第1章 Red Hat Enterprise Virtualization 環境の管理とメンテナンス

Red Hat Enterprise Virtualization 環境を継続的に稼働させるには管理者が必要です。管理者のタスクには、以下が含まれます。
  • ホストや仮想マシンなどの物理/仮想リソースの管理。これには、ホストのアップグレードや追加、ドメインのインポート、異種のハイパーバイザーで作成された仮想マシンの変換、仮想マシンプールのメンテナンスなどが含まれます。
  • 1 台のホストに対する過度の負荷やメモリー/ディスク容量の不足などの潜在的な問題を特定するためのシステムリソース全体のモニタリングと必要措置の実施 (例: 仮想マシンを別のホストに移行して負荷を軽減したり、マシンをシャットダウンしてリソースを解放したりするなど) 。
  • 仮想マシンの新規要件への対応 (例: オペレーティングシステムのアップグレード、追加メモリー割り当てなど)。
  • タグを使用してカスタマイズしたオブジェクトプロパティーの管理
  • 公開ブックマークとして保存した検索の管理
  • ユーザー設定の管理やパーミッションレベルの設定
  • 特定のユーザー、仮想マシン、またはシステム全体の機能のトラブルシューティング
  • 一般レポートおよび明細レポートの生成

1.1. グローバル設定

管理ポータルのヘッダーバーから 設定 ボタンをクリックしてウィンドウを開くと、ユーザー、ロール、システム権限、スケジューリングポリシー、インスタンスタイプ、MAC アドレスプールなどの Red Hat Enterprise Virtualization 環境のさまざまなグローバルリソースを設定することができます。このウィンドウで、ユーザーが環境内のリソースと対話する方法をカスタマイズすることが可能です。また、複数のクラスターに適用できるオプションを一元的に設定する場所が提供されます。
Accessing the Configure window

図1.1 設定ウィンドウへのアクセス

1.1.1. ロール

ロールとは、Red Hat Enterprise Virtualization Manager から設定することが可能な、事前定義済みの権限セットです。ロールは、データセンター内の異なるレベルのリソース、特定の物理/仮想リソースに対するアクセスと管理のパーミッションを提供します。
マルチレベルの管理では、コンテナーオブジェクトに適用されるパーミッションは、そのコンテナー内の個々のオブジェクトすべてに適用されます。たとえば、特定のホストを対象とするホスト管理者ロールがユーザーに割り当てられると、そのユーザーには、割り当てられたホストのみに対して、使用できるすべてのホスト操作を実行するパーミッションが付与されます。一方、データセンターを対象とするホスト管理者ロールが割り当てられると、そのユーザーには、データセンターのクラスター内の全ホストに対してホスト操作を実行するパーミッションが付与されます。

1.1.1.1. 新規ロールの作成

必要とするロールが Red Hat Enterprise Virtualization のデフォルトロール一覧にない場合には、新規ロールを作成し、目的に応じてカスタマイズすることができます。

手順1.1 新規ロールの作成

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックすると 設定 ウィンドウが開きます。このウィンドウには、デフォルトのユーザー/管理者ロールとカスタムロールの一覧が表示されます
  2. 新規作成 をクリックすると 新規ロール のウィンドウが開きます。
    新規ロールのウィンドウ

    図1.2 新規ロールのウィンドウ

  3. 新規ロールの 名前説明 を入力します。
  4. アカウントタイプ管理者 または ユーザー のいずれかを選択します。
  5. 操作を許可するチェックボックス の一覧に表示されているオブジェクトに対するパーミッションは、すべてを展開 または すべてを折りたたむ ボタンを使用して表示を展開または折りたたむことができます。また、オブジェクト別にオプションを展開または折りたたむことも可能です。
  6. オブジェクト別に、設定中のロールで許可するアクションにはチェックを入れ、許可しないアクションからはチェックを外します。
  7. OK をクリックして、変更を適用します。ロールの一覧に新規ロールが表示されます。

1.1.1.2. ロールの編集とコピー

自分で作成したロールの設定は変更することができますが、デフォルトのロールは変更できません。デフォルトのロールを変更するには、そのデフォルトのロールをコピーしてから、コピーしたロールを要件に応じて変更してください。

