Red Hat Training
A Red Hat training course is available for Red Hat OpenStack Platform
オーバークラウド向けの Red Hat Ceph Storage
オーバークラウドで Red Hat Ceph Storage を使用するための設定
OpenStack Documentation Team
rhos-docs@redhat.com
概要
第1章 はじめに
Red Hat OpenStack Platform director は、オーバークラウド と呼ばれるクラウド環境を作成します。director を使用して、オーバークラウドの追加機能を設定することができます。これらの追加機能の 1 つに、director で作成した Ceph Storage Cluster や、既存の Ceph Storage Cluster などの Red Hat Ceph Storage との統合が含まれます。本ガイドには、director を使用してオーバークラウドに Ceph Storage を統合する方法についての説明と設定例を記載します。
1.1. Ceph Storage の定義
Red Hat Ceph Storage は、優れたパフォーマンス、信頼性、スケーリングを提供するように設計された、分散型のデータオブジェクトストレージです。非構造化データに対応しており、クライアントが新しいタイプのオブジェクトインターフェースと従来のインターフェースを同時に使用できる分散型のオブジェクトストアは、今後のストレージのあるべき姿です。Ceph デプロイメントはすべて、2 種類のデーモンで構成される Ceph Storage Cluster を中心とします。
- Ceph OSD (Object Storage Daemon)
- Ceph OSD は、Ceph クライアントの代わりにデータを格納します。また、Ceph ノードの CPU とメモリーを使用して、データの複製、リバランス、復旧、監視、レポート作成を実行します。
- Ceph モニター
- Ceph モニターは、ストレージクラスターの現在のステータスを含む Ceph ストレージクラスターのマッピングのマスターコピーを管理します。
Red Hat Ceph Storage に関する詳しい情報は、『Red Hat Ceph Storage Architecture Guide』を参照してください。
本ガイドでは、Ceph Block Storage および Ceph Object Gateway (RGW) のみを統合します。Ceph File (CephFS) ストレージの統合については記載していません。
1.2. Red Hat OpenStack Platform での Red Hat Ceph Storage の使用
Red Hat OpenStack Platform director で Red Hat Ceph Storage をオーバークラウドに統合するには、主に 2 つの方法があります。
- Ceph Storage Cluster でのオーバークラウドの作成
- director には、オーバークラウドの作成中に Ceph Storage Cluster を作成する機能があります。director は、データの格納に Ceph OSD を使用する Ceph Storage ノードセットを作成します。さらに、director は、オーバークラウドのコントローラーノードに Ceph Monitor サービスをインストールします。このため、組織が高可用性のコントローラーノード 3 台で構成されるオーバークラウドを作成する場合には、Ceph Monitor も高可用性サービスになります。
- 既存の Ceph Storage のオーバークラウドへの統合
- 既存の Ceph Storage Cluster がある場合には、オーバークラウドのデプロイメント時に統合できます。これは、オーバークラウドの設定以外のクラスターの管理やスケーリングが可能であることを意味します。
1.3. 設定要件
本ガイドは、『director のインストールと使用方法』ガイドの補足情報を提供します。これは、「要件」で指定されているのと同じ要件が本ガイドにも適用されることを意味します。必要に応じて、この要件を実装してください。
Red Hat OpenStack Platform director を使用して Ceph Storage ノードを作成する場合は、それらのノードに対する以下の要件に注意してください。
- プロセッサー
- Intel 64 または AMD64 CPU 拡張機能のサポートがある 64 ビットの x86 プロセッサー
- メモリー
- メモリー要件はストレージ容量によって異なります。ハードディスク容量 1 TB あたり最小で 1 GB のメモリーを使用するのが理想的です。
- ディスク領域
- ストレージ要件はメモリーの容量によって異なります。ハードディスク容量 1 TB あたり最小で 1 GB のメモリーを使用するのが理想的です。
- ディスクのレイアウト
推奨される Red Hat Ceph Storage ノードの設定には、以下のようなディスクレイアウトが必要です。
-
/dev/sda
: ルートディスク。director は、主なオーバークラウドイメージをディスクにコピーします。 -
/dev/sdb
: ジャーナルディスク。このディスクは、/dev/sdb1、/dev/sdb2、/dev/sdb3 などのように、Ceph OSD ジャーナル向けにパーティションを分割します。ジャーナルディスクは通常、システムパフォーマンス向上に役立つ Solid State Drive (SSD) です。 -
/dev/sdc
以降: OSD ディスク。ストレージ要件で必要な数のディスクを使用します。
-
オーバークラウドのデプロイ前に、ジャーナルおよび OSD の対象となるディスクで既存のパーティションをすべて消去します。さらに、Ceph Storage OSD およびジャーナルディスクは、デプロイメントの一部として設定可能な GPT ディスクラベルが必要です。詳しい情報は 「Ceph Storage ノードのディスクのクリーニング」 を参照してください。
- ネットワークインターフェースカード
- 最小で 1 x 1 Gbps ネットワークインターフェースカード (実稼動環境では、最低でも NIC を 2 つ以上使用することを推奨します)。ボンディングされたインターフェース向けの場合や、タグ付けされた VLAN トラフィックを委譲する場合には、追加のネットワークインターフェースを使用します。特に大量のトラフィックにサービスを提供する OpenStack Platform 環境を構築する場合には、ストレージノードには 10 Gbps インターフェースを使用することを推奨します。
- Intelligent Platform Management Interface (IPMI)
- 各 Ceph ノードには、サーバーのマザーボード上に IPMI 機能が必要です。
本ガイドでは、以下の要件も満たす必要があります。
- Red Hat OpenStack Platform director でインストールしたアンダークラウドホスト。「アンダークラウドのインストール」を参照してください。
- Red Hat Ceph Storage のハードウェアの追加の推奨事項。これらの推奨事項については『Red Hat Ceph Storage Hardware Guide』を参照してください。
Ceph Monitor サービスは、オーバークラウドのコントローラーノードにインストールされます。これは、パフォーマンスの問題を軽減するために、適切なリソースを提供する必要があるという意味です。お使いの環境のコントローラーノードでは、最低でもメモリー 16 GB を、Ceph Monitor データにはソリッドステートドライブ (SSD) を使用するようにしてください。
1.4. シナリオの定義
本ガイドでは、2 つのシナリオを使用します。
- 最初のシナリオでは、Ceph Storage Cluster でオーバークラウドを作成します。これは、director が Ceph Storage Cluster をデプロイすることを意味します。
- 2 番目のシナリオでは、既存の Ceph Storage Cluster とオーバークラウドを統合します。これは、オーバークラウドの管理と Ceph Storage Cluster の管理を分けることを意味します。
第2章 Ceph Storage ノードでのオーバークラウドの作成
本章では、director を使用して、独自の Ceph Storage Cluster が含まれるオーバークラウドを作成する方法を説明します。オーバークラウドの作成方法や、既存の Ceph Storage Cluster との統合方法に関する説明は、「3章既存の Ceph Storage Cluster のオーバークラウドとの統合」を参照してください。
本章のシナリオでは、オーバークラウドは 9 台のノードで構成されます。
- 高可用性のコントローラーノード 3 台。各ノードに Ceph Monitor サービスが含まれます。
- クラスター内に Red Hat Ceph Storage ノード 3 台。これらのノードには、Ceph OSD が含まれ、実際のストレージとしての役割を果たします。
- コンピュートノード 3 台
このシナリオのすべてのマシンは、電源管理に IPMI を使用したベアメタルマシンです。director により Red Hat Enterprise Linux 7 のイメージが各ノードにコピーされるため、これらのノードではオペレーティングシステムは必要ありません。
director は、イントロスペクションおよびプロビジョニングプロセス中に、プロビジョニングネットワークを使用して各ノードと通信します。すべてのノードは、ネイティブの VLAN 経由でネットワークに接続します。この例では、以下の IP アドレスの割り当てで、プロビジョニングサブネットとして 192.0.2.0/24 を使用します。
ノード名 | IP アドレス | MAC アドレス | IPMI IP アドレス |
---|---|---|---|
director |
192.0.2.1 |
aa:aa:aa:aa:aa:aa | |
コントローラー 1 |
定義済みの DHCP |
b1:b1:b1:b1:b1:b1 |
192.0.2.205 |
コントローラー 2 |
定義済みの DHCP |
b2:b2:b2:b2:b2:b2 |
192.0.2.206 |
コントローラー 3 |
定義済みの DHCP |
b3:b3:b3:b3:b3:b3 |
192.0.2.207 |
コンピュート 1 |
定義済みの DHCP |
c1:c1:c1:c1:c1:c1 |
192.0.2.208 |
コンピュート 2 |
定義済みの DHCP |
c2:c2:c2:c2:c2:c2 |
192.0.2.209 |
コンピュート 3 |
定義済みの DHCP |
c3:c3:c3:c3:c3:c3 |
192.0.2.210 |
Ceph 1 |
定義済みの DHCP |
d1:d1:d1:d1:d1:d1 |
192.0.2.211 |
Ceph 2 |
定義済みの DHCP |
d2:d2:d2:d2:d2:d2 |
192.0.2.212 |
Ceph 3 |
定義済みの DHCP |
d3:d3:d3:d3:d3:d3 |
192.0.2.213 |
2.1. stack ユーザーの初期化
stack
ユーザーとして director ホストにログインし、以下のコマンドを実行して director の設定を初期化します。
$ source ~/stackrc
このコマンドでは、director の CLI ツールにアクセスする認証情報が含まれる環境変数を設定します。
2.2. ノードの登録
ノード定義のテンプレート (instackenv.json
) は JSON ファイル形式で、ノード登録用のハードウェアおよび電源管理の情報が含まれています。以下に例を示します。
{ "nodes":[ { "mac":[ "b1:b1:b1:b1:b1:b1" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.205" }, { "mac":[ "b2:b2:b2:b2:b2:b2" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.206" }, { "mac":[ "b3:b3:b3:b3:b3:b3" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.207" }, { "mac":[ "c1:c1:c1:c1:c1:c1" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.208" }, { "mac":[ "c2:c2:c2:c2:c2:c2" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.209" }, { "mac":[ "c3:c3:c3:c3:c3:c3" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.210" }, { "mac":[ "d1:d1:d1:d1:d1:d1" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.211" }, { "mac":[ "d2:d2:d2:d2:d2:d2" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.212" }, { "mac":[ "d3:d3:d3:d3:d3:d3" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.213" } ] }
テンプレートの作成後に、stack ユーザーのホームディレクトリー (/home/stack/instackenv.json
) にファイルを保存してから、director にインポートします。これには、以下のコマンドを実行します。
$ openstack baremetal import --json ~/instackenv.json
このコマンドでテンプレートをインポートして、テンプレートから director に各ノードを登録します。
カーネルと ramdisk イメージを全ノードに割り当てます。
$ openstack baremetal configure boot
director でのノードの登録、設定が完了しました。
2.3. ノードの手動でのタグ付け
各ノードを登録した後には、ハードウェアを検査して、ノードを特定のプロファイルにタグ付けする必要があります。プロファイルタグにより、ノードがフレーバーに照合され、そのフレーバーはデプロイメントロールに割り当てられます。
新規ノードを検査してタグ付けするには、以下のステップに従います。
ハードウェアのイントロスペクションをトリガーして、各ノードのハードウェア属性を取得します。
$ openstack baremetal introspection bulk start
重要このプロセスが最後まで実行されて正常に終了したことを確認してください。ベアメタルの場合には、通常 15 分ほどかかります。
ノード一覧を取得して UUID を識別します。
$ ironic node-list
各ノードの
properties/capabilities
パラメーターに profile オプションを追加して、ノードを特定のプロファイルに手動でタグ付けします。たとえば、標準的なデプロイメントは、
control
、compute
、およびceph-storage
