4.2. クラスターのタスク

4.2.1. 新規クラスターの作成

データセンターには複数のクラスターが属することができます。また、クラスターには複数のホストが属することが可能です。クラスター内のホストは同じ CPU タイプ (Intel あるいは AMD) である必要があります。CPU タイプを確実に最適化するには、クラスターを作成する前にホストを作成しておくことをお勧めします。ただしホストの設定は、Guide Me ボタンを使用して後で行うことができます。

手順4.1 新規クラスターの作成

  1. クラスター リソースタブを選択します。
  2. 新規作成 をクリックします。
  3. ドロップダウンメニューからクラスターが属する データセンター を選択します。
  4. クラスターの 名前説明 を入力します。
  5. 管理ネットワーク ドロップダウンリストでネットワークを選択して、管理ネットワークのロールを割り当てます。
  6. ドロップダウンリストから CPU アーキテクチャーCPU タイプ を選択します。CPU のプロセッサーファミリーが、クラスターにアタッチするホストの最小限必要な CPU タイプに適合していることが重要です。この条件が満たされない場合には、ホストは稼働しません。

    注記

    Intel および AMD のいずれの CPU タイプでも、CPU モデルは最も古いものから最も新しいものに論理的な順序でリストされます。クラスターに異なる複数の CPU モデルが含まれている場合には、最も古い CPU モデルを選択してください。各 CPU モデルについての詳しい情報は、https://access.redhat.com/solutions/634853 を参照してください。
  7. ドロップダウンリストからクラスターの 互換バージョン を選択します。
  8. クラスターに仮想マシンホストまたは Gluster 対応ノードを事前設定するかどうかに応じて、Virt サービスを有効にする または Gluster サービスを有効にする のいずれかのラジオボタンを選択します。Gluster サービスを有効にしたクラスターには、Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor ホストを追加することはできない点に注意してください。
  9. オプションで、仮想マシンのメンテナンスを行う理由の設定を有効にする のチェックボックスを選択して、Manager から仮想マシンをシャットダウンする際の理由フィールド (オプション) を有効にして、管理者によりメンテナンスの説明を提示できるようにします。
  10. オプションで、ホストのメンテナンスを行う理由の設定を有効にする のチェックボックスを選択して、Manager からホストをメンテナンスモードに切り替える際の理由フィールド (オプション) を有効にして、管理者がメンテナンスの説明を提示できるようにします。
  11. /dev/random source (Linux 提供のデバイス) または /dev/hwrng source (外部のハードウェアデバイス) のチェックボックスを選択して、クラスター内の全ホストが使用する乱数ジェネレーターデバイスを指定します。
  12. 最適化 タブをクリックし、クラスターのメモリーページ共有の閾値を選択します。またオプションで、クラスターのホストで CPU スレッド処理とメモリーバルーニングを有効化します。
  13. 耐障害性ポリシー タブをクリックして、仮想マシン移行ポリシーを選択します。
  14. スケジューリングポリシー タブをクリックして、そのクラスター内のホストのスケジューリングポリシーの設定、スケジューラーの最適化の設定、信頼済みサービスの有効化、HA 予約の有効化、カスタムのシリアル番号ポリシーの指定などをオプションで設定します。
  15. オプションとして、グローバルの SPICE プロキシー (該当する場合) を上書きするには、コンソール タブをクリックして、そのクラスター内のホストのSPICE プロキシーのアドレスを指定します。
  16. フェンシングポリシー タブをクリックして、クラスター内のフェンシングを有効化/無効化して、フェンシングオプションを選択します。
  17. OK をクリックしてクラスターを作成すると、新規クラスター - ガイド ウィンドウが開きます。
  18. 新規クラスター - ガイド ウィンドウでは、データセンターに設定する必要のあるエンティティーが表示されます。これらのエンティティーを設定するか、後で設定 ボタンを押して後ほど設定を行います。設定を再開するにはクラスターを選択し、Guide Me ボタンを押してください。
新規クラスターが仮想化環境に追加されました。

4.2.2. 新規クラスターおよびクラスターの編集ウィンドウの設定とコントロール

4.2.2.1. クラスターの全般設定

新規クラスターウィンドウ

図4.2 新規クラスターウィンドウ

以下の表には、新規クラスター および クラスターの編集 ウィンドウ内の 全般 タブの設定についての説明をまとめています。OK をクリックすると、無効な値が入力されている箇所はオレンジ色の枠で囲まれ、そのままでは変更が確定されないようになっています。また、フィールドプロンプトには、期待値または期待値の範囲が表示されます。

