10.6. 仮想ディスクのタスク

10.6.1. フローティング仮想ディスクの作成

どの仮想マシンにも属さない仮想ディスクを作成して、単一の仮想マシンにアタッチすることができます。また、ディスクが共有可能の場合には、複数の仮想マシンにアタッチすることが可能です。
イメージ ディスクの作成は、Manager によって完全に管理されます。直接 LUN ディスクには、すでに存在する、外部で準備されたターゲットが必要です。Cinder ディスクには、外部プロバイダー ウィンドウを使用して Red Hat Enterprise Virtualization に追加された OpenStack Volume のインスタンスへのアクセスが必要です。詳しくは、「ストレージ管理のための OpenStack Volume (Cinder) インスタンスの追加」を参照してください。

手順10.2 フローティング仮想ディスクの作成

  1. ディスク リソースタブを選択します。
  2. 新規作成 をクリックします。
    仮想ディスクの追加ウィンドウ

    図10.1 仮想ディスクの追加ウィンドウ

  3. ラジオボタンで、仮想ディスクを イメージ直接 LUNCinder ディスクのいずれかに指定します。
  4. 仮想ディスクに必要なオプションを選択します。オプションは、選択したディスクのタイプによって異なります。各オプションとディスクタイプについての詳しい説明は、「新規仮想ディスクウィンドウの設定」を参照してください。
  5. OK をクリックします。

10.6.2. 新規仮想ディスクウィンドウの設定

表10.2 新規仮想ディスクの設定: イメージ

フィールド名
説明
サイズ (GB)
新規仮想ディスクのサイズ (GB 単位)
エイリアス
仮想ディスク名。最大長は 40 文字。
説明
仮想ディスクの説明。このフィールドへの入力は推奨されますが、必須ではありません。
インターフェース
ディスクが仮想マシンに対して提示する仮想インターフェース。VirtIO はより高速ですが、ドライバーが必要です。このドライバーは、Red Hat Enterprise Linux 5 以降のバージョンには搭載されています。Windows には、このドライバーは搭載されていませんが、ゲストツール ISO または仮想フロッピーディスクからインストールすることができます。IDE デバイスには特別なドライバーは必要ありません。
データセンター
仮想ディスクを使用できるデータセンター
ストレージドメイン
仮想ディスクが格納されるストレージドメイン。ドロップダウンリストには、対象のデータセンターで使用できる全ストレージドメインと、ストレージドメインの全容量と現在の空き容量が表示されます。
割り当てポリシー
新規仮想ディスクのプロビジョニングポリシー
  • Preallocated を選択すると、仮想ディスクの作成時に、ストレージドメイン上のディスクの全サイズが割り当てられます。Preallocated ディスクの仮想サイズおよび実サイズは同じです。 Preallocated の仮想ディスクは、Thin Provision の仮想ディスクよりも作成に時間がかかりますが、読み取り/書き込みのパフォーマンスがより優れています。Preallocated の仮想ディスクはサーバーや、その他の I/O を集中的に行う仮想マシンに推奨します。仮想マシンが 4 秒につき 1 GB の書き込みを行うことができる場合には、可能であれば Preallocated のディスクを使用してください。
  • Thin Provision を選択すると、仮想ディスクの作成時に 1 GB の容量が割り当てられ、ディスクが拡張可能な上限が設定されます。ディスクの仮想サイズが上限です。実サイズは、それまでに割り当て済みの容量です。Thin Provision ディスクは、Prealocated のディスクよりも作成が高速で、ストレージのオーバーコミットメントが可能です。Thin Provision の仮想ディスクはデスクトップに推奨します。
Disk Profile
仮想ディスクに割り当てるディスクプロファイル。ディスクプロファイルは、ストレージドメイン内の仮想ディスクの最大スループットと入出力操作数の最大レベルを定義します。ディスクプロファイルは、データセンターに対して作成されたストレージ QoS エントリーに基づいてストレージドメインレベルで定義されます。
削除後にワイプ
仮想ディスクの削除時に、機密性の高い情報を削除するセキュリティー強化を有効にすることができます。
ブート可能
仮想ディスクにブート可能のフラグを設定することができます。
共有可能
仮想ディスクを複数の仮想マシンに同時にアタッチすることができます。
直接 LUN の設定は、ターゲット > LUN または LUN > ターゲット のいずれかのタブで表示することができます。ターゲット > LUN には、検出先のホストで利用可能な LUN の一覧、LUN > ターゲット には 全 LUN の一覧が表示されます。