の 3 つのプロファイルを使用します。以下のコマンドは、3 つのノードを各プロファイルにタグ付けします。$ ironic node-update 1a4e30da-b6dc-499d-ba87-0bd8a3819bc0 add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 6faba1a9-e2d8-4b7c-95a2-c7fbdc12129a add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 5e3b2f50-fcd9-4404-b0a2-59d79924b38e add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 484587b2-b3b3-40d5-925b-a26a2fa3036f add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local' $ ironic node-update d010460b-38f2-4800-9cc4-d69f0d067efe add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local' $ ironic node-update d930e613-3e14-44b9-8240-4f3559801ea6 add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local' $ ironic node-update da0cc61b-4882-45e0-9f43-fab65cf4e52b add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local' $ ironic node-update b9f70722-e124-4650-a9b1-aade8121b5ed add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local' $ ironic node-update 68bf8f29-7731-4148-ba16-efb31ab8d34f add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local'
ヒントCeph MON サービスおよび Ceph MDS サービス用のノードをタグ付けすることのできる新しいカスタムプロファイルを設定することも可能です。詳しくは、「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」を参照してください。
profile
オプションを追加すると、適切なプロファイルにノードをタグ付けします。
手動でのタグ付けの代わりに、Automated Health Check (AHC) ツールを使用し、ベンチマークデータに基づいて、多数のノードに自動でタグ付けします。
2.4. 専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ
デフォルトでは、director は Ceph MON サービスおよび Ceph MDS サービスをコントローラーノードにデプロイします。これは、小型のデプロイメントには適していますが、 大型のデプロイメントの場合には、Ceph クラスターのパフォーマンスを向上させるために、Ceph MON サービスおよび Ceph MDS サービスを専用のノードにデプロイすることを推奨します。これは、いずれかのサービス用の カスタムロール を作成することによって行うことができます。
カスタムロールについての詳しい情報は、 『オーバークラウドの高度なカスタマイズ』ガイドの「新規ロールの作成」を参照してください。
director は、全オーバークラウドロールのデフォルトのリファレンスとして以下のファイルを使用します。
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/roles_data.yaml
このファイルを /home/stack/templates/
にコピーして、カスタムロールを追加できるようにします。
$ cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/roles_data.yaml /home/stack/templates/roles_data_custom.yaml
カスタムロールファイル /home/stack/templates/roles_data_custom.yaml
は後ほどオーバークラウド作成中に呼び出されます (「オーバークラウドの作成」)。以下のサブセクションでは、Ceph MON サービスまたは Ceph MDS サービス向けのカスタムロールの設定方法について説明します。
2.4.1. Ceph MON サービス向けのカスタムロールとフレーバーの作成
本項では、Ceph MON ロール向けにカスタムロール (名前: CephMon
) およびフレーバー (名前: ceph-mon
) を作成する方法について説明します。director が全デフォルトロール (「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」 に記載) の参照用に使用するファイルはすでにコピー済みのはずです。
-
/home/stack/templates/roles_data_custom.yaml
ファイルを開きます。 Ceph MON サービス (OS::TripleO::Services::CephMon) をコントローラーノードの下から削除します。
[...] - name: Controller # the 'primary' role goes first CountDefault: 1 ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CephMds # - OS::TripleO::Services::CephMon // 1 - OS::TripleO::Services::CephExternal - OS::TripleO::Services::CephRbdMirror - OS::TripleO::Services::CephRgw - OS::TripleO::Services::CinderApi [...]
- 1
- この行をコメントアウトします。次のステップでは、これと同じサービスがカスタムロールに追加されます。
roles_data_custom.yaml
の末尾に、Ceph MON サービスおよびその他すべての必要なノードサービスを含むカスタムのCephMon
ロールを追加します。以下に例を示します。- name: CephMon ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CephMon - OS::TripleO::Services::Kernel - OS::TripleO::Services::Ntp - OS::TripleO::Services::Timezone - OS::TripleO::Services::Snmp - OS::TripleO::Services::Sshd - OS::TripleO::Services::TripleoPackages - OS::TripleO::Services::TripleoFirewall - OS::TripleO::Services::SensuClient - OS::TripleO::Services::FluentdClient - OS::TripleO::Services::AuditD - OS::TripleO::Services::Collectd
openstack flavor create
コマンドを使用して、このロール用にceph-mon
という名前の新規フレーバーを定義します。$ openstack flavor create --id auto --ram 6144 --disk 40 --vcpus 4 ceph-mon
注記このコマンドについての詳しい情報を確認するには、
openstack flavor create --help
を実行してください。このフレーバーを新規プロファイルにマッピングします。このプロファイルも
ceph-mon
という名前です。$ openstack flavor set --property "cpu_arch"="x86_64" --property "capabilities:boot_option"="local" --property "capabilities:profile"="ceph-mon" ceph-mon
注記このコマンドについての詳しい情報は、
openstack flavor set --help
で確認してください。
これで、ノードを ceph-mon
プロファイルにタグ付けできるようになりました。そのためには、以下のコマンドを実行します。
$ ironic node-update UUID add properties/capabilities='profile:ceph-mon,boot_option:local'
ノードのタグ付けに関する詳しい情報は、「ノードの手動でのタグ付け」を参照してください。また、カスタムロールプロファイルの関連情報は、「プロファイルへのノードのタグ付け」も参照してください。
2.4.2. Ceph MDS サービス向けのカスタムロールとフレーバーの作成
本項では、Ceph MDS ロール向けにカスタムロール (名前: CephMDS
) およびフレーバー (名前: ceph-mds
) を作成する方法について説明します。director が全デフォルトロール (「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」に記載) の参照用に使用するファイルはすでにコピー済みのはずです。
-
/home/stack/templates/roles_data_custom.yaml
ファイルを開きます。 Ceph MDS サービス (OS::TripleO::Services::CephMds) をコントローラーノードの下から削除します。
[...] - name: Controller # the 'primary' role goes first CountDefault: 1 ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::CACerts # - OS::TripleO::Services::CephMds // 1 - OS::TripleO::Services::CephMon - OS::TripleO::Services::CephExternal - OS::TripleO::Services::CephRbdMirror - OS::TripleO::Services::CephRgw - OS::TripleO::Services::CinderApi [...]
- 1
- この行をコメントアウトします。次のステップでは、これと同じサービスがカスタムロールに追加されます。
roles_data_custom.yaml
の末尾に、Ceph MDS サービスおよびその他すべての必要なノードサービスを含むカスタムのCephMDS
ロールを追加します。以下に例を示します。- name: CephMDS ServicesDefault: - OS::TripleO::Services::CACerts - OS::TripleO::Services::CephMds - OS::TripleO::Services::CephClient // 1 - OS::TripleO::Services::Kernel - OS::TripleO::Services::Ntp - OS::TripleO::Services::Timezone - OS::TripleO::Services::Snmp - OS::TripleO::Services::Sshd - OS::TripleO::Services::TripleoPackages - OS::TripleO::Services::TripleoFirewall - OS::TripleO::Services::SensuClient - OS::TripleO::Services::FluentdClient - OS::TripleO::Services::AuditD - OS::TripleO::Services::Collectd
- 1
- Ceph MDS サービスには、Ceph MON サービスまたは Ceph Client サービスによって設定することのできる管理キーリングが必要です。専用ノードに (Ceph MON サービスなしで) Ceph MDS をデプロイするため、ロールには Ceph クライアントサービスも追加してください。
openstack flavor create
コマンドを使用して、このロール用にceph-mds
という名前の新規フレーバーを定義します。$ openstack flavor create --id auto --ram 6144 --disk 40 --vcpus 4 ceph-mds
注記このコマンドについての詳しい情報を確認するには、
openstack flavor create --help
を実行してください。このフレーバーを新規プロファイルにマッピングします。このプロファイルも、
ceph-mds
という名前です。$ openstack flavor set --property "cpu_arch"="x86_64" --property "capabilities:boot_option"="local" --property "capabilities:profile"="ceph-mds" ceph-mds
注記このコマンドについての詳しい情報は、
openstack flavor set --help
で確認してください。
これで、ノードを ceph-mds
プロファイルにタグ付けできるようになりました。そのためには、以下のコマンドを実行します。
$ ironic node-update UUID add properties/capabilities='profile:ceph-mds,boot_option:local'
ノードのタグ付けに関する詳しい情報は、「ノードの手動でのタグ付け」を参照してください。また、カスタムロールプロファイルの関連情報は、「プロファイルへのノードのタグ付け」も参照してください。
2.5. Ceph Storage ノードのルートディスクの定義
大半の Ceph Storage ノードは、複数のディスクを使用します。このため、director は、Ceph Storage ノードのプロビジョニング時にルートディスクを特定する必要があります。以下のプロパティーを使用すると、ルートディスクの特定に役立ちます。
-
model
(文字列): デバイスの ID -
vendor
(文字列): デバイスのベンダー -
serial
(文字列): ディスクのシリアル番号 -
wwn
(文字列): 一意のストレージ ID -
size
(整数):デバイスのサイズ (GB)
以下の例では、ルートデバイスを特定するディスクのシリアル番号を使用して、オーバークラウドイメージをデプロイするドライブを指定します。
最初に、director がイントロスペクションで取得した各ノードのハードウェア情報のコピーを収集します。この情報は、OpenStack Object Storage (swift) サーバーに保管されています。この情報を新規ディレクトリーにダウンロードします。
$ mkdir swift-data $ cd swift-data $ export SWIFT_PASSWORD=`sudo crudini --get /etc/ironic-inspector/inspector.conf swift password` $ for node in $(ironic node-list | grep -v UUID| awk '{print $2}'); do swift -U service:ironic -K $SWIFT_PASSWORD download ironic-inspector inspector_data-$node; done
この例では crudini
パッケージで入手可能な crudini
コマンドを使用します。
この操作により、イントロスペクションで取得した各 inspector_data
オブジェクトからデータがダウンロードされます。全オブジェクトのオブジェクト名の一部には、ノードの UUID が使用されます。
