Red Hat Training

A Red Hat training course is available for Red Hat OpenStack Platform

第1章 はじめに

Red Hat OpenStack Platform director は、オーバークラウド と呼ばれるクラウド環境を作成します。オーバークラウドには、異なる役割を果たす複数のノード種別が含まれます。これらのノード種別の中の 1 つに コントローラー ノードがあります。コントローラーは、オーバークラウドを管理する機能を果たし、特定の OpenStack コンポーネントを使用します。オーバークラウドは、複数のコントローラーをまとめて高可用性クラスターとして使用して、Openstack サービスの運用パフォーマンスが最大限となるようにします。また、このクラスターは、OpenStack サービスにアクセスするためのロードバランシング機能も提供し、コントローラーノードへのトラフィックを均等に分散して、各ノードのサーバーの過負荷を軽減します。

外部ロードバランサーを使用してこの分散を実行することも可能です。たとえば、組織は、独自のハードウェアベースのロードバランサーを使用してコントローラーノードへのトラフィックの分散を処理することができます。本ガイドでは、外部のロードバランサーの設定の定義とオーバークラウドの作成に役立つ必要な情報を提供します。これには、以下のプロセスを伴います。

  1. ロードバランサーのインストールと設定: 本ガイドでは、ロードバランシングとサービスの HAProxy オプションについて記載しています。設定値は、お使いの外部のロードバランサーに適した値に変更して適用してください。
  2. オーバークラウドの設定とデプロイ: 本ガイドには、オーバークラウドと外部のロードバランサーを統合するのに役立つ、Heat テンプレートのパラメーターを記載しています。これには、主としてロードバランサーおよびノードとして使用するマシンの IP アドレスが必要です。また、本ガイドには、オーバクラウドのデプロイメントを開始するためのコマンドと、外部のロードバランサーを使用するための設定も記載しています。

1.1. オーバークラウドでのロードバランシングの使用

オーバークラウドは、HAProxy と呼ばれるオープンソースのツールを使用します。HAProxy は、OpenStack サービスを実行するコントローラーノードのトラフィックの負荷を分散します。haproxy パッケージには、haproxy systemd サービスから起動される haproxy デーモンがロギング機能およびサンプル設定とともに含まれています。ただし、オーバークラウドは高可用性リソース管理機能 (Pacemaker) も使用して HAProxy 自体を高可用性のサービスとして管理します。そのため、HAProxy は各コントローラーノードで実行され、各設定に定義されているルールに従ってトラフィックを分散します。

1.2. シナリオ例の定義

本書では、一例として以下のシナリオを使用しています。

  • HAProxy を使用する外部のロードバランシングサーバー。フェデレーション対応の HAProxy サーバーの使用方法の実例を紹介しますこのサーバーの代わりにサポートされている他の外部のロードバランサーを使用することも可能です。
  • OpenStack Platform director ノード 1 台
  • オーバークラウドは、以下の要素で構成されます。
  • 高可用性クラスター内のコントローラーノード 3 台
  • コンピュートノード 1 台
  • VLAN を使用したネットワークの分離

このシナリオでは、各ネットワークに以下の IP アドレス割り当てを使用します。

  • 内部 API: 172.16.20.0/24
  • テナント: 172.16.22.0/24
  • ストレージ: 172.16.21.0/24
  • ストレージ管理: 172.16.19.0/24
  • 外部: 172.16.23.0/24

IP アドレスの範囲には、コントローラーノードに割り当てられる IP アドレスと、ロードバランサーが OpenStack サービスにバインディングするための仮想 IP アドレスが含まれます。