表4.1 クラスターの全般設定

フィールド
説明/アクション
データセンター
クラスターが所属するデータセンター。このデータセンターは、クラスターを追加する前に作成しておく必要があります。
名前
クラスターの名前。このテキストフィールドは最長で 40 文字に制限されており、アルファベットの大文字/小文字、数字、ハイフン、アンダースコアを任意に組み合わせた一意名にする必要があります。
説明 / コメント
クラスターの説明または補注。これらのフィールドへの入力は推奨されますが、必須ではありません。
管理ネットワーク
管理ネットワークロールに割り当てられる論理ネットワーク。デフォルトでは ovirtmgmt です。既存のクラスターの管理ネットワークは、詳細ペインの 論理ネットワーク タブの ネットワークを管理 ボタンを押して変更するのが唯一の方法です。
CPU アーキテクチャークラスターの CPU アーキテクチャー。選択する CPU アーキテクチャーによって、異なる CPU タイプが利用できます。
  • 未定義: すべての CPU タイプを利用できます。
  • x86_64: すべての Intel および AMD CPU タイプを利用できます。
  • ppc64: IBM POWER 8 のみを利用できます。
CPU タイプ
クラスターの CPU タイプ。以下のいずれかを選択します。
  • Intel Conroe Family
  • Intel Penryn Family
  • Intel Nehalem Family
  • Intel Westmere Family
  • Intel SandyBridge Family
  • Intel Haswell
  • AMD Opteron G1
  • AMD Opteron G2
  • AMD Opteron G3
  • AMD Opteron G4
  • AMD Opteron G5
  • IBM POWER 8
クラスター内の全ホストが Intel、AMD、IBM POWER 8 のいずれかの CPU タイプを実行する必要があります。作成後に変更すると大幅なサービスの中断を招きます。CPU タイプは、クラスター内で最も古い CPU モデルに設定すべきです。全モデルで実装されている機能のみが使用可能です。Intel および AMD のいずれの CPU タイプでも、CPU モデルは最も古いものから最も新しいものに論理的な順序でリストされます。
互換バージョン
Red Hat Enterprise Virtualization のバージョン。以下のいずれかを選択します。
  • 3.1
  • 3.2
  • 3.3
  • 3.3
  • 3.4
  • 3.5
  • 3.6
データセンターに指定されているバージョンよりも古いバージョンは選択できません。
Virt サービスを有効にする
このラジオボタンを選択した場合に、そのクラスター内のホストは仮想マシンの実行に使用されます。
Gluster サービスを有効にする
このラジオボタンを選択した場合に、そのクラスター内のホストは Red Hat Gluster Storage Server のノードとして使用され、仮想マシンは実行しません。このオプションが有効化されているクラスターには、Red Hat Enterprise Virtualization Hypervisor ホストを追加することはできません。
既存の Gluster 設定をインポート
このチェックボックスは、Gluster サービスを有効にする のラジオボタンが選択されている場合にのみ表示されます。このオプションにより、既存の Gluster 対応クラスターおよびそのクラスターにアタッチされた全ホストを Red Hat Enterprise Virtualization Manager にインポートすることができます。
次のオプションは、インポートするクラスター内の各ホストに必要となります。
  • アドレス: Gluster ホストサーバーの IP アドレスまたは完全修飾ドメイン名を入力します。
  • フィンガープリント: Red Hat Enterprise Virtualization Manager がホストのフィンガープリントを取得し、正しいホストに接続していることを確認します。
  • root パスワード: ホストとの通信に必要な root パスワードを入力します。
仮想マシンのメンテナンスを行う理由の設定を有効にするこのチェックボックスを選択した場合には、Manager を使用してクラスター内の仮想マシンをシャットダウンする際に、オプションの理由のフィールドが表示され、メンテナンスの理由を入力することができます。この理由は、ログに表示され、また仮想マシンの電源が再度オンになると表示されます。
ホストのメンテナンスを行う理由の設定を有効にするこのチェックボックスが選択されている場合には、Manager からクラスター内のホストをメンテナンスモードに切り替えると、オプションの理由のフィールドが表示されます。これにより、メンテナンスの理由を入力することが可能となります。この理由は、ログに表示され、またホストを再度アクティブにすると表示されます。
必要な乱数ジェネレーターのソース:
以下のチェックボックスのいずれかを選択する場合は、クラスター内の全ホストでそのデバイスが利用可能である必要があります。この設定により、乱数ジェネレーターデバイスからエントロピーを仮想マシンに渡すことができるようになります。
  • /dev/random source: Linux により提供される乱数ジェネレーター
  • /dev/hwrng source: 外部ハードウェアのジェネレーター
この機能は、Red Hat Enterprise Linux 6.6 以降、または Red Hat Enterprise Linux 7.0 以降のバージョンを実行するホストのみでサポートされている点に注意してください。

4.2.2.2. 最適化の設定

メモリーページ共有により、仮想マシンは他の仮想マシンで未使用のメモリーを活用することで、割り当てられたメモリーを最大 200% 利用することができます。このプロセスは、Red Hat Enterprise Virtualization 環境にある仮想マシンが同時にフル稼働しておらず、未使用のメモリーを特定の仮想マシンに一時的に割り当てることができるという前提に基づいています。
CPU スレッド処理により、ホストは、そのホストのコア数を上回るプロセッサーコア合計数で仮想マシンを実行することができます。この機能は、CPU を集中的に使用しないワークロードに有用で、より多くの仮想マシンを実行可能にすることにより、ハードウェア要件を軽減できます。またこれにより、特にゲストのコア数がホストのコアよりも多く、ホストのスレッド数よりも少ない場合に、この機能がなければ不可能な CPU トポロジーで仮想マシンを実行できます。
以下の表には、新規クラスター および クラスターの編集 ウィンドウの 最適化 タブの設定についての説明をまとめています。

