7.3. プール

仮想マシンプールにより、多数の同じ仮想マシンをデスクトップとして迅速にユーザーにプロビジョニングすることができます。プールから仮想マシンにアクセスするパーミッションを付与されているユーザーには、要求キュー内の位置に応じて使用可能な仮想マシンが提供されます。プール内の仮想マシンはデータを永続化させることはできません。プールから仮想マシンが割り当てられる際は毎回、ベース状態で割り当てられます。これは、ユーザーのデータが中央で保管されている場合に適しています。
仮想マシンプールは、テンプレートから作成されます。プール内の各仮想マシンは、同じ読み取り専用のバッキングイメージを使用し、一時的な Copy On Write イメージで変更されたデータおよび新規生成されたデータを保管します。プール内の仮想マシンは他の仮想マシンとは異なるため、ユーザーが生成/変更したデータを格納する Copy On Write 層はシャットダウン時に失われます。これは、仮想マシンプールには、プールをバッキングするテンプレートと、使用中に生成/変更されたデータ用のスペース用の容量を越えるストレージは必要ないことを意味します。仮想マシンプールは、各ユーザーに専用の仮想デスクトップを提供する場合のようにストレージコストをかけずに、タスクを処理するための演算能力をユーザーに提供する効率的な方法です。

例7.1 プールの使用例

技術サポートサービスを提供する某企業では、ヘルプデスクスタッフを 10 人雇用していますが、常時勤務しているのは 5 人のみです。各ヘルプデスクスタッフ 1 名につき 1 台、合計 10 台の仮想マシンを作成する代わりに、仮想マシン 5 台で構成されるプールを 1 つ作成することができます。ヘルプデスクスタッフは、シフト勤務の開始時に自分で仮想マシンを 1 台割り当て、終了時にはその仮想マシンをプールに返します。