4.3 リリースノート

Red Hat OpenShift Container Storage 4.3

機能および拡張機能についてのリリースノート、既知の問題その他重要なリリース情報

Red Hat Storage Documentation Team

概要

以下の Red Hat OpenShift Container Storage 4.3 リリースノートでは、新機能および拡張機能のすべて、主な技術上の変更点、および一般公開バージョンの既知の問題についてまとめています。

はじめに

Red Hat OpenShift Container Storage は、コンテナー環境向けに最適化されたソフトウェアで定義されるストレージです。これは OpenShift Container Platform の Operator として実行され、コンテナーの統合され、単純化された永続ストレージの管理を可能にします。

Red Hat OpenShift Container Storage は最新の Red Hat OpenShift Container Platform に統合され、プラットフォームサービス、アプリケーションの移植性、および永続性の課題に対応します。これは、Red Hat Ceph Storage、Rook.io Operator、および NooBaa の Multicloud Object Gateway テクノロジーを含む新たなテクノロジースタックに構築された、次世代クラウドネイティブアプリケーション向けの高度にスケーラブルなバックエンドを提供します。

Red Hat OpenShift Container Storage は、数多くの方法でアプリケーションのライフサイクル全体におけるユーザーエクスペリエンスを単純化し、強化する、信頼できるエンタープライズクラスのアプリケーション開発環境を提供します。

  • データベースのブロックストレージを提供します。
  • 継続的な統合、メッセージングおよびデータ集約のための共有ファイルストレージ。
  • クラウドファースト開発、アーカイブ、バックアップ、およびメディアストレージ用のオブジェクトストレージ。
  • アプリケーションとデータの飛躍的なスケーリングが可能です。
  • 永続データボリュームの割り当てと割り当て解除を加速的に実行します。
  • 複数のデータセンターまたはアベイラビリティーゾーンにクラスターを拡張します。
  • 包括的なアプリケーションコンテナーレジストリーを確立します。
  • データアナリティクス、人工知能、機械学習、ディープラーニング、および IoT (モノのインターネット) などの次世代の OpenShift ワークロードをサポートします。
  • アプリケーションコンテナーだけでなく、データサービスボリュームおよびコンテナー、さらに追加の OpenShift Container Platform ノード、Elastic Block Store (EBS) ボリュームおよびその他のインフラストラクチャーサービスを動的にプロビジョニングします。

第1章 本リリースについて

Red Hat OpenShift Container Storage 4.3 (RHBA-2020:1438 および RHBA-2020:1437) をご利用いただけるようになりました。以下では、OpenShift Container Storage 4.3 に関連する新規拡張機能、新機能、および既知の問題について説明します。

Red Hat OpenShift Container Storage 4.3 は、最新の Red Hat OpenShift Container Platform 4.3 バージョンでサポートされます。詳細は、「Red Hat OpenShift Container Storage and Red Hat OpenShift Container Platform interoperability matrix」を参照してください。

第2章 新機能および改良された機能

今回のリリースでは、以下のコンポーネントおよび概念に関連する拡張機能が追加されました。

2.1. デプロイメントにおける柔軟性の向上

環境要件に従って、デプロイ時に OSD サイズを設定でき、設定された OSD の初期サイズの増分値でのみ容量を増やすことができます。この機能は OCP 4.3.2 以降でのみ利用できます。

ストレージクラスターの作成時に許可される 3 つの異なる OSD の容量は以下の通りです。

  • 0.5 TiB (小規模)
  • 2 TiB (標準)
  • 4 TiB (大規模)

詳細は、『デプロイメントプランニング』ガイドのサポートされる設定について参照してください。

2.2. ローカルストレージデバイスを使用したデプロイメント

[テクノロジープレビュー機能] Red Hat OpenShift Container Storage は、ローカルストレージデバイスを使用してデプロイさでき、以下のプラットフォームで接続されたストレージを提供できます。

  • Amazon EC2 ストレージで最適化されたインスタンス
  • ベアメタル
  • VMware 直接接続ドライブ

Amazon EC2、ベアメタル、および VMware クラスターは、ストレージ容量を増やすために拡張できます。

詳細は、「Installing OpenShift Container Storage on local storage devices」、「Scaling up storage by adding capacity to your OpenShift Container Storage nodes using local storage devices」、および「Adding a node on a local storage device」を参照してください。

