Red Hat Training
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第10章 ストレージの設定
本章では、オーバークラウドのストレージオプションの設定方法をいくつか説明します。
オーバークラウドは、デフォルトのストレージオプションにローカルおよび LVM のストレージを使用します。ただし、これらのオプションは、エンタープライズレベルのオーバークラウドではサポートされません。本章のストレージオプションの 1 つを使用することを推奨します。
10.1. NFS ストレージの設定
本項では、NFS 共有を使用するオーバークラウドの設定について説明します。インストールおよび設定のプロセスは、コアとなる Heat テンプレートコレクション内に既に存在する環境ファイルの変更がベースとなります。
コアの Heat テンプレートコレクションの /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/
には一連の環境ファイルが格納されています。これらは、director で作成したオーバークラウドでサポートされている一部の機能のカスタム設定に役立つ環境テンプレートです。これには、ストレージ設定に有用な環境ファイルが含まれます。このファイルは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml
に配置されています。このファイルを stack
ユーザーのテンプレートディレクトリーにコピーしてください。
$ cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml ~/templates/.
この環境ファイルには、OpenStack のブロックストレージおよびイメージストレージのコンポーネントの異なるストレージオプションを設定するのに役立つ複数のパラメーターが記載されています。この例では、オーバークラウドが NFS 共有を使用するように設定します。以下のパラメーターを変更してください。
- CinderEnableIscsiBackend
-
iSCSI バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableRbdBackend
-
Ceph Storage バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableNfsBackend
-
NFS バックエンドを有効にするパラメーター。
true
に設定します。 - NovaEnableRbdBackend
-
Nova エフェメラルストレージ用に Ceph Storage を有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - GlanceBackend
-
Glance に使用するバックエンドを定義するパラメーター。イメージ用にファイルベースストレージを使用するには
file
に設定します。オーバークラウドは、Glance 用にマウントされた NFS 共有にこれらのファイルを保存します。 - CinderNfsMountOptions
- ボリュームストレージ用の NFS マウントオプション
- CinderNfsServers
- ボリュームストレージ用にマウントする NFS 共有 (例: 192.168.122.1:/export/cinder)
- GlanceNfsEnabled
-
イメージストレージ用の共有を管理するための Pacemaker を有効にするパラメーター。無効に設定されている場合には、オーバークラウドはコントローラーノードのファイルシステムにイメージを保管します。
true
に設定してください。 - GlanceNfsShare
- イメージストレージをマウントするための NFS 共有 (例: 192.168.122.1:/export/glance)
- GlanceNfsOptions
- イメージストレージ用の NFS マウントオプション
環境ファイルのオプションは、以下の例のようになるはずです。
parameter_defaults: CinderEnableIscsiBackend: false CinderEnableRbdBackend: false CinderEnableNfsBackend: true NovaEnableRbdBackend: false GlanceBackend: 'file' CinderNfsMountOptions: 'rw,sync' CinderNfsServers: '192.0.2.230:/cinder' GlanceNfsEnabled: true GlanceNfsShare: '192.0.2.230:/glance' GlanceNfsOptions: 'rw,sync,context=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0'
Glance が /var/lib
ディレクトリーにアクセスできるようにするには、GlanceFilePcmkOptions
パラメーターに context=system_u:object_r:glance_var_lib_t:s0
と記載します。この SELinux コンテキストがない場合には、Glance はマウントポイントへの書き込みに失敗します。
これらのパラメーターは、Heat テンプレートコレクションの一部として統合されます。このように設定することにより、Cinder と Glance が使用するための 2 つの NFS マウントポイントが作成されます。
このファイルを保存して、オーバークラウドの作成に含まれるようにします。
10.2. Ceph Storage の設定
director では、Red Hat Ceph Storage のオーバークラウドへの統合には主に 2 つの方法を提供します。
- Ceph Storage Cluster でのオーバークラウドの作成
- director には、オーバークラウドの作成中に Ceph Storage Cluster を作成する機能があります。director は、データの格納に Ceph OSD を使用する Ceph Storage ノードセットを作成します。さらに、director は、オーバークラウドのコントローラーノードに Ceph Monitor サービスをインストールします。このため、組織が高可用性のコントローラーノード 3 台で構成されるオーバークラウドを作成する場合には、Ceph Monitor も高可用性サービスになります。
- 既存の Ceph Storage のオーバークラウドへの統合
- 既存の Ceph Storage Cluster がある場合には、オーバークラウドのデプロイメント時に統合できます。これは、オーバークラウドの設定以外のクラスターの管理やスケーリングが可能であることを意味します。
オーバークラウドの Ceph Storage に関する詳しい情報は、両シナリオに沿った全手順を記載している専用の 『オーバークラウド向けの Red Hat Ceph Storage』ガイドを参照してください。
10.3. サードパーティーのストレージの設定
director には、以下のようなサードパーティーのストレージプロバイダーの設定に役立つ環境ファイルが 2 つ含まれています。
- Dell EMC Storage Center
Block Storage (cinder) サービス用に単一の Dell EMC Storage Center バックエンドをデプロイします。
環境ファイルは
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/cinder-dellsc-config.yaml
にあります。設定に関する詳しい情報は、『Dell Storage Center Back End Guide』を参照してください。
- Dell EMC PS Series
Block Storage (cinder) サービス用に単一の Dell EMC PS Series バックエンドをデプロイします。
環境ファイルは
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/cinder-dellps-config.yaml
にあります。設定に関する詳しい情報は、『Dell EMC PS Series Back End Guide』を参照してください。
- NetApp ブロックストレージ
Block Storage (cinder) サービス用に NetApp ストレージアプライアンスをバックエンドとしてデプロイします。
環境ファイルは
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/cinder-netapp-config.yaml
にあります。設定に関する詳しい情報は、『NetApp Block Storage Back End Guide』を参照してください。