表10.3 新規仮想ディスクの設定: 直接 LUN

フィールド名
説明
エイリアス
仮想ディスク名。最大長は 40 文字。
説明
仮想ディスクの説明。このフィールドへの入力は推奨されますが、必須ではありません。デフォルトでは、このフィールドに LUN ID の最後の 4 文字が挿入されています。
デフォルトの動作は、engine-config コマンドで PopulateDirectLUNDiskDescriptionWithLUNId の設定キーに適切な値を指定して設定することができます。完全な LUN ID を使用するには設定キーに -1 を、この機能を無視するには 0 を指定します。正の整数を指定すると、その文字数分だけ LUN ID が説明フィールドに挿入されます。詳しくは、「engine-config コマンドの構文」を参照してください。
インターフェース
ディスクが仮想マシンに対して提示する仮想インターフェース。VirtIO はより高速ですが、ドライバーが必要です。このドライバーは、Red Hat Enterprise Linux 5 以降のバージョンには搭載されています。Windows には、このドライバーは搭載されていませんが、ゲストツール ISO または仮想フロッピーディスクからインストールすることができます。IDE デバイスには特別なドライバーは必要ありません。
データセンター
仮想ディスクを使用できるデータセンター
使用するホスト
LUN のマウント先のホスト。データセンター内の任意のホストを選択できます。
ストレージタイプ
追加する外部 LUN のタイプ。iSCSI または Fibre Channel から選択可能です。
ターゲットを検出
このセクションは、iSCSI の外部 LUN を使用する場合に、「ターゲット > LUN」 のタブを選択すると拡張されます。
アドレス: ターゲットサーバーのホスト名または IP アドレス
ポート: ターゲットサーバーへの接続を試みるポート。デフォルトのポートは 3260 です。
ユーザー認証: iSCSI サーバーには、ユーザー認証が必要です。ユーザー認証 フィールドは、iSCSI の外部 LUN を使用する場合に表示されます。
CHAP のユーザー名: LUN にログインするパーミッションのあるユーザーの名前。このフィールドは、ユーザー認証 チェックボックスが選択されている場合に編集が可能です。
CHAP のパスワード: LUN にログインするパーミッションのあるユーザーのパスワード。このフィールドは、ユーザー認証 チェックボックスが選択されている場合に編集が可能です。
ブート可能
仮想ディスクにブート可能のフラグを設定することができます。
共有可能
仮想ディスクを複数の仮想マシンに同時にアタッチすることができます。
SCSI パススルーを有効にする
インターフェースVirtIO-SCSI に設定されている場合に利用可能。このチェックボックスを選択すると、物理 SCSI デバイスから仮想ディスクへのパススルーが有効になります。VirtIO-SCSI インターフェースに SCSI パススルーを有効にすると、SCSI discard のサポートが自動的に含まれます。このチェックボックスを選択しなかった場合には、仮想ディスクは、エミュレーションされた SCSI デバイスを使用します。
特権のある SCSI I/O を許可
SCSI パススルーを有効にする のチェックボックスを選択すると設定可能となります。このチェックボックスを選択すると、フィルター処理なしの SCSI 汎用 I/O (SG_IO) アクセスが可能となり、ディスク上で特権のある SG_IO コマンドを実行できるようになります。永続的な予約にはこの設定が必要です。
ターゲットを検出 セクションで各フィールドに必要事項を入力し、検出 をクリックしてターゲットのサーバーを検出します。次に 全ターゲットにログイン ボタンをクリックして、そのターゲットサーバー上の利用可能な LUN を一覧表示し、各 LUN の横にあるラジオボタンで追加する LUN を選択することができます。
仮想マシンのハードディスクイメージとして LUN を直接使用すると、仮想マシンと仮想マシンのデータの間の抽象化層が削除されます。
直接 LUN を仮想マシンのハードディスクイメージとして使用する際には、以下の点に注意してください。
  • 直接 LUN のハードディスクイメージのライブストレージ移行はサポートされていません。
  • 直接 LUN ディスクは、仮想マシンエクスポートには含まれません。
  • 直接 LUN ディスクは、仮想マシンのスナップショットには含まれません。
対象のデータセンターでディスクを作成するパーミッションのある OpenStack のボリュームストレージドメインが利用できない場合には、Cinder の設定のフォームは無効になります。Cinder ディスクには、外部プロバイダー のウィンドウで Red Hat Enterprise Virtualization 環境に追加された OpenStack ボリュームのインスタンスへのアクセスが必要です。詳しくは、「ストレージ管理のための OpenStack Volume (Cinder) インスタンスの追加」を参照してください。