手順1.2 ロールの編集とコピー

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックすると 設定 ウィンドウが開きます。このウィンドウには、デフォルトのユーザー/管理者ロールとカスタムロールの一覧が表示されます
  2. 変更するロールを選択し、編集 をクリックすると ロールの編集 ウィンドウが開きます。また、コピー をクリックすると、ロールのコピー ウィンドウが開きます。
  3. 必要な場合には、ロールの 名前説明 を編集します。
  4. 一覧表示されているオブジェクトに対するパーミッションは、すべてを展開 または すべてを折りたたむ のボタンを使用して表示を展開または折り畳むことができます。また、オブジェクト別にオプションを展開または折り畳むことも可能です。
  5. オブジェクト別に、編集中のロールで許可するアクションにはチェックを入れ、許可しないアクションからはチェックを外します。
  6. OK をクリックして、変更を適用します。

1.1.1.3. ユーザーロールと認証の例

以下の例では、本章で説明する認証システムの多様な機能を使用して、さまざまなシナリオで認証管理を適用する方法について説明します。

例1.1 クラスターのパーミッション

Sarah は、ある企業の経理部門のシステム管理者です。この部門の全仮想リソースは、Accounts という名前の Red Hat Enterprise Virtualization クラスターにまとめられています。Sarah は、このクラスターの ClusterAdmin ロールを割り当てられました。仮想マシンはクラスターの子オブジェクトであるため、クラスター内の全仮想マシンを管理できるようになります。仮想マシンの管理には、ディスクなどの仮想リソースの編集/追加/削除や、スナップショットの作成などが含まれますが、このクラスター外のリソースは一切管理できません。ClusterAdmin は管理者ロールなので、管理ポータルを使用してこれらのリソースを管理できますが、ユーザーポータルを介したアクセスは一切提供されません。

例1.2 VM PowerUser のパーミッション

John は経理部門のソフトウェア開発者です。仮想マシンを使用してソフトウェアの構築やテストを行います。Sarah は John に johndesktop という仮想デスクトップを作成しました。John には、johndesktop 仮想マシンに対する UserVmManager ロールが割り当てられました。これによって、John は、ユーザーポータルを使用してこの 1 台の仮想マシンにアクセスすることができます。UserVmManager のパーミッションがあるので、仮想マシンの設定を変更したり、新規仮想ディスクなどのリソースを追加したりすることができます。UserVmManager はユーザーロールであるため、管理ポータルは使用できません。

例1.3 データセンターパワーユーザーロールのパーミッション

Penelope はオフィスマネージャーです。自分の責務以外に、人事部マネージャーの人事関連の業務を手伝って、面接の日取りを決めたり、身元照会の追跡調査を行ったりすることもあります。Penelope がこのような人事関連の業務を行う際には、会社の方針に従って、特定のアプリケーションを使用する必要があります。
Penelope にはオフィス管理業務用に自分のマシンがありますが、人事関連のアプリケーションを実行するためにもう 1 台別のマシンを必要としています。Penelope には、新たに提供されるマシンが属するデータセンターに対する PowerUserRole パーミッションが割り当てられました。新規仮想マシンを作成する際には、ストレージドメイン内での仮想マシンディスクイメージ作成など、そのデータセンター内のいくつかのコンポーネントに変更を加える必要があるためです。
これは、DataCenterAdmin の権限を Penelope に割り当てるのとは異なる点に注意してください。Penelope はデータセンターの PowerUser としてユーザーポータルにログインし、そのデータセンター内の仮想マシンに対して仮想マシン固有のアクションを実行することができますが、データセンターへのホストやストレージのアタッチなど、データセンターレベルの操作は実行できません。

例1.4 ネットワーク管理者のパーミッション

Chris は IT 部門のネットワーク管理者として勤めています。日常業務には、その IT 部門の Red Hat Enterprise Virtualization 環境内にあるネットワークの作成/操作/削除などが含まれます。Chris の役割には、リソースおよび各リソースのネットワークに対する管理者の権限が必要です。たとえば、IT 部門のデータセンターに対する NetworkAdmin の権限があると、そのデータセンター内でのネットワークの追加/削除や、そのデータセンターに属する全仮想マシン用のネットワークのアタッチ/デタッチが可能です。
Chris は、この会社の仮想インフラストラクチャーのネットワークの管理に加えて、下級ネットワーク管理者の部下を一人監督しています。部下は、Pat という名前で、同社の社内研修部門用の小規模な仮想化環境を管理しています。Chris は、社内研修部門で使用する仮想マシンに対する VnicProfileUser パーミッションと UserVmManager パーミッションを Pat に付与しました。Pat はこれらのパーミッションを使用して、ユーザーポータル の 拡張 タブで、仮想マシンへのネットワークインターフェース追加など、簡単な管理タスクを実行することができますが、仮想マシンを実行しているホストのネットワークや、仮想マシンが属するデータセンターのネットワークを変更するパーミッションはありません。

