack@director ~]$ sudo systemctl list-units openstack-*
  3. スクリプトにより、docker グループに stack ユーザーも追加され、その stack ユーザーはコンテナー管理コマンドにアクセスできるようになります。stack ユーザーのパーミッションを最新の状態に更新するには、以下のコマンドを実行します。

    [stack@director ~]$ exec su -l stack

    このコマンドでは再度ログインを要求されます。stack ユーザーのパスワードを入力します。

  4. stack ユーザーを初期化してコマンドラインツールを使用するには、以下のコマンドを実行します。

    [stack@director ~]$ source ~/stackrc

    プロンプトには、OpenStack コマンドがアンダークラウドに対して認証および実行されることが表示されるようになります。

    (undercloud) [stack@director ~]$

director のインストールが完了しました。これで、director のコマンドラインツールが使用できるようになりました。

4.8. オーバークラウドノードのイメージの取得

director では、オーバークラウドのノードをプロビジョニングする際に、複数のディスクが必要です。必要なディスクは以下のとおりです。

  • イントロスペクションのカーネルおよび ramdisk: PXE ブートでベアメタルシステムのイントロスペクションに使用
  • デプロイメントカーネルおよび ramdisk: システムのプロビジョニングおよびデプロイメントに使用
  • オーバークラウドカーネル、ramdisk、完全なイメージ: ノードのハードディスクに書き込まれるベースのオーバークラウドシステム

以下の手順は、これらのイメージの取得およびインストールの方法について説明します。

手順

  1. stackrc ファイルを読み込んで、director のコマンドラインツールを有効にします。

    [stack@director ~]$ source ~/stackrc
  2. rhosp-director-images および rhosp-director-images-ipa パッケージをインストールします。

    (undercloud) [stack@director ~]$ sudo yum install rhosp-director-images rhosp-director-images-ipa
  3. stack ユーザーのホームの images ディレクトリー (/home/stack/images) にアーカイブを展開します。

    (undercloud) [stack@director ~]$ cd ~/images
    (undercloud) [stack@director images]$ for i in /usr/share/rhosp-director-images/overcloud-full-latest-13.0.tar /usr/share/rhosp-director-images/ironic-python-agent-latest-13.0.tar; do tar -xvf $i; done
  4. これらのイメージを director にインポートします。

    (undercloud) [stack@director images]$ openstack overcloud image upload --image-path /home/stack/images/

    このコマンドにより、以下のイメージが director にアップロードされます。

    • bm-deploy-kernel
    • bm-deploy-ramdisk
    • overcloud-full
    • overcloud-full-initrd
    • overcloud-full-vmlinuz

    これらは、デプロイメントおよびオーバークラウド用のイメージです。スクリプトにより、director の PXE サーバー上にイントロスペクションイメージもインストールされます。

  5. これらのイメージが正常にアップロードされたことを確認します。

    (undercloud) [stack@director images]$ openstack image list
    +--------------------------------------+------------------------+
    | ID                                   | Name                   |
    +--------------------------------------+------------------------+
    | 765a46af-4417-4592-91e5-a300ead3faf6 | bm-deploy-ramdisk      |
    | 09b40e3d-0382-4925-a356-3a4b4f36b514 | bm-deploy-kernel       |
    | ef793cd0-e65c-456a-a675-63cd57610bd5 | overcloud-full         |
    | 9a51a6cb-4670-40de-b64b-b70f4dd44152 | overcloud-full-initrd  |
    | 4f7e33f4-d617-47c1-b36f-cbe90f132e5d | overcloud-full-vmlinuz |
    +--------------------------------------+------------------------+

    この一覧には、イントロスペクションの PXE イメージは表示されません。director は、これらのファイルを /httpboot にコピーします。

    (undercloud) [stack@director images]$ ls -l /httpboot
    total 341460
    -rwxr-xr-x. 1 root              root                5153184 Mar 31 06:58 agent.kernel
    -rw-r--r--. 1 root              root              344491465 Mar 31 06:59 agent.ramdisk
    -rw-r--r--. 1 ironic-inspector  ironic-inspector        337 Mar 31 06:23 inspector.ipxe
注記

デフォルトの overcloud-full.qcow2 イメージは、フラットなパーティションイメージですが、ディスクイメージ全体をインポート、使用することも可能です。詳しい情報は、「付録C 完全なディスクイメージ」を参照してください。

4.9. コントロールプレーン用のネームサーバーの設定

オーバークラウドで cdn.redhat.com などの外部のホスト名を解決する予定の場合は、オーバークラウドノード上にネームサーバーを設定することを推奨します。ネットワークを分離していない標準のオーバークラウドの場合には、ネームサーバーはアンダークラウドのコントロールプレーンのサブネットを使用して定義されます。環境でネームサーバーを定義するには、以下の手順に従ってください。

手順

  1. stackrc ファイルを読み込んで、director のコマンドラインツールを有効にします。

    [stack@director ~]$ source ~/stackrc
  2. ctlplane-subnet サブネット用のネームサーバーを設定します。

    (undercloud) [stack@director images]$ openstack subnet set --dns-nameserver [nameserver1-ip] --dns-nameserver [nameserver2-ip] ctlplane-subnet

    各ネームサーバーに --dns-nameserver オプションを使用します。

  3. サブネットを表示してネームサーバーを確認します。

    (undercloud) [stack@director images]$ openstack subnet show ctlplane-subnet
    +-------------------+-----------------------------------------------+
    | Field             | Value                                         |
    +-------------------+-----------------------------------------------+
    | ...               |                                               |
    | dns_nameservers   | 8.8.8.8                                       |
    | ...               |                                               |
    +-------------------+-----------------------------------------------+
重要

サービストラフィックを別のネットワークに分離する場合は、オーバークラウドのノードはネットワーク環境ファイルの DnsServer パラメーターを使用します。

4.10. 次のステップ

これでアンダークラウドの設定が完了しました。次の章では、ノードの登録、検査、さまざまなノードロールのタグ付けなど、オーバークラウドの基本的な設定について説明します。