表4.2 最適化の設定

フィールド
説明/アクション
メモリーの最適化
  • なし - メモリーのオーバーコミットを無効にする: メモリーページの共有が無効になります。
  • サーバーの負荷 - 物理メモリーの 150% のスケジューリングを許可する: メモリーページ共有の閾値を各ホストのシステムメモリーの 150% に設定します。
  • デスクトップの負荷 - 物理メモリーの 200% のスケジューリングを許可する: メモリーページ共有の閾値を各ホストのシステムメモリーの 200% に設定します。
CPU スレッド
スレッドをコアとしてカウント のチェックボックスを選択すると、ホストのコア数を上回るプロセッサーコア合計数の仮想マシンを実行することができます。
公開されたホストのスレッドは、コアとして扱われ、仮想マシンに活用することができます。たとえば、1 コアあたり 2 スレッドの 24 コアシステム (合計 48 スレッド) は、それぞれ最大 48 コアの仮想マシンを実行することができ、ホスト CPU の負荷を算出するアルゴリズムは、2 倍の利用可能コアに対して負荷を比較します。
メモリーバルーン
メモリーバルーンの最適化を有効にする のチェックボックスを選択すると、このクラスター内のホストで実行されている仮想マシンのメモリーのオーバーコミットが有効になります。このオプションが設定されると、Memory Overcommit Manager (MOM) が可能な箇所で可能な場合にバルーニングを開始します。各仮想マシンに確保されているメモリーのサイズが上限となります。
バルーンを稼働させるには、バルーンデバイスと適切なドライバーが必要です。クラスターレベル 3.2 以降の仮想マシンにはすべて、特に削除していない限り、バルーンデバイスが含まれています。このクラスター内の各ホストは、ステータスが Up に切り替わった時点でバルーンポリシーの更新を受信します。必要な場合には、ホスト上でステータスを変更せずにバルーンポリシーを手動で更新することができます。「クラスター内のホスト上での MOM ポリシーの更新」を参照してください。
シナリオによっては、バルーニングが KSM と競合する可能性があることを認識しておくことが重要です。そのような場合には、MOM がバルーンサイズの調整を試みて、競合を最小限に抑えます。また、一部のシナリオでは、バルーニングによって、仮想マシンでパフォーマンスが十分最適化されない可能性があります。バルーニングの最適化は、慎重に使用することを推奨します。
KSM コントロール
KSM を有効化 のチェックボックスを選択すると、MOM が有効になり、必要な場合に、CPU を犠牲にしてもメモリーを節約することでより高いメリットが得られる場合に Kernel Same-page Merging (KSM) を実行します。

4.2.2.3. 耐障害性ポリシー設定

耐障害性ポリシーは、ホストが稼働しなくなった場合の仮想マシンの移行ポリシーを設定します。非稼働状態のホストで実行されている仮想マシンは、同じクラスター内の別のホストにライブマイグレーションされます。このマイグレーションは、クラスターの耐障害性ポリシーによって決定されます。ホストが非稼働状態で再起動された場合には、高可用性に設定されている仮想マシンは、そのクラスター内の別のホストで再起動されます。耐障害性ポリシーは、非稼働状態のホストにのみ適用されます。

表4.3 ホストのエラー状態

ステータス
説明
Non Operational
Non Operational (非稼働状態) のホストとは、Manager を使用して通信することができますが、設定が正しくありません (例: 論理ネットワークが見つからないなど)。ホストが非稼働状態になった場合には、仮想マシンのマイグレーションはクラスターの耐障害性ポリシーによって決定されます。
Non Responsive
Non Responsive (応答なし) のホストは、Manager を使用して通信することはできません。ホストが応答なしの状態になった場合には、高可用性に設定されている全仮想マシンは同じクラスター内の別のホスト上で再起動されます。
仮想マシンの移行は、ネットワーク負荷の高い操作です。たとえば、ホストが 10 台以上の仮想マシンを実行している環境でそれらすべてを移行/再起動すると、多大な時間とリソースを要するプロセスとなってしまいます。そのため、ご使用の環境に適したポリシーアクションを選択する必要があります。慎重に進めていくには、仮想マシンの移行をすべて無効な状態にします。また、数多くの仮想マシンがあっても、クリティカルなワークロードを実行しているマシンは数台のみの場合には、高可用性の仮想マシンのみを移行するオプションを選択します。
以下の表には、新規クラスター および クラスターの編集 ウィンドウの 耐障害性ポリシー タブの設定についての説明をまとめています。新規クラスター作成時の耐障害性ポリシーの設定方法についての詳しい説明は、「新規クラスターの作成」を参照してください。

表4.4 耐障害性ポリシー設定

フィールド
説明/アクション
仮想マシンを移行する
定義した優先度の順に、すべての仮想マシンを移行します。
高可用性の仮想マシンのみを移行する
高可用性の仮想マシンのみ移行し、他のホストが過負荷状態になるのを防ぎます。
仮想マシンを移行しない
仮想マシンが移行されないようにします。

4.2.2.4. スケジューリングポリシーの設定

スケジューリングポリシーにより、利用可能なホスト間で仮想マシンの使用率や配分を指定することができます。クラスター内のホスト間で、自動的に負荷を分散できるようにするには、スケジューリングポリシーを定義します。
既存のクラスターにスケジューリングポリシーを追加するには、クラスター タブで 編集 ボタンをクリックして、スケジューリングポリシー のタブを選択します。
スケジューリングポリシーの設定: vm_evenly_distributed