例1.5 カスタムロールのパーミッション

Rachel は、IT 部門に勤めており、Red Hat Enterprise Virtualization 内のユーザーアカウントを管理する責務を担っています。Rachel には、ユーザーアカウントを追加して、適切なロールとパーミッションを割り当てるためのパーミッションが必要です。自分では仮想マシンは使用しておらず、ホスト、仮想マシン、クラスター、データセンターの管理アクセスは必要はありません。このような特定のパーミッションセットを提供する既成のロールはありません。Rachel の立場に適したパーミッションセットを定義するには、カスタムロールを作成する必要があります。
UserManager のカスタムロール

図1.3 UserManager のカスタムロール

上記に示した UserManager カスタムロールでは、ユーザー、パーミッション、ロールの操作ができます。 これらの操作は、図1.3「UserManager のカスタムロール」 に示した階層の最上位のオブジェクトである システム 下にまとめられており、システム内のその他すべてのオブジェクトに適用されることになります。ロールには、管理者アカウントタイプ が指定されています。これにより、Rachel がこのロールを割り当てられると、管理ポータルは使用できますが、ユーザーポータルは使用できないことになります。

1.1.2. システムパーミッション

パーミッションによりユーザーは、オブジェクトに対するアクションを行うことができます。アクションの対象となるオブジェクトは、個別のオブジェクトもしくはコンテナーオブジェクトです。
パーミッッション & ロール

図1.4 パーミッッション & ロール

コンテナーオブジェクトに適用されるパーミッションは、そのコンテナーの全メンバーに対しても適用されます。以下の図は、システム内のオブジェクトの階層を示しています。
Red Hat Enterprise Virtualization のオブジェクト階層

図1.5 Red Hat Enterprise Virtualization のオブジェクト階層

1.1.2.1. ユーザーのプロパティー

ロールとパーミッションは、ユーザーのプロパティーです。ロールは、さまざまなレベルの物理/仮想リソースへアクセスを可能にする事前定義された一連の権限です。マルチレベルの管理により、粒度の高いパーミッション階層が提供されます。たとえば、データセンター管理者には、データセンター内の全オブジェクトを管理するパーミッションがある一方、ホスト管理者には、単一の物理ホストに対するシステム管理者のパーミッションがあります。また、あるユーザーには、仮想マシンを使用することができるが、その仮想マシンの設定変更はできないパーミッションを割り当てることができる一方、別のユーザーには仮想マシンのシステムパーミッションを割り当てることができます。

1.1.2.2. ユーザーロールと管理者ロール

Red Hat Enterprise Virtualization は、システム全体のパーミッションを持つ管理者から単一の仮想マシンへのアクセス権限を持つエンドユーザーまで、さまざまな事前設定済みロールを提供しています。デフォルトのロールは、変更/削除することはできませんが、必要に応じてクローン作成、カスタマイズ、または新規作成することができます。ロールには 2 つのタイプがあります。
  • 管理者ロール: 管理ポータル を使用して物理/仮想リソースを管理できます。管理者ロールにより、ユーザーポータルで操作を行うためのパーミッションも付与されますが、このパーミッションは、ユーザーポータルでユーザーに何が表示されるかとは関係ありません。
  • ユーザーロール: ユーザーポータル を使用して仮想マシンやテンプレートの管理とアクセスができます。ユーザーロールにより、ユーザーポータルでそのユーザーに表示される項目が決定します。管理者ロールが設定されたユーザーに付与されるパーミッションは、ユーザーポータルでそのユーザーが行うことができる操作に反映されます。
たとえば、クラスターの administrator ロールが割り当てられている場合は、管理ポータル を使用してクラスター内の仮想マシンを管理することができますが、ユーザーポータル 内の仮想マシンには一切アクセスすることはできません。そのためには、user ロールが必要です。

1.1.2.3. ユーザーロール

以下の表には、ユーザーポータルで仮想マシンへのアクセスと設定を行うためのパーミッションを付与する基本的なユーザーロールについての説明をまとめています。

表1.1 Red Hat Enterprise Virtualization ユーザーロール (基本)