$ ls -1 inspector_data-15fc0edc-eb8d-4c7f-8dc0-a2a25d5e09e3 inspector_data-46b90a4d-769b-4b26-bb93-50eaefcdb3f4 inspector_data-662376ed-faa8-409c-b8ef-212f9754c9c7 inspector_data-6fc70fe4-92ea-457b-9713-eed499eda206 inspector_data-9238a73a-ec8b-4976-9409-3fcff9a8dca3 inspector_data-9cbfe693-8d55-47c2-a9d5-10e059a14e07 inspector_data-ad31b32d-e607-4495-815c-2b55ee04cdb1 inspector_data-d376f613-bc3e-4c4b-ad21-847c4ec850f8
各ノードのディスク情報をチェックします。以下のコマンドを実行すると、各ノードの ID とディスク情報が表示されます。
$ for node in $(ironic node-list | grep -v UUID| awk '{print $2}'); do echo "NODE: $node" ; cat inspector_data-$node | jq '.inventory.disks' ; echo "-----" ; done
たとえば、1 つのノードのデータで 3 つのディスクが表示される場合があります。
NODE: 15fc0edc-eb8d-4c7f-8dc0-a2a25d5e09e3 [ { "size": 299439751168, "rotational": true, "vendor": "DELL", "name": "/dev/sda", "wwn_vendor_extension": "0x1ea4dcc412a9632b", "wwn_with_extension": "0x61866da04f3807001ea4dcc412a9632b", "model": "PERC H330 Mini", "wwn": "0x61866da04f380700", "serial": "61866da04f3807001ea4dcc412a9632b" } { "size": 299439751168, "rotational": true, "vendor": "DELL", "name": "/dev/sdb", "wwn_vendor_extension": "0x1ea4e13c12e36ad6", "wwn_with_extension": "0x61866da04f380d001ea4e13c12e36ad6", "model": "PERC H330 Mini", "wwn": "0x61866da04f380d00", "serial": "61866da04f380d001ea4e13c12e36ad6" } { "size": 299439751168, "rotational": true, "vendor": "DELL", "name": "/dev/sdc", "wwn_vendor_extension": "0x1ea4e31e121cfb45", "wwn_with_extension": "0x61866da04f37fc001ea4e31e121cfb45", "model": "PERC H330 Mini", "wwn": "0x61866da04f37fc00", "serial": "61866da04f37fc001ea4e31e121cfb45" } ] -----
以下の例では、ルートデバイスを、シリアル番号 61866da04f37fc001ea4e31e121cfb45
の disk 2 に設定します。そのためには、ノードの定義に root_device
パラメーターを追加する必要があります。
$ ironic node-update 15fc0edc-eb8d-4c7f-8dc0-a2a25d5e09e3 add properties/root_device='{"serial": "61866da04f37fc001ea4e31e121cfb45"}'
これにより、director がルートディスクとして使用する特定のディスクを識別しやすくなります。オーバークラウドの作成の開始時には、director はこのノードをプロビジョニングして、オーバークラウドのイメージをこのディスクに書き込みます。その他のディスクは、Ceph Storage ノードのマッピングに使用されます。
name
でルートディスクを設定しないでください。この値は、ノードのブート時に変更される可能性があります。
2.6. オーバークラウドでの Ceph Storage の有効化
オーバークラウドのイメージには、コントローラークラスターに Ceph OSD ノードと Ceph Monitor の両方を自動的に設定するための Ceph サービスと必要な Puppet モジュールがすでに含まれています。オーバークラウドの Heat テンプレートコレクションには、Ceph Storage の設定を有効化するために必要な手順も記載されています。ただし、director は Ceph Storage を有効化して、対象の設定を渡すための情報を必要とします。この情報を渡すには、storage-environment.yaml
の環境ファイルを stack ユーザーの templates ディレクトリーにコピーします。
$ cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/storage-environment.yaml ~/templates/.
storage-environment.yaml のコピーで以下のオプションを変更します。
- CinderEnableIscsiBackend
-
iSCSI バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - CinderEnableRbdBackend
-
Ceph Storage バックエンドを有効にするパラメーター。
true
に設定します。 - CinderEnableNfsBackend
-
NFS バックエンドを有効にするパラメーター。
false
に設定します。 - NovaEnableRbdBackend
-
Nova の一時ストレージ用に Ceph Storage を有効にするパラメーター。
true
に設定します。 - GlanceBackend
-
Glance で使用するバックエンドを定義します。イメージに Ceph Storage を使用するには、
rbd
に設定します。
parameter_defaults
セクションには、以下の行を追加して neutron
ネットワーク種別に vxlan
を設定します。
NeutronNetworkType: vxlan
次に resource_registry
の各エントリーを各リソースの絶対パスを参照するように変更します。
resource_registry: OS::TripleO::Services::CephMon: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-mon.yaml OS::TripleO::Services::CephOSD: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-osd.yaml OS::TripleO::Services::CephClient: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-client.yaml
storage-environment.yaml
には、Heat を直接使用して Ceph Storage を設定するためのオプションも含まれています。ただし、director はこれらのノードを作成して、このシナリオでは、自動的に設定値を定義するので、これらのオプションは必要ありません。
2.7. Ceph Storage ノードのディスクレイアウトのマッピング
デフォルトマッピングは、Ceph Storage にルートディスクを使用しますが、実稼動環境の多くは、ストレージやジャーナリング用のパーティションに別個のディスクを複数使用します。このような状況では、以前にコピーした storage-environment.yaml
ファイルの一部として、ストレージマップを定義します。
storage-environment.yaml
ファイルと以下のスニペットを parameter_defaults
に編集します。
ExtraConfig: ceph::profile::params::osds:
このセクションにより、オーバークラウドに Hiera データが追加されます。Puppet は、設定時にこのデータをカスタムのパラメーターとして使用します。ceph::profile::params::osds
パラメーターを使用して、適切なディスクとジャーナルパーティションをマッピングします。たとえば、4 つのディスクがある Ceph ノードでは以下のように割り当てられます。
-
/dev/sda
: オーバークラウドのイメージを含むルートディスク -
/dev/sdb
: ジャーナルのパーティションが含まれディスク。これは通常、システムパフォーマンスの向上に役立つソリッドステートドライブ (SSD) です。 -
/dev/sdc
および/dev/sdd
: OSD のディスク
この例では、以下のような内容が含まれるマッピングとなります。
ceph::profile::params::osds: '/dev/sdc': journal: '/dev/sdb' '/dev/sdd': journal: '/dev/sdb'
ジャーナル用に別のディスクを使用しない場合には、OSD ディスクに併置されているジャーナルを使用します。journal パラメーターには空の値を渡します。
ceph::profile::params::osds: '/dev/sdb': {} '/dev/sdc': {} '/dev/sdd': {}
一部のノードでは、リブート中にディスクパス (例: /dev/sdb
、/dev/sdc
) が全く同じブロックデバイスをポイントしない場合があります。そのような CephStorage ノードがある場合には、/dev/disk/by-path/
のシンボリックリンクで、各ディスクを指定してください。以下に例を示します。
ceph::profile::params::osds: '/dev/disk/by-path/pci-0000:00:17.0-ata-2-part1': journal: '/dev/nvme0n1' '/dev/disk/by-path/pci-0000:00:17.0-ata-2-part2': journal: '/dev/nvme0n1'
これにより、ブロックデバイスのマッピングが全デプロイメントで一貫されます。
異なる種別のディスクを混在させた Ceph ノードをデプロイすることも可能です (例: 同じ物理ホスト上に SSD と SATA ディスクを混在させるなど)。通常の Ceph デプロイメントでは、これは 「Placing Different Pools on Different OSDS」に記載のように、CRUSH マップで設定されます。このようなデプロイメントをマッピングする場合には、storage-environment.yaml
の ExtraConfig
セクションに以下の行を追加します。
ceph::osd_crush_update_on_start: false
次に、オーバークラウドのデプロイ時に Ceph Storage ノードにディスクマッピングが使用されるように ~/templates/storage-environment.yaml
ファイルを保存します。ストレージで必要な設定が開始されるように、デプロイメント内にこのファイルを追加します。
2.8. Ceph Storage ノードのディスクのクリーニング
Ceph Storage OSD およびジャーナルのパーティションには GPT ディスクラベルが必要です。これは、Ceph OSD サービスをインストールする前に Ceph Storage 上の追加のディスクを GPT に変換する必要があることを意味します。この変換を行うには、そのディスクから全メタデータを削除して、director が GPT ラベルを設定できるようにする必要があります。
以下の設定を /usr/share/instack-undercloud/undercloud.conf
に追加すると、director がデフォルトでディスクのメタデータをすべて削除するように設定できます。
clean_nodes=true
このオプションでは、Bare Metal Provisioning サービスが追加のステップを実行してノードをブートし、ノードが available
に設定されると毎回、ディスクの クリーニング を実行します。これにより、初回のイントロスペクションが終了して、各デプロイメントが開始する前に電源サイクルがもう 1 つ追加されます。Bare Metal Provisioning サービスは wipefs --force --all
を使用してクリーニングを実行します。
wipefs --force --all
により、ディスク上の全データおよびメタデータが削除されますが、Secure Erase は実行されません。Secure Erase には、はるかに長く時間がかかります。
2.9. Ceph Object Gateway のデプロイ
Ceph Object Gateway は、Ceph Storage クラスター内のオブジェクトストレージケイパビリティーへのインターフェースを使用してアプリケーションを提供します。Ceph Object Gateway をデプロイすると、デフォルトの Object Storage サービス (swift
) を Ceph に置き換えることができるようになります。詳しい情報は、『Object Gateway Guide for Red Hat Enterprise Linux』を参照してください。
デプロイメントで Ceph Object Gateway を有効にするには、以下のスニペットを環境ファイル (~/templates/storage-environment.yaml
) の resource_registry
に追加します。
OS::TripleO::Services::CephRgw: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-rgw.yaml OS::TripleO::Services::SwiftProxy: OS::Heat::None OS::TripleO::Services::SwiftStorage: OS::Heat::None OS::TripleO::Services::SwiftRingBuilder: OS::Heat::None
このスニペットは、Ceph Object Gateway をデプロイするのに加えて、Object Storage サービス (swift
) を無効化します。
これらのリソースも /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/ceph-radosgw.yaml
にあり、デプロイ中にこの環境ファイルを直接呼び出すことも可能です。本書では、/home/stack/templates/storage-environment.yaml
でリソースを直接定義して、すべてのリソースとパラメーターを単一の環境ファイルで一元管理します (「付録A 環境ファイルのサンプル: Ceph クラスターの作成」に記載)。
Ceph Object Gateway で、デフォルトの Object Storage サービスを簡単に置き換えることができるため、通常 swift
を使用するその他のサービスはすべて、Ceph Object Gateway を代わりに使用して、追加の設定なしでシームレスに起動することができます。たとえば、Block Storage Backup サービス (cinder-backup
) の設定時には、Ceph Object Gateway を使用して swift