図4.3 スケジューリングポリシーの設定: vm_evenly_distributed

以下の表には、スケジューリングポリシー タブの設定についての説明をまとめています。

表4.5 スケジューリングポリシータブのプロパティー

フィールド
説明/アクション
ポリシーを選択
ドロップダウンリストからポリシーを選択します。
  • None: ポリシーの値を None に設定すると、ホスト間での負荷分散や電源共有は行われません。これはデフォルトのモードになります。
  • evenly_distributed: クラスター内の全ホストでメモリーおよび CPU 処理の負荷が均等に分散されます。ホストが定義済みの上限閾値に達している場合には、仮想マシンをそのホストに追加でアタッチしてもその仮想マシンは起動しません。
  • InClusterUpgrade: ホストのオペレーティングシステムのバージョンに基づいて仮想マシンを分散します。仮想マシンを実行しているホストよりも新しいバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホストは、同じバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホストよりも優先されます。より新しいオペレーティングシステムのホストに移行した仮想マシンは、古いオペレーティングシステムのホストには戻りません。仮想マシンは、クラスター内の任意のホストで再起動することが可能です。このポリシーでは、クラスターで複数のオペレーティングシステムのバージョンの混在を許可することによって、クラスター内のホストをアップグレードすることができます。このポリシーを有効にする前に、前提条件を満たす必要があります。詳しくは、アップグレードガイド を参照してください。
  • power_saving: 使用可能なホストのサブセットでメモリーおよび CPU 処理の負荷を分散し、十分に活用されていないホストの電力消費を低減します。ホストの CPU 負荷が使用率の下限値以下の状態で所定の時間が経過すると、仮想マシンはすべて別のホストに移行され、電源をオフにできるようになります。ホストが定義済みの使用率の上限値に達している場合には、仮想マシンをそのホストに追加でアタッチしてもその仮想マシンは起動しません。
  • vm_evenly_distributed: 仮想マシン数に基づいて、ホスト間で仮想マシンを均等に配分します。ホストが HighVmCount を超える数の仮想マシンを実行しており、かつ仮想マシン数が MigrationThreshold を超えるホストが少なくとも 1 台ある場合には、そのクラスターはバランスが取れていない状態と見なされます。
プロパティー
以下のプロパティーは、選択したポリシーに応じて表示され、必要に応じて編集することができます。
  • HighVmCount: 各ホストで実行することができる仮想マシンの最大数を設定します。この制限を超えると、ホストは過負荷状態と見なされます。デフォルト値は 10 です。
  • MigrationThreshold: 仮想マシンがホストから移行されるバッファーを定義します。これは、稼働率の最も高いホストと最も低いホストの間での仮想マシン数の差異の最大値 (この値を含む) です。クラスター内の全ホストで仮想マシン数がこの移行閾値内に収まる場合は、そのクラスターはバランスが取れた状態ということになります。デフォルト値は 5 です。
  • SpmVmGrace: SPM ホスト上で仮想マシン用に確保されるスロット数に関する定義を行います。SPM ホストの負荷が他のホストよりも低くなるように、この変数で SPM ホストが他のホストよりもどれだけ少ない数の仮想マシンを実行するかを定義します。デフォルト値は 5 です。
  • CpuOverCommitDurationMinutes: スケジューリングポリシーが対応するまでに、ホストが所定の使用率外で CPU 負荷を実行できる時間 (分単位) を設定します。この時間を定義することにより、CPU 負荷の一時的な急上昇によりスケジューリングポリシーがアクティブ化されて仮想マシンの移行が不必要に行われるのを防ぐことができます。最大 2 桁までとします。デフォルト値は 2 です。
  • HighUtilization: パーセンテージで指定します。ホストが上限値以上の CPU 使用率で稼働した状態で、規定の時間が経過すると、Red Hat Enterprise Virtualization Manager は、ホストの CPU 負荷が上限閾値を下回るまで、仮想マシンをクラスター内の別の仮想マシンに移動します。デフォルト値は 80 です。
  • LowUtilization: パーセンテージで指定します。CPU 使用率が下限値を下回っている状態でホストが稼働して、規定の時間が経過すると、Red Hat Enterprise Virtualization Manager はクラスター内の他のホストに仮想マシンを移行します。Manager は、元のホストマシンの電源を遮断し、負荷分散で必要となった場合やクラスター内で使用可能なホストが十分にない場合にそのホストを再起動します。デフォルト値は 20 です。
  • ScaleDown: 指定した値でホストのスコアを除することにより、HA 予約 の加重関数による影響を軽減します。これは、none を含む任意のポリシーに追加することが可能なオプションのプロパティーです。
  • HostsInReserve: 実行中の仮想マシンがなくても稼働を続けるホストの数を指定します。これは、power_saving ポリシーに追加することができるオプションのプロパティーです。
  • EnableAutomaticHostPowerManagement: クラスター内の全ホストの自動電源管理を有効にします。これは、power_saving ポリシーに追加することができるオプションのプロパティーです。デフォルト値は true です。
