第6章 JBoss EAP クラ出力ディング
JBoss EAP は、デプロイされたアプリケーションのクラスパスを制御するためにモジュール形式のクラ出力ドシステムを使用します。このシステムは、階層クラ出力ダーの従来のシステムよりも、柔軟性があり、より詳細に制御できます。開発者は、アプリケーションで利用可能なクラスに対して粒度の細かい制御を行い、アプリケーションサーバーで提供されるクラスを無視して独自のクラスを使用するようデプロイメントを設定できます。
モジュール形式のクラ出力ダーにより、すべての Java クラスはモジュールと呼ばれる論理グループに分けられます。各モジュールは、独自のクラスパスに追加されたモジュールからクラスを取得するために、他のモジュールの依存関係を定義できます。デプロイされた各 JAR および WAR ファイルはモジュールとして扱われるため、開発者はモジュール設定をアプリケーションに追加してアプリケーションのクラスパスの内容を制御できます。
6.1. モジュール
モジュールは、クラ出力ディングおよび依存関係管理に使用されるクラスの論理グループです。JBoss EAP は、静的モジュールと動的モジュールの 2 つの種類のモジュールを識別します。この 2 つの種類のモジュールの主な違いは、パッケージ化方法です。
静的モジュール
静的モジュールは、アプリケーションサーバーの EAP_HOME/modules/
ディレクトリーで定義されます。各モジュールは EAP_HOME/modules/com/mysql/
のようにサブディレクトリーとして存在します。各モジュールには、module.xml
設定ファイルとすべての必要な JAR ファイルが含まれるスロットサブディレクトリー (デフォルトでは main
) が含まれます。アプリケーションサーバーにより提供される API は、Jakarta EE API と他の API を含む静的モジュールとして提供されます。
例: MySQL Java Database Connectivity (JDBC) ドライバーの module.xml
ファイル
<?xml version="1.0" ?> <module xmlns="urn:jboss:module:1.1" name="com.mysql"> <resources> <resource-root path="mysql-connector-java-8.0.12.jar"/> </resources> <dependencies> <module name="javaee.api"/> <module name="sun.jdk"/> <module name="ibm.jdk"/> <module name="javax.api"/> <module name="javax.transaction.api"/> </dependencies> </module>
モジュール名 com.mysql
は、スロット名 main
を除くモジュールのディレクトリー構造と一致する必要があります。
カスタム静的モジュールの作成は、同じサードパーティーライブラリーを使用する同じサーバー上に多くのアプリケーションがデプロイされる場合に役立ちます。これらのライブラリーを各アプリケーションとバンドルする代わりに、管理者はこれらのライブラリーが含まれるモジュールを作成およびインストールできます。アプリケーションは、カスタム静的モジュールで明示的な依存関係を宣言できます。
JBoss EAP ディストリビューションで提供されるモジュールは、EAP_HOME/modules
ディレクトリー内の system
ディレクトリーにあります。このため、サードパーティーによって提供されるモジュールから分離されます。また、JBoss EAP 上で使用する、Red Hat により提供されるすべての製品によって、system
ディレクトリー内にモジュールがインストールされます。
モジュールごとに 1 つのディレクトリーを使用して、カスタムモジュールが EAP_HOME/modules
ディレクトリーにインストールされるようにする必要があります。こうすると、同梱されたバージョンではなく、system
ディレクトリーに存在するカスタムバージョンのモジュールがロードされるようになります。これにより、ユーザー提供のモジュールがシステムモジュールよりも優先されます。
JBOSS_MODULEPATH
環境変数を使用して JBoss EAP がモジュールを検索する場所を変更する場合は、指定された場所の 1 つで system
サブディレクトリー構造を探します。system
構造は、JBOSS_MODULEPATH
で指定された場所のどこかに存在する必要があります。
JBoss EAP 7.1 より、module.xml
ファイルの resource-root path
要素で絶対パスを使用できるようになりました。これにより、リソースライブラリーを EAP_HOME/modules/
ディレクトリーに移動しなくてもリソースライブラリーにアクセスできるようになりました。
例: module.xml
ファイルの絶対パス
<?xml version="1.0" ?> <module xmlns="urn:jboss:module:1.1" name="oracle.jdbc"> <resources> <resource-root path="/home/redhat/test.jar"/> </resources> </module>
動的モジュール
動的モジュールは、各 JAR または WAR デプロイメント (または、EAR 内のサブデプロイメント) に対してアプリケーションサーバーによって作成およびロードされます。動的モジュールの名前は、デプロイされたアーカイブの名前に由来します。デプロイメントはモジュールとしてロードされるため、依存関係を設定し、他のデプロイメントで依存関係として使用することが可能です。
モジュールは必要な場合にのみロードされます。通常、モジュールは、明示的または暗黙的な依存関係があるアプリケーションがデプロイされる場合にのみロードされます。
事前定義されたモジュール
JBoss EAP 7.2 より、デフォルトのモジュールローダーを使用する場合に事前設定されたモジュールのセットを使用できるようになりました。このモジュールはすべての JBoss Modules API が含まれる org.jboss.modules
で、JBoss Modules によって提供され、常に利用可能です。Java 9 以上で提供される標準の Java Platform Module System (JPMS) モジュールも標準の名前で利用可能です。JDK 8 を使用する場合、JDK 9 モジュールは JBoss Module によってエミュレートされます。
Java 9 以上で使用できるプラットフォームモジュールの一覧は、該当する JDK のドキュメントを参照してください。
Java 8 向けに提供されるプラットフォームモジュールの一覧は、Java 8 向けに提供されるプラットフォームモジュール を参照してください。