をターゲットバックエンドとして設定します (「バックアップサービスで Ceph を使用する設定」を参照)。
2.10. バックアップサービスで Ceph を使用する設定
Block Storage Backup サービス (cinder-backup
) はデフォルトで無効になっています。環境ファイル (~/templates/storage-environment.yaml
) の resource_registry
に以下の行を追加して、このサービスを有効化することができます。
OS::TripleO::Services::CinderBackup: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/pacemaker/cinder-backup.yaml
このリソースも /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/cinder-backup.yaml
で定義され、デプロイ中に直接呼び出すことも可能です。本書では、その代わりに /home/stack/templates/storage-environment.yaml
でリソースを直接定義して、すべてのリソースとパラメーターを単一の環境ファイルで一元管理します (「付録A 環境ファイルのサンプル: Ceph クラスターの作成」に記載)。
次に、cinder-backup
サービスが Ceph にバックアップを保管するように設定します。これには、cinder-backup サービスが Ceph Object Storage を使用するように設定する必要があります (「Ceph Object Gateway のデプロイ」 に記載のように、Ceph Object Gateway をデプロイすることも前提とします)。そのためには、環境ファイルの parameter_defaults
に以下の行を追加します。
CinderBackupBackend: swift
Ceph Object Gateway をデプロイする場合に、Ceph ブロックデバイスをバックアップのターゲットとして使用するには、以下の設定を代わりに使用してください。
CinderBackupBackend: ceph
2.11. Ceph ノードごとに複数のボンディングされたインターフェースを設定する方法
ボンディングされたインターフェース を使用すると、複数の NIC を組み合わせてネットワーク接続に冗長性を追加できます。Ceph ノードに十分な NIC がある場合には、ノードごとに 複数のボンディングされたインターフェース を作成すると、これをさらに一歩進めることができます。
この構成により、ノードが必要とする 各 ネットワーク接続にボンディングされたインターフェースを使用することができるようになり、冗長性と各ネットワークの専用接続の両方が提供されます。
この構成を最も簡単に実装するには、2 つのボンディングを使用して、Ceph ノードが使用する各ストレージネットワークに 1 つずつボンディングを設定します。Ceph ノードが使用するストレージネットワークは以下のとおりです。
- フロントエンドストレージネットワーク (
StorageNet
) - Ceph クライアントは、このネットワークを使用して Ceph クラスターと対話します。
- バックエンドストレージネットワーク (
StorageMgmtNet
) - Ceph クラスターは、このネットワークを使用して、クラスターの placement group ポリシーに従ってデータのバランスを取ります。詳しい情報は、「Placement Groups (PG)」 (『Red Hat Ceph Architecture Guide』) を参照してください。
director は複数のボンディングされた NIC をデプロイするためのテンプレートのサンプルは提供していないので、この設定を行うには、ネットワークインターフェースのテンプレートをカスタマイズする必要があります。ただし、director は単一のボンディングされたインターフェースをデプロイするテンプレート (/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
) を提供しているので、このテンプレートで追加の NIC 用のボンディングされたインターフェースを定義して追加することができます。
詳しい手順については、「カスタムのインターフェーステンプレートの作成」 (『オーバークラウドの高度なカスタマイズ』ガイド) を参照してください。この項では、ブリッジの異なる構成要素とボンディングの定義についても説明しています。
以下のスニペットには、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
で定義されている単一のボンディングされたインターフェース用のデフォルトの定義が記載されています。
type: ovs_bridge // 1 name: br-bond members: - type: ovs_bond // 2 name: bond1 // 3 ovs_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} 4 members: // 5 - type: interface name: nic2 primary: true - type: interface name: nic3 - type: vlan // 6 device: bond1 // 7 vlan_id: {get_param: StorageNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageIpSubnet} - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageMgmtNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageMgmtIpSubnet}
- 1
br-bond
という名前の単一のブリッジは、このテンプレートで定義されているボンディングをメンバーとします。この行は、ブリッジの種別 (OVS) を定義しています。- 2
br-bond
ブリッジの最初のメンバーは、ボンディングされたインターフェース自体で、bond1
という名前が付いています。この行は、bond1
のボンディングの種別を定義しており、これも OVS に指定されています。- 3
- デフォルトのボンディングは、この行で定義されているように
bond1
という名前です。 - 4
ovs_options
のエントリーは、director が特定の ボンディングモジュールディレクティブ のセットを使用するように指示します。これらのディレクティブは、BondInterfaceOvsOptions
に渡されます。これも同じファイルで設定できます。設定方法についての説明は、「ボンディングモジュールのディレクティブの設定」を参照してください。- 5
- ボンディングの
members
セクションは、bond1
でボンディングされるネットワークインターフェースを定義します。この場合は、ボンディングされるインターフェースはnic2
(プライマリーインターフェースとして設定) とnic3
を使用します。 - 6
br-bond
ブリッジには、他にも 2 つのメンバーが含まれています。これは、フロントエンドストレージネットワーク (StorageNetwork
) とバックエンドストレージネットワーク (StorageMgmtNetwork
) の両方の VLAN です。- 7
device
パラメーターは、VLAN が使用する必要のあるデバイスを定義します。この場合は、両方の VLAN がボンディングされたインターフェースbond1
を使用します。
NIC を少なくとも 2 つ追加すると、ブリッジとボンディングされたインターフェースをもう 1 つ定義できます。これで、VLAN の 1 つを新しいボンディングされたインターフェースに移動できるようになります。これにより、スループットが高くなり、両ストレージネットワーク接続の信頼性が向上します。
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
をこの目的でカスタマイズする場合には、デフォルトの OVS (type: ovs_bond
) の代わりに Linux ボンディング (type: linux_bond
) を使用することも推奨します。このボンディングの種別は、エンタープライズレベルの実稼働デプロイメントにより適しています。
以下の編集済みスニペットは、bond2
という名前の新しい Linux ボンディングをメンバーとする追加の OVS ブリッジ (br-bond2
) を定義します。bond2
インターフェースは、2 つの追加の NIC (nic4
と nic5
) を使用し、バックエンドストレージネットワークトラフィック専用に使用されます。
type: ovs_bridge name: br-bond members: - type: linux_bond name: bond1 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} // 1 members: - type: interface name: nic2 primary: true - type: interface name: nic3 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageIpSubnet} - type: ovs_bridge name: br-bond2 members: - type: linux_bond name: bond2 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} members: - type: interface name: nic4 primary: true - type: interface name: nic5 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageMgmtNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageMgmtIpSubnet}
- 1
bond1
およびbond2
は両方とも (OVS ではなく) Linux ボンディングで、ovs_options
の代わりにbonding_options
を使用してボンディングディレクティブを設定します。関連情報については、「ボンディングモジュールのディレクティブの設定」を参照してください。
このカスタマイズされたテンプレートの完全な内容は、「付録B カスタムインターフェーステンプレートの例: 複数のボンディングされたインターフェース」を参照してください。
2.11.1. ボンディングモジュールのディレクティブの設定
ボンディングされたインターフェースの追加/設定が完了した後には、BondInterfaceOvsOptions
パラメーターを使用して各インタフェースが使用すべきディレクティブを指定します。このパラメーターは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
の parameters:
セクションにあります。以下のスニペットには、このパラメーターのデフォルトの定義 (空欄) を示しています。
BondInterfaceOvsOptions: default: '' description: The ovs_options string for the bond interface. Set things like lacp=active and/or bond_mode=balance-slb using this option. type: string
default:
の行に必要なオプションを定義します。たとえば、802.3ad (モード 4) と LACP レート 1 (fast) を使用するには、'mode=4 lacp_rate=1'
を以下のように設定します。
BondInterfaceOvsOptions: default: 'mode=4 lacp_rate=1' description: The bonding_options string for the bond interface. Set things like lacp=active and/or bond_mode=balance-slb using this option. type: string
サポートされているボンディングオプションについては、「付録C Open vSwitch ボンディングのオプション」 (『オーバークラウドの高度なカスタマイズ』ガイド) を参照してください。カスタマイズした /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
テンプレートの完全な内容は、「付録B カスタムインターフェーステンプレートの例: 複数のボンディングされたインターフェース」を参照してください。
2.12. Ceph Storage Cluster のカスタマイズ
ExtraConfig
フックを使用して Ceph Storage ノードのデフォルト設定パラメーターを上書きして、Puppet 設定を渡すようにデータを定義できます。このデータを渡す方法は 2 種類存在します。
方法 1: Puppet のデフォルト設定の変更
オーバークラウドの設定時に ceph
Puppet モジュールに渡すパラメーターをカスタマイズします。これらのパラメーターは、/etc/puppet/modules/ceph/manifests/profile/params.conf
で定義される ceph::profile::params
Puppet クラスに含まれます。たとえば、以下の環境ファイルのスニペットは、ceph::profile::params
クラスからのデフォルトの osd_journal_size
パラメーターをカスタマイズし、デフォルト設定を上書きします。
parameter_defaults: ExtraConfig: ceph::profile::params::osd_journal_size: 2048
この内容を環境ファイル (例: ceph-settings.yaml
) に追加して、「オーバークラウドの作成」で openstack overcloud deploy
コマンドを実行する際に追加します。以下に例を示します。
$ openstack overcloud deploy --templates -e /home/stack/templates/storage-environment.yaml -e /home/stack/templates/ceph-settings.yaml
方法 2: 任意の設定デフォルト
方法 1 で、設定の必要な固有のパラメーターが追加されない場合には、ceph::conf::args
Puppet クラスを使用して、任意の Ceph Storage パラメーターを渡すことができます。このクラスでは、stanza/key
形式とパラメーターの値を定義する value
を使用してパラメーターの名前を受け入れます。これらの設定値で、各ノード上の ceph.conf
ファイルが設定されます。たとえば、ceph.conf
の global
セクションにある max_open_files
パラメーターを変更するには、環境ファイルで以下の構造を使用します。
parameter_defaults: ExtraConfig: ceph::conf::args: global/max_open_files: value: 131072
この内容を環境ファイル (例: ceph-settings.yaml
) に追加して、「オーバークラウドの作成」で openstack overcloud deploy
コマンドを実行する際に追加します。以下に例を示します。
$ openstack overcloud deploy --templates -e /home/stack/templates/storage-environment.yaml -e /home/stack/templates/ceph-settings.yaml
この ceph.conf