  • MaxFreeMemoryForOverUtilized: 最小のサービスレベルに必要な空きメモリー容量を MB 単位で設定します。ホストのメモリー使用率がこの値以上で実行されると、Red Hat Enterprise Virtualization Manager は、ホストの空きメモリーが最小のサービス閾値を下回るまで、仮想マシンをクラスター内の他のホストに移行します。MaxFreeMemoryForOverUtilizedMinFreeMemoryForUnderUtilized の両方を 0 MB に設定すると、メモリーベースの負荷分散は無効になります。これは、power_saving および evenly_distributed のポリシーに追加可能なオプションのプロパティーです。
  • MinFreeMemoryForUnderUtilized: 最大のサービスレベルに必要な最小の空きメモリー容量を MB 単位で設定します。ホストのメモリー使用率がこの値以下で実行されると、Red Hat Enterprise Virtualization Manager はクラスター内の別のホストに仮想マシンを移行してから、そのホストマシンの電源を自動的に切断し、負荷分散により要求された場合やクラスター内の利用可能なホストが足りない場合に再起動します。 MaxFreeMemoryForOverUtilizedMinFreeMemoryForUnderUtilized を両方 0 MB に設定すると、メモリーベースの負荷分散は無効になります。これは、power_saving および evenly_distributed のポリシーに追加可能なオプションのプロパティーです。
スケジューラーの最適化
ホストの加重/順序のスケジューリングを最適化します。
  • 使用率で最適化: スケジューリングに加重モジュールが含まれ、最適の選択が可能となります。
  • スピードで最適化: 保留中の要求が 10 件以上ある場合には、ホストの重み付けをスキップします。
信頼済みサービスを有効にする
OpenAttestation サーバーとの統合を有効にします。この設定を有効にする前に、engine-config ツールを使用して OpenAttestation サーバーの詳細を入力します。
HA 予約を有効にする
Manager による高可用性仮想マシン用のクラスターキャパシティーのモニタリングを有効にします。Manager は、既存のホストで予期しないエラーが発生した場合に、高可用性に指定されている仮想マシンを移行するための適切なキャパシティーをクラスター内で確保します。
カスタムのシリアル番号ポリシーを指定する
このチェックボックスを選択すると、クラスター内の仮想マシンのシリアル番号ポリシーを指定することができます。以下のいずれかのオプションを選択してください。
  • ホストの ID: 仮想マシンのシリアル番号に、ホストの UUID を設定します。
  • 仮想マシンの ID: 仮想マシンのシリアル番号に、仮想マシンの UUID を設定します。
  • カスタムのシリアル番号: カスタムのシリアル番号を指定することができます。
移行の自動収束
このオプションは、クラスター内の仮想マシンのライブマイグレーション中に自動収束を使用するかどうかを設定することができます。ワークロードが大きくサイズの大きい仮想マシンは、ライブマイグレーション中に到達する転送率よりも早くメモリーをダーティーな状態にして、移行を収束できないようにする可能性があります。QEMU の自動収束機能は、仮想マシンの移行を強制的に収束させることができます。QEMU は収束されていないことを自動検出し、仮想マシンで vCPU のスロットルを減らします。デフォルトでは、自動収束はグローバルレベルで無効化されています。
  • engine-config を使用してグローバルレベルで設定されている自動収束の設定を使用するには、グローバル設定から継承する を選択します。このオプションはデフォルトで選択されています。
  • グローバル設定を上書きして、クラスター内の仮想マシンの自動収束を可能にするには、自動収束 を選択します。
  • グローバル設定を上書きして、クラスター内の仮想マシンの自動収束をできないようにするには、自動収束しない を選択します。
移行時の圧縮の有効化
このオプションでは、クラスター内の仮想マシンのライブマイグレーション中に移行の圧縮を使用するかどうかを設定することができます。この機能は、Xor Binary Zero Run-Length-Encoding を使用して、仮想マシンのダウンタイムおよび、メモリーの書き込みの多いワークロードを実行する仮想マシンやメモリー更新パターンがスパースなアプリケーションの合計ライブマイグレーション時間を減らします。デフォルトでは、移行の圧縮はグローバルレベルで無効化されています。
  • engine-config を使用してグローバルレベルで設定されている圧縮の設定を使用するには、グローバル設定から継承する を選択します。このオプションはデフォルトで選択されています。
  • グローバル設定を上書きして、クラスター内の仮想マシンの圧縮を可能にするには、圧縮 を選択します。
  • グローバル設定を上書きして、クラスター内の仮想マシンの圧縮をできないようにするには、圧縮しない を選択します。
ホストの空きメモリーが 20% 未満に下がると、mom.Controllers.Balloon - INFO Ballooning guest:half1 from 1096400 to 1991580 のようなバルーニングコマンドが /var/log/vdsm/mom.log にログ記録されます。/var/log/vdsm/mom.log は、Memory Overcommit Manager のログファイルです。