表10.4 新規仮想ディスクの設定: Cinder

フィールド名
説明
サイズ (GB)
新規仮想ディスクのサイズ (GB 単位)
エイリアス
仮想ディスク名。最大長は 40 文字。
説明
仮想ディスクの説明。このフィールドへの入力は推奨されますが、必須ではありません。
インターフェース
ディスクが仮想マシンに対して提示する仮想インターフェース。VirtIO はより高速ですが、ドライバーが必要です。このドライバーは、Red Hat Enterprise Linux 5 以降のバージョンには搭載されています。Windows には、このドライバーは搭載されていませんが、ゲストツール ISO または仮想フロッピーディスクからインストールすることができます。IDE デバイスには特別なドライバーは必要ありません。
データセンター
仮想ディスクを使用できるデータセンター
ストレージドメイン
仮想ディスクが格納されるストレージドメイン。ドロップダウンリストには、対象のデータセンターで使用できる全ストレージドメインと、ストレージドメインの全容量と現在の空き容量が表示されます。
ボリュームのタイプ
仮想ディスクのボリュームタイプ。ドロップダウンリストに、利用可能なボリュームのタイプがすべて表示されます。ボリュームのタイプは、OpenStack Cinder で管理/設定されます。
ブート可能
仮想ディスクにブート可能のフラグを設定することができます。
共有可能
仮想ディスクを複数の仮想マシンに同時にアタッチすることができます。

10.6.3. ライブストレージマイグレーションの概要

アタッチ先の仮想マシンが稼働している状態で、仮想マシンディスクをストレージドメイン間で移行することが可能です。この機能は、ライブストレージマイグレーションと呼ばれています。実行中の仮想マシンにアタッチされたディスクが移行される際には、移行元のストレージドメインで、そのディスクのイメージチェーンのスナップショットが作成されて、移行先のストレージドメインにイメージチェーン全体が複製されるので、移行元と移行先の両方のストレージドメインに、ディスクイメージチェーンとスナップショットをホストするのに十分なストレージ容量があることを確認してください。 新規スナップショットは、ライブストレージマイグレーションを試みる度に作成されます。これは、マイグレーションが失敗した場合も変わりません。

重要

実行中の仮想マシンにアタッチされたスナップショットの削除は、互換バージョンが 3.4 以前のデータセンターと、Red Hat Enterprise Linux 7.1 および Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor 7.1 よりも前のバージョンのオペレーティングシステムを実行するホストではサポートされていません。それ以外のデータセンターおよびホストの設定でライブストレージマイグレーションのスナップショットを削除するには、 仮想マシンがシャットダウンされた状態で手動で削除する必要があります。スナップショットの削除についての詳しい説明は、『テクニカルリファレンス』の「スナップショットの削除」のセクションを参照してください。
ライブストレージマイグレーション機能を使用する際には、以下の点を考慮してください。
  • ライブストレージマイグレーションにより、スナップショットが作成されます。
  • 一度に複数のディスクのライブマイグレーションを行うことが可能です。
  • 同じ仮想マシンの複数のディスクを複数のストレージドメインに分散して配置することができますが、各ディスクのイメージチェーンは 1 つのストレージドメインに保管する必要があります。
  • 互換バージョン 3.6 のデータセンターの場合には、同じデータセンター内の任意の 2 つのストレージドメイン間でディスクのライブマイグレーションを行うことができます。互換バージョンが 3.1、3.2、3.3、3.4、3.5 のデータセンターの場合には、同じデータセンター内の 2 つのファイルベースドメイン (NFS、POSIX、GlusterFS) または、同じデータセンター内の 2 つのブロックベースドメイン (FCP および iSCSI) の間でディスクのライブマイグレーションを行うことができます。ライブストレージマイグレーションは、互換バージョン 3.0 のデータセンターではサポートされていません。
  • 直接 LUN のハードディスクイメージまたは共有可能とマークされたディスクはライブマイグレーションすることはできません。