ファイルには最終的に、以下のパラメーターが自動的に入力されるはずです。
[global] max_open_files = 131072
2.12.1. 異なる Ceph プールへのカスタムの属性の割り当て
デフォルトでは、director で作成した Ceph プールには、同じ配置グループ (pg_num
および pgp_num
) とサイズが設定されます。「Ceph Storage Cluster のカスタマイズ」に記載のいずれかの方法を使用して、これらの設定をグローバルで上書きして、全プールに同じ値を適用することが可能です。
各 Ceph プールに異なる属性を適用することもできます。そのためには、CephPools
を以下のように使用します。
parameter_defaults:
ExtraConfig:
CephPools:
POOL:
size: 5
pg_num: 128
pgp_num: 128
POOL は設定するプールの名前に置き換えて、その後に size
、pg_num
、pgp_num
の設定を指定します。
一般的な Ceph ユースケースの標準的なプール設定は、「Ceph Placement Groups (PGs) per Pool Calculator」 を参照してください。この計算ツールは、通常、Ceph プールを手動で設定するためのコマンドの生成に使用されます。このデプロイメントでは、仕様に基づいて director がプールを設定します。
2.13. ロールへのノードとフレーバーの割り当て
オーバークラウドのデプロイメントプランニングでは、各ロールに割り当てるノード数とフレーバーを指定する必要があります。すべての Heat テンプレートのパラメーターと同様に、これらのロールの仕様は環境ファイル (この場合は ~/templates/storage-environment.yaml
) の parameter_defaults
セクションで宣言する必要があります。
この設定には、以下のパラメーターを使用します。
表2.1 オーバークラウドノードのロールとフレーバー
Heat テンプレートのパラメーター | 説明 |
---|---|
ControllerCount |
スケールアウトするコントローラーノード数 |
OvercloudControlFlavor |
コントローラーノード ( |
ComputeCount |
スケールアウトするコンピュートノード数 |
OvercloudComputeFlavor |
コンピュートノード ( |
CephStorageCount |
スケールアウトする Ceph Storage (OSD) ノード数 |
OvercloudCephStorageFlavor |
Ceph Storage (OSD) ノード ( |
CephMonCount |
スケールアウトする専用の Ceph MON ノード数 |
CephMdsCount |
スケールアウトする専用の Ceph MDS ノード数 |
OvercloudCephMonFlavor |
専用の Ceph MON ノード ( |
OvercloudCephMdsFlavor |
専用の Ceph MDS ノード ( |
CephMonCount
、CephMdsCount
、 OvercloudCephMonFlavor
、OvercloudCephMdsFlavor
のパラメーターは (ceph-mon
および ceph-mds
フレーバーと共に)、「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」に記載のように、カスタムの CephMON
および CephMds
ロールを作成した場合にのみ有効となります。
たとえば、オーバークラウドが各ロール (Controller、Compute、Ceph-Storage、CephMon) に 3 つずつノードをデプロイするように設定するには、parameter_defaults
に以下の設定を追加します。
parameter_defaults: ControllerCount: 3 OvercloudControlFlavor: control ComputeCount: 3 OvercloudComputeFlavor: compute CephStorageCount: 3 OvercloudCephStorageFlavor: ceph-storage CephMonCount: 3 OvercloudCephMonFlavor: ceph-mon CephMdsCount: 3 OvercloudCephMdsFlavor: ceph-mds
Heat テンプレートのパラメーターのより詳細な一覧は、『director のインストールと使用方法』の「CLI ツールでのオーバークラウドの作成」を参照してください。
2.14. オーバークラウドの作成
オーバークラウドの作成には、openstack overcloud deploy
コマンドに追加の引数を指定する必要があります。以下に例を示します。
$ openstack overcloud deploy --templates -r /home/stack/templates/roles_data_custom.yaml -e /home/stack/templates/storage-environment.yaml --ntp-server pool.ntp.org
上記のコマンドは、以下のオプションを使用します。
-
--templates
: デフォルトの Heat テンプレートコレクション (/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/
) からオーバークラウドを作成します。 -
-r /home/stack/templates/roles_data_custom.yaml
: 「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」でカスタマイズしたロールの定義を指定し、カスタムロールを Ceph MON サービスまたは Ceph MDS サービスに追加します。これらのロールにより、いずれかのサービスを専用のノードにインストールすることができます。 -
-e /home/stack/templates/storage-environment.yaml
: 別の環境ファイルをオーバークラウドデプロイメントに追加します。この場合は、Ceph Storage の設定を含むストレージ環境ファイルです。 -
--ntp-server pool.ntp.org
: NTP サーバーを設定します。
/home/stack/templates/storage-environment.yaml
で使用する全設定の概要については、「付録A 環境ファイルのサンプル: Ceph クラスターの作成」を参照してください。
オプションの完全な一覧を表示するには、以下を実行します。
$ openstack help overcloud deploy
詳しい情報は、「director のインストールと使用方法」ガイドの「オーバークラウドのパラメーター設定」を参照してください。
オーバークラウドの作成プロセスが開始され、director によりノードがプロビジョニングされます。このプロセスは完了するまで多少時間がかかります。オーバークラウドの作成のステータスを確認するには、stack
ユーザーとして別のターミナルを開き、以下を実行します。
$ source ~/stackrc $ heat stack-list --show-nested
2.15. オーバークラウドへのアクセス
director は、director ホストがオーバークラウドと対話するための設定と認証を行うスクリプトを生成します。このファイル (overcloudrc
) は、stack
ユーザーのホームディレクトリーに保存されます。このファイルを使用するには、以下のコマンドを実行します。
$ source ~/overcloudrc
これにより、director ホストの CLI からオーバークラウドと対話するために必要な環境変数が読み込まれます。director ホストとの対話に戻るには、以下のコマンドを実行します。
$ source ~/stackrc
2.16. Ceph Storage ノードの監視
オーバークラウドの作成が完了したら、正しく機能していることを確認するため、Ceph Storage Cluster のステータスをチェックすることを推奨します。これには、heat-admin
ユーザーとしてコントローラーノードにログインします。
$ nova list $ ssh heat-admin@192.168.0.25
クラスターの正常性を確認します。
$ sudo ceph health
クラスターに問題がない場合は、上記のコマンドにより、 HEALTH_OK
というレポートが返されます。これは、クラスターを安全に使用できることを意味します。
Ceph モニタークォーラムのステータスを確認します。
$ sudo ceph quorum_status
これにより、クォーラムに参加するモニターとどれがリーダーであるかが表示されます。
全 Ceph OSD が実行中であるかどうかを確認します。
$ ceph osd stat
Ceph Storage Cluster の監視に関する詳しい情報は、『Red Hat Ceph Storage Administration Guide』の「Monitoring」を参照してください。
2.17. 環境のリブート
環境を再起動する必要がある状況が発生する場合があります。たとえば、物理サーバーを変更する必要がある場合や、停電から復旧する必要がある場合などです。このような状況では、Ceph Storage ノードが正しく起動されることが重要です。
以下の順序でノードを起動してください。
- 全 Ceph Monitor ノードを最初にブートします。これにより、高可用性クラスター内の Ceph Monitor サービスを確実にアクティブにします。デフォルトでは、Ceph Monitor サービスはコントローラーノードにインストールされます。Ceph Monitor がカスタムロールで Controller とは別の場合には、このカスタムの Ceph Monitor ロールを必ずアクティブにしてください。
- Ceph Storage ノードすべてを起動します。これにより、Ceph OSD クラスターはコントローラーノード上のアクティブな Ceph Monitor クラスターに接続できるようになります。
以下の手順に従って Ceph Storage ノードをリブートします。
Ceph MON またはコントローラーノードにログインして、Ceph Storage クラスターのリバランスを一時的に無効にします。
$ sudo ceph osd set noout $ sudo ceph osd set norebalance
- 再起動する最初の Ceph Storage ノードを選択して、ログインします。
ノードを再起動します。
$ sudo reboot
- ノードが起動するまで待ちます。
ノードにログインして、クラスターのステータスを確認します。
$ sudo ceph -s
pgmap
により、すべてのpgs
が正常な状態 (active+clean
) として報告されることを確認します。- ノードからログアウトして、次のノードを再起動し、ステータスを確認します。全 Ceph Storage ノードが再起動されるまで、このプロセスを繰り返します。
完了したら、Ceph MON またはコントローラーノードにログインして、クラスターのリバランスを再度有効にします。
$ sudo ceph osd unset noout $ sudo ceph osd unset norebalance
最終のステータスチェックを実行して、クラスターが
HEALTH_OK
を報告していることを確認します。$ sudo ceph status
オーバークラウドすべてが同時に起動する状況が発生した場合には、Ceph OSD サービスが Ceph Storage ノード上で正しく起動されない場合があります。そのような場合には、Ceph Storage OSD を再起動して、Ceph Monitor サービスに接続できるようにします。各 Ceph Storage ノードで以下のコマンドを実行します。
$ sudo systemctl restart 'ceph*'
以下のコマンドを使用して、Ceph Storage ノードクラスターの HEALTH_OK
のステータスを検証します。
$ sudo ceph status
2.18. Ceph クラスターのスケールアップ
必要な Ceph Storage ノードの数でデプロイメントを再度実行して、オーバークラウド内の Ceph Storage ノードの数をスケールアップすることができます。
この操作を実行する前に、更新するデプロイメント用に十分なノードがあることを確認してください。これらのノードは、director に登録済みで、適宜にタグ付けされている必要があります。
新規 Ceph Storage ノードの登録
新しい Ceph Storage ノードを director に登録するには、以下のステップを実行します。
director ホストに
stack
ユーザーとしてログインし、director の設定を初期化します。$ source ~/stackrc
-
新規ノードの定義テンプレート (例:
instackenv-scale.json
) で、新しいノードのハードウェアと電源管理の詳細を定義します。 このファイルを OpenStack director にインポートします。
$ openstack baremetal import --json ~/instackenv-scale.json
ノードの定義テンプレートをインポートすると、そのテンプレートで定義されている各ノードが director に登録されます。
カーネルと ramdisk イメージを全ノードに割り当てます。
$ openstack baremetal configure boot
新規ノードの登録に関する詳しい情報は、「ノードの登録」を参照してください。
新規ノードの手動でのタグ付け
各ノードを登録した後には、ハードウェアを検査して、ノードを特定のプロファイルにタグ付けする必要があります。プロファイルタグにより、ノードがフレーバーに照合され、そのフレーバーはデプロイメントロールに割り当てられます。
新規ノードを検査してタグ付けするには、以下のステップに従います。
ハードウェアのイントロスペクションをトリガーして、各ノードのハードウェア属性を取得します。
$ openstack baremetal introspection bulk start
重要このプロセスが最後まで実行されて正常に終了したことを確認してください。ベアメタルの場合には、通常 15 分ほどかかります。
ノード一覧を取得して UUID を識別します。
$ ironic node-list
各ノードの
properties/capabilities
パラメーターに profile オプションを追加して、ノードを特定のプロファイルに手動でタグ付けします。たとえば、以下のコマンドは、3 つの追加のノードを
ceph-storage
プロファイルでタグ付けします。$ ironic node-update 551d81f5-4df2-4e0f-93da-6c5de0b868f7 add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local' $ ironic node-update 5e735154-bd6b-42dd-9cc2-b6195c4196d7 add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local' $ ironic node-update 1a2b090c-299d-4c20-a25d-57dd21a7085b add properties/capabilities='profile:ceph-storage,boot_option:local'
タグ付け/登録したノードが複数のディスクを使用している場合には、director が各ノードで特定のルートディスクを使用するように設定できます。その手順は、「Ceph Storage ノードのルートディスクの定義」 を参照してください。
