4.5 リリースノート

Red Hat OpenShift Container Storage 4.5

機能および拡張機能についてのリリースノート、既知の問題その他重要なリリース情報

Red Hat Storage Documentation Team

概要

以下の Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 リリースノートでは、新機能および拡張機能のすべて、主な技術上の変更点、および一般公開バージョンの既知の問題についてまとめています。

第1章 はじめに

Red Hat OpenShift Container Storage は、コンテナー環境向けに最適化されたソフトウェアで定義されるストレージです。これは OpenShift Container Platform の Operator として実行され、コンテナーの統合され、単純化された永続ストレージの管理を可能にします。

Red Hat OpenShift Container Storage は最新の Red Hat OpenShift Container Platform に統合され、プラットフォームサービス、アプリケーションの移植性、および永続性の課題に対応します。これは、Red Hat Ceph Storage、Rook.io Operator、および NooBaa の Multicloud Object Gateway テクノロジーを含む新たなテクノロジースタックに構築された、次世代クラウドネイティブアプリケーション向けの高度にスケーラブルなバックエンドを提供します。

Red Hat OpenShift Container Storage は、数多くの方法でアプリケーションのライフサイクル全体におけるユーザーエクスペリエンスを単純化し、強化する、信頼できるエンタープライズクラスのアプリケーション開発環境を提供します。

  • データベースのブロックストレージを提供します。
  • 継続的な統合、メッセージングおよびデータ集約のための共有ファイルストレージ。
  • クラウドファースト開発、アーカイブ、バックアップ、およびメディアストレージ用のオブジェクトストレージ。
  • アプリケーションとデータの飛躍的なスケーリングが可能です。
  • 永続データボリュームの割り当てと割り当て解除を加速的に実行します。
  • 複数のデータセンターまたはアベイラビリティーゾーンにクラスターを拡張します。
  • 包括的なアプリケーションコンテナーレジストリーを確立します。
  • データアナリティクス、人工知能、機械学習、ディープラーニング、および IoT (モノのインターネット) などの次世代の OpenShift ワークロードをサポートします。
  • アプリケーションコンテナーだけでなく、データサービスボリュームおよびコンテナー、さらに追加の OpenShift Container Platform ノード、Elastic Block Store (EBS) ボリュームおよびその他のインフラストラクチャーサービスを動的にプロビジョニングします。

1.1. 本リリースについて

Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 RHBA-2020:2392 および RHBA-2020:2393) が利用可能になりました。以下では、OpenShift Container Storage 4.5 に関連する新規拡張機能、新機能、および既知の問題について説明します。

Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 は、最新の Red Hat OpenShift Container Platform バージョンでサポートされます。詳細は、「Red Hat OpenShift Container Storage and Red Hat OpenShift Container Platform interoperability matrix」を参照してください。

第2章 新機能

ここでは、Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 で導入された新機能および主な拡張機能について説明します。

外部モードの概要

Red Hat OpenShift Container Storage は、OpenShift Container Platform クラスター外で実行されている Red Hat Ceph Storage サービスをストレージクラスとして公開します。

以下の場合、外部モードが主に使用されます。

  • 複数の OpenShift Container Platform クラスターが共通の外部クラスターからストレージサービスを使用する必要がある
  • 個別チーム(SRE、ストレージなど)はストレージサービスを提供する外部クラスターを管理する必要がある

詳細は、「外部モードの要件」および「 外部ストレージクラスターデバイスの作成方法」を参照してください。

プロキシー環境のサポート

プロキシー環境は、インターネットへの直接アクセスを拒否し、代わりに利用可能な HTTP または HTTPS プロキシーを提供する実稼働環境です。Red Hat Openshift Container Platform はプロキシーを使用するように設定できます。この場合、OpenShift Container Storage バージョン 4.5 以降はその設定を自動的に使用します。

エアギャップ (air-gap) のネットワーク接続が切断された環境のサポート

OpenShift の非接続環境では、OLM カタログおよび Red Hat イメージレジストリーにアクセスできません。OpenShift Container Storage をこの環境で実行できるようになりました。

FIPS-140-2

Red Hat OpenShift Container Storage は、Red Hat Enterprise Linux OS/CoreOS によって配信される FIPS で検証済みの暗号モジュールを使用するようになりました。OpenShift Container Storage は、FIPS 暗号のサポート についてのドキュメントで説明されているように OpenShift Container Platform と連携します。

現時点で、暗号モジュールは Cryptographic Module Validation Program (CMVP) によって処理され、それらの状態は Modules in Process List で確認できます。最新の情報については、このナレッジベースのアーティクルを参照してください。

注記

OpenShift Container Platform クラスターは Red Hat Enterprise Linux CoreOS (RHCOS) を使用する必要があります。この機能では、RHEL 7 での OpenShift Container Storage のデプロイメントはサポートされません。

詳細は、FIPS モードでのクラスターのインストールについて参照してください。

RGW が Object Bucket Claim(オブジェクトバケット要求)に使用できるようになる。

RADOS Object Gateway (RGW) は Object Bucket Claim(オブジェクトバケット要求)経由で使用できるようになりました。詳細は、『OpenShift Container Storage 管理ガイド』の OpenShift Web コンソールを使用した Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求、OBC) の作成についてのセクションを参照してください。

注記

RGW OBC ストレージクラスは、OpenShift Container Storage バージョン 4.5 の新規インストールでのみ利用できます。これは、以前の OpenShift Container Storage リリースからアップグレードされたクラスターには適用されません。