ロール特権備考
UserRole仮想マシンとプールにアクセスして使用することができます。ユーザーポータルにログインし、割り当てられた仮想マシンとプールを使用したり、仮想マシンのステータスや詳細情報を確認したりすることができます。
PowerUserRole仮想マシンとテンプレートの作成および管理ができます。このロールをユーザーに適用するには、設定 ウィンドウを使用して環境全体で設定するか、特定のデータセンターまたはクラスターで設定します。たとえば、PowerUserRole がデータセンターレベルで適用されると、PowerUser はそのデータセンター内で仮想マシンおよびテンプレートの作成ができます。
UserVmManager仮想マシンのシステム管理者仮想マシンの管理およびスナップショットの作成と使用ができます。ユーザーポータル内で仮想マシンを作成したユーザーには、そのマシンに対する UserVmManager ロールが自動的に割り当てられます。
以下の表には、上級のユーザーロールについての説明をまとめています。このロールが割り当てられると、ユーザーポータルでリソースに対するパーミッションを細かく設定することができます。

表1.2 Red Hat Enterprise Virtualization ユーザーロール (上級)

ロール特権備考
UserTemplateBasedVmテンプレートのみを使用できる制限付き権限テンプレートを使用して仮想マシンを作成することができます。
DiskOperator仮想ディスクのユーザー仮想ディスクの使用/表示/編集ができます。仮想ディスクがアタッチされた仮想マシンを使用するパーミッションは継承されます。
VmCreatorユーザーポータルで仮想マシンを作成することができます。このロールは特定の仮想マシンに適用するのではなく、設定 ウィンドウから全環境でユーザーに適用するか、特定のデータセンターまたはクラスターに適用します。クラスターにこのロールを適用する場合は、データセンター全体、または特定のストレージドメインに対して DiskCreator ロールも適用する必要があります。
TemplateCreator割り当てられたリソース内で仮想マシンのテンプレートの作成/編集/管理/削除ができます。このロールは個別のテンプレートに適用されません。設定 ウィンドウを使用して、環境全体でこのロールをユーザーに適用します。または、特定のデータセンター、クラスター、ストレージドメインでこのロールを適用します。
DiskCreator割り当てられたクラスターまたはデータセンター内で仮想マシンディスクの作成/編集/管理/削除ができます。このロールは個別の仮想ディスクに適用されません。環境全体でこのロールをユーザーに適用するには 設定 ウィンドウを使用します。または、特定のデータセンター/ストレージドメインを対象にこのロールを適用します。
TemplateOwnerテンプレートの編集や削除、またテンプレートのユーザーパーミッションの割り当てや管理ができます。このロールは、テンプレートを作成したユーザーに自動的に割り当てられます。テンプレートに対する TemplateOwner パーミッションのないその他のユーザーは、そのテンプレートを表示または使用することはできません。
VnicProfileUser仮想マシンおよびテンプレートの論理ネットワークおよびネットワークインターフェースのユーザー特定の論理ネットワークにネットワークインターフェースをアタッチ/デタッチできます。

1.1.2.4. 管理者ロール

以下の表には、管理ポータルでリソースにアクセスして設定を行うためのパーミッションを付与する基本的な管理者ロールについての説明をまとめています。

表1.3 Red Hat Enterprise Virtualization のシステム管理者ロール (基本)

ロール権限備考
SuperUserRed Hat Enterprise Virtualization 環境のシステム管理者すべてのオブジェクトおよびレベルに対する完全なパーミッションがあり、全データセンターの全オブジェクトを管理できます。
ClusterAdminクラスターの管理者特定のクラスター下の全オブジェクトに対する管理者パーミッションがあります。
DataCenterAdminデータセンターの管理者ストレージを除く特定のデータセンター下の全オブジェクトに対する管理者パーミッションがあります。

重要

ディレクトリーサーバーの管理ユーザーは Red Hat Enterprise Virtualization の管理ユーザーとしては使用せずに、Red Hat Enterprise Virtualization の管理ユーザーとして専用に使用するユーザーを作成してください。
以下の表には、上級管理者ロールについての説明をまとめています。このロールが割り当てられると、管理ポータルでリソースに対するパーミッションを細かく設定することができます。

表1.4 Red Hat Enterprise Virtualization のシステム管理者ロール (上級)