Ceph Storage ノードを追加したオーバークラウドの再デプロイ
新規ノードの登録とタグ付けが済んだ後には、オーバークラウドを再デプロイして Ceph Storage ノードの数をスケールアップすることができます。この操作を行う際には、環境ファイル (この場合は ~/templates/storage-environment.yaml
) の parameter_defaults
にある CephStoragveCount
パラメーターを設定します。「ロールへのノードとフレーバーの割り当て」では、オーバークラウドは 3 つの Ceph Storage ノードでデプロイするように設定されています。これを 6 ノードにスケールアップするには、以下の設定を使用します。
parameter_defaults:
ControllerCount: 3
OvercloudControlFlavor: control
ComputeCount: 3
OvercloudComputeFlavor: compute
CephStorageCount: 6
OvercloudCephStorageFlavor: ceph-storage
CephMonCount: 3
OvercloudCephMonFlavor: ceph-mon
この設定で再デプロイすると、オーバークラウドの Ceph Storage ノードは 3 つではなく 6 つとなるはずです。
2.19. Ceph Storage ノードのスケールダウンと置き換え
Ceph クラスターをスケールダウンしたり、Ceph Storage ノードを置き換える (例: Ceph Storage ノードに問題がある場合など) 必要がある場合があります。いずれの状況でもオーバークラウドから削除する Ceph Storage ノードは無効化し、リバランスして、データの損失が発生しないようにする必要があります。以下の手順では、Ceph Storage ノードを置き換えるステップを説明します。
以下の手順では、『Red Hat Ceph Storage Administration Guide』からの手順を使用して、手動で Ceph Storage ノードを削除します。Ceph Storage ノードの手動での削除に関する詳しい情報は、『Red Hat Ceph Storage Administration Guide』の「Removing OSDs (Manual)」を参照してください。
heat-admin
ユーザーとして、コントローラーノードまたは Ceph Storage ノードにログインします。director の stack
ユーザーには、heat-admin
ユーザーにアクセスするための SSH キーがあります。
OSD ツリーを一覧表示して、ノードの OSD を検索します。たとえば、削除するノードには、以下の OSD が含まれる場合があります。
-2 0.09998 host overcloud-cephstorage-0 0 0.04999 osd.0 up 1.00000 1.00000 1 0.04999 osd.1 up 1.00000 1.00000
Ceph Storage ノードの OSD を無効化します。今回は、OSD ID は 0 と 1 です。
[heat-admin@overcloud-controller-0 ~]$ sudo ceph osd out 0 [heat-admin@overcloud-controller-0 ~]$ sudo ceph osd out 1
Ceph Storage Cluster がリバランスを開始します。このプロセスが完了するまで待機してください。以下のコマンドを使用して、ステータスを確認できます。
[heat-admin@overcloud-controller-0 ~]$ sudo ceph -w
Ceph クラスターのリバランスが完了したら、削除する Ceph Storage ノード (この場合は overcloud-cephstorage-0
) に heat-admin
ユーザーとしてログインし、ノードを停止します。
[heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo systemctl disable ceph-osd@0 [heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo systemctl disable ceph-osd@1
overcloud-cephstorage-0
にログインした状態で、CRUSH マップから削除して、データを受信しないようにします。
[heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph osd crush remove osd.0 [heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph osd crush remove osd.1
OSD 認証キーを削除します。
[heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph auth del osd.0 [heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph auth del osd.1
クラスターから OSD を削除します。
[heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph osd rm 0 [heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ sudo ceph osd rm 1
ノードからログアウトして、stack
ユーザーとして director ホストに戻ります。
[heat-admin@overcloud-cephstorage-0 ~]$ exit [stack@director ~]$
director が再度プロビジョニングしないように、Ceph Storage ノードを無効にします。
[stack@director ~]$ ironic node-list
[stack@director ~]$ ironic node-set-maintenance UUID true
Ceph Storage ノードを削除するには、ローカルのテンプレートファイルを使用して overcloud
スタックへの更新が必要です。最初に、オーバークラウドスタックの UUID を特定します。
$ heat stack-list
削除する Ceph Storage ノードの UUID を特定します。
$ nova list
以下のコマンドを実行してスタックからノードを削除し、それに応じてプランを更新します。
$ openstack overcloud node delete --stack STACK_UUID --templates -e ENVIRONMENT_FILE NODE_UUID
オーバークラウドの作成時に追加の環境ファイルを渡した場合には、予定外の変更がオーバークラウドに加えられないように、ここで -e オプションを使用して環境ファイルを再度渡します。詳しい情報は、『director のインストールと使用方法』の「オーバークラウド環境の変更」を参照してください。
stack が更新を完了するまで待機します。heat stack-list --show-nested
コマンドを使用して、stack の更新を監視します。
新規ノードを director のノードプールに追加して、Ceph Storage ノードとしてデプロイします。環境ファイル (この場合は ~/templates/storage-environment.yaml
) の parameter_defaults
セクションの CephStorageCount
パラメーターを使用して、オーバークラウド内の Ceph Storage ノードの合計数を定義します。以下に例を示します。
parameter_defaults:
ControllerCount: 3
OvercloudControlFlavor: control
ComputeCount: 3
OvercloudComputeFlavor: compute
CephStorageCount: 3
OvercloudCephStorageFlavor: ceph-storage
CephMonCount: 3
OvercloudCephMonFlavor: ceph-mon
ロールごとにノード数を定義する方法については、「ロールへのノードとフレーバーの割り当て」を参照してください。
環境ファイルを更新したら、通常通りにオーバークラウドを再デプロイします。
$ openstack overcloud deploy --templates -e ENVIRONMENT_FILES
director は、新しいノードをプロビジョニングして、新しいノードの詳細を用いて stack 全体を更新します。
heat-admin
ユーザーとしてコントローラーノードにログインして、Ceph Storage ノードのステータスを確認します。以下に例を示します。
[heat-admin@overcloud-controller-0 ~]$ sudo ceph status
osdmap
セクションの値が、クラスターで必要なノード数と一致していることを確認します。削除した Ceph Storage ノードは新規ノードに置き換えられました。
2.20. Ceph Storage ノードへの OSD ディスクの追加と削除
OSD ディスクで問題が発生して置き換えが必要な場合には、 『Red Hat Ceph Storage Administration Guide』に記載の通常の手順を使用してください。
第3章 既存の Ceph Storage Cluster のオーバークラウドとの統合
本章では、オーバークラウドを作成して、既存の Ceph Storage Cluster と統合する方法について説明します。オーバークラウドの作成方法と既存の Ceph Storage Cluster との統合方法に関する説明はいずれも、「2章Ceph Storage ノードでのオーバークラウドの作成」を参照してください。
本章のシナリオでは、オーバークラウドは 6 台のノードで構成されます。
- 高可用性のコントローラーノード 3 台
- コンピュートノード 3 台
director は、独自のノードで構成される独立した Ceph Storage Cluster をオーバークラウドに統合します。このクラスターは、オーバークラウドとは別々に管理されます。たとえば、Ceph Storage Cluster は、OpenStack Platform director ではなく Ceph 管理ツールを使用してスケーリングします。詳しくは、Red Hat Ceph のドキュメントを参照してください。
すべての OpenStack マシンは、電源管理に IPMI を使用したベアメタルマシンです。director により Red Hat Enterprise Linux 7 のイメージが各ノードにコピーされるため、これらのノードではオペレーティングシステムは必要ありません。
director は、イントロスペクションおよびプロビジョニングプロセス中に、プロビジョニングネットワークを使用してコントローラーノードとコンピュートノードと通信します。すべてのノードは、ネイティブの VLAN 経由でネットワークに接続します。この例では、以下の IP アドレスの割り当てで、プロビジョニングサブネットとして 192.0.2.0/24 を使用します。
ノード名 | IP アドレス | MAC アドレス | IPMI IP アドレス | |
---|---|---|---|---|
director |
192.0.2.1 |
aa:aa:aa:aa:aa:aa | ||
コントローラー 1 |
定義済みの DHCP |
b1:b1:b1:b1:b1:b1 |
192.0.2.205 | |
コントローラー 2 |
定義済みの DHCP |
b2:b2:b2:b2:b2:b2 |
192.0.2.206 | |
コントローラー 3 |
定義済みの DHCP |
b3:b3:b3:b3:b3:b3 |
192.0.2.207 | |
コンピュート 1 |
定義済みの DHCP |
c1:c1:c1:c1:c1:c1 |
192.0.2.208 | |
コンピュート 2 |
定義済みの DHCP |
c2:c2:c2:c2:c2:c2 |
192.0.2.209 | |
コンピュート 3 |
定義済みの DHCP |
c3:c3:c3:c3:c3:c3 |
192.0.2.210 |
3.1. 既存の Ceph Storage Cluster の設定
お使いの環境に適した Ceph クラスターに以下のプールを作成します。
-
volumes
: OpenStack Block Storage (cinder) のストレージ -
images
: OpenStack Image Storage (glance) のストレージ -
vms
: インスタンスのストレージ -
backups
: OpenStack Block Storage Backup (cinder-backup) のストレージ metrics
: OpenStack Telemetry Metrics (gnocchi) のストレージ以下のコマンドは指標として使用してください。
[root@ceph ~]# ceph osd pool create volumes PGNUM [root@ceph ~]# ceph osd pool create images PGNUM [root@ceph ~]# ceph osd pool create vms PGNUM [root@ceph ~]# ceph osd pool create backups PGNUM [root@ceph ~]# ceph osd pool create metrics PGNUM
PGNUM は 配置グループ の数に置き換えます。1 OSD につき 100 程度を推奨します。たとえば、OSD の合計数を 100 で乗算して、レプリカ数で除算します (
osd pool default size
)。適切な値を判断するには Ceph Placement Groups (PGs) per Pool Calculator を使用することを推奨します。
-
Ceph クラスターに、以下のケーパビリティーを指定して
client.openstack
ユーザーを作成します。-
cap_mon:
allow r
cap_osd:
allow class-read object_prefix rbd_children, allow rwx pool=volumes, allow rwx pool=vms, allow rwx pool=images, allow rwx pool=backups, allow rwx pool=metrics
以下のコマンドは指標として使用してください。
[root@ceph ~]# ceph auth add client.openstack mon 'allow r' osd 'allow class-read object_prefix rbd_children, allow rwx pool=volumes, allow rwx pool=vms, allow rwx pool=images, allow rwx pool=backups, allow rwx pool=metrics'
-
cap_mon:
次に、
client.openstack
ユーザー向けに作成された Ceph client key をメモします。[root@ceph ~]# ceph auth list ... client.openstack key: AQDLOh1VgEp6FRAAFzT7Zw+Y9V6JJExQAsRnRQ== caps: [mon] allow r caps: [osd] allow class-read object_prefix rbd_children, allow rwx pool=volumes, allow rwx pool=vms, allow rwx pool=images, allow rwx pool=backups, allow rwx pool=metrics ...
