2.4. ゲストエージェントおよびドライバーのインストール

2.4.1. Red Hat Enterprise Virtualization のゲストエージェントとドライバー

Red Hat Enterprise Virtualization ゲストエージェントおよびドライバーにより、Red Hat Enterprise Linux および Windows 仮想マシンの追加情報や機能が提供されます。主要な機能には、リソースの使用状況の監視、ユーザーポータルや管理ポータルからの正常なシャットダウンまたは再起動などが含まれます。この機能を使用する仮想マシン上に、Red Hat Enterprise Virtualization ゲストエージェントとドライバーをインストールする必要があります。

表2.1 Red Hat Enterprise Virtualization のゲストドライバー

ドライバー
説明
対象ゲスト
virtio-net
準仮想化ネットワークドライバーは、rtl のようなエミュレーションデバイスよりも高いパフォーマンスを提供します。
サーバーまたはデスクトップ
virtio-block
準仮想化 HDD ドライバーは、ゲストとハイパーバイザーとの間の調整および通信を最適化することによって、IDE のようなエミュレーションデバイスよりも高い I/O パフォーマンスを提供します。このドライバーは、ホストがハードウェアデバイスの役割を果たすのに使用する virtio-device のソフトウェア実装を補完します。
サーバーまたはデスクトップ
virtio-scsi
準仮想化 iSCSI HDD ドライバーは、virtio ブロックデバイスに同様の機能性と、一部の追加拡張機能を提供します。特に、このドライバーは、100 単位のデバイスの追加をサポートし、標準の SCSI デバイス名前付けスキームを使用してデバイスに命名します。
サーバーまたはデスクトップ
virtio-serial
Virtio-serial は、複数のシリアルポートのサポートを提供します。パフォーマンス向上によりゲストとホストの間の通信が高速化され、ネットワークの複雑化が回避されます。この高速通信は、ゲストエージェントならびにゲストとホスト間のクリップボードを使用したコピー&ペーストやロギングなどのその他の機能に必要です。
サーバーまたはデスクトップ
virtio-balloon
Virtio-balloon はゲストが実際にアクセスするメモリーの容量を制御するのに使用します。これにより、メモリーのオーバーコミットが向上します。Red Hat Enterprise Virtualization 3.1 以降のバージョンでは、バルーンドライバーは将来の互換性のためにインストールされますが、デフォルトでは使用されません。
サーバーまたはデスクトップ
qxl
準仮想化ディスプレイドライバーによりホスト上の CPU 使用率が低減されます。また大半のワークロードでネットワーク帯域幅が削減されることにより、パフォーマンスが向上します。
サーバーまたはデスクトップ

表2.2 Red Hat Enterprise Virtualization のゲストエージェントおよびツール

ゲストエージェント/ツール
説明
対象ゲスト
rhevm-guest-agent-common
Red Hat Enterprise Virtualization Manager が内部イベントおよび情報 (例: IP アドレスおよびインストールされているアプリケーションなど) を受信できるようになります。また、Manager がゲストに対してシャットダウンやリブートなどの特定のコマンドを実行できるようになります。
Red Hat Enterprise Linux 6 以降のバージョンのゲストでは、rhevm-guest-agent-common により tuned が仮想マシンにインストールされ、最適化された仮想化ゲストプロファイルを使用するように設定されます。
サーバーまたはデスクトップ
spice-agent
SPICE エージェントは複数のモニターに対応しており、QEMU エミュレーションよりも優れたユーザーエクスペリエンスと応答性を提供します。client-mouse-mode ではカーソルキャプチャーは必要ありません。SPICE エージェントは、ディスプレイレベルの削減、色深度の追加、壁紙の無効化、フォントスムージング、アニメーションによって、ワイドエリアネットワークで使用する場合の帯域幅の使用率を低減します。SPICE エージェントは、クリップボードのサポートを有効化してクライアントとゲストの間におけるテキストと画像の両方のカットアンドペースト操作や、クライアント側の設定に対応した自動ゲストディスプレイ設定を可能にします。Windows ゲストでは、SPICE エージェントは vdservice と vdagent で構成されます。
サーバーまたはデスクトップ
rhev-sso
Red Hat Enterprise Virtualization Manager へのアクセスに使用する認証情報に基づいたユーザーの自動ログインを可能にするエージェント。
デスクトップ
rhev-usb
ゲスト上でのレガシー USB サポート用 (バージョン 3.0 以前) のドライバーとサービスが格納されたコンポーネント。クライアントマシンに接続された USB デバイスへのアクセスに必要です。クライアント側で RHEV-USB Client が必要です。
デスクトップ

2.4.2. Red Hat Enterprise Linux へのゲストエージェントとドライバーのインストール

Red Hat Enterprise Virtualization Agent リポジトリーで提供される rhevm-guest-agent パッケージを使用して、Red Hat Enterprise Linux の仮想マシンに Red Hat Enterprise Virtualization ゲストエージェントとドライバーをインストールします。

手順2.6 Red Hat Enterprise Linux へのゲストエージェントとドライバーのインストール

  1. Red Hat Enterprise Linux 仮想マシンにログインします。
  2. Red Hat Enterprise Virtualization Agent リポジトリーを有効にします。
    • Red Hat Enterprise Linux 6 の場合
      # subscription-manager repos --enable=rhel-6-server-rhev-agent-rpms
    • Red Hat Enterprise Linux 7 の場合
      # subscription-manager repos --enable=rhel-7-server-rh-common-rpms
  3. rhevm-guest-agent-common パッケージと依存関係をインストールします。
    # yum install rhevm-guest-agent-common
  4. サービスを起動して、有効にします。
    • Red Hat Enterprise Linux 6 の場合
      # service ovirt-guest-agent start
      # chkconfig ovirt-guest-agent on
    • Red Hat Enterprise Linux 7 の場合
      # systemctl start ovirt-guest-agent.service
      # systemctl enable ovirt-guest-agent.service
  5. qemu-ga サービスを起動して有効化します。
    • Red Hat Enterprise Linux 6 の場合
      # service qemu-ga start
      # chkconfig qemu-ga on
    • Red Hat Enterprise Linux 7 の場合
      # systemctl start qemu-ga.service
      # systemctl enable qemu-ga.service
ゲストエージェントにより、使用状況に関する情報が Red Hat Enterprise Virtualization Manager に提供されるようになりました。Red Hat Enterprise Virtualization エージェントは、/etc/ ディレクトリーの ovirt-guest-agent.conf 設定ファイルで設定可能な ovirt-guest-agent と呼ばれるサービスとして実行されます。