ロール権限備考
TemplateAdmin仮想マシンテンプレートの管理者ストレージドメインやテンプレートのネットワーク詳細の作成/削除/設定やドメイン間のテンプレートの移動ができます。
StorageAdminストレージの管理者割り当て済みのストレージドメインを作成/削除/設定/管理できます。
HostAdminホストの管理者特定のホストをアタッチ/削除/設定/管理できます。
NetworkAdminネットワークの管理者特定のデータセンターまたはクラスターのネットワークの設定と管理ができます。データセンターまたはクラスターのネットワーク管理者は、クラスター内の仮想プールに対するネットワークパーミッションも継承します。
VmPoolAdmin仮想プールのシステム管理者仮想プールの作成/削除/設定、仮想プールユーザーの割り当て/削除、およびプール内の仮想マシンに対する基本操作ができます。
GlusterAdminGluster ストレージ管理者Gluster ストレージボリュームを作成、削除、設定、管理することができます。
VmImporterExporter仮想マシンのインポート/エクスポートに関する管理者仮想マシンのインポートとエクスポートを実行することが可能です。また、他のユーザーによってエクスポートされた仮想マシンとテンプレートをすべて表示することができます。

1.1.3. スケジューリングポリシー

スケジューリングポリシーとは、そのスケジューリングポリシーが適用されるクラスター内のホスト間で仮想マシンを分散するロジックを定義する一式のルールです。スケジューリングポリシーは、フィルター、加重値、負荷分散ポリシーを組み合わせてこのロジックを決定します。Red Hat Enterprise Virtualization Manager はデフォルトで Evenly_DistributedInClusterUpgradeNonePower_Saving、および VM_Evenly_Distributed の 5 つのポリシーを提供しますが、仮想マシンの分散に対するより粒度の高いコントロールを提供する新しいスケジューリングポリシーを定義することもできます。

1.1.3.1. スケジューリングポリシーの作成

新規スケジューリングポリシーを作成して、Red Hat Enterprise Virtualization 環境内の特定のクラスターで仮想マシンを分散するロジックを制御することができます。

手順1.3 スケジューリングポリシーの作成

  1. 管理ポータルのヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックして 設定 ウィンドウを開きます。
  2. スケジューリングポリシー をクリックしてスケジューリングポリシーのタブを表示します。
  3. 新規作成 をクリックして 新規スケジューリングポリシー ウィンドウを開きます。
    The New Scheduling Policy Window

    図1.6 新規スケジューリングポリシーウィンドウ

  4. スケジューリングポリシーの 名前説明 を入力します。
  5. フィルターモジュールを設定します。
    1. フィルターモジュール セクションで、スケジューリングポリシーに適用する対象のフィルターモジュールを 無効なフィルター セクションから 有効なフィルター セクションにドラッグ&ドロップします。
    2. 特定のフィルターモジュールを 最初 に設定して優先順位を最も高くすることや、最後 に設定して優先順位を最も低くして基本的な最適化を行うことも可能です。
      優先順位を設定するには、任意のフィルターモジュールを右クリックし、カーソルで 位置 をポイントして 最初 または 最後 を選択します。
  6. 加重値モジュールを設定します。
    1. 加重値モジュール セクションで、スケジューリングポリシーに適用する対象の加重値モジュールを 無効な加重値 セクションから 有効な加重値と係数 セクションにドラッグ&ドロップします。
    2. 有効な加重値と係数の左側にある + または - ボタンを使用して、それらのモジュールの加重値を増減します。
  7. 負荷分散ポリシーを指定します。
    1. ロードバランサー セクションのドロップダウンメニューで、スケジューリングポリシーに適用する負荷分散ポリシーを選択します。
    2. プロパティー セクションのドロップダウンメニューで、スケジューリングポリシーに適用する負荷分散のプロパティーを選択し、そのプロパティーの右側にあるテキストフィールドに値を指定します。
    3. + または - ボタンを使用して、プロパティーを追加/削除します。
  8. OK をクリックします。