上記の出力の
key
の値 (AQDLOh1VgEp6FRAAFzT7Zw+Y9V6JJExQAsRnRQ==) が Ceph のクライアントキーです。最後に、Ceph Storage Cluster の file system ID をメモします。この値は、クラスターの設定ファイルにある
fsid
の設定で指定されています ([global]
のセクション下)。[global] fsid = 4b5c8c0a-ff60-454b-a1b4-9747aa737d19 ...
注記Ceph Storage Cluster の設定ファイルに関する詳しい情報は、『Red Hat Ceph Storage Configuration Guide』の「Configuration Reference」を参照してください。
Ceph クライアントキーおよびファイルシステム ID はいずれも、後ほど「既存の Ceph Storage クラスターとの統合」で使用します。
3.2. stack ユーザーの初期化
stack
ユーザーとして director ホストにログインし、以下のコマンドを実行して director の設定を初期化します。
$ source ~/stackrc
このコマンドでは、director の CLI ツールにアクセスする認証情報が含まれる環境変数を設定します。
3.3. ノードの登録
ノード定義のテンプレート (instackenv.json
) は JSON ファイル形式で、ノード登録用のハードウェアおよび電源管理の情報が含まれています。以下に例を示します。
{ "nodes":[ { "mac":[ "bb:bb:bb:bb:bb:bb" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.205" }, { "mac":[ "cc:cc:cc:cc:cc:cc" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.206" }, { "mac":[ "dd:dd:dd:dd:dd:dd" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.207" }, { "mac":[ "ee:ee:ee:ee:ee:ee" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.208" } { "mac":[ "ff:ff:ff:ff:ff:ff" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.209" } { "mac":[ "gg:gg:gg:gg:gg:gg" ], "cpu":"4", "memory":"6144", "disk":"40", "arch":"x86_64", "pm_type":"pxe_ipmitool", "pm_user":"admin", "pm_password":"p@55w0rd!", "pm_addr":"192.0.2.210" } ] }
テンプレートの作成後に、stack ユーザーのホームディレクトリー (/home/stack/instackenv.json
) にファイルを保存してから、director にインポートします。これには、以下のコマンドを実行します。
$ openstack baremetal import --json ~/instackenv.json
このコマンドでテンプレートをインポートして、テンプレートから director に各ノードを登録します。
カーネルと ramdisk イメージを全ノードに割り当てます。
$ openstack baremetal configure boot
director でのノードの登録、設定が完了しました。
3.4. ノードの手動でのタグ付け
各ノードを登録した後には、ハードウェアを検査して、ノードを特定のプロファイルにタグ付けする必要があります。プロファイルタグにより、ノードがフレーバーに照合され、そのフレーバーはデプロイメントロールに割り当てられます。
新規ノードを検査してタグ付けするには、以下のステップに従います。
ハードウェアのイントロスペクションをトリガーして、各ノードのハードウェア属性を取得します。
$ openstack baremetal introspection bulk start
重要このプロセスが最後まで実行されて正常に終了したことを確認してください。ベアメタルの場合には、通常 15 分ほどかかります。
ノード一覧を取得して UUID を識別します。
$ ironic node-list
各ノードの
properties/capabilities
パラメーターに profile オプションを追加して、ノードを特定のプロファイルに手動でタグ付けします。たとえば、3 つのノードが
control
プロファイルを使用し、別の 3 つのノードがcompute
プロファイルを使用するようにするには、以下のコマンドを実行します。$ ironic node-update 1a4e30da-b6dc-499d-ba87-0bd8a3819bc0 add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 6faba1a9-e2d8-4b7c-95a2-c7fbdc12129a add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 5e3b2f50-fcd9-4404-b0a2-59d79924b38e add properties/capabilities='profile:control,boot_option:local' $ ironic node-update 484587b2-b3b3-40d5-925b-a26a2fa3036f add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local' $ ironic node-update d010460b-38f2-4800-9cc4-d69f0d067efe add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local' $ ironic node-update d930e613-3e14-44b9-8240-4f3559801ea6 add properties/capabilities='profile:compute,boot_option:local'
profile
オプションを追加すると、適切なプロファイルにノードをタグ付けします。
手動でのタグ付けの代わりに、Automated Health Check (AHC) ツールを使用し、ベンチマークデータに基づいて、多数のノードに自動でタグ付けします。
3.5. 既存の Ceph Storage クラスターとの統合
stack
ユーザーのホームディレクトリー内のディレクトリーに /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/puppet-ceph-external.yaml
のコピーを作成します。
[stack@director ~]# mkdir templates [stack@director ~]# cp /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/environments/puppet-ceph-external.yaml ~/templates/.
このファイルを編集して、下記のパラメーターを設定します。
-
絶対パスに
CephExternal
のリソース定義を設定します。
OS::TripleO::Services::CephExternal: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-external.yaml
Ceph Storage 環境の情報を使用して、以下の 3 つのパラメーターを設定します。
-
CephClientKey
: Ceph Storage Cluster の Ceph クライアントキー。これは、「既存の Ceph Storage Cluster の設定」で先ほど取得したkey
の値です (例:AQDLOh1VgEp6FRAAFzT7Zw+Y9V6JJExQAsRnRQ==
)。 -
CephExternalMonHost
: Ceph Storage Cluster の全 MON ホストの IP をコンマ区切りにしたリスト -
CephClusterFSID
: Ceph Storage Cluster のファイルシステム ID。これは、「既存の Ceph Storage Cluster の設定」で先ほど取得した Ceph Storage Cluster の設定ファイルにあるfsid
の値です (例:4b5c8c0a-ff60-454b-a1b4-9747aa737d19
)。
-
neutron
ネットワーク種別にvxlan
を設定するには、以下のパラメーターを追加します。-
NeutronNetworkType: vxlan
-
必要な場合は、以下のパラメーターと値を使用して、OpenStack プールとクライアントユーザーの名前を設定します。
-
CephClientUserName: openstack
-
NovaRbdPoolName: vms
-
CinderRbdPoolName: volumes
-
GlanceRbdPoolName: images
-
CinderBackupRbdPoolName: backups
-
GnocchiRbdPoolName: metrics
-
3.6. 以前の Red Hat Ceph Storage バージョンとの後方互換性
Red Hat OpenStack Platform が、以前のバージョン(Red Hat Ceph Storage 1.3) の外部の Ceph Storage Cluster と統合されている場合には、後方互換性を有効にする必要があります。そのためには、最初に環境ファイル (例: /home/stack/templates/ceph-backwards-compatibility.yaml
) を作成して、以下の内容を記載します。
parameter_defaults: ExtraConfig: ceph::conf::args: client/rbd_default_features: value: "1"
「オーバークラウドの作成」に記載のとおりに、オーバークラウドのデプロイメントにこのファイルを追加します。
3.7. ロールへのノードとフレーバーの割り当て
オーバークラウドのデプロイメントプランニングでは、各ロールに割り当てるノード数とフレーバーを指定する必要があります。 すべての Heat テンプレートのパラメーターと同様に、これらのロールの仕様は環境ファイル (この場合は ~/templates/puppet-ceph.yaml
) の parameter_defaults
セクションで宣言する必要があります。
この設定には、以下のパラメーターを使用します。
表3.1 オーバークラウドノードのロールとフレーバー
Heat テンプレートのパラメーター | 説明 |
---|---|
ControllerCount |
スケールアウトするコントローラーノード数 |
OvercloudControlFlavor |
コントローラーノード ( |
ComputeCount |
スケールアウトするコンピュートノード数 |
OvercloudComputeFlavor |
コンピュートノード ( |
たとえば、オーバークラウドが各ロール (Controller および Compute) に 3 つずつノードをデプロイするように設定するには、 parameter_defaults
に以下の設定を追加します。
parameter_defaults: ControllerCount: 3 ComputeCount: 3 OvercloudControlFlavor: control OvercloudComputeFlavor: compute
Heat テンプレートのパラメーターのより詳細な一覧は、『director のインストールと使用方法』の「CLI ツールでのオーバークラウドの作成」を参照してください。
3.8. オーバークラウドの作成
オーバークラウドの作成には、openstack overcloud deploy
コマンドに追加の引数を指定する必要があります。以下に例を示します。
$ openstack overcloud deploy --templates -e -e /home/stack/templates/puppet-ceph-external.yaml --ntp-server pool.ntp.org
上記のコマンドは、以下のオプションを使用します。
-
--templates
: デフォルトの Heat テンプレートコレクション (/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/
) からオーバークラウドを作成します。 -
-e /home/stack/templates/puppet-ceph-external.yaml
: 別の環境ファイルをオーバークラウドデプロイメントに追加します。この場合は、既存の Ceph Storage Cluster の設定を含むストレージ環境ファイルです。 -
--ntp-server pool.ntp.org
: NTP サーバーを設定します。
/home/stack/templates/storage-environment.yaml
で使用する全設定の概要については、「付録A 環境ファイルのサンプル: Ceph クラスターの作成」を参照してください。
オプションの完全な一覧を表示するには、以下を実行します。
$ openstack help overcloud deploy
詳しい情報は、「director のインストールと使用方法」ガイドの「オーバークラウドのパラメーター設定」を参照してください。
オーバークラウドの作成プロセスが開始され、director によりノードがプロビジョニングされます。このプロセスは完了するまで多少時間がかかります。オーバークラウドの作成のステータスを確認するには、stack
ユーザーとして別のターミナルを開き、以下を実行します。
$ source ~/stackrc $ heat stack-list --show-nested
この設定では、オーバークラウドが外部の Ceph Storage Cluster を使用するように設定します。このクラスターは、オーバークラウドから独立して、管理される点に注意してください。たとえば、Ceph Storage Cluster は、OpenStack Platform director ではなく Ceph 管理ツールを使用してスケーリングします。
3.9. オーバークラウドへのアクセス
director は、director ホストがオーバークラウドと対話するための設定と認証を行うスクリプトを生成します。このファイル (overcloudrc
) は、stack
ユーザーのホームディレクトリーに保存されます。このファイルを使用するには、以下のコマンドを実行します。
$ source ~/overcloudrc
これにより、director ホストの CLI からオーバークラウドと対話するために必要な環境変数が読み込まれます。director ホストとの対話に戻るには、以下のコマンドを実行します。
$ source ~/stackrc
第4章 まとめ
これで、Red Hat Ceph Storage を使用したオーバークラウドの作成および設定が完了しました。オーバークラウド作成後の一般的な機能については、『director インストールと使用方法』の「オーバークラウドの作成後のタスク実行」を参照してください。
付録A 環境ファイルのサンプル: Ceph クラスターの作成
以下のカスタム環境ファイルのサンプルは、「2章Ceph Storage ノードでのオーバークラウドの作成」で説明したオプションの多くを使用しています。このサンプルには、コメントアウトされているオプションは含まれません。環境ファイルの概要については、『オーバークラウドの高度なカスタマイズ』ガイドの「環境ファイル」を参照してください。
/home/stack/templates/storage-environment.yaml