4.2.2.5. クラスターのコンソール設定

以下の表には、新規クラスター および クラスターの編集 ウィンドウの コンソール タブの設定についての説明をまとめています。

表4.6 コンソールの設定

フィールド
説明/アクション
クラスターの SPICE プロキシーを定義
グローバル設定で定義されている SPICE プロキシーの上書きを有効にするには、このチェックボックスを選択します。この機能は、ハイパーバイザーが属するネットワークの外部からユーザーが接続する場合 (例: ユーザーポータルからの接続) に有用です。
SPICE プロキシーアドレスを上書き
SPICE クライアントが仮想マシンに接続するのに使用するプロキシー。このアドレスは、以下の形式で指定する必要があります。
protocol://[host]:[port]

4.2.2.6. フェンシングポリシーの設定

以下の表には、新規クラスター および クラスターの編集 ウィンドウの フェンシングポリシー タブの設定についての説明をまとめています。

表4.7 フェンシングポリシーの設定

フィールド説明/アクション
フェンシングを有効にするクラスターでフェンシングを有効にします。フェンシングはデフォルトで有効化されていますが、必要に応じて無効にすることができます。たとえば、一時的なネットワークの問題が発生している場合、または発生することが予想される場合に、診断またはメンテナンスの作業が完了するまでの間、管理者はフェンシングを無効にすることができます。フェンシングが無効になると、応答なしの状態のホストで実行されている高可用性の仮想マシンは、別のホストでは再起動されなくなる点に注意してください。
ホストがストレージの有効なリースを持っている場合はフェンシングをスキップこのチェックボックスを選択した場合には、ステータスが Non Responsive で、かつストレージにまだ接続されているクラスター内のホストはフェンシングされません。
クラスターの接続性に問題がある場合はフェンシングをスキップこのチェックボックスを選択すると、クラスター内で接続の問題が発生しているホストの割合が定義済みの 閾値 以上となった場合にフェンシングが一時的に無効となります。閾値 の値はドロップダウンリストから選択します。設定可能な値は、255075100 です。

4.2.3. リソースの編集

概要

リソースのプロパティーを編集します。

手順4.2 リソースの編集

  1. リソースタブ、ツリーモード、または検索機能を使用して、結果一覧に表示された候補の中から対象のリソースを選択します。
  2. 編集 をクリックして 編集 ウィンドウを開きます。
  3. 必要なプロパティーを変更して OK をクリックします。
結果

新規プロパティーがリソースに保存されました。プロパティーフィールドが無効の場合には、編集 ウィンドウは閉じません。

4.2.4. クラスター内のホストに負荷および電源管理のポリシーを設定する手順

evenly_distributed および power_saving のスケジューリングポリシーでは、許容可能なメモリーおよび CPU 使用率の値と、どの時点で仮想マシンがホスト間で移行される必要があるかを指定することができます。vm_evenly_distributed スケジューリングポリシーは、仮想マシンの数に基づいて、ホスト間で仮想マシンを均等に配分します。クラスター内のホスト間における自動負荷分散を有効にするスケジューリングポリシーを定義します。各スケジューリングポリシーに関する詳しい説明は、「スケジューリングポリシーの設定」を参照してください。

手順4.3 ホストに負荷および電源管理のポリシーを設定する手順

  1. リソースタブ、ツリーモード、または検索機能を使用して、結果一覧に表示された候補の中から対象のクラスターを選択します。
  2. 編集 クリックすると、クラスターの編集 ウィンドウが表示されます。
    スケジューリングポリシーの編集

    図4.4 スケジューリングポリシーの編集

  3. 以下のポリシーのいずれかを選択します。
    • none
    • vm_evenly_distributed
      1. HighVmCount フィールドには、各ホストで実行可能な仮想マシンの最大数を設定します。
      2. MigrationThreshold フィールドには、使用率が最も高いホスト上の仮想マシン数と使用率が最も低いホスト上の仮想マシン数の差異を定義します。
      3. SpmVmGrace フィールドで定義するスロット数により、SPM ホスト上で仮想マシン用に確保されるスロット数が他のホストよりもどれだけ少なくなるかを指定します。
    • evenly_distributed
      1. CpuOverCommitDurationMinutes フィールドには、スケジューリングポリシーが対応するまでに、ホストが所定の使用率外で CPU 負荷を実行できる時間 (分単位) を設定します。
      2. HighUtilization フィールドには、他のホストへの仮想マシン移行を開始する CPU 使用率を入力します。
      3. MinFreeMemoryForUnderUtilized には、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する、必要な空きメモリー容量の最小値を MB 単位でを入力します。
      4. MaxFreeMemoryForOverUtilized には、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する、必要な最大空きメモリー容量を MB 単位でを入力します。
    • power_saving
      1. CpuOverCommitDurationMinutes フィールドには、スケジューリングポリシーが対応するまでに、ホストが所定の使用率外で CPU 負荷を実行できる時間 (分単位) を設定します。
      2. LowUtilization フィールドには、ホストが十分に活用されていないと見なされる CPU 使用率の下限を入力します。
      3. HighUtilization フィールドには、他のホストへの仮想マシン移行を開始する CPU 使用率を入力します。
      4. MinFreeMemoryForUnderUtilized には、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する、必要な空きメモリー容量の最小値を MB 単位でを入力します。
      5. MaxFreeMemoryForOverUtilized には、仮想マシンが他のホストへの移行を開始する、必要な最大空きメモリー容量を MB 単位でを入力します。
  4. クラスターの スケジューラーの最適化 には、以下のいずれかを選択します。
    • 使用率で最適化 を選択すると、スケジューリングに加重モジュールが含まれ、最適の選択が可能となります。
    • スピードで最適化 を選択すると、保留中の要求が 10 件以上ある場合には、ホストの重み付けをスキップします。
  5. engine-config ツールを使用してサーバーの詳細を設定済みで、OpenAttestation サーバーを使用してホストを検証する場合は、信頼済みサービスを有効にする のチェックボックスを選択します。
  6. オプションとして、Manager による高可用性仮想マシン用のクラスターキャパシティーのモニタリングを有効にするには、HA 予約を有効にする のチェックボックスにチェックを入れます。
  7. オプションとして、クラスター内の仮想マシンのシリアル番号ポリシーを指定するには、カスタムのシリアル番号ポリシーを指定する チェックボックスにチェックを入れて、以下のオプションのいずれかを選択します。
    • ホストの UUID を仮想マシンのシリアル番号として設定するには、Host ID を選択します。
    • 仮想マシンの UUID を仮想マシンのシリアル番号として設定するには、Vm ID を選択します。
    • カスタムのシリアル番号を指定するには、カスタムのシリアル番号 を選択します。
  8. OK をクリックします。