デプロイメント時のオンボーディングプロセスの改善

フィルター(ラベルまたは名前)を使用してノードを選択し、このタスクを単純化するために(ノード一覧、Pod リストなどを使用して)リソースを選択できるようになりました。フィルターは、OCP コンソールですでに事前に定義されている名前やラベル、または多数のノードが存在する場所に基づいてノードを識別します。

フィルターにより、視覚化が強化され、適切なノードを簡単に特定できるようになりました。

OpenShift Container Storage プランニングガイドの詳細化

スケーリングのプランニング、サイジングおよびガイダンスについて拡張された新たな章が追加されました。詳細は、『OpenShift Container Storage プランニング』ガイドを参照してください。

CSI プラグイン Pod のデフォルト以外の Kubelet ディレクトリーのサポート

管理者は、ROOK_CSI_KUBELET_DIR_PATH 環境変数を使用して、環境内のデフォルトの Kubelet ディレクトリーパスを変更できるようになりました。

CSI ポートが設定可能

Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 リリースでは、CSI ポートは rook-ceph-operator-config ConfigMap を使用して OpenShift Container Storage で設定できます。CSI ポートを他の有効なポート番号に変更すると、より多くの柔軟性を管理者に提供されます。この拡張機能は、デフォルトのポートが他のアプリケーションによって使用されている可能性があるために必要になります。

第3章 バグ修正

このセクションでは、Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 で導入された主なバグ修正について説明します。

-mon- Pod が再起動後に init 状態のままになる

以前のバージョンでは、AWS 環境でノードを再起動した後に、-mon- Pod は長期間にわたって init 状態になりました。OpenShift Container Storage 4.5 のリリースでは、この問題は発生しなくなりました。

(BZ#1769322)

MDS Pod を同じノードに設定できなくなる

以前のリリースでは、Red Hat Ceph Storage Metadata Server (MDS) Pod は適切に分散されていませんでした。そのため、MDS Pod の両方が同じノードでスケジュールされる可能性があり、これにより複数の MDS Pod を持つことに関連した高可用性が発揮されない状態になりました。今回の更新により、必要な PodAntiAffinity が MDS Pod に設定され、それらを同じノードにスケジュールできなくなりました。

(BZ#1774087)

crash-collector が OpenShift Container Platform でスムーズに実行される

以前のバージョンでは、crash-collector デプロイメントには OpenShift Container Platform で実行するパーミッションがありませんでした。ホスト上のパスにアクセスできるように適切なセキュリティーコンテキストが追加されました。

(BZ#1834939)

ノードの置き換えを実行しても Ceph HEALTH_WARN 状態にならない

以前のバージョンでは、ノードの置き換え後も、Ceph CRUSH マップツリーには、特定のラック内の削除されたノードの古いホスト名のエントリーが依然として含まれました。別のラックのノードを置き換える一方で、同じ古いホスト名を持つノードがクラスターに再び追加されると、 ocs-operator から新規のラックラベルが受信されますが、CRUSH マップの古い場所に挿入されるため、 Ceph HEALTH_WARN 状態が無期限に続きます。今回のリリースにより、このバグは修正され、ノードの置き換えが予想通りに動作するようになりました。

(BZ#1842456)

第4章 テクノロジープレビュー

このセクションでは、Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 で導入されたテクノロジープレビュー機能について説明します。

Microsoft Azure テクノロジープレビューのサポート

OpenShift Container Storage が Microsoft Azure にインストールされ、管理できるようになりました。詳細は、『OpenShift Container Storage の Microsoft Azure へのデプロイおよび管理』ガイドを参照してください。

Google Cloud テクノロジープレビューのサポート

OpenShift Container Storage が Google Cloud にインストールされ、管理できるようになりました。詳細は、『Google Cloud を使用した OpenShift Container Storage のデプロイおよび管理』ガイドを参照してください。

Persistent Volume Claim (永続ボリューム要求、PVC) の拡張

OpenShift Container Storage 4.5 では、Persistent Volume Claim(永続ボリューム要求、PVC)をテクノロジープレビュー機能として拡張する機能が導入されました。これにより、永続ストレージリソースの管理の柔軟性が向上します。詳細は、「Expanding Persistent Volume Claims」を参照してください。

注記

このテクノロジープレビュー機能は、OpenShift Container Storage バージョン 4.5 の新規インストールでのみ利用できます。これは、以前の OpenShift Container Storage リリースからアップグレードされたクラスターには適用されません。

第5章 既知の問題

このセクションでは、Red Hat OpenShift Container Storage 4.5 の既知の問題について説明します。

PodDisruptionBudget アラートが継続的に表示される

OpenShift Container Platform アラートである PodDisruptionBudget アラートは、オブジェクトストレージデバイス (OSD) について継続的に表示されます。このアラートは無視できます。Red Hat Openshift Container Platform ドキュメントの「 クラスターアラートの管理」セクションの手順に従ってこのアラートをサイレンスにすることができます。

詳細は、Red Hat ナレッジベースアーティクル を参照してください。

(BZ#1788126)

MAX HPA 値には 1 を超えた値を設定できません。

Pod の自動スケーリング機能は Red Hat OpenShift Container Storage では利用できません。したがって、MAX HPA 値は 1.MAX HPA を超えることができません。

このアラートは無視できます。Red Hat Openshift Container Platform ドキュメントの「 クラスターアラートの管理」セクションの手順に従ってこのアラートをサイレンスにすることができます。

(BZ#1836299)