第1章 はじめに

Red Hat Enterprise Virtualization Manager は Representational State Transfer (REST) API を提供しています。API により、ソフトウェア開発者やシステム管理者は、標準の Web インターフェースを使用せずに Red Hat Enterprise Virtualization 環境を管理することができます。REST API は、開発者や管理者が Red Hat Enterprise Virtualization 環境の機能にカスタムスクリプトや標準の Hypertext Transfer Protocol (HTTP) を介して API にアクセスする外部アプリケーションを統合する場合に役立ちます。
REST API には、以下のようなメリットがあります。
  • 幅広いクライアントサポート: HTTP 対応のあらゆるプログラミング言語/フレームワーク/システムで使用することが可能
  • 自己記述型: 詳しい情報の多くは実行時に確認できるため、クライアントアプリケーションに必要な仮想化インフラストラクチャーの知識は最小限で済む
  • リソースベースのモデル: リソースベースの REST モデルにより仮想化プラットフォームを自然な形で管理することが可能
これにより、開発者および管理者は以下のような作業を行うことができます。
  • エンタープライズ IT システムとの統合
  • サードパーティーの仮想ソフトウェアとの統合
  • 自動メンテナンスやエラーチェックなどのタスクの実行
  • スクリプトによる Red Hat Enterprise Virtualization 環境内の反復タスクの自動化
本ガイドは、Red Hat Enterprise Virtualization Manager REST API の参考資料としてご利用ください。開発者および管理者を対象に、直接 REST API から、または提供されている Python ライブラリーを使用して Red Hat Enterprise Virtualization 環境の機能を十分にご活用いただくための手順および実例を記載しています。

1.1. Representational State Transfer

Representational State Transfer (REST) は、特定のサービスとそれらの表現にフォーカスした設計アーキテクチャーです。リソース表現は、サーバー上にある 1 つの特定管理対象要素に対応した情報の主要な抽象概念です。クライアントは Uniform Resource Identifier (URI) にあるサーバー要素に対して要求を送信し、GETPOSTPUTDELETE などの標準的な HTTP メソッドで操作を実行します。これにより、クライアントとサーバー間のステートレスな通信が提供され、各要求は他の要求に依存せずに機能し、その要求を完了するために必要な情報をすべて含みます。