4.2.5. クラスター内のホスト上での MOM ポリシーの更新

Memory Overcommit Manager は、ホストでメモリーバルーンと KSM の機能を処理します。これらの機能をクラスターレベルで変更した場合には、その設定がホストに渡されるのは、ホストの再起動後か、ホストがメンテナンスモードから Up のステータスに切り替わった後のみです。ただし、必要な場合には、ホストが Up の状態の時に MOM ポリシーを同期することによって、重要な変更をホストに即時に適用することができます。以下の手順は、各ホストで個別に実行する必要があります。

手順4.4 ホスト上での MOM ポリシーの同期

  1. クラスター タブをクリックして、対象のホストが属するクラスターを選択します。
  2. 詳細ペインの ホスト タブをクリックして、MOM ポリシーを更新する必要のあるホストを選択します。
  3. MOM ポリシーを同期 をクリックします。
この操作を実行すると、ホストをメンテナンスモードに切り替えてから Up のステータスに戻す必要なく、ホスト上の MOM ポリシーが更新されます。

4.2.6. CPU プロファイル

CPU プロファイルは、クラスター内の仮想マシンが、その仮想マシンを実行するホストで利用できる最大処理能力を定義します。この値は、そのホストで利用可能な総処理能力に対するパーセンテージで指定します。CPU プロファイルは、データセンター下で定義されている CPU プロファイルに基づいて作成されますが、クラスター内の全仮想マシンには自動的に適用されないので、有効にするには個別の仮想マシンに手動で割り当てる必要があります。

4.2.6.1. CPU プロファイルの作成

CPU プロファイルを作成します。以下の手順は、クラスターの属するデータセンター下で CPU QoS エントリーが 1 つ以上定義済みであることを前提としています。

手順4.5 CPU プロファイルの作成

  1. クラスター リソースタブをクリックしてクラスターを選択します。
  2. 詳細ペインで CPU プロファイル のサブタブをクリックします。
  3. 新規作成 をクリックします。
  4. 名前 フィールドに CPU プロファイルの名前を入力します。
  5. 説明 フィールドに CPU プロファイルの説明を入力します。
  6. QoS 一覧から CPU プロファイルに適用する QoS を選択します。
  7. OK をクリックします。
CPU プロファイルが作成されました。この CPU プロファイルは、そのクラスター内の仮想マシンに適用することができます。

4.2.6.2. CPU プロファイルの削除

Red Hat Enterprise Virtualization 環境から既存の CPU プロファイルを削除します。

手順4.6 CPU プロファイルの削除

  1. クラスター リソースタブをクリックしてクラスターを選択します。
  2. 詳細ペインで CPU プロファイル のサブタブをクリックします。
  3. 削除する CPU プロファイルを選択します。
  4. 削除 をクリックします。
  5. OK をクリックします。
CPU プロファイルが削除され、その CPU プロファイルは使用できなくなりました。CPU プロファイルが仮想マシンに割り当てられていた場合は、その仮想マシンには default CPU プロファイルが自動的に割り当てられます。

4.2.7. 既存の Red Hat Gluster Storage クラスターのインポート

Red Hat Gluster Storage クラスターおよびそのクラスターに属する全ホストを Red Hat Enterprise Virtualization Manager にインポートすることができます。
クラスター内のホストの IP アドレスやホスト名、パスワードなどの情報を提供する際には、SSH 経由で、そのホスト上で gluster peer status コマンドを実行すると、そのクラスターに属するホストの一覧が表示されます。各ホストのフィンガープリントは手動で確認して、パスワードを提供する必要があります。クラスター内のいずれかのホストが停止しているか、または到達不可な時には、クラスターをインポートすることはできません。新たにインポートされたホストには、VDSM はインストールされていないので、インポートした後には、ブートストラップスクリプトにより必要な VDSM パッケージがすべてホストにインストールされ、ホストが再起動されます。

