24.6.5. クラスター間のトラフィックの移行
JBoss EAP を使用して新しいクラスターを作成した後、アップグレードプロセスの一部として以前のクラスターから新しいクラスターへトラフィックを移行できます。ここでは、停止時間やダウンライムを最小限に抑えてトラフィックを移行する方法について説明します。
- 新しいクラスターの設定。このクラスターを ClusterNEW と呼びます。
- 不要となった古いクラスターの設定。このクラスターを ClusterOLD と呼びます。
クラスターのアップグレードプロセス - ロードバランシンググループ
- 前提条件に従って、新しいクラスターを設定します。
ClusterNEW および ClusterOLD の両方で、設定オプション
sticky-session
をデフォルト設定のtrue
に設定してください。このオプションを有効にすると、クラスターのクラスターノードへの新しいリクエストはすべてそのクラスターノードに送信されます。/profile=full-ha/subsystem=modcluster/proxy=default:write-attribute(name=sticky-session,value=true)
ClusterOLD のすべてのクラスターノードは ClusterOLD ロードバランシンググループのメンバーであることを仮定し、
load-balancing-group
をClusterOLD
に設定します。/profile=full-ha/subsystem=modcluster/proxy=default:write-attribute(name=load-balancing-group,value=ClusterOLD)
mod_cluster ワーカーノードの設定の手順に従って ClusterNEW のノードを個別に mod_cluster 設定に追加します。また、この手順を使用してロードバランシンググループを ClusterNEW に設定します。
この時点で、以下の簡易例に似た出力が mod_cluster-manager コンソールに表示されます。
mod_cluster/<version> LBGroup ClusterOLD: [Enable Nodes] [Disable Nodes] [Stop Nodes] Node node-1-jvmroute (ajp://node1.oldcluster.example:8009): [Enable Contexts] [Disable Contexts] [Stop Contexts] Balancer: qacluster, LBGroup: ClusterOLD, Flushpackets: Off, ..., Load: 100 Virtual Host 1: Contexts: /my-deployed-application-context, Status: ENABLED Request: 0 [Disable] [Stop] Node node-2-jvmroute (ajp://node2.oldcluster.example:8009): [Enable Contexts] [Disable Contexts] [Stop Contexts] Balancer: qacluster, LBGroup: ClusterOLD, Flushpackets: Off, ..., Load: 100 Virtual Host 1: Contexts: /my-deployed-application-context, Status: ENABLED Request: 0 [Disable] [Stop] LBGroup ClusterNEW: [Enable Nodes] [Disable Nodes] [Stop Nodes] Node node-3-jvmroute (ajp://node3.newcluster.example:8009): [Enable Contexts] [Disable Contexts] [Stop Contexts] Balancer: qacluster, LBGroup: ClusterNEW, Flushpackets: Off, ..., Load: 100 Virtual Host 1: Contexts: /my-deployed-application-context, Status: ENABLED Request: 0 [Disable] [Stop] Node node-4-jvmroute (ajp://node4.newcluster.example:8009): [Enable Contexts] [Disable Contexts] [Stop Contexts] Balancer: qacluster, LBGroup: ClusterNEW, Flushpackets: Off, ..., Load: 100 Virtual Host 1: Contexts: /my-deployed-application-context, Status: ENABLED Request: 0 [Disable] [Stop]
ClusterOLD グループ内に古いアクティブなセッションがあり、新しいセッションは ClusterOLD または CLusterNEW グループ内に作成されます。次に、現在アクティブなクライアントのセッションにエラーが発生しないようにクラスターノードを停止するため、ClusterOLD グループ全体を無効にします。
mod_cluster-manager Web コンソールで LBGroup ClusterOLD の Disable Nodes リンクをクリックします。
この後、すでに確立されたセッションに属するリクエストのみが ClusterOLD ロードバランシンググループのメンバーにルーティングされます。新しいクライアントのセッションは ClusterNEW グループのみに作成されます。ClusterOLD グループ内にアクティブなセッションがなくなったら、そのメンバーを安全に削除できます。
注記Stop Nodes を使用すると、即座にこのドメインへのリクエストのルーティングを停止するようロードバランサーが指示されます。これにより、別のロードバランシンググループへのフェイルオーバーが強制され、ClusterNEW と ClusterOLD の間にセッションレプリケーションがない場合はクライアントへのセッションデータが損失する原因となります。
デフォルトのロードバランシンググループ
mod_cluster-manager コンソールの LBGroup を確認して、現在の ClusterOLD 設定にロードバランシンググループの設定が含まれていない場合でも、ClusterOLD ノードの無効化を利用できます。この場合、各 ClusterOLD ノードの Disable Contexts をクリックします。これらのノードのコンテンツは無効化され、アクティブなセッションがなくなったら削除することができます。新しいクライアントのセッションは、有効なコンテンツを持つノードのみに作成されます (この例では ClusterOLD メンバー)。
管理 CLI の使用
mod_cluster-manager web コンソールを使用する他に、JBoss EAP 管理 CLI を使用して特定のコンテキストを停止または無効化することもできます。
コンテキストの停止
/host=master/server=server-one/subsystem=modcluster:stop-context(context=/my-deployed-application-context, virtualhost=default-host, waittime=0)
waittime
を 0
に設定してタイムアウトがない状態でコンテキストを停止すると、すべてのリクエストのルーティングを即座に停止するようバランサーに指示を出し、利用できる他のコンテキストへのフェイルオーバーを強制します。
waittime
引数を使用してタイムアウト値を設定すると、このコンテキストでは新しいセッションは作成されませんが、既存のセッションが完了するか、指定のタイムアウト値を経過するまで、既存のセッションはこのノードに引き続き転送されます。waittime
引数のデフォルト値は 10
秒です。
コンテキストの無効化
/host=master/server=server-one/subsystem=modcluster:disable-context(context=/my-deployed-application-context, virtualhost=default-host)
コンテキストを無効にすると、バランサーがこのコンテキストで新しいセッションを作成しないよう指示します。