resource_registry: // 1 OS::TripleO::Services::CephMon: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-mon.yaml OS::TripleO::Services::CephOSD: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-osd.yaml OS::TripleO::Services::CephClient: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-client.yaml OS::TripleO::Services::CinderBackup: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/pacemaker/cinder-backup.yaml // 2 OS::TripleO::Services::CephRgw: /usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/puppet/services/ceph-rgw.yaml // 3 OS::TripleO::Services::SwiftProxy: OS::Heat::None OS::TripleO::Services::SwiftStorage: OS::Heat::None OS::TripleO::Services::SwiftRingBuilder: OS::Heat::None parameter_defaults: // 4 CinderEnableIscsiBackend: false CinderEnableRbdBackend: true CinderEnableNfsBackend: false NovaEnableRbdBackend: true GlanceBackend: rbd CinderBackupBackend: swift // 5 ExtraConfig: ceph::profile::params::osds: // 6 '/dev/sdc': journal: '/dev/sdb' '/dev/sdd': journal: '/dev/sdb' CephPools: // 7 volumes: size: 5 pg_num: 128 pgp_num: 128 ControllerCount: 3 // 8 OvercloudControlFlavor: control ComputeCount: 3 OvercloudComputeFlavor: compute CephStorageCount: 3 OvercloudCephStorageFlavor: ceph-storage CephMonCount: 3 OvercloudCephMonFlavor: ceph-mon CephMdsCount: 3 OvercloudCephMdsFlavor: ceph-mds NeutronNetworkType: vxlan // 9
- 1
resource_registry
セクションは、Heat テンプレートにリンクするリソースを定義します。最初の 3 つのエントリー (CephMon
、CephOSD
、CephClient
) は、Ceph クラスター (MON、OSD、クライアント) の異なるコンポーネントを定義するのに使用する Heat テンプレートをリンクします。- 2
OS::TripleO::Services::CinderBackup
のエントリーは、Block Storage Backup サービスをデプロイするのに必要な Heat テンプレートを呼び出します。バックアップのターゲットは、後でparameter_defaults
セクションで設定することができます。- 3
OS::TripleO::Services::CephRgw
のエントリーは、Ceph Object Gateway のデプロイに必要な Heat テンプレートを呼び出し、OpenStack で Ceph Object Storage を使用するための手段を提供します。デフォルトの Object Storage サービス (swift
) は必要ないので、以下の 3 行で無効化します。詳しくは、「Ceph Object Gateway のデプロイ」を参照してください。- 4
parameter_defaults
セクションは、全テンプレート内のパラメーターのデフォルト値を変更します。ここに記載のエントリーはすべて「オーバークラウドでの Ceph Storage の有効化」に記載しています。- 5
- Ceph Object Gateway をデプロイするので、Ceph Object Storage をバックアップのターゲットとして使用することができます。このターゲットを設定するには、
CinderBackupBackend
をswift
に設定します。詳しくは、「Ceph Object Gateway のデプロイ」を参照してください。 - 6
- 「Ceph Storage ノードのディスクレイアウトのマッピング」の説明にあるように、
ceph::profile::params::osds::
セクションは、カスタムのディスクレイアウトを定義します。 - 7
CephPools
セクションは、任意の Ceph プールのカスタム属性を設定します。この例では、volumes
プール用にカスタムのsize
、pg_num
、pgp_num
の属性を設定します。詳しくは、「異なる Ceph プールへのカスタムの属性の割り当て」を参照してください。- 8
- 各ロールでは
*Count
パラメーターでノード数を割り当て、Overcloud*Flavor
パラメーターでフレーバーを割り当てます。たとえば、ControllerCount: 3
は 3 つのノードを Controller ロールに割り当て、OvercloudControlFlavor: control
は各ロールがcontrol
フレーバーを使用するように設定します。詳しくは、「ロールへのノードとフレーバーの割り当て」を参照してください。注記CephMonCount
、CephMdsCount
、OvercloudCephMonFlavor
、OvercloudCephMdsFlavor
のパラメーターは (ceph-mon
およびceph-mds
フレーバーと共に)、「専用ノード上でのその他の Ceph サービスのデプロイ」に記載のように、カスタムのCephMON
およびCephMds
ロールを作成した場合にのみ有効となります。 - 9
NeutronNetworkType:
neutron
サービスが使用すべきネットワークの種別 (この場合はvxlan
) を設定します。
付録B カスタムインターフェーステンプレートの例: 複数のボンディングされたインターフェース
以下のテンプレートは、/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml
をカスタマイズしたバージョンです。バックエンドとフロントエンドのネットワークトラフィックを分離するための複数のボンディングインターフェースと、両方の接続用の冗長性の機能が含まれています (「 Ceph ノードごとに複数のボンディングされたインターフェースを設定する方法」で説明)。また、カスタムのボンディングオプションも使用します ('mode=4 lacp_rate=1'
。「ボンディングモジュールのディレクティブの設定」で説明)。
/usr/share/openstack-tripleo-heat-templates/network/config/bond-with-vlans/ceph-storage.yaml (カスタム)
heat_template_version: 2015-04-30 description: > Software Config to drive os-net-config with 2 bonded nics on a bridge with VLANs attached for the ceph storage role. parameters: ControlPlaneIp: default: '' description: IP address/subnet on the ctlplane network type: string ExternalIpSubnet: default: '' description: IP address/subnet on the external network type: string InternalApiIpSubnet: default: '' description: IP address/subnet on the internal API network type: string StorageIpSubnet: default: '' description: IP address/subnet on the storage network type: string StorageMgmtIpSubnet: default: '' description: IP address/subnet on the storage mgmt network type: string TenantIpSubnet: default: '' description: IP address/subnet on the tenant network type: string ManagementIpSubnet: # Only populated when including environments/network-management.yaml default: '' description: IP address/subnet on the management network type: string BondInterfaceOvsOptions: default: 'mode=4 lacp_rate=1' description: The bonding_options string for the bond interface. Set things like lacp=active and/or bond_mode=balance-slb using this option. type: string constraints: - allowed_pattern: "^((?!balance.tcp).)*$" description: | The balance-tcp bond mode is known to cause packet loss and should not be used in BondInterfaceOvsOptions. ExternalNetworkVlanID: default: 10 description: Vlan ID for the external network traffic. type: number InternalApiNetworkVlanID: default: 20 description: Vlan ID for the internal_api network traffic. type: number StorageNetworkVlanID: default: 30 description: Vlan ID for the storage network traffic. type: number StorageMgmtNetworkVlanID: default: 40 description: Vlan ID for the storage mgmt network traffic. type: number TenantNetworkVlanID: default: 50 description: Vlan ID for the tenant network traffic. type: number ManagementNetworkVlanID: default: 60 description: Vlan ID for the management network traffic. type: number ControlPlaneSubnetCidr: # Override this via parameter_defaults default: '24' description: The subnet CIDR of the control plane network. type: string ControlPlaneDefaultRoute: # Override this via parameter_defaults description: The default route of the control plane network. type: string ExternalInterfaceDefaultRoute: # Not used by default in this template default: '10.0.0.1' description: The default route of the external network. type: string ManagementInterfaceDefaultRoute: # Commented out by default in this template default: unset description: The default route of the management network. type: string DnsServers: # Override this via parameter_defaults default: [] description: A list of DNS servers (2 max for some implementations) that will be added to resolv.conf. type: comma_delimited_list EC2MetadataIp: # Override this via parameter_defaults description: The IP address of the EC2 metadata server. type: string resources: OsNetConfigImpl: type: OS::Heat::StructuredConfig properties: group: os-apply-config config: os_net_config: network_config: - type: interface name: nic1 use_dhcp: false dns_servers: {get_param: DnsServers} addresses: - ip_netmask: list_join: - '/' - - {get_param: ControlPlaneIp} - {get_param: ControlPlaneSubnetCidr} routes: - ip_netmask: 169.254.169.254/32 next_hop: {get_param: EC2MetadataIp} - default: true next_hop: {get_param: ControlPlaneDefaultRoute} - type: ovs_bridge name: br-bond members: - type: linux_bond name: bond1 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} members: - type: interface name: nic2 primary: true - type: interface name: nic3 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageIpSubnet} - type: ovs_bridge name: br-bond2 members: - type: linux_bond name: bond2 bonding_options: {get_param: BondInterfaceOvsOptions} members: - type: interface name: nic4 primary: true - type: interface name: nic5 - type: vlan device: bond1 vlan_id: {get_param: StorageMgmtNetworkVlanID} addresses: - ip_netmask: {get_param: StorageMgmtIpSubnet} outputs: OS::stack_id: description: The OsNetConfigImpl resource. value: {get_resource: OsNetConfigImpl}