1.1.3.2. 新規スケジューリングポリシーおよびスケジューリングポリシーの編集ウィンドウの設定

以下の表には、新規スケジューリングポリシースケジューリングポリシーの編集 のウィンドウで使用できるオプションについての説明をまとめています。

表1.5 新規スケジューリングポリシーおよびスケジューリングポリシーの設定

フィールド名
説明
名前
スケジューリングポリシーの名前。ここで指定した名前は、Red Hat Enterprise Virtualization Manager でスケジューリングポリシーを参照するのに使用されます。
説明
スケジューリングポリシーの説明。このフィールドへの入力は推奨されますが、必須ではありません。
フィルターモジュール
クラスター内の仮想マシンを実行することのできるホストを制御するためのフィルターのセット。フィルターを有効にすると、そのフィルターにより指定されている以下のような条件を満たさないホストは除外されます。
  • CpuPinning: CPU ピニングの定義を満たさないホスト
  • Migration: 同じホストへのマイグレーションを防ぎます。
  • PinToHost: 仮想マシンが固定されているホスト以外のホスト
  • CPU-Level: 仮想マシンの CPU トポロジーに対応しないホスト
  • CPU: 仮想マシンに割り当てられているよりも CPU 数が少ないホスト
  • Memory: 仮想マシンを実行するのに十分なメモリーがないホスト
  • VmAffinityGroups: アフィニティーグループのメンバーとなっている仮想マシンに指定された条件を満たさないホスト。たとえば、1 つのアフィニティーグループ内の仮想マシンは、同じホストまたは別のホストで実行されるように指定されます。
  • InClusterUpgrade: 仮想マシンを実行しているホストよりも古いバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホスト
  • HostDevice: 仮想マシンが必要とするホストデバイスをサポートしていないホスト
  • HA: ホストエンジンの仮想マシンが、高可用性スコアがポジティブのホストのみで実行されるように強制します。
  • Emulated-Machine: エミュレーションする仮想マシンタイプを正式にサポートしていないホスト
  • Network: 仮想マシンのネットワークインターフェースコントローラーが必要とするネットワークがインストールされていないホスト、またはクラスターのディスプレイネットワークがインストールされていないホスト。
加重値モジュール
仮想マシンを実行することのできるクラスター内のホストを決定する際に考慮される要素の相対的な優先順位を制御するための加重値
  • InClusterUpgrade: オペレーティングシステムのバージョンに応じてホストを重み付けします。重み付けにより、仮想マシンを実行しているホストよりも古いバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホストには、同じバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホストよりも大きなペナルティーが科されます。したがって、より新しいバージョンのオペレーティングシステムを使用しているホストが優先されます。
  • OptimalForHaReservation: 高可用性スコアに応じてホストに加重します。
  • None: 負荷均等配分のモジュールに応じてホストに加重します。
  • OptimalForEvenGuestDistribution: ホスト上で実行されている仮想マシンの数に応じてホストに加重します。
  • VmAffinityGroups: 仮想マシンに定義されているアフィニティーグループに応じてホストに加重します。この加重値モジュールは、アフィニティーグループのパラメーターに応じて、アフィニティーグループ内の仮想マシンが同じホストまたは異なるホストで実行される可能性を決定します。
  • OptimalForPowerSaving: CPU 使用率に応じてホストに加重し、CPU 使用率の高いホストを優先します。
  • OptimalForEvenDistribution: CPU 使用率に応じてホストに加重し、CPU 使用率の低いホストを優先します。
  • HA: 高可用性スコアに応じてホストに加重します。
ロードバランサー
このドロップダウンメニューにより、適用する負荷分散モジュールを選択することができます。負荷分散モジュールは、高使用率から低使用率のホストへの仮想マシン移行に使用されるロジックを決定します。
プロパティー
このドロップダウンメニューでは、負荷分散モジュールのプロパティーを追加/削除することができます。このメニューは、スケジューリングポリシーで負荷分散モジュールを選択した場合にのみに利用できます。デフォルトではプロパティーは定義されず、提供されるプロパティーは選択した負荷分散モジュール固有です。+ または - ボタンを使用して負荷分散モジュールにプロパティーを追加/削除します。

1.1.4. インスタンスのタイプ

インスタンスタイプは、仮想マシンのハードウェア設定を定義するのに使用することができます。仮想マシンの作成/編集時にインスタンスタイプを選択すると、ハードウェア設定のフィールドが自動的に設定されます。これにより、ユーザーは手動で全フィールドを設定する必要なく、同じハードウェア設定の仮想マシンを複数作成することができます。
以下の表には、デフォルトで提供されている事前定義済みのインスタンスタイプをまとめています。

表1.6 事前定義済みのインスタンスタイプ

名前
メモリー
VCPU
Tiny
512 MB
1
Small
2 GB
1
Medium
4 GB
2
Large
8 GB
2
XLarge
16 GB
4
管理者は、設定 ウィンドウの インスタンスタイプ のタブでインスタンスタイプの作成、編集、削除を行うこともできます。
インスタンスタイプのタブ

図1.7 インスタンスタイプのタブ

Fields in the New Virtual Machine and Edit Virtual Machine windows that are bound to an instance type will have a chain link image next to them ( ). If the value of one of these fields is changed, the virtual machine will be detached from the instance type, changing to Custom, and the chain will appear broken ( ). However, if the value is changed back, the chain will relink and the instance type will move back to the selected one.