2.3. 機能強化されたユーザーインターフェース

OpenShift コンソールの Storage セクションが、Multicloud Object Gateway を使用して Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求、OBC) を作成し、オブジェクトバケットを設定できるように変更されました。

「Add Capacity」ページのデザインの改訂により、ユーザー向けのストレージクラスの選択が可能となり、インストールおよびダッシュボード操作のために単純なインターフェースを使用でき、ユーザーにとってより使用しやすく、一貫性のあるものになりました。

2.4. Multicloud Object Gateway

  • Red Hat OpenShift Container Storage は Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットポリシーをサポートするようになりました。バケットポリシーにより、ユーザーにバケットとそれらのオブジェクトのアクセスパーミッションを付与することができます。詳細は、『OpenShift Container Storage 管理ガイド』の Multicloud Object Gateway のバケットポリシーについてのセクションを参照してください。
  • IBM Cloud Object Storage (COS) が、Multicloud Object Gateway のバッキングストアとして利用可能になりました。
  • Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) は OpenShift Console ユーザーインターフェースを使用して作成できるようになりました。詳細は、『OpenShift Container Storage 管理ガイド』の Multicloud Object Gateway ユーザーインターフェースを使用した Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求、OBC) についてのセクションを参照してください。

2.5. OpenShift Container Storage バージョン 4.2 からバージョン 4.3 へのシームレスなアップグレードプロセス

OpenShift Container Storage 4.2 のお客様は、既存のクラスターを OpenShift Container Storage 4.3 にアップグレードするための使いやすく直接的な方法を使用できるようになりました。

詳細は、「Updating OpenShift Container Storage」を参照してください。

第3章 テクノロジープレビューの機能

テクノロジープレビュー機能は、カスタマーポータルの「 テクノロジプレビュー機能のサポート範囲」で詳細に説明されているように制限されたサポート範囲で提供されます。

このセクションに一覧表示される機能は、テクノロジープレビューのサポート制限下で提供されます。

3.1. ローカルストレージデバイスを使用したデプロイメント

Red Hat OpenShift Container Storage は、ローカルストレージデバイスを使用してデプロイさでき、以下のプラットフォームで接続されたストレージを提供できます。

  • Amazon EC2 ストレージで最適化されたインスタンス

    OpenShift Container Storage 4.3 をサポートするようになり、他の AWS クラウド機能へのアクセスを提供する一方で、オペレーティングシステムを基礎となるハードウェア上で直接実行できるようになりました。

  • ベアメタル
  • VMware 直接接続ドライブ

    1 秒あたりの高入出力操作 (IOPS) のワークロードを実行するお客様向けのストレージパフォーマンスの強化が含まれます。

Amazon EC2、ベアメタル、および VMware クラスターは、ストレージ容量を増やすために拡張できます。

詳細は、「Installing OpenShift Container Storage on local storage devices」および「Adding a node on a local storage device」を参照してください。

3.2. Multicloud Object Gateway におけるデータフェデレーション

Multicloud Object Gateway では、2 つの異なるインフラストラクチャーで実行される 2 つの OpenShift Container Storage クラスター間にバケットを展開することで、複数のクラウド環境でのオブジェクトのフェデレーションが可能になりました。

詳細は、『OpenShift Container Storage 管理ガイド』の S3 エンドポイントの追加による Multicloud Object Gateway パフォーマンスのスケーリングについてのセクションを参照してください。

第4章 既知の問題

  • AWS 環境では、ノードの再起動後、*-mon-* Pod は長期間 init 状態になります。これが生じる場合は、Red Hat サポートにお問い合わせください。(BZ#1769322)
  • ユーザーインターフェースから Red Hat OpenShift Container Storage をアンインストールすることはできません。(BZ#1760426)
  • Persistent Volume Claim(永続ボリューム要求、PVC)の拡張は機能しません。(BZ#1743643)
  • Noobaa-core-0 は、ノードがダウンしても他のノードに移行しません。NooBaa は、ノードがダウンすると noobaa-core Pod の移行がブロックされるために機能しません。(BZ#1783961)
  • ワーカーノードがダウンすると、Operator はアップグレード、ストレージの追加、または新規プールの作成などのカスタムリソース (CR) の更新に応答しなくなります。(BZ#1778488)