10.6.4. 仮想ディスクの移動

仮想マシンにアタッチされた仮想ディスクまたはフローティング仮想ディスクとして機能する仮想ディスクをストレージドメイン間で移動することができます。実行中の仮想マシンにアタッチされた仮想ディスクを移動することが可能です。 この機能は、ライブストレージマイグレーションと呼ばれています。もしくは、操作を続行する前に、仮想マシンをシャットダウンしてください。ライブストレージマイグレーションについての詳しい情報は、「ライブストレージマイグレーションの概要」を参照してください。
ディスクを移動する際には、以下の点を考慮してください。
  • 複数のディスクを同時に移行することが可能です。
  • 仮想マシンがシャットダウンされている場合には、同じデータセンター内の 2 つの任意のストレージドメイン間でディスクを移動することが可能です。互換バージョン 3.6 のデータセンターの場合には、実行中の仮想マシンにアタッチされたディスクを、同じデータセンター内の 2 つの任意のストレージドメイン間で移動することも可能です。互換バージョンが 3.1、3.2、3.3、3.4、3.5 のデータセンターの場合には、同じデータセンター内の 2 つのファイルベースドメイン (NFS、POSIX、GlusterFS) または、同じデータセンター内の 2 つのブロックベースドメイン (FCP および iSCSI) の間でのみ、実行中の仮想マシンにアタッチされたディスクを移動することが可能です。ライブストレージマイグレーションは、互換バージョン 3.0 のデータセンターではサポートされていません。
  • テンプレートをベースに作成された仮想ディスクが、ストレージ割り当てのシンプロビジョニングオプションを使用した仮想マシンにアタッチされている場合は、仮想マシンのベースとなったテンプレート用のディスクを、仮想ディスクと同じストレージドメインにコピーする必要があります。

手順10.3 仮想ディスクの移動

  1. ディスク タブを選択します。
  2. 移動する仮想ディスクを 1 つまたは複数選択します。
  3. 移動 をクリックして ディスクの移動 ウィンドウを開きます。
  4. ターゲット の一覧から、仮想ディスクの移動先となるストレージドメインを選択します。
  5. 該当する場合には、ディスクプロファイル の一覧から、ディスクのプロファイルを選択します。
  6. OK をクリックします。
仮想ディスクがターゲットのストレージドメインに移動され、移動中にはステータス Locked となります。移動したディスクが実行中の仮想マシンに接続されている場合には、ディスクのスナップショットが自動的に作成され、その仮想マシンの詳細ペインの スナップショット タブに表示されます。スナップショットの削除に関する詳しい説明は、「スナップショットの削除」を参照してください。

10.6.5. 仮想ディスクのコピー

概要

ストレージドメイン間で仮想ディスクをコピーすることができます。コピーされたディスクは、仮想マシンにアタッチすることが可能です。

手順10.4 仮想ディスクのコピー

  1. ディスク タブを選択します。
  2. コピーする仮想ディスクを選択します。
  3. コピー ボタンをクリックし、ディスクのコピー ウィンドウを開きます。
  4. オプションで、エイリアス テキストフィールドにエイリアスを入力します。
  5. ターゲット のドロップダウンメニューを使用して、仮想ディスクのコピー先となるストレージドメインを選択します。
  6. OK をクリックします。
結果

仮想ディスクがターゲットのストレージドメインにコピーされ、コピー中にはステータス Locked となります。

10.6.6. OpenStack Image Service からの仮想ディスクイメージのインポート

概要

OpenStack Image Service が外部プロバイダーとして Red Hat Enterprise Virtualization Manager に追加されている場合には、OpenStack Image Service によって管理される仮想ディスクイメージを Manager にインポートすることが可能です。

  1. ストレージ リソースタブをクリックして、結果一覧から OpenStack Image Service ドメインを選択します。
  2. 詳細ペインの イメージ タブでインポートするイメージを選択します。
  3. インポート をクリックすると イメージのインポート ウィンドウが開きます。
  4. データセンター ドロップダウンメニューから、仮想ディスクイメージのインポート先となるデータセンターを選択します。
  5. ドメイン名 ドロップダウンメニューから、仮想ディスクイメージの保管先となるストレージドメインを選択します。
  6. オプションで、クォータ ドロップダウンメニューから、仮想ディスクイメージに適用するクォータを選択します。
  7. OK をクリックしてイメージをインポートします。
結果

イメージがフローティングディスクとしてインポートされて、ディスク リソースタブの結果一覧に表示されます。これで仮想マシンにアタッチできる状態となりました。

10.6.7. OpenStack Image Service への仮想マシンディスクのエクスポート

概要

外部プロバイダーとして Manager に追加済みの OpenStack Image Service に仮想マシンディスクをエクスポートすることができます。

  1. ディスク リソースタブをクリックします。
  2. エクスポートするディスクを選択します。
  3. エクスポート ボタンをクリックすると、イメージのエクスポート ウィンドウが開きます。
  4. ドメイン名 ドロップダウンリストから、ディスクのエクスポート先となる OpenStack Image Service を選択します。
  5. クォータを適用する場合には、クォータ ドロップダウンリストから、そのディスクのクォータを選択します。
  6. OK をクリックします。
結果

仮想マシンディスクが指定した OpenStack Image Service にエクスポートされて、仮想マシンのディスクイメージとして管理されるようになりました。

重要

仮想マシンディスクは、複数のボリュームが含まれず、シンプロビジョニングされておらず、かつスナップショットが含まていない場合にのみエクスポートが可能です。