1.1.4.1. インスタンスタイプの作成

管理者は、仮想マシンの作成または編集時にユーザーが選択できるように、新しいインスタンスタイプを作成することができます。

手順1.4 インスタンスタイプの作成

  1. ヘッダーバーで 設定 をクリックします。
  2. インスタンスタイプ タブを開きます。
  3. 新規 をクリックして、新規インスタンスタイプ ウィンドウを開きます。
    新規インスタンスタイプのウィンドウ

    図1.8 新規インスタンスタイプのウィンドウ

  4. インスタンスタイプの 名前説明 を入力します。
  5. 詳細オプションを表示 をクリックし、必要に応じて、インスタンスタイプの項目を設定します。新規インスタンスタイプ ウィンドウに表示される設定項目は、新規仮想マシン ウィンドウの設定項目と同じですが、関連するフィールドのみが表示されます。『仮想マシン管理ガイド』の「新規仮想マシンおよび仮想マシンの編集ウィンドウの設定」のセクションを参照してください。
  6. OK をクリックします。
新規インスタンスタイプが 設定 ウィンドウの インスタンスタイプ タブに表示され、仮想マシンの作成/編集時に インスタンスタイプ のドロップダウンリストから選択することができるようになりました。

1.1.4.2. インスタンスタイプの編集

管理者は、設定 ウィンドウで既存のインスタンスタイプを編集することができます。

手順1.5 インスタンスタイプのプロパティーの編集

  1. ヘッダーバーで 設定 をクリックします。
  2. インスタンスタイプ タブをクリックします。
  3. 編集するインスタンスタイプを選択します。
  4. 編集 をクリックして インスタンスタイプの編集 ウィンドウを開きます。
  5. 必要に応じて設定を変更します。
  6. OK をクリックします。
インスタンスタイプの設定が更新されます。このインスタンスタイプをベースとする新規仮想マシンと再起動された既存の仮想マシンが新規設定を使用するようになります。

1.1.4.3. インスタンスタイプの削除

手順1.6 インスタンスタイプの削除

  1. ヘッダーバーで 設定 をクリックします。
  2. インスタンスタイプ タブをクリックします。
  3. 削除するインスタンスタイプを選択します。
  4. 削除 をクリックして インスタンスタイプの削除 ウィンドウを開きます。
  5. いずれかの仮想マシンが削除するインスタンスタイプをベースとしている場合には、アタッチされている仮想マシンが一覧表示された警告のウィンドウが表示されます。このインスタンスタイプの削除を続行するには、操作を承認 のチェックボックスを選択して OK をクリックします。続行しない場合には キャンセル をクリックします。
  6. OK をクリックします。
インスタンスタイプ の一覧から対象のインスタンスタイプが削除され、新規仮想マシンの作成時には表示されなくなりました。削除したインスタンスタイプにアタッチされていた仮想マシンは カスタム (インスタンスタイプなし) にアタッチされます。

1.1.5. MAC アドレスプール

MAC アドレスプールは、MAC アドレスの範囲を定義します。MAC アドレスは、この範囲の中から各データセンターに割り当てられます。MAC アドレスプールは、各データセンターに指定されます。MAC アドレスプールを使用すると、Red Hat Enterprise Virtualization は MAC アドレスを自動的に生成して、新規仮想ネットワークデバイスに割り当てます。これは、MAC アドレスの重複を防ぐのに役立ちます。1 つのデータセンターに関連するすべての MAC アドレスが、割り当て済みの MAC アドレスプールの範囲内にある場合に、MAC アドレスプールのメモリー効率がより高くなります。
同じ MAC アドレスプールを複数のデータセンターで共有することができますが、各データセンターには単一の MAC アドレスプールが割り当てられます。デフォルトの MAC アドレスプールは、Red Hat Enterprise Virtualization によって作成され、他に MAC アドレスプールが割り当てられていない場合に使用されます。データセンターへの MAC アドレスプールの割り当てに関する詳しい情報は、「新しいデータセンターの作成」を参照してください。
MAC アドレスプールは、最後にプールに返されたアドレスの後に利用可能な MAC アドレスを割り当てます。この範囲内にそれ以降のアドレスが残っていない場合には、範囲の開始値から検索を開始します。単一の MAC アドレスプール内で複数の MAC アドレス範囲が定義されている場合には、それらの範囲は交互に使用され、利用可能な MAC アドレスが選択されるのと同じ方法で、受信した要求に対応します。