    この問題を解決するには、「Replacing storage nodes for OpenShift Container Storage」を参照してください。

  • 実際のサイズ (64 GiB の空きメモリー)よりもわずかに小さいノードについて OpenShift Container Platform が報告するサイズにより、検証が失敗します。たとえば、AWS M5.4xlarge マシンには 16 コアと 64 Gib メモリーの RAM がありますが、OpenShift ノード API によって報告されるメモリーサイズは 61.xx GiB です。したがって、想定される設定についての予期しない警告メッセージが表示されます。(BZ#1823444)

    この問題は今後のリリースで修正されるため、OpenShift Container Platform および OpenShift Container Storage 4.3 リリースについてのこの警告メッセージを無視する必要があります。

第5章 主なバグ修正

Red Hat OpenShift Container Storage 4.3 では、主に以下のような技術的な変更点が加えられています。

表5.1 修正されたバグの一覧

バグ説明

BZ#1781146

ユーザーインターフェースから容量を追加する場合、「Add」を選択する前に、ドロップダウンリストからストレージクラスを選択し、その後にこれを再度選択する必要があります。

BZ#1781377

Red Hat OpenShift Container Storage 4.2 は、クラスターの縮小をサポートしていません。

BZ#1769689 および BZ#1776321

完全なクラスターからのリカバリーは、スタンドアロンでは実行できません。詳細は、「Sizing and scaling recommendations」を参照してください。

B#1777384

Red Hat Enterprise Linux ワーカーノードでは、Amazon Web Services(ユーザーによってプロビジョニングされるインフラストラクチャー)の CephFS マウントポイントへの書き込み時に 「Permission denied」エラーが表示されます。

BZ#1780626

マシンが削除されると、OSD Pod は新規ノードで実行されなくなり、「Pending」状態になります。

BZ#1753109

以前のリリースでは、Multicloud Object Gateway の削除プロセスは効率的ではありませんでした。今回の更新により、削除プロセスが改善され、削除されるまでの時間が短縮し、数秒程度になりました。

BZ#1764014

以前のリリースでは、Multicloud Object Gateway で新たに作成されたバケットポリシーは、既存の Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) を BucketClass の変更で更新しませんでした。今回の更新により、バケットポリシーが作成されると、変更済みの BucketClass を使用して既存のすべての Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) に変更が適用されます。

BZ#1756426

ユーザーは、OpenShift Container Platform SSO を使用して NooBaa ユーザーインターフェースにログインできるようになりました。

BZ#1765865

今回の更新により、Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) がエラー状態にある場合、エラーが公開され、この問題のトラブルシューティングに役立つ詳細メッセージが表示されます。

BZ#1777295

以前のバージョンでは、Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) によって使用されていたバッキングストアを削除すると、既存のオブジェクトをどこにも配置できなくなり、新規オブジェクトをアップロードするオプションがありませんでした。今回の更新により、バッキングストアが Object Bucket Claim (オブジェクトバケット要求) によって使用されている場合は削除されなくなりました。ユーザーがバッキングストアの削除を試みると、バッキングストアが削除されない理由を説明するエラーメッセージが表示されます。

BZ#1781096

以前のバージョンでは、バッキングストアのステータスに関する Operator の誤ったステータスチェックにより、バッキングストアの表示されるステータスが正しくありませんでした。今回の更新により、ステータスチェックが修正され、正しいステータスが表示されるようになりました。

BZ#1791221

匿名の phone home データが送信されることはなくなりました。

BZ#1813472

以前のバージョンでは、Tshirt のサイジングおよび OpenShift Container Storage インストールページの一部のコードリファクタリングにより、StorageClassName は StoragCluster CR で null に設定されていました。そのため、StorageClassName が適切に設定されず、ユーザーはユーザーインターフェースを使用して OpenShift Container Storage クラスターをインストールすることができません。

今回のリリースによりこの問題は修正され、StorageCluster CR の StorageClassName パラメーターが null の場合、OpenShift Container Platform 4.3.10 への更新が要求されるようになりました。