重要

現在、Red Hat Gluster Storage ノードは、互換性レベルが 3.13.2、または 3.3 に設定されたクラスターにしか追加できません。

手順4.7 Red Hat Enterprise Virtualization Manager への既存の Red Hat Gluster Storage クラスターのインポート

  1. クラスター リソースタブを選択すると、結果一覧に全クラスターが表示されます。
  2. 次に 新規作成 ボタンをクリックして、新規クラスター ウィンドウを開きます。
  3. ドロップダウンメニューからクラスターが属する データセンター を選択します。
  4. クラスターの 名前説明 を入力します。
  5. Gluster サービスを有効にする のラジオボタンと 既存の Gluster 設定をインポート のチェックボックスを選択します。
    既存の Gluster 設定をインポート のフィールドは、Gluster サービスを有効にする のラジオボタンを選択した場合のみに表示されます。
  6. アドレス フィールドに、クラスター内の任意のサーバーのホスト名または IP アドレスを入力します。
    ホストの フィンガープリント が表示され、正しいホストに接続していることを確認します。ホストが到達不可の場合、またはネットワークエラーが発生している場合には、フィンガープリント フィールドに フィンガープリントの取得でエラーが発生しました というエラーメッセージが表示されます。
  7. サーバーの root パスワード を入力し、OK をクリックします。
  8. ホストの追加 ウィンドウが開き、クラスターに属するホストの一覧が表示されます。
  9. 各ホストの 名前root パスワード を入力します。
  10. 全ホストで同じパスワードを使用する場合は、共通のパスワードを使用 のチェックボックスを選択し、表示されているテキストフィールドにパスワードを入力します。
    適用をクリックし、入力したパスワードを全ホストに設定します。
    フィンガープリントが有効であることを確認した上で OK をクリックし、変更を送信します。
ホストをインポートした後に、ブートストラップスクリプトにより、必要な VDSM パッケージがすべてホストにインストールされました。既存の Red Hat Gluster Storage クラスターが Red Hat Enterprise Virtualization Manager に正常にインポートされました。

4.2.8. ホストの追加ウィンドウの設定

ホストの追加 ウィンドウでは、Gluster 対応クラスターの一部としてインポートするホストの詳細を指定することができます。このウィンドウは、新規クラスター ウィンドウの Gluster サービスを有効にする のチェックボックスを選択して、必要なホストの詳細を指定した後に表示されます。

表4.8 Gluster ホスト追加の設定

フィールド説明
共通のパスワードを使用クラスター内の全ホストに同じパスワードを使用するには、このチェックボックスにチェックを入れます。パスワード フィールドにパスワードを入力して、適用 ボタンをクリックすると、そのパスワードが全ホストに設定されます。
名前ホスト名を入力します。
ホスト名/IP アドレスこのフィールドには、新規クラスター ウィンドウで指定したホストの完全修飾ドメイン名または IP アドレスが自動的に入力されます。
root パスワードホストごとに異なる root パスワードを使用する場合には、このフィールドにパスワードを入力します。このフィールドにより、クラスター内の全ホストに対して指定した共通パスワードが上書きされます。
フィンガープリントホストのフィンガープリントが表示され、正しいホストに接続することを確認します。このフィールドには、新規クラスター ウィンドウで指定したホストのフィンガープリントが自動的に入力されます。

4.2.9. クラスターの削除

概要

削除前にクラスターからすべてのホストを移動します。

注記

Default クラスターには Blank テンプレートが含まれているため削除することはできません。ただし、Default クラスターの名前を変更し、新規データセンターに追加することはできます。

手順4.8 クラスターの削除

  1. リソースタブ、ツリーモード、または検索機能を使用して、結果一覧に表示された候補の中から対象のクラスターを選択します。
  2. クラスター内にホストがないことを確認します。
  3. 削除 をクリックすると クラスターの削除 の確認ウィンドウが開きます。
  4. OK をクリックします。
結果

クラスターが削除されました。

4.2.10. クラスターの互換バージョンの変更

Red Hat Enterprise Virtualization のクラスターには互換バージョンがあります。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内の全ホストがサポートする Red Hat Enterprise Virtualization の機能を示します。クラスターの互換バージョンは、そのクラスター内で最も機能性の低いホストのバージョンに応じて設定されます。

注記

クラスターの互換バージョンを変更するには、まず、クラスター内の全ホストを更新して、必要な互換性レベルをサポートするレベルにする必要があります。

手順4.9 クラスターの互換バージョンの変更

  1. 管理ポータルで クラスター タブをクリックします。
  2. 表示された一覧の中から、変更するクラスターを選択します。
  3. 編集 をクリックします。
  4. 互換バージョン を必要な値に変更します。
  5. OK をクリックして、クラスターの互換バージョンを変更 の確認ウィンドウを開きます。
  6. OK をクリックして確定します。
クラスターの互換バージョンが更新されました。データセンター内の全クラスターの互換バージョンの更新が済むと、データセンター自体の互換バージョンも変更することができます。

警告

互換バージョンをアップグレードすると、そのデータセンターに属しているストレージドメインもすべてアップグレードされます。互換バージョンを 3.0 以前のバージョンから 3.1 以降にアップグレードすると、これらのストレージドメインは 3.0 以前のバージョンでは使用できなくなります。