1.1.5.1. MAC アドレスプールの作成

新規 MAC アドレスプールを作成することができます。

手順1.7 MAC アドレスプールの作成

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックして 設定 ウィンドウを開きます。
  2. MAC アドレスプール タブをクリックします。
  3. 追加 ボタンをクリックして、MAC アドレスプールの新規作成 ウィンドウを開きます。
    MAC アドレスプールの新規作成ウィンドウ

    図1.9 MAC アドレスプールの新規作成ウィンドウ

  4. 新規作成する MAC アドレスプールの 名前説明 を入力します。
  5. 1 つのプールで同じ MAC アドレスを複数回使用できるようにするには、重複を許可する チェックボックスを選択します。MAC アドレスプールは、重複した MAC アドレスを自動的には使用しませんが、重複のオプションを有効にすると、ユーザーは重複した MAC アドレスを手動で指定することができます。

    注記

    1 つの MAC アドレスプールで重複のオプションを無効にし、別の MAC アドレスプールで重複のオプションを有効にした場合には、重複が無効な MAC アドレスプールでは、各 MAC アドレスを 1 回しか使用できませんが、重複のオプションが有効なプールでは、MAC アドレスを複数回使用することができます。
  6. 必要な MAC アドレス範囲 を指定します。複数の範囲を入力するには、範囲の先頭範囲の末尾 のフィールドの横にあるプラス (+) のボタンをクリックします。
  7. OK をクリックします。

1.1.5.2. MAC アドレスプールの編集

MAC アドレスプールを編集して、プール内で利用可能な MAC アドレスの範囲や、重複を許可するかどうかなどの詳細設定を変更することができます。

手順1.8 MAC アドレスプールのプロパティー

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックして 設定 ウィンドウを開きます。
  2. MAC アドレスプール タブをクリックします。
  3. 編集する MAC アドレスプールを選択します。
  4. 編集 ボタンをクリックすると、MAC アドレスプールの編集 ウィンドウが開きます。
  5. 必要に応じて、名前説明重複を許可するMAC アドレスの範囲 のフィールドを変更します。

    注記

    MAC アドレス範囲の更新時に、既存の NIC の MAC アドレスは再割り当てされません。割り当て済みの MAC アドレスが、新しい MAC アドレスの範囲外となった場合には、ユーザー指定の MAC アドレスとして追加され、その MAC アドレスプールによって引き続きトラッキングされます。
  6. OK をクリックします。

1.1.5.3. MAC アドレスプールのパーミッションの編集

MAC アドレスプールを作成した後には、そのユーザーパーミッションを設定することができます。ユーザーパーミッションは、その MAC アドレスプールをどのデータセンターで使用することができるかを制御します。新規ユーザーパーミッションの追加については、「ロール」を参照してください。

手順1.9 MAC アドレスプールのパーミッションの編集

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックして 設定 ウィンドウを開きます。
  2. MAC アドレスプール タブをクリックします。
  3. 対象の MAC アドレスプールを選択します。
  4. MAC アドレスプールのユーザーパーミッションを編集します。
    • MAC アドレスプールにユーザーパーミッションを追加するには、以下の手順を実行します。
      1. 設定 ウィンドウの最下部にあるユーザーパーミッションペインで 追加 をクリックします。
      2. 対象のユーザーを検索して選択します。
      3. 割り当てるロール ドロップダウンリストから必要なロールを選択します。
      4. OK をクリックすると、ユーザーパーミッションが追加されます。
    • MAC アドレスプールからユーザーパーミッションを削除するには、以下の手順を実行します。
      1. 設定 ウィンドウの最下部にあるユーザーパーミッションペインで削除するユーザーパーミッションを選択します。
      2. 削除 をクリックすると、ユーザーパーミッションが削除されます。

1.1.5.4. MAC アドレスプールの削除

デフォルトの MAC アドレスプールは削除できませんが、作成した MAC アドレスプールは削除することができます。

手順1.10 MAC アドレスプールの削除

  1. ヘッダーバーで 設定 ボタンをクリックして 設定 ウィンドウを開きます。
  2. MAC アドレスプール タブをクリックします。
  3. 削除する MAC アドレスプールを選択します。
  4. 削除 ボタンをクリックして、MAC アドレスプールの削除 ウィンドウを開きます。
  5. OK をクリックします。